説明

段積み装置

【課題】 たとえ脆い物品であったり、段積みする数が増えたりしても物品にダメージを与えないように段積みすること
【解決手段】 物品2を複数列で搬送する高さの異なる複数の搬送路を備えた第1搬送装置と、その第1搬送装置の搬出側に、搬送方向が交差するように配置し、物品を受け取るとともに1列に並べて搬送する第2搬送装置30とを備える。第2搬送装置は、複数の搬送路の搬出端に対向する位置にそれぞれ上板31〜35,底板36を配置するとともに、その上板上の物品を上下揃えて搬送するフィンガーコンベアであり、上段側の上板の下流側先端位置は、下段側に位置する他の上板よりも下流側に突出させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送しながら積層する段積み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送中の物品を積み重ねる段積装置として、従来特許文献1に開示された装置(ブロック片の積み重ね供給方法)がある。この特許文献1に開示された装置は、例えばその特許文献1に添付された図8に示すように、主移送台(1a)に対し、ブロック片(A)を斜め後ろから投入する投入用移送装置(2)を複数設け、上流側の投入用移送装置(2)の主移送台(1a)に対する合流点とこれに続く下流側の投入用移送装置(2)の主移送台(1a)との合流点の間に、主移送台(1a)の上面から下流側に向かって上昇した後に主移送台(1a)と平行となる補助移送台(1c)を設ける。よって、係る上流側の投入用移送装置(2)により搬送されてきたブロック片(A)は、その下流に設けられた補助移送台(1c)に沿って上昇移動した後、主移送台(1a)の上方を水平移動する。
【0003】
最下流に設けられた投入用移送装置(2)の主移送台(1a)との合流点の下流には、補助移送台は設けていない。よって、最下流の投入用移送装置(2)により搬送されてきたブロック片(A)は、そのまま主移送台(1a)の上を移動する。
【0004】
よって、各投入用移送装置(2)により主移送台(1a)に供給されたブロック片(A)は、補助移送台(最下流から供給されたブロック片は主移送台)上を移動し、上下に重なった状態になる。補助移送台(1c)を複数設けた場合、補助移送台(1c)の下流側先端位置は、上流側のものほど手前側で終端するようにしている。
【0005】
これにより、補助移送台(1c)上を移動するブロック片(A)は、補助移送台(1c)の下流側端から落下し、その下を移動するブロック片(A)の上に落下供給される。これを繰り返すことで、上下に重なった状態で各補助移送台(1c)上を搬送されるブロック片は、順次、下方を移動するブロック片の上に乗っていき、最終的に、主移送台(1a)を移動していた全てのブロック片が積み重なった状態になる。括弧内の符号は、特許文献1で付されている符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2942855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に開示された装置は、上流側から供給された上側に位置するブロック片から順番に落下させて下側のブロック片に加えていくため、積み重ね個数が増えるほど積み重ねる際に下側のブロック片に与えるダメージが大きくなる。すなわち、特許文献1の図11に示した3個のブロック片を積み重ねる構成では、最初に一番上の補助移送台(1c)を移動していたブロック片(A)が落下し、一つ下の補助移送台(1c)を移動するブロック片(A)の上に乗り、2つ重なった状態となる。以後、当該一つ下の補助移送台(1c)上は、係る2個のブロック片(A)が重なった状態のまま移動する。そして、その2個重なったブロック片は、移動中の補助移送台(1c)の下流側端に至ると、そこから落下し、主移送台(1a)を移動中のブロック片の上に乗る。このとき、落下してくるブロック片は、2個重なった状態であるので、主移送台を移動中のブロックは、係る2個分のブロック片の荷重が加わることになる。よって、段積みするブロック片(物品)がビスケット・クラッカー等の脆い菓子片の場合、破損・損傷を招くおそれがある。特に、段積みする物品の数が増えるほど、係る影響は顕著となる。
【0008】
