説明

気体吸着部材、及びこれを用いた電子装置と有機発光装置

【課題】電子装置の小型化を妨げることなく吸着効率を向上できる気体吸着部材を提供することを目的とする。
【解決手段】接着剤付着面を有する気体吸着部材6であって、付着面における接着剤7cの分布が部分的である気体吸着部材6を製造する。或いは、表面に凹凸形状を有する気体吸着部材6を備えた電子装置であって、気体吸着部材6の表裏の両主面全体が電子装置を構成する金属部材又は樹脂部材に密着している電子装置を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体吸着部材、及びこれを用いた電子装置と有機発光装置(以下、「有機EL表示装置」とも記載する)に関するものである。気体吸着部材の用途としては、有機発光装置の他、電池、コンデンサ(キャパシタ)、ハードディスクドライブ等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(以下、「有機EL素子」とも記載する)を用いた有機発光装置やハードディスクドライブなど、湿度や酸性ガス、有機ガスによって劣化する虞のある電子機器類の内部には、水蒸気や有害ガス等を吸着する機能を有する気体吸着部材(デシカント)が使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、有機EL素子の水分等による経時劣化を回避すべく、有機EL素子(有機EL構造体)を収納した密閉容器内に、該容器内の水分やその他有機発光素子の劣化を引き起こすガスを吸着除去する気体吸着部材(多孔質吸着シート)を配置することが記載されている。気体吸着部材には吸着剤が含まれている。有機EL素子は、下部電極、有機発光体、上部電極が順に積層された構造を有する。
【0004】
特許文献1に記載された有機EL表示装置では有機EL素子と気体吸着部材とが離間して設置されている。その主な理由は2点ある。
【0005】
1点目として、有機EL素子は非常に薄くて脆いため、気体吸着部材が有機EL素子に接触することにより有機EL素子に傷が付き、発光状態に支障が生じるためである。また、気体吸着部材に含まれる吸着剤として活性炭を使用している場合も多いが、活性炭は電気を通す為、有機EL素子に接触すると上下の電極間でショートを起こし、有機EL素子が破壊される虞もある。
【0006】
2点目として、仮に有機EL素子と気体吸着部材とが密着していると、気体吸着部材と密閉容器内部の気体との有効接触面積が少なくなるため、密閉容器内に浸入してきた水分(気体)を迅速に吸着できないためである。
【0007】
有機EL素子の劣化原因となる水分は、密閉容器内で使用されている材料に含まれる残存水分と、密閉容器を封止するための接着層等を通して外部から浸入する水分の2つに大別されるが、外部から浸入する水分の割合が大きい。したがって、外部から浸入した水分が有機EL素子に到達してしまう前に吸着剤に吸着させる必要がある。そのため、吸着材には、吸着力(吸湿力)の強い材料が使用され、密閉容器内は常に露点がマイナス60度以下に維持できるように設計されている。
【0008】
外気の侵入経路である上記接着剤を通り、密閉容器内に浸入した水分は、気体吸着部材までは拡散(気体分子のブラウン運動)により移動する。このため、気体吸着部材は、上記接着剤に近い部分から順に吸着劣化(吸着性能の低下)が始まる。有機EL素子と気体吸着部材との間に十分な空間がない場合には、水分が気体吸着部材の中央部付近まで到達しないままに気体吸着部材の外周部の吸着性能が低下する。このため、気体吸着部材の中央部にはまだ吸着性能が残存しているにも拘わらず、該外周部における湿度が高くなり、有機EL素子の外周部から順に吸湿劣化が始まる現象が発生してしまう。
【0009】
気体吸着部材全体の吸着性能を十分に発揮させるためには、水分が気体吸着部材の全体から均一に吸着される事が望ましく、そのためには水分の浸入速度より十分パネル内で水分が移動できる状態、すなわち、有機EL素子と気体吸着部材との間に空間を設けておく必要がある。
【0010】
この空間を確保するため、密閉容器に凹部を形成し、当該凹部に気体吸着部材を貼り付ける方法が知られている(特許文献2)。
【0011】
しかし、この方法には次の2つのデメリットがある。
第1点目のデメリットとして、有機発光装置(以下、単に「ディスプレイ」という場合もある)の大型化により、ディスプレイの中央部が歪み易くなり、その分、有機EL素子と気体吸着部材が接触し易くなる。現状で使用される密閉容器(ガラスキャップ)は厚さが1mm以下と非常に薄く、ディスプレイのパネルサイズが2インチ以上になると僅かな応力でも密閉容器の中央部に撓みが発生する。撓みを防止する為には、ガラスキャップを厚くするか、或いは、撓んでも有機EL素子と気体吸着部材とが接触しない程度の空間を設けることが考えられるが、いずれの方法にしても、できるだけ薄いディスプレイを作製するという技術動向には逆行してしまう。
