説明

殺菌性トリアゾールおよびアルコキシル化アルコールを含む組成物およびキットならびにそれらの使用

本発明は、
(a1) 殺菌性トリアゾール;および
(b1) 1モル平均7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを含有する組成物、トリアゾールおよびアルコールアルコキシレートを別々の容器に含むキット、ならびに農業分野におけるそれらの使用に関する。本発明はまた、アジュバントおよび界面活性剤安全化剤としての、7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌性トリアゾールおよびアルコールアルコキシレートを含有する組成物、トリアゾールおよびアルコールアルコキシレートを別々の容器に収容するキット、ならびに農業分野におけるそれらの使用に関する。本発明はまた、7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化2-プロピルヘプタノールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有効な組成物の開発は、活性化合物の特性の最適化に加えて、これらの活性化合物の工業生産および応用の観点からとりわけ重要である。生物学的活性、毒物学、環境に対する潜在的影響などの特性とこれにある程度相反する活性化合物を製剤するためのコストとの間の最適なバランスを、活性化合物の好適な製剤を通して見出さなければならない。さらに、製剤は組成物の安定性および施用の容易さに大きく関わる。
【0003】
活性を改善するためにある特定の助剤を製剤に加えることは、一般的に公知でありかつ農学的に実施されている。それにより、有利なことに、製剤中の活性化合物量を削減しても活性を維持し、生産費を低減し、そして、もし適当であれば、現行の法規制を遵守することができる。個々の事例においてはまた、ある特定の活性化合物を用いて、添加剤がないと不十分にしか処理できない植物を、ある特定の助剤の添加により適切に処理することができるので、殺真菌作用スペクトルの拡大を達成することに成功する。さらに、個々の事例において、不適な環境条件下での成績を好適な製剤により向上させることができる。従って、製剤中の様々な化合物間の不適合も回避することができる。
【0004】
かかる助剤はまた、場合によって、アジュバントと記載される。アジュバントは界面活性剤または塩類化合物である。その作用機序に応じて、改質剤(modifier)、作動剤(actuator)、肥料およびpH緩衝化剤を区別することがある。改質剤は製剤の湿潤、接着および散布に影響を与える。作動剤は、植物のワックス状角皮を破壊して開放し、そして短時間(数分間内に)および長時間(数時間内)の両方で活性化合物の角皮中への浸透を改善する。硫安、硝安または尿素などの肥料は、活性化合物の吸収および溶解度を改善しかつ活性化合物の拮抗的挙動を低下させることができる。pH緩衝化剤は通常、製剤のpHを最適に調節するために用いられる。
【0005】
葉における活性化合物の取り込みについて、界面活性物質は改質剤および作動剤(actuator)として作用し得る。一般的に、好適な界面活性物質は、表面張力を低下させることにより、葉上の液の有効接触面積を増加することができると考えられる。さらに、ある特定の表面活性物質は上角皮ワックスを溶解または破壊開放して活性化合物の吸収を容易にすることができる。さらに、ある表面活性物質はまた、活性化合物の製剤中の溶解度を改善し、その結果、結晶化を防止、または少なくとも遅延させることができる。最後に、これらはある特定の事例において、湿度を保持することにより活性化合物の吸収に影響を与えることもできる。
【0006】
表面活性剤型のアジュバントは、様々な方法で農業技術的応用に使用される。これらをアニオン性、カチオン性、非イオン性または両性グループの物質に分類することができる。
【0007】
石油系の油が活性化アジュバントとして通常用いられる。さらに最近、例えば大豆、ヒマワリおよびココナツから得られる種子抽出物、天然油およびその誘導体も用いられている。
【0008】
一般的に作動剤として使用される合成表面活性化物質は、なかでも、アルコール、アルキルフェノールまたはアルキルアミンを有するポリオキシエチレン製剤であって8〜13の範囲のHLB値を示すものである。この意味で、特許文献1は、例えば、ある特定の直鎖アルコールアルコキシレートの、農業技術的殺生物製剤の活性を増加する目的での使用を記載している。特許文献2は同様に、トリアゾロピリミジン類の製剤においてアルコールアルコキシレートのアジュバントとしての使用を開示している。
【0009】
特許文献3には、植物の処理においてアジュバントとしてアルコキシル化2-プロピルヘプタノールを使用することについて記載されている。特に、2-プロピルヘプタノール x 7 EOが、ベンタゾンおよびトリトスルフロン製剤のヘルビジダル(herbizidal)効果を改善することが示されている。
【0010】
特許文献4には、ベンズアミドキシム誘導体に施用中(funcizidal)にアジュバントとしてアルコキシル化2-プロピルヘプタノールを使用することが記載されている。
【0011】
トリアゾールは、農薬分野において重要な活性成分である。エルゴステロールの生合成インヒビターとして、トリアゾールは殺菌剤として主に用いられる (例えば、特許文献5参照)。さらに、殺菌活性を有する様々なトリアゾールが、植物の成長を制御する特性を有するものとして、しばしば記載されている (例えば、特許文献6、特許文献7参照)。
【0012】
植物へのトリアゾールの使用により、葉の損傷を引き起こし得る。例えばダイズにおいては、トリアゾール適用後48時間以内に褐斑が現れ、これは葉の壊死性損傷を示す。さらに、感受性の高い品種においては、適用後ほぼ一ヶ月でクロロシス (葉の漂白効果の一種)が発生し得る。例えばダイズにおいては、クロロシスはトリアゾールの適用後21〜28日で現れる漂白効果を伴う。クロロシスの程度によっては、植物は完全に回復するか、またはクロロシスは悪化し、その後葉のかなりの損傷を伴う壊死を生じ得る。
【0013】
特許文献8および特許文献9には、殺菌性トリアゾールを含有する液体組成物が記載されている。高用量かつ短い間隔で液体組成物を用いた場合に見受けられる植物毒性を低減するために、特許文献9では、キャリアーとして2-メチルブタノールおよび1-ペンタノールの混合物を使用することが教示される(ここで1-ペンタノール対2-メチルブタノールの比率は、1:1〜1:10である)。
【0014】
通常、特定のアルコールアルコキシレートを殺菌性トリアゾールと組み合わせて使用することによって、クロロシスの発生を増大させることが、今日観察されている。例えば、Neodol(登録商標) 91-6 (C9-C11アルコール x 6 EO) (特許文献9に記載される組成物において可溶化剤として使用される)は、ダイズに用いられた際に、顕著なクロロシスを生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO 00/42847
【特許文献2】WO 02/15697 (CA 2,420,217)
【特許文献3】WO 03/090531 (CA 2,482,758)
【特許文献4】WO 2005/015998 (CA 2,535,176)
【特許文献5】DE 195 20 935 A1 (AU 6124496)
【特許文献6】EP 0 040 345 A2 (CA 1,341,521)
【特許文献7】EP 0 057 357 A2 (CA 1,177,660)
【特許文献8】US-A-5,393,770
【特許文献9】EP-A-0 970 610 (US-A-5,968,964)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、良好な殺菌活性を与えながら、許容可能な程度の植物毒性を維持する、殺菌性トリアゾールの使用方法を提供することが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
今回、殺菌性トリアゾールを、およそ8程度のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールと組み合わせて使用することによって、過度の植物損傷を生じることなく、特に良好な殺菌活性を示すことを見出した。
【0018】
殺菌性トリアゾールおよびエトキシ化 2-プロピルヘプタノールは、共通の組成物の構成成分として組み合わせて使用しても良いし、別個に使用しても良い。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、
(a1)殺菌性トリアゾール;および
(b1)1モル平均 7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノール
を含有する組成物に関する。
【0020】
本発明はまた、少なくとも2つの容器を含み、
(a)第1の容器には殺菌性トリアゾールを含み;
(b)第2の容器には1モル平均 7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを含む、
キットに関する。
【0021】
アルコキシル化 2-プロピルヘプタノールは自体公知である。例えば、US 5,661,121, WO 03/09053およびWO 2005/0.15998 には全て、アルコキシル化2-プロピルヘプタノールが記載されている。通常、アルコキシル化2-プロピルヘプタノールは、2-プロピルヘプタノールをアルコキシル化することによって得ることができる。
【0022】
2-プロピルヘプタノールは、ゲルベ(Guerbet)アルコールとも呼ばれる。2-プロピルヘプタノールは、例えば、アルカリ縮合剤(例えば、水酸化カリウム)の存在下昇温(例えば、180〜300℃)にて、対応する第1級アルコールを二量化することによって得ることができる。
【0023】