よって、たとえ脆い物品であったり、段積みする数が増えたりしても物品にダメージを与えないように段積みしたいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の段積み装置は、(1)上下に重なるように複数配置した、物品を搬送する搬送路を構成する物品受け板と、その上下に配置された各物品受け板上の物品を上下揃えて押送するフィンガーを備えた搬送装置を有し、前記物品受け板上の下流側先端から前記物品が落下し、下方に位置する物品の上に乗ることで段積みされる段済み装置であって、上段側の前記物品受け板の下流側先端位置は、下段側に位置する他の物品受け板よりも下流側に突出させるように構成した。この搬送装置は、実施形態の第2搬送装置に対応する。物品受け板は、実施形態の第2搬送装置の上板や底板に対応する。
【0010】
このように構成すると、各物品受け板上を移動する物品は、下段側から順に落下していく。そして、各物品の落下に際し、常に1個のみ落下し、その下に位置する1つの物品またはすでに落下して積み重なった複数個の物品の上に乗り移るので、落下してきた物品を受ける下側に位置する物品がダメージを受けることが抑制される。
【0011】
(2)前記上下に重なるように複数配置した各物品受け板に物品を供給する物品供給装置を備えるとよい。物品供給装置は、実施形態では、第1搬送装置に対応する。(3)そして、上記の(2)の発明を前提とし、前記物品供給装置は、物品を複数列で搬送する高さの異なる複数の搬送路を有し、各搬送路の搬出端を前記物品受け板の搬入口に対向配置するようにするとよい。ここで、搬送路の搬出端を物品受け板の搬入口に対向配置するとは、搬出端から搬出される物品が、物品受け板の搬入口から物品受け板側に移動できるように所定の位置関係で向かい合っていることを意味する。よって、当該物品供給装置の搬送路と、物品受け板で構成される搬送装置の搬送路の相対位置関係は任意であり、実施形態のように直交するようになっていても良いし、所定角度で斜めに交差するようになっていても良いし、一直線上に配置されていても良い。このようにすると、物品供給装置の各搬送路を移動する物品を順次搬送装置の物品受け板に供給できる。
【0012】
また、物品を複数列で搬送する高さの異なる複数の搬送路を備えた第1搬送装置と、その第1搬送装置の搬出側に、搬送方向が交差するように配置し、前記物品を受け取るとともに1列に並べて搬送する第2搬送装置と、を備え、前記第2搬送装置は、前記複数の搬送路の搬出端に対向する位置にそれぞれ上板を配置するとともに、その上板上の物品を上下揃えて搬送するフィンガーコンベアであり、上段側の上板の下流側先端位置は、下段側に位置する他の上板よりも下流側に突出させるように構成するとよい。
【0013】
(4)前記物品供給装置の上流側に複数枚の物品を積層状態で貯留するホッパー装置を備え、前記物品供給装置は、前記ホッパー装置に貯留されている物品を取り出すとともに搬送する押送フィンガーを備えたフィンガーコンベアであり、その押送フィンガーの速度を増減速制御する機能を備え、前記増減速制御は、前記ホッパー装置の手前の前記物品に接触する直前で低速度になり、その低速度の状態で前記押送フィンガーが前記物品に接触し、その後増速する動作を行うものとするとよい。低速度は、速度がゼロも含む。このようにすると、物品が脆く壊れやすいものであっても、押送フィンガーが物品に接触する際には、低速度の状態となっているので、接触時の衝撃も小さく壊れにくい。そして、その後は増速するので、物品を素早く取り出すことができる。
【0014】
(5)前記物品供給装置は、前記物品を搬送する押送フィンガーを備えたフィンガーコンベアであり、その押送フィンガーの速度を増減速制御する機能を備え、前記増減速制御は、搬出端に至った際に低速度になり、その後増速して前記物品を前記物品受け板(搬送装置)に供給するようにするとよい。このようにすると、物品が物品供給装置から搬送装置(物品受け板)へ移りはじめはゆっくりと移動することで、搬送路が変わる際に係る衝撃を小さくし、物品が破損・損傷等することを未然に防止するとともに、物品の前端が第2搬送装置側に乗り込んだ後は増速して速やかに移し替えを完了することができる。
【0015】
(6)前記複数の搬送路の配置ピッチと、前記搬送装置のフィンガーコンベアにおけるフィンガーピッチを異ならせるとよい。このようにすると、各搬送路から第2搬送装置へ物品が搬出・供給するタイミングがずれるので好ましい。
【0016】
