説明

殺菌効果増進剤組成物及びこれを含有する殺菌剤組成物

【課題】 殺菌化合物の作物への葉面吸収量及び噴霧蒸着量を増進させて剤型化の際に安定した殺菌効果をもたらす増進剤組成物及びこれを含む殺菌剤組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、炭素数8以上の脂肪族アルコール、脂肪酸又はトリアシルグリセリドを親油基とし、3〜25個のオキシエチレン繰返単位を有するポリオキシエチレンを親水基として含むポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤、2〜40個のオキシエチレン及び25〜45個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる非イオン性界面活性剤;ソジウムジオクチルスルホサクシネート、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート及びこれらの混合物からなる群から選ばれる陰イオン性界面活性剤;及び炭素数14以上の脂肪酸のアルキルエステルからなる群から選ばれる殺菌効果増進物質を含む殺菌活性増進剤をKNF−1002又はKNF−1002と併用するとKNF−1001又はKNF−1002の殺菌効果が顕著に増進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌効果増進剤組成物、具体的にメチル((2E)-3-メトキシ-2-[2'-[[[3''-(1'''-フルオロ-2'''-フェニル-1'''-エテニルオキシ)フェニル]メチルイミノ]オキシ]メチルフェニル]プロペノエート(下記式(I)の化合物、韓国特許登録第0311195号)又はN-メチル(2E)-2-メトキシイミノ-2-[2'-[[[3''-(1'''-フルオロ-2'''-フェニル-1'''-エテニルオキシ)フェニル]メチルイミノ]オキシ]メチルフェニルアセトアミド(下記式(II)の化合物、韓国特許登録第0311195号)の植物病に対する殺菌効果を増進させる補助剤組成物及びこれを含む殺菌剤組成物に関する。
【0002】
【化3】

【0003】
【化4】

【背景技術】
【0004】
農薬の持続的な使用によって農薬に耐性を有する雑草、植物病及び害虫が発生し、これらを統制するための農薬使用量の増加は深刻な環境問題をもたらしている。従って、農薬に効果的な補助剤を添加して殺菌効果を増進させることによって農薬の使用量を減らす必要がある。
【0005】
このような農薬の活性増進用添加剤としては農薬の作物への噴霧蒸着及び残留を助ける展着剤(spreader)又は展着-固着剤(spreader-sticker)、付着された農薬が雨水に洗い落とさないようにする耐雨剤(rainfasting agent)及び農薬の作物への葉面吸収を増進させる浸透剤(penetrant)などがある。
【0006】
Graysonなどはジメトモルフのように葉に容易に浸透しない農薬に適切な界面活性剤を混合して用いる場合、植物病原菌から対象作物をより効果的に保護できると報告している(文献[Grayson, B. Tなど、Pesticide Science, 46, 199-213 & 355-359(1996)]及びヨーロッパ特許公開第520585 A1号参照)。
【0007】
しかし、特定農薬に対して一番適宜な補助剤は農薬ごとに異なるので、補助剤の選択は各農薬の葉面吸収量又は殺虫効果に根拠して慎重に行われなければならない。
【0008】
前記式(I)又は(II)の新規殺菌物質はきゅうりとオオムギのうどんこ病、トマトとトウガラシの疫病、リンゴの白色腐朽菌及び小麦の赤さび病などの植物病に対する予防効果に優れている。しかし、これらの殺菌剤は浸透性が非常に低いため、これらの病に対する治療効果は充分でなかった。
【0009】
そこで、前記式(I)又は(II)の化合物の作物への葉面吸収量及び噴霧蒸着量を増加させることによって殺菌効果を増進させ、剤型化の際に安定した補助剤組成物の開発が切実に要求されてきた。
【0010】
【非特許文献1】Grayson, B. Tなど、Pesticide Science, 46, 199-213 & 355-359(1996)
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第520585 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、前記式(I)及び(II)の殺菌化合物の作物への葉面吸収量及び噴霧蒸着量を増進させ、剤型化の際に安定した殺菌効果をもたらす増進剤組成物及びこれを含む殺菌剤組成物を提供することである。
前記の他の目的を達成するため、本発明では前記殺菌効果増進物質及び前記式(I)又は(II)の殺菌化合物を含む、増進された殺菌活性を有する殺菌剤組成物(以下、「殺菌剤」)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明では(a)炭素数8以上の脂肪族アルコール、脂肪酸又はトリアシルグリセリドを親油基とし、3〜25個のオキシエチレン繰返単位を有するポリオキシエチレンを親水基として含むポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤、2〜40個のオキシエチレン及び25〜45個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる非イオン性界面活性剤;ソジウムジオクチルスルホサクシネート、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート及びこれらの混合物からなる群から選ばれる陰イオン性界面活性剤;及び炭素数14以上の脂肪酸のアルキルエステルからなる群から1種以上選ばれる殺菌効果増進物質の効果量;
(b)エマルション又は分散剤;及び
(c)担体を含む、下記式(I)又は下記式(II)の殺菌化合物の植物病に対する殺菌効果増進剤組成物(以下、「殺菌効果増進剤」)を提供する。
【0013】
【化5】

