説明

気泡混合軽量土の造成方法

【課題】軽量土への水の浸入を防ぐとともに、軽量土の水中打設の際の浮き上がりを防ぐことができる気泡混合軽量土の造成方法を提供することである。
【解決手段】気泡混合軽量土の造成方法は、密度が軽く透水性の高い軽量土1を密度が重く透水性の低い軽量土2で被覆して形成した気泡混合軽量土3を原地盤4に造成することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気泡混合軽量土の造成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軽量土である気泡混合土を水中や水浸部に打設して埋立または気泡混合軽量土を造成する場合は、浮き上がり防止のために1.0g/cm以上の密度の軽量土を使用している。そのため1.0g/cm以下の密度の軽量土を使用して土圧軽減や荷重軽減を図ることは困難であり、特に気泡混合軽量土の周囲の遮水は気にせずに造成を行い、遮水性の高い部分を遮水シートで覆って遮水していた。またこの他の気泡混合軽量土の造成方法としては、例えば特開平9−158163号公報の発明が開示されている。
【特許文献1】特開平9−158163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような気泡混合軽量土の造成方法は、1.0g/cm以下の密度の軽量土にする場合は、気泡の量が多くなり、その気泡が連行して透水性が1.0×10−3〜10−4cm/sと高くなる。そのためこの軽量土を水中や水浸部などに打設すると水が軽量土中の気泡に入って軽量性が損なわれることになる。またこの軽量土を水中に打設すると浮き上がってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量土への水の浸入を防ぐとともに、軽量土の水中打設の際の浮き上がりを防ぐことができる気泡混合軽量土の造成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するための気泡混合軽量土の造成方法は、密度が軽く透水性の高い軽量土を密度が重く透水性の低い軽量土で被覆して形成した気泡混合軽量土を原地盤に造成することを特徴とする。また密度が重く透水性の低い上下の軽量土の間に、密度が軽く透水性の高い軽量土を挟んで形成した気泡混合軽量土を原地盤に造成することを含む。また透水性の低い軽量土は少なくとも1mの厚さであることを含む。また密度が軽く透水性の高い軽量土は密度が0.8g/cm以下で、透水係数が1.0×10−3cm/s以上であり、密度が重く透水性の低い軽量土は密度が1.1g/cm以上で、透水係数が1.0×10−5cm/s以下であることを含む。また密度が軽く透水性の高い軽量土を発泡スチロールに代えることを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
上記のように密度が軽く透水性の高い軽量土を密度が重く透水性の低い軽量土で被覆して形成した気泡混合軽量土、また密度が重く透水性の低い上下部の軽量土の間に、密度が軽く透水性の高い軽量土を挟んで形成した気泡混合軽量土を造成し、密度が軽く透水性の高い軽量土は密度が0.8g/cm以下で、透水係数が1.0×10−3cm/s以上であり、密度が重く透水性の低い軽量土は密度が1.1g/cm以上で、透水係数が1.0×10−5cm/s以下であるので、密度が軽く透水性の高い軽量土への水の浸入を防ぐことができるとともに、土圧軽減や荷重軽減を図ることができ、水中における浮き上がりを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の気泡混合軽量土の造成方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は第1の実施の形態の気泡混合軽量土の造成方法であり、密度が軽く透水性の高い内側軽量土1を、密度が重く透水性の低い外側軽量土2で被覆して形成した気泡混合軽量土3を埋立土として、水位の高い原地盤4に形成したものである。この内側軽量土1は密度が0.8g/cm以下で、透水係数が1.0×10−3cm/s以上であり、密度が軽く透水性が高いものである。一方、外側軽量土2は密度が1.1g/cm以上で、透水係数が1.0×10−5cm/s以下であり、密度が重く透水性の低い難透水土である。この外側軽量土2は約1mの厚さで内側軽量土1を被覆し、この内側軽量土1に水を浸透させないようにしている。
【0008】
これは、まず原地盤4に矢板を打ち込んで気泡混合軽量土の造成箇所(図示せず)を形成するとともに、その造成箇所に水が浸入しないようにする。次に、この造成箇所に密度が重く透水性の低い難透水土を1mの厚さで打設して外側軽量土における凹形の底部5を形成する。そして、この底部5内に密度が軽く透水性の高い軽量土である内側軽量土1を打設する。次に、この内側軽量土1を覆うようにして、密度が重く透水性の低い難透水土を1mの厚さで打設して外側軽量土における上部蓋体6を形成すると、水位の高い原地盤4に、密度が軽く透水性の高い内側軽量土1を、密度が重く透水性の低い外側軽量土2で被覆して気泡混合軽量土3が造成される。
【0009】
