説明

毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法

【課題】人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価することができる毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】毛髪を梳かすための櫛型形状部を有する支持体と、前記支持体上に配置され、前記支持体が前記毛髪を梳かす際に生じる振動を電気信号に変換するポリフッ化ビニリデンを圧電変換材とする検出手段と、前記検出手段の発生する信号を出力する出力手段と、を有する毛髪特性測定用センサであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価することができる毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の毛髪は、頭部の保護を役割とする保護器官であると同時に、美的器官としての役割を果たし、時として、毛色や髪型により人の印象が大きく変わることも少なくない。このため、近年、毛髪ケアに対する意識が高まりつつある。人は、日常的な動作の中で視覚や触覚を通し、又、ブラッシング等のヘアケアを行うことにより、「しなやかさ」、「しっとり感」等の毛髪特性を感じ、毛髪の状態を判断している。しかし、人の五感は敏感に状態を察知することが可能であるが、定量的に表現することが困難であり、評価は人の主観や経験に大きく依存する。
【0003】
力学的な観点から見ると、一般に毛髪などの生体組織は材料的にも形状的にも非線形で異方性を有するためその状態を計測することは困難である。又、年齢や性別、生活様式、外的要因等により種々に変化するため、その取り扱いは容易ではない。そのため、毛髪特性の客観的評価法の確立が切に望まれており、従来から、毛髪特性評価のための様々な評価方法、評価装置、評価システムが提案されている。
【0004】
例えば、毛髪を梳かす櫛またはブラシのその歯部を支持する部分である背部の略中央の位置に、マイクロホンを前記歯部に突出しないように固定したマイクロホン付き櫛またはブラシと、このマイクロホン付き櫛またはブラシを用いて毛髪を梳かす際に入力される櫛通し音の信号を受け、この櫛通し音の信号を増幅して音として出力し、かつ/又は、この櫛通し音を周波数解析し、解析結果から得られる特定周波数範囲を含む音量の平均値又は周波数特性の所定帯域における積分値に基づく表示をして、毛髪の滑らかさを評価可能とした評価装置とを備え、低コストで簡単かつ実用的に毛髪の損傷状態及び毛髪化粧料による毛髪の修復状態を評価できる毛髪評価システム(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
毛髪を梳かすことによって発生する振動を感知する振動センサが備えられた櫛またはブラシと、毛髪の滑らかさを評価する評価装置とを備え、評価装置は、振動センサが感知することにより入力された前記振動の信号を受けて前記振動の周波数を解析する周波数解析部と、周波数解析部により求められた解析結果から特定周波数範囲を含む振動量の平均値又は周波数特性の所定帯域における積分値を演算する演算部と、演算部により演算された前記平均値又は前記積分値に基づいて毛髪の滑らかさを評価する評価部と、評価部による評価結果の表示をする表示手段とを備え、毛髪の損傷状態及び毛髪化粧料による毛髪の修復状態を音の影響を受けることなく評価できる、信頼性に優れた高感度な毛髪評価システム(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
毛髪の摺動音を検出する毛髪センサが、毛髪を擦る摺動子と本体ハウジングを有し、本体ハウジングはその内部にマイクロホンを備え、摺動子による摺動音が振動板を介してマイクロホンへ伝わると共に、振動板以外からマイクロホンへ伝わる振動が減衰するように、摺動子及び振動板が配置することにより、毛髪の摺動音を検出し、増幅して音声出力するにあたり、外来ノイズの混入を極力抑えることのできる、毛髪の表面性状や、毛髪の損傷程度を評価するための装置(例えば、特許文献3参照)等である。
【特許文献1】特開2002−328117号公報
【特許文献2】特開2004−351811号公報
【特許文献3】特開2006−13219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来から提案されている毛髪特性の評価方法、評価装置、評価システムにおいては、表面摩擦、断面性状、曲げ強さ、光沢、ねじり強さ、引っ張り特性等の、人の毛髪特性評価に有効であると考えられる特性と、人の毛髪に対する感性量との関係は十分に対応してなく、例えば、「ハリ・コシが出た」、「櫛通りがよい」等の人が毛髪に対し得る感覚の客観的評価は実現されていないという問題があった。
【0008】