(7)前記複数の搬送路は、前記搬送装置の上流側に位置するものほど高い位置に配置し、前記物品受け板の上流側の端部は、それぞれ対応する前記搬送路の搬出端に対向させ、その上流側端部の下方には他の物品受け板が配置されずに所定の空間が形成されるようするとよい。このようにすると、物品供給装置がフィンガーコンベアなどの場合、押送フィンガーUターンして後退移動する方向変換する空間が確保されるので好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、たとえ脆い物品であったり、段積みする数が増えたりしても物品にダメージを与えないように段積みすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る段積み装置の好適な一実施形態を示す平面図である。
【図2】その正面図である。
【図3】その側面図である。
【図4】第2搬送装置30の搬入側部位を拡大して示す正面図である。
【図5】(a)は、図3中Aで示す部分を拡大した図であり、(b),(c)はそれぞれ図2中B,Cで示す部分の断面図を拡大して示す図である。
【図6】ホッパー装置10を示す正面図である。
【図7】第1搬送装置20を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る段積み装置の好適な一実施形態における最上流側に位置するホッパー部分の機構を分離した平面図を示し、図2はそのホッパー部分の機構を省略した正面図を示し、図3はホッパー部分の機構を組み込んだ状態の側面図を示している。
【0020】
本実施形態の段積み装置1は、偏平状の物品2を搬送し、搬送途中で所定数(ここでは6個)の物品2を積み重ねるものである。本実施形態で段積みの対象とする物品2は、例えばクラッカーなどの比較的壊れやすいものであるが、その材質は問わない。
【0021】
そして、本実施形態の段積み装置1は、最上流側に配置されたホッパー装置10と、そのホッパー装置10にて上下方向に多数積層状態で貯留されている偏平状の物品2を下から1枚ずつ取り出すと共に搬送する第1搬送装置20と、その第1搬送装置20の搬出側に配置され、物品を搬送しながら段積みする第2搬送装置30を備える。ホッパー装置10及び第1搬送装置20は、物品2を6列縦隊で搬送する。第1搬送装置20の搬送方向と第2搬送装置30の搬送方向は直交するようにし、第1搬送装置20上を6列で搬送されてきた各物品2を順次第2搬送装置30に移し替えることで、それら各物品2は第2搬送装置30上では一列に並んで搬送される。これにより、6列縦隊で搬送する物品2を当該6列から1列に配列変換して物品を搬送する。さらにこの第1搬送装置20から第2搬送装置30に物品2を供給する際に、各列で供給高さを異ならせている。これにより、第2搬送装置30上を移動する物品は、上下方向で重なる高さの異なる6つの搬送ライン上を移動するので、その高低差を利用して段積みする。具体的な構成は以下の通りである。
【0022】
図3に示すように、ホッパー装置10は、上方所定位置に設置された緩やかな下方傾斜状の第1搬送路11と、その第1搬送路11の下流側先端に接続され、進路を下方に変更する第2搬送路12を備える。第1搬送路11,第2搬送路12は、平行に6列設けている。物品2は第1搬送路11内を起立した駒立て状態で、前後の物品2同士が接触した状態で移動する。
【0023】
第2搬送路12の経路は、湾曲部12′及びそれに続く垂直部12″を有する。第1搬送路11内を駒立て状に移動してきた物品2は、湾曲部12′の区間を通過することで、その物品2の姿勢はその湾曲部12′に沿って徐々に倒れていき、最終的に水平状態になる。そして、水平状態となった物品2は、垂直部12″の区間では自然落下する。実際には、各列の物品2は、第1搬送路11内から前後に接触した状態で移動してくるので、垂直部12″内では上下に積層された状態で貯留されることになる。そして、駒立て状態から倒れ込むように姿勢を変えるときに、物品2が外部に飛び出すことがないように、第2搬送路12の適宜位置にガイド部材を配置している。すなわち、まず第2搬送路12は、図1,図6に示すように、左右一対の側壁ガイド12aを備える。この一対の側壁ガイド12a間に物品2が位置することで、横方向の移動が規制される。さらに、側壁ガイド12aの先端(前側)12a′は、互いに内側に折れ曲がっている。これにより、一対の側壁ガイド12a間に配置された物品2は、先端12a′にも接触・近接しており、外への飛び出しが抑制される。
【0024】
