説明

殺軟体動物活性の増強剤としてのEDDS及びカルシウムイオンの使用

殺軟体動物剤と、エチレンジコハク酸のカルシウム含有塩又はカルシウムイオン及びエチレンジアミンジコハク酸部分を含み、エチレンジアミンジコハク酸1モルにつき少なくとも1モルのカルシウムを有する殺軟体動物活性促進添加剤と、軟体動物の食用に適した担体物質とを含む殺軟体動物組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除化合物に関し、より詳細には、それらの嗜好性、消化、吸収及び残効性の1又は2以上を改善することによって殺軟体動物化合物の効力を増強することによって、有害軟体動物を防除するのに有効な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナメクジ及びカタツムリなどの陸生有肺腹足類は、商業的な農業及び園芸及び家庭菜園に影響を及ぼす重要な植物害虫である。これらの生物は雑食性であり、毎日の採餌行動の間、大量の植物材料を摂取する。その結果として、これらの生物は成長周期のすべての段階で、菜園及び植物作物にさえも重大な損害を与える可能性がある。それらの破壊的能力のため、成長植物の十分な保護を確保するために防除手段を用いなければならない。
【0003】
淡水のカタツムリ、ゴールデンアップルスネイル(Golden Apple Snail)、スクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)、ブリンス属(Bulinsu)の種、ブリヌス属(Bulinus)の種、ビオンファラリア属(Biomphalaria)及びオンコメアニア属(Oncomeania)並びに寄生虫(例えば、住血吸虫属(Schistosoma))の媒介動物を含む水生軟体動物も、有害生物である。水生軟体動物は、いくつかの合成化合物及び植物性化合物によって防除される。陸生有肺腹足類及び水生軟体動物は、本明細書で「軟体動物」と総称される。
【0004】
有害軟体動物を退治(combat)するために、多種多様な手法が用いられている。おそらく、最も一般的なものは、殺軟体動物剤と呼ばれる有毒化合物の使用である。殺軟体動物剤は、食塩(NaCl)、ヒ酸カルシウム、硫酸銅及びメタアルデヒドを含む多様な化合物群を包含する。殺軟体動物剤は、それらの作用様式によって2つの主要な群、(1)接触毒又は(2)食毒に分類される。接触毒として、殺軟体動物剤は、外用によって、又は軟体動物が地面の餌を横断して、軟体動物の外部と物理的に接触しなければならない。毒は軟体動物のタンパク性スライムコートによって拾われ、それが致死量に到達するまで、軟体動物の体内に蓄積する。接触型殺軟体動物剤の主要な欠点の1つは、軟体動物が化学物質と物理的に接触しない場合、それらはほとんど効果を示さないことである。ナメクジ又はカタツムリは、接触殺軟体動物剤が散布(application)された後にある領域に隠れるか又は移動する場合には影響を受けない。
【0005】
接触毒及び食毒として作用する複数の化合物のうちの1つは、メタアルデヒドである。この化合物は、軟体動物を誘引し、化合物の摂取後それらを死滅させる、持続性の餌として一般に用いられる。その高い効果及びその商品の人気にもかかわらず、メタアルデヒドは高等哺乳動物に有毒であり、米国及び欧州においては家畜動物中毒の主要な原因である。
【0006】
亜鉛、アルミニウム、銅及び鉄を含む重金属のすべては軟体動物に有毒であり、塩又はキレートの形の接触毒として用いる場合、有効な殺軟体動物剤であることが公知である(Henderson, et al. 1990)。しかし、おそらくそのような化合物の多くが軟体動物の口に合わず、有効となるのに十分な量で摂取されないので、それらの少数しか商業的に成功していない。Henderson et al.(英国特許出願第2 207 866A号、1988)は、アルミニウムとペンタンジオン化合物及び鉄とニトロソ化合物との特定の錯体が、食毒及び接触毒の両方の働きをすることを発見した。
【0007】
米国特許第5,437,870号明細書(Puritch et al)は、担体(例えば、餌)、単純鉄化合物及び第二の成分を有する、摂取可能な軟体動物毒を開示する。第二成分は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの塩、ヒドロキシエチレントリアミン二酢酸、(HEDTA)又はHEDTAの塩であってもよい。豪国特許出願第77420/98号も、金属コンプレクソン(すなわち、鉄のEDTA)及び担体を含む胃作用殺軟体動物剤を開示する。米国特許第6,352,706号明細書は、食用担体と組み合わせた、活性促進添加剤、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)及びその誘導体の組成物及び使用を開示する。
【0008】
上記の米国特許第6,352,706号明細書は、軟体動物への金属吸収の効果を増強した添加剤EDDSによって、金属、特に鉄の殺軟体動物餌を改善することができたことを開示する。
【0009】
食毒では、致死閾値に到達するのに十分に大量な毒を、ナメクジは摂取し、吸収しなければならない。それらの化合物は必ずしもナメクジの口に合うものでないので、これらの餌は、接触毒よりも製剤化及び使用が非常に困難である。有効であるために、これらの化合物は、中毒効果を引き起こすのに十分な量を軟体動物が容易に食べられる餌として製剤化されなければならない。餌が過度に有毒である場合、致死量の毒素を吸収する前に軟体動物は摂食を停止する。一方、餌が十分に有毒でない場合、軟体動物は影響を受けることなく単に餌を摂取し、排出する(Henderson and Parker, 1986)。
【0010】
したがって、胃に作用する殺軟体動物剤の嗜好性、摂取、消化及び残効作用を増強した殺軟体動物餌組成物を提供することが望ましいであろう。
【0011】
国際公開第99/39576号パンフレットは、単純金属化合物、金属の活性及び吸収を増強する添加剤、及び軟体動物の食用に適した担体物質を含む軟体動物消化中毒組成物を記載する。この組成物は、軟体動物による摂取によって軟体動物を退治するために有効である。
【0012】
国際公開第99/39576号パンフレットによると、本発明による活性増強添加剤の役目を果たすことができるエチレンジアミンジコハク酸の有用な塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、この化合物のアンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びにそれらの混合物が含まれる。好ましい塩には、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩が含まれる。炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アスコルビン酸、酒石酸及びクエン酸を含む、pH調整添加剤の使用が、国際公開第99/39576号パンフレットに記載されている。
