母乳搾乳器
【課題】使用者が負圧発生手段を搾乳器本体に極めて容易に着脱できる母乳搾乳器を提供する。
【解決手段】本発明の母乳搾乳器１は、搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器２と、母乳収容容器２に着脱可能に装着された搾乳器本体３と、搾乳器本体３に着脱可能に装着された負圧発生手段３０とを有する母乳搾乳器であって、搾乳器本体３は、使用者の乳房に当接される搾乳カップ７と、搾乳カップ７と母乳収容容器２内部とを連通させる連通室８と、連通室８の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁９と、連通室８と負圧発生手段３０とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管１０とを有し、負圧発生手段３０は、搾乳器本体３の延出管１０に着脱可能な連通管１５を有している。
【解決手段】本発明の母乳搾乳器１は、搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器２と、母乳収容容器２に着脱可能に装着された搾乳器本体３と、搾乳器本体３に着脱可能に装着された負圧発生手段３０とを有する母乳搾乳器であって、搾乳器本体３は、使用者の乳房に当接される搾乳カップ７と、搾乳カップ７と母乳収容容器２内部とを連通させる連通室８と、連通室８の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁９と、連通室８と負圧発生手段３０とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管１０とを有し、負圧発生手段３０は、搾乳器本体３の延出管１０に着脱可能な連通管１５を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、手動式負圧発生手段または電動式負圧発生手段を用いて搾乳する母乳搾乳器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、母親の乳房に当接されるラッパ状に拡径した搾乳カップを備えた母乳搾乳器が広く使用されている。
この種の母乳搾乳器には、手動式負圧発生手段で搾乳カップ内に負圧を発生させ搾乳するタイプと、電動式負圧発生手段にて搾乳カップ内に負圧を発生させるタイプのものがある。例えば、手動式負圧発生手段による搾乳器としては米国特許第５７４９８５０号公報の母乳搾乳器がある（特許文献１）。
【０００３】
この母乳搾乳器は、搾乳器本体の上端部に上方に向かって開口した凹所を設け、この凹所内にダイヤフラムなどの変形可能な部材（負圧発生部材）を収納し、この負圧発生部材にハンドル等の操作手段を連結して、操作手段の往復動により負圧を形成し搾乳するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】米国特許第５７４９８５０号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上記母乳搾乳器における負圧発生手段の装着は、搾乳器本体の凹所内に気密性を保持できるように負圧発生部材を収納し、さらに操作手段を搾乳器本体に取り付けなければならず使用に際して煩雑であった。
【０００６】
そこで、本発明の課題は、使用者が負圧発生手段を搾乳器本体に極めて容易に着脱できる母乳搾乳器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するものは、搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器と、該母乳収容容器に着脱可能に装着された搾乳器本体と、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生手段とを有する母乳搾乳器であって、前記搾乳器本体は、使用者の乳房に当接される搾乳カップと、該搾乳カップと前記母乳収容容器内部とを連通させる連通室と、該連通室の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁と、前記連通室と前記負圧発生手段とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管とを有し、前記負圧発生手段は、前記搾乳器本体の前記延出管に着脱可能な連通管を有していることを特徴とする母乳搾乳器である。
【０００８】
前記負圧発生手段は手動式負圧発生手段であって、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生部材収納用凹状部材と、負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着された負圧発生部材と、前記負圧発生部材に着脱可能に取付けられ前記負圧発生部材を変形させるための操作手段とを有し、前記負圧発生部材収納用凹状部材は、前記負圧発生部材を収納するための凹部と、該凹部内と連通し屈曲部または湾曲部を備えた前記連通管とを有し、前記搾乳器本体の前記延出管に前記連通管を装着すると、前記凹部は水平方向に向かって開口するように構成され、前記負圧発生部材は、前記操作手段と結合される結合部と、前記負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着される装着部と、前記結合部からの力を受けて変形することで負圧を発生させる変形部とを有していることが好ましい。前記延出管における前記負圧発生手段の装着側側部には、平板部が設けられると共に、該平板部には前記負圧発生手段装着側に向かって突出する突起が設けられ、他方、前記負圧発生手段には、前記突起が嵌入するための突起嵌入用凹部が設けられ、前記負圧発生手段を前記搾乳器本体に装着すると、前記突起が前記突起嵌入用凹部に嵌入するように構成されていることが好ましい。前記負圧発生手段は、電動式負圧発生手段であってもよい。
【発明の効果】
【０００９】
請求項１に記載した母乳搾乳器によれば、搾乳器本体の延出管に負圧発生手段の連通管を着脱するのみで、使用者が負圧発生手段を搾乳器本体に極めて容易に着脱できる。
【００１０】
請求項２に記載した母乳搾乳器によれば、上記請求項１の効果に加え、負圧発生部材収納用凹状部材が搾乳器本体に着脱可能に構成されているため、洗浄に際しては、負圧発生部材収納用凹状部材を搾乳器本体から取り外して清潔かつ容易に洗浄することができる。また、母乳収容容器、搾乳器本体、負圧発生部材収納用凹状部材、負圧発生部材および操作手段がそれぞれ着脱可能であるため、洗浄に際してパーツ毎に分解できると共に、負圧発生手段（負圧発生部材収納用凹状部材、負圧発生部材および操作手段）を組立てた後、搾乳器本体に一体的に装着することができ、洗浄後の組立も極めて容易である。さらに、連通管が屈曲部または湾曲部を有しているため、負圧発生部材収納用凹状部材の凹部が連通管の上部に位置せず、搾乳器本体への負圧発生手段（負圧発生部材収納用凹状部材、負圧発生部材および操作手段の一体物）の差し込みに際して、搾乳器本体の延出管が負圧発生部材収納用凹状部材の凹部によって隠れてしまうこともなく、垂直方向に向かって突出した延出管および連通管を目視しながら差し込むことができ組立がさらに容易となる。
【００１１】