さらに垂直部12″の区間の一対の側壁ガイド12aの先端12a′側の中央には、上下方向に伸びるようにガイド棒12cを起立配置し、側壁ガイド12aの先端12a′間の空間から飛び出てこようとする物品2の当該飛び出しを抑制する。ガイド棒12cは、L字プレート12bの先端に取り付けられている。L字プレート12bの基端は、奥側の機枠1等に連結された支柱12dの先端に対して、所定角度範囲内で正逆回転可能に連結されている。すなわち、図3,図6や、図1中の実線で示すように、ガイド棒12cを、一対の側壁ガイド12aの先端12a′間の中間に位置する運転状態の位置と、図1中二点鎖線で示すように、一対の側壁ガイド12aの先端12a′間の空間を開放するメンテナンス状態の位置がとれる。
【0025】
なお、図1では、ホッパー装置10を第1搬送装置20の外側にずらして描画しているが、実際には、図3等に示すように、第1搬送装置20の上方に重なるように配置される。
【0026】
6本の第2搬送路12の垂直部12″の下端は、図3,図5(a)等に示すように、第1搬送装置20の搬送面の上方近傍に対向配置する。そして、第2搬送路12(垂直部12″)の下方は開放しており、垂直部12″内を移動してきた物品2は、その下方の開口部位から第1搬送装置20の搬送面に供給される。第2搬送路12の最下端と、第1搬送装置20の搬送面との間は、物品2の1枚分の厚さに対応する距離iに当該1枚分よりも短い所定のマージンを加えた距離だけ離している。また、側壁ガイド12aの下端の先端12a″は、内側に折り曲げることなく開口している。さらに側壁ガイド12aの下端の先端側(第1搬送装置20の搬送方向前方)には、先端(前方)に行くに従って下方傾斜した庇状のガイドプレート12eを設けている。このガイドプレート12eと、第1搬送装置20の搬送面との間は、物品2が1枚だけ通過できる間隔となっている。これにより、第2搬送路12(垂直部12″)の下端から、物品2が1枚ずつ第1搬送装置20側に搬出供給されるようになる。
【0027】
このように、第2搬送路12、特に垂直部12″内には、多数の物品2が、水平状態で積層されて貯留されており、その最下端から1枚ずつ第1搬送装置20の搬送路に供給されるので、係る第2搬送路12(垂直部12″)がホッパー部を構成する。つまり、本実施形態では、6本のホッパー部を起立配置して整列している。
【0028】
また、本実施形態では、図6に示すように、係る6本のホッパー部となる各第2搬送路12(垂直部12″)の下端位置を、その高さ方向に徐々にずらしている。図6では、向かって左側が最も高い位置となり、右に行くにつれて徐々に低い位置に設定する。この高さ位置のズレ量は等間隔にし、物品2の厚さ(高さ)に対応する長さ(実際には、係る距離に所定のマージンを加算した長さ)にしている。また、下端を高い位置に設定する第2搬送路(図6中、左側)は、後述する最終的な第2搬送装置30の搬送方向の上流側に位置する。
【0029】
第1搬送装置20は、フィンガーコンベア装置である。図3等に示すように、適宜位置に配置されたスプロケット21に掛け渡したエンドレスチェーン22に、押送フィンガー23を取り付けて構成される。このエンドレスチェーン22(押送フィンガー23)は垂直平面内で旋回する。さらに、図1等に示すように、第1搬送装置20は、6本の搬送路を備える。この搬送路は、左右一対のガイドレール24により構成される。すなわち、この一対のガイドレール24は、物品2の両サイドを受けるものである。そして、一対のガイドレール24間に形成される空間を押送フィンガー23が移動し、その押送フィンガー23によって、ガイドレール24間で支えられている物品2を押送する。
【0030】
更に図5(a)に拡大して示すように、押送フィンガー23の上端は、第1搬送装置20(ガイドレール24)上にある物品2の上面よりも低い位置に来るように設定される。これにより、第2搬送路12(垂直部12″)内に積層されている多数の物品2の内、最下層に位置する1枚の物品2のみが押送フィンガー23からの搬送力を受け、垂直部12″から押し出されて第1搬送装置20上を移動する。
【0031】
上記のエンドレスチェーン22並びにそれに取り付けた押送フィンガー23並びに一対のガイドレール24等も、ホッパー装置10に合わせて6組分揃える。また、図7に示すように、対となるガイドレール24で構成される第1搬送装置20の6つの搬送路は、その高さ位置も変えている。
【0032】
更に本実施形態では、第1搬送装置20は、駆動モータの出力を楕円ギア25を介してスプロケット21に伝達している。これにより、押送フィンガー24は、増減速しながら旋回する。この楕円ギア25の径や離心率並びに第1搬送装置20の搬送路の長さ等を適宜に設定することで、押送フィンガー23は、ホッパー装置10(第2搬送路12の垂直部12″)の手前の物品2に接触する直前で速度が0或いは最小になり、その後徐々に増速する動作を行うように制御される。このような動作をすることで、押送フィンガー23が物品2に接触する際に物品2に与える衝撃を小さくし、物品2が破損・損傷等することを未然に防止するとともに、接触後は増速して速やかにホッパー装置10から取り出して第1搬送装置20上を移動するようになる。
