説明

殺菌灯装置及び殺菌灯装置付便器

【課題】 殺菌灯装置に傾斜検知手段を設け、便座蓋の開蓋時の傾斜角度差を殺菌灯装置取付時に簡単に調整出来るようにする。
【解決手段】 殺菌灯装置内に傾斜検知手段16を配設し、この傾斜検知手段16のケーシング28及び29に対し、常に重力方向を指す円盤30を回動自在に配設し、ケーシング28及び29を微調整手段19及び26で回動可能として、円盤30とケーシング28及び29に刻設した円筒目盛17と円盤目盛23を合せる様に微調整手段19及び26に調整して、傾斜角度差を簡単に補正する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌灯装置に関し、特に便器に取り付けて便器の殺菌を行う殺菌灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から便器本体の周縁部を覆う様に便器本体に開閉自在と成された便座と、この便座及び便器本体を覆う様に開閉自在と成された便器蓋とから成る便器の便器蓋の裏面に殺菌灯を装着させる様に成した構成は実開平1−90500号公報や、実開平1−159798号公報等に開示されている。
【0003】例えば、実開平1−90500号公報には図7及び図8に示す様に、便器本体1と、この便座本体1の開口周縁部4を覆う様に且つ便器本体1に、開閉自在に枢支された便座2と、更に、便器本体1の開口部と便座2とを覆う様に同じく便器本体1に開閉自在と成された便器蓋3とより構成された便器5の便座蓋3の裏側に殺菌灯15を配設する様に成されている。
【0004】上述の構成で、便器蓋3及び便座2を水槽7に仮想線で示す様に略々垂直に立て掛けた時には殺菌灯15が消灯され、便座蓋3を実線で示す様に便座2及び便器本体1を覆う様に閉蓋させた状態では殺菌灯15が点灯し、タイマー等を介して所定時間、殺菌を行なう様に成されている。
【0005】更に、実開平1−159798号公報では便器蓋3の閉蓋時にタイマー付スイッチ8が押圧されて殺菌灯15が点灯される構成が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来構成の殺菌灯装置によればタイマー付スイッチ8を配設する位置は便座蓋3の枢軸部近傍に限定されるために押圧力が大きくなって、タイマー付スイッチ8を破損させる度合いが多いだけでなく、メーカに依って形状及び重量の異なる便座蓋3と成されている為に、スイッチ「オン」「オフ」時の押圧力を調整することが出来ない問題があった。
【0007】本発明は叙上の問題点を解消可能な殺菌灯装置及び殺菌灯装置付便器を提供しようとするものであり、本発明の問題を解決するための課題は便座蓋3の形状や重量に関係なく、簡単に取付が出来て、殺菌灯を点滅制御する場合に、極めて簡単に便座蓋3の形状に対応して調整可能な傾斜状態検知付のスイッチング手段を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の殺菌灯装置はその例が図1に示されている様に、殺菌灯15を着脱自在に配設可能な筐体13と、この筐体13に配設された傾斜状態検知手段16と、筐体13に嵌め合せられる開口部10を設けたカバー12とより成るものである。
【0009】本発明の殺菌灯装置付便器はその例が図2及び図5に示されている様に便器本体1と、この便器本体1に開閉自在に枢着された便座2と、この便器本体1及びこの便座2を覆う便器蓋3とを具備し、この便器蓋3の裏面に傾斜状態検知手段16及び殺菌灯15を装着させ、便器蓋3の開蓋時に傾斜状態検知手段16が水平状態を検知して、殺菌灯15を点灯して成るものである。
【0010】本発明の殺菌灯装置によれば、殺菌灯15と傾斜状態検知手段16とを筐体13に一体的に配設したので、便座蓋3等の被取付体の形状や取付位置並びに重量に左右されずに簡単に取付が可能で、且つ点灯及び消灯を調整することで、点灯及び消灯を確実に行なうことが出来るものが得られる。
【0011】更に、本発明の殺菌灯装置付便器によれば、殺菌灯装置の便器蓋3が各メーカによって取付状況及び傾斜度合いが異なっていても、調整が簡単に行なえるために容易に取付可能なものが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の殺菌灯装置及び殺菌灯装置付便器を図1乃至図6について詳記する。
