説明

気泡微細化装置及び気泡微細化装置を用いた気泡発生システム

【課題】高い気泡微細化能力を有する気泡微細化装置及び気泡発生システムを提供することを課題とする。
【解決手段】気泡微細化手段1と、洗剤溶液供給手段2と、気泡吐出手段3と、を具備する。気泡微細化手段1は、洗剤溶液を収納可能な室110を持つケース部11と、ケース部11の室110に回転可能に設けられた気泡微細化要素12と、気泡微細化要素12を駆動させる駆動源15とを備える。気泡微細化要素12は、ケース部11の室110に設けられ、ケース部11の室110において駆動源15により回転する回転軸13と、ケース部11の室110において回転軸13の径外方向に延設されるように回転軸13に保持され、回転軸13の軸長方向Yに沿って配列され、回転軸13とともに回転しケース部11の室110内の洗剤溶液にせん断力を与える少なくとも1個の回転円盤部14と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡微細化装置及び気泡微細化装置を用いた気泡発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気泡発生システム(例えば、特許文献1参照)では、気泡の生成を目的とする気泡発生システム内に備えられた洗剤溶液(界面活性剤を含む溶液)タンクから、起泡容器(バブリング容器)に洗剤溶液が供給される。起泡容器内に供給された洗剤溶液中にエアが送給され、バブリングにより気泡(シャボン)が生成される。さらに、浮上した気泡が浴槽に送られ使用される。
【0003】
また、従来の気泡発生システム(例えば、特許文献2参照)では、貯留槽内の液体(洗剤溶液)を取り出して、液体に気体を加圧溶解させてから、貯留槽内に減圧噴出することにより気泡を発生させる構成を有するものが開示されている。
【0004】
また、従来の気泡発生システム(例えば、特許文献3参照)では、タンク内に手動投入された湯と洗剤の混合液(洗剤溶液)に気泡を供給(バブリング)することにより気泡を発生せしめ、そしてタンクの上部に形成された気泡を穴から吐出する構成を有するものが開示されている。
【0005】
さらに、従来の気泡発生システム(例えば、特許文献4参照)では、回転軸の回転方向に面を有して放射状に設けられ、回転軸の回転に伴い回転される攪拌フィンと、攪拌フィンの回転中心に一方端を開口し、他方端は吸気気体を収納する気体容器に開口される給気管と、気体容器と攪拌フィン間に設けられ、給気管による吸引量を調整可能な調整器とからなる構成を有するものが開示されている。
【特許文献1】特許第3446623号公報(第1〜6頁、第1図)
【特許文献2】特開2004−261314号公報(第1〜5頁、第1図)
【特許文献3】特開2004−321449号公報(第1〜4頁、第1図)
【特許文献4】特開2006−88155号公報(第1〜4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の気泡発生システムでは、気泡の生成方法として、バブリングが採用されているため、微細サイズの気泡を生成することが困難である。
【0007】
特許文献2の気泡発生システムでは、洗剤溶液に気体(空気)を加圧溶解させた後、減圧により気泡を析出して発生させているので、気泡の生成時間が長く、効率的に微細サイズの気泡を生成することができない。
【0008】
特許文献3の気泡発生システムでは、所定の径を持った穴を通してバブリングすることにより気泡を生成しているため、気泡の微細化が図りにくいと同時に、穴の目詰まりにより装置のメンテナンス性の確保が困難である。
【0009】
特許文献4の気泡発生システムでは、攪拌フィンを介して洗剤溶液を攪拌することにより気泡を発生させているため、攪拌フィンに連れて洗剤溶液が回転移動してしまう。これにより、攪拌フィンと洗剤溶液間の速度差が減少し、気泡の微細化が図りにくい。
【0010】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、高い気泡微細化能力を有する気泡微細化装置及び気泡発生システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の気泡微細化装置は、気泡となるか気泡を有する洗剤溶液を収納可能な室を持つケース部と、ケース部の室に回転可能に設けられた気泡微細化要素と、気泡微細化要素を駆動させる駆動源と、を備え、気泡微細化要素は、ケース部の室に設けられ、ケース部の室において駆動源により回転する回転軸と、ケース部の室において回転軸の径外方向に延設されるように回転軸に保持され、回転軸の軸長方向に沿って配列され、回転軸とともに回転しケース部の室内の洗剤溶液にせん断力を与える少なくとも1個の回転円盤部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の気泡微細化装置によれば、回転軸の径外方向に延設されるように少なくとも1個の回転円盤部を回転軸に保持することにより、回転軸とともに回転円盤部が駆動源により回転することができる。これにより、回転円盤部の外周側面角部が洗剤溶液に接触しながら、(気泡となるか気泡を有する)洗剤溶液をせん断することができ、洗剤溶液により発生する気泡を微細化することができる。また、回転円盤部は、円盤形状を有し、回転軸の径外方向に沿って配置されているため、回転軸とともに回転する際、回転円盤部の回転による攪拌作用が少なくなり、洗剤溶液(流体)の広範囲の回転移動(攪拌)が抑制される。換言すると、回転している回転円盤部に対して、洗剤溶液の回転移動(攪拌)が抑えられ、洗剤溶液は相対的に安定した(回転移動しにくい)状態となる。これにより、回転している回転円盤部と洗剤溶液との間に十分な相対速度が維持される。つまり、比較的大きいな気泡を含む洗剤溶液の中に、回転している回転円盤部は、気泡の界面に対して十分な流速差(相対速度)を得ることができる。よって、気泡が相対的に回転している回転円盤部によってせん断されやすくなり、洗剤溶液により発生する気泡を有効に微細化することができ、均一性の高い微細サイズの微細気泡を生成することができる。また、回転円盤部の円盤状構造により、回転円盤部の回転は、洗剤溶液に対して広範囲の回転移動(攪拌)を引き起こさないため、遠心分離作用により気泡の合体が抑えられ、気泡の微細化が一層有利になる。また、本発明の気泡微細化装置では、メッシュなど目詰まりを引き起こす原因になる小さな穴を利用していないため、メンテナンス性の確保も容易である。
【0013】
本発明の気泡微細化装置の回転円盤部は、回転円盤部の両端面において周方向に沿って延設され、ケース部の室内の洗剤溶液にせん断力を与える凸または凹形状をなすせん断部を備えていることが好ましい。
【0014】
本発明の気泡微細化装置によれば、回転円盤部の両端面に周方向に沿って凸または凹形状をなすせん断部を備えることにより、両端面において、洗剤溶液に接触し洗剤溶液をせん断するのに有効なせん断部(複数の端面角部)を確保することができ、比較的大きいな気泡を含む洗剤溶液をせん断し気泡の微細化を促進することができる。つまり、回転円盤部の外周側の外周側面角部に加え、凸または凹形状をなすせん断部(複数の端面角部)を回転円盤部の両端面に設けることにより、本発明の気泡微細化装置の気泡微細化能力が一層向上する。せん断部(端面角部)は、回転軸を中心軸としてリング状に形成されることにより、流体(洗剤溶液)へのエネルギーの伝播を抑えつつ、移動するせん断部(複数の端面角部)により気泡の微細化を促進することができる。よって、回転円盤部は、回転円盤部の回転する方向に沿い洗剤溶液の回転移動(攪拌)が抑えられつつ、洗剤溶液をせん断することができ、洗剤溶液に含まれている比較的大きいな気泡を有効に微細化することができる。
【0015】
