説明

殺菌装置

【課題】従来よりも殺菌効率を向上させることができると共に寿命も長くすることができる殺菌装置を提供する。
【解決手段】一対の電極3と、前記電極3に接続され、前記電極3の極性を反転可能に形成された極性反転部4と、抗菌性金属及び抗菌性金属化合物から選ばれる抗菌性物質5並びに導電性物質6で多孔質状に形成された殺菌部7とを備え、前記電極3の一方が前記殺菌部7から離間して設置され、前記電極3の他方が前記殺菌部7に接続されて形成されている。水を前記電極3の一方の側から前記殺菌部7を通過させて前記電極3の他方の側に流すと共に、前記極性反転部4により前記殺菌部7を正に荷電させることによって、前記水を前記殺菌部7により殺菌する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の細菌類を殺菌するのに用いられる殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水中の細菌類を殺菌するにあたっては、例えば、活性汚泥によって処理した後の処理水中に亜酸化銅等を添加して殺菌処理し、その処理水を再利用水として回収する方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、殺菌装置として、被処理水循環手段と、細菌収集手段と、細菌吸着手段と、殺菌手段とを備えたものも知られている(特許文献2)。
【0004】
さらに、殺菌性成分を含む非導電性の殺菌性部材と、水中に電界を形成するための導電性の電界形成部材とを有する水除菌装置も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−290291号公報
【特許文献2】特開平9−94573号公報
【特許文献3】特開2008−43889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された発明では、単に亜酸化銅等を処理水中に添加しているだけであるため、亜酸化銅等が短期間で酸化して殺菌能力を失ってしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された発明では、殺菌は、殺菌手段のタンクから次亜塩素酸を細菌収集手段に注入して行うものであるため、有害なトリハロメタン等が生成されるという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載された発明では、銅イオン等を含有する有機材料からなる殺菌性部材が用いられているが、この殺菌性部材も酸化しやすいものであるという問題がある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、従来よりも水の殺菌効率を向上させ、飲用としても安全な処理水を得ることができると共に寿命も長くすることができる殺菌装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る殺菌装置は、一対の電極と、前記電極に接続され、前記電極の極性を反転可能に形成された極性反転部と、抗菌性金属及び抗菌性金属化合物から選ばれる抗菌性物質並びに導電性物質で多孔質状に形成された殺菌部とを備え、前記電極の一方が前記殺菌部から離間して設置され、前記電極の他方が前記殺菌部に接続されて形成され、水を前記電極の一方の側から前記殺菌部を通過させて前記電極の他方の側に流すと共に、前記極性反転部により前記殺菌部を正に荷電させることによって、前記水を前記殺菌部により殺菌することを特徴とするものである。
【0011】
前記殺菌装置において、前記殺菌部が、前記抗菌性物質の粒子と、前記導電性物質の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものとを混合して形成されていることが好ましい。
【0012】
前記殺菌装置において、前記導電性物質の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものを担体として前記担体に前記抗菌性物質の粒子が担持されていることが好ましい。
【0013】
前記殺菌装置において、前記殺菌部が、前記導電性物質で形成された導電性通水容器に前記抗菌性物質の粒子が充填されて形成されていることが好ましい。
【0014】