請求項３に記載した母乳搾乳器によれば、負圧発生部材収納用凹状部材の凹部の側面が平板部の負圧発生手段装着側側面に面当接することで負圧発生手段が延出管の周りを回転することがなくなると共に、操作手段の回動操作に伴い若干斜め上方に作用する引張力によって負圧発生手段が次第に上昇することを抑止することができる。
【００１２】
請求項４に記載した母乳搾乳器によれば、搾乳器本体の延出管に電動式負圧発生手段の連通管を着脱するのみで、使用者が電動式負圧発生手段を搾乳器本体に極めて容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の母乳搾乳器の一実施例の正面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。
【図３】図１に示した母乳搾乳器の分解図である。
【図４】本発明の母乳搾乳器の他の実施例の縦断面概略図である。
【図５】本発明の母乳搾乳器の他の実施例の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
本発明では、搾乳器本体３に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管１０に負圧発生手段３０の連通管１５を着脱するのみで、使用者が負圧発生手段３０を搾乳器本体３に極めて容易に着脱できる母乳搾乳器１を実現した。
【実施例１】
【００１５】
本発明の母乳搾乳器を図１ないし図３に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の母乳搾乳器１は、図１または図２に示すように、搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器２と、母乳収容容器２に着脱可能に装着された搾乳器本体３と、搾乳器本体３に着脱可能に装着された負圧発生手段３０とを有する母乳搾乳器であって、搾乳器本体３は、使用者の乳房に当接される先端側に向かって拡径された搾乳カップ７と、搾乳カップ７と母乳収容容器２内部とを連通させる連通室８と、連通室８の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁９と、連通室８と負圧発生手段３０とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管１０とを有し、負圧発生手段３０は、搾乳器本体３の延出管１０に着脱可能な連通管１５を有している。
【００１６】
また、この実施例の負圧発生手段３０は手動式負圧発生手段であり、搾乳器本体３に着脱可能に装着された負圧発生部材収納用凹状部材４と、負圧発生部材収納用凹状部材４に着脱可能に装着された負圧発生部材５と、負圧発生部材５に着脱可能に取付けられ負圧発生部材５を変形させるための操作手段６とを有し、負圧発生部材収納用凹状部材４は、負圧発生部材５を収納するための凹部１７と、凹部１７内と連通し屈曲部または湾曲部を備えた前記連通管１５とを有し、搾乳器本体３の延出管１０に連通管１５を装着すると、凹部１７は水平方向に向かって開口するように構成され、負圧発生部材５は、操作手段６と結合される結合部１２と、負圧発生部材収納用凹状部材４に着脱可能に装着される装着部１３と、結合部１２からの力を受けて変形することで負圧を発生させる変形部１４とを有している。以下、各構成について順次詳述する。
【００１７】
母乳収容容器２は、搾乳した母乳を貯留するためのものであり、有底筒状体に形成され、上部の外周には搾乳器本体３を着脱可能に装着するための螺合部を備えている。
【００１８】
搾乳器本体３は、母乳を搾取するための部位であり、下部に母乳収容容器２を装着するための筒状部３ａを有し、この筒状部３ａの内周には母乳収容容器２の螺合部と螺合する螺合部を備えている。
【００１９】
搾乳器本体３の上部には、一側方の斜め上方に向かって延出した搾乳カップ７が一体成形されている。この搾乳カップ７は、使用者の乳房に当接される部位であり、図２に示すように、先端側に向かって拡径されたラッパ状に形成され先端が開口している。
【００２０】
搾乳器本体３の内部には、搾乳カップ７と母乳収容容器２内部とを連通させる連通室８が設けられており、この連通室８の下部には、負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁９が配されている。
【００２１】
逆止弁９は、図２に示すように、母乳収容容器２の上端開口にフランジ部９ａを載置した状態で母乳収容容器２と搾乳器本体３とで挟持させ、母乳収容容器２の螺合部と搾乳器本体３の螺合部とを螺合させることにより取り付けられている。
【００２２】
逆止弁９の最下部にはスリット９ｂが設けられており、負圧が発生した状態では、スリット９ｂが閉じて搾乳した母乳が一時的に貯留され、他方、負圧の解放に伴ってスリット９ｂが開いて母乳が母乳収容容器２内に流入するように構成されている。
【００２３】
また、逆止弁９の上部付近には、中央にスリットを備えた逆さ凹状部９ｃが設けられており、負圧が所定負圧以上になると、そのスリットが開いて外気が導入され、逆止弁９内の負圧を低減させることで、過大な負圧が乳房や乳首に作用して乳頭トラブルが発生することが防止されるよう構成されている。
【００２４】
延出管１０は、連通室８と負圧発生手段３０の負圧発生部材収納用凹状部材４とを連通させると共に、負圧発生部材収納用凹状部材４を着脱可能に装着する部位であり、搾乳器本体３の上部に設けられている。
【００２５】
具体的には、この実施例の延出管１０は、図２に示すように、垂直方向に向かって延出した管状部であり、この延出管１０に負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を挿入することにより、搾乳器本体３に負圧発生手段３０の負圧発生部材収納用凹状部材４を着脱可能に装着できるように構成されている。これにより、搾乳器本体３への負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の一体物）の着脱は、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５を差し込みまたは引き抜くことのみで行うことができるため、より容易に分解組立ができる。
【００２６】
特に、延出管１０は搾乳器本体３の上部において垂直方向に向かって突出しているため、負圧発生手段３０の装着部位が明確化し、また、延出管１０は垂直方向に向かって延出しているため、負圧発生手段３０の連通管１５の着脱は垂直方向への上げ下げのみで行うことができ、極めて容易かつ安定的に着脱できる。
【００２７】
延出管１０の側部（負圧発生手段３０の装着側側部）には、図１ないし図３に示すように平板部２２が設けられており、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５を差し込み、負圧発生手段３０を搾乳器本体３に装着すると、図２に示すように、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７の側面が平板部２２の負圧発生手段装着側側面に面当接し、これにより、負圧発生手段３０が延出管１０の周りを回転しないように構成されている。
【００２８】