本発明の気泡発生システムは、気泡を微細化させる気泡微細化手段と、気泡となるか気泡を有する洗剤溶液を気泡微細化手段に供給する洗剤溶液供給手段と、気泡微細化手段で生成された微細気泡を気泡消費側へ吐出する気泡吐出手段と、を具備し、気泡微細化手段は、洗剤溶液を収納可能な室を持つケース部と、ケース部の室に回転可能に設けられた気泡微細化要素と、気泡微細化要素を駆動させる駆動源と、を備えており、気泡微細化要素は、ケース部の室に設けられ、ケース部の室において駆動源により回転する回転軸と、ケース部の室において回転軸の径外方向に延設されるように回転軸に保持され、回転軸の軸長方向に沿って配列され、回転軸とともに回転しケース部の室内の洗剤溶液にせん断力を与える少なくとも1個の回転円盤部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の気泡発生システムによれば、洗剤溶液供給手段と、気泡微細化手段と、気泡吐出手段とを備えることにより、洗剤溶液の供給から気泡(微細気泡)の吐出まで簡単に洗剤溶液を連続的に気泡化(シャボン化)することができ、微細サイズの気泡を生成することができる。また、本発明の気泡発生システムの気泡微細化手段は洗剤溶液をせん断することにより微細気泡を生成しているため、気泡の発生が迅速になると同時に気泡発生システム全体の小型化が実現しやすくなる。つまり、本発明の気泡発生システムでは、バブリング方式が採用されていないため、気泡の生成に係る浮上スペース(分離時間を確保するための容積)が必要でなくなり、装置全体の小型化に有利である。これにより、気泡の生成時間を短縮することができ、気泡の温度調整時のレスポンスも迅速になる。また、本発明の気泡発生システムでは、加圧溶解手段及び洗剤溶液タンクなどを設ける必要がないため、装置の小型化、廉価化が可能となる。
【0017】
また、本発明の気泡発生システムの洗剤溶液供給手段は、洗剤溶液を生成するための水を供給する水供給部と、水供給部と気泡微細化手段のケース部の室とを連通する通路と、通路に設けられ、通路内の水と洗剤とを混合させ洗剤溶液を生成する洗剤混合部と、洗剤混合部で生成された洗剤溶液に気体を混入する気体混入部と、を備えることが好ましい。
【0018】
供給部と、通路と、洗剤混合部と、気泡混入部とからなる洗剤溶液供給手段を気泡微細化手段に接続することにより、本発明の気泡発生システムは簡単に微細サイズの気泡を形成することができ、微細気泡の生成時間を短縮することができる。
【0019】
本発明の気泡発生システムは、通路及び/または気泡混入部に設けられ、気泡微細化手段で生成される微細気泡の気液比を調整する気液比調整部を有し、気液比調整部を介して微細気泡の気液比が調整されることが好ましい。
【0020】
本発明の気泡発生システムによれば、通路及び/または気泡混入部に気液比調整部を設けることにより、通路内液体(洗剤溶液)の流量及びまたは気泡混入部の気体(空気)の流量が調整でき、気泡となる洗剤溶液(水分)及び気体(空気)の体積比を調整することができる。よって、気泡の質を左右する気泡内の水分量(水分:空気の体積比)の調整を可能にすることができる。気泡消費側の利用者は、気泡の質を自由かつ迅速に調整することができる。そして、必要最低限の洗剤量で、心地よく感じる気泡質(水分量)を持つ気泡を迅速に生成することが可能である。さらに、気泡質を左右する水分量を任意に調整することで、様々な質の気泡を生成することが可能である。
【0021】
本発明の気泡発生システムの気泡吐出手段は、ケース部の室に流入される洗剤溶液の温度を検出する洗剤溶液温度検出部と、洗剤溶液温度検出部で検出された洗剤溶液の検出温度に基づき、ケース部の室に流入された洗剤溶液を室の外方へ排出する洗剤溶液排出部と、を有することが好ましい。
【0022】
本発明の気泡発生システムによれば、気泡吐出手段は、ケース部に洗剤溶液排出部と、洗剤溶液温度検出部とを設けることにより、洗剤溶液温度検出部で検出された洗剤溶液の検出温度に基づき、洗剤溶液排出部の開閉状態が制御されることができる。つまり、洗剤溶液温度検出部で検出された洗剤溶液の検出温度は予め設定された所定温度に満たしていない(所定温度の許容範囲を超えた)場合、洗剤溶液排出部が開状態に設定され、洗剤溶液は、ケース部に流入された後、直ちに洗剤溶液排出部を介してケース部から排出される。この際、気泡微細化手段を駆動する駆動源は作動せず、エネルギーの消費が軽減される。また、洗剤溶液の検出温度は所定温度の許容範囲内である場合では、洗剤溶液排出部が閉状態に設定され、ケース部に流入された洗剤溶液はケース部の室内に溜めながら気泡化(シャボン化)されることができる。よって、本発明気泡発生システムは、安定した温度の洗剤溶液から安定した温度の気泡(微細気泡)を生成することができる。
【0023】
本発明の気泡発生システムの気泡吐出手段は、ケース部に位置され、気泡微細化手段で生成された微細気泡をケース部の室から流出させる気泡流出部と、気泡流出部に設けられ気泡流出部を介してケース部の室から流出される微細気泡の温度を検出する気泡温度検出部と、気泡流出部と気泡消費側とを連通可能な気泡消費側流路と、ケース部の室から微細気泡を排出し、気泡流出部に連通可能な気泡排出流路と、気泡流出部、気泡消費側流路及び気泡排出流路を連結し、気泡流出部を気泡消費側流路及び気泡排出流路のうちの一方に切り替え、連通させる流路切替部と、を備え、気泡温度検出部で検出される気泡の検出温度に基づき、流路切替部の連通状態が制御されることが好ましい。
【0024】
本発明の気泡発生システムによれば、気泡温度検出部で検出された気泡(微細気泡)の検出温度に基づき、流路切替部の連通状態が制御されることができる。つまり、気泡温度検出部で検出された気泡の検出温度は予め設定された所定温度に満たしていない(所定温度の許容範囲を超えた)場合では、流路切替部が気泡排出流路側に切り替えられ、気泡は、気泡排出流路を介して排出することができる。また、気泡の検出温度は所定温度の許容範囲内である場合では、流路切替部が気泡消費側流路側に切り替えられ、気泡は、気泡消費側流路を介して気泡消費側へ流出することができる。よって、本発明気泡発生システムは、安定した温度の気泡を気泡消費側へ供給することができる。
【0025】
本発明の気泡発生システムの気泡流出部は、重力方向に沿った方向において、ケース部に複数個設けられていることが好ましい。
【0026】
ケース部の重力方向に沿った方向に複数個の気泡流出部を備えることにより、異なる気泡質(水分含有量の異なるもの)の気泡(微細気泡)を選択的に気泡消費側に吐出することができる。つまり、気泡微細化手段の回転せん断作用によって微細化された微細気泡は、遠心力と重力の影響を受け、重力方向に沿った方向において、ケース部の室内に異なる水分含有量(水分量)の微細気泡の層を形成している。高い水分含有量の微細気泡層(ドロドロとした感触のシャボン)は、ケース部の室内の重力方向の下方に位置し、低い水分含有量の微細気泡層(フワフワとした感触のシャボン)は、ケース部の室内の重力方向の上方に位置する。従って、重力方向に沿った方向において、複数個の気泡流出部を備えることにより、選択的に異なる気泡質の微細気泡を消費側に吐出することができる。なお、重力方向に沿った方向とは、重力方向或いは重力方向に傾いた方向(重力方向と垂直する方向以外の方向)をいう。
【0027】
本発明の気泡発生システムの洗剤混合部は、洗剤を収容する洗剤タンクと、洗剤タンクと通路とを連通する洗剤流路と、洗剤流路に設けられ、洗剤の単位時間あたりの流量を調整する洗剤流量調整部とを備え、洗剤流量調整部により、洗剤の使用量が調整され、通路内に生成される洗剤溶液の濃度が調整されることが好ましい。
【0028】