さらに、2-プロピルヘプタノールを製造するための公的な抽出物には、複数の炭化水素源、例えば、1-ブテン、2-ブテン、ラフィネートI-アルカン/アルケン混合物(アセチレンとジエンを分離した後、クラッカーのC4画分より得られる)を含み、さらにかなりの量のイソブテン-またはラフィネート IIを含み、これはイソブテンの完全な分離または実質的に完全な分離によって、ラフィネート Iより得ることができる。もちろん、ラフィネート I およびラフィネート IIの混合物も、抽出物として用いることができる。これらのオレフィンまたはオレフィン混合物は既知のコバルトまたはロジウム触媒を用いてヒドロホルミル化することができ、それによって、n-およびイソ-バレルアルデヒドの混合物を、1-ブテンより形成する。イソ-バレルアルデヒドという用語は、2-メチルブタナールを指す。得られた混合物におけるn/イソの比率は、用いた触媒および条件によって異なる(例えば、EP-A 155 508, EP-A 213 639, WO 02/83695参照)。
【0024】
C5-アルデヒドまたその精製画分の得られた混合物は、アルドール縮合に付す。アルドール縮合は、塩基性触媒(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)を使用して、例えば、EP-A 366 089, US-A 4 426 524またはUS-A 5 434 313に記載の方法に従って実施できる。n-バレルアルデヒドは、2-プロピルヘプタノールに変換する。異性体 C5-アルデヒドの混合物は、同一アルデヒド分子のホモアルドール縮合と異なる異性体の交差アルドール縮合に由来する異性体産物の混合物を生じる。得られたアルドール縮合産物を慣用の触媒を用いて水素化して、対応するアルコールまたはアルコール混合物を得ることができる。
【0025】
本発明のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを製造するのに好適な2-プロピルヘプタノールとプロピルヘプタノール異性体との混合物には、例えば以下のものを含むものが挙げられる:
a)60〜98重量%の2-プロピルヘプタノール、1〜15重量%の2-プロピル-4-メチル-ヘキサノール、0.01〜20重量%の2-プロピル-5-メチル-ヘキサノールおよび0.01〜24重量%の2-イソプロピルヘプタノール;
b)75〜95重量%の2-プロピルヘプタノール、2〜15重量%の2-プロピル-4-メチル-ヘキサノール、1〜20重量%の2-プロピル-5-メチル-ヘキサノール、0.1〜4重量%の2-イソプロピルヘプタノール、0.1〜2重量%の2-イソプロピル-4-メチルヘキサノールおよび0.1〜2重量%の2-イソプロピル-5-メチル-ヘキサノール;
c)85〜95重量%の2-プロピルヘプタノール、6〜12重量%の2-プロピル-4-メチル-ヘキサノール、0.1〜2重量%の2-プロピル-5-メチル-ヘキサノールおよび0.01〜1重量%の2-イソプロピルヘプタノール;または
d)80〜92重量%の2-プロピルヘプタノール、6〜12重量%の2-プロピル-4-メチル-ヘキサノール、7〜13重量%の2-プロピル-5-メチル-ヘキサノール、0.1〜2重量%の2-イソプロピルヘプタノール、0.1〜1重量%の2-イソプロピル-4-メチル-ヘキサノールおよび0.1〜1重量%の2-イソプロピル-5-メチル-ヘキサノール;
(構成成分の合計は100重量%を超えない。好ましくは、構成成分の比率の合計は100重量%となる)。
【0026】
本発明において好適なエトキシ化 2-プロピルヘプタノールは、実質的に純な 2-プロピルヘプタノールまたはアルコール混合物をエトキシ化することによって得ることができ、これは主成分として2-プロピルヘプタノールおよび1または複数のその異性体(すなわち、2-プロピル-4-メチル-ヘキサノール、2-プロピル-5-メチル-ヘキサノール、2-イソプロピル-ヘプタノール、2-イソプロピル-4-メチル-ヘキサノール、2-イソプロピル-5-メチル-ヘキサノール および/または 2-プロピル-4,4-ジメチルペンタノール、例えば上記のような)を含む。
【0027】
エトキシレートは通常、エチレンオキシドをアルコールまたはアルコール混合物に添加することによって得ることができ、通常は一分子あたり様々な量のエチレンオキシド単位を有するエトキシレートの混合物を含む。モル平均エトキシ化度 (すなわち、アルコール一モルあたり、すなわち一分子あたりのエチレンオキシド単位 (C2H5O)の平均モル比;モル平均エトキシ化数とも言う)、エトキシ化の範囲(すなわち、最小と最大エトキシ化数の範囲)、および得られた特定のエトキシレートそれぞれの割合(得られたエトキシレート同族体の重量%分布)は、アルコール一モルあたりに加えられたエチレンオキシドの量および用いた反応条件に依拠する。
【0028】
2-プロピルヘプチル単位あたりのエチレンオキシド単位の平均モル比(モル平均エトキシ化度; モル平均エトキシ化数)が、2-プロピルヘプタノール一モルあたりおよそ 7.5〜8.5、およそ 7.7〜8.3、およそ7.9〜8.1、およそ 7.95〜8.05または約8 エチレンオキシドである、エトキシ化 2-プロピルヘプタノールが好ましい。
【0029】
本発明において、Poisson-like 同族体分布を有するエトキシレートが好ましい。このようなPoisson-like 同族体分布は一最大値を有する。
【0030】
本発明において、狭いPoisson-like 同族体分布を有するエトキシレート、いわゆる狭いナロー・レンジ・エトキシレート(NRE)が特に好ましい。このようなNREには、とりわけ、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%または少なくとも約90重量%のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールが、6〜10、7〜9または7.5〜8.5のエトキシ化数を有する、エトキシレートを含む。
【0031】
一分子あたり8エチレンオキシド単位のモル比を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノール、すなわち、式(I):
R-O-(C2H4O)x-H (I)
[Rは2-プロピルヘプチルであり、xは8である]
のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの割合が、エトキシ化 2-プロピルヘプタノールの総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%または少なくとも95重量%であるものが好ましい。
【0032】
原子発光検出器 (AED) に連結した高温ガスクロマトグラフィー (HT-GC)を用いて、真の参照として利用可能な実際の全ての同族体さえ用いることなく、アルコールエトキシレートの対応する同族体のアルキル鎖分布、モル平均エトキシ化度および重量%分布を決定することができる(ASTM法 "アルコール エトキシレートおよびアルキルフェノール エトキシレートの化学分析に関する一般的な試験法"はD 4252 -89の名称を有する)。製品規格は曇り点を決定することによって迅速にチェックすることができる(DIN 53971)。
【0033】
2-プロピルヘプタノールまたは2-プロピルヘプタノール混合物とエチレンオキシドとの反応は、当業者に公知の従来法に従って、従来装置において実施することができる。
【0034】
この反応は、強塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物)ブレンステッド酸またはルイス酸(例えば、AlCl3, BF3等)によって触媒することができる。ハイドロタルサイトまたはDMC等の触媒は、狭い分布を有するアルコール エトキシレートに用いることができる。
【0035】
エトキシ化は好ましくは、およそ80〜250℃、好ましくは、およそ100〜220℃の温度で実施する。圧力は好ましくは、大気圧〜600 barである。必要に応じて、エチレンオキシドは例えば、およそ5〜60%の不活性ガス混合物を含んでも良い。
【0036】
反応混合物中に存在する出発2-プロピルヘプタノールおよび2-プロピルヘプタノールの全(オリゴ)グリコールエーテルが同じ酸性度であると仮定すると、個々の種ポアソン分布をエトキシ化において予測することができる(オリゴグリコールエーテルのそれに対応する最大値を有する);ここで付加したエチレンオキシド単位の数は、エチレンオキシド対出発2-プロピルヘプタノールのモル比に対応する。しかし、反応混合物における個々の種の酸性度が異なるために、実際のエトキシ化混合物において実際に見受けられる同族体分布は、通常ポアソン分布とは異なる。
【0037】
これは全てのアルカリ系触媒について当てはまるが、アルカリ土類化合物の場合の偏差は、水酸化ナトリウムまたはナトリウムメトキシドの場合と比べて、特に顕著ではない。アルカリ系触媒によって得られるエトキシレート中の同族のポリエチレングリコールエーテルの分布パターンは、温度、圧力および触媒濃度に依拠しない。
【0038】
ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、四塩化スズまたは五塩化アンチモン)を触媒として用いた場合、ポアソン分布に近似する同族体分布が得られる。これはプロトン活性ではなく、基質の求核性によるものである(反応経路を決定する)。ルイス酸は、エチレンオキシドを活性化するが、アルコールは活性化しない。
【0039】
しかしながら、ルイス酸は触媒として確立されていない。それはルイス酸を反応産物より除去するのに大変な労力を要するためであり、ルイス酸は副反応および分解反応により、ポリエチレングリコール(所謂、ポリジオール, HO(CH2CH2O)nH)、メチルジオキソランおよびジオキサンを生じるためである。
【0040】
ルイス酸により製造されたものと同様の分布を生じる両性触媒の開発が近年注目されている。これらの触媒中、理想的な実験式:Mg6Al2O5(OH)2 の焼成ハイドロタルサイトが対象となる。焼成ハイドロタルサイトは空気圧で運搬可能な粉剤として扱いが容易であり、また反応媒体から不溶性固体として容易に分離できるためである。
【0041】
「殺菌性トリアゾール」とは、好適な殺菌活性を有する、トリアゾール類に由来する活性成分を指す。トリアゾール、トリアゾールの調製、および害菌に対するその作用は一般に公知であり(cf.: http://www.alanwood.net/pesticides/)、トリアゾールは市販されている。トリアゾールの例としては以下のものが挙げられる:
