説明

毛髪処理剤

【課題】 染めた毛髪に使用しても色落ちが少ない毛髪用処理剤を提供することである。
【解決手段】 下記一般式(1)で示されるアニオン性界面活性剤(A)を含有してなる毛髪処理剤である。
【化6】


式中、R1は炭素数6〜36の炭化水素基等;R2〜R5は水素原子または炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基;Aは炭素数2〜6のアルキレン基;X-はアニオン基;pは0または1〜100の整数;rは0または1;k、ι、mおよびnは0または1〜200の整数であり;R2〜R5のいずれもが水素原子の場合は、k、ι、mおよびnはいずれもが1または少なくとも1つは2〜100であり;R2〜R5のいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合は、k、ι、mおよびnのうち少なくとも1つは1〜100であり;複数個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪処理剤に関し、詳しくは毛髪洗浄剤、セット剤、リンス剤、トリートメン
ト剤およびコンディショニング剤などに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全人口の約6割、女性の約8割が髪の毛を染める状況である。しかし、この人々
のほとんどが、洗髪、リンス、乾燥等の毛髪処理をすると、染めた毛髪の色が落ちてしま
い、再度の染毛をするまでの期間が短いという悩みを抱えており、色落ちしない毛髪処理
剤が求められている。
特に、毛髪洗浄剤は毛髪の洗浄操作を伴うため、色落ちを抑制し難いという問題点を抱え
ている。これを解決する手段として、例えばアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤およ
びカチオン性高分子の配合により色落ちを防止する毛髪処理剤などが提案されている(特
許文献−1および2参照)。
【特許文献−1】特開2003−95885
【特許文献−2】特開平8−325597
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来から提案されている毛髪処理剤であっても、色落ち抑制の程度は十
分ではなかった。本発明が解決しようとする課題は、染めた毛髪に使用しても色落ちが少
ない毛髪用処理剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、染めた毛髪の色落ちを抑制する毛髪処理剤を見出し本発明に至った。 すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるアニオン性界面活性剤(A)を含有してなる毛髪処理剤である。
【0005】
【化3】

【0006】
式中、R1は炭素数6〜36の炭化水素基またはR6−C(=O)−N(−R7)−であり、R6は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基、R7は水素原子または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基;R2〜R5は水素原子または炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基;Aは炭素数2〜6のアルキレン基;X-は下記一般式(2)、(3)または(4)で示されるアニオン基;pは0または1〜100の整数;rは0または1;k、ι、mおよびnは0または1〜200の整数であり;R2〜R5のいずれもが水素原子の場合は、k、ι、mおよびnはいずれもが1または少なくとも1つは2〜100であり;R2〜R5のいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合は、k、ι、mおよびnのうち少なくとも1つは1〜100であり;複数個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0007】
【化4】

【0008】
式中、qは0または1〜5の整数、Lのうちの一方はSO3-で、他方は水素原子である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪処理剤は、洗髪等の処理をしても染毛の色落ちが少ない。
従って、再度の染毛をするまでの間隔が従来の毛髪処理剤を使用した場合よりも長期間に
なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(A)を表す一般式(1)におけるR1−[−O−(AO)p−]r−X-の部分(以下、アニオン性基と称する)について説明する。
1は炭素数6〜36の炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数が6〜36の脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基など)および脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、多環炭化水素基など)が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状と分岐状など2種類以上の基の混合物であってもよい。炭素数6未満では洗浄剤として使用した場合の十分な起泡力および洗浄力が得られず、炭素数が36を超えると起泡力および洗浄力が劣り、好ましくない。
アルキル基としてはヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ラウリル、トリデシル、ミ
リチル、セチル、ステアリル、ノナデシル、2−エチルヘキシル、2−エチルオクチル基
など;アルケニル基としては、オクテニル、デセニル、ドデセニル、トリデセニル、ペン
タデセニル、オレイル、ガドレイル基など;アルカジエニル基としては、リノレイル基な
どが挙げられる。
シクロアルキル基としてはエチルシクロヘキシル、プロピルシクロへキシル、オクチル