【0013】
国際公開第99/39576号パンフレットに従って作製されるナメクジペレットは非常に有効であるが、新しい及び/又は改善された組成物の必要性が常にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】英国特許出願第2 207 866A号
【特許文献2】米国特許第5,437,870号明細書
【特許文献3】豪国特許出願第77420/98号
【特許文献4】米国特許第6,352,706号明細書
【特許文献5】国際公開第99/39576号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Henderson, et al. 1990
【非特許文献2】Henderson and Parker, 1986
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
第一の態様によれば、本発明は、
カルシウムイオン及びエチレンジアミンジコハク酸部分を含む殺軟体動物活性促進添加剤と、
軟体動物の食用に適した担体物質と
を含む殺軟体動物組成物を提供する。
【0017】
この組成物は、軟体動物に摂取させて軟体動物を退治するために有効であるものとする。
【0018】
既定の殺軟体動物活性促進添加剤の使用は、組成物の良好なレベルの摂取をもたらし、殺軟体動物剤の消化を増強すると考えられている。その使用は、延長された持続時間の殺軟体動物剤をもたらすことができると考えられている。
【0019】
本明細書で「退治する(combat)」は、軟体動物を撃退すること、阻止すること、傷害すること、不能化すること、又は好ましくは、死滅させることを意味する。
【0020】
この組成物は、軟体動物による摂取によって軟体動物を退治するために、好ましくは死滅させるために適切に有効である。この組成物は、単独で、又は他の組成物の嗜好性、及び軟体動物がその組成物を摂取する可能性を増強するために、他の成分若しくは組成物、例えば殺軟体動物剤と一緒に用いることができる。
【0021】
餌は、好ましくは鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される、単純金属化合物であってもよい金属化合物を含むことができる。本明細書で用いる用語「鉄」は、鉄の第二鉄及び第一鉄の両形態を指すと理解される。嗜好性及び消化(又は吸収)増強添加剤は、CaEDDSである。担体物質は軟体動物の食用に適したものであり、好ましくは軟体動物の食物である。
【0022】
別の実施形態では、殺軟体動物餌は、殺軟体動物剤又は他の補助活性成分、例えばメタアルデヒド、リン酸鉄、鉄キレート、例えばEDTA鉄又はHEDTA鉄若しくはポリホスホン酸鉄を含むこともできる。さらに別の実施形態では、組成物は、粒状肥料などの肥料化合物を含むこと、又はそれと一緒に用いることができる。
【0023】
本明細書で用いるように、用語「軟体動物」は、陸生及び水生の両方の軟体動物を指す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、改善された摂取可能な軟体動物の餌である組成物を提供する。一実施形態では、本組成物は、殺軟体動物餌の摂取、消化及び残効作用を増加させると考えられている、活性促進添加剤、CaEDDSを含む。別の実施形態では、餌は単純金属化合物及び/又はキレート剤を含むことができる。さらなる製剤強化添加剤が、同様に含まれてもよい。そのような化合物の例には、pH調整化合物、保存剤、抗微生物剤、摂食刺激物質及び風味改変添加剤が含まれる。
【0025】
金属化合物は、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム又はそれらの混合物などの金属を含むものであってもよい。そのような化合物は、還元元素鉄、金属タンパク質(例えば、鉄タンパク質、銅タンパク質、亜鉛タンパク質、アルミニウムタンパク質)、金属塩(例えば、鉄塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩及びそれらの混合物)、金属炭水化物(例えば、鉄炭水化物、銅炭水化物、亜鉛炭水化物、アルミニウム炭水化物及びそれらの混合物)であってもよい。そのような化合物の具体的な例には、酢酸鉄、塩化鉄、リン酸鉄、リン酸鉄/クエン酸ナトリウム混合物、リン酸鉄ナトリウム、ピロリン酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、鉄アルブミネート、硫酸鉄、硫化鉄、クエン酸鉄コリン、グリセリンリン酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、乳酸鉄、鉄サッカレート、鉄フラクテート、鉄デキストレート、コハク酸鉄、酒石酸鉄、酢酸銅、塩化銅、リン酸銅、ピロリン酸銅、硝酸銅、硫酸銅アンモニウム、銅アルブミネート、硫酸銅、グルコン酸銅、乳酸銅、銅サッカレート、銅フラクテート、銅デキストレート、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛アンモニウム、亜鉛アルブミネート、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、亜鉛サッカレート、亜鉛フラクテート、亜鉛デキストレート、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ピロリン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、アルミニウムアルブミネート、硫酸アルミニウム、グルコン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、アルミニウムサッカレート、アルミニウムフラクテート及びアルミニウムデキストレートが含まれる。本明細書で用いる用語「鉄」は、この元素の第二鉄及び第一鉄の両形態を指すと理解される。
【0026】
上記のように、活性促進添加剤は、殺軟体動物餌の摂取、消化及び残効作用、特に水生カタツムリの防除のために直接に水に適用される餌の効力を改善するものである。一実施形態では、活性促進添加剤はCaEDDSである。
【0027】
エチレンジアミンジコハク酸は、下に示す構造を有する。
【0028】
【化1】