【0014】
【化6】

【発明の効果】
【0015】
殺菌化合物の作物への葉面吸収量及び噴霧蒸着量を増進させて剤型化の際に安定した殺菌効果を付与する増進剤組成物及びこれを含む殺菌剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明による殺菌効果増進物質は、前記式(I)の物質(以下、「KNF−1001」)又は式(II)(以下、「KNF−1002」)の殺菌化合物の作物に対する葉面吸収量及び噴霧蒸着量を増加させることによってきゅうり及びオオムギのうどんこ病、トマト及びトウガラシの疫病及び小麦の赤さび病のような植物病に対する前記農薬の殺菌活性を増加させる。
【0017】
本発明の殺菌効果増進剤に用いられる殺菌効果増進物質は、炭素数8以上の脂肪族アルコール、脂肪酸又はトリアシルグリセリドを親油基として有するポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤;非イオン性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体界面活性剤;陰イオン性界面活性剤;及び脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン基が3〜25個のオキシエチレン繰返単位を有するポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソドデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエステル、ポリオキシエチレンステアリルエステル、ポリオキシエチレンオレイルエステル、エトキシ化されたキャスタオイル及びポリオキシエチレンココナッツ脂肪酸エステル;2〜40個のオキシエチレン及び25〜45個のオキシプロピレン繰返単位を含むポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体;ソジウムドデシルベンゼンスルホネート又はソジウムジオクチルスルホサクシネート;メチルパルミテート、エチルパルミテート、メチルオレアート、エチルオレアート、メチルリノレアート及びエチルリノレアート又はこれらの混合物がある。
【0018】
本発明に用いられる非イオン性界面活性剤の合成原料としては付加的な脂肪族アルコール又は脂肪酸が含まれ得る。例えば、C1012アルコールはデシルアルコール35%及びラウリルアルコール成分52%を含有し、ラウリルアルコール成分はラウリルアルコール75%にデシルアルコール1%、セチルアルコール成分24〜30%、ステアリルアルコール成分5%以下を加えたものであり、ここでセチルアルコール成分はセチルアルコール80%にC12〜14アルコール10%及びステアリルアルコール10%を加えたものを指し、ステアリルアルコール成分はステアリルアルコール89%、セチルアルコール10%及びC14アルコール1%からなり、オレイルアルコールはオレイルアルコールを98%含有する。
【0019】
KNF−1001又はKNF−1002の植物葉への葉面吸収量及び噴霧蒸着量は界面活性剤内のオキシエチレン又はオキシプロピレンの繰返単位数及び製剤の形態によって変わる。例えば、3〜25個のオキシエチレン繰返単位を有するポリオキシエチレン系界面活性剤、及び2〜40個のオキシエチレン及び25〜45個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体は植物によるKNF−1001又はKNF−1002の葉面吸収量を増加させる。特に、5〜20個のオキシエチレン繰返単位を有するポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤、及び4〜32個のオキシエチレン及び30〜35個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体はKNF−1001又はKNF−1002の植物葉面吸収量を顕著に増加させる。
【0020】
KNF−1001又はKNF−1002の殺菌効果増進物質は、農薬製剤と共に作物に適用するために単独で(即ち、殺菌効果増進剤として) 製剤化されるか、或いは溶液、粉末、ペレット、顆粒などのワンパック(one-pack)製剤の形態に製剤化するために通常の方法によって農薬、乳化剤又は分散剤、及び担体と共に混合され得る。
【0021】
本発明の殺菌効果増進剤において、前記殺菌効果増進物質の含量は希釈倍率と製剤の安定性を考慮する際、殺菌効果増進剤組成物の総重量に対して1〜98重量%、好ましくは10〜80重量%である。
【0022】
また、本発明の殺菌剤において、前記殺菌効果増進物質の含量は希釈倍率と製剤の安定性を考慮する際、殺菌剤組成物の総重量に対して10〜80重量%であることが望ましく、KNF−1001又はKNF−1002の量は前記殺菌剤組成物の総重量に対して2〜40重量%であることが好ましく、KNF−1001又はKNF−1002と殺菌効果増進剤は1:0.5〜1:20の重量比で混合され得る。
【0023】
本発明による殺菌効果増進剤及び殺菌剤組成物は通常の方法によって溶液、懸濁液、エマルション、粉末、顆粒、ペレットなどのような多様な形態に製剤化され得る。
【0024】
液状製剤の製造に用いられ得る適切な溶媒としては水、水溶性有機溶媒、水混和性有機溶媒、水難溶性有機溶媒などが挙げられ、例としては水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドン、置換されたベンゼン系溶媒、混合キシレン及び置換されたナフタレン系溶媒などがある。
【0025】
固状製剤の製造に用いられ得る適切な担体としては天然又は合成鉱物質、水溶性天然又は合成高分子などが挙げられ、例としては合成シリカ、珪藻土、タルク、蝋石、カオリン、炭酸カルシウム、無水硫酸ナトリウム、澱粉、キサンタンガム及びカルボキシメチルセルロースなどがある。
【0026】
製剤の物性を向上させるため、製剤はKNF−1001又はKNF−1002の植物体内の葉面吸収量及び噴霧蒸着量を阻害しない限度内で充填剤、固化防止剤、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、乳化剤、防腐剤などをさらに含み得、本発明に使用可能な乳化剤としてはポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、カルシウムドデシルベンゼンスルホネート及びこれらの混合物を挙げられる。
【0027】
また、製剤はKNF−1001又はKNF−1002及び他の農薬の活性を全部有する複合物を製造するためにKNF−1001又はKNF−1002以外に作物保護用の他の農薬をさらに含むことができ、本発明において使用できる前記追加的な農薬は特に限定されない。
【0028】
殺菌効果増進物質は50mg/l以上の濃度でKNF−1001又はKNF−1002と共に作物に散布され得、前記濃度は植物体に薬害を誘発しない範囲(約500〜2,000mg/l)まで増加させ得る。
【0029】
本発明による殺菌効果増進剤は、KNF−1001又はKNF−1002の葉面吸収量及び噴霧蒸着量を増加させるので、KNF−1001又はKNF−1002の使用量を大きく低減できるので非常に経済的である。
【0030】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の内容は下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
下記実施例で、OCEはポリオキシエチレンオクチルエーテル、C1012はポリオキシエチレンデシルエーテル及びポリオキシエチレンラウリルエーテルの混合物、DEはポリオキシエチレンデシルエーテル、LEはポリオキシエチレンラウリルエーテル、IDEはポリオキシエチレンイソドデシルエーテル、TDEはポリオキシエチレントリデシルエーテル、CEはポリオキシエチレンセチルエーテル、SEはポリオキシエチレンステアリルエーテル、OEはポリオキシエチレンオレイルエーテル、LAはポリオキシエチレンモノラウレート、SAはポリオキシエチレンモノステアレート、OAはポリオキシエチレンモノオレアート、COはエトキシ化されたキャスタオイル、CFAはポリオキシエチレンココナッツ脂肪酸エステルであり、前記略字に付随する数字はオキシエチレン繰返単位数を意味する。
【0032】
また、実施例に用いられたKoremul PE−61、Koremul RPE−8020及びKoremul PE−74は、2〜35個のオキシエチレン及び25〜40個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体であり、具体的にKoremul PE−61は4.4個のオキシエチレン及び30個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体;Koremul RPE−8020は13個のオキシエチレン及び30個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体;及びKoremul PE−74は31個のオキシエチレン及び35個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体であり、いずれも(株)韓農化学(韓国)から購買できる。さらに、NaDBS、SDSS、PAM、PAE、STE、OLM、OLE、LIM及びLIEはそれぞれソジウムドデシルベンゼンスルホネート、ソジウムジオクチルスルホサクシネート、メチルパルミテート、エチルパルミテート、エチルステアレート、メチルオレアート、エチルオレアート、メチルリノレアート及びエチルリノレアートを意味する。
【0033】
実施例1:化合物(I)(KNF−1001)又は化合物(II)(KNF−1002)の殺菌効果増進剤の製造
下記表1〜5に記載された各々の殺菌効果増進物質をイソプロピルアルコール(以下、「IPA」)又はココソル100((株)SK、韓国)などのような置換されたベンゼン系溶媒に溶かして殺菌効果増進剤を製造した。必要によって前記増進剤に乳化剤としてポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(以下、「TSP」)及びカルシウムドデシルベンゼンスルホネートの混合物をさらに添加した。
【0034】
得られた殺菌効果増進剤を200mlの硬水(3度)に滴加した後、得られた溶液をガラス棒で掻き混ぜて、その希釈液の状態を観察した。このように製造した殺菌効果増進剤は室温で1年間保管した後、安定性を観察した。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
実施例2:KNF−1002を含有する殺菌剤及び殺菌効果増進剤の製造
KNF−1002(純度94%)及び下記表6〜11に記載された殺菌効果増進物質をプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」)又はココソル100に溶かしてKNF−1002及び殺菌効果増進物質を含む殺菌剤を製造した。
【0041】
得られた製剤0.2gを200mlの硬水(3度)に滴加した後、得られた溶液をガラス棒で掻き混ぜた後、その希釈液の状態を観察した。このように製造された組成物は室温で1年間保管した後、安定性を観察した。
【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
【表10】