アザコナゾール 1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-1,3-ジオキソラン-2-イル] メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール
CAS RN [50207-31-0];
ビテルタノール, β-([1,1′-ビフェニル]-4-イルオキシ)-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(DE 23 24 020),
ブロムコナゾール、1-[[4-ブロモ-2-(2,4-ジクロロフェニル)テトラヒドロ-2-フラニル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール (Proc. 1990 Br. Crop. Prot. Conf. - Pests Dis. Vol. 1, p. 459),
シプロコナゾール、2-(4-クロロフェニル)-3-シクロプロピル-1-[1,2,4]トリアゾール-1-イルブタン-2-オール(US 4 664 696);
ジフェノコナゾール、1-{2-[2-クロロ-4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-4-メチル-[1,3]ジオキソラン-2-イルメチル}-1H-[1,2,4]トリアゾール (GB-A 2 098 607);
ジニコナゾール、(βE)-β-[(2,4-ジクロロフェニル)メチレン]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(Noyaku Kagaku, 1983, Vol. 8, p. 575),
エニルコナゾール (イマザリル), 1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(2-プロペニルオキシ)エチル]-1H-イミダゾール (Fruits, 1973, Vol.28, p. 545);
エポキシコナゾール、(2RS,3SR)-1-[3-(2-クロロフェニル)-2,3-エポキシ-2-(4-フルオロフェニル)プロピル]-1H-1,2,4-トリアゾール (EP-A 196 038);
フルキンコナゾール、3-(2,4-ジクロロフェニル)-6-フルオロ-2-[1,2,4]トリアゾール-1-イル-3H-キナゾリン-4-オン (Proc. Br. Crop Prot. Conf.-Pests Dis., 5-3, 411 (1992));
フェンブコナゾール、α-[2-(4-クロロフェニル)エチル]- α-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-プロパンニトリル (Proc. 1988 Br. Crop Prot. Conf. -Pests Dis. Vol. 1, p. 33),
フルシラゾール、1-{[ビス-(4-フルオロフェニル)メチルシラニル]メチル}-1H-[1,2,4]トリアゾール (Proc. Br. Crop Prot. Conf.-Pests Dis., 1, 413 (1984));
フルトリアホール, α-(2-フルオロフェニル)-α-(4-フルオロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(EP 15 756),
ヘキサコナゾール、2-(2,4-ジクロロフェニル)-1-[1,2,4]トリアゾール-1-イルヘキサ-2-オール[CAS-RN 79983-71-4];
イミベンコナゾール、(4-クロロフェニル)メチル N-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタン-イミドチオエート (Proc. 1988 Br. Crop Prot. Conf. - Pests Dis. Vol. 2, p. 519),
イプコナゾール、2-[(4-クロロフェニル)メチル]-5-(1-メチルエチル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル-メチル)シクロペンタノール (EP 267 778),
メトコナゾール、5-(4-クロロベンジル)-2,2-ジメチル-1-[1,2,4]トリアゾール-1-イルメチルシクロ-ペンタノール (GB 857 383);
マイクロブタニル, 2-(4-クロロフェニル)-2-[1,2,4]トリアゾール-1-イルメチルペンタンニトリル [CAS RN 88671-89-0];
パクロブトラゾール、(2RS,3RS)-1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ペンタン-3-オール[CAS RN 76738-02-0];
ペンコナゾール、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)ペンチル]-1H-[1,2,4]トリアゾール (Pesticide Manual, 12th Ed. (2000), page 712);
プロピコナゾール、1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール (BE 835 579),
プロチオコナゾール、2-[2-(1-クロロシクロプロピル)-3-(2-クロロフェニル)-2-ヒドロキシプロピル]-2,4-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾール-3-チオン (WO 96/16048);
シメコナゾール、α-(4-フルオロフェニル)-α-[(トリメチルシリル)メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール[CAS RN 149508-90-7],
トリアジメホン, 1-(4-クロロフェノキシ)-3,3-ジメチル1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン;
トリアジメノール、β-(4-クロロフェノキシ)-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール;
テブコナゾール、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル3-[1,2,4]トリアゾール-1-イルメチルペンタン-3-オール(EP-A 40 345);
テトラコナゾール、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)プロピル]-1H-1,2,4-トリアゾール (EP 234 242),
トリチコナゾール、(5E)-5-[(4-クロロフェニル)メチレン]-2,2-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンタノール (FR 26 41 277);
ウニコナゾール、(E)-(RS)-1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ペント-1-エン-3-オール[CAS RN 83657-22-11]。
【0042】
本発明において主に効果および安全性に関して、好ましくは、メトコナゾール、トリアジメノール、トリアジメホン、シプロコナゾール、テブコナゾール、ウニコナゾール、パクロブトラゾール、イプコナゾール、プロチオコナゾール、テトラコナゾール、エポキシコナゾール、プロピオナゾール、トリチコナゾール、ジフェノコナゾール、フェンブコナゾール、およびフルシラゾールを用いる。
【0043】
特に好ましくは、メトコナゾール、テブコナゾール、エポキシコナゾール、プロチオコナゾールおよびシプロコナゾールである。
【0044】
その窒素原子の基本特性により、当該トリアゾールは無機酸または有機酸と塩を形成することができる。したがって、農業的に利用可能なトリアゾールの塩もまた、本発明において用いることができる。
【0045】
無機酸の例は、ハロゲン化水素酸(例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素)、炭酸、硫酸、リン酸および硝酸である。
【0046】
好適な 有機酸は例えば、ギ酸およびアルカン酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸およびプロピオン酸)、またグリコール酸、チオシアン酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、シュウ酸、アルキルスルホン酸 (1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキルラジカルを有するスルホン酸)、アリールスルホン酸またはジスルホン酸 (芳香族ラジカル、例えば、フェニルおよびナフチル、これらは1または2個のスルホン酸基を保有する)、アルキルホスホン酸 (1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキルラジカルを有するホスホン酸)、アリールホスホン酸またはジホスホン酸 (芳香族ラジカル、例えば、フェニルおよびナフチル、これらは1または2個のリン酸を保有する)であり、アルキルまたはアリールラジカルはさらに、例えば、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸等の置換基を保有し得る。
【0047】
本発明においては、式(II):

で表わされるメトコナゾールまたは農業的に利用可能なその塩が好ましい。
【0048】
本明細書中で選択された式(II)で表わされるメトコナゾールには、当該化合物の異性体も含まれる。特に記載すべきものとしては、立体異性体、例えば、式 (IIa-d)の光学異性体またはジアステレオ異性体である。実質的に純な異性体の他に、式(II)の化合物にはまた、その異性体混合物、例えば、立体異性体混合物が含まれる。シス異性体が高い割合であることが好ましく、有利にはシス:トランスの比率が5:1〜20.1である。
【0049】

本例において、農業的に利用可能なメトコナゾール塩は好ましくは、酸付加塩である。