本発明の気泡発生システムによれば、洗剤混合部は、洗剤タンクと、洗剤流路と、洗剤流量調整部とを備えることにより、洗剤の使用量を調整することができ、通路内に生成される洗剤溶液の濃度を調整することができる。つまり、洗剤混合部は、洗剤タンクを備えることにより、洗剤が原液のままで収容されるため、洗剤タンクの容積をできるだけ小型化にすることができる。換言すると、洗剤原液は洗剤溶液よりも小さい容積を要するため、洗剤溶液を収容するためのタンクよりも小さい容器(タンク)を使用することができる。よって、タンクを含む装置全体の小型化が実現し易くなる。また、洗剤混合部は洗剤流量調整部を備えることにより、通路内の水の量(単位当りの流量)に対して、予め設定された洗剤溶液濃度になるように洗剤の投入量(単位当りの流量)を調整することができる。よって、通路内には安定した濃度の洗剤溶液が流れることができる。そして、安定した濃度の洗剤溶液により安定した質の気泡(微細気泡)を生成することができる。
【0029】
本発明の気泡発生システムで生成された微細気泡のサイズは、例えば、5〜100μmであることが好ましい。なお、これに限定されない。また、気泡の液相は極めて薄い膜として存在しているので、気泡のサイズとは、気泡の気相のサイズ(直径)である。本発明の気泡発生システムでは、微小単位のサイズの気泡(微細気泡)が形成でき、気泡と気泡の間に微細な間隙(空間)が形成されやすくなる。これにより、通常サイズの気泡に比べ、微細サイズの気泡間の微細な間隙には、液体が入りやすく、気泡の熱容量も大きく向上できる。よって、この微細サイズの気泡は、気泡入浴などの入浴温度維持に有利である。また、本発明の気泡発生システムで生成された微細気泡は、微小単位(例えばマイクロメートル単位)のサイズなので、通常の泡よりも高い洗浄力を持ち、身体の洗浄などを良好に行うことができる。
【0030】
本発明の気泡発生システムで生成された微細気泡に含まれる液体:気体の体積比は、例えば4:6〜1:9であることが好ましい。なお、これに限定されない。気泡の液体:液体の体積比によって、気泡内の液体(水)の液体含有量(水分量)が決められる。これにより、気泡の水分量によって、気泡(シャボン)入浴の際に、より自然な入浴感覚を得ることができる。つまり、液体(水分)の割合を高く調整すれば、液体のような流動感を利用者に与えることができる。また、液体(空気)の割合を高く調整すれば、ふわふわの触感を利用者に与えることができる。よって、利用者は自分の好みの触感の気泡(シャボン)を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の気泡微細化装置によれば、回転円盤部の回転方向に沿った洗剤溶液の回転移動(攪拌によるエネルギーが流体への伝播)を抑制することにより、洗剤溶液と回転円盤部の間の相対速度の低下を抑制することができる。よって、洗剤溶液と気体の混合体を有効にせん断することができ、気泡の微細化が向上される。
【0032】
また、本発明の気泡発生システムによれば、洗剤溶液供給手段と、気泡微細化手段と、気泡吐出手段とを備えることにより、洗剤溶液の供給から気泡(微細気泡)の吐出まで簡単に洗剤溶液を連続的に気泡化(シャボン化)することができ、微細サイズの気泡を生成することができる。また、本発明の気泡発生システムの気泡微細化手段は洗剤溶液をせん断することにより微細気泡を生成しているため、気泡の発生が迅速になると同時に気泡発生システム全体の小型化が実現しやすくなる。また、気泡の温度調整時のレスポンスも迅速になる。つまり、せん断により気泡を生成することで、気泡の浮上スペースを有する大きな容器(タンク)、加圧溶解手段及び洗剤溶液タンクなどの廃止または簡素化を実現でき、装置の小型化、廉価化が可能となる。そして、気泡の生成方法として、供給された洗剤溶液と気体をせん断することにより微細気泡を生成することで、気泡の質を左右する気液比(水分量)の制御が可能かつ容易になる。さらに、洗剤溶液をせん断することにより微細気泡を生成することで、気泡の生成を短時間で行え、供給した洗剤溶液の温度を容易に制御することができる。よって、本発明の気泡発生システムでは、気泡の質を容易に変更可能で、利用者の気分に合わせて快適に入浴可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の気泡微細化装置及び気泡発生システムについて、図面を参照して説明する。なお、本発明の気泡微細化装置は、本発明の気泡発生システムの気泡微細化手段を構成する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態例の気泡微細化装置は主に気泡微細化手段1と、洗剤溶液供給手段2と、気泡吐出手段3と、気泡消費側4からなる。気泡消費側4として、気泡入浴槽(図示せず)を例示することができる。なお、図1は、本実施形態例の気泡発生システムの概念を示すものである。
【0034】
また、図1に示すように、洗剤溶液供給手段2は、水供給部21と、通路22と、洗剤溶液混合部23と、気体混入部24とを備えている。
【0035】
水供給部21は、洗剤溶液を形成するための水を供給する給湯器などから構成される。なお、本実施形態では、湯水が使用されているが、温水、水なども使用できる。なお、本実施形態例の気泡発生システムには、適切な加熱手段(例えば電気ヒータ、図示せず)を備えることができ、水(温水)の温度を調節することもできる。
【0036】
通路22は、水供給部21と気泡微細化手段1とを連通している。また、通路22には、水供給手段21からの水の圧力を調整する圧力調整手段2201が備えられ、通路22内の液体(水)の圧力を調整することができる。
【0037】
洗剤溶液混合部23は、洗剤(原液)を通路22に導入し、水と洗剤とを混合させることにより洗剤溶液を生成することができる。具体的には、洗剤溶液混合部23は、洗剤(原液)を収容する洗剤タンク231と、洗剤流路232と、洗剤流量調整部(ポンプ)233と、混入部234とからなる。
【0038】
また、図1に示すように、洗剤流量調整部233は洗剤流路232に設置されている。また、洗剤流路232は、洗剤タンク231と通路22とを連通していて、混入部234を介して通路22に連通している。これにより、洗剤の使用量が調整され、通路22内に生成される洗剤溶液の濃度を調整することができる。
【0039】
気体混入部24は、空気供給手段241と、空気流路242とを備えている。空気流路242は、空気供給手段241から供給された空気を気泡微細化手段1に送り込むことができる。つまり、気泡微細化手段1には、洗剤溶液及び空気が送られ、混合される。
【0040】
また、図1に示すように、通路22には、洗剤溶液(水)の単位時間当たりの流量を調整する第1流量調整部251が設けられ、空気流路242には、空気(気体)の単位時間当たりの流量を調整する第2流量調整部252が設けられている。第1流量調整部251、第2流量調整部252をオリフィスで構成することができる。また、第1流量調整部251と第2流量調整部252とで気液比調整部25が構成される。つまり、気液比調整部25を介して洗剤溶液の流量及び空気の流量を調整することにより、洗剤溶液及び空気の量(比)が調整され、気泡微細化手段1で生成される微細気泡の気液比(気体:液体の体積比、いわゆる水分量)を調整することができる。また、気液比調整部25は、利用者の手元に設置されるリモコン(C1)により操作され、利用者の好みに合わせて気泡の気液比(水分量)を調整することができ、利用者の好みの質の気泡を楽しむことができる。
【0041】
また、図1に示すように、気泡微細化手段1は、室110を持つケース部11を備えている。ケース部11は、円筒状であり、第1端部11A、第2端部11B及び筒状側面部11Cから構成される。
【0042】
気泡吐出手段3は、洗剤溶液流入部112、洗剤溶液排出部32、洗剤溶液温度検出部31、制御部(リモコン)C1を備えている。
【0043】
具体的には、ケース部11の第1端部11Aには、洗剤溶液流入部112が設けられている。そして、ケース部11の筒状側面部11Cの下側には、洗剤溶液排出部32が設けられている。また、洗剤溶液排出部32には、排出される洗剤溶液の流量を調整する流量調整手段(バルブ)321が設けられている。