【0033】
さらに、ホッパー装置10(垂直部12″)を通過した押送フィンガー23は、第1搬送装置20の搬出端(次段の第2搬送装置30)に至る前に最高速度に達した後、徐々に減速していき、係る搬出端に至った際に速度が0或いは最小になり、その後徐々に増速する動作を行うように制御される。これにより、物品2が第1搬送装置20から第2搬送装置へ移りはじめはゆっくりと移動することで、搬送路が変わる際に係る衝撃を小さくし、物品2が破損・損傷等することを未然に防止するとともに、物品2の前端が第2搬送装置30側に乗り込んだ後は増速して速やかに移し替えを完了するようになる。
【0034】
さらに、後述するように第2搬送装置30もフィンガーコンベアであるが、この第2搬送装置30におけるフィンガーピッチと、第1搬送装置20の6列の搬送路の配置ピッチを異ならせている。具体的には、第2搬送装置30のフィンガーピッチを広くしている。すなわち、通常この種の搬送方向が直交する搬送装置間において上流の複数列から下流の1列に配列変換して物品の移し替えを行う搬送システムの場合、上流の搬送装置からは、各列を移動してくるそれぞれの物品を同時に搬出させ、下流側の搬送装置への移し替えを行う。そのため下流側の搬送装置がフィンガーコンベアの場合、係るフィンガーコンベアのフィンガーピッチと、上流側の搬送装置の搬送路の配置ピッチを一致させている。このようにピッチを一致させると、本実施形態のように押送フィンガーが増減速すると、各列の押送フィンガー23が増速し最高速になったり、その後に減速して速度が0等になったりするといった速度変化が各列で同時に発生するため、装置に与える振動が重なって大きくなり好ましくない。これは、列数が大きくなるほど顕著になる。
【0035】
これに対し、本発明では、両者のピッチを異ならせ、それに伴い、第1搬送装置20の各列から物品2を搬出するタイミングをずらすようにした。具体的には、第2搬送装置30の搬送方向上流側の列(図1,図7では左側の列)から順に物品を搬出し、第2搬送装置30へ供給する。係る処理を行うため、第1搬送装置20の各列を構成するフィンガーコンベアの押送フィンガー23の位相を列ごとにずらす。さらに、各列で押送フィンガー23が、所定の位置で増減速するように、増減速制御するための楕円ギア25も各列に設け、各列のスプロケット21に連携する。図7に示すように、各列の楕円ギア25は、同じ回転軸27に取り付け、各楕円ギア25が回転軸27の回転に伴い一体となって回転する。そして、各楕円ギア25の位相(例えば長軸の角度)をずらせているので、各列の押送フィンガー23が増減速するタイミングは列ごとにずれ、それぞれの列の押送フィンガーが、上述した所望の動き(ホッパー装置10の直前並びに搬出端に至った際に速度が0または最小になり、その後、増速する動作)を行う。そして、この回転軸27は、回転軸27の一端に装着した動力伝達歯車28を介して図外の駆動モータに連携すること、単一の駆動モータに基づき各列を動作させる。
【0036】
上述したように、本実施形態では、フィンガーコンベアからなる第1搬送装置20の各列の押送フィンガー23の位相をずらしたため、各列の押送フィンガー23の増減(速度変化)するタイミングが異なるので、増減速に伴う装置全体へ与える振動も小さく、場合によっては互いに相殺されることになるので、装置にきしみなど生じることもなく安定した動作ができる。
【0037】
図2等に示すように第2搬送装置30は、フィンガーコンベアであり、第1搬送装置20から供給された各列の物品を受け取り、搬送しながら物品同士を積み重ねて段積みを行うものである。図4は、係る第2搬送装置30の要部ともなる搬送方向上流側の搬入部及び段積み機構部分を拡大して示す図である。図4に拡大して示すように、第1搬送装置20から搬出・供給された物品を受け取るための第1〜第5上板31〜35と、主搬送路を構成する底板36を備えている。第1〜第5上板31〜35と、底板36の高さ位置は、第1搬送装置20の搬送路のそれぞれの高さ位置に合わせている。すなわち、第1上板31は、最も高い搬送路である図1,図7中一番左の搬送路の搬出端位置に対向・交差するように配置する。第2上板32は、次に高い搬送路であるの図1,図7中左から2番目の搬送路の搬出端位置に対向・交差するように配置する。以下同様に、第3上板3,第4上板34,第5上板35は、それぞれ図1,図7中左から3番目,4番目,5番目の搬送路の搬出端位置に対向・交差するように配置する。そして、底板36は、最も低い搬送路である図1,図7中一番右端の搬送路の搬出端位置に対向・交差するように配置する。
