説明

殺虫組成物及び害虫防除方法

【課題】害虫に対する優れた防除効力を有する殺虫組成物、及び害虫防除方法を提供する。
【解決手段】4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとを有効成分として含有する殺虫組成物、4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの有効量を植物または植物の生育場所に施用する害虫の防除方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫組成物及び害虫防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸(例えば、特許文献1参照)は、植物生長調整剤の有効成分として知られている。また、フィプロニル〔化学名:5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール−3−カルボニトリル〕(例えば、特許文献2参照)は、殺虫剤の有効成分として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4087942号公報
【特許文献2】特許第2669538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、害虫に対する優れた防除効力を有する殺虫組成物、及び害虫防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討した結果、4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとを併用することにより、害虫に対する防除効力が向上することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は次の通りの構成をとるものである。
〔1〕 4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとを有効成分として含有する殺虫組成物。
〔2〕 4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの重量比が、1:99〜99:1の範囲である〔1〕に記載の殺虫組成物。
〔3〕 4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとを有効成分として含有する種子処理剤。
〔4〕 4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの有効量が処理されてなる植物種子。
〔5〕 4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの有効量を、植物または植物の生育場所に施用する害虫防除方法。
〔6〕 前記植物が、種子または苗である〔5〕に記載の害虫防除方法。
〔7〕 前記植物が、種黍である〔5〕に記載の害虫防除方法。
〔8〕 前記植物の生育場所が、植物を植えつける前または植えつけた後の土壌である〔5〕に記載の害虫防除方法。
〔9〕 害虫を防除するための、4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの組み合わせの使用。
【0006】
本発明に係る殺虫組成物は、害虫に対して優れた防除効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る殺虫組成物は、4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸(以下、「化合物I」と称する場合がある。)とフィプロニルとを有効成分として含有する。本発明に係る殺虫組成物では、4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとを併用することにより、害虫に対する防除効力が向上するため、フィプロニルを単独で施用する場合に比べ、低い薬量で十分な防除効果を発揮することができる。
【0008】
4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸は、特許第4087942号公報に記載された化合物であり、例えば、当該公報に記載された方法によって合成することができる。
【0009】
4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸は、塩基との塩であってもよい。4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸の、塩基性塩は次に挙げられるものである。
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、またはマグネシウムの塩);アンモニアとの塩;モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ−低級アルキルアミン、ジ−低級アルキルアミン、トリ−低級アルキルアミン、モノ−ヒドロキシ低級アルキルアミン、ジ−ヒドロキシ低級アルキルアミン、トリ−ヒドロキシ低級アルキルアミン等の有機アミンとの塩。
【0010】
フィプロニルは、特許第2669538号公報に記載された化合物であり、例えば、当該公報に記載された方法によって合成することができる。
【0011】
本発明に係る殺虫組成物は、化合物Iとフィプロニルとを単に混合したものでもよいが、化合物I、フィプロニル、及び不活性担体を混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、乳剤、液剤、マイクロエマルジョン剤、フロアブル剤、油剤、水和剤、粉剤、粒剤、微粒剤、種子コーティング剤、種子浸漬剤、燻煙剤、錠剤、マイクロカプセル剤、噴霧剤、エアゾール剤、炭酸ガス製剤、EW剤、カプセル剤、ペレット剤、樹幹塗布剤等に製剤することができる。また、本発明に係る殺虫組成物は、そのまま又はその他の不活性成分を添加して種子処理剤として使用することができる。