【0047】
【表11】

【0048】
実施例3:対照製剤として殺菌効果増進物質を含まないKNF−1001及びKNF−1002製剤の製造
KNF−1001(純度94%)又はKNF−1002(純度94%)を溶融させた後、それに粉状合成シリカ(ゼオシル39)を加えた混合物を粉砕した。
ポリオキシエチレンノニルフェニルスルホネート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル及び粉状合成シリカを3:2:5の割合で混合して得られた混合物を粉砕して分散剤を製造した。
【0049】
下記表12に記載された通りに粉末農薬、分散剤及びカオリンを混合し、粉砕して水和剤(WP)を製造した。
また、乳剤(EC)は下記表12に記載された通りにKNF−1001(純度94%)又はKNF−1002(純度94%)及びTSPをPGMEに溶かして製造した。
【0050】
【表12】

【0051】
試験例1:きゅうりに対する殺菌活性増進物質の薬害測定
きゅうり(cucumis sativus L. cv 白胡瓜、東部韓農種苗(株)、韓国)は4〜5葉期まで温室で栽培した。
前記実施例1で製造された殺菌効果増進剤を蒸留水にそれぞれ1,000mg/l及び500mg/lの濃度で溶解させた。前記殺菌効果増進剤水溶液を前記の栽培したきゅうり5株に手押噴霧器で流滴が滴るまで散布した。噴霧1週間後に薬害を肉眼で観察し、その結果を表13に示す。
【0052】
【表13】

【0053】
前記表13に示したように、本発明の殺菌効果増進剤は500mg/l及び1,000mg/lの濃度でほとんど薬害を示さなかった。
【0054】
試験例2:殺菌効果増進物質を含む水性懸濁液24時間噴霧した後のKNF−1001のきゅうり葉面の吸収量測定
前記実施例3で製造されたKNF−1001水和剤を水で希釈した。これに前記実施例1で製造された殺菌効果増進剤及び追跡物質としてコンゴレッド水溶液を添加して殺菌効果増進物質、KNF−1001及びコンゴレッドの最終濃度がそれぞれ500mg/l、50mg/l及び50mg/lになるようにした。対照群としてKNF−1001水和剤のみを含有する噴霧懸濁液も製造した。
【0055】
きゅうりは4〜5葉期まで温室で栽培して二番目葉のきゅうりを実験に用いた。10株のきゅうり及び10枚のガラス板(10cm×10cm)を噴霧箱(Model SP−6、8001 EVBノズル、R&D Sprayers Inc.、米国)に入れてKNF−1001水和剤の水性懸濁液を100L/haの水準で噴霧した。
【0056】
噴霧後、直ちにきゅうり葉5枚とガラス板5枚を採取してアセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=7/3、v/v、15ml)で2分間洗浄した。残りのきゅうり及びガラス板は暗所(温度:23〜26℃、相対湿度:81〜94%)に24時間放置した後で洗浄した。
【0057】
洗浄して得た溶液中のコンゴレッド及びKNF−1001の含量をHPLC(high performance liquid chromatography)で分析し、殺菌剤の葉面吸収量は韓国特許登録第0314600号に記載された方法によって計算し、その結果を下記表14に示す。
【0058】
【表14】