シクロへキシル、ノニルシクロへキシル基など;多環炭化水素基としては、アダマンチル
基などが挙げられる。
これらの脂肪族炭化水素基のうち好ましいのは炭素数8〜24のもの、さらに好ましい
のは脂肪族鎖状炭化水素基であり、特に好ましいのは炭素数10〜18のアルキル基、と
りわけ炭素数12〜14のアルキル基、最も好ましいのは炭素数12の直鎖アルキル基で
ある。
【0011】
1が芳香族炭化水素基である場合、置換芳香族炭化水素基(置換アリール基、置換アリールアルキル基など)もしくは非置換の芳香族炭化水素基(非置換アリール基、非置換アリールアルキル基など)が挙げられ、具体的には以下の基が含まれる。置換芳香族炭化水素基として、置換アリール基[ノニルフェニル、オクチルフェニルおよびtert−ブチルフェニル基など]、置換アリールアルキル基[エチルベンジル、n−およびi−プロピルベンジル、n−およびi−ヘキシルベンジル、およびn−オクチルベンジル基などのアルキル置換アリールアルキル基、並びにスチレン化ベンジル基などの芳香族炭化水素置換アリールアルキル基など]、非置換芳香族炭化水素基として、非置換アリール基[フェニルおよびナフチル基など]、非置換アリールアルキル基[ベンジルおよびフェニルエチル基など]などが挙げられる。
【0012】
1がR6−C(=O)−N(−R7)−である場合、R6は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基であり、前述の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。R7は水素原子または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基(例えば、後述のR2
5として挙げられている脂肪族炭化水素基のうちの炭素数1〜12のもの)であり、好
ましいのは水素原子である。
Aは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、例えばエチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレンおよび1,6−へキシレン基などが挙げられ、好ましいのはエチレン基、1,2−プロピレン基およびこれらの併用であり、特にエチレン基である。
(AO)の部分は、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)の付加
により形成される。AOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−または2,3−ブチレンオキサイドおよびテトラヒドロフランなどが挙げられる。好ましいのはEO、POおよびこれらの併用である。
pはAOの付加モル数に相当し、0または1〜100の整数であり、好ましくは1〜12である。pが100を超えると、洗浄剤として使用した場合の十分な起泡力および洗浄力が得られず好ましくない。
rは0または1であり、色落ち抑制効果の観点から好ましくは1である。
【0013】
-は下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表されるアニオン基である。
【0014】
【化5】

【0015】
式中、qは0または1〜5の整数であり好ましくは0、Lの一方はSO3-で、他方は水素原子である。
【0016】
-が一般式(2)で示されq=0のアニオン基である場合、R1−[−O−(AO)p−]r−X-のうちの好ましいものは、r=1でp=0または1〜10のものであり、例えばアルキル硫酸エステル[ラウリル硫酸エステルなど]、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル[ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンラウロイルアミド硫酸エステルなど]のアニオンが挙げられる。
【0017】
-が一般式(3)で示されるアニオン基である場合、R1−[−O−(AO)p−]r−X-のうち好ましいものはr=1でp=0または1〜10のものであり、例えばアルキルリン酸エステル[ラウリルリン酸エステルなど]、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル[ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウロイルアミドリン酸エステルなど]のアニオンが挙げられる。
【0018】
-が一般式(4)で示されるアニオン基である場合、R1−[−O−(AO)p−]r−X−のうち好ましいものはr=1でp=0または1〜10のものであり、例えばスルホコハク酸モノアルキルエステル[スルホコハク酸モノラウリルエステルなど]、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル[ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸エステルなど]のアニオンが挙げられる。
【0019】
次に、一般式(1)におけるアニオン性基の対イオンであるカチオン性基について説明する。
2〜R5は、水素原子または炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基であり、炭化水素基としては前述のR1で挙げた炭素数6〜36の炭化水素基のうちの炭素数6〜24のもの、および炭素数1〜5の炭化水素基(直鎖または分岐のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチル基;直鎖または分岐のアルケニル基、例えばビニル、アリル、メタリルおよびプロペニル基など)が挙げられる。
これらのうち好ましいのは炭素数1〜18のアルキル基である。Aは前述と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。なお、Aとしてエチレン基を含む併用の場合のカチオン性基中の全ての(AO)の重量に基づくエチレン基の割合は少なくとも50重量%であることが好ましい。また、併用の場合はランダム結合もしくはブロック結合のいずれでもよい。