【0029】
構造は2つの立体原性中心を含み、3つの可能な立体異性体が存在する。特に好ましい配置はS,Sエチレンジアミンジコハク酸であるが、それは、この化合物が易生物分解性であるからである。
【0030】
エチレンジアミンジコハク酸及びそのナトリウム塩を含む組成物は、特にキレート化剤として非常に広く使われている。
【0031】
この明細書では、略記号「EDDS」は、図1に示す構造を表すために用いられ、いくつかのヒドロキシル水素原子が置換された前記構造、すなわち「EDDS」は、酸性基の1つ、2つ、3つ又は4つが中和又は部分的に中和されているコハク酸塩を指すために用いることもできる。エチレンジアミンジコハク酸骨格又は構造を維持しているEDDSの誘導体−例えば官能化されたEDDSに基づく化合物−は、本発明の範囲に含まれる。
【0032】
市販されている物質の一つは、エチレンジアミンジコハク酸三ナトリウムである。それは、30重量%EDDS(遊離の酸として表される)又は37重量%のEDDS三ナトリウム(対イオンを含む)を含む水溶液として購入することができる。
【0033】
エチレンジアミンジコハク酸は、酸として65重量%の固体[S,S]EDDS及び結晶水を含む、固体粉末の形でも市販されている。
【0034】
第一の態様の好ましい殺軟体動物組成物では、活性促進添加剤は、エチレンジアミンジコハク酸1モルにつき少なくとも0.1モルのカルシウムイオン、エチレンジアミンジコハク酸部分1モルにつき好ましくは少なくとも0.2、好ましくは少なくとも0.3、好ましくは少なくとも0.4、好ましくは少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.7、好ましくは少なくとも0.8、好ましくは少なくとも0.9、好ましくは少なくとも1、好ましくは少なくとも1.1、好ましくは少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.3、好ましくは少なくとも1.4、好ましくは少なくとも1.5、好ましくは少なくとも1.6、好ましくは少なくとも1.7、好ましくは少なくとも1.8、好ましくは少なくとも1.9モルのカルシウムイオンを有する。
【0035】
カルシウムイオン及びEDDS陰イオンの塩の場合、エチレンジアミンジコハク酸1モルにつき好ましくは少なくとも1モルのカルシウムイオン、エチレンジアミンジコハク酸部分1モルにつき好ましくは少なくとも1.1、好ましくは少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.3、好ましくは少なくとも1.4、好ましくは少なくとも1.5、好ましくは少なくとも1.6、好ましくは少なくとも1.7、好ましくは少なくとも1.8、好ましくは少なくとも1.9モルのカルシウムイオンが存在する。
【0036】
活性促進添加剤でのカルシウム以外のイオンの存在は、除外されない。そのようなさらなるイオン種には、アルカリ金属イオン、例えばナトリウム又はカリウム、及び他のアルカリ土類金属イオン、例えばマグネシウムを含めることができる。
【0037】
第一の態様の好ましい殺軟体動物組成物では、カルシウムイオンは活性促進添加剤で唯一のアルカリ土類金属イオンである。
【0038】
第一の態様の好ましい殺軟体動物組成物では、カルシウムイオンは活性促進添加剤で唯一の金属イオンである。
【0039】
好ましい実施形態では、活性促進添加剤は、エチレンジアミンジコハク酸のカルシウム含有塩を含む。
【0040】
好ましくは、カルシウムはカルシウム含有塩で唯一のアルカリ土類金属イオンである。
【0041】
好ましくは、カルシウムはカルシウム含有塩で唯一の金属イオンである。
【0042】
好ましい実施形態では、活性促進添加剤は、エチレンジアミンジコハク酸のジカルシウム塩を含む。
【0043】
第一の態様の組成物の殺軟体動物組成物の好ましい実施形態では、活性促進添加剤は、カルシウム化合物及びエチレンジアミンジコハク酸部分の、好ましくは固相で形成される混合物を含む。好適には、活性促進化合物は、カルシウム化合物及びエチレンジアミンジコハク酸の、好ましくは固相で形成される混合物を含むことができる。
【0044】
カルシウム化合物の具体的な例には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、重炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム/クエン酸ナトリウム混合物、リン酸カルシウムナトリウム、ピロリン酸カルシウム、硝酸カルシウム、カルシウムアルブミネート、硫酸カルシウム、硫化カルシウム、クエン酸コリンカルシウム、グリセリンリン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、サッカリンカルシウム、カルシウムフラクテート、カルシウムデキストレート、コハク酸カルシウム及び酒石酸カルシウムが含まれる。
【0045】
好ましくは、カルシウム化合物は、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムから選択される。
【0046】
単純カルシウム塩とエチレンジアミンジコハク酸部分との塩を形成する反応は、好ましくは液相で、好ましくは溶媒、例えば水中で実施される。この目的のために、溶媒に十分に溶解性である上記のカルシウム塩のいずれかを用いることができる。
【0047】
カルシウム塩及びエチレンジアミンジコハク酸部分の混合は、殺軟体動物剤及び組成物の他の成分への導入より前に好ましくは固相で実施され、カルシウム塩及びEDDS陰イオンの供給源である化合物は、粉砕形(例えば粉末又は粒剤として)で混合される。20℃の周囲温度で配合可能な固体の状態を有する、任意のカルシウム塩を使用することができる。20℃の周囲温度で適する固体の状態を有する、EDDS陰イオンの任意の供与源を使用することができる。エチレンジアミンジコハク酸が好適で、好ましい。
【0048】
好ましくは、活性促進添加剤は、少なくとも50%の[S,S]−EDDS、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%を含む。一部の好ましい実施形態では、塩は、本質的に[S,S]−EDDSのアルカリ土類金属塩からなる。
【0049】
好ましい活性促進添加剤CaEDDSは、軟体動物が環境からカルシウムを得る必要性があるので、軟体動物を誘引すると考えられている。キレート化された形では、CaEDDSは非常に溶解性があり、軟体動物によって容易に吸収、代謝される。カルシウム陽イオン及びEDDS陰イオンを有する殺軟体動物組成物は、軟体動物によって容易に捜し出され、より多くの量で、かつより速く摂取され、より長い期間有効であると考えられている。
【0050】
有毒金属化合物の速い摂取及び/又は消化は、軟体動物の細胞の完全性を急速に不可逆的な破壊をもたらし、軟体動物による植物材料の連続した摂食を阻止し、最終的に死をもたらす。
【0051】