また、平板部２２の負圧発生手段３０装着側側面には、図２または図３に示すように、負圧発生手段３０の装着側に向かって突出する突起（ラッチ）２３が設けられており、負圧発生手段３０を搾乳器本体３に装着すると、突起２３が後述する支持部１１に設けられた突起嵌入用凹部２４に嵌め入り、負圧発生手段３０の搾乳器本体３への装着状態を保持すると共に、操作手段６の回動操作に伴い若干斜め上方に作用する引張力によって負圧発生手段３０が次第に上昇することを抑止するよう構成されている。
【００２９】
負圧発生部材収納用凹状部材４は、負圧発生部材５を収納するための部材であり、負圧発生部材５を収納するための凹部１７と凹部１７内と連通する連通管１５とを有している。そして、この連通管１５は、図２に示すように、屈曲部１８（湾曲部でもよい。）を有しているため、搾乳器本体３の延出管１０に連通管１５を装着すると、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１５は水平方向に向かって開口するように構成されている。
【００３０】
これにより、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７が連通管１５の上部に位置しないため、搾乳器本体３への負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の一体物）の差し込みに際して、搾乳器本体３の延出管１０および負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を目視し易くなり、組立がさらに容易となる。また、連通管１５の下端部外周にはＯリング２１が取り付けられており、延出管１０へ装着した際の気密性が保持されるように構成されている。
【００３１】
支持部１１は、操作手段６を往復動可能に支持する部位であり、図３に示すように、凹部１７の下部に一体に設けられている。具体的には、支持部１１は凹部１７の下部において操作手段６を配する側に向かって水平方向に延出した略Ｌ字型アームで構成されており、その先端には操作手段６を回動可能とする軸部１６が設けられている。
【００３２】
負圧発生部材５は、搾乳器本体３内に負圧を発生させて搾乳カップ７に当接させた使用者の乳房から母乳を搾乳するための部材であり、負圧発生部材収納用凹状部材４に着脱可能に装着されている。
【００３３】
負圧発生部材５は、図２に示すように、操作手段６の係止部１９と結合される結合部１２ａを有し、この結合部１２ａが操作手段６により引張されると、結合部１２ａからの力を受けて変形部１４も引張され変形することで、搾乳カップ７、連通室８、延出管１０、連通管１５および負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７の内面側に負圧が発生し、搾乳カップ７に当接させた使用者の乳房から母乳が搾乳されるように構成されている。
【００３４】
変形部１４は、変形容易なシリコンゴムにて形成された凹状部に構成され、変形部１４の開口の外周部には、負圧発生部材収納用凹状部材４の開口外周に設けられたフランジ４ａに、凹部１７内面側の気密性を保持した状態で着脱可能な装着部１３が設けられている。
【００３５】
なお、この実施例の結合部１２ａは、図２または図３に示すように、変形部１４とは別部材の引張部材１２の一部に構成されている。具体的には、引張部材１２は硬質プラスチックにて形成されており、操作手段６の係止部１９と結合する結合部１２ａと、シャフト部１２ｂと、シャフト部１２ｂの他端に設けられた盤状部１２ｃとを有している。
【００３６】
そして、凹状部に形成された変形部１４の中央に設けられた孔にシャフト部１２ｂが挿入された状態で負圧発生部材収納用凹状部材４内に収納され、操作手段６の係止部１９が引張されると引張部材１２が引っ張られ、これに伴って盤状部１２ｃが変形部１４を引張して負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７の内面側に負圧が発生するように構成されている。
【００３７】
なお、この実施例の引張部材１２は一端側に一つの結合部１２ａを有しているが、シャフト部１２ｂの軸方向に沿って操作手段６の係止部１９と結合可能な複数の結合部を設けたものも本発明の範疇に包含される。これにより、操作手段６の係止部１９と結合させる結合部を選択することで発生させる負圧の大きさを調整することができる。
【００３８】
操作手段６は、負圧発生部材５の変形部１４を引張することで負圧を発生させるためのものであり、負圧発生部材収納用凹状部材４の支持部１１の先端に設けられた軸部１６に軸受け部２０が着脱可能に取り付けられると共に、負圧発生部材５の結合部１２ａに係止部１９が着脱可能に取り付けられ、具体的には、引張部材１２の先端に設けられた結合部（拡大部）１２ａを係止部１９の先端に設けられた略Ｕ字部内に係止させて、軸部１６を軸として回動を繰り返すと、その度毎に負圧発生部材５の変形部１４が変形して搾乳器本体３内に負圧が発生するように構成されている。
【００３９】
なお、この実施例の係止部１９は、図２に示すように、略Ｕ字部の内底部１９ａが負圧発生部材収納用凹状部材４側に向かって降下する傾斜面に形成されている。これは、操作手段６が支持部１１の軸部１６を中心として回動するため、この傾斜面が形成されていないと操作手段６は引張部材１２を斜め上方に引張してしまうが、この傾斜面が形成されているとシャフト部１２ｂがこの傾斜面１９ａに沿って引張されることで引張部材１２全体を略水平方向に引張することができ、それに伴って偏りのない変形部１４の変形を実現することができる。
【００４０】
つぎに、本発明の母乳搾乳器１の特徴的作用の一つである洗浄に際する分解方法およびその後の組立方法について説明する。
母乳搾乳器１を使用した後、洗浄のために分解するには、まず、搾乳器本体３の延出管１０から負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５を引き抜き、負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６）を一体的に搾乳器本体３から取り外す。つぎに、負圧発生手段３０をそれぞれ分解する。具体的には、図３に示すように、負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５を構成する引張部材１２と変形部１４および操作手段６に分解する。他方、母乳収容容器２と搾乳器本体３との螺合を解除して両者を分離させる。その後、これら全てをそれぞれ洗浄する。
【００４１】
このように、本発明の母乳搾乳器１は、搾乳器本体３の延出管１０と負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５との着脱のみで、負圧発生手段３０を極めて容易に搾乳器本体３に着脱できるため、洗浄に際しては、負圧発生部材収納用凹状部材４を搾乳器本体３から取り外して清潔かつ容易に洗浄することができると共に、母乳収容容器３、搾乳器本体３、負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の全てを分離してそれぞれ清潔に洗浄できる。
【００４２】