【0044】
また、通路22及び空気流路242は洗剤溶液流入部112を介してケース部11の室110に連通されている。洗剤溶液流入部112には、洗剤溶液温度検出部31(温度センサー)が設けられている。また、洗剤溶液温度検出部31は、制御部C2により制御されている。これにより、洗剤溶液温度検出部31で検出された洗剤溶液の温度に応じて、洗剤溶液排出32の開閉状態が制御され、予め設定された温度に達していない洗剤溶液は洗剤溶液排出部32によりケース部11の外方へ排出される。
【0045】
また、気泡吐出手段3は、気泡流出部33、気泡温度検出部34(温度センサー)、気泡消費側流路351、気泡排出流路352、流路切替部35を備えている。
【0046】
具体的には、ケース部11の第2端部11Bには、気泡流出部33が設けられている。そして、気泡消費側流路351は、気泡流出部33と気泡消費側4(気泡入浴槽、図示せず)とを連通している。また、気泡排出流路352は、気泡流出部33に連通し、気泡(微細気泡)をケース部11の室110から外方へ排出することができる。流路切替部35は、気泡流出部33と気泡消費側流路351と気泡排出流路352とを連結していて、気泡流出部33を気泡消費側流路351及び気泡排出流路352のうちの一方に切り替え、連通させることができる。
【0047】
また、気泡流出部33には、気泡温度検出部(温度センサー)34が設けられている。そして、気泡温度検出部34は、制御部C2により制御されている。
【0048】
これにより、気泡温度検出部34で検出される気泡の検出温度に応じて、流路切替部35の連通状態が制御され、予め設定された温度に達していない気泡は気泡排出流路352に切り替えられ排出される。一方、予め設定された温度に達している気泡は、気泡消費側流路351に切り替えられ、気泡消費側4に供給される。
【0049】
次に、本実施形態例の気泡微細化手段1につて説明する。なお、本実施形態例の気泡微細化手段1は、本発明の気泡微細化装置を構成するものである。
【0050】
図1、または図2に示すように、本実施形態例の気泡微細化手段1は、ケース部11と、気泡微細化要素12と、駆動源15とを備えている。なお、図2は、本実施形態例の気泡微細化手段1の断面を示すものである。
【0051】
図2に示すように、ケース部11は、室110を備え、内部に内部空間111を形成している。室110の内部空間111には、気泡となるか気泡を有する洗剤溶液を収納することができる。
【0052】
また、気泡微細化要素12は、室110の中心軸方向Yに沿って内部空間111に配置され、ケース部11の室110に回転可能に設けられている。また、気泡微細化要素12は、駆動源15により回転駆動される。なお、駆動源15は、例えばモーターなどで構成することができる。
【0053】
また、気泡微細化要素12は、回転軸13と、回転円盤部14とで構成される。回転軸13は、ケース部11の中心軸方向Yに沿って設置されている。回転円盤部14は、回転軸13の径外方向に延設されるように回転軸13に保持され、回転軸13の軸長方向(中心軸方向)Yに沿って複数個で配列されている。なお、回転円盤部14は、1個でも気泡の微細化機能を果たすことができるが、複数個で設けられた場合では気泡の微細化をより効率的に行うことができる。
【0054】
また、回転軸13は、ケース部11の室110において駆動源15により回転することができる。回転円盤部14は、回転軸13に保持されるため、回転軸13とともに回転することもできる。回転円盤部14の回転により、ケース部11の室110内を流れる洗剤溶液にせん断力を与えることができ、洗剤溶液に含む気泡を微細化することができる。よって、気泡微細化手段1により気泡が微細化される。
【0055】
次に、図3において、具体的に気泡微細化要素12について説明する。
【0056】
図3は、本実施形態例の気泡微細化要素12の局部構造を拡大して示すものである(拡大範囲は図2に示す)。
【0057】
図3に示すように、回転円盤部14は、外周側面1403と、両端面1401、1402とを備える円盤形状である。外周側面1403、端面1401、1402には、回転円盤部14の回転運動により洗剤溶液にせん断力を発生するせん断部141が形成されている。また、せん断部141は、外周側面角部141A及び端面角部141Bから構成されている。
【0058】
具体的には、図3に示すように、外周側面1403には、外周側面角部141Aが形成されている。外周側面1403は、回転円盤部14の外周先端に位置され、外周側面角部141Aは、回転円盤部14の外周側面1403 (外周先端)に設けられている。
【0059】
そして、図3に示すように、端面1401、1402において、周方向に沿って延設され、波形状(凹凸形状)とする断面形状を持つ端面角部141Bが複数個で形成されている。つまり、端面1401、1402を凹または凸形状に形成することにより、端面1401、1402により、突出する角部(端面角部141B)を形成することができる。また、端面1401、1402において、(凹凸形状とする)端面角部141Bを形成することにより、端面1401、1402は平面形状(凹凸形状なしの場合)に比べ、洗剤溶液と接触する接触(摩擦)面積が増え、洗剤溶液に対するせん断力は一層促進される。
【0060】
また、端面角部141Bは、端面1401、1402において、回転軸13を中心とするリング状に形成されているため、回転円盤部12の回転に連れ、端面角部141Bの移動軌跡は連続する円形となり、洗剤溶液の回転移動(攪拌)を出来るだけ抑制することができる。よって、回転円盤部12(せん断部141を構成する端面角部141A、側面角部141B)は、洗剤溶液(流体)に対して、最大限の相対流速(速度差)を維持することができ、せん断能力が向上し、効率よく洗剤溶液に含まれる気泡を微細化し、微細サイズの気泡(微細気泡)を有効に生成することができる。
【0061】
また、図4から理解できるように、せん断部141(端面角部141B)は、回転円盤部14の端面1401、1402において、回転軸13を円心とするリング状として形成されている。なお、図4は、本実施形態例の気泡微細化要素12の回転円盤部14の表面(端面1401又は端面1402)の状態を示すものである。
【0062】
これにより、回転円盤部14は回転軸13とともに回転する際、せん断部141(外周側面角部141A、端面角部141B)は、洗剤溶液に対してせん断力を与えて、気泡の微細化を図っていると同時に、洗剤溶液は、回転円盤部14の回転方向の回転移動(攪拌)が抑制されている。つまり、せん断部141の形状により、回転円盤部14が回転する際、洗剤溶液をせん断しながらも、洗剤溶液が広範囲の回転移動(攪拌)を引き起こさず、相対速度(速度差)を維持することにより洗剤溶液に対して十分なせん断力を付与することができ、洗剤微細化手段1の高い微細化性能を実現することができる。また、気泡微細化手段1は、洗剤溶液をせん断しながら、遠心分離作用をできるだけ抑えることができるため、微細サイズの気泡の合体(遠心分離作用により小さいサイズの気泡が合体して大きな気泡になる)を防ぐことができ、微細サイズの気泡の形成が促進される。
【0063】
図5は、せん断部141の角部(外周側面角部、端面角部)の概念及びその寸法を示すものである。また、図5に示すように、端面1401、1402には、せん断部141を構成する端面角部141Bを形成されている。外周側面1403には、外周側面角部141Aが形成されている。
【0064】
なお、図5に示すように、回転軸13の軸長方向Yに沿って配列された二つ回転円盤部14の間距離Bは、例えば10mm以上に設定することができる。また、二つの端面角部141Bの間の凹幅Dは、例えば3mm以上に設定することができる。また、端面角部141Bの幅(凹間距離)Eは、例えば3mm以上に設定することができる。また、端面角部141Bの凹深さCは、例えば1mm以上に設定することができる。