適切な担体物質は、軟体動物の食用に適したものである。軟体動物の食物は、好ましい種類の担体物質の例である。適する軟体動物食物担体の例には、小麦粉、小麦シリアル、メドウフォーム、寒天、ゼラチン、油かす、ペットフード用小麦、大豆、オート麦、トウモロコシ、柑橘類のマッシュ、米、果実、魚介副産物、糖、コーティング野菜種子、コーティング穀物種子、カゼイン、血粉、骨粉、酵母、脂肪、ビール生成物及びそれらの混合物が含まれる。特に有用な軟体動物食物の例には、50:50〜90:10の範囲の骨粉対小麦粉比を有する骨粉−小麦粉混合物、及び約90:10〜95:5の範囲の小麦粉対糖比で小麦粉及び糖から形成されるものが含まれる。
【0052】
上記の他の化合物を、製剤強化添加剤として組成物に加えてもよい。そのような化合物には、キレート化剤、保存剤又は抗微生物剤、摂食刺激物質、防水剤、風味改変添加剤及びpH調整添加剤がさらに含まれる。
【0053】
適するキレート化剤には、例えば、アコニット酸、アラニン二酢酸(ADA)、アルコイルエチレンジアミントリ酢酸(例えば、ラウロイルエチレンジアミントリ酢酸(LED3A))、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸一酢酸、ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CDTA)、シトラコン酸、クエン酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸(DPTA−OH)、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸(DTPA)、ジエタノールアミン、ジエタノールグリシン(DEG)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ジグリコール酸、ジピコリン酸(DPA)、エタノールアミン二酢酸、エタノール二グリシン(EDG)、エチオニン、エチレンジアミン(EDA)、エチレンジアミン−ジグルタル酸(EDDG)、エチレンジアミンジヒドロキシフェニル酢酸(EDDHA)、エチレンジアミンジプロピオン酸(EDDP)、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、エチレンジアミン一コハク酸(EDMS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレン−ビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、没食子酸、グルコヘプトン酸、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、グルタル酸、グルコン酸、グリセリルイミノ二酢酸、グリシンアミドジコハク酸(GADS)、グリコールエーテルジアミン−四酢酸(GEDTA)、2−ヒドロキシエチル二酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシルエチルジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシイミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、イタコン酸、ラウロイルエチレンジアミン三酢酸(LED3A)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、メチルイミノ二酢酸(MIDA)、モノエタノールアミン、ニトニロ(nitnilo)三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロピオン酸(NPA)、サッカレート、サリチル酸、セリン二酢酸(SDA)、ソルビン酸、コハク酸、酒石酸、タルトロン酸、トリエタノールアミン、トリエチレンテトラアミン及びそれらの組合せが含まれる。好ましくは、キレート化剤は、アミノポリカルボン酸、アミン、アミド、カルボン酸、ホスホン酸及びそれらの組合せである。より好ましくは、キレート化剤は、EDTA、HEDTA、HEDP、DTPA及びそれらの組合せである。金属イオンを錯化できる他の適するキレート化剤には、例えばアミノ酸、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸及びリジン、並びにタンパク質、例えば乳清粉末、カゼイン及びアルブミンが含まれる。それらの骨格又は構造を維持している前記キレート化剤の誘導体−例えば官能化された化合物−は、本定義の範囲に含まれる。
【0054】
例示的な保存剤には、Philadelphia, PennsylvaniaのRohm & Hass Company社製Legend MK(登録商標)、及びMemmingen/Allgau, GermanyのDr. Lehmann and Co.社製CA−24が含まれる。これらなどの保存剤は、約10〜750ppmの範囲の濃度で製剤に加えられる原液を形成するために、通常、水と混合することができる。
【0055】
軟体動物を誘引して、組成物を摂食するように軟体動物を誘導するために、摂食刺激物質を組成物に加えることができる。糖、酵母生成物及びカゼインを含む、様々な摂食刺激物質を用いることができる。スクロースなどの糖は、より好ましい摂食刺激物質の1つである。これらの添加剤は、通常乾燥形態で組成物に組み込まれる。一般的に、それらは総組成物の約1〜2.5重量%で組成物に加えることができる。
【0056】
組成物の耐候性を改善するために、結合剤として作用することもできる防水剤を組成物に加えることができる。これらは、一般的に、ワックス状の物質及び他の炭化水素などの水不溶性化合物である。適する防水剤の例は、パラフィンワックス、ステアリン酸塩、密蝋及び類似の化合物である。1つの好ましいワックス化合物は、Scarborough, Ontario, CanadaのConros Corp.社製のPAROWAX(登録商標)である。防水剤は、乾燥形態で、総組成物の約5〜12重量%で組成物に添加することができる。
【0057】
動物、例えば人間及びペットにとって低嗜好性にする風味改変化合物を組成物に含ませることも望ましい。例示的な組成物には、苦味を有するものが含まれる。そのような化合物1つは、Edinburgh, ScotlandのMcFarlane Smith Ltd.社からBITREX(登録商標)として市販されている。
【0058】
これらの化合物は、一般的に非常に低い濃度で加えられる。例えば、0.1%のBITREX溶液は、総組成物の約1〜2重量%で組成物に加えることができる。
【0059】
有用なpH調整添加剤には、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アスコルビン酸、酒石酸及びクエン酸が含まれる。そのような添加剤は、約0.2〜5.0重量%の範囲の濃度で用いることができ、pHを約5〜9の範囲に調整するために有効であるべきである。
【0060】