【0012】
製剤化の際に用いられる固体担体(希釈・増量剤)としては、例えば、植物性粉末(例えば、大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉等)、鉱物性粉末(例えば、カオリンクレー、フバサミクレー、ベントナイト、酸性白土等のクレー、滑石粉、ロウ石粉等のタルク、珪藻土、雲母粉等のシリカ等)、合成含水酸化珪素、アルミナ、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安)等の微粉末及び粒状物等が挙げられる。これらの固体担体は1種以上(好ましくは1種以上、3種以下)を適当な割合で混合して、使用することができる。
液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノキシエタノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、灯油、燃料油、機械油等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタン、ソルベントナフサ、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、酸アミド類(例えば、N,N−ジ

メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−オクチルピロリドン等)、エステル類(例えば、乳酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、脂肪酸グリセリンエステル、γ−ブチロラクトン等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル等)、カーボネート類(例えば、炭酸プロピレン等)、植物油類(例えば、大豆油、オリーブオイル、亜麻仁油、、ココナッツオイル、ヤシ油、ピーナッツ油、麦芽油、アーモンド油、ゴマ油、鉱油、ロスマリン油、ゼラニウム油、なたね油、綿実油、コーン油、紅花油、オレンジ油等)等が挙げられる。これらの液体担体は1種以上(好ましくは1種以上、3種以下)を適当な割合で混合して、使用することができる。
ガス状担体としては、例えば、フルオロカーボン、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル、炭酸ガス等が挙げられる。これらのガス状単体は1種または2種以上を適当な割合で混合して、または適当な液体担体と組み合わせて使用することができる。
【0013】
界面活性剤としては、例えば、石鹸類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類〔例えば、ノイゲン(商品名)、イー・エー142(EA142(商品名))(以上、第一工業製薬(株)製)、ノナール(商品名)(東邦化学(株)製)〕、アルキル硫酸塩類〔例えば、エマール10(商品名)、エマール40(商品名)(以上、花王(株)製)〕、アルキルベンゼンスルホン酸塩類〔例えば、ネオゲン(商品名)、ネオゲンT(商品名)(以上、第一工業製薬(株)製)、ネオペレックス(花王(株)製)〕、ポリエチレングリコールエーテル類〔例えば、ノニポール85(商品名)、ノニポール100(商品名)、ノニポール160(商品名)(以上、三洋化成(株)製)〕、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類〔例えば、ノイゲンET−135(商品名)(第一工業製薬(株)製)〕、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー類〔例えば、ニューポールPE−64(商品名)(以上、三洋化成(株)製)〕、多価アルコールエステル類〔例えば、トゥイーン20(商品名)、トゥイーン80(商品名)(以上、花王(株)製)〕、アルキルスルホコハク酸塩類〔例えば、サンモリンOT20(商品名)(三洋化成(株)製)、ニューカルゲンEX70(商品名)(竹本油脂(株)製)〕、アルキルナフタレンスルホン酸塩類〔例、ニューカルゲンWG−1(商品名)(竹本油脂(株)製)〕、アルケニルスルホン酸塩〔例えば、ソルポール5115(商品名)(東邦化学(株)製)〕等の非イオン系及びアニオン系界面活性剤が挙げられる。これら界面活性剤は1種以上(好ましくは1種以上、3種以下)を適当な割合で混合して使用することができる。
その他の添加剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)が挙げられる。
【0014】
本発明に係る殺虫組成物において、化合物Iとフィプロニルとの重量比は、通常1:99〜99:1、好ましくは10:90〜99:1、より好ましくは10:90〜90:10の範囲である。散布剤として使用する場合には、通常1:99〜99:1、好ましくは10:90〜90:10の範囲である。種子処理剤として使用する場合には、通常1:99〜99:1、好ましくは10:90〜99:1、より好ましくは10:90〜90:10の範囲である。
【0015】
本発明に係る殺虫組成物において、化合物Iとフィプロニルとの合計量(以下、「本有効成分量」と称する。)は、通常0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜80重量%、さらに好ましくは1〜50重量%の範囲である。乳剤、液剤または水和剤(例えば、顆粒水和剤)に製剤する場合、本有効成分量は、通常1〜90重量%、好ましくは1〜80重量%、さらに好ましくは5〜60重量%の範囲である。油剤や粉剤に製剤する場合、本有効成分量は、通常0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは0.1〜20重量%の範囲である。粒剤に製剤する場合、本有効成分量は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜20重量%の範囲である。