【0059】
前記表14に示したように、噴霧24時間後回収したガラス板でのKNF−1001の消失は全く認知できなかった。殺菌効果増進物質を添加しない場合、水性水和剤懸濁液を24時間噴霧した後のKNF−1001のきゅうり葉面吸収量は6.9%に過ぎなかったが、殺菌効果増進物質を添加すれば、該吸収量は68.9%まで増加し、該吸収量はOE−7、CE−7、OE−10の順で増加した。
【0060】
試験例3:殺菌効果増進物質を含む水性エマルション噴霧48時間後のKNF−1001のきゅうり葉面の吸収量測定
前記実施例3で製造されたKNF−1001乳剤を水で希釈した。これに前記実施例1で製造された殺菌効果増進剤及び追跡物質としてコンゴレッド水溶液を添加して殺菌効果増進物質、KNF−1001及びコンゴレッドの最終濃度がそれぞれ500mg/l、100mg/l及び25mg/lになるようにした。対照群としてKNF−1001乳剤のみを含有する噴霧溶液も製造した。
【0061】
きゅうりは4〜5葉期まで温室で栽培して二番目葉のきゅうりを実験に用いた。KNF−1001乳剤の水性エマルションを100L/haの水準で10株のきゅうりに噴霧した。
【0062】
噴霧後、直ちにきゅうり葉5枚を採取してアセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=7/3、v/v、15ml)で2分間洗浄した。残りのきゅうりとガラス板は暗所(温度:23〜26℃、相対湿度:75−81%)に48時間放置した後で洗浄した。
【0063】
洗浄して得た溶液中のコンゴレッド及びKNF−1001の含量をHPLC(high performance liquid chromatography)で分析し、殺菌剤の葉面吸収量は韓国特許登録第0314600号に記載された方法によって計算し、その結果を下記表15に示す。
【0064】
【表15】

【0065】
殺菌効果増進物質を添加しない場合、水性エマルションを噴霧48時間後のKNF−1001のきゅうり葉面吸収量は3.5%に過ぎなかったが、殺菌効果増進物質を添加すれば、該吸収量は35.4%まで増加し、該吸収量はCE−7、CE−12、OE−10の順で増加した。
【0066】
試験例4:殺菌効果増進剤によるKNF−1001水和剤のきゅうりうどんこ病に対する殺菌活性測定
きゅうりを播種きして1葉期まで栽培した後、培養土を満たしたワグネルポット(1/5,000 are)に植え替えた後、5〜6葉期まで温室で栽培しながらうどんこ病病原菌(Sphaerotheca fuliginea)に感染させた。
【0067】
前記実施例3で製造されたKNF−1001水和剤100mg/l、前記実施例1で製造されたCE−7殺菌効果増進剤200mg/l、400mg/l及び800mg/l又はCE−12殺菌効果増進剤400mg/lのそれぞれを含む噴霧懸濁液を製造した。前記懸濁液を水で希釈してKNF−1001を20mg/l、4mg/l及び0.8mg/lの濃度で含有する殺菌剤を製造した。対照群としてKNF−1001水和剤のみを含有する噴霧溶液も製造した。
【0068】
各噴霧懸濁液をきゅうり5株に懸濁液が流れ落ちるまでに噴霧し、7日後、同じ噴霧を繰り返した。二番目の噴霧7日後、きゅうり1株当り10個の葉に発生したうどんこ病の発生程度を肉眼で観察し、各葉の病斑面積率を0〜4の指数で評価した。
【0069】
発病指数は次のように測定された:
0:病斑面積率0%;
1:病斑面積率1〜5%;
2:病斑面積率5.1〜20%;
3:病斑面積率20.1%〜40%;及び
4:病斑面積率40.1%以上。
【0070】
発病度(%)及び殺菌活性(%)はそれぞれ下記数(I)及び(II)によって計算した。
[数I]
発病度(%)=(発病指数の和/4×調査葉数)×100
[数II]
処理群における発病度
殺菌活性(%)=[1― −−−−−−−−−−−−−]×100
非処理群における発病度
【0071】
結果を下記表16に示す。
【0072】
【表16】