【0013】図1A〜Fは本発明の殺菌灯装置のカバー及び筐体に取付けられた殺菌灯及び傾斜状態検知手段の平面及び正面並びに側面図を示すもので、カバーは図1A乃至図1Cに示す様に合成樹脂或は金属板等で構成され、略々側面がアーチ状と成され、正面から視て、左右上面に所定のアールを持たせた有底開口直方体状と成されて、カバー筐体9を構成している。
【0014】このカバー筐体9の上面から正面側及び後面側に向って複数の開口部10が形成されると共に、傾斜検知手段16を覆う部分に後述する目盛を視るために必要に応じて窓等を形成して、カバー12が構成される。
【0015】又、筐体13は金属又は合成樹脂等で箱形の直方体状に形成され、ソケット取付部14L及び14R間に拡散用鏡面14を山形に形成し、ソケット取付部14L及び14Rに夫々配設したソケットに殺菌灯15のソケットピンを挿通して嵌着させる。
【0016】拡散用鏡面14は殺菌灯15として使用される紫外線ランプから放射される主に253.7nmの紫外線を反射する様な材質の鏡面に選択される。
【0017】殺菌灯15としての紫外線ランプは管電力4W〜40W程度が選択可能であり、殺菌力は照射量に大きく依存する。又、照射量は照射時間×照射強度と成る為にタイマーによる照射時間によって管電力及び照射量が選択される。
【0018】筐体13に設けた図1Fの左側のソケット取付部14Lの左側に設けた空間部18には後述する傾斜検出スイッチ等より成る傾斜検出手段16が配設される。
【0019】上述の傾斜検出手段16の筐体13への取付は例えば図2に示す様に取り付けられている。図2の傾斜検知手段16は筐体13の左側のソケット取付部14Lから空間部18側に延設したJ字状に形成した取付金具20により締付ネジ21により片持支持されている。
【0020】傾斜検知手段16の一側にはギヤー19が形成され、このギヤー19と対向する様に微調用ギヤー(以下ピニオンと記す)26が噛合せられ、調整ノブ22を微調整することでギヤー19を含む円筒状の円筒ケーシングが時計又は反時計方向に回動する様に成されている。
【0021】又、傾斜検知手段16の円筒ケーシングの円周には円筒目盛17が、又、後述する円筒ケーシング内部に回動自在に枢着した円盤30の外周面には円盤目盛23が形成され、これらを一直線上に合せることで回転角度位置を調整ノブ22で微調整出来る様に成されている。
【0022】上述の構成に於いて、殺菌灯15の電極ピンをソケット25のピン挿入口に挿入し、回転させることで、殺菌灯15をソケット25間に保持する。更に図1A乃至図1Cで詳記したカバー12を筐体13に嵌着固定することで殺菌灯装置が組み立てられる。
【0023】次に図3及び図4によって、本例に用いる傾斜検知手段16を説明する。図3は分解斜視図、図4A及び図4Bは組立側断面及び正面図を示すものである。
【0024】図3及び図4で第1の円筒ケーシング28は有底円筒状と成され、透明な合成樹脂部材で形成され、有底部にはスパーギヤー19が形成されている。このスパーギヤー19部分の外径は第1の円筒ケーシング28の外径より大きく選択されている。
【0025】又、スパーギヤー19の中心部には軸37が貫通する透孔19aが穿たれ、第1の円筒ケーシング28内には筒状の受光素子収納部31が有底部のスパーギヤー19の一側面から植立され、第1の円筒ケーシング28の外周を4等分(90度間隔)する位置で且つ、第1の円筒ケーシング28の軸方向に沿って円筒目盛17が刻設され、黒色塗料等が充填されている。勿論、透明の合成樹脂より成る、第1の円筒ケーシング部分と金属のギヤーとを別体に構成する様に成すことも出来る。
【0026】受光素子収納部31内にはフォトダイオード等の受光素子34が挿入され、受光素子収納部31の底面に穿った透孔19bから受光素子34の接続ワイヤーを引き出す様に成されている。
【0027】図2で説明した取付金具20は略J字状に形成した平板の一端を折り曲げてコ字状部20aを形成し、このコ字状部20aに透孔40を形成してピニオン26をコ字状部20a内に遊嵌させ、調整ノブ22に形成した軸39を透孔40及びピニオン26の中心孔に通してギヤー19と噛合せて回動可能に枢着させる。
【0028】軸37は雄ネジ部37c及び透孔19aよりも大きい直径のフランジ部37a並びにカラー37bと、このカラー37bに延設して一体に形成された小径軸37dより構成されている。
【0029】軸37aの雄ネジ部37cは第1の円筒ケーシング28の透孔19a及び取付金具20の一端に形成された透孔41に挿通され、ワッシャ27及び雌ネジ21aが形成された締付ネジ21で第1の円筒ケーシング28は取付金具20に固定される。
