説明

母乳パッド

【課題】着用者に違和感などを与えないように、着用者の肌を刺激するような母乳パッドの隅部が肌に触れるおそれがなく、また、肌が弾性伸縮部材の弾性収縮力によるギャザーの影響を直接受けることのないようにすること。
【解決手段】母乳パッドの両側部には弾性伸縮部材が取り付けられており、パッド本体の両側縁部と端縁部とが交わる隅部が非肌当接側へ折り返され、その折り返された状態において包装袋に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラジャーなどの内側に装着する母乳パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸液層と、その外面を被覆する液防漏性シートとから構成される母乳パッドは一般的に知られている。例えば、特許文献1は、表面材と防水材との間に体液吸収体を積層して構成されるパッド本体と、体液吸収体の両側縁部それぞれに配置された一対の伸縮部材とを備えた母乳パッドを開示する。
【特許文献1】特開2001−11704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された発明においては、吸収体の両側縁部に配置され、吸収体と表面材との間に固着された一対の伸縮部材の収縮力によって、加熱加圧手段を施すことなく、母乳パッドの全体が乳房の形状に適したドーム形状を呈することができる。
【0004】
しかし、伸縮部材の弾性収縮力によって、パッドの周縁部がその伸縮部材の収縮する方向へ引っ張られるので、比較的に可撓性の高いパッドの四隅部が伸縮部材が配置されているパッドの肌当接面である内側へ折り返る。この種のパッドは、その製造においては、パッドの廉価供給のため、パッドの多数を連続的に配列した連続積層ウエブからパッドの輪郭の少なくとも一部をカットして個々のパッドが形成される。そのため、パッドの輪郭の少なくとも一部にはカットエッジが生じるところ、そのカットエッジ、特に、これがパッドの尖った隅部に位置したり、隅部が肌当接側へ折り返されたりする場合には、着用者の肌を刺激し、肌に不快感を与える。特許文献1には、そのような欠点を解消するために、伸縮部材の両端部をパッドに固定しない態様が開示されているが、この場合には、その固定されていないパッドの部位の長さにもよるが、その部位が肌に密着せず,着用者の動作で妄りに動いて肌を刺激したり、母乳の漏れの原因ともなるおそれがある。
【0005】
なお、パッドの隅部が尖がったり、肌当接側へ折り返されたりする場合には、例えば、予め、隅部の折り返される部分をカットしたり、隅部が円弧縁を形成するようにカットしたりする処理をすることが考えられる。このような処理は、その処理がない場合に比較して効果があるが、カットエッジが生じることには変わりがなく、かりに、隅部の折り返しがなく、またあってもごくわずかである場合でも、弾性部材の収縮力によってそのカットエッジが肌に接触することがあり、依然として課題が残る。
【0006】
また、伸縮部材が肌当接側に位置する表面材に固着されているので、その伸縮部材の収縮により発生する多数のギャザーによって肌を直接圧迫し、着用者の肌に違和感を覚えさせたり、圧迫マークを与えたりするおそれがある。
【0007】
以上のような課題を解決するため、この発明者らは、パッドの着用時において、着用者の肌を刺激するようなパッドの隅部が肌に触れるおそれがなく、また、肌が伸縮部材の弾性収縮力によるギャザーの影響を直接受けることのない母乳パッドを提供することを目的として、鋭意検討の結果、比較的簡単な手段で課題を解決することが可能なことを知見し、この発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためのこの発明は、縦方向と横方向とを有し、肌当接側に位置する透液性の内面シートと、非肌当接側に位置する不透液性の外面シートと、それらシート間に介在するパネル状の体液吸収性コアとから構成されるパッド本体と、前記パッド本体の両側部に前記縦方向へ伸長下に取り付けられていて、弾性収縮力によって、前記パッド本体を前記肌当接側へ凹むように湾曲させることが可能な弾性伸縮部材とを備え、包装袋に収容されている母乳パッドの改良に係わる。
【0009】
この発明の特徴とするところは、前記縦方向へ延びる前記パッド本体の両側縁部と前記横方向へ延びる前記パッド本体の端縁部とが交わる前記パッド本体の隅部が前記非肌当接側へ折り返され、その折り返された状態において前記包装袋に収容されていることにある。
【0010】
この発明は、下記の好ましい実施の形態を含んでいる。