金属化合物中の金属の活性促進添加剤に対するモル比は、非常に広い範囲で異なることができる。指針としてだけであるが、前記モル比は、有効には約1:0.02〜1:58の範囲にあることができると考えられている。より好ましくは、特定の実施形態では、前記モル比は、好適には1:0.3〜1:12の範囲にあることができる。さらに、単純金属化合物中の金属は、好適には約200〜20,000ppm(組成物の0.02〜2.0重量%)の濃度域で存在することができ、活性促進添加剤は、好適には約2,000〜80,000ppm(組成物の0.2〜8.0重量%)の範囲の濃度で存在することができる。特定の実施形態での例示的な濃度域は、金属については組成物の約0.1〜1重量%、CaEDDS成分については約0.8〜8.0重量%である。
【0061】
組成物は、それらに限定されない以下の殺軟体動物剤の存在を含むことができる:リン酸鉄、EDTA鉄、HEDTA鉄、EDDS鉄、メタアルデヒド、メチオカルブ、カルバリル、イソラン、メクスカルベート、ニクロサミド、トリフェンモルフ、カルボフラン、アナカルジン(anarcardic)酸及び植物由来サポニン。
【0062】
そのような化合物は、約0.01〜5.0重量%、好ましくは約0.2〜5.0重量%の範囲の濃度で組成物に加えることができる。
【0063】
さらに別の実施形態では、組成物は実質的にいかなる植物肥料などの肥料を含むこともできる。適する肥料は一般的に粒状であり、1つの有用な肥料の例はScottsdale, ArizonaのIronite Products Company社製のIronite(登録商標)である。存在する場合、肥料は組成物の約0.5〜10.0重量%の範囲の濃度で用いることができる。
【0064】
本発明の組成物は、一般的に乾燥形態で用いられ、組成物の構成成分の多くは乾燥形態で含まれる。しかし、成分をより容易にブレンドすることができるように、生地を形成するのに十分な量の水を組成物中に含むことがしばしば有益である。水は、一般的に総組成物の約15〜60重量%の濃度で加えられる。しかし、水は、それが用いられる前に、殺軟体動物餌の加熱及び乾燥によって一般的に飛ばされる。
【0065】
上記のように、本発明の組成物は、一般的に粉末、粒剤、キューブ又はペレットなどの乾燥した、拡散可能な形で用いられる。本組成物は、軟体動物が生息している領域の上又はそのまわりだけでなく、軟体動物の生息を阻止すべき領域に拡散することができる。水生軟体動物を退治するために用いる場合、本組成物を軟体動物が住む環境に単に加えるだけでよい。
【0066】
組成物を調製するために、適量の殺軟体動物剤及び/又は金属化合物及び活性促進添加剤は、乾燥担体物質と共に乾燥形態でブレンドすることができる。その後、他の乾燥成分(例えば摂食刺激物質及び防水剤)が餌とブレンドされ、混合される。次に、適量の液体添加剤(例えば保存剤、風味改変添加剤及び水)を乾燥混合物に添加し、生地を形成する。餌は、例えばプラスチックラップで覆って、加熱することができる。1つの好ましい加熱技術は、30秒〜10分の間、高周波レンジ内で加熱することによる。加熱後、生地を食物粉砕機で処理し、ひも状の殺軟体動物組成物を得ることができる。次に、この材料を高めた温度又は周囲温度で乾燥させ、それを所望の形、例えば粉末、ペレット又は粒剤にすることができる。
【0067】
1つの例示的な殺軟体動物組成物は、以下の通りに調製することができる。第一に、殺軟体動物化合物、例えばリン酸鉄を、1000〜20,000ppm金属(wt/wt)で穀物粉(小麦)に乾燥ブレンドする。次に、乾燥CaEDDSを、加える鉄の量に対するモルレベルで小麦粉に加える。このレベルは、約1:0.02〜1:58比の範囲の金属対CaEDDSのモル比の範囲で異なることができる。絶えず撹拌しながら、CaEDDSを混合物に加える。抗微生物剤(Legend(登録商標))、防水剤及び摂食刺激物質(例えば、糖)などの他の成分を、混合物に加えることができる。水溶性添加剤を水に溶解し、次に、その水を乾燥小麦/鉄化合物とCaEDDSとの混合物にブレンドする。生地は粉砕装置で完全に混合され、麺の形状で押し出される。得られた餌は、摂氏40度で24時間の乾燥後に試験される。
【0068】
別の例示的な殺軟体動物組成物は、以下の通りに調製することができる。
a)乾燥粉末を混合するのに適切な機械を用いて、小麦粉、糖及び殺軟体動物剤、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム第二鉄を完全にブレンドし、
b)植物油を粉末に加えてホモジナイズし、
c)絶えず混合しながら十分な水(1000kg乾燥物質につき約30kg)を加えて、湿った混合物を生成し、
d) 直径約2.0〜3.2mm(5/64〜1/8インチ)及び長さ3〜6mm(1/8〜1/4インチ)の粒剤を生成することが可能なペレットミルに混合物を供給し、
e)必要に応じて、60℃以下で最高数時間、生じた粒剤を乾燥させる。最終水分は、出発乾燥物質のそれに近い、約10〜14%であるべきである。
【0069】
組成物は、特に組成物がEDDSとCaEDDSとの殺軟体動物金属錯体を利用する場合、液体として製剤化することもできる。この実施形態では、CaEDDSは、約10のpHのEDDS第二鉄の水溶液に加えることができた。例として、水性環境に加えられる組成物は、濃厚製剤であることができ、EDDsとCaEDDS成分の金属錯体の各々は、適用される組成物の約2〜6重量%の範囲の濃度で存在する。
【0070】
方法及び使用を含む本発明のさらなる態様を、付随する請求項に示す。
【0071】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに説明する。
【0072】
EDDSジカルシウムの調製
液相
100.0gのEnviomet C265(エチレンジアミンジコハク酸、65%活性、0.2モル)を1リットルの脱イオン水でスラリーにし、Ca(OH)(32.58g)を加えた。混合物を17時間撹拌し、その後ろ過した。溶液を濃縮し、生成物を結晶化させた。白色の結晶生成物をろ過によって収集し、40℃の真空オーブンで一晩乾燥させた。EDDS含量はHPLCによって723.1gであると測定され、カルシウム含量はICPによって199gであると測定された。したがって、1モルのEDDS陰イオンに対して2モルのカルシウム2+があったが、形成された化合物は塩、CaEDDSであると考えられている。
【0073】
固相
75.0gのEnviomet C265(エチレンジアミンジコハク酸、65%活性)を、25gのCaCOとブレンドした。混合物を室温で24時間保存し、その後組成物の他の成分に加えた。
【実施例1】
【0074】
3つのケージ試験(SCHN 08/23、SCHN 08/24、SCHN 08/30)を、野外に設置した。1mの面積を有するケージを、100lの鉢土で満たした。表面を平らにし、やや押圧して均一な表面にし、各々5枚の本葉を有する2つのキャベツを各ケージに植えた。植物に、必要に応じて散水した。ナメクジの隠れ家として、2つの木板(30×12.5cm)を各ケージに入れた。下の表に示す種類の餌を、用いる前日に作製した。
【0075】
【表1】