また、本発明に係る殺虫組成物において、液状担体または固体担体は、例えば、1〜90重量%、好ましくは1〜70重量%の範囲であり、界面活性剤は、例えば、1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲である。具体的には、殺虫組成物を液剤に製剤する場合には、例えば、水を20〜90重量%を含有し、界面活性剤を1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%含有する。
【0016】
本発明に係る殺虫組成物は、植物に対して摂食、吸汁等の加害を行う下記の有害生物(例えば、有害昆虫及び有害ダニ等の有害節足動物)による加害から植物を保護することができる。本発明に係る殺虫組成物が防除効力を有する害虫としては、例えば、次の害虫が挙げられる。
【0017】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera citricidus)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)、ターニッシュッドプラントバグ(Lygus lineolaris)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等。
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、サンカメイガ(Tryporyza incertulas)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilaris)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、シバツトガ(Pediasia teterrellus)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、タマナギンウワバ(Plusia nigrisigna)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、アズキサヤムシガ(Matsumuraeses azukivora)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャハマキ(Homona magnanima)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoneella)のホソガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等。
アザミウマ目害虫:ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips parmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、タバコアザミウマの仲間等のアザミウマ類等。
双翅目害虫:イエバエ(Musca domestica)、アカイエカ(Culex popiens pallens)、ウシアブ(Tabanus trigonus)、タマネギバエ(Hylemya antiqua)、タネバエ(Hylemya platura)、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola)、イネキモグリバエ(Chlorops oryzae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)等。
甲虫目害虫:ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus)、マメコガネ(Popillia japonica)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、コーンルートワームの仲間(Diabrotica spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コメツキムシの仲間(Agriotes spp.)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノキクイムシ(Tomicus piniperda)等。
直翅目害虫:トノサマバッタ(Locusta migratoria)、ケラ(Gryllotalpa africana)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)、ハネナガイナゴ(Oxya japonica)等。
膜翅目害虫:カブラハバチ(Athalia rosae)、ハキリアリ(Acromyrmex spp.)、ファイヤーアント(Solenopsis spp.)等。
ゴキブリ目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等。
ダニ目害虫:ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、オリゴニカス属等のハダニ類、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)等のフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等のホコリダニ類、ヒメハダニ類、ケナガハダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等のコナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ホソツメダニ(Cheyletus eruditus)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、ミナミツメダニ(Cheyletus moorei)等のツメダニ類等。