前記殺菌装置において、前記殺菌部が、多孔質容器に前記抗菌性物質の粒子が充填され、前記充填箇所に前記導電性物質が前記電極の他方として設置されて形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、殺菌部を正に荷電させることによって、負に荷電していることが多い細菌類をより電気的に吸着・保持しやすくなり、従来よりも水の殺菌効率を向上させ、飲用としても安全な処理水を得ることができると共に、殺菌装置の不使用時に電極の極性を反転させて殺菌部を負に荷電させることによって、抗菌性物質を還元雰囲気に保ち、酸化を抑制することができ、殺菌装置の寿命を長くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る殺菌装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】(a)は殺菌部の一例を示す概略断面図であり、(b)は殺菌部の他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る殺菌装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る殺菌装置の他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は本発明に係る殺菌装置の一例を示すものであり、この殺菌装置は、陽極1及び陰極2からなる一対の電極3と、これらの電極3に電気的に接続された極性反転部4と、抗菌性物質5及び導電性物質6で多孔質状に形成された殺菌部7とを備えて形成されている。なお、一対の電極3間に電圧を印加するための電源10は、殺菌装置に内蔵されていてもよく、殺菌装置の外部に設置されていてもよい。
【0019】
ここで、殺菌部7は、絶縁材料で筒状に形成された殺菌槽11の内部を上流室12と下流室13とに区画するように設けられている。殺菌槽11には、殺菌処理する前の水(被処理水)を上流室12に流入させるための流入管14と、殺菌処理した後の水(処理水)を下流室13から流出させるための流出管15とが設けられている。なお、水は流入管14から流出管15に至るまで外気に触れないので、図1及び図3(後述)に示すものは密閉型の殺菌装置である。
【0020】
そして、殺菌部7は、その内部を一方の側(上流側)から他方の側(下流側)に水が流れるようにするために多孔質状に形成されている。このような殺菌部7は、抗菌性物質5の粒子と、導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものとを均一に混合して近接させることによって形成することができる。なお、導電性物質6は板状物等であってもよい。
【0021】
例えば、図2(a)は、抗菌性物質5の粒子と導電性物質6の粒子とを混合することによって形成された殺菌部7を示す。ここで、抗菌性物質5としては、抗菌性金属及び抗菌性金属化合物から選ばれるものを用いる。具体的には、抗菌性金属としては、銀、亜鉛、銅、コバルト、ニッケル等を用いることが好ましい。また、抗菌性金属化合物としては、硝酸銀、チオ硫酸銀、塩化亜鉛、硫酸銅等の抗菌性金属の塩や、酸化銅等の抗菌性金属の酸化物や、黄銅等の抗菌性金属の合金等を用いることが好ましい。また、これらの抗菌性金属や抗菌性金属化合物をゼオライト等の多孔質材料の表面に担持したもの等を用いることも好ましい。また、抗菌性物質5の粒子の平均粒子径は1nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがより好ましい。抗菌性物質5の粒子の平均粒子径が1nm以上であれば、この粒子が殺菌部7から脱落したとしても、容易にこの粒子を分離して取り除くことができるものであり、また殺菌装置の下流に濾過材(図示省略)を設置する場合にも濾過材の目詰まりを抑制することができるものである。逆に、抗菌性物質5の粒子の平均粒子径が100μm以下であれば、抗菌性物質5の比表面積が大きくなり、抗菌性能を増大させることができるものである。また、導電性物質6の粒子としては、酸化スズ粒子、アンチモン/スズ酸化物(ATO)粒子、インジウム/スズ酸化物(ITO)粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子、粒子状ステンレス等の粒子状金属及び合金、粒子表面に金属めっき処理を施した粒子、カーボン粒子等を用いることが好ましい。また、導電性物質6の粒子の平均粒子径は10nm〜10mmであることが好ましく、1μm〜5mmであることがより好ましい。導電性物質6の粒子の平均粒子径が10nm以上であれば、この粒子が殺菌部7から脱落したとしても、容易にこの粒子を分離して取り除くことができるものであり、また殺菌装置の下流に濾過材(図示省略)を設置する場合にも濾過材の目詰まりを抑制することができるものである。逆に、導電性物質6の粒子の平均粒子径が10mm以下であれば、この粒子同士を接触させやすくなり、殺菌部7全体の導電性を確保することができるものである。また、抗菌性物質5の粒子100質量部に対して導電性物質6の粒子が好ましくは10〜10000質量部、より好ましくは100〜1000質量部となるようにこれらのものを混合する。導電性物質6の粒子が10質量部以上であれば、この粒子同士を接触させやすくなり、殺菌部7全体の導電性を確保することができるものである。逆に、導電性物質6の粒子が10000質量部以下であれば、殺菌部7の抗菌性能を確保することができる。なお、平均粒子径はレーザ回折・散乱法により測定することができる。