その後、分解洗浄した母乳搾乳器１の各部を組み立てるには、まず、母乳収容容器２と搾乳器本体３との間に逆止弁９を挟持させ、母乳収容容器２の螺合部と搾乳器本体３の螺合部とを螺合させて、母乳収容容器２に搾乳器本体３を装着する。つぎに、負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５を構成する引張部材１２と変形部１４および操作手段６を順次組み付けて負圧発生手段３０を構成する。そして、負圧発生手段３０を、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を差し込むことで装着する。
【００４３】
このように、本発明の母乳搾乳器１では、搾乳器本体３への負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の一体物）の装着は、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５の差し込みのみであり、極めて容易に組立てることができる。また、連通管１５が屈曲または湾曲しているため、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７が連通管１５の上部に位置せず、搾乳器本体３への負圧発生手段３０の差し込みに際しては、搾乳器本体３の延出管１０および負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を目視しながら差し込むことができ、組立がさらに容易となる。以上のように、本発明の母乳搾乳器１は、分解および組立が極めて容易であり、使用、分解、洗浄および組立を繰り返して衛生的に使用できる。
【００４４】
さらに、図４に示した本発明の母乳搾乳器の他の実施例について説明する。
この実施例の母乳搾乳器４０と前述した母乳搾乳器１との基本的な相違は、母乳搾乳器１の負圧発生手段３０が手動式負圧発生手段であるのに対して、母乳搾乳器４０の負圧発生手段は電動式負圧発生手段５０である点である。
【００４５】
具体的には、この実施例の電動式負圧発生手段５０は、ハウジング５１と、ハウジング５１に設けられたスイッチ５２と、スイッチ５２の押圧操作に連動して回転するモーター５３と、モーター５３の回転軸に固定されたクランク５４と、クランク５４に接続されたシリコン製カップ５５と、シリコン製カップ５５の上下動に伴って間歇的に発生する吸引圧を搾乳器本体３に伝達する可撓性チューブ５６と、可撓性チューブ５６の先端に取り付けられた連通管（接続ノズル）５７とを有し、直角に屈曲する屈曲部を備えた連通管（接続ノズル）５７を搾乳器本体３の延出管１０に抜き差しすることにより、電動式負圧発生手段５０を極めて容易に着脱できるように構成されている。このように、本発明の母乳搾乳器には、手動式負圧発生手段のみならず、電動式負圧発生手段を有するものも包含される。
【００４６】
なお、搾乳器本体３の構造は前述した母乳搾乳器１と同様であり、同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。また、搾乳器本体３の下部に装着する母乳収容容器は図４中省略する。
【００４７】
この実施例の連通管（接続ノズル）５７には、外気導入孔５７ａが形成されており、正常時は可撓性樹脂またはシリコンゴム等の可撓性材料で構成された可撓性材料製吸引圧瞬時開放レバー５８により封止されており、緊急時にこの可撓性材料製吸引圧瞬時開放レバー５８を引き下げると、外気導入孔５７ａが開放され外気導入孔５７ａから外気が流入して搾乳器本体３内の圧力が瞬時に大気圧となるように構成されている。
【００４８】
また、この実施例の搾乳カップ７には、乳頭アダプター５９が装着されており、この乳頭アダプター５９の先端には使用者の乳輪部に沿うように設けられたリング状突起５９ａが形成されており、このリング状突起５９ａが使用者の乳輪部を刺激することで搾乳が促進されるように構成されている。
【００４９】
さらに、図５に示した本発明の母乳搾乳器の他の実施例について説明する。
この実施例の母乳搾乳器６０と前述した母乳搾乳器１との基本的な相違は、母乳搾乳器１の母乳収容容器２は哺乳瓶であるが、母乳搾乳器６０の母乳収容容器は樹脂製袋６１である点である。なお、搾乳器本体３および手動式負圧発生手段の構造は前述した母乳搾乳器１と同様であり、同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【００５０】
具体的には、搾乳器本体３の下部には、上部に螺合部を備えた筒状体６２が装着され、この筒状体６２を被包するように樹脂製袋６１が取り付けられている。このように、本発明における母乳収容容器は哺乳瓶に限定されるものではなく、母乳を貯えることができるものであればどのようなものでもよく、この実施例のような樹脂製袋６１の他、専用品などでもよい。
【００５１】
なお、この実施例の母乳搾乳器１は、搾乳器本体３の延出管１０内に負圧発生手段３０の連通管１５を挿入して装着するものであるが、これに限定されず、負圧発生手段３０の連通管１５内に搾乳器本体３の延出管１０を挿入して装着するものも本発明の範疇に包含される。
【符号の説明】
【００５２】
１ 母乳搾乳器
２ 母乳収容容器
３ 搾乳器本体
４ 負圧発生部材収納用凹状部材
５ 負圧発生部材
６ 操作手段
７ 搾乳カップ
８ 連通室
９ 逆止弁
１０ 延出管
１１ 支持部
１２ 結合部
１３ 装着部
１４ 変形部
１５ 連通管
１６ 軸部
１７ 凹部
１８ 屈曲部
１９ 係止部
２０ 軸受け部
２１ Ｏリング
２２ 平板部
２３ 突起
２４ 突起嵌入用凹部
３０ 手動式負圧発生手段
５０ 電動式負圧発生手段
【技術分野】
【０００１】
本発明は、手動式負圧発生手段または電動式負圧発生手段を用いて搾乳する母乳搾乳器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、母親の乳房に当接されるラッパ状に拡径した搾乳カップを備えた母乳搾乳器が広く使用されている。
この種の母乳搾乳器には、手動式負圧発生手段で搾乳カップ内に負圧を発生させ搾乳するタイプと、電動式負圧発生手段にて搾乳カップ内に負圧を発生させるタイプのものがある。例えば、手動式負圧発生手段による搾乳器としては米国特許第５７４９８５０号公報の母乳搾乳器がある（特許文献１）。
【０００３】
この母乳搾乳器は、搾乳器本体の上端部に上方に向かって開口した凹所を設け、この凹所内にダイヤフラムなどの変形可能な部材（負圧発生部材）を収納し、この負圧発生部材にハンドル等の操作手段を連結して、操作手段の往復動により負圧を形成し搾乳するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】米国特許第５７４９８５０号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上記母乳搾乳器における負圧発生手段の装着は、搾乳器本体の凹所内に気密性を保持できるように負圧発生部材を収納し、さらに操作手段を搾乳器本体に取り付けなければならず使用に際して煩雑であった。
【０００６】