【0050】
有用な酸付加塩のアニオンは、主に塩化物、臭化物、フッ化物、硫酸水素塩、硫酸塩、ジハイドロゲンホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ホスフェート、硝酸塩、ヘキサフルオロシリケート、ヘキサフルオロホスフェートである。
【0051】
殺菌性トリアゾールは、さらなる活性化合物(例えば、除草剤、殺虫剤、成長調整剤もしくは殺菌剤)または肥料と共に用いることができる。
【0052】
殺菌剤と混合することによって、多くの場合において殺菌活性の薬効範囲を拡大することができる。
【0053】
特に、殺菌性トリアゾールは、ストロビルリン系(例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリザストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビンおよびトリフロキシストロビン)、イミダゾール殺菌剤(例えば、フェンアミドン)ならびにオキサゾール殺菌剤(例えば、ファモキサドン)からなる群から選択される一または複数の殺菌剤と共に用いることができる。
【0054】
より詳細には、本発明はまた、(a1)少なくとも1種の殺菌性トリアゾールを含む活性成分(a)、および本明細書中に定義されるような(b1)少なくとも1種のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを含むアジュバント成分(b)、を含有する組成物に関する。成分(a)はさらなる活性成分を含んでも良く、また成分(b)はさらなるアジュバントを含んでも良い。
【0055】
当該組成において、成分(a1)に対する成分(b1)の重量%比は通常、少なくとも0.5である。十分なアジュバント効果を得るために、成分(a1)に対する成分(b1)の重量%比は好ましくは、0.5超、特に1超、有利には2超、5超、10超または20超である。
【0056】
組成物の総重量についての成分(a)の割合は通常、1重量%超、好ましくは、2重量%超、特に2.5重量%超に達する。一方、組成物の総重量についての成分(a)の割合は通常、75重量%未満、好ましくは、60重量%未満、特に50重量%未満に達する。
【0057】
組成物の総重量についての成分(a1)の割合は通常、1重量%超、好ましくは、2重量%超、特に2.5重量%超に達する。一方、組成物の総重量についての成分(a1)の割合は通常、50重量%未満、好ましくは、40重量%未満、特に35重量%未満に達する。
【0058】
本発明の一実施形態において、成分(a)は実質的に(a1)、すなわち、(a1)一または複数の殺菌性トリアゾールからなる。
【0059】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、付加的な活性成分として、
(a2)少なくとも一または複数の上記組み合わせパートナー、特に、上記ストロビルリン系から選択される一または複数の活性化合物を含む。
【0060】
活性成分の組み合わせを含むこのような組成物における活性成分の相対的割合は、非常に多様であり、用いた活性成分によって決定される。
【0061】
組成物の総重量についての成分(b)の割合が、5重量%超、好ましくは、8重量%超、特に、10重量%超であることが有利である。一方、組成物の総重量についての成分(b)の割合が、80重量%未満、好ましくは、60重量%未満、特に、50重量%未満であることが通常、望ましい。
【0062】
組成物の総重量についての成分(b1)の割合が、5重量%超、好ましくは、8重量%超、特に10重量%超、特に15重量%超、および特に20重量%超であることが有利である。一方、組成物の総重量についての成分(b1)の割合が、60重量%未満、好ましくは50重量%未満、特に、40重量%未満であることが通常、望ましい。
【0063】
本発明の一実施形態における、アジュバント成分(b)は実質的に、(b1)、すなわち、本明細書中に定義される一または複数のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールから成る。
【0064】
本発明の組成物は好ましくは、液体製剤系に分類される。液体製剤系には特に、水溶性製剤(SL製剤)、懸濁製剤(SC製剤)、サスポエマルション(suspoemulsion)製剤(SE製剤)およびマイクロエマルション製剤が挙げられる。一実施形態において、本発明の組成物は分散性製剤(DC)である。
【0065】
本発明の特定の実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも一種の助剤として成分(c)を含む。
【0066】
成分(c)は多くの様々な機能を果たすことができる。好適な補助剤の選択は通常、要件に応じて当業者によりなされる。
【0067】
例えば、補助剤は以下より選択される:
(c1)界面活性剤;
(c2)懸濁剤、消泡剤、保存剤、pH緩衝液および変動(drift)遅延剤;
(c3)植物が利用し得る微量元素およびミネラル;
(c4)キレート剤;
(c5)溶媒または希釈剤。
【0068】
組成物の総重量についての成分(c)の割合は(存在する場合)通常、10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%、特に20〜45重量%である。
【0069】
本件において「界面活性剤」とは、界面(interface)活性剤または表面活性剤(例えば、界面活性剤(surfactant)、分散剤、乳化剤または湿潤剤)を意味する。
【0070】
原則として、アニオン、カチオン、両性および非イオン性界面活性剤を用いることができる。
【0071】
アニオン界面活性剤には例えば、カルボキシレート、特に、脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、例えば、ステアリン酸カリウム(通常セッケンとも記載される);アシルグルタメート;サルコシネート(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム);タウレート;メチルセルロース;アルキルホスフェート(特に、アルキルモノホスフェートおよびアルキルジホスフェート);硫酸塩;スルホネート(特に、アルキルスルホネートおよびアルキルアリールスルホネート、特に、アリールスルホン酸およびアルキル置換アリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、リグノスルホン酸およびフェノールスルホン酸)、ナフタレン-およびジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、またはドデシルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルメチルエステルスルホネート、スルホン化ナフタレンの縮合産物およびホルムアルデヒドによるそれらの誘導体、ナフタレンスルホネートの縮合産物、ホルムアルデヒド若しくはホルムアルデヒドおよび尿素を伴うフェノール-および/またはフェノールスルホネートまたはモノアルキルもしくはジアルキルスルホスクシネート;ならびにタンパク加水分解物およびリグニンスルフィット廃液が挙げられる。上記スルホン酸は、それらの中性塩、または適切な場合、塩基性塩の形態で用いるのが有利である。
【0072】
カチオン界面活性剤として例えば、第4級アンモニウム塩、特に、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムアルキル硫酸エステルおよびジアルキルジメチルアンモニウムアルキル硫酸エステル、ならびにピリジンおよびイミダゾリン誘導体、特に、ハロゲン化アルキルピリジニウムが挙げられる。
【0073】
非イオン性界面活性剤として、特に以下のものが挙げられる:
・アルキルアリールアルコキシレート、特にアルキルフェノールアルコキシレートおよびとりわけこれらのエトキシレート(例えばエトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノール、トリブチルフェノールポリオキシエチレンエーテル);
・脂肪アルコールポリオキシエチレンアルキルエステル、例えばラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルアセテート;
・アルコキシル化された動物性および/または植物性脂肪および/または油、例えばトウモロコシ油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレートまたはタロウ脂エトキシレート;
・グリセロールエステル、例えば、グリセリルモノステアレート、
・脂肪アミンアルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレートおよび脂肪酸ジエタノールアミドアルコキシレート、特にこれらのエトキシレート;
・糖界面活性剤、特にソルビトールエステル、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート)、ならびにエトキシル化カルボン酸および単官能性または多官能性アルコールのエステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコシドおよびN-アルキルグルコンアミド);
・アルキルメチルスルホキシド;
・アルキルジメチルホスフィンオキシド、例えばテトラデシルジメチルホスフィンオキシド;
・(AB)x、ABAおよびBAB型のジ、トリおよびマルチブロックポリマー、例えばポリスチレンブロックポリエチレンオキシド、ならびにAB櫛形ポリマー、例えばポリメタクリレート櫛形ポリエチレンオキシド、また特にエチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマーまたはこれらの末端キャップ化誘導体。
【0074】
両性界面活性剤として、例えばスルホベタイン、カルボキシベタインおよびアルキルジメチルアミンオキシド(例えばテトラデシルジメチルアミンオキシド)が挙げられる。
【0075】
