説明

気泡径制御装置

【課題】ガスの導入量に左右されずに、発生気泡径を制御する。
【解決手段】容器1内にガス放出ノズル13を設け、該ガス放出ノズル13のガス放出面18に対して少なくとも1枚の攪拌回転板3を設け、前記ガス放出面18から液中に放出される気泡bが成長する前に、前記気泡bを攪拌回転板3によって強制的に刈り取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡径を制御することができる気泡径制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスハイドレート製造装置は、図6に示すように、生成器101に、水Wを攪拌する攪拌機111と、原料ガスGを抜き出す循環ガスブロワー112を設け、更に、循環ガスブロワー112の吐出口を、容器内の底部に配置したノズル113に接続している。また、ガスハイドレートの生成は、発熱を伴うことから、容器底部に循環スラリーポンプ115を連結してガスハイドレートスラリーを抜き出し、冷却器116を介して容器上部に戻すように構成し、生成器101内の温度を設定温度に保持するようにしている。そして、生成器101で生成したガスハイドレートは、生成器101の底部からスラリー移送ポンプ120によって連続的に抜き出して、脱水塔(図示せず)の下部に供給している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記ノズル113は、大量の原料ガスを気泡化することができるので、実用上、有益であるが、図7のように、ノズル孔113aの直径dに比べて気泡bの直径Dが大きくなるばかりでなく、図8のように、隣接するノズル孔113a,113aの間隔Lが狭い場合には、気泡b’,b’どうしが結合して一つの大きな気泡b”になるので、原料ガスと水とが反応してガスハイドレートになる反応効率の低下が懸念されている。
【0004】
他方、気泡を微細化する装置として、図9のように、オーディオスピーカー201、導管202、信号発生器203などからなり、信号発生器203で生成した任意波形をオーディオスピーカー201で音波に変え、その圧力変動を利用して気泡の発生を制御するようにしたものが知られているが、大量のガス処理には不向きで工業的に使用できるものではない。尚、導管202の側面には、200μm程度の穴を開けている。また、図中、符号204はオーディオアンプ、205は圧力コントローラ、206はガスボンベを示している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
また、ベンチュリータイプの微細気泡発生機構では、ガスの導入量に制限がある。また、最適運転条件範囲が狭く、工業的に利用し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−95417号公報
【非特許文献1】真田 俊之、”サブミリスケールの気泡発生制御とその計測”、ニューズレター流れ、2008年4 月号(静岡大学発行)、[online]、[2009.02.24検索」、インターネット<URL:http://www.jsme-fed.org/newsletters/2008 4/no3.html >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ガスの導入量に左右されずに、発生気泡径を制御可能な気泡径制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る気泡径制御装置は、容器内にガス放出ノズルを設け、該ガス放出ノズルのガス放出面に対して少なくとも1枚の攪拌回転板を設け、前記ガス放出面から液中に放出される気泡が成長する前に、前記気泡を攪拌回転板によって強制的に刈り取ることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る気泡径制御装置は、ガス放出ノズルのガス放出面に対して攪拌回転板の底辺又は側面を対向させたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る気泡径制御装置は、容器内に少なくとも1個のガス放出ノズルを設け、該ガス放出ノズルの上方を樋形の覆いで覆うと共に、前記覆いの入り口から出口に向けて容器内の液を噴射して、前記ガス放出ノズルのガス放出面から液中に放出される気泡が成長する前に、前記気泡をジェット流によって強制的に吹き払うことを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る気泡径制御装置は、ガス放出ノズルのガス放出面の目開きを2〜100μとすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガス放出ノズルのガス放出面の目開き及び攪拌板による攪拌速度又はジェット水流速により、気泡発生径を制御可能である。また、大量のガスを導入した際に、気泡径を制御可能である。更に、気泡成長を起こす前に、気泡離脱を行うので、焼結エレメント単独の発生気泡径より細かな気泡径にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の気泡径制御装置を備えたガスハイドレート製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の気泡径制御装置の一例を示す一部断面側面図である。
【図3】本発明の気泡径制御装置の作用説明図である。
【図4】本発明の気泡径制御装置の他の一例を示す一部断面側面図である。
【図5】本発明の気泡径制御装置の更に他の一例を示す一部断面側面図である。