【0020】
k、ι、mおよびnは0または1〜200、好ましくは1〜100、さらに好ましくは
2〜75の整数を表す。
【0021】
2〜R5のいずれもが水素原子の場合は、k、ι、mおよびnはいずれもが1、または少なくとも1つは2〜100、好ましくは2〜50であり、これらの範囲外である場合には毛髪処理剤を使用したときの染毛の色落ちが少なくない。
また、R2〜R5のいずれもが水素原子の場合は(k+l+m+n)は好ましくは4〜100である。この範囲であると染毛の色落ち防止効果が特に良好に発揮される。
2〜R5のいずれもが水素原子の場合のカチオン性基の具体例としては、テトラヒドロキシエチルアンモニウムカチオン、ヒドロキシエチルオキシエチルアンモニウムカチオン、モノエタノールアミンのEO10〜30モル付加物のアンモニウムカチオン、およびトリエタノールアミンEO10〜30モル付加物のアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0022】
また、R2〜R5のうちのいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合は、k、ι、mおよびnのうち少なくとも1つは1〜100、好ましくは1〜50であり、この範囲外である場合には毛髪処理剤を使用したときの染毛の色落ちが少なくない。
2〜R5のいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合は(k+l+m+n)は好ましくは3〜100である。この範囲であると染毛の色落ち防止効果が特に良好に発揮される。
2〜R5のうちのいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合の具体例としては、モノアルキル(炭素数8〜24)アミンEO1〜50モル付加物のアンモニウムカチオン、およびジアルキル(炭素数6〜24)アミンEO1〜500モル付加物のアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0023】
カチオン基のうち、染毛の色落ち防止効果の観点から、とりわけ好ましいのはモノアルキル(炭素数8〜24)アミンEO2〜500モル付加物のアンモニウムカチオンである。
【0024】
以下においてアニオン性界面活性剤(A)の製造方法について説明する。
一般式(1)におけるR1−[−O−(AO)p−]r−X-で示されるアニオン性基は、例えばポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルまたはアルカノールに、一般式(2)〜(4)のいずれかで示される基を公知の方法導入する方法またはそれらの組み合わせによって製造できる。
【0025】
一般式(2)で示される基の導入は、通常のスルホン化または硫酸化方法、例えばクロロスルホン酸、無水硫酸、スルファミン酸または硫酸を反応させる方法により行うことができる。無水硫酸については、乾燥窒素等で希釈して用いる。いずれの場合も、硫酸化剤のモル比は通常0.95〜1.03/水酸基であり、反応温度は、クロロスルホン酸または無水硫酸の場合は0〜70℃、スルファミン酸または硫酸の場合は50〜150℃である。結合硫酸量の測定によって求められるアニオン化度は通常90%モル以上であり、好ましくは95モル%以上である。
【0026】
一般式(3)で示される基の導入は、通常のリン酸化方法、例えばリン酸、ポリリン酸、無水リン酸、オキシ塩化リン等のリン酸化剤と反応させる方法により行うことができる。
一例として、無水リン酸との反応は、反応温度30〜150℃で、窒素雰囲気中で行うことができる。無水リン酸を使用する場合、無水リン酸のモル比は通常0.7〜1.5/水酸基である。生成物の酸価の測定によって求められるアニオン化度は通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上である。
【0027】
一般式(4)で示される基の導入は、通常のスルホコハク酸エステル化方法(マレイン酸エステル化した後、スルホン化する方法)、例えば無水マレイン酸を無触媒で非水系で反応させ、マレイン酸ハーフエステルを製造し、さらに、亜硫酸塩または酸性亜流酸塩を反応させる方法により行うことができる。ハーフエステル化反応の温度は通常40〜150℃であり、無水マレイン酸のモル比は0.9〜1.1/水酸基である。スルホン化の温度は40〜100℃であり、亜硫酸塩または酸性亜流酸塩の当量比は0.9〜1.5/水酸基である。結合硫酸量の測定によって求められるアニオン化度は通常90%以上であり、好ましくは95%以上である。
【0028】
一般式(1)におけるカチオン性基は、公知の方法で得る事ができる。
例えば、アルキルアミンにAOを付加することでアルキルアミンAO付加物を得ることができる。反応条件として、特に制限はないが、例えば、アルキルアミンと触媒を混合して、窒素置換後、−0.8〜5kgf/cm2の圧力下、80〜200℃の温度でAOを投入し、80〜200℃の反応系内の圧力が平衡になるまで反応を行う方法等が挙げられる。複数の種類のAOを使用する場合の付加形式は、ブロック付加、ランダム付加、およびこれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0029】
本発明における界面活性剤(A)は、例えば、アニオン性基を構成する各種酸の酸価と、カチオン性基を構成する成分の全アミン価に基づいて、当量になるような量の比率で中和・混合する方法により製造することができる。中和・混合の工程で粘度が高くなり混合しにくい場合などには、水および/または有機溶媒(例えば、後述のアルコール類、ケトン類およびエステル類エーテル類)を加えて希釈してもよい。また、中和・混合工程では必要により加温(好ましくは40〜90℃)してもよい。