図2は第2の実施の形態の気泡混合軽量土の造成方法であり、密度が軽く透水性の高い内側軽量土1を、密度が重く透水性の低い外側軽量土2の間に挟んで形成した気泡混合軽量土10を埋立土として、水位の高い原地盤4に形成したものである。これも上記と同様に、原地盤4に矢板を打ち込んで気泡混合軽量土の造成箇所(図示せず)を形成するとともに、その造成箇所に水が浸入しないようにする。そして、この造成箇所に密度が重く透水性の低い難透水土を1mの厚さで打設して下部軽量土7を形成する。次に、この下部軽量土7の上に、密度が軽く透水性の高い軽量土を打設して中部軽量土8を形成する。次に、この中部軽量土8の上にこれを覆うようにして、密度が重く透水性の低い難透水土を1mの厚さで打設して上部軽量土9を形成すると、水位の高い原地盤に密度が軽く透水性の高い中部軽量土8を、密度が重く透水性の低い下部の軽量土7、9とで挟んだ気泡混合軽量土10が形成される。
【0010】
また上記の第1および第2の実施の形態の気泡混合軽量土の造成方法における内側気泡混合軽量土1および中部気泡混合軽量土8を発泡スチロールに替えることもできる。
【実施例】
【0011】
次に、本発明の実施例について説明する。まず下記の表1に示した泥土、すなわち自然含水比が106.2%、土粒子の密度が2.661g/cm、砂礫分12.5%、シルト・粘土分87.5%、液性限界が79.5%、塑性限界が46.8%の性状の泥土を用いて、表2に示す二種類の配合で気泡混合軽量土を作成した。ここにおいて密度が1.1g/cmの軽量土は気泡が16.2%であり、図3に示すように、透水係数は1.0×10−5cm/sで透水性の低い難透水土である。したがって、この軽量土を水中に浸水させた場合は、図4に示すように、1.131g/cmとなって、密度の変化がほとんどない。一方、密度が0.6g/cmの軽量土は気泡が57.7%であり、図3に示すように、透水係数は6×10−2cm/sで透水性が高い。したがって、この軽量土を水中に浸水させた場合は、図4に示すように、1.025g/cmとなって密度が高くなる。
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】
そして、この二種類の軽量土を使用して第1の実施の形態の気泡混合軽量土3を造成し、1年後に各軽量土の密度を計測し、その結果を下記の表3に示す。この結果、透水性の低い外側軽量土2の密度の変化はなく、透水性の高い内側軽量土1の密度の変化もなく、所定の密度を保つことができた。したがって、密度が重く難透水性の外側軽量土2により、密度が軽く透水性の高い内側軽量土1への水の浸入を防ぐことができるとともに、土圧軽減や荷重軽減を図ることができ、水中における浮き上がりを防ぐことができるという、本発明の効果を確認することができた。
【0015】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態の気泡混合軽量土の造成方法を示す断面図である。
【図2】第2の実施の形態の気泡混合軽量土の造成方法を示す断面図である。
【図3】密度と透水係数の関係図である。
【図4】浸水前後の密度を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 内側軽量土
2 外側軽量土
3、10 気泡混合軽量土
4 原地盤
5 底部
6 上部蓋体
7 下部軽量土
8 中部軽量土
9 上部軽量土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が軽く透水性の高い軽量土を密度が重く透水性の低い軽量土で被覆して形成した気泡混合軽量土を原地盤に造成することを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項2】
密度が重く透水性の低い上下部の軽量土の間に、密度が軽く透水性の高い軽量土を挟んで形成した気泡混合軽量土を原地盤に造成することを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項3】
透水性の低い軽量土は少なくとも1mの厚さであることを特徴とする請求項1または2に記載の気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項4】
密度が軽く透水性の高い軽量土は密度が0.8g/cm以下で、透水係数が1.0×10−3cm/s以上であり、密度が重く透水性の低い軽量土は密度が1.1g/cm以上で、透水係数が1.0×10−5cm/s以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項5】
密度が軽く透水性の高い軽量土を発泡スチロールに替えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の気泡混合軽量土の造成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−247323(P2007−247323A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74396(P2006−74396)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】