【0073】
前記表16に示したように、KNF−1001水和剤と共に殺菌活性増進剤を含む殺菌剤はKNF−1001水和剤のみを用いたものに比べてきゅうりうどんこ病に対する殺菌活性が顕著に優れている。KNF−1001水和剤単独でよるEC50の値は13.71mg/lである反面、CE−7(実施例1で製造された増進剤14)を用いた実験群のEC50の値は3.74mg/lと低いので、殺菌効果増進物質によるKNF−1001の殺菌活性はKNF−1001水和剤単独でよる殺菌活性より3.7倍高かった。また、噴霧懸濁液の殺菌効果増進剤含量に比例してきゅうりうどんこ病に対する殺菌活性が増加した。CE−12と共に用いられたKNF−1001の殺菌活性がCE−7を用いたものより高かった。このようにKNF−1001噴霧懸濁液に殺菌効果増進剤を添加することによってきゅうりへの殺菌剤葉面吸収度が増加し、きゅうりうどんこ病に対する殺菌活性が増加したことが分かる。従って、KNF−1001の作物への葉面吸収量を増加させるために殺菌効果増進物質を用いればKNF−1001の殺菌活性を増進させ得る。
【0074】
試験例5:殺菌効果増進剤によるKNF−1001乳剤のきゅうりうどんこ病に対する殺菌活性測定
5〜6葉期まで温室で栽培したきゅうりをうどんこ病病原菌(Sphaerotheca fuliginea)に感染させた。
【0075】
前記実施例3で製造されたKNF−1001乳剤100mg/l、殺菌効果増進剤400mg/l、1,000mg/lのそれぞれを含む噴霧エマルションを製造した。前記エマルションを水で希釈してKNF−1001を20mg/l、4mg/l及び0.8mg/lの濃度で含有する殺菌剤を製造した。KNF−1001乳剤のみを含有する噴霧エマルションも製造した。
【0076】
その後、前記試験例4と同様な方法で殺菌活性を測定し、その結果を下記表17に示す。
【0077】
【表17】

【0078】
前記表17に示したように、KNF−1001乳剤と共に殺菌活性増進剤を含む殺菌剤はKNF−1001乳剤のみを用いたものに比べてきゅうりうどんこ病に対する殺菌活性が顕著に優れていた。KNF−1001乳剤単独でよるEC50の値は30.05mg/lである反面、LE−5(実施例1で製造された増進剤3)を用いた実験群のEC50の値は2.92mg/lと低いので、殺菌効果増進物質によるKNF−1001の殺菌活性は対照群のそれより10.3倍高かった。きゅうりうどんこ病に対する殺菌活性は、殺菌活性増進物質の含量に比例して増加した。
【0079】
試験例6:殺菌効果増進物質を含む水性エマルション噴霧48時間後のKNF−1002のきゅうり葉面の吸収量測定
温室で4〜5葉期まで栽培した二番目葉のきゅうりのみを実験に用いた。
【0080】
前記実施例3で製造されたKNF−1002乳剤を水で希釈した。これに前記実施例1で製造された殺菌効果増進剤及び追跡物質としてコンゴレッド水溶液を添加して殺菌効果増進物質、KNF−1002及びコンゴレッドの最終濃度がそれぞれ500mg/l、100mg/l及び25mg/lになるようにした。対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションも製造した。
【0081】
前記きゅうり10株及び10枚のガラス板(10cm×10cm)を噴霧箱(Model SP-6、 8001 EVB ノルズ、 R&D Sprayers Inc.、米国)に入れてKNF−1002乳剤の水性エマルションを100L/haの水準で噴霧した。
【0082】
噴霧後、直ちにきゅうり葉5枚とガラス板5枚を採取してアセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=7/3、v/v、15ml)で2分間洗浄した。残りのきゅうりとガラス板は暗所(温度:24〜26℃、相対湿度:71〜83%)に48時間放置した後で洗浄した。
【0083】
洗浄して得た溶液中のコンゴレッド及びKNF−1002の含量をHPLC(high performance liquid chromatography)で分析し、殺菌剤の葉面吸収量は試験例2と同様な方法で計算した。
【0084】
その結果を下記表18に示す。
【0085】
【表18】

【0086】
前記表18に示されたように、噴霧24時間後回収したガラス板でのKNF−1002の消失は全く認知できなかった。殺菌効果増進物質を添加しない場合、水性エマルション噴霧48時間後のKNF−1002のきゅうり葉面吸収量は0.5%に過ぎなかったが、殺菌効果増進物質を添加すれば、該吸収量は73.9%にまで増加し、該吸収量はCE−7、SE−14、CE−12、OE−10の順で増加した。
【0087】
試験例7:殺菌効果増進物質として脂肪酸エステルを含む水性エマルション噴霧48時間後のKNF−1002のきゅうり葉面の吸収量測定
下記表19に記載された殺菌効果増進物質によるKNF−1002乳剤のきゅうり葉面吸収量を前記試験例6と同様な方法で測定し、その結果を下記表19に示す。
【0088】
【表19】

【0089】
前記表19に示めされたように、殺菌効果増進物質を添加しないKNF−1002のきゅうり葉面吸収量は0.2%に過ぎなかったが、殺菌効果増進物質を添加すればきゅうり葉面吸収量が顕著に増加した。
【0090】
試験例8:殺菌効果増進剤によるKNF−1002乳剤のきゅうりうどんこ病に対する殺菌活性測定
5〜6葉期まで温室で栽培したきゅうりをうどんこ病病原菌(Sphaerotheca fuliginea)に感染させた。
【0091】
前記実施例3で製造されたKNF−1002乳剤100mg/l、及び実施例1で製造されたCE−12殺菌効果増進剤200mg/l及び500mg/l又はLE−5殺菌活性増進剤200mg/l及び500mg/lをそれぞれ含有する噴霧エマルションを製造した。前記エマルションを水で希釈してKNF−1001を20mg/l、4mg/l及び0.8mg/lの濃度で含有する殺菌剤を製造した。対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションを製造した。
【0092】
その後、前記試験例4と同様な方法で殺菌活性を測定し、その結果を下記表20に示す。
【0093】
【表20】