線虫類:イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴメセンチュウ(Nothotylenchus acris)等。
【0018】
化合物Iとフィプロニルとの有効量を、害虫、または害虫の生息する場所もしくは生息する可能性のある場所(植物、土壌等)に施用することにより、害虫を防除することができる。
化合物Iとフィプロニルとの有効量を、植物、または植物の生育場所に施用することにより、害虫を防除することができる。施用対象となる植物とは、茎葉、種子、球根、苗等が挙げられる。なお、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根、及び担根体を意味する。また、苗としては、本明細書においては、挿し木、種黍等を含むものとする。植物の生育場所としては、植物を植えつける前または植えつけた後の土壌等が挙げられる。
植物の害虫、植物、植物の生育場所に施用する場合は、化合物I及びフィプロニルは同時期に別々に施用してもよいが、通常は施用時の簡便性の観点から、本発明の殺虫組成物として施用される。
【0019】
本発明に係る害虫の防除方法としては、具体的には、茎葉散布等の植物の茎葉への処理、土壌処理等の植物の栽培地への処理、種子消毒・種子コート等の種子への処理、苗への処理、種芋等の球根への処理等が挙げられる。
本発明の防除方法における植物の茎葉への処理としては、具体的には、例えば、茎葉散布、樹幹散布等の植物の表面に施用する処理方法が挙げられる。また、移植前の植物に散布してもよく、直接吸収させる処理方法として、植物の全体または根部を浸漬する方法が挙げられる。さらに、鉱物質粉末等の固体担体を用いて製剤化したものを、根部に付着させてもよい。
【0020】
本発明の防除方法における土壌処理方法としては、例えば、土壌への散布、土壌混和、土壌への薬液潅注(薬液潅水、土壌注入、薬液ドリップ)が挙げられ、処理する場所としては例えば、植穴、作条、植穴付近、作条付近、栽培地の全面、植物地際部、株間、樹幹下、主幹畦、培土、育苗箱、育苗トレイ、苗床等が挙げられ、処理時期としては播種前、播種時、播種直後、育苗期、定植前、定植時、及び定植後の生育期等が挙げられる。また、上記土壌処理において、有効成分を植物に同時に処理してもよく、有効成分を含有するペースト肥料等の固形肥料を土壌へ施用してもよい。また、潅水液に混合してもよく、例えば、潅水設備(潅水チューブ、潅水パイプ、スプリンクラー等)への注入、条間湛水液への混入、水耕液へ混入等が挙げられる。また、あらかじめ潅水液と有効成分を混合し、例えば、上記潅水方法やそれ以外の散水、湛水等のしかるべき潅水方法を用いて処理することができる。
本発明の防除方法における種子への処理としては、例えば、害虫から保護しようとする植物の種子、球根等に本発明の殺虫組成物を処理する方法であって、具体的には、例えば、本発明の殺虫組成物の懸濁液を霧状にして種子表面もしくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、本発明の殺虫組成物の水和剤、乳剤又はフロアブル剤等に少量の水を加えるか又はそのままで種子もしくは球根に塗付する塗沫処理、本発明の殺虫組成物の溶液に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
本発明の防除方法における苗への処理としては、例えば、本発明の殺虫組成物を水で適当な有効成分濃度に希釈調製した希釈液を苗全体に散布する散布処理、その希釈液に苗を浸漬する浸漬処理、粉剤に調製した本発明の殺虫組成物を苗全体に付着させる塗布処理が挙げられる。また、苗を植えつける前または植えつけた後の土壌への処理としては、例えば、本発明の殺虫組成物を水で適当な有効成分濃度に希釈調製した希釈液を、苗を植えつけた後に苗及び周辺土壌に散布する方法、粒剤または粉剤等の固形剤に調製した本発明の殺虫組成物を、苗を植えつけた後周辺土壌に散布する方法が挙げられる。
また、本発明の防除方法により、サトウキビへ処理する場合には、例えば、本発明の殺虫組成物を水で適当な有効成分濃度に希釈調製した希釈液を種黍全体に散布する散布処理、その希釈液に種黍を浸漬する浸漬処理、粉剤に調製した本発明の殺虫組成物を種黍全体に付着させる塗布処理が挙げられる。また、種黍を植えつける前または植えつけた後の土壌への処理としては、本発明の殺虫組成物を水で適当な有効成分濃度に希釈調製した希釈液を、種黍を植えつけた後土壌で被覆する前に種黍及び周辺土壌に散布する、または種黍を植えつけて土壌で被覆した後に土壌表面に散布する方法、粒剤または粉剤等の固形剤に調製した本発明の殺虫組成物を、種黍を植えつけた後土壌で被覆する前に種黍及び周辺土壌に散布する、または種黍を植えつけて土壌で被覆した後に土壌表面に散布する方法が挙げられる。
【0021】
化合物Iとフィプロニルとを、植物または植物の生育場所に処理する場合、その処理量は、処理する植物の種類、防除対象である害虫の種類や発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、1000m2あたり本有効成分量として、通常0.1〜2000g、好ましくは10〜1000gの範囲である。土壌に全面混和する場合は、その処理量は、1000m2あたり本有効成分量として通常0.1〜2000g、好ましくは1〜1000gである。
乳剤、水和剤、フロアブル剤、マイクロカプセル剤等は、通常水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本有効成分量の濃度は、通常1〜20000ppm、好ましくは10〜1000ppmの範囲である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
種子への処理においては、種子1粒に対する本有効成分量としては、通常0.01〜10mg、好ましくは0.1〜5mgの範囲であり、種子100kgに対する本有効成分量としては、通常1〜300g、好ましくは5〜100gの範囲である。