例えば、特許文献1及び2においては、「毛髪の滑らかさ」の評価についてのみ開示されており、「毛髪の滑らかさ」以外の、例えば、「ハリ・コシが出た」等の人が毛髪に対し得る感覚の客観的評価は実現されていない。又、特許文献3に記載された発明は、毛髪の損傷状態を評価する際のノイズを低減することを目的とするものであり、例えば、「ハリ・コシが出た」等の人が毛髪に対し得る感覚の客観的評価は実現されていない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価することができる毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の発明は、毛髪を梳かすための櫛型形状部を有する支持体と、前記支持体上に配置され、前記支持体が前記毛髪を梳かす際に生じる振動を電気信号に変換するポリフッ化ビニリデンを圧電変換材とする検出手段と、前記検出手段の発生する信号を出力する出力手段と、を有する毛髪特性測定用センサであることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係る毛髪特性測定用センサにおいて、前記検出手段を覆うように配置され、外部ノイズの影響を低減するノイズ低減材を有することを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る毛髪特性測定用センサと、前記毛髪特性測定用センサの出力手段から出力される信号を処理する信号処理手段と、前記信号処理手段で処理された信号処理結果と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価する評価手段と、を有する毛髪特性評価装置であることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第3の発明に係る毛髪特性評価装置において、前記信号処理手段は、前記出力手段から出力される信号の分散値を算出する分散値算出手段、及び/又は、前記出力手段から出力される信号の所定の周波数範囲の周波数成分を解析する周波数解析手段を有することを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第4の発明に係る毛髪特性評価装置において、前記周波数解析手段は、前記出力手段から出力される信号を解析し、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和を算出することを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第5の発明に係る毛髪特性評価装置において、前記所定の周波数範囲は、0〜600Hzの周波数を含むことを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第5又は第6の発明に係る毛髪特性評価装置において、前記評価手段は、前記分散値、及び/又は、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価することを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第1又は第2の発明に係る毛髪特性測定用センサの出力手段から出力される信号を、信号処理手段に入力する入力ステップと、前記入力ステップで入力される信号を、前記信号処理手段で処理する信号処理ステップと、前記信号処理ステップで処理される信号処理結果と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価する評価ステップと、を有する毛髪特性評価方法であることを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、第8の発明に係る毛髪特性評価方法において、前記信号処理ステップは、前記入力ステップで入力される信号の分散値を算出する分散値算出ステップ、及び/又は、前記入力ステップで入力される信号の所定の周波数範囲の周波数成分を解析する周波数解析ステップを有することを特徴とする。
【0019】
第10の発明は、第9の発明に係る毛髪特性評価方法において、前記周波数解析ステップは、前記入力ステップで入力される信号を解析し、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和を算出する総和算出ステップを有することを特徴とする。
【0020】
第11の発明は、第10の発明に係る毛髪特性評価方法において、前記所定の周波数範囲は、0〜600Hzの周波数を含むことを特徴とする。
【0021】
第12の発明は、第10又は第11の発明に係る毛髪特性評価方法において、前記評価ステップは、前記分散値、及び/又は、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価することができる毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0024】
本発明は、圧電体の一つであり、セラミック等の他の圧電体に比べ非常に柔軟な機械的特性を有し、加工が容易であり高感度かつ広い周波数応答を示すことを特徴とするPVDF(Polyvinylidene Fluoride、ポリフッ化ビニリデン)フィルムの特性を利用して、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価することができる櫛型の毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法を実現するものである。
【0025】
本発明の発明者らは、既にPVDFフィルムの特性を利用した毛髪性状計測装置を実現し、例えば、特許文献「特開2007−252657」に開示しているが、本発明は、開示された毛髪性状計測装置を改良するものである。本発明に係る毛髪特性測定用センサは、開示された毛髪性状計測装置と比較して、小型で携帯性に優れ、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価する官能評価が可能であるとともに、「毛髪を梳かす」という実動作に近い操作により評価データが取得できることにより、人が毛髪に対し得る感覚の情報の取得(官能評価)と、評価データの取得とを同時に行えることが特徴である。
【0026】