【0076】
ナメクジを野外から収集し、10匹のアリオン・ルシタニクス(Arion lusitanicus)を、5gの餌と同時に各ケージに入れた。調査期間中、直射日光を避けるために、桶は遮光材で覆ったトンネル内に維持した。
【0077】
データは、バイオアッセイの開始から4及び8日後に収集した。死亡率は、試験の終了時に計算した。得られた結果を、下の表1、2及び3に示す。
【0078】
SCHN 08/23の結果
【0079】
【表2】

【0080】
SCHN 08/24の結果
【0081】
【表3】

【0082】
SCHN 08/30の結果
【0083】
【表4】


























【実施例2】
【0084】
タブ試験(コード名POMA 09/01)を、5匹のゴールデンアップルスネイル(GAS、golden apple snail)、スクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)の1回の処理につき5回繰り返して行った。桶を1000mlの水道水で満たし、22℃で保存した。カタツムリを、2gの餌とともに桶に入れた。
【0085】
下の表に示す種類の餌を、用いる前日に作製した。
【0086】
【表5】

【0087】
換気のための小孔を有する蓋で容器を閉じ、完全無作為化設計でグリーンハウスベンチに置いた。2日後に、桶内に残っている餌と共に残留水を1000mlの新鮮な水道水と入れ換え、それと同時にディスク状のレタス葉(φ=7.5cm)を各桶に加えた。カタツムリが摂取しなかった餌を計量し、カタツムリ1匹当たりの餌の消費量を計算した。
【0088】
ゴールデンアップルスネイルの死亡した個体数を、処理から2、6及び9日後に数えた。死亡率を試験の終了時に計算し、得られた結果を下の表4に示す。
【0089】
POMA 09/01の結果
【0090】
【表6】


【0091】
【表7】

【実施例3】
【0092】
タブ試験(コード名POMA 09/05)を、5匹のゴールデンアップルスネイル(GAS)、スクミリンゴガイの1回の処理につき5回繰り返して行った。桶を1000mlの水道水で満たし、22℃で保存した。カタツムリを、2gの餌とともに桶に入れた。
【0093】
下の表に示す種類の餌を、用いる前日に作製した。
【0094】
【表8】

【0095】
換気のための小孔を有する蓋で容器を閉じ、完全無作為化設計でグリーンハウスベンチに置いた。2日後に、残された餌と共に水を1000mlの新鮮な水道水と入れ換え、それと同時にディスク状のレタス葉(φ=7.5cm)を各タブに加えた。
【0096】
ゴールデンアップルスネイルの死亡した個体数を、処理から2、6及び9日後に数えた。死亡率は、試験の終わりに計算した。得られた結果を、下の表6に示す。
【0097】
POMA 09/05の結果
【0098】
【表9】

【実施例4】
【0099】
容器試験(コード名JCT2−6)を、5匹のゴールデンアップルスネイル(GAS)、スクミリンゴガイの1回の処理につき2回繰り返して行った。容器を600mlの水道水で満たし、23〜24℃で保存した。カタツムリを、2gの餌とともに容器に入れた。
【0100】
下の表に示す種類の餌を、用いる前に作製した。
【0101】
【表10】
















【0102】
換気のためのメッシュを有する蓋で容器を閉じ、完全無作為化設計で加温木箱内に置いた。2日後に、容器内に残された餌を取り出し、残留水を600mlの新鮮な水道水と入れ換え、ディスク状のレタス葉(直径=5.0cm)2枚を各容器に加えた。以降の調査の度に、水及びディスク状のレタス葉を交換した。
【0103】
ゴールデンアップルスネイルの死亡した個体数を、処理から2、4及び6日後に数え、平均死亡率を計算した。得られた結果を、下の表7に示す。
【0104】
JC2−6の結果
【0105】
【表11】

【実施例5】
【0106】
タブ試験(コード名POMA 09/03a)を、5匹のゴールデンアップルスネイル(GAS)、スクミリンゴガイの1回の処理につき5回繰り返して行った。桶を1000mlの水道水で満たし、22℃で保存した。カタツムリを、2gの餌と共に桶に加えた。下の表に示す種類の餌を、用いる前日に作製した。
【0107】
【表12】