【0012】
その他、有機EL素子と気体吸着部材との接触を避ける方法として特許文献3に記載されているように、気体吸着部材に凹状部を形成する手法も知られている。しかし、この方法では気体吸着部材の吸着容量が小さくなり、寿命の観点から問題がある。
【0013】
第2点目のデメリットとして、製造コストの問題がある。ガラスキャップに形成する凹部は、通常は研磨や、溶剤を用いた溶解法により作製されるものであるが、当然のことながら深く掘るほど製造時間とコストが増大する。
【0014】
以上のように、有機EL素子は薄く作製できることが期待されているにも拘わらず、ガラスキャップに凹部を作り、この凹部に気体吸着部材を設ける方法では、有機発光装置の薄型化に繋がらない。この問題を解決する方法として固体封止型(密閉容器内に空間を作らない)の有機発光装置の開発に焦点が当てられている。
【0015】
その固体封止型の有機発光装置は大きく2つに大別される。1つ目は、有機EL素子が水分に接触しないように、水分を透過し難い接着剤等で有機EL素子を封止する方法(特許文献4,5)である。
【0016】
また、1つ目の他の態様として、保護層とセラミック層とからなる強力なガスバリアを有機EL素子に覆い被せ、有機発光装置内への水分の浸入を完全にシャットアウトしようとする方法(特許文献6)がある。
【0017】
2つ目は、有機EL素子上に保護層を設けその上に乾燥剤を接着し封止する方法(特許文献7)である。
【0018】
上記特許文献4〜7に記載された方法は、水分の侵入に対してそれぞれ一定の効果を有するが、以下の問題も含まれる。
【0019】
まず特許文献4に関していえば、有機EL素子を形成した基板と接着剤との間にはどうしても隙間ができ易く、この隙間からの水分の浸入を完全に防止することは非常に困難である。
【0020】
特許文献5に記載された方法は、有機EL素子の外周部に形成されるシール材に吸着剤を含有させたものである。しかし、有機EL素子の外周にシール材を取り付けることは非常に難しい。そのため、一枚のマザーガラスから一つ一つ複数のディスプレイパネルを切り出す現在の製造方法では、時間とコストを浪費してしまう。またシール材に封入できる吸着剤の量には自ずと制限があるため、長期の信頼性が要求される用途では吸着力が不十分となってしまう。
【0021】
また、特許文献6に関しても、有機EL素子を形成した基板とガスバリア(保護層/セラミック層)との間の隙間からの水分浸入を完全に防止することは困難である。さらに、保護層とセラミック層との界面からの水分浸入による解離を防止する為に、同じ素材のポリマーを使用することが記載されているが、そのためには有機EL素子を形成する基板表面も同じ材料の表層を形成する必要があり、両側同じ構造をとる必要が出てくる。しかし、通常の有機発光装置では、ガラス基板上に有機EL素子が形成されており、この手法を選択する場合は、ガラス表面と保護層もしくはガスバリア層との界面から侵入してくる水分を防止することは困難である。
【0022】
2つ目の方法、すなわち上記特許文献7では、有機EL素子上に保護膜を形成し、その上に気体吸着部材(吸湿剤)を設けたものである。しかし、この方法は保護層と吸湿剤が密着している為、浸入した水分は吸湿剤の上面(有機EL素子とは反対側の面)から吸湿する必要がある。従って、従来と同様に封止部材(凹形状のキャップ)と、その外周に設ける接着剤を用いて、吸湿剤付きの有機EL素子を封止している。これは、封止部から浸入した水分が移動する空間を確保するためである。従って、有機発光装置の厚さは、上記特許文献1〜3に記載されたものと大きく変わらない。キャップが吸湿剤に接触しそうであればキャップに凹部を形成しなければならず、上述の製造時間とコスト問題が生じる。従って、吸湿剤の厚みのばらつき、組み立てのばらつき、キャップの撓みを計算し、キャップと吸湿剤との間に十分な空間を設けなければならない。そうなると、キャップに吸湿剤を施す特許文献1〜3記載の方法との比較においては、有機EL素子上に吸湿剤を設ける構造であることから封止工程における作業性には優れているが、有機EL素子の薄型化には逆行する。
【特許文献1】特許第3885150号公報
【特許文献2】特開2002−280166号公報(図6)
【特許文献3】特開2004−296202号公報(図3)
【特許文献4】特開2003−142253号公報(図1)
【特許文献5】特開2004−6254号公報(図1)
【特許文献6】特開2007−7928号公報(段落0047等)
【特許文献7】特許第3409762号公報(段落0010等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
以上のように、従来の各々の有機発光装置では、気体吸着部材の吸着効率の向上と、有機発光装置の薄型化が課題となっているが、この双方を満足する気体吸着部材を製造するには至っていない。
