説明

気化冷却装置

【課題】 熱交換面積を大きく確保して、効率良く気化冷却することのできる気化冷却装置を提供する。
【解決手段】 反応釜1の外周にジャケット部2を取り付ける。反応釜1の下部に二重円筒状部3と中心円筒状部6を配置する。ジャケット部2に分岐管20を介して冷却流体供給管5を接続する。中心円筒状部6の中央にも冷却流体供給管7を配置する。
反応釜1を冷却する場合は、冷却流体供給管5,7の冷却流体噴霧ノズルからジャケット部2内へ冷却流体を噴霧することによって、反応釜1の全体に冷却流体が噴霧され、反応釜1を効率良く気化冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却流体の蒸発潜熱によって冷却室で被冷却物を冷却する気化冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気化冷却装置は、気化冷却室に冷却流体管路を接続すると共に、冷却室を吸引手段と接続したもので、冷却物を冷却流体の蒸発潜熱でもって気化冷却することができるものである。
【0003】
この気化冷却装置においては、冷却物と冷却流体の熱交換面積を大きく確保することができず、限られた熱交換面積であるために、効率良く気化冷却することができない問題があった。
【特許文献1】特開平7−163865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、冷却物と冷却流体の熱交換面積を大きく確保して、効率良く気化冷却することのできる気化冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被冷却物を冷却する冷却室を形成して、当該冷却室に冷却流体を供給する冷却流体供給管を接続すると共に、冷却室を吸引手段と接続したものにおいて、少なくとも冷却室の下部に二重円筒状部を形成して、当該二重円筒状部の中心円筒状部の上端部、及び、冷却室の全周部に冷却流体を噴霧する冷却流体噴霧ノズルを取り付けたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の気化冷却装置は、冷却室の下部に二重円筒状部を形成したことによって、この二重円筒状部の中心円筒状部の外表面の面積が熱交換面積として増加したこととなり、このように、熱交換面積が増加した割合だけ、効率良く気化冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、冷却室の下部に二重円筒状部を形成したものであるが、この二重円筒状部は、1箇所のみならず、2箇所以上の複数箇所にも適宜設けることができる。
【実施例1】
【0008】
本実施例においては、冷却室として反応釜1のジャケット部2を用いた例を示す。反応釜1の内部に入れた図示しない被冷却物を、ジャケット部2に供給する冷却源としての冷却流体によって冷却するものである。
【0009】
反応釜1のほぼ全周にわたりジャケット部2を形成して、このジャケット部2に吸引手段としての組み合わせ真空ポンプ4と、冷却流体供給管5を接続する。反応釜1の下部に二重円筒状部3を形成する。二重円筒状部3は、円筒状の反応釜1の下部中心部に、同じく円筒状の凹部6を設けて、この凹部を中心円筒状部6としたものであり、中心円筒状部6の中央に冷却流体供給管7を延設する。この冷却流体供給管7の上端に、図示はしないが、冷却流体噴霧ノズルを配置する。
【0010】
ジャケット部2の右側下方に排出管9を接続して、組み合わせ真空ポンプ4のエゼクタ10と接続する。排出管9には、開閉弁11と蒸気トラップ12を並列に取り付ける。
【0011】
組み合わせ真空ポンプ4を、エゼクタ10とタンク13と循環ポンプ14を順次に循環路15で連通して形成する。タンク13の上部には、冷却流体としての冷却水を補給する冷却水補給管16を接続する。冷却水補給管16を分岐して冷却流体供給管5を接続する。更に、循環路15の一部を分岐して余剰水排出管17と循環流体供給管18をそれぞれ接続する。循環流体供給管18は、組み合わせ真空ポンプ4を循環する循環流体の一部を、ジャケット部2へ冷却流体として供給することによって、反応釜1を気化冷却することができるものである。
【0012】
冷却流体供給管5は、反応釜1の中心円筒状部6内の冷却流体供給管7に接続すると共に、分岐管20を接続して、ジャケット部2の全周部へ冷却流体を供給できるようにする。分岐管20を更に分岐して管21を接続し、ジャケット部2の反対側の全周部からも冷却流体を供給できるようにする。分岐管20と管21のジャケット部2側端部には、図示はしないが、冷却流体を噴霧する冷却流体噴霧ノズルをそれぞれ取り付ける。
【0013】
反応釜1内の被冷却物を冷却する場合は、冷却流体供給管5から複数の冷却流体噴霧ノズルを介して冷却流体を反応釜1の外表面全体へ噴霧すると同時に、組み合わせ真空ポンプ4の循環ポンプ14を駆動して、エゼクタ10の発生する吸引力で排出管9を介してジャケット部2内を所定の圧力状態、例えば、大気圧以下の真空状態、とすることにより、反応釜1の外表面へ噴射された冷却流体が反応釜1内の被冷却物の熱を奪って蒸発気化することにより、その蒸発潜熱によって被冷却物を気化冷却することができる。
【0014】
反応釜1の中心円筒状部6内の冷却流体供給管7から供給される冷却流体は、上端の凹部22に沿って方向転換され、垂直状の円筒部23を均一に流下することによって、中心円筒状部6を均一に気化冷却することができる。
【0015】
このように、反応釜1に中心円筒状部6を設けることによって、反応釜1の熱交換面積を増やすことができ、より効率良く気化冷却を行うことができる。
【0016】
ジャケット部2で被冷却物を冷却した冷却流体の気化蒸気及び気化しきれなかった冷却流体の一部は、排出管9を通ってエゼクタ10に吸引されタンク13に至る。
【0017】
エゼクタ10で発生することのできる吸引力は、エゼクタ10を流下する流体の温度によって決まるために、冷却水補給管16から適宜所定温度の冷却水をタンク13へ補給することによって、エゼクタ10を流下する流体温度を調節して、エゼクタ10の吸引力をコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の気化冷却装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0019】
1 反応釜
2 ジャケット部
3 二重円筒状部
4 吸引手段
5 冷却流体供給管
6 中心円筒状部
7 冷却流体供給管
9 排出管
10 エゼクタ
13 タンク
14 循環ポンプ
15 循環路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物を冷却する冷却室を形成して、当該冷却室に冷却流体を供給する冷却流体供給管を接続すると共に、冷却室を吸引手段と接続したものにおいて、少なくとも冷却室の下部に二重円筒状部を形成して、当該二重円筒状部の中心円筒状部の上端部、及び、冷却室の全周部に冷却流体を噴霧する冷却流体噴霧ノズルを取り付けたことを特徴とする気化冷却装置。


【図1】
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【公開番号】特開2008−196815(P2008−196815A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34247(P2007−34247)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】