【0108】
換気のためのメッシュを有する蓋で容器を閉じ、完全無作為化設計で加温木箱内に置いた。2日後に、容器内に残された餌を取り出し、残留水を600mlの新鮮な水道水と入れ換え、ディスク状のレタス葉(直径=5.0cm)2枚を各容器に加えた。以降の調査の度に、水及びディスク状のレタス葉を交換した。
【0109】
ゴールデンアップルスネイルの死亡した個体数を、処理から2、6及び9日後に数え、平均死亡率を計算した。得られた結果を、下の表8に示す。
【0110】
POMA 09/03aの結果
【0111】
【表13】

【実施例6】
【0112】
タブ試験(コード名POMA 09/03b)を、5匹のゴールデンアップルスネイル(GAS)、スクミリンゴガイの1回の処理につき5回繰り返して行った。桶を1000mlの水道水で満たし、22℃で保存した。カタツムリを、2gの餌とともに桶に加えた。下の表に示す種類の餌を、用いる前日に作製した。
【0113】
【表14】

【0114】
換気のためのメッシュを有する蓋で容器を閉じ、完全無作為化設計で加温木箱内に置いた。2日後に、容器内に残された餌を取り出し、残留水を600mlの新鮮な水道水と入れ換え、ディスク状のレタス葉(直径=5.0cm)2枚を各容器に加えた。以降の調査の度に、水及びディスク状のレタス葉を交換した。
【0115】
レタス葉の食害を処理から6及び9日後に調査し、平均食害率の減少は死と計算した。得られた結果を、下の表9に示す。
【0116】
POMA 09/03bの結果
【0117】
【表15】