最初に本発明の概要について説明し、次いで、具体的な実施例について説明する。
【0027】
図1は、パチニ小体について説明するための図であり、図1(a)は、指腹部皮下組織の概要を示す模式図、図1(b)は、触受容器の特性を示す図である。図1(a)に示す指腹部皮下組織10において、1は表皮、2は真皮、3は皮下脂肪組織、4はマイスナー小体、5はパチニ小体、6はメルケル触盤、7はルフィニ終末、8は指紋である。指紋8の幅は、例えば、0.35mmである。マイスナー小体4、パチニ小体5、メルケル触盤6、ルフィニ終末7は指の触受容器であり、それぞれ、図1(b)に示すような特性を有する。図1(b)において、順応とは持続的に刺激を受けていているときの応答の速さ、領域とは定点刺激に対して興奮する範囲の大小をいう。
【0028】
図1(b)に示すように、皮膚変位の加速度を検出する感度が高く、微細なテクスチャの知覚認識に関与するパチニ小体5に着目し、パチニ小体5に圧力パルスを印加した場合の応答特性について検討を行った。図2は、パチニ小体5及びPVDFフィルムに圧力パルスを印加した場合の応答波形を例示する図である。図2(a)において、縦軸は圧力の強さ、横軸は時間を示しており、波形11a〜13aは印加した圧力パルスである。図2(b)において、縦軸は出力の強さ、横軸は時間を示しており、11b〜13bは、圧力パルス11a〜13aが印加された場合の、パチニ小体5の応答波形である。図2(c)において、縦軸は出力電圧、横軸は時間を示しており、11cは、圧力パルス11aが印加された場合の、PVDFフィルムの応答波形である。
【0029】
図2(b)と図2(c)とを比較すると、人の指の触受容器であるパチニ小体5及び圧電体の一つであるPVDFフィルムに圧力パルスを印加した場合の応答波形が極めて類似していることが確認できる。この結果から、PVDFフィルムの特性を利用することにより、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価することが可能になると考え、PVDFフィルムを受感材とした櫛型の毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法を実現した。毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法について、以下に詳しく説明する。
【0030】
[毛髪特性測定用センサ]
図3は、本発明に係る毛髪特性測定用センサを例示する図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は図3(a)のA−A線に沿う断面図である。図3を参照するに、本発明に係る毛髪特性測定用センサ20は、櫛21と、PVDFフィルム22と、ノイズ低減材23と、ケーブル24とを有する。櫛21は、例えば、毛髪を梳かすための一般的な市販の櫛であり、PVDFフィルム22と、ノイズ低減材23と、ケーブル24とを配置するための支持体となる。又、櫛21中の21aは毛髪を梳かすための櫛型形状部、21bは櫛型形状部21aを支持する支持部を示している。
【0031】
櫛21は、例えば、アクリル樹脂等で作られている。図3(a)における櫛21の縦方向の全長及び櫛型形状部21aの縦方向の長さは、例えば、それぞれ40mm及び30mmであり、櫛21の横方向の全長及び櫛型形状部21aの横方向の長さは、例えば、それぞれ140mm及び80mmであるが、これに限定されるものではない。
【0032】
PVDFフィルム22は、ポリフッ化ビニリデンを圧電変換材とする検出手段であり、前述のように、セラミック等の他の圧電体に比べ非常に柔軟な機械的特性を有し、加工が容易であり高感度かつ広い周波数応答を示すことを特徴とする。PVDFフィルム22は、櫛21で毛髪を梳かすときの櫛21の振動により圧力を受け、受けた圧力に比例する電圧を発生する。図3(a)及び図3(b)に示すように、PVDFフィルム22は、支持部21bのほぼ中央に、支持部21bの上部を覆うように配置されている。
【0033】
なお、図3において、PVDFフィルム22は、櫛21で毛髪を梳かすときの振動を、櫛21を介して感知するため、毛髪が直接触れる櫛型形状部21aではなく、支持部21bに配置しているが、PVDFフィルム22を、櫛型形状部21aの全部又は一部に配置しても構わない。PVDFフィルム22の大きさは、例えば、41mm×16mmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
ノイズ低減材23は、PVDFフィルム22を保護すると同時に、外部ノイズの影響を低減するためにPVDFフィルム22全体を覆うように配置されている。ノイズ低減材23は、例えば、Cu等からなる導電性のテープ等である。又、ノイズ低減材23は、例えば、本発明に係る毛髪特性測定用センサを用いた評価装置の基準電位であるGND(アース)等と同電位とされている。ただし、ノイズ低減材23は、必須の構成要素ではない。
【0035】
ケーブル24は、PVDFフィルム22の発生する信号を本発明に係る毛髪特性測定用センサ20を用いた評価装置に出力する出力手段であり、櫛21の上端部に沿って配置されているが、他の部分に配置しても構わない。ケーブル24は、例えば、Cu等からなる内部の導電性の線材を、Cu等からなる金属箔・金属製ブレード(組み紐)等で覆ったケーブル等である。ただし、ケーブル24は、必須の構成要素ではなく、例えば、毛髪特性測定用センサ20が、PVDFフィルム22の発生する電圧を出力する出力端子や出力ランド等の出力手段を有し、出力手段と評価装置とを、評価装置側に備えられたケーブル、又は、単独に存在するケーブル等を用いて接続するような構成等としても構わない。