【図6】図5の気泡径制御装置の正面図である。
【図7】従来のガスハイドレート製造装置の概略構成図である。
【図8】ノズル孔と気泡との関係を示す説明図である。
【図9】ノズル間隔と気泡との関係を示す説明図である。
【図10】気体圧力変動を利用した気泡発生制御装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
尚、この例では、気泡径制御装置をガスハイドレート製造装置に適用した場合について説明するが、これに限らず、本発明の気泡径制御装置は、物質移動の促進等に適用することができる。
【0015】
図1に示すように、本発明のガスハイドレート製造装置は、ガスハイドレート生成器1に、水Wの攪拌を兼ねる気泡径制御装置11と、原料ガスGを抜き出す循環ガスブロワー12を設け、更に、前記循環ガスブロワー12の吐出口を、容器内の底部に配置したガス放出ノズル13に接続している。また、ガスハイドレートの生成は、発熱を伴うことから、容器底部に循環スラリーポンプ15を連結してガスハイドレートスラリーを抜き出し、冷却器16を介して容器上部に戻すように構成し、ガスハイドレート生成器1内の温度を設定温度に保持するようにしている。そして、ガスハイドレート生成器1で生成したガスハイドレートは、ガスハイドレート生成器1の底部からスラリー移送ポンプ20によって連続的に抜き出して、脱水塔(図示せず)の下部に供給している。
【0016】
図2に示すように、気泡径制御装置11は、回転軸2に2枚の長方形の攪拌回転翼3aと、攪拌回転翼3aと同じ高さの2枚の直角三角形の攪拌回転翼3bと、攪拌回転翼3bより低い2枚の直角三角形の攪拌回転翼3cとを時計方向又は反時計方向に60度ずつ間隔をずらして放射状に設けた構造になっている。そして、攪拌回転翼3a〜3cの底辺4がガス放出ノズル13の上面(ガス放出面)に対向するようになっている。回転軸2は、電動モータ6によって駆動されるようになっている。攪拌回転翼の枚数は、1枚でも良いし、3〜4枚でも良い。つまり、攪拌回転翼の枚数は、少なくとも1枚あれば良い。
【0017】
回転軸2の回転数としては、800〜2,000rpmの範囲で、回転数の高い方が好ましいが、攪拌動力も考慮すると、900〜1,200rpmの範囲が好ましい。
【0018】
ガス放出ノズル13は、有底無蓋の容器7内に板状の焼結エレメント8を装着したものであり、容器底部に原料ガス供給管9を設けている。焼結エレメントとしては、目開きが2〜100μの範囲のものが好ましい。更には、2〜10μの範囲のものがより好ましい。
【0019】
また、攪拌回転翼3a〜3cの底辺4は、焼結エレメント8の上面(ガス放出面)に接近させることが重要であるが、接触による摩耗、或いは損傷等を考慮すると、攪拌回転翼3a〜3cの底辺4と、焼結エレメント8の上面(ガス放出面)との隙間Δtは、5mm以下が好ましい。更に、1〜2mmの範囲がより好ましい。また、所望により、各攪拌翼3a〜3cの底辺4に、軟質の合成樹脂等からなる可撓性のへら状部材を取り付けても良い。
【0020】
今、気泡発生制御装置11の攪拌回転翼3a〜3cを所定の回転数で回転させながら、ガス供給管9からガス放出ノズル13に原料ガスGを供給すると、図3に示すように、焼結エレメント8の微細孔19から水Wの中に放出される気泡bが成長しない内に、攪拌回転翼3によって刈り取られので、焼結エレメント単独の発生気泡径より細かな気泡径にすることができる。この結果、原料ガスGと水Wとの反応効率がアップする。
【0021】
以上の説明では、攪拌回転翼3a〜3cの底辺4をガス放出ノズル13の焼結エレメント8に対向させた気泡径制御装置11について説明したが、これに限らず、例えば、図4に示すように、攪拌回転翼3aの側面5をガス放出ノズル13の焼結エレメント8に対向させても良い。図4の場合は、攪拌回転翼に長方形の攪拌回転翼3aを使用する。
【0022】
また、気泡径制御装置11としては、図5に示すように、断面正方形の角筒体21の4面にガス放出ノズル13を設けると共に、角筒体21内に4角錐形の分散体24を設け、角筒体21の入り口22から出口23に向けてガスハイドレート生成器1内の水Wを噴射して焼結エレメント8の上面(ガス放出面)18の気泡をジェット水流によって吹き払うようにしても良い。尚、角筒体の断面形状は、正方形に限らず、任意の形状を選択することができる。また、分散体24の形状は、角筒体の断面形状に合わせる必要がある。
【符号の説明】
【0023】
1 容器
3 攪拌回転板
13 ガス放出ノズル
b 気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内にガス放出ノズルを設け、該ガス放出ノズルのガス放出面に対して少なくとも1枚の攪拌回転板を設け、前記ガス放出面から液中に放出される気泡が成長する前に、前記気泡を攪拌回転板によって強制的に刈り取ることを特徴とする気泡径制御装置。
【請求項2】
ガス放出ノズルのガス放出面に対して攪拌回転板の底辺又は側面を対向させたことを特徴とする請求項1記載の気泡径制御装置。
【請求項3】
角筒体の側面にガス放出ノズルを設けると共に、角筒体内に角錐形の分散体を設け、角筒体の入口から出口に向けてガスハイドレート生成器内の水を噴射して、前記ガス放出ノズルのガス放出面から液中に放出される気泡が成長する前に、前記気泡をジェット水流によって強制的に吹き払うことを特徴とする気泡径制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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