苗への処理においては、苗1つに対する本有効成分量としては、通常0.1〜20mg、好ましくは1〜10mgの範囲である。苗を植えつける前または植えつけた後の土壌への処理においては、1000m2あたり本有効成分量としては、通常0.1〜100g、好ましくは1〜50gの範囲である。
サトウキビへの処理においては、種黍1つに対する本有効成分量としては、通常0.1〜100mg、好ましくは1〜50mgの範囲である。種黍を植えつける前または植えつけた後の土壌への処理においては、1000m2あたり本有効成分量としては、通常0.1〜400g、好ましくは1〜200gの範囲である。
【0022】
本発明の防除方法は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地又は非農耕地用にて使用することができる。
また、本発明は、以下に挙げられる「植物」等を栽培する農耕地等において、該植物等に対して薬害を与えることなく、当該農耕地の害虫を防除するために使用することができる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
シバ、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0023】
上記「植物」とは、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、グリホサート等のEPSP合成酵素阻害剤、グルホシネート等のグルタミン合成酵素阻害剤、セトキシジム等のアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、ブロモキシニル、ジカンバ、2,4−D等の除草剤に対する耐性を古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
古典的な育種法により耐性を付与された「植物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系ALS阻害型除草剤に耐性のナタネ、コムギ、ヒマワリ、イネがありClearfield(登録商標)の商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によるチフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤に耐性のダイズがあり、STSダイズの商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によりトリオンオキシム系、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤等のアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物の例としてSRコーン等がある。アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物は、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、1990年、87巻、p.7175−7179等に記載されている。また、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の変異アセチルCoAカルボキシラーゼが、ウィード・サイエンス(Weed Science)、2005年、53巻、p.728−746等に報告されており、こうした変異アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術により植物に導入するかもしくは抵抗性付与に関わる変異を植物アセチルCoAカルボキシラーゼに導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の植物を作出することができる。さらに、キメラプラスティ技術(Gura T.1999.Repairing the Genome's Spelling Mistakes. Science 285:316-318.)に代表される塩基置換変異導入核酸を植物細胞内に導入して植物のアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子やALS遺伝子等に部位特異的アミノ酸置換変異を導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤やALS阻害剤等に耐性の植物を作出することができる。
【0024】
遺伝子組換え技術により耐性を付与された植物の例として、グリホサート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ品種があり、ラウンドアップレディ(RoundupReady(登録商標))、AgrisureGT等の商品名で既に販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ品種があり、リバティーリンク(LibertyLink(登録商標))等の商品名で既に販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるブロモキシニル耐性のワタはBXNの商品名で既に販売されている。
【0025】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成することが可能となった植物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
また、この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、Cry9C、Cry34AbまたはCry35Ab等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素としては、天然型の毒素のアミノ酸の1つまたは複数が置換されている。