【0036】
なお、PVDFフィルム22を用いた毛髪特性測定用センサ20は、特許文献1及び3に記載されているマイクロホンを用いたセンサとは異なり、空気中を伝達してくる振動を感知するものではなく、櫛21で毛髪を梳かすときの振動を、櫛21を介して直接感知するため、ノイズの影響を受けにくく、S/N比の高い測定が可能であるため、本発明に係る毛髪特性測定用センサ20に好適である。
【0037】
又、PVDFフィルム22を用いた毛髪特性測定用センサ20において、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価するためには、後述するように、0〜600Hzの周波数範囲の成分が極めて重要である。特許文献2に記載されている櫛型毛髪センサに搭載されている加速度センサS12(Primo
stone社製)は、1KHz付近にピーク感度を持ち、0〜600Hzの周波数範囲における感度は、必ずしも高いとはいえない。一方、PVDFフィルム22は、0〜600Hzの周波数範囲を含む周波数領域でも感度が高いため、本発明に係る毛髪特性測定用センサ20に好適である。
【0038】
[毛髪特性測定用センサを用いた評価装置]
図4は、本発明に係る毛髪特性測定用センサを用いた評価装置の概略の構成を例示する図である。同図中、図3と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。図4を参照するに、本発明に係る毛髪特性測定用センサを用いた評価装置30(以下、評価装置30)は、毛髪特性測定用センサ20と、トリガ信号生成手段31と、オシロスコープ32と、信号処理手段33と、評価手段34と、表示手段35とを有する。又、信号処理手段33は、分散値算出手段33aと、周波数解析手段33bとを有する。
【0039】
毛髪特性測定用センサ20のケーブル24は、オシロスコープ32と接続されている。オシロスコープ32は、トリガ信号生成手段31及び信号処理手段33と接続されている。信号処理手段33は、評価手段34と接続されている。評価手段34は、表示手段35と接続されている。
【0040】
トリガ信号生成手段31は、所定のトリガ信号を生成し、オシロスコープ32に入力する。オシロスコープ32は、トリガ信号生成手段31から入力されたトリガ信号に基づいて、毛髪特性測定用センサ20の出力のサンプリングを開始し、毛髪特性測定用センサ20の出力を所定のサンプリング周波数でサンプリングし、オシロスコープ32に取り込む。オシロスコープ32に取り込まれた毛髪特性測定用センサ20の出力は、信号処理手段33に入力され解析される。
【0041】
なお、トリガ信号生成手段31及びオシロスコープ32は、必須の構成要素ではなく、例えば、A/D変換手段により、毛髪特性測定用センサ20の電圧出力(アナログ信号)を、所定のサンプリング周波数で標本化し、更に量子化することでディジタル信号に変換し、信号処理手段33に入力するような構成にしても構わない。この際、毛髪特性測定用センサ20の電圧出力(アナログ信号)を増幅してから標本化等の処理を実行しても良い。
【0042】
信号処理手段33中の分散値算出手段33aは、毛髪特性測定用センサ20の出力の分散値を算出する。又、信号処理手段33中の周波数解析手段33bは、毛髪特性測定用センサ20の出力の周波数成分を解析する。又、評価手段34は、信号処理手段33で処理された信号処理結果と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価する。信号処理手段33及び評価手段34は、例えば、コンピュータの一機能や、一つ又は複数のLSI等として実現することができる。
【0043】
表示手段35は、信号処理手段33の解析結果や評価手段34の評価結果、その他の必要事項を表示する。表示手段35は、例えば、液晶ディスプレイ等である。なお、表示手段35は、必須の構成要素ではなく、例えば、表示手段35に代えて、又は、表示手段35とともに、解析結果や評価結果等を印刷する印刷手段や、操作方法、解析結果、評価結果等を音声で案内する音声出力手段等を設けても構わない。
【0044】
[毛髪特性測定用センサを用いた評価方法]
図4に示すように、毛髪特性測定用センサ20の出力は、所定のサンプリング周波数でサンプリングされ、オシロスコープ32を経由して、信号処理手段33に入力され(入力ステップ)、所定の信号処理がなされる(信号処理ステップ)。具体的には、信号処理手段33に入力された、所定のサンプリング周波数でサンプリングされた毛髪特性測定用センサ20の出力は、分散値算出手段33aに入力され、分散値算出手段33aにより、平均値からどれだけバラツキがあるかを評価するための、式(数1)に示す所定の測定回数の分散値VAR、及び、サンプル間での振幅の大きさを評価するための、式(数2)に示すサンプルごとの分散平均値VARmeanが算出される(分散値算出ステップ)。なお、所定の測定回数の分散値VAR及び分散平均値VARmeanの2つを含めて分散値VARという。
【0045】
式(数1)に示す所定の測定回数の分散値VARは、測定回数j回目の波形の分散値であり、測定回数jは、例えば、2〜10である。計測値の再現性の低さを考慮して、1回目の測定(測定回数1)の計測値は使用しないことが好ましい。又、1.5sec〜2.0sec間(梳き終わり動作時)の計測値の再現性の低さを考慮して、1.5sec〜2.0sec間の計測値を無視し、所定の測定回数の分散値VARは、例えば、1.0sec〜1.5sec間(梳き動作の安定時)の計測値を用いて算出される。なお、0.0sec〜1.0sec間は、櫛21の櫛型形状部21aを毛髪サンプルにセットする際の信号が出力されるため計測は行わない。