前記パッド本体が、前記体液吸収性コアの両側縁の横方向の外側に位置して前記縦方向へ延びるサイドフラップと、前記体液吸収性コアの両端縁の縦方向の外側に位置して前記横方向へ延びるエンドフラップとを有し、前記隅部が前記サイドフラップと前記エンドフラップとが交わる部位に位置し、前記体液吸収性コアの両側縁近傍又は前記サイドフラップに前記弾性伸縮部材が位置している形態。
【0011】
前記パッド本体が、前記体液吸収性コアの両側縁の横方向の外側に位置して前記縦方向へ延びるサイドフラップと、前記体液吸収性コアの両端縁の縦方向の外側に位置して前記横方向へ延びるエンドフラップとを有し、前記サイドフラップが、前記サイドフラップの外側縁部において、前記内面シートから形成され肌当接側に位置する第1部分と、前記外面シートから形成され前記第1部分と対向して非肌当接側に位置する第2部分とに分離され、前記弾性伸縮部材又はこれと別体の第1弾性伸縮部材が前記第2部分の側縁に沿って位置している形態。
【0012】
前記第1弾性伸縮部材に並行して延びる第2弾性伸縮部材が、前記第2部分の前記体液吸収性コアの側縁近傍において伸長下に取り付けられ、前記第1及び第2弾性伸縮部材の少なくとも該第2弾性伸縮部材が、その収縮力によって、前記パッド本体を前記肌当接面側へ凹むように湾曲させることが可能な前記弾性収縮力を有している形態。
【0013】
前記第1弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が前記体液吸収性コアの隅部よりも前記縦方向の外側に位置している形態。
【0014】
前記第1弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が前記体液吸収性コアの隅部よりも前記縦方向の内側に位置している形態。
【0015】
前記第2弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が前記体液吸収性コアの隅部よりも前記縦方向の外側に位置している形態。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る母乳パッドによれば、パッド本体の隅部がその非肌当接側へ折り返され、その折り返し目が隅部のエッジを形成して着用者の肌に触れ、たとえ、隅部にカットエッジが位置したり、隅部が尖っていたりしている場合でも、これらが着用者の肌に触れることがない。したがって、隅部のエッジが着用者の肌を刺激し、不快感を与えるなどのおそれはない。
【0017】
また、パッドは隅部の折り返し状態で収納されているので、その折り返しは、パッドを着用するときまで維持されるとともに、その「折りくせ」により着用するとき折り返された隅部が元の状態に戻ったり、いわんや肌当接側へ折れ曲がったりするようなことを未然に防止することができる。
【0018】
さらに、この発明の好ましい実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
【0019】
パッド本体の隅部がサイドフラップとエンドフラップとが交わる部位に位置し、吸液性コアの両側縁近傍又はサイドフラップに前記弾性伸縮部材が位置している場合も、前記効果とほぼ同様な効果を奏する。この場合、前記「折りくせ」が弾性伸縮部材の収縮によって消失するおそれはない。
【0020】
サイドフラップが、サイドフラップの外側縁部において、内面シートから形成され肌当接側に位置する第1部分と、外面シートから形成され第1部分と対向して非肌当接側に位置する第2部分とに分離され、前記弾性伸縮部材又はこれと別体の第1弾性伸縮部材が第2部分の外側縁に沿って位置している場合には、第1弾性伸縮部材が、非肌当接側に位置するサイドフラップの第2部分に位置するので、第1弾性伸縮部材の収縮力によって、パッド本体の隅部の非肌当接側への折り返しが自動的になされるとともに、「折りくせ」の有無に係わりなく、その折り返し状態が維持され、また、第2部分に第1弾性伸縮部材の収縮力によって多数のギャザーが生じるところ、肌当接側に位置するサイドフラップの第1部分には、肌を刺激するようなギャザーが生じないので、そのギャザーによる肌の刺激を未然に防止することができる。
【0021】