【0118】
本発明の好ましい実施形態を記載したが、それらの概念を組み込んでいる他の実施形態を用いることができることは、当分野の技術者に明らかになる。したがって、これらの実施形態は、開示される実施形態に限定されるべきでなく、むしろ添付の請求項の精神及び範囲だけによって限定されるべきであると考えられる。本明細書で引用したすべての刊行物及び参考文献は、明白に参照により完全に本明細書に組み込まれる。特に明記しない限り、すべての重量百分率は、総組成物の割合である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺軟体動物剤と、
エチレンジアミンジコハク酸のカルシウム含有塩、あるいはカルシウムイオン及びエチレンジアミンジコハク酸部分を含む殺軟体動物活性促進添加剤と、
軟体動物の食用に適した担体物質と
を含む殺軟体動物組成物。
【請求項2】
活性促進添加剤が、エチレンジアミンジコハク酸部分1モル当たり少なくとも0.1モルのカルシウムを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
活性促進添加剤が、エチレンジアミンジコハク酸部分1モル当たり少なくとも0.5モルのカルシウムを有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
活性促進添加剤が、エチレンジアミンジコハク酸部分1モル当たり少なくとも1モルのアルカリ土類金属イオンを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
活性促進添加剤が、エチレンジアミンジコハク酸部分1モル当たり少なくとも1.5モルのアルカリ土類金属イオンを有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
カルシウムイオンが、活性促進添加剤で唯一のアルカリ土類金属イオンである、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
活性促進添加剤が、エチレンジアミンジコハク酸のカルシウム含有塩である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
カルシウムが、カルシウム含有塩の唯一のアルカリ土類金属イオンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
活性促進添加剤が、エチレンジアミンジコハク酸のジカルシウム塩を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
活性促進化合物が、カルシウム化合物とエチレンジアミンジコハク酸部分との混合物を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
活性促進化合物が、カルシウム化合物とエチレンジアミンジコハク酸との混合物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
カルシウム化合物が、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムから選択される、請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される金属を含む金属化合物を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
殺軟体動物剤が、リン酸鉄、好ましくはEDTA鉄、EDDS鉄、ポリホスホン酸鉄、HEDTA鉄、IDA鉄、DTPA鉄から選択される鉄キレート;メタアルデヒド、メチオカルブ、カルバリル、イソラン、メクスカルベート、メルカプトジメツル、ニクロサミド、トリフェンモルフ、カルボフラン、アナカルジン酸、植物由来サポニン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
他のキレート剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
キレート剤が、EDDS、EDTA、HEDTA、DTPA、IDA、HEDP及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
pH調整剤をさらに含む、請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
pH調整剤が、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アスコルビン酸、酒石酸及びクエン酸からなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
pHが約5〜9の範囲である、請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
活性促進添加剤に対する金属のモル比が約1:0.02〜1:58の範囲である、請求項13に記載の組成物。
【請求項21】
金属が、組成物中に約200〜20,000ppmの範囲の濃度で存在する(金属化合物から)、請求項13に記載の組成物。
【請求項22】
活性促進添加剤が、組成物の約0.2〜6.0重量%の範囲の濃度で存在する、請求項1〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
担体が軟体動物の食物である、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
軟体動物の食物が、小麦粉、小麦シリアル、メドウフォーム、寒天、ゼラチン、油かす、ペットフード用小麦、大豆、オート麦、トウモロコシ、柑橘類のマッシュ、米、果実、魚介副産物、糖、被覆野菜種子、被覆穀物種子、カゼイン、血粉、骨粉、酵母、脂肪、ビール生成物及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
軟体動物の食物が、50:50〜90:10の範囲の骨粉対小麦粉の比を有する骨粉−小麦粉混合物である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
単純金属化合物が、還元元素鉄、鉄タンパク質、鉄塩、鉄炭水化物、銅タンパク質、銅塩、銅炭水化物、亜鉛タンパク質、亜鉛塩、亜鉛炭水化物、アルミニウムタンパク質、アルミニウム塩、アルミニウム炭水化物及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項27】
単純金属化合物が、酢酸鉄、塩化鉄、リン酸鉄、リン酸鉄/クエン酸ナトリウム混合物、リン酸鉄ナトリウム、ピロリン酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、鉄アルブミネート、硫酸鉄、硫化鉄、クエン酸鉄コリン、グリセリンリン酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、乳酸鉄、鉄サッカレート、鉄フラクテート、鉄デキストレート、コハク酸鉄、酒石酸鉄、酢酸銅、塩化銅、リン酸銅、ピロリン酸銅、硝酸銅、硫酸銅アンモニウム、銅アルブミネート、硫酸銅、グルコン酸銅、乳酸銅、銅サッカレート、銅フラクテート、銅デキストレート、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛アンモニウム、亜鉛アルブミネート、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、亜鉛サッカレート、亜鉛フラクテート、亜鉛デキストレート、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ピロリン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、アルミニウムアルブミネート、硫酸アルミニウム、グルコン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、アルミニウムサッカレート、アルミニウムフラクテート及びアルミニウムデキストレートからなる群から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
肥料物質、並びに
鉄、銅、亜鉛又はアルミニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される金属を有する殺軟体動物金属化合物、
請求項1〜27のいずれかに記載の活性促進添加剤、及び軟体動物の食用に適した担体物質を含む環境適合性の殺軟体動物組成物
を含み、
前記殺軟体動物金属化合物が、軟体動物による摂取によって軟体動物を死滅させるのに有効な軟体動物消化中毒剤である組成物。
【請求項29】
肥料が粒状肥料である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
エチレンジアミンジコハク酸第二鉄、エチレンジアミンジコハク酸第一鉄、エチレンジアミンジコハク酸銅、エチレンジアミンジコハク酸亜鉛、エチレンジアミンジコハク酸アルミニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される殺軟体動物化合物と、
CaEDDSと、
軟体動物の食用に適した担体物質と
を含む摂取可能な殺軟体動物組成物。
【請求項31】
担体物質が軟体動物の食物である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
殺軟体動物補助活性剤をさらに含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
殺軟体動物補助活性剤が、リン酸鉄、EDTA鉄、HEDTA鉄、ポリホスホン酸鉄、メタアルデヒド、メチオカルブ、カルバリル、イソラン、メクスカルベート、メルカプトジメツル、ニクロサミド、トリフェンモルフ、カルボフラン、アナカルジン酸、植物由来サポニン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
金属が、組成物の約0.5〜9.0重量%の範囲の濃度で金属化合物中に存在する、請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
肥料物質をさらに含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
カルシウムイオン及びエチレンジアミンジコハク酸部分を含む殺軟体動物組成物。
【請求項37】
望ましくない有害軟体動物を駆除する方法であって、
殺軟体動物剤、請求項1〜36のいずれかに記載の活性促進添加剤、及び軟体動物の食用に適した担体物質を含む殺軟体動物組成物を提供するステップと、
前記殺軟体動物組成物を軟体動物の生息領域に適用するステップと、
前記軟体動物に前記殺軟体動物組成物を摂取させるステップと
を含む方法。
【請求項38】
望ましくない水性有害軟体動物を駆除する方法であって、
殺軟体動物剤、請求項1〜36に記載の活性促進添加剤からなる活性促進添加剤、及び軟体動物の食用に適した担体物質を含む殺軟体動物組成物を提供するステップと、
前記殺軟体動物組成物を軟体動物の生息する水、又は前記水の周辺部の土壌に適用するステップと、
前記軟体動物に前記殺軟体動物組成物を摂取させるステップと
を含む方法。
【請求項39】
望ましくない有害軟体動物を駆除する方法であって、
鉄、銅、亜鉛又はアルミニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される金属を含む殺軟体動物金属化合物、請求項1〜36に記載の活性促進添加剤、並びに軟体動物の食用に適した担体物質を含む殺軟体動物組成物を提供するステップと、
前記殺軟体動物組成物を軟体動物の生息領域に適用するステップと、
前記有害軟体動物に前記殺軟体動物組成物を摂取させるステップと
を含む方法。
【請求項40】
望ましくない有害軟体動物を駆除する方法であって、
エチレンジアミンジコハク酸第二鉄、エチレンジアミンジコハク酸第一鉄、エチレンジアミンジコハク酸銅、エチレンジアミンジコハク酸亜鉛、エチレンジアミンジコハク酸アルミニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される殺軟体動物金属化合物、請求項1〜36に記載の活性促進添加剤、並びに軟体動物の食用に適した担体物質を含む殺軟体動物組成物を提供するステップと、
前記殺軟体動物組成物を有害軟体動物の生息領域に適用するステップと、
前記軟体動物に前記殺軟体動物組成物を摂取させるステップと
を含む方法。
【請求項41】
望ましくない軟体動物を退治する方法であって、
請求項1〜40のいずれかに記載の殺軟体動物組成物を、軟体動物を退治することを所望する領域に適用するステップと、
前記軟体動物に前記殺軟体動物組成物を摂取させるステップと
を含む方法。
【請求項42】
農業、園芸又は庭園環境で長期間軟体動物を退治するための、請求項1〜36のいずれかに記載の殺軟体動物組成物の使用。
【請求項43】
殺軟体動物組成物の長期間の殺軟体動物活性を得るための、
単純殺軟体動物金属化合物及び軟体動物の食用に適した担体物質をさらに含む、請求項1〜36のいずれかに記載の殺軟体動物組成物の成分としての、
カルシウムイオン及びエチレンジアミンジコハク酸部分を含む殺軟体動物活性促進添加剤の使用。
【請求項44】
その成分をブレンドして生地を形成すること、及び
前記生地を微粉砕して、粉末、顆粒、ブロック又はペレットを形成すること
によって、請求項1〜43のいずれかに記載の殺軟体動物組成物を調製する方法。

【公表番号】特表2012−515756(P2012−515756A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546967(P2011−546967)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050114
【国際公開番号】WO2010/084361
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(508020258)インノスペック リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】INNOSPEC LIMITED
【出願人】(511174535)ヴェー.ノイドルフ ゲーエムベーハー カーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】W. NEUDORFF GMBH KG
【Fターム(参考)】