【0038】
対向する搬送路と第1〜第5上板31〜35,底板36の高さを合わせるとともに、第1搬送装置20の搬送路の搬出端近傍に上板を配置しているため、各列の搬送路から搬出される物品は、上記の速度制御の効果も相まってスムーズに対応する第1〜第5上板31〜35,底板36に移し替えられる。
【0039】
一方、第2搬送装置30の前後方向所定位置に配置されたスプロケット41に掛け渡されたエンドレスチェーン42に、押送フィンガー43が取り付けられる。上述したように、この押送フィンガー43のフィンガーピッチが、第1搬送装置20の各列の搬送路の配置ピッチより長い設定としている。
【0040】
また、図5(b)に拡大して示すように、第1〜第5上板31〜35,底板36は、搬送方向と直交する幅方向中央が開口されている。この開口された部位は、上下方向で重なっているとともに、搬送方向に沿って伸びるように形成され、この開口された部位を上下方向に貫通するように押送フィンガー43が位置し、その押送フィンガー他43にて第1〜第5上板31〜35,底板36に置かれた物品2を一斉に搬送する。よって、第1〜第5上板31〜35,底板36に置かれた物品2は、押送フィンガー43によって押送され、物品間の相対位置が揃う(上下方向で重なる)。
【0041】
また、第1〜第5上板31〜35,底板36の上流側の端部は、それぞれ対応する第1搬送装置20の搬送路の搬出端に位置させ、必要以上上流側に延長しない。これにより、第1〜第5上板31〜35,底板36の下には他の上板は存在せず、所定の空間が確保される。よって、例えば図5(c)に示すように、第2上板32の搬入側部位では、その下方に第3〜第5上板33〜35,底板36が存在せずに空間が形成されるので、その第2上板32に物品2を供給した第1搬送装置20の押送フィンガー23は、その姿勢を転倒しながらその空間内を移動してUターンする。つまり、係る押送フィンガー23がUターンして後退移動する方向変換時に他の上板等に接触することがない。
【0042】
第1〜第5上板31〜35の下流側先端位置は、下側に位置する他の上板よりも長くしている。これにより、第1〜第5上板31〜35上を移動する物品2は、下側から順に落下していく。すなわち、同一の押送フィンガー43により搬送される6つの物品2は、まず第5上板35上を移動してきた下から2番目の物品が落下し、すぐ下に位置する底板36上を移動してきた物品の上に乗り移る。この状態では、第1〜第4上板31〜34上に物品が1枚ずつ置かれるとともに、底板36の上に2枚の物品が積み重なった状態で押送フィンガー43で押送される。
【0043】
次に、第4上板34上を移動してきた下から3番目の物品が落下し、すぐ下に位置する底板36上を移動してきた2枚積み重なっている物品の上に乗り移る。この状態では、第1〜第3上板31〜33上に物品が1枚ずつ置かれるとともに、底板36の上に3枚の物品が積み重なった状態で押送フィンガー43で押送される。
【0044】
以後、上記処理を順次繰り返し、第3上板33上を移動してきた上から3番目の物品,第2上板32上を移動してきた上から2番目の物品が順次落下し、最後に、第1上板31上を移動してきた一番上の物品が落下し、6枚の物品が積み重なった段積み処理が完了する。その後は、積み重なった状態の物品群が押送フィンガーにより押送され、次段の包装機本体等に供給される。
【0045】
各物品の落下に際し、常に1枚のみ落下し、その下に位置する1つの物品または複数枚積層された物品群の上に乗り移るので、落下してきた物品を受ける下側に位置する物品がダメージを受けることもない。
【0046】
更に本実施形態では、第2搬送装置30上の搬送面を構成する底板36の所定位置に上り傾斜面36aを形成する。この上り傾斜面36aを形成する所定位置は、第5上板35,第4上板34の下流側先端から更に下流側(第3上板33の下流側先端位置付近)に至る一定区間としている。これにより、第5上板35,第4上板34,第3上板33から落下する物品を受ける底板36上の物品は、係る上り傾斜面36aに沿って上昇移動しているので、落下距離が短くなり、乗り移る際に両方の物品に加わる衝撃を可及的に小さくする。
【0047】