そこで、本発明の課題は、使用者が負圧発生手段を搾乳器本体に極めて容易に着脱できる母乳搾乳器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するものは、搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器と、該母乳収容容器に着脱可能に装着された搾乳器本体と、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生手段とを有する母乳搾乳器であって、前記搾乳器本体は、使用者の乳房に当接される搾乳カップと、該搾乳カップと前記母乳収容容器内部とを連通させる連通室と、該連通室の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁と、前記連通室と前記負圧発生手段とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管とを有し、前記負圧発生手段は、前記搾乳器本体の前記延出管に着脱可能な連通管を有していることを特徴とする母乳搾乳器である。
【０００８】
前記負圧発生手段は手動式負圧発生手段であって、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生部材収納用凹状部材と、負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着された負圧発生部材と、前記負圧発生部材に着脱可能に取付けられ前記負圧発生部材を変形させるための操作手段とを有し、前記負圧発生部材収納用凹状部材は、前記負圧発生部材を収納するための凹部と、該凹部内と連通し屈曲部または湾曲部を備えた前記連通管とを有し、前記搾乳器本体の前記延出管に前記連通管を装着すると、前記凹部は水平方向に向かって開口するように構成され、前記負圧発生部材は、前記操作手段と結合される結合部と、前記負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着される装着部と、前記結合部からの力を受けて変形することで負圧を発生させる変形部とを有していることが好ましい。前記延出管における前記負圧発生手段の装着側側部には、平板部が設けられると共に、該平板部には前記負圧発生手段装着側に向かって突出する突起が設けられ、他方、前記負圧発生手段には、前記突起が嵌入するための突起嵌入用凹部が設けられ、前記負圧発生手段を前記搾乳器本体に装着すると、前記突起が前記突起嵌入用凹部に嵌入するように構成されていることが好ましい。前記負圧発生手段は、電動式負圧発生手段であってもよい。
【発明の効果】
【０００９】
請求項１に記載した母乳搾乳器によれば、搾乳器本体の延出管に負圧発生手段の連通管を着脱するのみで、使用者が負圧発生手段を搾乳器本体に極めて容易に着脱できる。
【００１０】
請求項２に記載した母乳搾乳器によれば、上記請求項１の効果に加え、負圧発生部材収納用凹状部材が搾乳器本体に着脱可能に構成されているため、洗浄に際しては、負圧発生部材収納用凹状部材を搾乳器本体から取り外して清潔かつ容易に洗浄することができる。また、母乳収容容器、搾乳器本体、負圧発生部材収納用凹状部材、負圧発生部材および操作手段がそれぞれ着脱可能であるため、洗浄に際してパーツ毎に分解できると共に、負圧発生手段（負圧発生部材収納用凹状部材、負圧発生部材および操作手段）を組立てた後、搾乳器本体に一体的に装着することができ、洗浄後の組立も極めて容易である。さらに、連通管が屈曲部または湾曲部を有しているため、負圧発生部材収納用凹状部材の凹部が連通管の上部に位置せず、搾乳器本体への負圧発生手段（負圧発生部材収納用凹状部材、負圧発生部材および操作手段の一体物）の差し込みに際して、搾乳器本体の延出管が負圧発生部材収納用凹状部材の凹部によって隠れてしまうこともなく、垂直方向に向かって突出した延出管および連通管を目視しながら差し込むことができ組立がさらに容易となる。
【００１１】
請求項３に記載した母乳搾乳器によれば、負圧発生部材収納用凹状部材の凹部の側面が平板部の負圧発生手段装着側側面に面当接することで負圧発生手段が延出管の周りを回転することがなくなると共に、操作手段の回動操作に伴い若干斜め上方に作用する引張力によって負圧発生手段が次第に上昇することを抑止することができる。
【００１２】
請求項４に記載した母乳搾乳器によれば、搾乳器本体の延出管に電動式負圧発生手段の連通管を着脱するのみで、使用者が電動式負圧発生手段を搾乳器本体に極めて容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の母乳搾乳器の一実施例の正面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。
【図３】図１に示した母乳搾乳器の分解図である。
【図４】本発明の母乳搾乳器の他の実施例の縦断面概略図である。
【図５】本発明の母乳搾乳器の他の実施例の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
本発明では、搾乳器本体３に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管１０に負圧発生手段３０の連通管１５を着脱するのみで、使用者が負圧発生手段３０を搾乳器本体３に極めて容易に着脱できる母乳搾乳器１を実現した。
【実施例１】
【００１５】
本発明の母乳搾乳器を図１ないし図３に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の母乳搾乳器１は、図１または図２に示すように、搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器２と、母乳収容容器２に着脱可能に装着された搾乳器本体３と、搾乳器本体３に着脱可能に装着された負圧発生手段３０とを有する母乳搾乳器であって、搾乳器本体３は、使用者の乳房に当接される先端側に向かって拡径された搾乳カップ７と、搾乳カップ７と母乳収容容器２内部とを連通させる連通室８と、連通室８の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁９と、連通室８と負圧発生手段３０とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管１０とを有し、負圧発生手段３０は、搾乳器本体３の延出管１０に着脱可能な連通管１５を有している。
【００１６】
また、この実施例の負圧発生手段３０は手動式負圧発生手段であり、搾乳器本体３に着脱可能に装着された負圧発生部材収納用凹状部材４と、負圧発生部材収納用凹状部材４に着脱可能に装着された負圧発生部材５と、負圧発生部材５に着脱可能に取付けられ負圧発生部材５を変形させるための操作手段６とを有し、負圧発生部材収納用凹状部材４は、負圧発生部材５を収納するための凹部１７と、凹部１７内と連通し屈曲部または湾曲部を備えた前記連通管１５とを有し、搾乳器本体３の延出管１０に連通管１５を装着すると、凹部１７は水平方向に向かって開口するように構成され、負圧発生部材５は、操作手段６と結合される結合部１２と、負圧発生部材収納用凹状部材４に着脱可能に装着される装着部１３と、結合部１２からの力を受けて変形することで負圧を発生させる変形部１４とを有している。以下、各構成について順次詳述する。
【００１７】
母乳収容容器２は、搾乳した母乳を貯留するためのものであり、有底筒状体に形成され、上部の外周には搾乳器本体３を着脱可能に装着するための螺合部を備えている。
【００１８】
搾乳器本体３は、母乳を搾取するための部位であり、下部に母乳収容容器２を装着するための筒状部３ａを有し、この筒状部３ａの内周には母乳収容容器２の螺合部と螺合する螺合部を備えている。