【0094】
表20に示されたように、KNF−1002乳剤と共に殺菌活性増進剤を含む殺菌剤はKNF−1002乳剤のみを用いたものに比べてきゅうりうどんこ病に対する殺菌活性が顕著に優れていた。KNF−1002乳剤単独でよるEC50の値は14.38mg/lである反面、LE−5(実施例1で製造された増進剤3)を用いた実験群のEC50の値は4.44mg/lと低いので、殺菌効果増進物質によるKNF−1002の殺菌活性は対照群のそれより3.2倍高かった。きゅうりうどんこ病に対する殺菌活性は殺菌活性増進物質の含量に比例して増加した。
【0095】
試験例9:殺菌効果増進剤によるKNF−1002乳剤のストロビルリン(strobilurin)抵抗性きゅうりうどんこ病に対する殺菌活性測定
5〜6葉期まで温室で栽培したきゅうりをうどんこ病病原菌(Sphaerotheca fuliginea)に感染させた。
【0096】
前記実施例3で製造されたKNF−1002乳剤200mg/l、及び実施例1で製造されたOE−10殺菌効果増進剤200mg/l、400mg/l、800mg/l及び500mg/lをそれぞれ含有する噴霧エマルションを製造した。前記エマルションを水で希釈してKNF−1001を67mg/l、22mg/l、7.4mg/l及び2.5mg/lの濃度で含有する殺菌剤を製造した。対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションを製造した。
【0097】
その後、前記試験例4と同様な方法で殺菌活性を測定し、その結果を下記表21に示す。
【0098】
【表21】

【0099】
表21に示されたように、KNF−1002自体のストロビルリン抵抗性きゅうりうどんこ病に対する殺菌活性は非常に低かった。しかし、KNF−1002及びOE−10殺菌活性増進物質を含む殺菌剤はKNF−1002乳剤のみを用いたものに比べてストロビルリン抵抗性きゅうりうどんこ病病原菌に対する殺菌活性が顕著に優れていた。殺菌活性は、噴霧溶液内の殺菌活性増進物質の含量に比例して増加した。このように殺菌活性増進物質によるKNF−1002の増加された葉面吸収量はストロビルリン抵抗性きゅうりうどんこ病病原菌に対しても効果的であることが分かる。
【0100】
試験例10:殺菌効果増進物質を含む水性エマルション24時間噴霧した後のKNF−1002のぶどう葉面の吸収量測定
ぶどう(Vitis vinifera, cv. Cambell early)の枝を用いて温室で9〜10葉期まで栽培された。殺菌剤処理前に各株の端部及び上部から4枚の未成熟な葉を除去した。上から一番目及び二番目葉のみを実験に用いた。
【0101】
前記実施例3で製造されたKNF−1002乳剤を水で希釈した。これに前記実施例1で製造された殺菌効果増進剤及び追跡物質としてコンゴレッド水溶液を添加して殺菌効果増進物質、KNF−1002及びコンゴレッドの最終濃度がそれぞれ500mg/l、100mg/l及び25mg/lになるようにした。対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションも製造した。
【0102】
ぶどう5株を噴霧箱(Model SP-6、 8001 EVBノズル、R&D Sprayers Inc.、米国)に入れてKNF−1002乳剤の水性エマルションを100L/haの水準で噴霧した。
【0103】
噴霧後、直ちに一部のぶどう株の一番上の葉を切ってアセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=7/3、v/v、15ml)で2分間洗浄した。残りのぶどう株は暗所(温度:24〜25℃、相対湿度:51〜61%及び74〜80%)に24時間放置した後で二番目葉を洗浄した。
【0104】
洗浄して得た溶液中のコンゴレッド及びKNF−1002の含量をHPLC(high performance liquid chromatography)で分析し、殺菌剤の葉面吸収量は試験例2と同様な方法で計算した。
【0105】
その結果を下記表22に示す。
【0106】
【表22】

【0107】
表22に示されたように、殺菌効果増進物質を添加しない場合、水性エマルション24時間噴霧した後のKNF−1002のぶどう葉面吸収量は1.9−2.1%に過ぎなかったが、殺菌効果増進物質としてCE−7を添加すれば、該吸収量は40.8%まで増加し、湿潤な条件での吸収量はCE−7、OE−10、CE−12の順で増加した。
【0108】
試験例11:殺菌効果増進物質を含むKNF−1002乳剤のトマト疫病(Phytophthora infestans)に対する治療活性測定
トマト(Lycopersicon esculentum L、cv ソグァン、興農種苗(株)、韓国)を樹脂ポット(内径66mm×高さ66mm)に植え、温室で6〜7葉期まで栽培した。トマト疫病病原菌(Phytophthora infestans)の胞子懸濁液(5×10胞子/ml)をトマト葉が充分に濡れるまで噴霧した。トマトは20℃の湿室で20時間培養された後、温室で微風乾燥した後、トマト疫病に対する治療活性実験に用いられた。
【0109】
前記実施例2で製造されたKNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤を水で希釈して噴霧エマルションに製造し、KNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションも製造した。
【0110】
製造された噴霧エマルションをトマトに溶液が流れ落ちるまでに噴霧し、処理されたトマトを温室で栽培しながら発病を誘導した。接種日から5日後に感染程度を肉眼で調査した。治療活性(%)は試験例4と同様な方法で計算され、その結果を下記表23に示す。
【0111】
【表23】