【0065】
次に、本実施形態例の気泡発生システムの作動について説明する。
【0066】
水供給部21から供給された任意の温度の水(温水)は通路22に流れる。通路22内の水は、圧力調整手段2201により水圧を一定にした後、利用者がリモコン(C1)の操作により、第1流量調整部251(気液比調整部25)で選択した任意の気泡質となる水の量(流量)を調整する。調整された流量の水は、洗剤混合部23の混入部234で洗剤タンク231からの洗剤(原液)と混合され、気泡を発生するのに適した濃度の洗剤溶液となり気泡微細化手段1に供給される。
【0067】
この際、洗剤溶液温度検出部31で洗剤溶液の温度を監視し、利用者が指定(予め設定)した温度に達していない場合、気泡微細化手段1の駆動源15が作動せず洗剤溶液排出部32が開状態とし、洗剤溶液を廃棄する。
【0068】
また、気体混入部24から供給された気体(空気)についても、利用者がリモコン(C1)の操作により、第2流量調整部252(気液比調整部25)で選択した任意の気泡質となる気体の量(流量)に調整され、利用者指定温度となった洗剤溶液とともに気泡微細化手段1に供給される。
【0069】
初期の冷水(冷たい洗剤溶液)が抜け、洗剤溶液温度が任意(指定)温度となり、洗剤溶液排出部32が閉状態とされ、駆動源15が作動し始めた気泡微細化手段1では、供給された洗剤溶液と気体(空気)が気泡微細化手段1の内部を通過する際に、内部に配設された気泡微細化要素12により気泡化(シャボン化)され、簡単に気泡化し気泡吐出部33方向に流れる。
【0070】
この際、気泡温度検出部34で気泡(微細気泡)温度を監視し、利用者が指定(予め設定)した温度に達していない場合、流路切替手段35にて気泡排出流路352を選択する。指定温度に達した時点で、流路切替手段35にて気泡消費側流路351を選択し、気泡を気泡消費側4に供給する。
【0071】
このように、本実施形態例の気泡微細化手段1は、気泡となるか気泡を有する洗剤溶液を収納可能な室1104を持つケース部11と、ケース部11の室110に回転可能に設けられた気泡微細化要素12と、気泡微細化要素12を駆動させる駆動源15と、を備えることができる。また、気泡微細化要素12は、ケース部11の室110に設けられ、ケース部11の室110において駆動源15により回転する回転軸13と、ケース部11の室110において回転軸13の径外方向に延設されるように回転軸13に保持され、回転軸13の軸長方向Yに沿って配列され、回転軸13とともに回転しケース部11の室110内の洗剤溶液にせん断力を与える少なくとも1個の回転円盤部14と、を備えることができる。
【0072】
本実施形態例の気泡微細化手段1では、回転軸13の径外方向に延設されるように少なくとも1個の回転円盤部14を回転軸13に保持することにより、回転軸13とともに回転円盤部13が駆動源15により回転することができる。これにより、回転円盤部14の外周側面角部141Aが洗剤溶液に接触しながら、(気泡となるか気泡を有する)洗剤溶液をせん断することができ、洗剤溶液により発生する気泡を微細化することができる。また、回転円盤部13は、円盤形状を有し、回転軸13の径外方向に沿って配置されているため、回転軸13とともに回転する際、回転円盤部13の回転による攪拌作用が少なくなり、洗剤溶液(流体)の広範囲の回転移動(攪拌)が抑制される。換言すると、回転している回転円盤部14に対して、洗剤溶液の回転移動(攪拌)が抑えられ、洗剤溶液は相対的に安定した(回転移動しにくい)状態となる。これにより、回転している回転円盤部14と洗剤溶液との間に十分な相対速度が維持される。つまり、比較的大きいな気泡を含む洗剤溶液の中に、回転している回転円盤部14は、気泡の界面に対して十分な流速差(相対速度)を得ることができる。よって、気泡が相対的に回転している回転円盤部14によってせん断されやすくなり、洗剤溶液により発生する気泡を有効に微細化することができ、均一性の高い微細サイズの気泡を生成することができる。また、回転円盤部14の円盤状構造により、回転円盤部14の回転は、洗剤溶液に対して広範囲の回転移動(攪拌)を引き起こさないため、遠心分離作用により気泡の合体が抑えられ、気泡の微細化が一層有利になる。また、本実施形態例の気泡微細化手段1では、メッシュなど目詰まりを引き起こす原因になる小さな穴を利用していないため、メンテナンス性の確保が容易である。
【0073】
また、本実施形態例の気泡微細化手段1の回転円盤部14は、回転円盤部14の両端面1401,1402において周方向に沿って延設され、ケース部11の室110内の洗剤溶液にせん断力を与える凸または凹形状をなすせん断部141を備えていることができる。
【0074】
本実施形態例の気泡微細化手段1では、回転円盤部14の両端面1401、1402に周方向に沿って凸または凹形状をなすせん断部141を備えることにより、両端面1401、1402において、洗剤溶液に接触し洗剤溶液をせん断するのに有効なせん断部(複数の端面角部141B)を確保することができ、比較的大きいな気泡を含む洗剤溶液をせん断し気泡の微細化を促進することができる。つまり、回転円盤部14の外周側面角部141Aに加え、凸または凹形状をなすせん断部141(複数の端面角部141B)を回転円盤部14の両端面1401、1402に設けることにより、本実施形態例の気泡微細化手段1の気泡微細化能力が一層向上する。せん断部141(端面角部141B)は、回転軸13を中心軸Yとして、リング状に形成されることにより、流体(洗剤溶液)へのエネルギーの伝播を抑えつつ、移動するせん断部141(複数の端面角部141B)により気泡の微細化を促進することができる。よって、回転円盤部14は、回転円盤部14の回転する方向に沿った洗剤溶液の回転移動(攪拌)が抑えられつつ、洗剤溶液をせん断することができ、洗剤溶液に含まれている比較的大きいな気泡を有効に微細化することができる。
【0075】
また、本実施形態例の気泡発生システムは、気泡を微細化させる気泡微細化手段1と、気泡となるか気泡を有する洗剤溶液を気泡微細化手段1に供給する洗剤溶液供給手段2と、気泡微細化手段1で生成された微細気泡を気泡消費側4へ吐出する気泡吐出手段3と、を具備することができる。気泡微細化手段1は、洗剤溶液を収納可能な室110を持つケース部11と、ケース部11の室110に回転可能に設けられた気泡微細化要素12と、気泡微細化要素12を駆動させる駆動源15と、を備えており、気泡微細化要素12は、ケース部11の室110に設けられ、ケース部11の室110において駆動源15により回転する回転軸13と、ケース部11の室110において回転軸13の径外方向に延設されるように回転軸13に保持され、回転軸13の軸長方向Yに沿って配列され、回転軸13とともに回転しケース部11の室110内の洗剤溶液にせん断力を与える少なくとも1個の回転円盤部14と、を備えることができる。
【0076】
本実施形態例の気泡発生システムでは、洗剤溶液供給手段2と、気泡微細化手段1と、気泡吐出手段3とを備えることにより、洗剤溶液の供給から気泡(微細気泡)の吐出まで簡単に洗剤溶液を連続的に気泡化することができ、微細サイズの気泡を生成することができる。また、本実施形態例の気泡発生システムの気泡微細化手段1は洗剤溶液をせん断することにより微細気泡を生成しているため、気泡の発生が迅速になると同時に気泡発生システム全体の小型化が実現しやすくなる。つまり、本実施形態例の気泡発生システムでは、バブリング方式が採用されていないため、気泡の生成に係る浮上スペース(分離時間を確保するための容積)が必要でなくなり、装置全体の小型化に有利である。これにより、気泡の生成時間を短縮することができ、気泡の温度調整時のレスポンスも迅速になる。また、本実施形態例の気泡発生システムでは、加圧溶解手段及び洗剤溶液タンクなどを設ける必要がないため、装置の小型化、廉価化が可能となる。