【0030】第2の円筒ケーシング29も第1の円筒ケーシング28と同径の透明合成樹脂で有底円筒状に形成され、円筒外周に円筒目盛17を第1の円筒ケーシング28と同様に形成し、有底部から円筒状の発光素子収納部32を植立させる。この植立位置は第1の円筒ケーシング28の有底部に植立した受光素子収納部31と対向する位置に配され、LED等の発光素子33が発光素子収納部32内に挿入され、固定される。発光素子収納部32の底面には透孔が穿たれて発光素子33への電圧供給ワイヤーが引き出される様に成されている。
【0031】円盤30は光遮光材料で構成され、その外径が第1及び第2の円筒ケーシング28及び29の内径よりやや小さく形成し、中心部に軸受カラー30aを形成し、軸37の小径軸37dを遊嵌する様に摩擦の小さい、ころがり軸受と成され、Cリングの様な抜け止め38で固定し、小径軸37dに対し、円盤30が回動自在と成る様に構成する。
【0032】円盤30の下端には重錘36等を付加して、円盤30が常時一定の重力方向を指す様に成され、この重錘36と中心軸を結ぶ線上で発光素子33及び受光素子34が対向する位置に1つの透孔35aを穿つ、この透孔35aと対向する180°はなさた位置に2つ目の透孔35bが穿たれ、且つ、この直線上で円盤の外周を4等分する90度角位置に円盤目盛23が刻設され、黒色塗料が充填される。
【0033】第1の円筒ケーシング28及び第2の円筒ケーシング29は図4Aに示す様に突き合されて接合、或は螺着等の方法で一体化され傾斜検知手段16が組立てられる。
【0034】図4Bの正面図には円盤目盛23位置と円盤目盛17位置との関係が解り易い様に、その位置関係を模式的に示している。
【0035】図4A及び図4Bの様に組立てられた傾斜検知手段16は図1D〜F及び図2の様に筐体13上に配設されて殺菌灯装置が組立てられる。
【0036】この様な殺菌灯装置は図5Aの様に便器5の便座2に回動自在に枢着された便座蓋3を開蓋した状態で、その内(裏)側に、且つ便座2の奥行方向に沿って螺着又は接合等で固定させる。
【0037】この状態では殺菌灯装置内の傾斜検出手段16のA部分のスイッチング手段を形成する発光素子33及び受光素子34から成るホトインタラプタ間に配設した遮光板を形成する円盤30に穿った透孔35aは便座蓋3が水平状態から回動され、略垂直状態と成された略90度回動した位置に持ち来される。
【0038】即ち、第1及び第2の円筒ケーシング28及び29が便座蓋3と共に回動しても円盤30の透孔35aの位置は重錘36によって常に重力方向に位置されている為に受光素子34には発光素子33からの照射光が円盤30によって遮光される為にスイッチは「オフ」状態と成され、シーケンサ或はマイクロコンピュータ(CPU)45等には検出信号が導出されず商用電源46に接続されたシーケンサは殺菌灯15に電圧を供給せず殺菌灯15は消灯状態と成される。
【0039】次に図5Bの様に便座2上に便座蓋3を閉蓋すると、殺菌灯装置内に配設されている傾斜検知手段16はBの拡大図に示す様に、ホトインタラプタを形成する発光素子33からの照射光は円盤30の透孔35aを通して受光素子34に達するため受光素子34は傾斜状態を感知して、スイッチング手段としては「オン」状態と成り、傾斜検知信号をシーケンサ或はCPU45に供給する。
【0040】シーケンサ45にはタイマー機構を有し、(CPUの場合はそれ自身時計機能を有している場合が多いので、この時計機能を用いる)所定の時間、殺菌灯15を点灯する様に制御される。
【0041】本発明の殺菌灯装置及び殺菌灯装置付便器によれば便座蓋3がメーカによって、或は取付状態により夫々傾きが異なっても正確に殺菌灯15が点灯或は消灯可能な様に定位置を合せる様な調整が可能と成る。
【0042】図6A〜Dは、この様な調整方法を説明する為の説明図であり、以下調整方法の一例を図6A〜Dで詳記する。
【0043】図6Aは殺菌灯装置が便座蓋3に取付けられ、便座蓋3が便座2上に閉蓋され、傾斜検知手段16のスイッチ基準面47と便座蓋3の器具本体基準面48が傾斜検知手段16の円盤30と、第1及び第2の円筒ケーシング28及び29の水平面49と一致し、垂直軸50が水平軸49と直交し、発光素子33の照射光は円盤30の透孔35aを通過して受光素子34に照射され、殺菌灯15は点灯された状態を示す。この場合は第1及び第2の円筒ケーシング28及び29の外周に刻設した円筒目盛17と円盤30の外周に刻設した円盤目盛23は一致している。