同様に、第1上板31,第2上板32の下流側先端を下り傾斜面31a,32aとし、第1上板31,第2上板32から落下する物品の落下距離を短くする。ここでは、第1上板31,第2上板32に下り傾斜面31a,32aを設けたが、本発明はこれに限ることはなく、底板36の上り傾斜面36aを更に延長するようにしても良い。但し、上り傾斜面36aをそのように延長すると、その後の搬送面の高さが高くなるので、本実施形態のように上側の何枚かの上板の先端に下り傾斜面を設けるのがよい。
【0048】
また、逆に底板に上り傾斜面を設けずに、各上板の下流側先端に下り傾斜面を設ける態様もとることができるが、係る態様の場合、特に上側の第1,第2上板の下り傾斜面を長くしたり、全体的に急角度にしたりする必要があるので、上述した実施形態のように、上り傾斜面36aと下り傾斜面31a,32aを併用するのが好ましい。
【0049】
上述した実施形態では、第1搬送装置20の押送フィンガーの移動速度を楕円ギアを用いて増減速制御するようにしたが、係る増減速制御は、他の機構によって実現することを妨げない。また。等速運転をするものでも良い。また、第2搬送装置30の押送フィンガーのフィンガーピッチと、第1搬送装置20の搬送路の配置ピッチは、等しくしても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 段積み装置
2 物品
10 ホッパー装置
20 第1搬送装置
30 第2搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に重なるように複数配置した、物品を搬送する搬送路を構成する物品受け板と、 その上下に配置された各物品受け板上の物品を上下揃えて押送するフィンガーを備えた搬送装置を有し、前記物品受け板上の下流側先端から前記物品が落下し、下方に位置する物品の上に乗ることで段積みされる段済み装置であって、
上段側の前記物品受け板の下流側先端位置は、下段側に位置する他の物品受け板よりも下流側に突出させるように構成したことを特徴とする段積み装置。
【請求項2】
前記上下に重なるように複数配置した各物品受け板に物品を供給する物品供給装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の段積み装置。
【請求項3】
前記物品供給装置は、物品を複数列で搬送する高さの異なる複数の搬送路を有し、
各搬送路の搬出端を前記物品受け板の搬入口に対向配置することを特徴とする請求項2に記載の段積み装置。
【請求項4】
前記物品供給装置の上流側に複数枚の物品を積層状態で貯留するホッパー装置を備え、
前記物品供給装置は、前記ホッパー装置に貯留されている物品を取り出すとともに前記搬送路上を搬送する押送フィンガーを備えたフィンガーコンベアであり、その押送フィンガーの速度を増減速制御する機能を備え、
前記増減速制御は、前記ホッパー装置の手前の前記物品に接触する直前で低速度になり、その低速度の状態で前記押送フィンガーが前記物品に接触し、その後増速する動作を行うものであることを特徴とする請求項3に記載の段積み装置。
【請求項5】
前記物品供給装置は、前記物品を搬送する押送フィンガーを備えたフィンガーコンベアであり、その押送フィンガーの速度を増減速制御する機能を備え、
前記増減速制御は、搬出端に至った際に低速度になり、その後増速して前記物品を前記物品受け板に供給するようにすることを特徴とする請求項3または4に記載の段積み装置。
【請求項6】
前記複数の搬送路の配置ピッチと、
前記搬送装置のフィンガーピッチを異ならせることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の段積み装置。
【請求項7】
前記複数の搬送路は、前記搬送装置の上流側に位置するものほど高い位置に配置し、
前記物品受け板の上流側の端部は、それぞれ対応する前記搬送路の搬出端に対向させ、その上流側端部の下方には他の物品受け板が配置されずに所定の空間が形成されるようすることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の段積み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−250806(P2012−250806A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124532(P2011−124532)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)