【００１９】
搾乳器本体３の上部には、一側方の斜め上方に向かって延出した搾乳カップ７が一体成形されている。この搾乳カップ７は、使用者の乳房に当接される部位であり、図２に示すように、先端側に向かって拡径されたラッパ状に形成され先端が開口している。
【００２０】
搾乳器本体３の内部には、搾乳カップ７と母乳収容容器２内部とを連通させる連通室８が設けられており、この連通室８の下部には、負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁９が配されている。
【００２１】
逆止弁９は、図２に示すように、母乳収容容器２の上端開口にフランジ部９ａを載置した状態で母乳収容容器２と搾乳器本体３とで挟持させ、母乳収容容器２の螺合部と搾乳器本体３の螺合部とを螺合させることにより取り付けられている。
【００２２】
逆止弁９の最下部にはスリット９ｂが設けられており、負圧が発生した状態では、スリット９ｂが閉じて搾乳した母乳が一時的に貯留され、他方、負圧の解放に伴ってスリット９ｂが開いて母乳が母乳収容容器２内に流入するように構成されている。
【００２３】
また、逆止弁９の上部付近には、中央にスリットを備えた逆さ凹状部９ｃが設けられており、負圧が所定負圧以上になると、そのスリットが開いて外気が導入され、逆止弁９内の負圧を低減させることで、過大な負圧が乳房や乳首に作用して乳頭トラブルが発生することが防止されるよう構成されている。
【００２４】
延出管１０は、連通室８と負圧発生手段３０の負圧発生部材収納用凹状部材４とを連通させると共に、負圧発生部材収納用凹状部材４を着脱可能に装着する部位であり、搾乳器本体３の上部に設けられている。
【００２５】
具体的には、この実施例の延出管１０は、図２に示すように、垂直方向に向かって延出した管状部であり、この延出管１０に負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を挿入することにより、搾乳器本体３に負圧発生手段３０の負圧発生部材収納用凹状部材４を着脱可能に装着できるように構成されている。これにより、搾乳器本体３への負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の一体物）の着脱は、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５を差し込みまたは引き抜くことのみで行うことができるため、より容易に分解組立ができる。
【００２６】
特に、延出管１０は搾乳器本体３の上部において垂直方向に向かって突出しているため、負圧発生手段３０の装着部位が明確化し、また、延出管１０は垂直方向に向かって延出しているため、負圧発生手段３０の連通管１５の着脱は垂直方向への上げ下げのみで行うことができ、極めて容易かつ安定的に着脱できる。
【００２７】
延出管１０の側部（負圧発生手段３０の装着側側部）には、図１ないし図３に示すように平板部２２が設けられており、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５を差し込み、負圧発生手段３０を搾乳器本体３に装着すると、図２に示すように、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７の側面が平板部２２の負圧発生手段装着側側面に面当接し、これにより、負圧発生手段３０が延出管１０の周りを回転しないように構成されている。
【００２８】
また、平板部２２の負圧発生手段３０装着側側面には、図２または図３に示すように、負圧発生手段３０の装着側に向かって突出する突起（ラッチ）２３が設けられており、負圧発生手段３０を搾乳器本体３に装着すると、突起２３が後述する支持部１１に設けられた突起嵌入用凹部２４に嵌め入り、負圧発生手段３０の搾乳器本体３への装着状態を保持すると共に、操作手段６の回動操作に伴い若干斜め上方に作用する引張力によって負圧発生手段３０が次第に上昇することを抑止するよう構成されている。
【００２９】
負圧発生部材収納用凹状部材４は、負圧発生部材５を収納するための部材であり、負圧発生部材５を収納するための凹部１７と凹部１７内と連通する連通管１５とを有している。そして、この連通管１５は、図２に示すように、屈曲部１８（湾曲部でもよい。）を有しているため、搾乳器本体３の延出管１０に連通管１５を装着すると、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１５は水平方向に向かって開口するように構成されている。
【００３０】
これにより、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７が連通管１５の上部に位置しないため、搾乳器本体３への負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の一体物）の差し込みに際して、搾乳器本体３の延出管１０および負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を目視し易くなり、組立がさらに容易となる。また、連通管１５の下端部外周にはＯリング２１が取り付けられており、延出管１０へ装着した際の気密性が保持されるように構成されている。
【００３１】
支持部１１は、操作手段６を往復動可能に支持する部位であり、図３に示すように、凹部１７の下部に一体に設けられている。具体的には、支持部１１は凹部１７の下部において操作手段６を配する側に向かって水平方向に延出した略Ｌ字型アームで構成されており、その先端には操作手段６を回動可能とする軸部１６が設けられている。
【００３２】
負圧発生部材５は、搾乳器本体３内に負圧を発生させて搾乳カップ７に当接させた使用者の乳房から母乳を搾乳するための部材であり、負圧発生部材収納用凹状部材４に着脱可能に装着されている。
【００３３】
負圧発生部材５は、図２に示すように、操作手段６の係止部１９と結合される結合部１２ａを有し、この結合部１２ａが操作手段６により引張されると、結合部１２ａからの力を受けて変形部１４も引張され変形することで、搾乳カップ７、連通室８、延出管１０、連通管１５および負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７の内面側に負圧が発生し、搾乳カップ７に当接させた使用者の乳房から母乳が搾乳されるように構成されている。
【００３４】
変形部１４は、変形容易なシリコンゴムにて形成された凹状部に構成され、変形部１４の開口の外周部には、負圧発生部材収納用凹状部材４の開口外周に設けられたフランジ４ａに、凹部１７内面側の気密性を保持した状態で着脱可能な装着部１３が設けられている。
【００３５】
なお、この実施例の結合部１２ａは、図２または図３に示すように、変形部１４とは別部材の引張部材１２の一部に構成されている。具体的には、引張部材１２は硬質プラスチックにて形成されており、操作手段６の係止部１９と結合する結合部１２ａと、シャフト部１２ｂと、シャフト部１２ｂの他端に設けられた盤状部１２ｃとを有している。
【００３６】