【0022】
また図2(b)は、抗菌性物質5の粒子と導電性物質6の繊維又は棒状物とを混合することによって形成された殺菌部7を示す。ここで、抗菌性物質5としては、上記と同様に抗菌性金属及び抗菌性金属化合物から選ばれるものを用いる。この場合の抗菌性物質5の粒子の平均粒子径も上記と同様であることが好ましい。また、導電性物質6の繊維又は棒状物としては、繊維状ステンレス等の繊維状金属及び合金、メッシュ状ステンレス等のメッシュ状金属及び合金、棒状ステンレス等の棒状金属及び合金等を用いることが好ましい。また、導電性物質6の繊維又は棒状物の平均径は1μm〜10mmであることが好ましく、10μm〜1mmであることがより好ましい。導電性物質6の繊維又は棒状物の平均径が1μm以上であれば、物理的に断裂しにくくなるものである。逆に、導電性物質6の繊維又は棒状物の平均径が10mm以下であれば、殺菌部7の内部に水が流れる隙間を確保することができるものである。また、抗菌性物質5の粒子100質量部に対して導電性物質6の繊維又は棒状物が好ましくは1〜10000質量部、より好ましくは10〜1000質量部となるようにこれらのものを混合する。導電性物質6の繊維又は棒状物が1質量部以上であれば、この粒子同士を接触させやすくなり、殺菌部7全体の導電性を確保することができるものである。逆に、導電性物質6の繊維又は棒状物が10000質量部以下であれば、殺菌部7の抗菌性能を確保することができる。なお、平均径は、所定本数の導電性物質6の繊維又は棒状物の径を光学顕微鏡又は電子顕微鏡により測定し、この測定結果の平均値として求めることができる。
【0023】
そして、抗菌性物質5は細菌類を殺菌する作用を有しているが、図2のように粒子状のものを用いることによって、抗菌性物質5と細菌類との接触面積を十分に確保することができるものである。また、抗菌性物質5の粒子と導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものとが絡み合うことによって、殺菌部7を容易に多孔質状に形成することができ、殺菌部7の内部を水が流れるようにすることができるものである。
【0024】
また、導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものを担体として、この担体に抗菌性物質5の粒子を担持させることが好ましい。このように、抗菌性物質5の粒子が担体に担持されていると、殺菌処理中に抗菌性物質5の粒子が担体から流れ落ちないようにすることができるものである。
【0025】
上記の担持は、例えば、抗菌性物質5の粒子と、導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものとを混合し、この混合物を好ましくは100〜1000℃、より好ましくは200〜500℃に加熱することによって行うことができる。加熱温度が100℃以上であれば、強固に抗菌性物質5の粒子を導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものに担持させることができるものである。逆に、加熱温度が1000℃以下であれば、抗菌性物質5や導電性物質6が変質することを抑制したり、溶融して抗菌性能や導電性が失われることを抑制したりすることができるものである。
【0026】
また、上記の担持は、次のようにして行うこともできる。まず、テトラエトキシシランを1〜10質量部、イオン交換水を0.1〜10質量部、濃度0.01〜1mol/lの硝酸を0.01〜1質量部、エタノールを10〜100質量部反応容器に入れて混合し、1〜100時間攪拌して反応させることによって、テトラエトキシシランの部分加水分解縮重合物を含む溶液を得る。次に、このテトラエトキシシランの部分加水分解縮重合物を含む溶液10〜100質量部に、抗菌性物質5である酸化銅(II)を0.1〜10質量部加えて1〜100分間攪拌することによって、コーティング液を得る。そして、導電性物質6であるステンレス製メッシュ(例えばSUS304製、線径0.01〜1mm、網目0.01〜10mm、2〜1000メッシュ)をコーティング液に1〜100秒間浸漬させ、余分なコーティング液を除去してコーティングした後、100〜500℃で1分〜10時間加熱して乾燥・硬化させることによって、抗菌性物質5が担持された導電性物質6を形成することができる。これを殺菌部7として用いることができる。
【0027】