【0046】
式(数1)において、nは、データ点数(例えば、n=5000)、Xiは、毛髪特性測定用センサ20のi番目の出力であり、Xは平均値である。なお、式(数1)においては、測定回数jが2〜10、iが10000〜15000、nが5000である場合を例に説明をするが、これに限定されるものではない。式(数2)に示す分散平均値VARmeanは、測定回数がmである場合の分散平均値である。測定回数mは、例えば、10である。
【0047】
【数1】

【0048】
【数2】


又、信号処理手段33に入力された、所定のサンプリング周波数でサンプリングされた毛髪特性測定用センサ20の出力は、周波数解析手段33bに入力され、周波数成分の解析が行われる(周波数解析ステップ)。具体的には、周波数解析手段33bにより、式(数3)に示す離散フーリエ変換Xs(n)、
【0049】
【数3】


式(数4)に示すパワースペクトル密度PSD、
【0050】
【数4】


式(数5)に示すN番目の線スペクトルf(N)、
【0051】
【数5】


式(数6)に示すパワースペクトル密度PSDの周波数f=0〜lHzまでの総和PA(l)が算出される(総和算出ステップ)。
【0052】
【数6】


ここで、Vo(k)は、毛髪特性測定用センサ20のk番目の出力である。又、計算精度及び計算速度向上のため、計測値に対し窓関数の一種であるハミング関数を掛け、2の累乗になるように零挿入を行っている。信号処理手段33で処理された信号処理結果である分散値及び周波数成分の解析結果は、評価手段34に入力され、評価手段34は、信号処理結果と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価する(評価ステップ)。信号処理結果や評価結果は、例えば、表示手段35に表示されたり、印刷手段(図示せず)で印刷される。
【0053】
以下、図面を参照して、本発明に係る毛髪特性測定用センサ、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置、及び評価方法の具体的な実施例の説明を行う。
【0054】
〈実施例〉
最初に、櫛21として、アクリル樹脂からなる市販の櫛を用意し、PVDFフィルム22、ノイズ低減材23及びケーブル24を配置して、図3に示す毛髪特性測定用センサ20を作製した。PVDFフィルム22は、東京センサ製のDTI−028Kを使用し、PVDFフィルム22の大きさは、41mm×16mmとした。又、ノイズ低減材23は、Cuからなる導電性のテープを使用した。ケーブル24は、Cuからなる内部の導線を、Cuからなる金属製ブレード(組み紐)で覆った所謂シールドケーブルを使用した。
【0055】
次いで、毛髪特性測定用センサ20のケーブル24を評価装置30のオシロスコープ32に接続し、トリガ信号生成手段31により生成したトリガ信号をオシロスコープ32に入力した。オシロスコープ32は、トリガ信号に基づいて毛髪特性測定用センサ20の出力のサンプリングを開始し、毛髪特性測定用センサ20の出力を10KHzのサンプリング周波数で取り込み、オシロスコープ32の出力を信号処理手段33に入力した。オシロスコープ32としては、市販のオシロスコープを使用した。信号処理手段33及び評価手段34としては、市販のパーソナルコンピュータを使用した。表示手段35としては、市販の液晶ディスプレイを使用した。
【0056】
次に、評価用の毛髪サンプルを用意した。図5は、7種類の処理を施した評価用の毛髪サンプルA〜Gの内容を示す図である。図5(a)は、毛髪サンプル40の外観を示しており、毛髪サンプル40は、約30〜40cm程度の毛髪、約2000本を根元の部分で束ねたものである。又、図5(b)は、サンプルA〜Gに施された処理の内容を示している。
【0057】
図5に示すように、コンディショナー成分が含まれていないシャンプーA及びコンディショナー成分が含まれているシャンプーB〜Gにより毛髪に処理を施した後、乾燥させた毛髪サンプル40が用意された。コンディショナー成分が含まれていないシャンプーAにより処理を施されたサンプルAは、コンディショナー成分が含まれているシャンプーB〜Gにより処理を施されたサンプルB〜Gと比較して、毛髪状態が悪いと考えられる。
【0058】
図6は、毛髪特性測定用センサ20により毛髪サンプルA〜Gを測定する方法を示す図である。同図中、図3〜図5と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。図6に示すような方法で、毛髪特性測定用センサ20により、毛髪サンプルA〜Gの仕上がり感評価を実施した。具体的には、図6(a)に示すように、毛髪特性測定用センサ20を構成する櫛21の櫛型形状部21aを毛髪サンプルA〜Gの上部にセットし、図6(b)及び図6(c)に示すように、毛髪特性測定用センサ20を構成する櫛21の櫛型形状部21aを毛髪サンプルA〜Gにセットした状態で矢印方向に移動させながら梳かした。この操作を約2秒間で10回実施した。なお、複数回実施したのは測定のバラツキを吸収するためであり、必ずしも10回でなくても構わない。
【0059】
図7は、毛髪特性測定用センサ20で毛髪サンプルA〜Gを梳かしたときのPVDFフィルム22の出力をオシロスコープ32を通して表示した電圧波形を示す図である。図7において、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。図6に示すような方法で、毛髪特性測定用センサ20を構成する櫛21の櫛型形状部21aを毛髪サンプルA〜Gにセットした状態で矢印方向に移動させながら梳かすことにより、櫛21が毛髪サンプルA〜Gの毛髪状態に対応して振動し、毛髪特性測定用センサ20を構成するPVDFフィルム22に圧力を及ぼし、PVDFフィルム22は、及ぼされた圧力に比例する電圧を出力する。