【0044】然し、便座蓋3に殺菌灯装置を取付けた時に図6Bに示すように第1及び第2の円筒ケーシング28及び29と円盤30との水平及び垂直軸が夫々θ度傾いたとすると発光素子33からの照射光は透孔35a位置は重力方向にあるため受光素子34には達せず殺菌灯15を点灯することが出来ない。
【0045】この状態では、円筒目盛17と円盤目盛23が不一致であるから、図6Cに示す様に、例えばピニオン26の調整ノブ22を反時計方向に回動させ、このピニオン26と噛合させたギヤー19によって第1及び第2の円筒ケーシング28及び29を時計方向に回転させ、図6Dに示す様に受光素子34及び発光素子33位置を円盤30の透孔35a位置に持ち来す様にする。即ち、円筒目盛17と円盤目盛23とを一直線上に揃える様に調整することでメーカ差による便座蓋3の傾斜角度の違いによるスイッチング時の角度差を簡単に調整することが出来るものが得られる。
【0046】尚、上述の実施例では傾斜検知手段内に配設した光結合素子として第1及び第2の円筒ケーシング28及び29内に受光素子収納部31及び発光素子収納部32を形成し、受光素子34としてホトダイオードを発光素子33として発光ダイオードを配設したが、ランプ、ELや光導電素子、ホトトランジスタ、PINホトダイオード等を用いることも出来る。
【0047】又、図5に示したホトインタプラを用いることで受光素子収納部31及び発光素子収納部32を省略する様に成してもよい。
【0048】更に、円盤30を透明円盤とし、透孔35a及び35b位置に検出すべき黒色塗料を塗布したマークを施して、発光素子33からの照射光によってマークが遮断された状態を検知して、傾斜状態を感知してスイッチングを行なう様に成してもよい。
【0049】
【発明の効果】本発明の殺菌灯装置及び殺菌灯装置付便器によれば便座蓋3の形状や重量に関係なく、簡単に取付が出来て、殺菌灯を点滅制御する場合に、極めて簡単に便座蓋3の形状に対応して調整可能な傾斜状態検知スイッチング手段が得られる。即ち、本発明の殺菌灯装置によれば、殺菌灯15と傾斜状態検知手段16とを筐体13に一体的に配設したので、便座蓋3等の被取付体の形状や取付位置に左右されずに簡単に取付が可能で、且つ点灯及び消灯を調整して、確実に行なうことが出来るものが得られる。
【0050】更に、本発明の殺菌灯装置付便器によれば、殺菌灯装置の便器蓋3が各メーカによって取付状況及び傾斜度合いが異なっていても、調整が簡単に行なえるために容易に取付可能なものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の殺菌灯装置の構成図である。
【図2】本発明の傾斜検知手段の組立斜視図である。
【図3】本発明の傾斜検知手段の分解斜視図である。
【図4】本発明の傾斜検知手段の組立図である。
【図5】本発明の殺菌灯装置取付時の動作説明図である。
【図6】本発明の角度調整方法説明図である。
【図7】従来の便器の側面図である。
【図8】従来の便器の正面図である。
【符号の説明】
9 カバー筐体
10 開口窓
12 カバー
13 筐体
15 殺菌灯
16 傾斜検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺菌灯を着脱自在に配設可能な筐体と、上記筐体に配設された傾斜状態検知手段と、上記筐体に嵌め合せられる開口部を設けたカバーとより成ることを特徴とする殺菌灯装置。
【請求項2】 前記傾斜状態検知手段はケーシング内に回動自在に枢支された常時、重心が重力方向を示す遮光部材と、上記遮光部材に穿った透孔と対向する様に上記ケーシング内に配設した発光及び受光手段とを具備して成ることを特徴とする請求項1記載の殺菌灯装置。
【請求項3】 前記傾斜状態検知手段はケーシング内に回動自在に枢支された常時、重心が重力方向を示す透光部材と、上記透光部材に形成したマーキングと対向する様に上記ケーシング内に配設した発光及び受光手段とを具備して成ることを特徴とする請求項1記載の殺菌灯装置。
【請求項4】 便器本体と、上記便器本体に開閉自在に枢着された便座と、上記便器本体及び上記便座を覆う便器蓋とを具備し、上記便器蓋の裏面に傾斜状態検知手段及び殺菌灯を装着させ、該便器蓋の閉蓋時に該傾斜状態検知手段が水平状態を検知して、該殺菌灯を点灯して成ることを特徴とする殺菌灯装置付便器。

【図1】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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