これら毒素の例、及びこれら毒素を合成することができる組換え植物は、EP−A−0374753、WO93/07278、WO95/34656、EP−A−0427529、EP−A−451878、WO03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、半翅目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫、線虫類への耐性を植物へ付与する。
【0026】
また、1つもしくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1Ab毒素とCry3Bb1毒素とを発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素と、グルホシネートへの耐性を付与する為にホスフィノトリシン N−アセチルトランスフェラーゼ(PAT)とを発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1Ac毒素とCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標)CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0027】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP−A−0392225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0392225、WO95/33818、EP−A−0353191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0392225、WO95/33818、EP−A−0353191等に記載されている。
【0028】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質等の有用形質を付与した植物も含まれる。例として、VISTIVE(登録商標)(リノレン含量を低減させた低リノレン大豆)あるいはhigh−lysine(high−oil)corn(リジンあるいはオイル含有量を増量したコーン)等が挙げられる。
【0029】
さらに、上記の古典的な除草剤形質あるいは除草剤耐性遺伝子、殺虫性害虫抵抗性遺伝子、抗病原性物質産生遺伝子、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質等の有用形質について、これらを複数組み合わせたスタック品種も含まれる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を製剤例、処理例、及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0031】
製剤例1
化合物I2部とフィプロニル8部とを、キシレン35部とN,N−ジメチルホルムアミド35部との混合物に溶解し、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部を加え、よく攪拌混合して各々の乳剤を得る。
【0032】
製剤例2
化合物I10部とフィプロニル10部とを、ラウリル硫酸ナトリウム4部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末20部、及び珪藻土54部を混合した中に加え、よく攪拌混合して各々の水和剤を得る。
【0033】
製剤例3
化合物I1部とフィプロニル1部とに、合成含水酸化珪素微粉末1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部、及びカオリンクレー65部を加え充分攪拌混合する。ついでこれらの混合物に適当量の水を加え、さらに攪拌し、増粒機で製粒し、通風乾燥して各々の粒剤を得る。
【0034】
製剤例4
化合物I1部とフィプロニル1部とを適当量のアセトンに溶解し、これに合成含水酸化珪素微粉末5部、PAP0.3部、及びフバサミクレー92.7部を加え、充分攪拌混合し、アセトンを蒸発除去して各々の粉剤を得る。
【0035】
製剤例5
化合物I10部、フィプロニル10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部、及び水45部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、各々のフロアブル剤を得る。
【0036】
製剤例6
化合物I0.1部とフィプロニル1部とを、キシレン5部、及びトリクロロエタン5部に溶解し、これを脱臭灯油88.9部に混合して各々の油剤を得る。
【0037】
処理例1
化合物I12.5部とフィプロニル12.5部とに、シクロヘキサノンを65部、ニネート401−Aを5部、ブラアウノンBR−450を5部加え、良く攪拌混合して各々の乳剤を得る。
次いで、該乳剤を水にて1000倍に希釈して希釈液を調製し、該希釈液中にイネの種籾を24時間、種籾の内部に有効成分が吸収されるまで浸漬し、処理種子を得る。
【0038】
処理例2
化合物I12.5部とフィプロニル12.5部とに、製剤用クレー25部、ソルゲンTW−20を50部含むポリビニルアルコール25部、及び水25部をよく攪拌混合してペレット成形用資材を得る。
次いで、該ペレット成形用資材20mgの中心にキャベツ種子を埋設し、球状に成形し乾燥させて、処理種子を得る。
【0039】
処理例3
化合物I12.5部とフィプロニル12.5部とに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50重量%を含むホワイトカーボン20部、及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、各々のフロアブル剤を得る。
ポットを回転させたときに種子を持ち上げるためのリフト羽根の入ったステンレス鋼製のポット(約1200mL容量)にワタ種子を入れ、このポットを約45度の角度に傾け、機械的に回転させることで、ポット内で良好な混合及び転動造粒作用が得られるようにする。