なお、界面活性剤(A)には、1つのアニオン性基中に2つアニオンを有する場合(例えば前記一般式(3)または一般式(4)のアニオン基を有する場合)であっても、対イオンのうち少なくとも1つが一般式(1)で示されるカチオン基である界面活性剤も含まれる。その場合の一般式(1)で示されるカチオン基以外の対イオンは、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)および一般式(1)以外の第4級アンモニウムカチオン(例えばアンモニウムカチオン、モノアルキルアミンカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオンなど)が挙げられる。
【0030】
本発明の毛髪処理剤は、さらに、必要により、本発明の効果を妨げない量の(A)以外の他の界面活性剤(B)を含有することができる。
(B)としては、他のアニオン性界面活性剤(B1)、非イオン性界面活性剤(B2)、カチオン性界面活性剤(B3)および両性界面活性剤(B4)から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0031】
アニオン性界面活性剤(B1)としては、前記一般式(1)におけるカチオン性基を対イオンとし、アニオン性基としてカルボキレート基(−COO-)を有するアニオン性界面活性剤(B11)およびその他のアニオン性界面活性剤(B12)が挙げられる。
(B11)におけるアニオン性部分としては、エーテルカルボン酸アニオン、ヒドロキシエーテルカルボン酸アニオンおよびアミドエーテルカルボン酸アニオンが挙げられる。エーテルカルボン酸アニオンとしては、ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル酢酸アニオン、ポリオキシエチレン(4〜5モル)ラウリルエーテル酢酸アニオンおよびポリオキシエチレン(3モル)トリデシルエーテル酢酸アニオンなどが挙げられる。
ヒドロキシエーテルカルボン酸アニオンとしては、β−ヒドロキシドデシルエーテル酢酸アニオンおよびβ−ヒドロキシメチルウンデシルエーテル酢酸アニオンなどが挙げられる。 アミドエーテルカルボン酸アニオンとしては、ラウリン酸アミド(ポリ)オキシプロピレン(1〜3モル)エーテル酢酸アニオンなどが挙げられる。
(B12)としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0032】
非イオン界面活性剤(B2)としては、1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリルジメチルアミンオキシド、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数=1〜100)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数=1〜100)、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ソルビタン、ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)ジオレイン酸メチルグルコシド、ポリオキシエチレン(付加モル数=1〜100)牛脂アルキルヒドロキシミリスチレンエーテル、モノステアリン酸エチレングリコール等が挙げられる。
【0033】
カチオン界面活性剤(B3)としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドの乳酸塩などが挙げられる。
【0034】
両性界面活性剤(B4)としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0035】
他の界面活性剤(B)を併用する場合の、(A)の質量に基づく他の界面活性剤の割合は、好ましくは500%(以下、特に限定しない限り%は質量%を表す)以下、さらに好ましくは300%以下であり、他の界面活性剤の1種として(B11)を併用する場合は(A)の質量に基づく(B11)の割合は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは20%以下である。
【0036】
また、本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を妨げない量の乳化安定剤、保湿剤、シ
リコーン、キレート剤、増粘剤、香料、着色料、防腐剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含
有することができる。
乳化安定剤として、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等
の炭素数6〜22の高級アルコール;保湿剤としてグリセリン、ピロリドンカルボン酸ナ
トリウム等;増粘剤として、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ポリエチレ
ングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、タンパク誘導
体等;シリコーンとしてジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンのメチル基の
一部に各種の有機基を導入した変性シリコン、環状ジメチルシロキサン等;キレート剤と
して、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン
酸ナトリウム等があげられる。
【0037】
添加剤を含有する場合の、(A)の質量に基づく添加剤の合計の割合は、好ましくは500%以下、さらに好ましくは300%以下である。
【0038】
本発明の毛髪処理剤は、(A)そのもの、(A)と他の界面活性剤および/または添加
剤、並びに、これらを水および/または有機溶剤で稀釈した溶液もしくは分散液のいずれかである。
【0039】
本発明の毛髪処理剤において、毛髪処理剤の質量に基づく(A)の含有量は、通常0.