【0024】
そこで、本発明は、有機発光装置の薄型化を妨げることなく吸着効率を向上できる気体吸着部材を提供することを目的とするものである。
なお、後述するように、本発明により提案される気体吸着部材は、気体吸着部材の表面付近における空隙構造に特徴を有するものであり、有機発光装置のみならず、小型化又は薄型化が必要な電子装置(電子機器類)に広く適用できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた。その結果、気体吸着部材の少なくとも片面に、被接着物への接着によっても気体拡散性を損なわない隙間構造を形成することにより、有機発光装置等の電子装置の薄型化や小型化を妨げることなく、吸着効率を向上できる気体吸着部材を実現できるのではないかと考え、本発明を完成した。
【0026】
上記目的を達成し得た本発明の気体吸着部材は、接着剤付着面を有し、付着面における接着剤の分布を部分的としたものである。
【0027】
上記気体吸着部材における接着剤が、基材シートの表裏両面に接着剤を配してなる両面接着テープの片側の接着剤を構成するものである態様が推奨される。
【0028】
基材シートは、ポリテトラフルオロエチレンで構成することができる。
【0029】
上記気体吸着部材は、フッ素樹脂により気体吸着剤を保持して構成される。
【0030】
上記気体吸着部材に用いるフッ素樹脂をポリテトラフルオロエチレンとする態様が推奨される。
【0031】
上記気体吸着部材の接着剤の分布をドット状にすることができる。
【0032】
上記気体吸着部材の接着剤の分布をストライプ状にすることができる。
【0033】
上記目的を達成し得た本発明の電子装置は、上記気体吸着部材の表裏の両主面全体が電子装置を構成する金属部材又は樹脂部材に密着しているものである。
【0034】
上記目的を達成し得た本発明の電子装置は、表面に凹凸形状を有する気体吸着部材を備えた電子装置であって、該気体吸着部材の表裏の両主面全体が電子装置を構成する金属部材又は樹脂部材に密着しているものである。
【0035】
上記目的を達成し得た本発明の有機発光装置は、基板上に、第一電極、有機発光体、第二電極、及び上記気体吸着部材がこの順に積層され、この気体吸着部材を覆うカバー部材を備えるものである。
【0036】
上記有機発光装置において、気体吸着部材とカバー部材との間に封止剤が充填される構成とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、有機発光装置の薄型化を妨げることなく吸着効率を向上させる気体吸着部材を提供することができる。なお、本発明により提案される気体吸着部材は、部分的な接着構造により被接着物との間に通気層を確保できるものであり、有機発光装置のみならず、小型化又は薄型化が必要な電子機器類において広くその効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態における気体吸着部材及びこれを用いた有機発光装置について、図面を参照しながら説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における気体吸着部材が有機発光装置に組み込まれた状態を示す断面図である。図1において、ガラス基板1上に陽極(第一電極)2、有機発光体3、陰極(第二電極)4がこの順にそれぞれ形成されている。陽極2は、有機発光体3において発光した光をガラス基板1側へ放射するため、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明膜で構成されている。以降、陽極2、有機発光体3、陰極4により構成される電子素子を「有機発光素子」と記載する。
【0040】
有機発光素子5上には、気体の水分や有害ガス等を吸収する機能を有する気体吸着部材6が、接着層7により固定されている。
【0041】
接着層7は、ポリエステルやポリイミド等により構成される接着基材シート7b、接着基材シート7bの気体吸着部材6側に部分的に形成された接着剤7c、有機発光素子5側に全面に形成された接着剤7aで構成される3層構造のものを用いる。
【0042】
ガラス基板1上には、気体吸着部材6と一定の間隔をあけて気体吸着部材6を覆うカバー部材8が形成されており、気体吸着部材6とカバー部材8との間には封止剤9が充填されている。カバー部材8は、接着剤8aによりガラス基板1に固定されている。接着剤8aには、例えば直径70μm〜80μmのビーズ球を含ませており、ガラス基板1とカバー部材8との間の距離を一定に保っている(なお、図1の縮尺は、縦横で異なる)。
【0043】