次いで、該フロアブル剤を水にて100倍に希釈し、手持ち式の噴霧器をポットの内部に向け、ワタ種子の転動造粒層の中央に直接噴霧する。さらに、噴霧器を停止させ、低圧空気を種子に吹き付け、種子コーティングをすみやかに乾燥させる。
その後再度手持ち式の噴霧器を使った噴霧を再開する。この噴霧乾燥のサイクルを所望の量の流動性懸濁液が種子に塗布されるまで繰り返し、処理種子を得る。
【0040】
処理例4
化合物I12.5部とフィプロニル12.5部とに、シクロヘキサノンを65部、ニネート401−Aを5部、ブラアウノンBR−450を5部加え、良く攪拌混合して各々の乳剤を得る。
次いで、該乳剤を水にて1000倍に希釈して希釈液を調製し、該希釈液をサトウキビの種黍1つに対し、散布処理する。
【0041】
試験例1
製剤例5に準じて化合物Iとフィプロニルとの混合剤を調製し、水を加えて所定濃度(化合物I100ppmに対しフィプロニル10、50、100、200ppm)になるように希釈して試験用の薬液を得る。また、化合物I及びフィプロニルをそれぞれ単独で乳剤に調整し、水を加えて所定の濃度(10、50、100、200ppm)になるように希釈する。これら試験薬液を、ポリエチレンカップに栽培したカイワレダイコン(発芽後7日)の根元に潅注処理し、25℃で保管する。対照区には、上記有効成分を含まない希釈液を用い、同様に施用する。数日後、カイワレダイコンにハスモンヨトウ(Spodoptera litura)の幼虫を放し、その2日後に健全なカイワレダイコンの数を記録する。
この結果、化合物Iとフィプロニルとを混用した処理区における健全なカイワレダイコンの数は対照区、化合物I単独処理区及びフィプロニル単独処理区における健全なカイワレダイコンの数よりも明らかに多い。
【0042】
試験例2
化合物Iを水に溶解した化合物Iの水溶液と、フィプロニル(プリンスフロアブル:BASFアグロ製品)を水で希釈したフィプロニルの薬液とを適宜混合し、所定濃度の化合物Iとフィプロニルとの試験用混合薬液を調製した。この試験用混合薬液を、90mlのプラスチックカップで栽培土を用いて栽培した発芽後2週間のイネの株元に5ml処理し、その3日後にアワヨトウ(Pseudaletia separata)の初齢幼虫を、植物あたり30匹放した。その3日後に生存虫数を調査し、式Aによって防除率を求めた。
また、比較のために、化合物Iの水溶液を水で希釈して調製した所定濃度の化合物Iの試験用水溶液、及びフィプロニルの薬液を水で希釈して調製した所定濃度のフィプロニルの試験用薬液を用い、それぞれ同様の試験を行った。
その結果を表1に示す。
化合物Iとフィプロニルとの混合処理では、それぞれの単独処理の場合よりも優れた効果が認められた。
【0043】
「式A」
防除率=100×(1−〔(Ts/30)/(Cs/30)〕
Ts及びCsは、それぞれ処理区及び無処理区における生存虫数を表す。
但し、防除率が0を下回る場合(Ts>Cs)はすべて0で表した。
【0044】
【表1】

【0045】
試験例3
化合物Iを水に溶解した化合物Iの水溶液と、フィプロニル(プリンスフロアブル:BASFアグロ製品)を水で希釈したフィプロニルの薬液とを適宜混合し、所定濃度の化合物Iとフィプロニルとの試験用混合薬液を調製した。この試験用混合薬液40mlにイネの種子100粒を浸して30℃で24時間静置した後、90mlのプラスチックカップに栽培土を詰めて15粒ずつ播種した。播種11日後、発芽したイネの苗にトビイロウンカ(Nilaparvata lugens)の初齢幼虫を30匹放した。その7日後に生存虫数を調査し、試験例2と同様に式Aによって防除率を求めた。
また、比較のために、化合物Iの水溶液を水で希釈して調製した所定濃度の化合物Iの試験用水溶液、及びフィプロニルの薬液を水で希釈して調製した所定濃度のフィプロニルの試験用薬液を用い、それぞれ同様の試験を行った。
その結果を表2に示す。
化合物Iとフィプロニルとの混合処理では、それぞれの単独処理の場合よりも優れた効果が認められた。
【0046】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、高い活性を有する殺虫組成物、及び害虫を効果的に防除し得る方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとを有効成分として含有する殺虫組成物。
【請求項2】
4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの重量比が、1:99〜99:1の範囲である請求項1に記載の殺虫組成物。
【請求項3】
4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとを有効成分として含有する種子処理剤。
【請求項4】
4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの有効量が処理されてなる植物種子。
【請求項5】
4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの有効量を、植物または植物の生育場所に施用する害虫防除方法。
【請求項6】
前記植物が、種子または苗である請求項5に記載の害虫防除方法。
【請求項7】
前記植物が、種黍である請求項5に記載の害虫防除方法。
【請求項8】
前記植物の生育場所が、植物を植えつける前または植えつけた後の土壌である請求項5に記載の害虫防除方法。
【請求項9】
害虫を防除するための、4−オキソ−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]−酪酸とフィプロニルとの組み合わせの使用。

【公開番号】特開2011−26291(P2011−26291A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36393(P2010−36393)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】