また、電極3の一方は、図1に示すものでは流入管14に設けられているが、殺菌部7から離間して設置されているのであれば、殺菌槽11の上流室12に電極3の一方を設けるようにしてもよい。また、電極3の他方は、殺菌部7の下流室13側の面に設けられ、殺菌部7に電気的に接続されているが、殺菌槽11とは電気的に絶縁されている。さらに電極3の他方は多孔質状に形成され、殺菌部7から下流室13に水が流れるようにしている。また、極性反転部4は、スイッチ20を設けるなどして電極3の極性を反転可能に形成されている。そのため、スイッチ20を切り替えることによって、電極3の一方を陰極2、他方を陽極1にしたり、電極3の一方を陽極1、他方を陰極2にしたりすることができる。
【0028】
そして、上記のようにして形成された殺菌装置を用いて水を殺菌処理するにあたっては、まず水を電極3の一方の側(上流側)、すなわち流入管14から殺菌槽11の上流室12に流入させ、さらに殺菌部7の内部を通過させて電極3の他方の側(下流側)に流した後、殺菌槽11の下流室13から流出管15に流出させる。このようにして水を流すと同時に、極性反転部4により電極3の一方を陰極2、他方を陽極1として、この陽極1に電気的に接続された殺菌部7を正に荷電(プラスチャージ)させると、殺菌部7の内部を流れる水をこの殺菌部7の抗菌性物質5により殺菌することができるものである。このように、殺菌部7を正に荷電させることによって、負に荷電(マイナスチャージ)していることが多い細菌類をより電気的に吸着・保持しやすくなり、従来よりも水の殺菌効率を向上させ、飲用としても安全な処理水を得ることができるものである。しかも殺菌装置の不使用時に電極3の極性を反転させ、電極3の一方を陽極1、他方を陰極2として、この陰極2に電気的に接続された殺菌部7を負に荷電させることによって、抗菌性物質5を還元雰囲気に保ち、酸化を抑制することができ、殺菌装置の寿命を長くすることができるものである。
【0029】
図3は本発明に係る殺菌装置の他の一例を示すものであるが、図1に示すものと共通する構成及び効果については説明を省略し、相違する構成及び効果について説明する。
【0030】
すなわち、図3に示す殺菌部7は、導電性通水容器8に少なくとも抗菌性物質5の粒子が充填されて形成されている。ここで、導電性通水容器8は、導電性物質6で形成され、通水孔(図示省略)を底面や側面に設けて形成されている。例えば、ステンレスメッシュをカゴ状に形成したものを導電性通水容器8として用いることができる。このように、導電性通水容器8を形成する導電性物質6としては、ステンレス等の金属及び合金等を用いることが好ましい。また、導電性通水容器8には、抗菌性物質5の粒子のほか、導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものが充填されていてもよい。つまり、図2のように抗菌性物質5の粒子と、導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものとを均一に混合して近接させたものが導電性通水容器8に充填されていてもよい。そして、導電性通水容器8の外周と殺菌槽11の内周との間にOリング16を介在させて密接させることによって、殺菌部7が殺菌槽11の内部において固定されている。これにより殺菌装置の使用中に殺菌部7が振動することを抑制することができるものである。また、Oリング16によって殺菌槽11の内部が上流室12と下流室13とに区画されている。このため上流室12の水は必然的に殺菌部7の内部を通過した後に下流室13に流れることになり、殺菌部7を避けて流れることを抑制することができるものである。なお、殺菌槽11の内部に殺菌部7を固定する手段や、殺菌槽11を上流室12と下流室13とに区画する手段は、Oリング16に限定されるものではない。
【0031】
また、電極3の他方は、殺菌部7の導電性通水容器8で形成されているので、この導電性通水容器8は電極3の一方とは電気的に絶縁されている。また、導電性通水容器8の外面には、極性反転部4からのケーブル等の電線23を抜き差し可能に形成されたコネクタ17が設けられている。
【0032】
上記のように図3に示す殺菌装置によれば、殺菌部7はOリング16で殺菌槽11に固定されているだけであるので、コネクタ17から電線23を取り外せば、殺菌部7をカートリッジとして容易に交換することができ、メンテナンス性を向上させることができるものである。また図示省略しているが、既存の水処理装置が、配管内に濾材を設けて形成されたものである場合、この濾材の代わりに上記のような殺菌部7をOリング16等を用いて配管内に後付けし、適宜電極3及び極性反転部4を設置することによって、既存の水処理装置を容易に殺菌装置にすることができるものである。
【0033】
図4は本発明に係る殺菌装置の他の一例を示すものであるが、図1に示すものと共通する構成及び効果については説明を省略し、相違する構成及び効果について説明する。
【0034】