01%以上であり、溶液もしくは分散液の場合は、好ましくは0.01〜40%、さらに好ましくは0.1〜30%、特に0.1〜20%である。
本発明の毛髪処理剤中の(A)の含有量が0.01%以上であれば、洗浄剤として使用
した場合に洗髪時の染毛の色落ちを防止し易く、溶液もしくは分散液の場合に40%以下
であれば流動性があるという点で好ましい。
【0040】
他の界面活性剤を併用する場合の、毛髪処理剤の質量に基づく他の界面活性剤の含有量
は、通常50%以下であり、溶液もしくは分散液の場合は、好ましくは20%以下、さら
に好ましくは15%以下、特に0.05〜10%である。
また、毛髪処理剤の質量に基づく添加剤の合計含有量は、通常50%以下であり、溶液もしくは分散液の場合は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に0.05〜10%である。
【0041】
本発明の毛髪処理剤の形態は、溶液状、分散体状または固体状など特に限定されないが
、溶液状または分散体状が使いやすく好ましい。溶液状または分散体状にするための希釈
剤は有機溶剤及び/又は水である。
有機溶剤としては、炭素数1〜10の溶剤が使用出来、例えばメタノール、エタノール
、イソプロパノール、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコール等のアルコー
ル類、アセトン、メチルエチルケトンおよびジエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、
酢酸エチルおよびプロピオン酸メチルなどのエステル類、メチルセルソルブ、エチルセル
ソルブおよびブチルセルソルブなどのエーテル類、石油エーテル、ヘキサンおよびシクロ
ヘキサン等の炭化水素類等が挙げられる。好ましいのはアルコール類であり、特に好まし
いのはエタノールである。
水/有機溶剤の混合溶剤の場合の水100質量部に対する有機溶剤の比率は、好ましくは
99.9質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
【0042】
本発明の毛髪処理剤は毛髪洗浄剤(シャンプーなど)、セット剤(ムース、ミスト、ジ
ェル)、リンス剤、トリートメント剤、コンディショニング剤等に使用できる。
これらのうち、特に洗浄剤として使用すると、染毛剤で染毛された毛髪の洗浄用に使用し
ても、従来の洗浄剤に比較して色落ちの程度が少ない。
【0043】
本発明の毛髪処理剤をシャンプーとして使用する場合の代表的な液状シャンプーの成分
組成を以下に示す。
界面活性剤(A):5〜50%、
他の界面活性剤:0〜20%、
乳化安定剤:0〜15%、
保湿剤、シリコーン、キレート剤、増粘剤、香料、着色料、防腐剤、紫外線吸収剤など:
各々0〜5%、これらの合計が0〜30%
水:35〜95%。
なお、シャンプーのpHは特に限定されないが、人体に対する安全性の面から中性〜弱酸
性(例えば、pH4〜9)が好ましい。
【0044】
本発明の毛髪処理剤の使用方法は、用途によって異なる。例えば、ムース、ミスト、ジ
ェル等のセット剤として使用する場合は上記毛髪処理剤の適量を毛髪へ付けた後、毛髪の
形を整え、乾燥させる。シャンプー、リンス等として使用する場合はそのまま又は必要により水もしくは湯で稀釈(稀釈倍率は通常100倍以下)して毛髪へ付けた後、最後に水又は湯で洗い流す方法が例示される。
【0045】
以下実施例および製造例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるもの
ではない。以下、部は質量部を示す。
【0046】
[実施例]
製造例1
攪拌機および温度計を装着した2Lのガラス製コルベンにポリオキシエチレンラウリル
エーテル硫酸(オキシエチレン基の平均付加モル数2.0モルとなる混合物)134部、ステアリルアミンEO4モル付加物166部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩の30%水溶液(S1)を得た。
【0047】
製造例2
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸(オキシエチレン基の平均付加モル数1.0モルとなる混合物)89部、ラウリルアミンEO3モル付加物211部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸塩の30%水溶液(S2)を得た。
【0048】
製造例3
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(オキシエチレン基の平均付加モル数2.0モルとなる混合物)100部、ラウリルアミンEO3モル付加物200部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸塩の30%水溶液(S3)を得た。
【0049】
比較例1
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸(オキシエチレン基の平均付加モル数2.0モルとなる混合物)170部、ステアリルアミン130部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩の30%水溶液(H1)を得た。
【0050】
比較例2
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸(オキシエチレン基の平均付加モル数2.0モルとなる混合物)256部、モノエタノールアミン44部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩の30%水溶液(H2)を得た。
【0051】
比較例3
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸(オキシエチレン基の平均付加モル数2.0モルとなる混合物)211部、トリエタノールアミン89部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩の30%水溶液(H3)を得た。