本明細書で例として挙げられる付加的な界面活性剤は、ペルフルオロ化界面活性剤、シリコーン界面活性剤、リン脂質(例えばレシチンまたは化学的に改変されたレシチン)、アミノ酸界面活性剤(例えばN-ラウロイルグルタメート)、ならびに界面活性ホモ-およびコポリマー(例えばポリビニルピロリドン、塩の形態のポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、無水マレイン酸-イソブテンコポリマーおよびビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー)である。
【0076】
組成物の総重量についての成分(c1)の割合は、存在する場合、通常は20重量%以下、好ましくは15重量%以下、とりわけ10重量%以下、また特に5重量%以下である。
【0077】
懸濁剤は、特に懸濁製剤用に使用することができる。これらは、とりわけ流体力学的安定化のために用いられる。この意味で挙げられる無機生成物は、例えばベントナイト、タルサイト、およびヘクトライトである。
【0078】
消泡剤としては、特にシリコーン型消泡剤、例えばWacker社から販売されているシリコーンSL等が挙げられる。
【0079】
存在する場合、組成物の総重量についての成分(c2)の割合は、通常は0.1〜10重量%であり、好ましくは0.2〜5重量%である。
【0080】
植物が使用し得る微量元素およびミネラルとしては、特に無機アンモニウム塩(例えば硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムもしくはリン酸アンモニウム)、または植物が使用し得る他の微量元素もしくはミネラル、特に硝酸アンモニウム肥料顆粒および/または尿素が挙げられる。これらは、例えば水溶性濃縮液として本発明の組成物に導入することが可能であり、適切な場合、混合濃縮液(例えばEnsol溶液)に配合することができる。
【0081】
存在する場合、組成物の総重量についての成分(c3)の割合は、通常は0.1〜35重量%であり、好ましくは0.2〜20重量%である。
【0082】
好ましいキレート剤は、重金属および特に遷移金属(例えばEDTAおよびその誘導体)を錯体化する化合物である。
【0083】
存在する場合、組成物の総重量についての成分(c4)の割合は、通常は0.001〜0.5重量%、好ましくは0.005〜0.2重量%および特に0.01〜0.1重量%である。
【0084】
本発明の組成物は、この組成物の水溶性成分の溶媒または不溶性成分の希釈剤を含み得る。
【0085】
原則として、鉱油、合成油ならびに植物性および動物性の油、また低分子量の親水性溶媒(例えばアルコール、エーテル、ケトン等)を用いることができる。
【0086】
従って、第1に、とりわけ以下のような非プロトン性もしくは非極性の溶媒または希釈剤を挙げることができる:中〜高沸点の鉱油画分(例えば灯油およびディーゼルオイル)、さらにコールタール油、炭化水素、パラフィン油(例えばn-アルカンもしくはイソアルカンの系列のC8〜C30の炭化水素もしくはこれらの混合物)、またはベンゼンもしくはナフタレンの系列からの場合により水素化されたもしくは部分的に水素化された芳香族もしくはアルキル芳香族(例えば芳香族もしくは脂環式のC7〜C18炭化水素化合物)、脂肪族もしくは芳香族のカルボン酸エステルもしくはジカルボン酸エステル、あるいは例えば純粋な形態または混合物の形態の、例えば天然物質の油状抽出物の形態の植物もしくは動物由来の脂肪もしくは油(例えばオリーブ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ナタネ油、アマニ油、アーモンド油、ヒマシ油またはベニバナ油)ならびにこれらのラフィネート(例えばこれらの水素化されたもしくは部分的に水素化された製品)および/またはこれらのエステル(特にメチルエステルおよびエチルエステル)の形態のモノ-、ジ-またはトリグリセリド。
【0087】
n-アルカンまたはイソアルカンの系列のC8〜C30炭化水素の例は、n-オクタン、n-デカン、n-ヘキサデカン、n-オクタデカン、n-イコサン、イソオクタン、イソデカン、イソヘキサデカン、イソオクタデカンおよびイソイコサンであり、また好ましくは、パラフィン油(技術等級で約5%までの芳香族を含み得る)などの炭化水素混合物、およびTexaco社からSpraytex oilの名称で市販されているC18〜C24混合物である。
【0088】
芳香族もしくは脂環式のC7〜C18炭化水素化合物としては、特に、アルキル芳香族の系列からの芳香族もしくは脂環式の溶媒が挙げられる。これらの化合物は、水素化されていなくても、部分的に水素化されていても、または完全に水素化されていてもよい。このような溶媒として、特にモノ-、ジ-もしくはトリアルキルベンゼン、1、2、もしくは3個のアルキル基で置換されたテトラリンおよび/または1、2、3もしくは4個のアルキル基で置換されたナフタレン(アルキルは、好ましくはC1〜C6アルキルを表す)が挙げられる。このような溶媒の例として、トルエン、o-、m-またはp-キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼンおよび混合物、例えば、Exxon社からShellsolおよびSolvesso(例えばSolvesso 100、150および200)の名称で販売されている製品が挙げられる。
【0089】
好適なモノカルボン酸エステルの例は、オレイン酸エステル(特にオレイン酸メチルおよびオレイン酸エチル)、ラウリン酸エステル(特にラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸オクチルおよびラウリン酸イソプロピル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エステル(特にパルミチン酸2-エチルヘキシルおよびパルミチン酸イソプロピル)、ステアリン酸エステル(特にステアリン酸n-ブチル)、ならびに2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシルである。
【0090】
好適なジカルボン酸エステルの例は、アジピン酸エステル、特にアジピン酸ジメチル、アジピン酸ジ(n-ブチル)、アジピン酸ジ(n-オクチル)、アジピン酸ジ(イソオクチル)(アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)とも呼ばれる)、アジピン酸ジ(n-ノニル)、アジピン酸ジ(イソノニル)およびアジピン酸ジトリデシル;コハク酸エステル、特に、コハク酸ジ(n-オクチル)およびコハク酸ジ(イソオクチル)、ならびにシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジ(イソノニル)である。
【0091】
組成物の総重量についての上記の非プロトン性溶媒または希釈剤の割合は、通常、30重量%未満、好ましくは20重量%未満および特に5重量%未満である。
【0092】
第2に、プロトン性もしくは極性の溶媒または希釈剤、例えば水、C2〜C8モノアルコール(例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチルブタノール、シクロヘキサノールおよび2-エチルヘキサノール)、C3〜C8ケトン(例えばジエチルケトン、t-ブチルメチルケトンおよびシクロヘキサノン)、ならびに非プロトン性アミン(例えばN-メチルピロリドンおよびN-オクチルピロリドン)を挙げることができる。本発明の特定の実施形態によれば、1-ペンタノールと2-メチルブタノールの混合物が用いられる。通常、2-メチルブタノールに対する1-ペンタノールの比は、1:1〜1:10である。好ましくは、この比は1:1〜1:5、特に49:51〜40:60である。
【0093】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物の総重量についての上記のプロトン性もしくは極性の溶媒または希釈剤の割合は、通常は20重量%未満であり、好ましくは15重量%未満であり、また特に10重量%未満である。
【0094】
特定の実施形態によれば、本発明は:
(a)2〜35重量%の殺菌性トリアゾール、好ましくはメトコナゾール;
(b)5〜60重量%のエトキシ化 2-プロピルヘプタノール;および場合により、
(c)15〜45重量%の一または複数の補助剤、特に上記の溶媒
を含む組成物に関する。
【0095】
以下は水で希釈する組成物の例である。
【0096】
A) 液剤(water-soluble concentrates) (SL)
10重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールを、90重量部の水または水溶性溶媒に溶解させる。別法として、湿潤剤または他の補助剤を添加する。本活性化合物は、水で希釈すると溶解する。
【0097】
B) 分散製剤(dispersible concentrates) (DC)
20重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールを、70重量部のシクロヘキサノンに10重量部の分散剤(例えばポリビニルピロリドン)を加えて溶解させる。水で希釈することにより、分散液剤が得られる。
【0098】
C) 乳剤(emulsifiable concentrates) (EC)
15重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールを、75重量部のキシレンにドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(いずれも5重量部)を加えて溶解させる。水で希釈することにより、乳液が得られる。
【0099】
D) エマルション製剤(emulsions) (EW、EO)
25重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールを、35重量部のキシレンにドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(いずれも5重量部)を加えて溶解させる。この混合物を、乳化装置(例えばUltraturrax)を用いて30重量部の水に導入して均質なエマルションとする。水で希釈することにより、乳液が得られる。
【0100】