第1弾性伸縮部材に並行して延びる第2弾性伸縮部材が、第2部分の体液吸収性コアの側縁近傍において伸長下に取り付けられ、第1及び第2弾性伸縮部材の少なくとも第2弾性伸縮部材が、パッド本体を肌当接側へ凹むように湾曲させることが可能な前記弾性収縮力を有している第2弾性伸縮部材の単独による又は第1弾性伸縮部材との協働による弾性収縮力によって、パッド本体が肌当接側へ凹むように湾曲する。しかも、第2弾性伸縮部材がサイドフラップの第1部分の少なくとも外縁部から内側へ離間する半剛性の体液吸収性コアの側縁近傍に位置しているので、パッド本体のその湾曲が確実になされるとともに、第2弾性伸縮部材の収縮がサイドフラップの第2部分に肌を刺激するようなギャザーを生じさせることがない。
【0022】
第1弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が体液吸収性コアの隅部よりも縦方向の外側に位置している場合には、第1弾性伸縮部材がエンドフラップとともに外側へ折れ曲がるので、外側へ折れ曲がった部分の第1弾性伸縮部材の弾性応力によって折り返された状態が維持され、容易にその折り返し状態でなくなることがない。
【0023】
第1弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が体液吸収性コアの隅部よりも縦方向の内側に位置している場合には、第1弾性伸縮部材がエンドフラップに巻き込まれて外側へ折れ曲がることはないので、パッド本体の隅部とその周縁部のみが外側へ折り返され、エンドフラップが大きく折り返されることがない。
【0024】
第2弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が体液吸収性コアの隅部よりも縦方向の外側に位置している場合には、第2弾性伸縮部材が第1弾性伸縮部材と協働してその収縮力によりパッド本体の隅部を外側へ折り返らせようとする力を及ぼすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
添付図面を参照して、この発明に係る母乳パッドの実施の形態を説明すると、以下のとおりである。
【0026】
図1は弾性伸縮部材が収縮した状態の母乳パッド10の斜視図、図2は図1のII−II線に沿う模式的断面図、図3は、内面シート14を取り除き、側部の一部を省略した母乳パッド10の平面図をそれぞれ示す。
【0027】
図1、2及び3に示すように、母乳パッド10は、着用時の縦方向と横方向とを有するパッド本体10aと、一対の弾性伸縮部材11とから構成されている。パッド本体10aは、縦方向へほぼ並行に延びる一対の側縁12と、ほぼ横方向へ凸状に延びる端縁13とからほぼ縦長楕円形に画成されている。ただし、図示のパッド本体10aの輪郭形は、一例にすぎず、卵形、ハート形など適宜の形状をとりうる。
【0028】
パッド本体10aは、体液透過性内面シート14と、体液防漏性外面シート15と、それらシートの間に介在した体液吸収性コア16とから構成されている。コア16はその全面を体液拡散性の保形シート17で被覆されている。コア16は保形シート17に被覆された状態で内面シート14の内面にホットメルト接着剤18を介して間欠的に接合されている。
【0029】
外面シート15は、コア16の下面に位置する内層19と、内層19及びコア16の外周域に位置してパッド本体10aの外面を画成する外層20とからなる。内層19と外層20とは内層19の両側縁部においてホットメルト接着剤(図示せず)によって接合されている。外層20の両側部は、パッド本体10aの内側へ折り返されてスリーブ21を形成している。スリーブ21の延出縁部(以下、外面シート15の延出縁部15aという。)は、コア16の側縁から外側へ内面シート14の側縁部14aとほぼ同寸法で延出している。ただし、内面シート14の側縁部14aは、外面シート15の延出縁部15aよりも外側へ適宜延出してもよい。
【0030】
パッド本体10aは、コア16の両側縁から横方向外側へ延出して縦方向へ延び側縁12を形成するするサイドフラップ22と、コア16の両端縁から縦方向外側へ延出して横方向へ延び端縁13を形成するエンドフラップ23とを有する。サイドフラップ22は、それぞれ内面シート14の延出縁部14aと外面シート15の延出縁部15aとから形成されており、これら延出縁部14a,15aはそれらの外縁からパッド本体10aの内側へ離間する部位に位置するホットメルト接着剤24を介して互いに接合されている。したがって、延出縁部14a,15aは、それらの外側縁部において互いに分離している。
【0031】
弾性伸縮部材11は、サイドフラップ22に配置され、それぞれ一対の第1弾性伸縮部材11aと第2弾性伸縮部材11bとから構成されている。具体的には、第1弾性伸縮部材11aは外面シート15の延出縁部15aに沿って縦方向へ延び、第2弾性伸縮部材11bは第1弾性伸縮部材11aと並行して離間しコア16の両側縁に沿って縦方向へ延びており、それぞれ縦方向へ伸長下に取り付けられている。