【0052】
比較例4
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸(オキシエチレン基の平均付加モル数2.0モルとなる混合物)285部、アンモニア15部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩の30%水溶液(H4)を得た。
【0053】
比較例5
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸(オキシエチレン基の平均付加モル数1.0モルとなる混合物)258部、ラウリルアミン32部、水酸化ナトリウム10部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩の30%水溶液(H5)を得た。
【0054】
比較例6
製造例1と同様のコルベンにポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(オキシエチレン基の平均付加モル数2.0モルとなる混合物)274部、モノエタノールアミン17.5部、水酸化ナトリウム8.5部および水700部を仕込み、水浴中で80℃で2時間撹拌して、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩の30%水溶液(H6)を得た。
【0055】
実施例、比較例およびそれらの評価例
製造例1〜3および比較例1〜6で得られた水溶液をそのまま実施例1〜3および比較例1〜6の毛髪処理剤とした。
これらの毛髪処理剤を、染色した毛髪用の毛髪洗浄剤(シャンプー)として使用する場合の色落ち試験を行った。試験法は次の通りであり、試験結果を表1に示した。
【0056】
<染色した毛髪の調製>
人毛白毛束(重さ約1g、長さ10cm、株式会社ビューラックス製)を酸化染料にて
30℃、30分間、振とう式染色機(辻井染機工業株式会社)で染めた後、ぬるま湯で1
分間すすいだ。洗浄後の毛髪をタオルドライした後、ドライヤーで十分乾燥したものを色
落ち試験に使用した。
【0057】
<色落ち試験>
上述の各毛髪処理剤(30%水溶液)を水で6倍に稀釈し、毛髪処理剤稀釈液を作製し
た。ラウンドオメーター(辻井染機工業株式会社)を使用して、染色した毛髪1束を稀釈
液60gに浸漬し、洗浄条件を30℃、5分間として洗浄した。洗浄後の毛髪を流水で1
分間すすぎ、タオルドライした後、ドライヤーで十分乾燥したものを測色した。なお、水
のみで洗浄したものをブランクとした。
【0058】
<測色>
人毛の測色は測色計(多光源分光測色計、スガ試験機株式会社)により測定した。光源
はD65−10°、値はL*、a*、b*値を測定して染色後未洗浄の毛髪と洗浄後の毛髪との色差(△E)を求めた。色差が小さいほど色落ちが少ないことを示す。
【0059】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の毛髪処理剤は毛髪洗浄剤(シャンプーなど)、セット剤(ムース、ミスト、ジ
ェル)、リンス剤、トリートメント剤、コンディショニング剤等に使用でき、特に染めた毛髪用の毛髪処理剤として優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるアニオン性界面活性剤(A)を含有してなる毛髪処理剤。
【化1】

[式中、R1は炭素数6〜36の炭化水素基またはR6−C(=O)−N(−R7)−であり、R6は炭素数6〜36の脂肪族炭化水素基、R7は水素原子または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基;R2〜R5は水素原子または炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基;Aは炭素数2〜6のアルキレン基;X-は下記一般式(2)、(3)または(4)で示されるアニオン基;pは0または1〜100の整数;rは0または1;k、ι、mおよびnは0または1〜200の整数であり;R2〜R5のいずれもが水素原子の場合は、k、ι、mおよびnはいずれもが1または少なくとも1つは2〜100であり;R2〜R5のいずれか1つ以上が脂肪族炭化水素基の場合は、k、ι、mおよびnのうち少なくとも1つは1〜100であり;複数個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【化2】

式中、qは0または1〜5の整数、Lのうちの一方はSO3-で、他方は水素原子である。]
【請求項2】
一般式(1)におけるR2〜R5のいずれもが水素原子の場合は(k+ι+m+n)が
4〜100であり、R2〜R5のいずれか1つ以上が炭化水素基の場合は(k+ι+m+n
)が3〜100である請求項1記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
一般式(1)におけるR1が炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基である請求項1または2記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
さらに両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および他のアニオン性界面活性剤かならなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜3のいずれか記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
さらに乳化安定剤、保湿剤、シリコーン、キレート剤、増粘剤、香料、着色料、防腐剤
および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜4のいずれか
記載の毛髪処理剤。
【請求項6】
毛髪の洗浄用に使用される請求項1〜5のいずれか記載の毛髪処理剤。
【請求項7】
毛髪が、染毛された毛髪であることを特徴とする請求項6記載の毛髪処理剤。