E) 懸濁製剤(suspensions) (SC、OD)
攪拌下にあるボールミル内で、20重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールに10重量部の分散剤および湿潤剤、ならびに70重量部の水または有機溶媒を添加して粉砕することにより、活性化合物の微細懸濁液が得られる。水で希釈することにより、本活性化合物の安定した懸濁液が得られる。
【0101】
F) 顆粒水和剤(water-dispersible granules)および顆粒水溶媒(water-soluble granules) (WG, SG)
50重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールに50重量部の分散剤および湿潤剤を添加して微粉砕し、専用の装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動床など)を用いて顆粒水和剤または顆粒水溶媒とする。水で希釈することにより、本活性化合物の安定な分散液剤または溶液剤が得られる。
【0102】
G) 粉末水和剤(water-dispersible powders)および粉末水溶媒(water-soluble powders) (WP、SP)
ローター・ステーターミル(rotor-stator mill)内で、75重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールに25重量部の分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを添加して粉砕する。水で希釈することにより、本活性化合物の安定な分散液剤または溶液剤が得られる。
【0103】
以下は、希釈せずに施用する組成物の例である。
【0104】
K) ULV溶液剤 (UL)
10重量部の本発明によるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールおよびトリアゾールを、90重量部の有機溶媒(例えばキシレン)に溶解させる。これにより、活性化合物含量が10重量%の、希釈せずに施用する製品が得られる。
【0105】
本発明による組成物は、それ自体公知の方法によって調製することができる。
【0106】
このため、本発明の組成物の成分の少なくとも一部を一緒に混合する。この意味において、異なる成分に寄与し得る構成成分を含む製品(特に市販品)を使用し得ると認められる。例えば、特定の界面活性剤を非プロトン性溶媒に溶解させることが可能であり、これによってこの製品は、本発明の成分(c1)および(c5)に寄与し得る。その後、通常は、混合物としての混合製品を互いに強く混合し、必要であれば、例えば懸濁液の場合、製粉することができる。
【0107】
混合は、それ自体公知の方法で、例えば好適な装置(例えば、KPGまたは磁気スターラ)を用いて均質化することによって実施することができる。
【0108】
本発明の組成物において、エトキシ化 2-プロピルヘプタノールはアジュバントとして作用する。このため、このようなエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを含まない組成物と比べて高い殺菌作用が観察される。このアジュバント作用は、一または複数の殺菌性トリアゾールの施用、適切な場合には一つ以上の付加的な活性成分と組み合わせた施用の間に、特に以下の側面をもたらす:
・相対的に、施用される所定量の割には本発明の殺菌性トリアゾールの活性が高い;
・相対的に、所定の作用のために施用される本発明の殺菌性トリアゾールが少量である;
・相対的に、処理対象の生物による本発明の殺菌性トリアゾールの取り込み、特に植物によるとりわけ葉を介した取り込みが強く、このため出芽後処理(特に植物のスプレー処理)において有利である。
【0109】
このように、本発明は、殺菌性トリアゾールを用いた植物の処理におけるアジュバントとしての上記に定義されるエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの使用、すなわち、とりわけ植物による(特に植物の葉による)トリアゾールの良好な取り込みを通じた本発明のトリアゾールの有効性を高めるための上記使用にも関する。
【0110】
本明細書中に開示されるとおり、本発明の殺菌性トリアゾールおよびエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを、農業の実務に従って共製剤化し、殺菌性トリアゾールとエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの両方を含む組成物を得ることができる。このような組成物は、殺菌性トリアゾールとエトキシ化 2-プロピルヘプタノールとを同時に施用することを可能とする。しかし、本発明のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールは、「スタンドアロン(stand alone)」製品として、すなわちそれ自体で使用することも可能であり、あるいは適切な場合、農業の実務に従って調製し、付加的な組成物を得てもよい。「スタンドアロン」製品として、本発明のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを、殺菌性トリアゾールを含む組成物と同時にまたは適切な時間間隔を空けて共施用することにより、殺菌性トリアゾールとエトキシ化2-プロピルヘプタノールが共に作用し得る。
【0111】
本発明のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの「スタンドアロン」製品としての使用に従って、本発明による殺菌性トリアゾールとエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの組み合わせを、キットの形で提供することもできる。このようなキットは、少なくとも2つの容器を含む。1つの容器は、適切な場合には好適な補助剤を含む組成物として調製した殺菌性トリアゾールを1種以上含む。付加的な容器は、適切な場合には好適な補助剤を含む組成物として調製したエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを1種以上含む。
【0112】
本発明による使用は、特に植物栽培、農業および園芸に向けられた多くの様々な施用の可能性に関する。本発明の殺菌性トリアゾールは、特に殺菌剤として有用であり、このため広範囲の植物病原菌(特に子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、藻菌類(Phycomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)に属する菌)の防除に用いられる。
【0113】
従って本発明は、上記の意図する目的に従って、害菌から植物を保護するための方法にも関する。この方法は、一または複数の害菌に感染した植物の処理、または害菌による感染が懸念されるため感染の回避が望まれる植物の処理を含む。この方法は、好適量の活性成分およびエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの施用を含む。
【0114】
処理対象の植物は、主に植物体または植物体の部分である。処理は、活性成分とエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの組み合わせの有効量、特に殺菌有効量(施用量)が、標的の植物体または植物体の部分に作用することが可能となるように実施される。施用は、害菌による感染の前または後に実施することができる。
【0115】
本発明の利点は、特に様々な栽培植物、例えば作条作物(例えば、限定するものではないが、ダイズ、テンサイ、トウモロコシ、コムギ、ワタおよびラッカセイなど)、野菜作物(例えば、限定するものではないが、トマト、ジャガイモおよびウリ科植物など)、果実作物(例えば、限定するものではないが、リンゴ、モモ、ブドウおよび芝生など)ならびに観賞植物につく多数の菌類(特にさび病菌、胴枯れ病菌、斑点病菌およびうどん粉病菌)の防除において達成される。
【0116】
これらは、とりわけ以下の植物の病気の防除に適している:
・野菜、ナタネ、テンサイならびに果物およびイネにつくアルテルナリア属の種(Alternaria species)、
・テンサイおよび野菜につくアファノミセス属の種(Aphanomyces species)、
・トウモロコシ、禾穀類、イネおよび芝生につくビポラリス属の種(Bipolaris species)およびドレクスレラ属の種(Drechslera species)、
・禾穀類につくブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(うどん粉病)、
・イチゴ、野菜、花およびブドウの木につくボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色かび病)、
・レタスにつくブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)、
・トウモロコシ、ダイズ、イネおよびテンサイにつくセルコスポラ属の種(Cercospora species)、
・トウモロコシ、禾穀類、イネにつくコクリオボルス属の種(Cochliobolus species)(例えば、禾穀類につくコクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)、イネにつくコクリオボルス・ミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus)、
・ダイズおよびワタにつくコレトトリクム属の種(Colletotricum species)、
・トウモロコシにつくエクセロヒルム属の種(Exserohilum species)、
・ウリ科植物につくエリシフェ・シコラセアルム(Erysiphe cichoracearum)およびスファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、