本発明において、接着剤とは、物と物を貼り合わせるのに用いる物質一般を指すものであり、粘着剤と呼ばれるものを含むものとする。接着剤7a、7cとしては、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤等、従来公知のものが適宜使用できるが、アクリル系接着剤が耐熱性に優れており好ましく用いられる。接着剤7a、7cの耐熱温度(被着体に対して接着性を保持できる温度)は、例えば、80℃以上、好ましくは120℃以上である。耐熱温度が80℃未満では、使用時の熱負荷によって気体吸着部材6が剥れてしまう場合がある。
【0044】
次に、接着基材シート7bの気体吸着部材6側に付着している接着剤7cの分布について説明する。接着剤7cは部分的に付着(パターン付着)している。すなわち、気体吸着部材6の表面には、接着剤が付着した部分と付着していない部分が存在している。接着剤が付着していない部分では気体の拡散が起こり易い。勿論、接着剤が付着した部分においては気体の拡散に対する抵抗は大きいが、平均してみれば、接着剤が全面的に付着している場合に比べ、気体吸着部材6の表面(有機発光素子5側)と平行な方向へ気体は拡散しやすくなる。従って、有機表示装置の外部から侵入した水分は、気体吸着部材6の外周部付近に留まることなく、気体吸着部材6の中央部にも拡散し易くなるのである。
【0045】
本発明における接着剤7cは、気体が拡散するための空隙があれば上記のような作用を有するのであるから、その作用を有する限りにおいて付着パターンはどのようなものであっても良く、部分的な分布であれば特にパターン形状は限定されず、図2に示すドット形状、図3に示すストライプ形状等、種々のパターンで分布させることが可能である。
【0046】
接着剤7cをドット形状に塗布する場合、各ドットの形状は、丸型、四角形、多角形状、文字形状、幾何学形状のいずれであってもよく、各形状の配列は任意であってよい。ドットの形状や各形状の配列は、インクジェットやスクリーン印刷やグラビア印刷などの各種の印刷手法を用いることができる。ストライプ形状に塗布する場合、ストライプを構成する各線は、直線、平面内で蛇行する波型等から適宜選択し使用すればよい。また、ストライプを構成する各線は点線や破線のように、断続的であっても良い。
【0047】
接着剤7cの塗布面積の割合は、製造環境、使用環境における温度領域全般で、気体吸着部材6を支持できる粘着力を有する範囲で設定すればよいが、好ましくは、接着基材シート7bの面積の0.5%以上、80%以下、さらに好ましくは、接着基材シート7bの面積の5%以上、70%以下とする。接着剤7a、7cには、基本的には同じ材料のものを使用してもよいし、異なる材料のものを使用してもよい。
【0048】
接着剤7cは、気体吸着部材6に予め塗布されていてもよいし、接着基材シート7bに塗布された状態で準備され、その後、気体吸着部材6に貼付されてもよい。要するに気体吸着部材6と被接着物との間に部分的に接着剤7cが形成されていれば気体吸着部材6の表面と平行な方向へ気体は拡散しやすくなる。
【0049】
本実施の形態において接着基材シート7bを用いた例について説明したのは、接着基材シート7bは適度な腰をもつため、接着剤7cの取扱い性が向上し、有機発光装置の生産性が良くなるという効果が発揮されるからである。
【0050】
接着剤7a、7cを形成する層の厚さは500μm以下(より好ましくは300μm以下)とすることが望ましい。厚さが500μmを超えると、材料コストが高くなる。又、有機発光装置に使用する場合には、装置全体が厚くなるため、有機発光装置が搭載される携帯電話やその他のモバイル端末、ポータブルオーディオプレーヤーなど小型化が要求される用途に適さない。
【0051】
本実施の形態において接着基材シート7bは、ポリテトラフルオロエチレン材料(PTFE:polytetrafluoroethylene)で形成してもよい。ポリテトラフルオロエチレン材料は、延伸等によって多孔質化したもの(多孔質PTFE)を用いてもよい。多孔質PTFEは通気性に優れるため、接着基材シート7bを多孔質PTFEで形成した場合には、接着剤7cのみならず接着基材シート7bの気体拡散性も高まるため、有機EL表示装置の外部から侵入した水分が気体吸着部材6の中央部に拡散し易くなるという効果が一層高められる。多孔質PTFEの他、通気性のある材料であれば他の多孔質材料を用いてもよく、例えばポリエチレンの多孔質膜も使用し得る。
【0052】
また、接着剤7aが接着剤7cと同様に部分的に付着したものであれば、気体拡散効果はさらに顕著となる。それにより、有機EL表示装置の製造時に残存する水分をも効率よく吸着することができることから、有機EL表示装置の歩留まり向上や材料の含有水分管理を簡易化できる点からもコスト低減が期待できる。
【0053】
気体吸着部材6としては、水分又は電子機器に有害なガスを吸着する機能を有する限り種々の吸着部材を使用でき、好ましくは気体吸着剤をバインダーで結合したものが使用できる。バインダーを用いれば、気体吸着剤粉の発生を簡便に低減でき、電子機器の汚染を防止することができる。