【0060】
PVDFフィルム22の出力をオシロスコープ32に入力し、オシロスコープ32は、トリガ信号生成手段31から入力されたトリガ信号に基づいて、PVDFフィルム22の出力のサンプリングを開始し、PVDFフィルム22の出力を10KHzのサンプリング周波数でオシロスコープ32に取り込み、図7に示すような電圧波形として表示した。
【0061】
次いで、オシロスコープ32の出力を信号処理手段33に入力し、分散値算出手段33aにより、式(数1)に示す所定の測定回数の分散値VAR及び式(数2)に示すサンプルごとの分散平均値VARmeanを算出した。
【0062】
なお、測定回数jは2〜10とし、計測値の再現性の低さを考慮して、1回目の測定(測定回数1)の計測値は使用しなかった。又、1.5sec〜2.0sec間(梳き終わり動作時)の計測値の再現性の低さを考慮して、1.5sec〜2.0sec間の計測値を無視し、1.0sec〜1.5sec間(梳き動作の安定時)の計測値を用いて算出した。データ点数n=5000である。
【0063】
図8は、分散値算出手段33aにより算出されたサンプルごとの分散平均値VARmeanを示す図である。図8に示すように、コンディショナー成分が含まれていないシャンプーAにより処理を施されたサンプルAと、コンディショナー成分が含まれているシャンプーB〜Gにより処理を施されたサンプルB〜Gとでは大きな差が見られ、毛髪特性測定用センサ20の出力から求めた分散平均値VARmeanは、毛髪特性測定に有用なパラメータであることが確認された。なお、分散平均値VARmeanは、所定の測定回数の分散値VARを平均したものであるから、分散平均値VARmean及び所定の測定回数の分散値VARが、毛髪特性測定に有用なパラメータであるといってよい。すなわち、所定の測定回数の分散値VAR及び分散平均値VARmeanの2つを含めた分散値VARは、毛髪特性測定に有用なパラメータである。
【0064】
次いで、周波数解析手段33bにより、式(数4)に示すパワースペクトル密度PSD及び式(数6)に示すパワースペクトル密度PSDの0〜lHzまでの総和PA(l)を算出した。なお、周波数解析手段33bにより算出された各サンプルのパワースペクトル密度PSDを確認したところ、いずれのサンプルも600Hz以降の周波数における振幅が微小であったため(図示せず)、パワースペクトル密度PSDの0〜600Hzの周波数範囲の成分が重要であると判断し、式(数6)のlを600とし、パワースペクトル密度PSDの0〜600Hzの周波数範囲の成分の総和PA(600)(以下、総和PA(600)という)を算出した。
【0065】
図9は、周波数解析手段33bにより算出された総和PA(600)を示す図である。図9に示すように、コンディショナー成分が含まれていないシャンプーAにより処理を施されたサンプルAと、コンディショナー成分が含まれているシャンプーB〜Gにより処理を施されたサンプルB〜Gとでは大きな差が見られ、毛髪特性測定用センサ20の出力から求めた総和PA(600)は、分散平均値VARmeanと同様に、毛髪特性測定に有用なパラメータであることが確認された。
【0066】
以上のように、分散値VAR及び総和PA(600)は、毛髪特性測定に有用なパラメータであることが確認されたが、更に、これらの値と、人が毛髪に対し得る感覚(官能評価)との関係について調査した。
【0067】
図10は、12個の感性ワードを示す図であり、官能評価は、20〜39歳の女性171人を対象に、図5(b)に示すサンプルD、E、F、Gについて、シャンプー及びコンディショナー使用後の仕上がり時において、図10に示すような「しとっりした」等の12個の感性ワードに対し、「そう思う」、「少しそう思う」、「どちらでもない」、「あまりそう思わない」、「そう思わない」の5段階で評価してもらい、「そう思う」、「少しそう思う」と評価した人数の、全体人数に対する割合[%]を評価指標として使用した。以下、各感性ワードについて、「そう思う」、「少しそう思う」と評価した人数の、全体人数に対する割合[%]を、各感性ワードの官能評価結果という。なお、感性ワードとは、人が毛髪に対し得る感覚を言葉で表現したものである。
【0068】
始めに、官能評価と所定の測定回数の分散値VARとの関係について説明する。図11は、感性ワード「べたつかない」の官能評価結果と所定の測定回数の分散値VARとの関係を示す図である。図11における直線は、サンプルごとの平均値に対する近似直線である。バラツキはあるが、「べたつかない」の値の増加とともに所定の測定回数の分散値VARが減少していることがわかる。又、図12は、各感性ワードと所定の測定回数の分散値VARとの相関関係を示す図である。
【0069】
図11及び図12に示すように、感性ワード「べたつかない」の官能評価結果と所定の測定回数の分散値VARとの相関係数は−0.85であり、感性ワード「べたつかない」の官能評価結果と所定の測定回数の分散値VARは、高い負の相関関係を示すことが確認された。この結果より、毛髪特性測定用センサ20の出力から所定の測定回数の分散値VARを求めることで、毛髪の「べたつき」を測定できることがわかった。
【0070】