・様々な植物につくフサリウム属の種(Fusarium species)およびバーティシリウム属の種(Verticillium species)、
・禾穀類につくゲウマノミセス・グラミニス(Gaeumanomyces graminis)、
・禾穀類およびイネにつくジベレラ属の種(Gibberella species)(例えば、イネにつくジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、
・イネにつく穀類染色複合体(Grain staining complex)、
・トウモロコシおよびイネにつくヘルミンソスポリウム属の種(Helminthosporium species)、
・禾穀類につくミクロドキウム・ニバレ(Michrodochium nivale)、
・禾穀類、バナナおよびラッカセイにつくミコスファエレラ属の種(Mycosphaerella species)、
・ダイズにつくファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)、
・ダイズおよびヒマワリにつくホモプシス属の種(Phomopsis species)、
・ジャガイモおよびトマトにつくフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、
・ブドウの木につくプラスモパラ・ビチコーラ(Plasmopara viticola)、
・リンゴにつくポドスファエラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、
・禾穀類につくシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、
・ホップおよびウリ科植物につくシュードペロノスポラ属の種(Pseudoperonospora species)、
・禾穀類およびトウモロコシにつくプクキニア属の種(Puccinia species)、
・禾穀類につくピレノホラ属の種(Pyrenophora species)、
・イネにつくピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)、コルティシウム・ササキ(Corticium sasakii)、サロクラディウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)、サロクラディウム・アテヌアツム(S. attenuatum)、エンチロマ・オリザエ(Entyloma oryzae)、
・芝生および禾穀類につくピリクラリア・グリセア(Pyricularia grisea)、
・芝生、イネ、トウモロコシ、ワタ、ナタネ、ヒマワリ、テンサイ、野菜および他の植物につくピシウム属の種(Pythium spp.)、
・ワタ、イネ、ジャガイモ、芝生、トウモロコシ、ナタネ、ジャガイモ、テンサイ、野菜および他の植物につくリゾクトニア属の種(Rhizoctonia species)、
・ナタネおよびヒマワリにつくスクレロチニア属の種(Sclerotinia species)、
・コムギにつくセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)およびスタゴノスポラ・ノドルム(Stagonospora nodorum)、
・ブドウの木につくエリシフェ(ウンシヌラ(Uncinula)と同義)・ネカトール(Erysiphe necator)、
・トウモロコシおよび芝生につくセトスファエリア属の種(Setospaeria species)、
・トウモロコシにつくスファケロテカ・レイリニア(Sphacelotheca reilinia)、
・ダイズおよびワタにつくシバリオプシス属の種(Thievaliopsis species)、
・禾穀類につくティレティア属の種(Tilletia species)、
・禾穀類、トウモロコシおよびテンサイにつくウスティラゴ属の種(Ustilago species)、また
・リンゴおよび洋ナシにつくベンチュリア属の種(Venturia species)(黒星病)。
【0117】
これらの植物に対する有効な施用は、当業者の範囲内にある。
【0118】
とりわけ、以下の植物病原菌:ダイズさび病菌(ファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)および特にファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi))の防除において特に有利である。
【0119】
原則として、施用される殺菌性トリアゾールの量は、植物の高い耐性の結果として、大きく異なり得る。典型的には、本発明による施用量は、殺菌性トリアゾールについては、通常、0.001〜2.5 kg/ha、好ましくは0.005〜2 kg/ha、特に0.01〜1.0 kg/haであり、またエトキシ化 2-プロピルヘプタノールについては、通常、0.001〜25 kg/ha、好ましくは0.05〜2 kg/ha、特に0.1〜1 kg/haである。
【0120】
殺菌性トリアゾールに対するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの施用量の比は、通常は0.5:1〜100:1、好ましくは、1:1〜50:1、特に1:1〜20:1と多岐にわたる。特定の態様によれば、エトキシ化 2-プロピルヘプタノールの施用量は、殺菌性トリアゾールの施用量より大きい。
【0121】
本発明の殺菌性トリアゾール、エトキシ化 2-プロピルヘプタノールならびに/またはトリアゾールおよび/もしくはエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを含む組成物は、それ自体公知の方法で、例えば散布(spraying)、噴霧(atomizing)、散粉(dusting)、広域散布(broadcasting)または散水(watering)によって施用することができる。このために、最初にスプレー混合物を調製し、その後、例えば可能な限り細かく分配するノズルを用いた可動式散布機で施用することが必要となり得る。このための通常の装置および運転技術は、当業者に公知である。
【0122】
散布可能な混合物は、通常、0.0001〜10、好ましくは0.001〜5および特に0.002〜2.0重量%の殺菌性トリアゾールを含む。通常のスプレー混合物の調製のため、例えば0.2〜5.0、好ましくは0.3〜3.0および特に0.35〜2.0 lの、本発明の殺菌性トリアゾールを含む組成物を、水で10〜2000 l、好ましくは50〜1500 lおよび特に100〜1000 lまで希釈してよい。適切な場合、(スプレー混合物に基づき)0.1重量%〜5重量%の付加的な補助剤を上記のスプレー混合物に添加してよい。このような補助剤の材料の例として、デンプンおよびデンプン誘導体(例えばカルボキシル基およびスルホ基を含有するデンプン(Union Carbide社のNu Film))、ならびに展着剤および増量剤(例えばMiller Chemical & Fertilizer社のVapor Guard)が挙げられる。
【0123】
殺菌性トリアゾールの施用はクロロシスを誘導し得る。また、クロロシスはトリアゾールの取り込みに関連していると考えられるため、トリアゾールの取り込みを促進する薬剤は、クロロシスおよびひいてはクロロシス関連の損傷を増強することが予測される。
【0124】
クロロシスは、通常は緑色の植物組織の、クロロフィル量の減少による黄変または白化として見られる緑色植物の病態として定義される。本発明によれば、クロロシスは、トリアゾールにより誘導されるクロロシス、とりわけ処理後7、14、21、28または35日のクロロシスを指すことを意味する。
【0125】
驚くべきことに、本発明による1モル平均7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの使用が、殺菌性トリアゾールにより誘導されるクロロシスを減少させることが見出されている。このため、
・このようなエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを欠きもしくは含まず、
・異なるモル平均エトキシ化度(すなわち、7.5未満のもしくは8.5より高い1モル平均エトキシ化度)を有する2-プロピルヘプタノールを含みもしくは包含するか、または
・2-プロピルヘプタノール以外の一または複数のアルコキシル化アルコールを含みもしくは包含する、
殺菌性トリアゾール関連組成物およびその使用と比較して、本発明の殺菌性トリアゾールによって誘導されるクロロシスは少ないことが観察される。
【0126】
このように、本発明によれば、1モル平均7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを安全化剤として使用することができる。安全化剤は、通常、特定の作物に対する農薬の植物毒性を除去または低減するために農薬製剤に添加される物質である。本発明のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの安全化剤としての作用は、本発明の殺菌性トリアゾールによる植物クロロシスの誘導がないか、または顕著ではないという点において自ずと明らかである。
【0127】
本発明による、殺菌性トリアゾールにより誘導されるクロロシスの低減は、上記の処理が、殺菌性トリアゾールおよびエトキシ化 2-プロピルヘプタノールをクロロシスになりやすい植物の部分に施用することを含む場合に特に重要である。クロロシスになりやすい植物の部分としては、特に葉と茎が挙げられる。
【0128】
本明細書の記載の範囲内において、「量」とは、通常、他に特定されない限り、組成物の総重量についての量を指す。本発明によれば、「本質的に」という表現は、通常、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%および特に少なくとも98%の百分率を表す。
【0129】
本発明は、以下の実施例によってさらに完全に例示される:
【実施例】
【0130】
実施例1:メトコナゾールで処理したダイズにおけるクロロシス
a) 2-プロピルヘプタノール x 8 EO 対 C9〜C11アルコール x 6 EO