【0077】
また、本実施形態例の気泡発生システムの洗剤溶液供給手段2は、洗剤溶液を生成するための水を供給する水供給部21と、水供給部21と気泡微細化手段1のケース部11の室110とを連通する通路22と、通路22に設けられ、通路22内の水と洗剤とを混合させ洗剤溶液を生成する洗剤混合部23と、洗剤混合部23で生成された洗剤溶液に気体を混入する気体混入部24と、を備えることができる。
【0078】
供給部21と、通路22と、洗剤混合部23と、気泡混入部24とからなる洗剤溶液供給手段2を気泡微細化手段1に接続することにより、本実施形態例の気泡発生システムは簡単に微細サイズの気泡を形成することができ、気泡の生成時間を短縮することができる。
【0079】
また、本実施形態例の気泡発生システムは、通路22及び/または気泡混入部24に設けられ、気泡微細化手段1で生成される微細気泡の気液比を調整する気液比調整部25を有し、気液比調整部25を介して気泡の気液比が調整されることができる。
【0080】
本実施形態例の気泡発生システムでは、通路22及び/または気泡混入部24に気液比調整部25を設けることにより、通路22内液体(洗剤溶液)の流量及びまたは気泡混入部24の気体(空気)の流量が調整でき、気泡となる洗剤溶液(水分)及び気体(空気)の体積比を調整することができる。よって、気泡の質を左右する気泡内の水分量(水分:空気の体積比)の調整を可能にすることができる。気泡消費側4の利用者は、気泡の質を自由かつ迅速に調整することができる。そして、必要最低限の洗剤量で、心地よく感じる気泡質(水分量)を持つ微細気泡を迅速に生成することが可能である。さらに、気泡質を左右する水分量を任意に調整することで、様々な質の気泡を生成することが可能である。
【0081】
また、本実施形態例の気泡発生システムの気泡吐出手段3は、ケース部11の室110に流入される洗剤溶液の温度を検出する洗剤溶液温度検出部31と、洗剤溶液温度検出部31で検出された洗剤溶液の検出温度に基づき、ケース部11の室110に流入された洗剤溶液を室110の外方へ排出する洗剤溶液排出部32と、を有することができる。
【0082】
本実施形態例の気泡発生システムでは、気泡吐出手段3は、ケース部11に洗剤溶液排出部32と、洗剤溶液温度検出部31とを設けることにより、洗剤溶液温度検出部31で検出された洗剤溶液の検出温度に基づき、洗剤溶液排出部32の開閉状態が制御されることができる。つまり、洗剤溶液温度検出部31で検出された洗剤溶液の検出温度は予め設定された所定温度に満たしていない(所定温度の許容範囲を超えた)場合、洗剤溶液排出部32が開状態に設定され、洗剤溶液は、ケース部11に流入された後、直ちに洗剤溶液排出部32を介してケース部11から排出される。この際、気泡微細化手段1を駆動する駆動源15は作動せず、エネルギーの消費が軽減される。また、洗剤溶液の検出温度は所定温度の許容範囲内である場合では、洗剤溶液排出部32が閉状態に設定され、ケース部11に流入された洗剤溶液は溜めながら気泡化されることができる。よって、本実施形態例の気泡発生システムは、安定した温度の洗剤溶液から安定した温度の微細気泡を生成することができる。
【0083】
また、本実施形態例の気泡発生システムの気泡吐出手段3は、ケース部11に位置され、気泡微細化手段1で生成された微細気泡をケース部11の室110から流出させる気泡流出部33と、気泡流出部33に設けられ気泡流出部33を介してケース部11の室110から流出される微細気泡の温度を検出する気泡温度検出部34と、気泡流出部33と気泡消費側4とを連通可能な気泡消費側流路351と、ケース部11の室110から微細気泡を排出し、気泡流出部33に連通可能な気泡排出流路352と、気泡流出部32、気泡消費側流路351及び気泡排出流路352を連結し、気泡流出部32を気泡消費側流路351及び気泡排出流路352のうちの一方に切り替え、連通させる流路切替部35と、を備え、気泡温度検出部34で検出される気泡の検出温度に基づき、流路切替部35の連通状態が制御されることができる。
【0084】
本実施形態例の気泡発生システムでは、気泡温度検出部34で検出された気泡の検出温度に基づき、流路切替部35の連通状態が制御されることができる。つまり、気泡温度検出部34で検出された気泡の検出温度は予め設定された所定温度に満たしていない(所定温度の許容範囲を超えた)場合では、流路切替部35が気泡排出流路352側に切り替えられ、気泡(微細気泡)は、気泡排出流路352を介して排出することができる。また、気泡の検出温度は所定温度の許容範囲内である場合では、流路切替部35が気泡消費側流路351側に切り替えられ、気泡は、気泡消費側流路351を介して気泡消費側4へ流出することができる。よって、本発明気泡発生システムは、安定した温度の気泡を気泡消費側4へ供給することができる。
【0085】
また、本実施形態例の気泡発生システムの洗剤混合部23は、洗剤を収容する洗剤タンク231と、洗剤タンク231と通路22とを連通する洗剤流路232と、洗剤流路232に設けられ、洗剤の単位時間あたりの流量を調整する洗剤流量調整部233とを備え、洗剤流量調整部233により、洗剤の使用量を調整することができ、通路22内に生成される洗剤溶液の濃度が調整されることができる。
【0086】
本実施形態例の気泡発生システムでは、洗剤混合部23は、洗剤タンク231と、洗剤流路232と、洗剤流量調整部233とを備えることにより、洗剤の使用量を調整することができ、通路22内に生成される洗剤溶液の濃度を調整することができる。つまり、洗剤混合部23は、洗剤タンク231を備えることにより、洗剤が原液のままで収容されるため、洗剤タンク231の容積をできるだけ小型化にすることができる。換言すると、洗剤原液は洗剤溶液よりも小さい容積を要するため、洗剤溶液を収容するためのタンクよりも小さい容器(洗剤タンク231)を使用することができる。よって、洗剤タンク231を含む装置全体の小型化が実現し易くなる。また、洗剤混合部23は洗剤流量調整部233を備えることにより、通路22内の水の量(単位当りの流量)に対して、予め設定された洗剤溶液濃度になるように洗剤の投入量(単位当りの流量)を調整することができる。よって、通路22内には安定した濃度の洗剤溶液が流れることができる。そして、安定した濃度の洗剤溶液により安定した質の気泡(微細気泡)を生成することができる。
【0087】
また、本実施形態例の気泡発生システムで生成された気泡(微細気泡)のサイズは、例えば、5〜100μmであることができる。なお、これに限定されない。また、気泡の液相は極めて薄い膜として存在しているので、気泡のサイズとは、気泡の気相のサイズ(直径)である。本実施形態例の気泡発生システムでは、微小単位のサイズの気泡が形成でき、気泡と気泡の間に微細な間隙(空間)が形成されやすくなる。これにより、通常サイズの気泡に比べ、微細サイズの気泡間の微細な間隙には、液体が入りやすく、気泡の熱容量も大きく向上できる。よって、この微細サイズの気泡は、気泡入浴などの入浴温度維持に有利である。また、本実施形態の気泡発生システムで生成された気泡は、微小単位(例えばマイクロメートル単位)のサイズなので、通常の泡よりも高い洗浄力を持ち、身体の洗浄などを良好に行うことができる。
【0088】
本実施形態の気泡発生システムで生成された気泡(微細気泡)に含まれる液体:気体の体積比は、例えば4:6〜1:9であることができる。なお、これに限定されない。気泡の液体:液体の体積比によって、気泡内の液体(水)の液体含有量(水分量)が決められる。これにより、気泡の水分量によって、気泡入浴の際に、より自然な入浴感覚を得ることができる。つまり、液体(水分)の割合を高く調整すれば、液体のような流動感を利用者に与えることができる。また、液体(空気)の割合を高く調整すれば、ふわふわの触感を利用者に与えることができる。よって、利用者は自分の好みの触感の気泡を楽しむことができる。