【0032】
第2弾性伸縮部材11bは、コア16の側縁に沿って取り付けられているので、その収縮力によって、パッド10は、パッド本体10aにおいて最も剛性の高いコア16の介在する領域がサイドフラップ22とともに湾曲し、パッド本体10aの全体を着用者の乳房の形状に適した、すなわち、肌当接側である内面シート14側が凹面となるようなカップ状に変形する。サイドフラップ22のスリーブ21に取り付けられた第1弾性伸縮部材11aもまた、パッド本体10aのその変形に与るように収縮力を発揮するようにすることができる。
【0033】
内面シート14の側縁部14aは、直接的に弾性伸縮部材11の収縮力の影響を受けないので、妄りにギャザーを生じさせたり、装着者の肌に圧迫マークを付けたり、肌に違和感を与えるおそれはない。
【0034】
外面シート15の外面における幅方向中央部には、母乳パッド10をブラジャーや被服に貼りつけるためのズレ止め用の感圧性接着剤25とそれを被覆するためのセパレータ26とが縦方向に延びている。
【0035】
図4は、図1のIV−IV線に沿う縦断面図である。図5は、第1弾性伸縮部材11aの配置状態を示す、内面シート14及びその側部の一部を省略した母乳パッド10の部分拡大平面図、図6は、図5の他の実施の態様を示す図5と同様な部分拡大平面図である。
【0036】
サイドフラップ22とエンドフラップ23とが交わる部位、すなわちパッド本体10aの隅部28は、外面シート15の外面へ向かって折れ曲がっている(図1参照)。これは、第1弾性伸縮部材11a(図3参照)の収縮力によって、パッド本体10aの隅部28に外側へ向かう方向(矢印A)に引っ張られる力が働くからである。具体的には、第1弾性伸縮部材11aが収縮することによって、第1弾性伸縮部材11aが配置されている外面シート15の側縁部における縦方向の寸法が短くなるので、その収縮力が内面シート14と外面シート15との接合部位24aを境としてその内方へ向かって働き、内面シート14における接合部位24aより外方に延びているフラップ部分28aは、その収縮力によって内面シート14の側縁部側に引っ張られてその側縁部に対向する外面シート15のフラップ部分28bにもたれ掛かり、それとともに外側へ折れ曲がっている(または、折り返り、反り返っている。以下、同じ)。パッド本体10aの隅部28がこのように外側へ折れ曲がる境となる部位は、内面シート14と外面シート15との接合部位24aであるところ、仮にエンドフラップ23に接合部位24aを越えて外側へ折れ曲がろうとする力が働いたとしても、コア16の隅部31を越えて外側へ折れ曲がることはない。コア16の存在域は比較的に剛性が高く、その剛性によって、第1弾性伸縮部材11aの収縮作用がエンドフラップ23に対して抑制されるからである。
【0037】
このように、パッド本体10aの隅部28が外側へ折れ曲がり着用者の肌に直接触れることはないので、パッド本体10aの隅部28のカットエッジ30が肌に触れることにより生じる肌の違和感、痒み、かぶれなどを防止することができる。
【0038】
図5では、第1弾性伸縮部材11aの端部がコア16の隅部31よりも縦方向外側へ延びている。この実施の態様において、第1弾性伸縮部材11aの収縮力によって母乳パッド本体10aの隅部28が外側へ向かって折れ曲がるためには、コア16と第1弾性伸縮部材11aとの幅方向の離間寸法W1が、好ましくは、1〜20mm、さらに好ましくは2〜10mmとすることができる。
【0039】
また、コア16の隅部31と第1弾性伸縮部材11aの端部との縦方向における離間寸法L1を好ましくは1〜20mm、さらに好ましくは5〜15mmとすることができる。この場合には、コア16の側縁よりも第1弾性伸縮部材11aが縦方向外方へ延びているので、エンドフラップ23とともに第1弾性伸縮部材11aの端部も自らの収縮作用によって外側へ折れ曲がる。
【0040】
図6では、第1弾性伸縮部材11aの端部がコア16の隅部31よりも縦方向内方に位置している。この実施の態様において、第1弾性伸縮部材11aの収縮力によって、パッド本体10aの隅部28が外側へ向かって折れ曲がるためには、コア16と第1弾性伸縮部材11aとの幅方向における離間寸法W2を、好ましくは1〜20mm、さらに好ましくは2〜10mm、第1弾性伸縮部材11aの端部とコア16の隅部31との縦方向における離間寸法L2を好ましくは1〜10mm、さらに好ましくは2〜5mmとすることができる。また、コア16の隅部31とパッド本体10aの隅部28との縦方向における離間寸法L3を、好ましくは1〜20mm、さらに好ましくは2〜10mmとすることができる。この場合には、コア16の隅部31よりも第1弾性伸縮部材11aの端部が縦方向内方にあるので、第1弾性伸縮部材11aが自らの収縮力によって、エンドフラップ23とともに外側へ大きく折り返ることはなく、パッド本体10aの隅部28の先端部とその近傍のみを外側に反り返らせることができる。