製剤Aは、C9〜C11アルコール x 6 EO(60%)、ジエチレングリコール(31%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0131】
製剤Bは、2-プロピルヘプタノール x 8 EO(60%)、ジエチレングリコール(31%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0132】
各製剤を水と混合し、1ヘクタール当たり100リットル相当量でダイズにスプレーした。
【0133】
上記の製剤について、2種類の施用率:50g(活性成分)メトコナゾール/haおよび100g(活性成分)メトコナゾール/haを用いた。
【0134】
結果は以下のとおりにまとめられる:

b) エトキシ化度を変化させる
製剤Bは、2-プロピルヘプタノール x 8 EO(60%)、ジエチレングリコール(31%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0135】
製剤Cは、2-プロピルヘプタノール x 6 EO(60%)、ジエチレングリコール(31%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0136】
製剤Dは、2-プロピルヘプタノール x 10 EO(60%)、ジエチレングリコール(31%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0137】
各製剤を水と混合し、1ヘクタール当たり100リットル相当量でダイズにスプレーした。
【0138】
上記の製剤について、2種類の施用率:50g(活性成分)メトコナゾール/haおよび100g(活性成分)メトコナゾール/haを用いた。
【0139】
結果は以下のとおりにまとめられる:

c) 2-プロピルヘプタノール x 8 EOの濃度を変化させる
製剤Bは、2-プロピルヘプタノール x 8 EO(60%)、ジエチレングリコール(31%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0140】
製剤Eは、ジエチレングリコール(91%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0141】
製剤Fは、2-プロピルヘプタノール x 8 EO(10%)、ジエチレングリコール(81%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0142】
製剤Gは、2-プロピルヘプタノール x 8 EO(20%)、ジエチレングリコール(71%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0143】
製剤Hは、2-プロピルヘプタノール x 8 EO(40%)、ジエチレングリコール(51%)、およびメトコナゾール(9%)を用いて調製した。
【0144】
各製剤を水と混合し、1ヘクタール当たり100リットル相当量でダイズにスプレーした。
【0145】
上記の製剤について、2種類の施用率:50g(活性成分)メトコナゾール/haおよび100g(活性成分)メトコナゾール/haを用いた。
【0146】
結果は以下のとおりにまとめられる:


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a1) 殺菌性トリアゾール;および
(b1) 1モル平均 7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノール
を含む組成物。
【請求項2】
エトキシ化度が約8である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
エトキシ化 2-プロピルヘプタノールが式(I):
R-O-(C2H4O)x-H (I)
[式中、Rが2-プロピルヘプチルであり、かつx が8である]
のエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%または少なくとも95重量%含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
トリアゾールが、メトコナゾール、トリアジメノール、トリアジメホン、シプロコナゾール、テブコナゾール、ウニコナゾール、パクロブトラゾール、イプコナゾール、プロチオコナゾール、テトラコナゾール、エポキシコナゾール、プロピコナゾール、トリチコナゾール、ジフェノコナゾール、フェンブコナゾールおよびフルシラゾール、ならびに農業的に利用可能なそれらの塩からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
トリアゾールが、メトコナゾールまたは農業的に利用可能なその塩である、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
成分(a1)が組成物の総重量に基づいて1重量%超の量である、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
成分(a1)が組成物の総重量に基づいて2.5重量%超の量である、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
成分(b1)が組成物の総重量に基づいて10重量%超の量である、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
成分(b1)が組成物の総重量に基づいて20重量%超の量である、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
分散製剤(DC)である、請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
害菌から植物を保護するための、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項12】
少なくとも2つの容器を有するキットであって
(a) 第1の容器は殺菌性トリアゾールを含み;および
(b) 第2の容器は1モル平均 7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを含む、上記キット。
【請求項13】
エトキシ化 2-プロピルヘプタノールが請求項1〜10のいずれか1項記載のものである、請求項12記載のキット。
【請求項14】
殺菌性トリアゾールが請求項1〜10のいずれか1項記載のものである、請求項12または13記載のキット。
【請求項15】
害菌から植物を保護するための、請求項12〜14のいずれか1項記載のキットの使用。
【請求項16】
殺菌性トリアゾールを用いた植物の処理におけるアジュバントとしての1モル平均 7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの使用。
【請求項17】
トリアゾールの効果を改善するための、請求項16記載の使用。
【請求項18】
殺菌性トリアゾールの効果が、植物によるトリアゾールの良好な取り込みにより改善される、請求項17記載の使用。
【請求項19】
トリアゾールが葉より取り込まれる、請求項18記載の使用。
【請求項20】
害菌より植物を保護するための方法であって、(a1) 殺菌性トリアゾールおよび(b1) 1モル平均 7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを用いて植物を処理することを含む、上記方法。
【請求項21】
植物が作条作物、野菜作物、果実作物および観賞植物からなる群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
害菌がさび病菌、胴枯れ病菌、斑点病菌またはうどん粉病菌から選択される、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
処理が出芽後処理である、請求項20〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
処理がスプレー処理である、請求項20〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
処理が、クロロシスになりやすい植物の一部にトリアゾールおよびエトキシ化 2-プロピルヘプタノールを用いることを含む、請求項20〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
クロロシスになりやすい植物の一部が葉である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
エトキシ化 2-プロピルヘプタノールが、請求項1〜10のいずれか1項に記載されるものである、請求項20〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
殺菌性トリアゾールが、請求項1〜10のいずれか1項に記載されるものである、請求項20〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
殺菌性トリアゾールにより誘導されるクロロシスを減少させるための1モル平均 7.5〜8.5のエトキシ化度を有するエトキシ化 2-プロピルヘプタノールの使用。
【請求項30】
クロロシスが、適用後のトリアゾールの取り込みにより誘導される、請求項29記載の使用。
【請求項31】
エトキシ化 2-プロピルヘプタノールが、請求項1〜10のいずれか1項に記載されるものである、請求項29または30記載の使用。
【請求項32】
殺菌性トリアゾールが、請求項1〜10のいずれか1項に記載されるものである、請求項29〜31のいずれか1項記載の使用。

【公表番号】特表2010−511675(P2010−511675A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539756(P2009−539756)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063417
【国際公開番号】WO2008/068307
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】