(第2実施形態)
本実施形態例は、第1実施形態例の構成と基本的に同様である。以下、第1実施形態例と異なる部分について説明する。なお、第1実施形態例と同様な部分に関しては、同じ符号を用いて説明する。
【0089】
図6は、本実施形態例の気泡発生システムの気泡微細化手段1の構成概念を示す。図6に示すように、本実施形態例の気泡微細化手段1は、第1実施形態に示す気泡発生システムの微細化手段1とは異なるものである。
【0090】
具体的には、図6に示すように、本実施形態例の気泡微細化手段1のケース部11の室110には、回転円盤部14に対面する位置に流体回転抑制部16が形成されている。流体回転抑制部16は、室110に形成された板状のものである。また、図7に示すように、複数(例えば四つ)の流体回転抑制部16は、回転円盤部14の外周面1403に面して、等距離的に室110に形成されている。なお、図7は、図6に示す気泡微細化手段1に示すI−I位置の断面概念図である。
【0091】
図6に示すように、洗剤流入部112から気泡吐出部33まで流れるように洗剤溶液は室110の内部空間111を通過する。また、図7に示すように、回転円盤部14が回転する際、洗剤溶液は回転円盤部14の回転に連れ、回転円盤部14の回転方向D1に沿った力が発生する。しかし、回転抑制部16を設けることにより、洗剤溶液の回転方向D1に沿った力が回転抑制部16の側面1602の抵抗(図7において点線に示すD3方向)を受け、洗剤溶液が回転円盤部14の回転方向D1に沿って回転移動(攪拌)しにくくなる。よって、洗剤溶液は回転している回転円盤部14との間に速度差(相対速度)ができるだけ維持され、気泡微細化手段1の微細化能力の低減を抑制することができる。
【0092】
なお、流体回転抑制部16の形状、数、配置などは、回転円盤部14の形状、数などに応じて調整することができる。
【0093】
また、図6に示すように、回転軸13の軸長方向Yに沿って配列された二個の円盤回転部14の間に遮蔽板95が室110に設けられている。また、図8に示すように、遮蔽板95は、中心部に開口153を備えている。開口153は回転軸13より大きい径を有する。洗剤溶液は、開口部153を介して室110の内部空間111を通過することができる。なお、図8は、図6に示す気泡微細化手段1に示すII−II位置の断面概念図である。
【0094】
また、図6に示すように、遮蔽板95を設けることにより、洗剤溶液は内部空間111を通過する際、遮蔽板95の側面151、152の誘導作用により、流動方向D2を沿って回転円盤部14の端面1401、1402を流れる。つまり、遮蔽板95及び遮蔽板95の中心部にある開口153を介して、洗剤溶液は、回転円盤部14の両端面1401、1402を沿って、回転円盤部14の外周から回転円盤部14の中心に向かって集まるように流れる。よって、回転円盤部14の端面1401、1402に形成されたせん断部141(端面角部141B)が洗剤溶液に接触する機会が増え、せん断部141のせん断能力が向上され、気泡微細化手段1の気泡微細化能力が促進される。
【0095】
一方、遮蔽板95を設けない場合では、洗剤溶液は、室110の壁側に沿って移動しやすいため、回転円盤部14の両端面1401、1402を流れにくい。つまり、せん断部141(端面角部141B)にせん断されにくく、気泡が十分に微細化できない。
【0096】
遮蔽板95を室110に備えることにより、端面1401に形成されたせん断部141(端面角部141B)が有効に利用され、洗剤溶液を有効にせん断することができ、気泡の微細化が一層促進される。また、流動方向D2を沿って洗剤溶液が室110を流れるため、洗剤溶液の室110内の滞在時間が相対的に長くなり、回転円盤部14と洗剤溶液との間の速度差領域(端面1401、1402の近辺域)に流入する気泡を含む洗剤溶液が増え、気泡微細化手段1の気泡の微細化性能が向上される。よって、装置全体の性能が向上される。
【0097】
このように、本実施形態例の気泡微細化手段1のケース部11は、室110において、回転円盤部14の外周1403に対面する位置に配置される流体回転抑制部16を備えることができる。
【0098】
本実施形態例の気泡微細化手段1では、ケース部11において、室110に流体回転抑制部16を設けることにより、室110内を流れる洗剤溶液が回転円盤部14の回転による回転円盤部14の周方向に沿った回転移動を抑制することができる。つまり、流体回転抑制部16は、室110において回転円盤部14の外周側面1403に対面する位置に設置されているため、回転円盤部14の回転による流体(洗剤溶液)の回転移動(攪拌)が流体回転抑制部16により抑制され、回転円盤部14と流体(洗剤溶液)間の速度差(相対速度)を確保することができ、洗剤溶液に対するせん断力が確保され、流体の回転移動(攪拌)による気泡微細化手段1の微細化能力の低下を防ぐことができる。
【0099】
また、本実施形態例の気泡微細化手段1のケース部11は、回転軸13の軸長方向Yに沿って配列された二個の回転円盤部14の間に位置される遮蔽板95を室110に備えることができる。
【0100】
本実施形態例の気泡微細化手段1では、ケース部11において、回転軸13の軸長方向Yに沿って配列された二個の回転円盤部14の間に遮蔽板95をケース部11の室110に設けることにより、室110内を流れる洗剤溶液は、遮蔽板95により流れが調整され、回転円盤部14の両端面1401、1402での洗剤溶液の流動域が大きく確保される。よって、回転円盤部14の両端面1401、1402に設けられたせん断部141(端面角部141B)に十分な接触機会を与えることができ、洗剤溶液は回転円盤部14により一層有効に微細化されることができる。また、遮蔽板95を介して洗剤溶液の流れが調整されることにより、洗剤溶液の流れの部分的なショートカットが抑制され、発生する気泡のサイズの均一化が促進される。つまり、遮蔽板95を室110に設けることにより、洗剤溶液の流れが強制的に回転円盤部14の両端面1401、1402を流れるようになり、気泡の均一化が促進される。
(第3実施形態)
本実施形態例は、第2実施形態例の構成と基本的に同様である。以下、第2実施形態例と異なる部分について説明する。なお、第2実施形態例と同様な部分に関しては、同じ符号を用いて説明する。
【0101】
図9は、本実施形態例の気泡発生システムの気泡吐出手段3の構成概念を示す。図9に示すように、本実施形態例の気泡吐出手段3は、第2実施形態に示す気泡発生システム(図6を参照)の気泡吐出手段3とは異なるものである。
【0102】
具体的には、図9に示すように、本実施形態例の気泡吐出手段3は、重力方向に沿って、3個の気泡流出部33H、33M、33Lをケース部11の第2端部11Bに備えている。気泡流出部33H、33M、33Lは、重力方向に沿って、上から下の順に第2端部11Bに配置されている。また、気泡流出部33H,33M,33Lには、流量を調整する流量調整手段(図示せず)が設けられ、気泡流出部33H,33M,33Lそれぞれの開閉及び流量調整を行うことができる。また、気泡流出部33H、33M,33Lは、それぞれ気泡消費側流路351(図1に参照)、気泡排出流路352(図1に参照)、流路切替部35(図1に参照)を介して、気泡消費側4に接続される。
【0103】
一方、気泡微細化手段1の回転せん断作用によって形成された微細気泡は、遠心力及び重力の影響を受け、水分含有量の差異によりケース部11の室110内に重力方向に沿って層として分けられ収容される。つまり、水分量が少なくフワフワとした微細気泡は、室110の上層に収容され、水分量が多くドロドロとした微細気泡は、室110の下層に収容される。また、下層と上層との間の中間層には、中等程度の水分量の微細気泡が収容される。
【0104】