【0112】
表23に示されたように、KNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤はKNF−1002エマルション自体よりトマト疫病菌に対する治療活性が顕著に優れていた。
【0113】
試験例12:殺菌効果増進物質を含むKNF−1002乳剤のトウガラシの疫病(Phytophthora capsici)に対する治療活性測定
トウガラシ(Capsicum annunm、cv 郷村、東部韓農種苗(株)、韓国)を樹脂ポット(内径66mm×高さ66mm)に植え、温室で枝分かれ直前まで栽培した。トウガラシの疫病病原菌(Phytophthora capsici)の胞子懸濁液(5×10胞子/ml)をトウガラシ葉が充分に濡れるまで噴霧した。トウガラシは20℃の湿室で20時間培養された後、温室で微風乾燥した後、トウガラシの疫病に対する治療活性実験に用いられた。
【0114】
前記実施例2で製造されたKNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤を水で希釈して噴霧エマルションに製造し、KNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションも製造した。
【0115】
製造された噴霧エマルションをトウガラシに溶液が流れ落ちるまでに噴霧し、処理されたトウガラシを温室で栽培しながら発病を誘導した。接種日から5日後に感染程度を肉眼で調査した。治療活性(%)は試験例4と同様な方法で計算され、その結果を下記表24に示す。
【0116】
【表24】

【0117】
表24に示されたように、KNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤はKNF−1002エマルション自体よりトウガラシ疫病菌に対する治療活性が顕著に優れていた。
【0118】
試験例13:殺菌効果増進物質を含む水性エマルション24時間噴霧した後のKNF−1002のオオムギ葉面の吸収量測定
オオムギ(ドンボリ)を樹脂ポット(内径80mm×高さ80mm)に植え、温室で45日間栽培した。
【0119】
前記実施例3で製造されたKNF−1002乳剤を水で希釈した。これに前記実施例1で製造された殺菌効果増進剤及び追跡物質としてコンゴレッド水溶液を添加して殺菌効果増進物質、KNF−1002及びコンゴレッドの最終濃度がそれぞれ500mg/l、100mg/l及び25mg/lになるようにした。対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションを製造した。
【0120】
10ポットのオオムギを噴霧箱(Model SP-6、8001 EVBノズル、R&D Sprayers Inc.、米国)に入れてKNF−1002乳剤の水性エマルションを350L/haの水準で噴霧した。
【0121】
噴霧10分後5ポットのオオムギを切ってアセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=7/3、15ml)で2分間洗浄した。残りのオオムギは暗所(温度:24〜25℃、相対湿度:80〜85%)に24時間放置した後で洗浄した。
【0122】
洗浄して得た溶液中のコンゴレッド及びKNF−1002の含量をHPLC(high performance liquid chromatography)で分析し、殺菌剤の葉面吸収量は試験例2と同様な方法で計算した。
【0123】
その結果を下記表25に示す。
【0124】
【表25】

【0125】
表25に示されたように、殺菌効果増進物質を添加しない場合、水性エマルション24時間噴霧した後のKNF−1002のオオムギ葉面吸収量は0.1%に過ぎなかったが、殺菌効果増進物質の添加によって吸収量は48.5%まで増加し、該吸収量はCE−7、CE−12、CE−7及びOE−10の順で増加した。
【0126】
試験例14:殺菌効果増進物質を含む水性エマルション24時間噴霧した後のKNF−1002の小麦葉面の吸収量測定
小麦(ダホンミル)を樹脂ポット(内径105mm×高さ100mm)に植えて温室で45日間栽培した。
【0127】
前記実施例3で製造されたKNF−1002乳剤を水で希釈した。これに前記実施例1で製造された殺菌効果増進剤及び追跡物質としてコンゴレッド水溶液を添加して殺菌効果増進物質、KNF−1002及びコンゴレッドの最終濃度がそれぞれ500mg/l、100mg/l及び25mg/lになるようにした。対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションを製造した。
【0128】
15ポットの小麦を噴霧箱(Model SP-6、8001 EVBノズル、R&D Sprayers Inc.、米国)に入れてKNF−1002乳剤の水性エマルションを350L/haの水準で噴霧した。
【0129】
噴霧10分後、5ポットの小麦を切ってアセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=7/3、v/v、15ml)で2分間洗浄した。残りの小麦は暗所(温度:24〜25℃、相対湿度:51〜60%及び75〜80%)に24時間放置した後で、洗浄した。
【0130】
洗浄して得た溶液中のコンゴレッド及びKNF−1002の含量をHPLC(high performance liquid chromatography)で分析し、殺菌剤の葉面吸収量は試験例2と同様な方法で計算した。
【0131】
その結果を下記表26に示す。
【0132】
【表26】

【0133】
表26に示されたように、殺菌効果増進物質を添加しない場合、水性エマルション24時間噴霧した後のKNF−1002のオオムギは全く吸収していなかったが、殺菌効果増進物質の添加によって吸収量は46.1%まで増加し、小麦の葉面吸収量を増加させ得るより効果的な殺菌効果増進物質としてはCE、SE、OE及びLEなどがある。
【0134】
試験例15:殺菌効果増進物質によるKNF−1002の葉面吸収量及び噴霧蒸着量測定
小麦の準備、噴霧エマルション及び噴霧方法は前記試験例14と同様な方法で行った。
【0135】
噴霧10分後、5ポットの小麦を切ってアセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=7/3、v/v、15ml)で2分間洗浄した。残りの小麦は暗所(温度:24〜25℃、相対湿度:78〜80%)に24時間放置した後で洗浄した。
【0136】
洗浄して得た溶液中のコンゴレッド及びKNF−1002の含量をHPLC(high performance liquid chromatography)で分析し、殺菌剤の葉面吸収量は試験例2と同様な方法で計算した。
【0137】
小麦に対するKNF−1002の噴霧蒸着量は対照群葉洗浄液内のコンゴレッド濃度に対するエマルション処理された葉洗浄液内のコンゴレッド濃度の比で計算され、その結果を下記表27に示す。
【0138】
【表27】