すなわち、図4に示す殺菌部7は、多孔質容器9に少なくとも抗菌性物質5の粒子が充填され、この充填箇所に導電性物質6が電極3の他方として設置されて形成されている。ここで、多孔質容器9は殺菌槽11を兼ねている。
【0035】
多孔質容器9は、開口部18及び底部19を設け、有底筒状に形成されている。図4に示すように、開口部18及び底部19をそれぞれ上下に向けて多孔質容器9を用いる場合には、少なくとも底部19が多孔質であればよい。この場合には、開口部18の上方に流入管14、底部19の下方に流出管15が設けられ、水は、流入管14から開口部18を通って多孔質容器9の内部に流入した後、底部19から流出管15に流出することになる。このように、水は流入管14から多孔質容器9に流入する際や多孔質容器9から流出管15に流出する際に外気に触れるので、図4に示すものは開放型の殺菌装置である。また、多孔質容器9は、絶縁材料及び導電性物質6のいずれで形成されていてもよい。また、多孔質容器9には、抗菌性物質5の粒子のほか、導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものが充填されていてもよい。つまり、図2のように抗菌性物質5の粒子と、導電性物質6の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものとを均一に混合して近接させたものが多孔質容器9に充填されていてもよい。
【0036】
また、電極3の他方は、導電性物質6で形成され、棒状又は板状の挿入部21を1つ又は複数基部22に設けて形成されている。基部22は、極性反転部4と電気的に接続されている。そして、多孔質容器9の抗菌性物質5の粒子が充填された箇所に挿入部21を挿入することによって、導電性物質6を電極3の他方として設置することができる。逆に挿入部21を引き抜くことによって、多孔質容器9と電極3の他方とを分離することができる。
【0037】
上記のように図4に示す殺菌装置によれば、殺菌部7は、抗菌性物質5の粒子が充填された多孔質容器9と電極3の他方とに分離可能に形成されているので、多孔質容器9をカートリッジとして容易に交換することができ、メンテナンス性を向上させることができるものである。また図示省略しているが、既存の水処理装置が、配管の途中に濾材が充填された容器を用いて形成されたものである場合、この容器の代わりに上記のような殺菌部7を後付けし、適宜電極3及び極性反転部4を設置することによって、既存の水処理装置を容易に殺菌装置にすることができるものである。
【符号の説明】
【0038】
3 電極
4 極性反転部
5 抗菌性物質
6 導電性物質
7 殺菌部
8 導電性通水容器
9 多孔質容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、前記電極に接続され、前記電極の極性を反転可能に形成された極性反転部と、抗菌性金属及び抗菌性金属化合物から選ばれる抗菌性物質並びに導電性物質で多孔質状に形成された殺菌部とを備え、前記電極の一方が前記殺菌部から離間して設置され、前記電極の他方が前記殺菌部に接続されて形成され、水を前記電極の一方の側から前記殺菌部を通過させて前記電極の他方の側に流すと共に、前記極性反転部により前記殺菌部を正に荷電させることによって、前記水を前記殺菌部により殺菌することを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
前記殺菌部が、前記抗菌性物質の粒子と、前記導電性物質の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものとを混合して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記導電性物質の粒子、繊維及び棒状物から選ばれるものを担体として前記担体に前記抗菌性物質の粒子が担持されていることを特徴とする請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記殺菌部が、前記導電性物質で形成された導電性通水容器に前記抗菌性物質の粒子が充填されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記殺菌部が、多孔質容器に前記抗菌性物質の粒子が充填され、前記充填箇所に前記導電性物質が前記電極の他方として設置されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−196650(P2012−196650A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63847(P2011−63847)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】