従って、ケース部11の重力方向に沿った方向に複数個(3個)の気泡流出部33H,33M,33Lを備えることにより、入浴者(気泡消費側4)の好みに添える気泡質(水分量)の気泡を選択的に吐出することができ、入浴者の気分によって、ドロドロまたはフワフワなどのタイプの気泡(気泡浴)を楽しむことができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の気泡発生システムは、例えば、身体、などの洗浄分野に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1実施形態例における気泡発生システムの概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態例における気泡発生システムの気泡微細手段の概念図(断面図)である。
【図3】本発明の第1実施形態例における気泡発生システムの回転円盤部のせん断部の拡大図である
【図4】本発明の第1実施形態例における気泡発生システムの回転円盤部の端面状態を示すものである。
【図5】本発明の第1実施形態例における気泡発生システムの回転円盤部のせん断部の寸法を示すものである。
【図6】本発明の第2実施形態例における気泡発生システムの気泡微細化手段の概念図である。
【図7】本発明の第2実施形態例における気泡発生システムの図6に示す気泡微細化手段のI−I位置の断面概念図である。
【図8】本発明の第2実施形態例における気泡発生システムの図6に示す気泡微細化手段のII−II位置の断面概念図である。
【図9】本発明の第3実施形態例における気泡発生システムの気泡吐出手段の概念図である。
【符号の説明】
【0107】
1:気泡微細化手段(装置) 2:気泡供給手段
3:気泡吐出手段
11:ケース部 110:室 12:気泡微細化要素
13:回転軸 14:回転円盤部 15:駆動源
Y:軸長方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡となるか気泡を有する洗剤溶液を収納可能な室を持つケース部と、前記ケース部の前記室に回転可能に設けられた気泡微細化要素と、前記気泡微細化要素を駆動させる駆動源と、を備える気泡微細化装置において、
前記気泡微細化要素は、
前記ケース部の前記室に設けられ、前記ケース部の前記室において前記駆動源により回転する回転軸と、
前記ケース部の前記室において前記回転軸の径外方向に延設されるように前記回転軸に保持され、前記回転軸の軸長方向に沿って配列され、前記回転軸とともに回転し前記ケース部の前記室内の前記洗剤溶液にせん断力を与える少なくとも1個の回転円盤部と、を備えることを特徴とする気泡微細化装置。
【請求項2】
前記回転円盤部は、前記回転円盤部の両端面において周方向に沿って延設され、前記ケース部の前記室内の前記洗剤溶液にせん断力を与える凸または凹形状をなすせん断部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の気泡微細化装置。
【請求項3】
気泡を微細化させる気泡微細化手段と、
気泡となるか気泡を有する洗剤溶液を前記気泡微細化手段に供給する洗剤溶液供給手段と、
前記気泡微細化手段で生成された微細気泡を気泡消費側へ吐出する気泡吐出手段と、を具備する気泡発生システムにおいて、
前記気泡微細化手段は、
前記洗剤溶液を収納可能な室を持つケース部と、前記ケース部の前記室に回転可能に設けられた気泡微細化要素と、前記気泡微細化要素を駆動させる駆動源と、を備えており、
前記気泡微細化要素は、
前記ケース部の前記室に設けられ、前記ケース部の前記室において前記駆動源により回転する回転軸と、
前記ケース部の前記室において前記回転軸の径外方向に延設されるように前記回転軸に保持され、前記回転軸の軸長方向に沿って配列され、前記回転軸とともに回転し前記ケース部の前記室内の前記洗剤溶液にせん断力を与える少なくとも1個の回転円盤部と、を備えることを特徴とする気泡発生システム。
【請求項4】
前記洗剤溶液供給手段は、
前記洗剤溶液を生成するための水を供給する水供給部と、
前記水供給部と前記気泡微細化手段の前記ケース部の前記室とを連通する通路と、
前記通路に設けられ、前記通路内の前記水と洗剤とを混合させ洗剤溶液を生成する洗剤混合部と、
前記洗剤混合部で生成された前記洗剤溶液に気体を混入する気体混入部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の気泡発生システム。
【請求項5】
前記通路及び/または前記気泡混入部に設けられ、前記気泡微細化手段で生成される前記微細気泡の気液比を調整する気液比調整部を有し、前記気液比調整部を介して前記微細気泡の前記気液比が調整されることを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載の気泡発生システム。
【請求項6】
前記気泡吐出手段は、
前記ケース部の前記室に流入される前記洗剤溶液の温度を検出する洗剤溶液温度検出部と、
前記洗剤溶液温度検出部で検出された前記洗剤溶液の検出温度に基づき、前記ケース部の前記室に流入された前記洗剤溶液を前記室の外方へ排出する洗剤溶液排出部と、を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の気泡発生システム。
【請求項7】
前記気泡吐出手段は、
前記ケース部に位置され、前記気泡微細化手段で生成された前記微細気泡を前記ケース部の前記室から流出させる気泡流出部と、
前記気泡流出部に設けられ前記気泡流出部を介して前記ケース部の前記室から流出される前記微細気泡の温度を検出する気泡温度検出部と、
前記気泡流出部と前記気泡消費側とを連通可能な気泡消費側流路と、
前記ケース部の前記室から前記微細気泡を排出し、前記気泡流出部に連通可能な気泡排出流路と、
前記気泡流出部、前記気泡消費側流路及び前記気泡排出流路を連結し、前記気泡流出部を前記気泡消費側流路及び前記気泡排出流路のうちの一方に切り替え、連通させる流路切替部と、を備え、
前記気泡温度検出部で検出される前記微細気泡の検出温度に基づき、前記流路切替部の連通状態が制御されることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の気泡発生システム。
【請求項8】
前記気泡流出部は、重力方向に沿った方向において、前記ケース部に複数個設けられていることを特徴とする請求項7に記載の気泡発生システム。
【請求項9】
前記洗剤混合部は、前記洗剤を収容する洗剤タンクと、前記洗剤タンクと前記通路とを連通する洗剤流路と、前記洗剤流路に設けられ、前記洗剤の単位時間あたりの流量を調整する洗剤流量調整部とを備え、
前記洗剤流量調整部により、前記洗剤の使用量が調整され、前記通路内に生成される前記洗剤溶液の濃度が調整されることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の気泡発生システム。
【請求項10】
前記気泡発生システムで生成された前記微細気泡のサイズは、5〜100μmであることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の気泡発生システム。
【請求項11】
前記気泡発生システムで生成された前記微細気泡に含まれる液体:気体の体積比は4:6〜1:9であることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の気泡発生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−142442(P2009−142442A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322345(P2007−322345)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】