【0139】
表27に示されたように、殺菌効果増進物質を含むKNF−1002の殺菌剤はKNF−1002のみを含む殺菌剤より顕著に優れている葉面吸収量及び蒸着量を示した。
【0140】
試験例16:殺菌効果増進物質を含有するKNF−1002乳剤のオオムギうどんこ病に対する殺菌活性測定
オオムギ(ドンボリ)を樹脂ポット(内径105mm×高さ100mm)に植え、温室で45日間栽培しながら、うどんこ病病原菌(Erysiphe graminisf. sp. Hordei)に感染させた。
【0141】
前記実施例2で製造されたKNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤を水で希釈して噴霧エマルションに製造し、対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションも製造した。
【0142】
5ポットのオオムギを噴霧箱(Model SP-6、8001 EVBノズル、R&D Sprayers Inc.、米国)に入れてKNF−1002乳剤の水性エマルションを333L/ha、111L/ha及び37L/haの水準で噴霧した。
【0143】
12日噴霧後に発病を肉眼で調査した。殺菌活性(%)は試験例4と同様な方法に計算し、その結果を下記表28に示す。
【0144】
【表28】

【0145】
表28に示されたように、KNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤、特に前記物質が1:4の重量比で添加された殺菌剤はKNF−1002のみを含有する殺菌剤より顕著に優れている殺菌活性を示した。
【0146】
試験例17:殺菌効果増進物質を含有するKNF−1002乳剤のオオムギうどんこ病に対する殺菌活性測定
オオムギ(ドンボリ)を樹脂ポット(内径105mm×高さ100mm)に植え、温室で45日間栽培しながら、うどんこ病病原菌(Erysiphe graminisf.sp.Hordei)に感染させた。
【0147】
前記実施例2で製造されたKNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤を水で希釈してKNF−1002 50mg/l及び殺菌活性増進物質200mg/lを含む殺菌溶液を製造し、対照群としてKNF−1002乳剤のみを含有する噴霧エマルションも製造した。
【0148】
5ポットのオオムギを噴霧箱(Model SP-6、8001 EVBノズル、R&D Sprayers Inc.、米国)に入れてKNF−1002乳剤の水性エマルションを111L/haの水準で噴霧した。
【0149】
12日噴霧後に発病を肉眼で調査した。殺菌活性(%)は試験例4と同様な方法で計算され、その結果を下記表29に示す。
【0150】
【表29】

【0151】
表29に示されたように、KNF−1002及び殺菌活性増進物質を含む殺菌剤はKNF−1002のみを含有する殺菌剤より顕著に優れている殺菌活性を示した。
【0152】
本発明を前記具体的な実施例と関連して記述しましたが、添付された特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内で当分野の熟練者が本発明を多様に変形及び変化させ得ることを理解しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)下記式(I)のメチル((2E)-3-メトキシ-2-[2'-[[[3''-(1'''-フルオロ-2'''-フェニル-1'''-エテニルオキシ)フェニル]メチルイミノ]オキシ]メチルフェニル]プロペノエート、下記式(II)のN-メチル(2E)-2-メトキシイミノ-2-[2'-[[[3''-(1'''-フルオロ-2'''-フェニル-1'''-エテニルオキシ)フェニル]メチルイミノ]オキシ]メチルフェニルアセトアミド及びこれらの混合物からなる群から選ばれる農薬;及び
(2)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、エトキシ化されたキャスタオイル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体及びこれらの混合物からなる群から選ばれる非イオン性界面活性剤;ソジウムジオクチルスルホサクシネート、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート及びこれらの混合物からなる群から選ばれる陰イオン性界面活性剤;及び脂肪酸アルキルエステルからなる群から選ばれる殺菌効果増進物質
を1:0.5〜1:20の重量比で含む殺菌剤組成物。
【化1】

【化2】

【請求項2】
第1項において、
前記殺菌効果増進物質が、炭素数8以上の脂肪族アルコール、脂肪酸又はトリアシルグリセリドを親油基とし、3〜25個のオキシエチレン繰返単位を有するポリオキシエチレンを親水基として含むポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤、2〜40個のオキシエチレン及び25〜45個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる非イオン性界面活性剤;ソジウムジオクチルスルホサクシネート、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート及びこれらの混合物からなる群から選ばれる陰イオン性界面活性剤;及び炭素数14以上の脂肪酸のアルキルエステルからなる群から選ばれることを特徴とする組成物。
【請求項3】
第1項において、
植物病を予防又は治療するための他の農薬をさらに含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】
(a)炭素数8以上の脂肪族アルコール、脂肪酸又はトリアシルグリセリドを親油基とし、3〜25個のオキシエチレン繰返単位を有するポリオキシエチレンを親水基として含むポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤、2〜40個のオキシエチレン及び25〜45個のオキシプロピレン繰返単位を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる非イオン性界面活性剤;ソジウムジオクチルスルホサクシネート、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート及びこれらの混合物からなる群から選ばれる陰イオン性界面活性剤;及び炭素数14以上の脂肪酸のアルキルエステルからなる群から1種以上選ばれる殺菌効果増進物質の効果量;
(b)乳化剤又は分散剤;及び
(c)担体を含む、植物病に対する前記式(I)又は(II)で表される化合物の農薬の殺菌効果増進剤組成物。
【請求項5】
4mg/l〜400mg/lの前記農薬又は50mg/l〜2、000mg/lの殺菌効果増進物質を含む請求項1〜5の何れか一項に記載の組成物を対象植物に噴霧することを含む、植物病を予防又は治療する方法。

【公表番号】特表2007−520432(P2007−520432A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516961(P2006−516961)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001635
【国際公開番号】WO2005/002336
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(591199338)コリア リサーチ インスティチュート オブ ケミカル テクノロジー (16)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】