【0054】
バインダーとしては、樹脂(特に熱可塑性樹脂)などの固体バインダーを使用するのが好ましく、特に電気絶縁性に優れた樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライドなどのフッ素系樹脂;エチレン系不飽和単量体の単独又は共重合体(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)などのポリオレフィン系樹脂の粉末材料が好適に使用できる。中でもポリテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、耐熱性、耐薬品性に優れており、さらにはこの樹脂のファインパウダーを気体吸着剤と混合してシート化すると、シートが多孔質化するために気体吸着剤の吸着特性が阻害されない。
【0055】
気体吸着剤とは、化学的、物理的、あるいは化学物理的な作用で雰囲気中の気体を除去するもののことを意味する。気体吸着剤には、空気中の水蒸気及び/又は酸性ガス(SOx、NOx、HCl等)を除去するものが含まれる。また気体吸着剤は、多孔質体であることが好ましい。
【0056】
気体吸着剤のうち好ましく用いる化学吸着剤としては、アルカリ金属酸化物(NaO、KO等)、アルカリ土類金属酸化物(CaO、MgO、SrO、BaO等)、金属ハロゲン化物(CaCl、MgCl、CrCl、FeCl、NiCl等)、金属硫酸塩(CaSO、MgSO、FeSO、NiSO、等)、過塩素酸塩(KClO、NaClO、Fe(ClO、Co(ClO、Ca(ClO、Mg(ClO、Ba(ClO、Mn(ClO等)等が挙げられる。前記化学吸着剤を単独で用いても、1種または2種以上の混合物を用いても良い。アルカリ土類金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩などは水分除去に好適に使用できる。
【0057】
特に、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムの中から選ばれる少なくとも1種を含む化学吸着剤の使用が好ましい。これらの吸着剤は、特に吸湿速度が速い。また、化学反応による吸着であるため分解温度以下の温度では吸着質を脱着しないという特徴を有する。
【0058】
吸湿性吸着剤のうち物理吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、アルミナ、ボリア、チタニア、シリカゲル、セピオライト、活性白土等を例示できる。物理吸着剤は、加熱や減圧等により比較的容易に吸着質を脱着させることができ、再生利用しやすい点で優れている。また、物理吸着剤は水分を吸着しても膨張しない特徴を有している。ゼオライト等の物理吸着剤は、特に水分の吸着力が強く膨張し難いという特性から、本発明の様に吸湿による気体吸着部材の膨張を吸収するスペースが十分にない有機発光装置には特に適している。
【0059】
本実施の形態においては、好ましくは化学吸着剤と物理吸着剤との混合物を用いる。数種の化学吸着剤と物理吸着剤を組み合わせることで、数種の吸着質に対する吸着性能を持たせることができる。また、反応速度や吸湿容量の異なる化学吸着剤と物理吸着剤を組み合わせることで吸着性能の即効性と持続性を発揮できる。また物理吸着剤として、例えば活性炭を用いることで気体吸着剤に黒色系の着色を施すことができ、装置組立て時におけるピックアップの際のセンサー検知に有効であるという利点がある。化学吸着剤と物理吸着剤(特に活性炭)を混合する場合、活性炭の割合は、化学吸着剤100質量部に対して、例えば、0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。
【0060】
本実施の形態で用いる気体吸着剤は、酸素吸着剤であってもよい。酸素吸着剤としては、従来公知の各種のもの、例えば、金属や金属酸化物の粉末、特に、鉄粉や酸化鉄(FeO)の粉末を用いることができる。酸素吸着剤は、単独で使用してもよく、前記吸湿性吸着剤(特に化学吸着剤)と組み合わせて使用してもよい。酸素吸着剤と化学吸着剤とを組み合わせる場合、酸素吸着剤量は、化学吸着剤100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部程度である。
【0061】
本実施の形態において用いる気体吸着剤は、通常、粉体である。気体吸着剤の平均粒径は、気体吸着部材6の厚さを考慮して決定するのが推奨される。平均粒径は、レーザー回折式の粒度分布測定装置(島津製作所製のSALD−2000)を用いて測定した。この場合、吸着剤の平均粒径は、気体吸着部材6の厚さに対して、例えば、3/4以下、好ましくは2/3以下である。気体吸着部材6の厚さに対して粒径が大きすぎる場合は気体吸着部材6の表面の平滑性を失い、厚さばらつきに大きく影響してしまうからである。
【0062】