次いで、官能評価と総和PA(600)との関係について説明する。図13は、感性ワード「ハリ・コシが出た」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。図14は、感性ワード「指通り・櫛通りがよい」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。図15は、感性ワード「パサつかない」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。図16は、感性ワード「ツヤが出る」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。図13〜図16における直線は、サンプルごとの平均値に対する近似直線である。バラツキはあるが、感性ワード「ハリ・コシが出た」、「指通り・櫛通りがよい」、「パサつかない」、「ツヤが出る」の値の増加とともに総和PA(600)が減少していることがわかる。図17は、各感性ワードと総和PA(600)との相関関係を示す図である。
【0071】
図13〜図17に示すように、感性ワード「ハリ・コシが出た」、「指通り・櫛通りがよい」、「パサつかない」、「ツヤが出る」の官能評価結果と総和PA(600)との相関係数は、いずれも−0.80以下であり、感性ワード「ハリ・コシが出た」、「指通り・櫛通りがよい」、「パサつかない」、「ツヤが出る」の官能評価結果と総和PA(600)は、高い負の相関関係を示すことが確認された。この結果より、毛髪特性測定用センサ20の出力から総和PA(600)を求めることで、毛髪の「ハリ・コシが出た」、「指通り・櫛通りがよい」、「パサつかない」、「ツヤが出る」を測定できることがわかった。
【0072】
すなわち、本実施例において、信号処理手段33で処理された信号処理結果である分散値VAR、及び/又は、総和PA(600)と、人が毛髪に対し得る感覚を言葉で表現したものである各感性ワードとの相関関係を、予め評価手段34に記憶等させて、評価手段34に認識させておけば、係る相関関係に基づいて、評価手段34が毛髪特性測定用センサ20の出力の信号処理結果(分散値VAR、及び/又は、総和PA(600))を評価し、例えば「パサつき」の程度等の人が毛髪に対し得る感覚を、それに対応する数値やグラフ等として出力(表示や印刷等)することができる。
【0073】
このように、本発明に係る毛髪特性測定用センサ20、毛髪特性測定用センサを用いた評価装置30、及び評価方法によれば、人の指の触受容器であるパチニ小体及び圧電体の一つであるPVDFフィルム22に圧力パルスを印加した場合の応答波形が極めて類似していることに着目し、係るPVDFフィルム22の特性を毛髪特性測定用センサ20に利用することにより、人が毛髪に対し得る感覚を、客観的に評価することができる。
【0074】
又、評価装置30を構成する信号処理手段33の分散値算出手段33aにより算出された分散値VARは、感性ワード「べたつかない」と特に強い相関関係があるため、毛髪特性測定用センサ20の出力から分散値VARを算出することで、毛髪の「べたつき」の客観的な評価を精度よく行うことができる。
【0075】
又、評価装置30を構成する信号処理手段33の、周波数解析手段33bにより算出された総和PA(600)は、感性ワード「ハリ・コシが出た」、「指通り・櫛通りがよい」、「パサつかない」、「ツヤが出る」と特に強い相関関係があるため、毛髪特性測定用センサ20の出力から総和PA(600)を算出することで、毛髪の「ハリ・コシが出た」、「指通り・櫛通り」、「パサつき」、「ツヤ」の客観的な評価を精度よく行うことができる。
【0076】
又、PVDFフィルム22を櫛21に配置するように構成することで、「毛髪を梳かす」という実動作に近い操作により評価データを取得することが可能となり、人が毛髪に対し得る感覚の情報の取得(官能評価)と、評価データの取得とを同時に行うことができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0078】
例えば、実施の形態及び実施例において、毛髪特性測定用センサ20の構成例として、櫛21にPVDFフィルム22を配置する例を示したが、この構成例に限定されるものではなく、例えば、櫛21の代わりに、ブラシ又は、櫛やブラシと同様の機能を有し、PVDFフィルム22を配置可能な支持部を有するものであれば、どのようなものを用いても構わない。
【0079】
又、実施の形態及び実施例の図4において、毛髪特性測定用センサ20、信号処理手段33、評価手段34を別々の構成としているが、例えば、信号処理手段33及び評価手段34を一つ又は複数のLSI、マイクロコンピュータ等として実現し、毛髪特性測定用センサ20の、例えば、櫛21中の支持部21bに配置し、センサと一体化するような構成にしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】パチニ小体について説明するための図である。
【図2】パチニ小体5及びPVDFフィルムに圧力パルスを印加した場合の応答波形を例示する図である。
【図3】本発明に係る毛髪特性測定用センサを例示する図である。
【図4】本発明に係る毛髪特性測定用センサを用いた評価装置の概略の構成を例示する図である。
【図5】7種類の処理を施した評価用の毛髪サンプルA〜Gの内容を示す図である。
【図6】毛髪特性測定用センサ20により毛髪サンプルA〜Gを測定する方法を示す図である。
【図7】毛髪特性測定用センサ20で毛髪サンプルA〜Gを梳かしたときのPVDFフィルム22の出力をオシロスコープ32を通して表示した電圧波形を示す図である。
【図8】分散値算出手段33aにより算出されたサンプルごとの分散平均値VARmeanを示す図である。
【図9】周波数解析手段33bにより算出された総和PA(600)を示す図である。
【図10】12個の感性ワードを示す図である。