そして、凹状部に形成された変形部１４の中央に設けられた孔にシャフト部１２ｂが挿入された状態で負圧発生部材収納用凹状部材４内に収納され、操作手段６の係止部１９が引張されると引張部材１２が引っ張られ、これに伴って盤状部１２ｃが変形部１４を引張して負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７の内面側に負圧が発生するように構成されている。
【００３７】
なお、この実施例の引張部材１２は一端側に一つの結合部１２ａを有しているが、シャフト部１２ｂの軸方向に沿って操作手段６の係止部１９と結合可能な複数の結合部を設けたものも本発明の範疇に包含される。これにより、操作手段６の係止部１９と結合させる結合部を選択することで発生させる負圧の大きさを調整することができる。
【００３８】
操作手段６は、負圧発生部材５の変形部１４を引張することで負圧を発生させるためのものであり、負圧発生部材収納用凹状部材４の支持部１１の先端に設けられた軸部１６に軸受け部２０が着脱可能に取り付けられると共に、負圧発生部材５の結合部１２ａに係止部１９が着脱可能に取り付けられ、具体的には、引張部材１２の先端に設けられた結合部（拡大部）１２ａを係止部１９の先端に設けられた略Ｕ字部内に係止させて、軸部１６を軸として回動を繰り返すと、その度毎に負圧発生部材５の変形部１４が変形して搾乳器本体３内に負圧が発生するように構成されている。
【００３９】
なお、この実施例の係止部１９は、図２に示すように、略Ｕ字部の内底部１９ａが負圧発生部材収納用凹状部材４側に向かって降下する傾斜面に形成されている。これは、操作手段６が支持部１１の軸部１６を中心として回動するため、この傾斜面が形成されていないと操作手段６は引張部材１２を斜め上方に引張してしまうが、この傾斜面が形成されているとシャフト部１２ｂがこの傾斜面１９ａに沿って引張されることで引張部材１２全体を略水平方向に引張することができ、それに伴って偏りのない変形部１４の変形を実現することができる。
【００４０】
つぎに、本発明の母乳搾乳器１の特徴的作用の一つである洗浄に際する分解方法およびその後の組立方法について説明する。
母乳搾乳器１を使用した後、洗浄のために分解するには、まず、搾乳器本体３の延出管１０から負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５を引き抜き、負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６）を一体的に搾乳器本体３から取り外す。つぎに、負圧発生手段３０をそれぞれ分解する。具体的には、図３に示すように、負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５を構成する引張部材１２と変形部１４および操作手段６に分解する。他方、母乳収容容器２と搾乳器本体３との螺合を解除して両者を分離させる。その後、これら全てをそれぞれ洗浄する。
【００４１】
このように、本発明の母乳搾乳器１は、搾乳器本体３の延出管１０と負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５との着脱のみで、負圧発生手段３０を極めて容易に搾乳器本体３に着脱できるため、洗浄に際しては、負圧発生部材収納用凹状部材４を搾乳器本体３から取り外して清潔かつ容易に洗浄することができると共に、母乳収容容器３、搾乳器本体３、負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の全てを分離してそれぞれ清潔に洗浄できる。
【００４２】
その後、分解洗浄した母乳搾乳器１の各部を組み立てるには、まず、母乳収容容器２と搾乳器本体３との間に逆止弁９を挟持させ、母乳収容容器２の螺合部と搾乳器本体３の螺合部とを螺合させて、母乳収容容器２に搾乳器本体３を装着する。つぎに、負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５を構成する引張部材１２と変形部１４および操作手段６を順次組み付けて負圧発生手段３０を構成する。そして、負圧発生手段３０を、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を差し込むことで装着する。
【００４３】
このように、本発明の母乳搾乳器１では、搾乳器本体３への負圧発生手段３０（負圧発生部材収納用凹状部材４、負圧発生部材５および操作手段６の一体物）の装着は、搾乳器本体３の延出管１０へ負圧発生部材収納用凹状部材５の連通管１５の差し込みのみであり、極めて容易に組立てることができる。また、連通管１５が屈曲または湾曲しているため、負圧発生部材収納用凹状部材４の凹部１７が連通管１５の上部に位置せず、搾乳器本体３への負圧発生手段３０の差し込みに際しては、搾乳器本体３の延出管１０および負圧発生部材収納用凹状部材４の連通管１５を目視しながら差し込むことができ、組立がさらに容易となる。以上のように、本発明の母乳搾乳器１は、分解および組立が極めて容易であり、使用、分解、洗浄および組立を繰り返して衛生的に使用できる。
【００４４】
さらに、図４に示した本発明の母乳搾乳器の他の実施例について説明する。
この実施例の母乳搾乳器４０と前述した母乳搾乳器１との基本的な相違は、母乳搾乳器１の負圧発生手段３０が手動式負圧発生手段であるのに対して、母乳搾乳器４０の負圧発生手段は電動式負圧発生手段５０である点である。
【００４５】
具体的には、この実施例の電動式負圧発生手段５０は、ハウジング５１と、ハウジング５１に設けられたスイッチ５２と、スイッチ５２の押圧操作に連動して回転するモーター５３と、モーター５３の回転軸に固定されたクランク５４と、クランク５４に接続されたシリコン製カップ５５と、シリコン製カップ５５の上下動に伴って間歇的に発生する吸引圧を搾乳器本体３に伝達する可撓性チューブ５６と、可撓性チューブ５６の先端に取り付けられた連通管（接続ノズル）５７とを有し、直角に屈曲する屈曲部を備えた連通管（接続ノズル）５７を搾乳器本体３の延出管１０に抜き差しすることにより、電動式負圧発生手段５０を極めて容易に着脱できるように構成されている。このように、本発明の母乳搾乳器には、手動式負圧発生手段のみならず、電動式負圧発生手段を有するものも包含される。
【００４６】
なお、搾乳器本体３の構造は前述した母乳搾乳器１と同様であり、同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。また、搾乳器本体３の下部に装着する母乳収容容器は図４中省略する。
【００４７】
この実施例の連通管（接続ノズル）５７には、外気導入孔５７ａが形成されており、正常時は可撓性樹脂またはシリコンゴム等の可撓性材料で構成された可撓性材料製吸引圧瞬時開放レバー５８により封止されており、緊急時にこの可撓性材料製吸引圧瞬時開放レバー５８を引き下げると、外気導入孔５７ａが開放され外気導入孔５７ａから外気が流入して搾乳器本体３内の圧力が瞬時に大気圧となるように構成されている。
【００４８】
また、この実施例の搾乳カップ７には、乳頭アダプター５９が装着されており、この乳頭アダプター５９の先端には使用者の乳輪部に沿うように設けられたリング状突起５９ａが形成されており、このリング状突起５９ａが使用者の乳輪部を刺激することで搾乳が促進されるように構成されている。
【００４９】
さらに、図５に示した本発明の母乳搾乳器の他の実施例について説明する。