気体吸着剤の平均粒径の下限値は、特に制約されないが、通常10μm程度である。本発明で好適に使用する気体吸着剤(酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム等の化学吸着剤やゼオライト、シリカゲル等の物理吸着剤)の平均粒径は、前記範囲と異なっていてよく、例えば、0.1〜500μm、好ましくは1〜300μmである。
【0063】
バインダーと気体吸着剤の混合比は、これらの種類に応じて適宜設定できる。例えば、バインダー樹脂と気体吸着剤の混合質量比(バインダー樹脂:気体吸着剤)は、2:98〜90:10、好ましくは4:96〜80:20の範囲とすることが好ましい。2:98よりもバインダー樹脂の配合比が小さいと気体吸着部材6をシート化することが困難となり、また、90:10よりもバインダー樹脂の配合比が大きいと気体吸着部材6の吸着性能が不十分となる。
【0064】
気体吸着部材6の厚さは、例えば、0.02〜2mm、好ましくは0.05〜0.5mmである。気体吸着部材6の厚さが0.02mmよりも薄いと、気体吸着剤の充填量が不足するようになり、又、製造上の取扱いが困難となる。一方、気体吸着部材6の厚さが2mmよりも厚いと、材料コストが高くなる。又、気体吸着部材6を有機発光素子5に装着する場合には、装置全体を厚くする必要があるため、携帯電話やモバイル端末、ポータブルオーディオプレーヤーなど小型化が要求される用途に適さない。
【0065】
気体吸着部材6の平面的形状は、特に限定されず、気体吸着部材6を装着する場所(例えば、有機発光素子5やカバー部材8)の形状や大きさに合わせて適宜決定すればよい。気体吸着部材6の装着には、接着剤を用いた接着、熱可塑性樹脂を用いた融着、粘着材を用いた粘着等、適宜の方法を用いることができるが、粘着材を用いる方法が、簡便で作業性に優れるため好ましい。
【0066】
なお、吸湿性吸着剤とバインダー樹脂を混合してシート状に成形する方法の一例としては、特開2003−320215号公報記載の製法が適用できる。ただし、特に左記方法に限定される訳ではなく、要するに吸着性能を確保した上でシート状に成形できればよく、従来公知の方法が適宜用いられる。
【0067】
(気体吸着部材の接着準備工程の一例)
気体吸着部材6は、上記の通り非常に薄いため、被着物への接着工程における取り扱いが難しく、ある程度硬い基材上に仮接着された状態で作製、保管、供給されることが望ましい。以下、好ましい接着準備工程について説明する。
【0068】
図4〜図6は、気体吸着部材6を形成する過程の一例を示す工程断面図である。まず、片面に接着剤7a(厚さ5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μm)が全面塗布されたPET(ポリエチレンテレフタレート)材の接着基材シート7b(住友スリーエム社製、商品名:ポリエステルテープ9391、厚さ20μm)を準備する。
【0069】
次に、接着剤7aが形成された面とは反対側の面に、接着剤7c(ドット状接着剤)を上述のように転写もしくはスクリーン印刷で形成する。円形のドットの直径は、例えば0.2mm〜5mm、好ましくは0.5mm〜2mmとし、ドットのピッチは、例えば0.5mm〜10mm、好ましくは1mm〜3mmとする。
【0070】
さらにPETフィルムの少なくとも片面にシリコーン離型処理を施した2枚の剥離ライナー10,11(東レ株式会社製、商品名:セラピール、厚さは、例えば30μm〜70μm、好ましくは40μm〜60μmである)をそれぞれ接着剤7a,7c側から貼り付けることにより、図4に示すような5層構造の接着テープを構成する。
【0071】
剥離ライナー10,11に用いる材料としてPET以外に選択し得るものは、例えば、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、グラシン紙、上質紙、コート紙、含浸紙、合成紙などの紙、アルミニウム、ステンレススチール等の金属箔などが挙げられる。
【0072】
次に、図5に示すように、剥離ライナー11を剥がして接着剤7cを露出させ、別途準備したテープ状の気体吸着部材6を貼り付ける。
【0073】
次に、この気体吸着部材6にダイカットロール(刃物)を押打し、図6に示すように気体吸着部材6及び接着層7のうち、不要な部分を剥がし取る。これにより気体吸着部材の必要な部分が残り、複数の気体吸着部材6が個々に形成される状態となる。これらの気体吸着部材6は、剥離ライナー10上に配列された状態でリールに巻き取られ、リール状にて有機発光装置の製造工程に供給される。
【0074】