【図11】感性ワード「べたつかない」の官能評価結果と所定の測定回数の分散値VARjとの関係を示す図である。
【図12】各感性ワードと分散値VARjとの相関関係を示す図である。
【図13】感性ワード「ハリ・コシが出た」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。
【図14】感性ワード「指通り・櫛通りがよい」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。
【図15】感性ワード「パサつかない」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。
【図16】感性ワード「ツヤが出る」の官能評価結果と総和PA(600)との関係を示す図である。
【図17】各感性ワードと総和PA(600)との相関関係を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 表皮
2 真皮
3 皮下脂肪組織
4 マイスナー小体
5 パチニ小体
6 メルケル触盤
7 ルフィニ終末
8 指紋
10 指腹部皮下組織
11a〜13a 圧力パルス波形
11b〜13b 圧力パルス11a〜13aが印加された場合の、パチニ小体5の応答波形
11c 圧力パルス11aが印加された場合の、PVDFフィルムの応答波形
20 毛髪特性測定用センサ
21 櫛
21a 櫛型形状部
21b 櫛型形状部21aを支持する支持部
22 PVDFフィルム
23 ノイズ低減材
24 ケーブル
30 評価装置
31 トリガ信号生成手段
32 オシロスコープ
33 信号処理手段
33a 分散値算出手段
33b 周波数解析手段
34 評価手段
35 表示手段
40 毛髪サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を梳かすための櫛型形状部を有する支持体と、
前記支持体上に配置され、前記支持体が前記毛髪を梳かす際に生じる振動を電気信号に変換するポリフッ化ビニリデンを圧電変換材とする検出手段と、
前記検出手段の発生する信号を出力する出力手段と、を有する毛髪特性測定用センサ。
【請求項2】
前記検出手段を覆うように配置され、外部ノイズの影響を低減するノイズ低減材を有することを特徴とする請求項1記載の毛髪特性測定用センサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の毛髪特性測定用センサと、
前記毛髪特性測定用センサの出力手段から出力される信号を処理する信号処理手段と、
前記信号処理手段で処理された信号処理結果と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価する評価手段と、を有する毛髪特性評価装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、前記出力手段から出力される信号の分散値を算出する分散値算出手段、及び/又は、前記出力手段から出力される信号の所定の周波数範囲の周波数成分を解析する周波数解析手段を有することを特徴とする請求項3記載の毛髪特性評価装置。
【請求項5】
前記周波数解析手段は、前記出力手段から出力される信号を解析し、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和を算出することを特徴とする請求項4記載の毛髪特性評価装置。
【請求項6】
前記所定の周波数範囲は、0〜600Hzの周波数を含むことを特徴とする請求項5記載の毛髪特性評価装置。
【請求項7】
前記評価手段は、前記分散値、及び/又は、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価することを特徴とする請求項5又は6記載の毛髪特性評価装置。
【請求項8】
請求項1又は2記載の毛髪特性測定用センサの出力手段から出力される信号を、信号処理手段に入力する入力ステップと、
前記入力ステップで入力される信号を、前記信号処理手段で処理する信号処理ステップと、
前記信号処理ステップで処理される信号処理結果と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価する評価ステップと、を有する毛髪特性評価方法。
【請求項9】
前記信号処理ステップは、前記入力ステップで入力される信号の分散値を算出する分散値算出ステップ、及び/又は、前記入力ステップで入力される信号の所定の周波数範囲の周波数成分を解析する周波数解析ステップを有することを特徴とする請求項8記載の毛髪特性評価方法。
【請求項10】
前記周波数解析ステップは、前記入力ステップで入力される信号を解析し、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和を算出する総和算出ステップを有することを特徴とする請求項9記載の毛髪特性評価方法。
【請求項11】
前記所定の周波数範囲は、0〜600Hzの周波数を含むことを特徴とする請求項10記載の毛髪特性評価方法。
【請求項12】
前記評価ステップは、前記分散値、及び/又は、前記所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度の総和と人が毛髪に対し得る感覚とを対応させて毛髪特性を評価することを特徴とする請求項10又は11記載の毛髪特性評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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