この実施例の母乳搾乳器６０と前述した母乳搾乳器１との基本的な相違は、母乳搾乳器１の母乳収容容器２は哺乳瓶であるが、母乳搾乳器６０の母乳収容容器は樹脂製袋６１である点である。なお、搾乳器本体３および手動式負圧発生手段の構造は前述した母乳搾乳器１と同様であり、同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【００５０】
具体的には、搾乳器本体３の下部には、上部に螺合部を備えた筒状体６２が装着され、この筒状体６２を被包するように樹脂製袋６１が取り付けられている。このように、本発明における母乳収容容器は哺乳瓶に限定されるものではなく、母乳を貯えることができるものであればどのようなものでもよく、この実施例のような樹脂製袋６１の他、専用品などでもよい。
【００５１】
なお、この実施例の母乳搾乳器１は、搾乳器本体３の延出管１０内に負圧発生手段３０の連通管１５を挿入して装着するものであるが、これに限定されず、負圧発生手段３０の連通管１５内に搾乳器本体３の延出管１０を挿入して装着するものも本発明の範疇に包含される。
【符号の説明】
【００５２】
１ 母乳搾乳器
２ 母乳収容容器
３ 搾乳器本体
４ 負圧発生部材収納用凹状部材
５ 負圧発生部材
６ 操作手段
７ 搾乳カップ
８ 連通室
９ 逆止弁
１０ 延出管
１１ 支持部
１２ 結合部
１３ 装着部
１４ 変形部
１５ 連通管
１６ 軸部
１７ 凹部
１８ 屈曲部
１９ 係止部
２０ 軸受け部
２１ Ｏリング
２２ 平板部
２３ 突起
２４ 突起嵌入用凹部
３０ 手動式負圧発生手段
５０ 電動式負圧発生手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器と、該母乳収容容器に着脱可能に装着された搾乳器本体と、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生手段とを有する母乳搾乳器であって、
前記搾乳器本体は、使用者の乳房に当接される搾乳カップと、該搾乳カップと前記母乳収容容器内部とを連通させる連通室と、該連通室の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁と、前記連通室と前記負圧発生手段とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管とを有し、
前記負圧発生手段は、前記搾乳器本体の前記延出管に着脱可能な連通管を有していることを特徴とする母乳搾乳器。
【請求項２】
前記負圧発生手段は手動式負圧発生手段であって、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生部材収納用凹状部材と、負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着された負圧発生部材と、前記負圧発生部材に着脱可能に取付けられ前記負圧発生部材を変形させるための操作手段とを有し、
前記負圧発生部材収納用凹状部材は、前記負圧発生部材を収納するための凹部と、該凹部内と連通し屈曲部または湾曲部を備えた前記連通管とを有し、前記搾乳器本体の前記延出管に前記連通管を装着すると、前記凹部は水平方向に向かって開口するように構成され、
前記負圧発生部材は、前記操作手段と結合される結合部と、前記負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着される装着部と、前記結合部からの力を受けて変形することで負圧を発生させる変形部とを有している請求項１に記載の母乳搾乳器。
【請求項３】
前記延出管における前記負圧発生手段の装着側側部には、平板部が設けられると共に、該平板部には前記負圧発生手段装着側に向かって突出する突起が設けられ、他方、前記負圧発生手段には、前記突起が嵌入するための突起嵌入用凹部が設けられ、前記負圧発生手段を前記搾乳器本体に装着すると、前記突起が前記突起嵌入用凹部に嵌入するように構成されている請求項２に記載の母乳搾乳器。
【請求項４】
前記負圧発生手段は、電動式負圧発生手段である請求項１に記載の母乳搾乳器。
【請求項１】
搾乳した母乳を貯留するための母乳収容容器と、該母乳収容容器に着脱可能に装着された搾乳器本体と、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生手段とを有する母乳搾乳器であって、
前記搾乳器本体は、使用者の乳房に当接される搾乳カップと、該搾乳カップと前記母乳収容容器内部とを連通させる連通室と、該連通室の下部に配され負圧の発生によって搾乳した母乳を一時貯留すると共に負圧の解放に伴って開く逆止弁と、前記連通室と前記負圧発生手段とを連通させると共に垂直方向に向かって延出して設けられた延出管とを有し、
前記負圧発生手段は、前記搾乳器本体の前記延出管に着脱可能な連通管を有していることを特徴とする母乳搾乳器。
【請求項２】
前記負圧発生手段は手動式負圧発生手段であって、該搾乳器本体に着脱可能に装着された負圧発生部材収納用凹状部材と、負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着された負圧発生部材と、前記負圧発生部材に着脱可能に取付けられ前記負圧発生部材を変形させるための操作手段とを有し、
前記負圧発生部材収納用凹状部材は、前記負圧発生部材を収納するための凹部と、該凹部内と連通し屈曲部または湾曲部を備えた前記連通管とを有し、前記搾乳器本体の前記延出管に前記連通管を装着すると、前記凹部は水平方向に向かって開口するように構成され、
前記負圧発生部材は、前記操作手段と結合される結合部と、前記負圧発生部材収納用凹状部材に着脱可能に装着される装着部と、前記結合部からの力を受けて変形することで負圧を発生させる変形部とを有している請求項１に記載の母乳搾乳器。
【請求項３】
前記延出管における前記負圧発生手段の装着側側部には、平板部が設けられると共に、該平板部には前記負圧発生手段装着側に向かって突出する突起が設けられ、他方、前記負圧発生手段には、前記突起が嵌入するための突起嵌入用凹部が設けられ、前記負圧発生手段を前記搾乳器本体に装着すると、前記突起が前記突起嵌入用凹部に嵌入するように構成されている請求項２に記載の母乳搾乳器。
【請求項４】
前記負圧発生手段は、電動式負圧発生手段である請求項１に記載の母乳搾乳器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１３−７０７４２（Ｐ２０１３−７０７４２Ａ）
【公開日】平成２５年４月２２日（２０１３．４．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２１０５４７（Ｐ２０１１−２１０５４７）
【出願日】平成２３年９月２７日（２０１１．９．２７）
【出願人】（５０８３３７１５６）柳瀬ワイチ株式会社 (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年４月２２日（２０１３．４．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年９月２７日（２０１１．９．２７）
【出願人】（５０８３３７１５６）柳瀬ワイチ株式会社 (1)
【Ｆターム（参考）】
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