なお、上記剥離ライナー10,11の厚さは、例えば、10〜100μm、好ましくは25〜50μmとすることが望ましい。基材の表面には、離型剤や粘着剤との接着性を向上させるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理などを施してもよく、プライマー層などを設けてもよい。プライマー層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン系共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、これらの変性物などの高分子材料(所謂アンカーコート剤)を使用することが出来る。
【0075】
実施の形態1における有機発光装置の他の形態として図7に示すようにドット状の接着剤7cが気体吸着部材6の上側に形成され、接着剤7cがカバー部材8に接着されている構成も好ましく実施することができる。本構成においても、接着剤7cは水分(気体)を効率よく拡散させるため、有機表示装置の外部から侵入した水分は、気体吸着部材6の外周部付近に留まることなく、気体吸着部材6の中央部に到達し易くなる。
【0076】
実施の形態1における有機発光装置の他の形態として図8に示すようにドット状の接着剤7cが有機発光素子の上側に直接形成される構成も好ましく実施することができる。本構成においても、有機表示装置の外部から侵入した水分は、気体吸着部材6の外周部付近に留まることなく、気体吸着部材6の中央部に到達し易くなる。
【0077】
実施の形態1における有機発光装置の他の形態として図9に示すように、気体吸着部材6が接着剤7aによりカバー部材8に接着される構成も好ましく実施することができる。本構成においても、有機表示装置の外部から侵入した水分は、気体吸着部材6の中央部に到達し易くなる。
【0078】
実施の形態1における有機発光装置の他の形態として図10に示すように、接着基材シート7bを用いずに気体吸着部材6を有機発光素子に接着する構成も好ましく実施することができる。接着基材シート7bを使用しないため、有機表示装置を更に薄く構成することができる。また、本構成においても、有機表示装置の外部から侵入した水分は、気体吸着部材6の中央部に到達し易い。
【0079】
(実施の形態2)
図11は、本実施の形態2における気体吸着部材6が、有機発光装置に組み込まれた状態を示す断面図である。図11に示された有機発光装置は、基本的には図1に示された有機発光装置と同様のものであるが、気体吸着部材6の表面に凹凸が形成されている点において異なる。この凹凸は、図12に示すように、接着層7側に形成されていてもよい。また、この凹凸は気体吸着部材6の両面に形成されていてもよい。
【0080】
図11において、気体吸着部材6の表面に形成された凹凸のうち、凹部6aでは、カバー部材8との間(凹凸が接着層7側に形成されている場合は接着剤7aとの間)に隙間が形成されるため、気体の拡散が起こり易い。従って、有機表示装置の外部から侵入した水分は、気体吸着部材6の外周部付近に留まることなく、気体吸着部材6の中央部にも拡散し易くなる。図12の場合も同様である。
【0081】
凹凸のパターンは、気体が拡散するための空隙があれば上記のような作用を有するのであるから、その作用を有する限りにおいてどのようなパターンであってもよい。例えば、凹部がドット状、凸部がドット状、凹部又は凸部がストライプ状、梨地状となる構成が考えられる。
【0082】
ただし、拡散作用の効果をより高いレベルに強めるためには、凹凸の算術平均粗さ(Ra:JIS B 0601−2001)を1μm以上(好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上)とすることが望ましい。
【0083】
上記のような凹凸のパターンは、例えば、表面が凸凹したプレス板で型押しする方法、凸凹したロールを装着した圧延ロールにて圧延処理する方法、レーザービーム等で表面加工する方法などが推奨される。
【0084】
気体吸着部材6を成形するためのバインダーがPTFEである場合には、気体吸着部材6の下面において、接着剤7aとの接着効果を維持するためには、Raを0.3μm以上、3μm以下(好ましくは0.4μm以上、1μm以下)とすることが望ましい。また、一般に、接着剤が気体吸着部材6表面の微細な凸凹に浸透し食い込むことにより接着する、いわゆるアンカー効果で固定される場合には、気体吸着部材6の材料と接着剤7aとの相性により適切なRaを設定することが望ましい。
【0085】