【0041】
なお、前記各数値は、第1弾性伸縮部材11aの収縮力、コア16及び内外面シート14,15の剛性によって多少異なるが、それら部材がこの種の母乳パッド、生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品に一般的に用いられている公知の材料から製造されている場合を条件とする。
【0042】
図5及び図6の態様において、第2弾性伸縮部材11bの端部はコア16の隅部31よりも内方に位置しているが、第2弾性伸縮部材11bがコア16の側縁よりも縦方向外方へ、すなわち、エンドフラップ23にまで延びていてもよい。この場合には、第2弾性伸縮部材11bが第1弾性伸縮部材11aと協働して、パッド本体10aの隅部28に外側へ折れ曲がらせようとする力を及ぼすので、パッド本体10aの隅部28をより確実に外側へ折り曲げることができる。
【0043】
このようにパッド本体10aの隅部28が外側へ折れ曲がった場合には、折り目が形成され、その折り目が肌に接触するので、カットエッジが肌に直接触れることによる痒みやかぶれを生じさせるおそれはない。
【0044】
なお、以上の実施の形態においては、パッド本体10aの隅部28の折り返りは、第1弾性伸縮部材11aの収縮力によりなされる例を挙げたが、その収縮力の如何に係わらず、パッド本体10aの隅部28を外面シート15の外側へ折り返す加工によりなすこともできる。この場合には、必ずしもパッド本体10aのサイドフラップ22を形成する内面シート14の延出縁部14aと外面シート15の延出縁部15aとが互いに分離するように構成されていなくてもよい。
【0045】
図7は、母乳パッド10を個包装袋32に収容した状態を示す部分破断斜視図である。
【0046】
前述のように、パッド本体10aの隅部28が外側へ折曲げられた状態の母乳パッド10を縦に二つ折りにして個包装袋32に収容した場合には、パッド本体10aの隅部28の折曲ラインに「折りくせ」がつき、使用する際にその折曲状態が容易に折曲前の状態に戻るおそれはない。これにより、母乳パッドの切りっぱなしにされたカットエッジまたは尖ったパッド本体10aの隅部28が着用者の肌に触れることを確実に防止することができる。
【0047】
コア16は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物であり、所要の厚みに圧縮され、所要の形状に賦型された半剛性のパネルであって、このパネルは目付10〜50g/mであることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを用いることができる。体液拡散性の保形シートはティッシュペーパや親水性繊維不織布などから作られており、ホットメルト接着剤(図示せず)を介してコアに接合され、体液の拡散性を向上させるほか、コアの形状保持及びポリマー粒子の脱落を防止している。
【0048】
内面シート14としては、不織布や開孔プラスチックフィルム等の透液性のシート、好ましくは、目付10〜40g/mの熱可塑性繊維不織布が用いられる。 外面シート15としては、疎水性不織布、不透液性のプラスチックフィルムまたは疎水性不織布とプラスチックフィルムとのラミネートシート、好ましくは、目付10〜40g/mの熱可塑性繊維不織布が用いられる。
【0049】
内面シート14及び外面シート15に使用される不織布としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアースルー法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を用いることができる。
【0050】
弾性伸縮部材11としては、好ましくは伸長倍率が1.5倍以上の合成ゴムや天然ゴム等のエラストマーを使用することができる。
【0051】