実施の形態1及び2を通じて、本発明の気体吸着部材は、小型化が求められる電子装置において、接着剤の分布が部分的である特徴、或いは、表面に凹凸形状を有する特徴により、気体吸着部材の表裏の両主面全体が前記電子機器を構成する金属部材又は樹脂部材(例えば、電子機器の筐体、気体吸着部材以外の他の部品、気体吸着部材を封止する封止剤等)に密着している場合において、気体吸着部材の側面から気体を流入させることができるという効果を特に有効に発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる有機発光装置の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1にかかる気体吸着部材6の平面図であり、接着剤7aがドット状に塗布されているものを示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1にかかる気体吸着部材6の平面図であり、接着剤7aがストライプ状に塗布されているものを示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1にかかる気体吸着部材の作製手順を示す工程断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1にかかる気体吸着部材の作製手順を示す工程断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1にかかる気体吸着部材の作製手順を示す工程断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1にかかる他の有機発光装置の概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1にかかる他の有機発光装置の概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1にかかる他の有機発光装置の概略断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態1にかかる他の有機発光装置の概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2にかかる有機発光装置の概略断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態2にかかる他の有機発光装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 ガラス基板
2 陽極(第一電極)
3 有機発光体
4 陰極(第二電極)
5 有機発光素子
6 気体吸着部材
7 接着層
7a 接着剤
7b 接着基材シート
7c 接着剤
8 カバー部材
8a 接着剤
9 封止剤
10 剥離ライナー
11 剥離ライナー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤付着面を有する気体吸着部材であって、前記付着面における接着剤の分布が部分的であることを特徴とする気体吸着部材。
【請求項2】
前記接着剤が、基材シートの表裏両面に接着剤を配してなる両面接着テープの片側の接着剤を構成するものである請求項1に記載の気体吸着部材。
【請求項3】
前記基材シートがポリテトラフルオロエチレンである請求項2に記載の気体吸着部材。
【請求項4】
フッ素樹脂により気体吸着剤を保持して構成される請求項1〜3のいずれかに記載の気体吸着部材。
【請求項5】
前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンである請求項4に記載の気体吸着部材。
【請求項6】
前記接着剤がドット状に分布したものである請求項1〜5のいずれかに記載の気体吸着部材。
【請求項7】
前記接着剤がストライプ状に分布したものである請求項1〜5のいずれかに記載の気体吸着部材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の気体吸着部材を備えた電子装置であって、該気体吸着部材の表裏の両主面全体が前記電子装置を構成する金属部材又は樹脂部材に密着していることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
表面に凹凸形状を有する気体吸着部材を備えた電子装置であって、該気体吸着部材の表裏の両主面全体が前記電子装置を構成する金属部材又は樹脂部材に密着していることを特徴とする電子装置。
【請求項10】
基板上に、第一電極、有機発光体、第二電極、請求項1〜7のいずれかに記載の気体吸着部材がこの順に積層され、さらに該気体吸着部材を覆うカバー部材を備えた有機発光装置。
【請求項11】
前記気体吸着部材と前記カバー部材との間に封止剤が充填されている請求項10に記載の有機発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−181887(P2009−181887A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21460(P2008−21460)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000107387)ジャパンゴアテックス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】