内面シート14と外面シート15との接合、これらに対するコア16の接合、第1及び第2弾性伸縮部材11a,11bの取り付けには、ホットメルト型接着剤以外に、ソニックシールやヒートシール等の熱溶着の公知技術を利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明によれば、乳房の形状に適合した湾曲状態を維持しつつ、装着時にパッドの隅部又はエンドフラップの他の部位に形成されたカットエッジが肌に触れることにより生じる違和感、痒み、かぶれを防止することのできる母乳パッドを提供することができる。
【0053】
なお、図示されていないが、パッド本体の既述の折り返しのための手段は、たとえば、生理用ナプキンや使い捨ておむつにも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】母乳パッドを非肌当接側から見た斜視図。
【図2】図1のII−II線に沿う模式的横断面図。
【図3】内面シートと側部の一部とを省略した母乳パッドの平面図。
【図4】図1のIV−IV線に沿う縦断面図。
【図5】第1弾性伸縮部材の配置態様を示す部分拡大平面図。
【図6】第1弾性伸縮部材の他の配置態様を示す部分拡大平面図。
【図7】母乳パッドが個包装袋に収容された状態を示す部分破断斜視図。
【符号の説明】
【0055】
10 母乳パッド
10a パッド本体
11 弾性伸縮部材
11a 第1弾性伸縮部材
11b 第2弾性伸縮部材
14 内面シート
15 外面シート
16 体液吸収性コア
22 サイドフラップ
23 エンドフラップ
28 パッド本体の隅部
31 コアの隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向と横方向とを有し、肌当接側に位置する透液性の内面シートと、非肌当接側に位置する不透液性の外面シートと、それらシート間に介在するパネル状の体液吸収性コアとから構成されるパッド本体と、前記パッド本体の両側部に前記縦方向へ伸長下に取り付けられていて、弾性収縮力によって、前記パッド本体を前記肌当接側へ凹むように湾曲させることが可能な弾性伸縮部材とを備え、包装袋に収容されている母乳パッドにおいて、
前記縦方向へ延びる前記パッド本体の両側縁部と前記横方向へ延びる前記パッド本体の端縁部とが交わる前記パッド本体の隅部が前記非肌当接側へ折り返され、その折り返された状態において前記包装袋に収容されている前記パッド。
【請求項2】
前記パッド本体が、前記体液吸収性コアの両側縁の横方向の外側に位置して前記縦方向へ延びるサイドフラップと、前記体液吸収性コアの両端縁の縦方向の外側に位置して前記横方向へ延びるエンドフラップとを有し、前記隅部が前記サイドフラップと前記エンドフラップとが交わる部位に位置し、前記体液吸収性コアの両側縁近傍又は前記サイドフラップに前記弾性伸縮部材が位置している請求項1に記載の母乳パッド。
【請求項3】
前記パッド本体が、前記体液吸収性コアの両側縁の横方向の外側に位置して前記縦方向へ延びるサイドフラップと、前記体液吸収性コアの両端縁の縦方向の外側に位置して前記横方向へ延びるエンドフラップとを有し、
前記サイドフラップが、前記サイドフラップの外側縁部において、前記内面シートから形成され肌当接側に位置する第1部分と、前記外面シートから形成され前記第1部分と対向して非肌当接側に位置する第2部分とに分離され、前記弾性伸縮部材又はこれと別体の第1弾性伸縮部材が前記第2部分の側縁に沿って位置している請求項1に記載の母乳パッド。
【請求項4】
前記第1弾性伸縮部材に並行して延びる第2弾性伸縮部材が、前記第2部分の前記体液吸収性コアの側縁近傍において伸長下に取り付けられ、前記第1及び第2弾性伸縮部材の少なくとも該第2弾性伸縮部材が、前記パッド本体を前記肌当接側へ凹むように湾曲させることが可能な前記弾性収縮力を有している請求項3に記載の母乳パッド。
【請求項5】
前記第1弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が前記体液吸収性コアの隅部よりも前記縦方向の外側に位置している請求項1〜4のいずれかに記載の母乳パッド。
【請求項6】
前記第1弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が前記体液吸収性コアの隅部よりも前記縦方向の内側に位置している請求項1〜4のいずれかに記載の母乳パッド。
【請求項7】
前記第2弾性伸縮部材の両端部のうちの少なくともいずれか一方が前記体液吸収性コアの隅部よりも前記縦方向の外側に位置している請求項1〜6のいずれかに記載の母乳パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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