説明

気泡発生装置

【課題】気泡発生装置のコンパクト性を保ちつつ、十分な気泡分離を実現でき、高い気泡発生率を有する気泡発生装置を提供することを課題とする。
【解決手段】液体に気体を混入させる気体混入手段(1)と、液体を移動させかつ液体を加圧する移動加圧手段(P)と、液体に気体を混入させることにより発生する気体溶解溶液を減圧することにより気泡を発生させ、液体から分離する気泡分離槽(4)とを備える。気泡分離槽(4)は、内部に内部空間を形成する容器ケース部(40)と、容器ケース部(40)に位置し気体混入手段(1)により形成される気体溶解溶液を流入させる流入部(42)と、容器ケース部(40)に位置し液体を排出する排出部(41)と、容器ケース部(40)に設置され容器ケース部(40)の内部空間において流入部(42)と排出部(41)とを連通し、流入部(42)と排出部(41)との間に気泡を含んだ液体を曲走させ、液体から気泡を分離する気泡分離曲走流路(46)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に溶解した気体を気泡として析出させて発生する気泡発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の気泡発生装置は、貯留槽内の液体を取り出して、液体に気体を溶解させてから、貯留槽内に噴出することにより気泡を発生させるものであった(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に開示された気泡発生装置は、浴槽と、液体と気体を混合、攪拌して液体に気体を溶解させる渦流ポンプと、液体に溶解されない気体を分離する気体混合分離手段と、気体混合分離手段から排出される気体溶解液を吐出、減圧して微細気泡を発生させる吐出手段と、渦流ポンプに液体を供給する供給部と、供給する気体量を調整する調整手段とを備えている。また、特許文献1の気泡発生装置において、渦流ポンプにより液体中の気泡を攪拌して分裂させ、気体混合分離手段内で分裂された気泡を液体に溶解し、さらに気体が溶解した液体を貯留槽内に吐出することにより、貯留槽に微細気泡を発生させている。
【0004】
また、特許文献2に開示された気泡発生装置は、閉鎖性水域から滞留水を汲み上げて送り出す送水ポンプと、微細気泡を混入させる気泡発生器と、気泡発生器により形成された気泡混入の水を閉鎖性水域に噴射して気泡を発生させている。
【特許文献1】特開2004−261314号公報(第3〜5頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−262200号公報(第3〜5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、液体を循環して利用する気泡発生装置であるため、貯留槽内の液体は循環させて使用される。従って、貯留槽の容積が十分大きくない場合、貯留槽に形成された気泡が貯留槽に設けられた給水部(ポンプに液体を供給する側)に吸入される可能性がある。これにより、ポンプにおいてエアレーション(Aeration:ポンプ内部に気体の混入による液体吐出圧の低下)現象が引き起こされ、気泡を生成するのに十分の吐出圧を確保することが困難となり、気泡の発生率が低下する。その一方、特許文献1の気泡発生装置では、貯留槽に十分な容積を確保するために、装置全体の体積を大きくしなければならず、結果として循環効率が悪くなり、装置全体が重くなる。
【0006】
また、特許文献2では、閉鎖性水域内の水を循環させて気泡を発生するため、この閉鎖性水域を形成する容器、即ち循環槽(容器)の容積が十分大きくない場合、特許文献1と同様に、循環槽に形成された気泡が循環水と共に送水ポンプに吸込まれる恐れがあり、送水ポンプの性能低下に繋がりやすい。
【0007】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、気泡発生装置のコンパクト性を保ちつつ、十分な気泡分離を実現でき、高い気泡発生率を有する気泡発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の気泡発生装置は、液体に気体を混入させる気体混入手段と、液体を移動させかつ液体を加圧する移動加圧手段と、液体に気体を混入させることにより発生する気体溶解溶液を減圧することにより気泡を発生させ、液体から分離する気泡分離槽と、を備え、気泡分離槽は、内部に内部空間を形成する容器ケース部と、容器ケース部に位置し、気体混入手段により形成される気体溶解溶液を流入させる流入部と、容器ケース部に位置し、液体を排出する排出部と、容器ケース部に設置され、容器ケース部の内部空間において流入部と排出部とを連通し、流入部と排出部との間に気泡を含んだ液体を曲走させ、液体から気泡を分離する気泡分離曲走流路と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の気泡発生装置によれば、気泡分離槽において、気体混入手段側から気体溶解溶液が気泡分解槽に吐出され、減圧により液体に気泡(気泡を含んだ液体)を生成することができる。また、気泡分離槽に気泡分離曲走流路を設けることにより、気泡を含んだ液体を気泡分離曲走流路内に曲走(蛇行)させ、気泡が液体層から浮上して分離するのに必要な時間を充分に与えることができる。つまり、気泡分離槽の容器ケース部の内部空間に気泡分離曲走流路を形成することにより、容器ケース部の内部空間が有効に利用される。即ち、気泡を含んだ液体が気泡分離曲走流路を通過する際、曲走(蛇行)するように気泡分離槽の容器ケース部の内部空間を通り抜けるので、限られた容積に対してもより長い移動距離を実現することができる。これにより、気泡を含んだ液体が気泡分離槽内の滞在時間を十分に延長することができ、気泡が液体から浮上して分離するために必要な時間を充分に与えることができる。よって、本発明の気泡分離槽は、限られた容器ケース部の容積(内部空間)を充分に有効利用し、気泡を含んだ液体からの気泡の分離、浮上を効率よく促進することができる。
【0010】
本発明の気泡発生装置の気泡分離曲走流路は、気泡発生槽の容器ケース部の内部空間を仕切り、気泡分離曲走流路を複数の連通する連通流路に区画する仕切部材を備えることが好ましい。
【0011】
これにより、気泡分離槽の容器ケース部の内部空間が仕切部材により複数の連通流路に仕切され、相互に連通される。つまり、本発明の気泡発生装置は、好適には、容器ケース部の内部空間において、仕切部材を介して気泡分離曲走流路を形成し、気泡を含んだ液体が容器ケース部の内部空間の隅々(デッドスペース)まで流れるように誘導している。このため、気泡分離槽の内部に気泡が液体から分離し、浮上させる経路が長くなり、気泡の分離、浮上に寄与しないデッドスペースが低減される。よって、容器ケース部の内部空間の容積が有効に利用され、気泡分離槽を含む装置全体の大きさをできるだけ最小限に設定することができる。
【0012】
また、気泡分離槽の容器ケース部に仕切部材を設けることにより、本発明の気泡分離槽の強度を向上することができる。つまり、仕切部材は、本発明の気泡分離槽に対して補強作用を有する補強手段としても機能できる。
【0013】
本発明の気泡発生装置の容器ケース部は、第1底面部と、第1底面部より高く設置された第2底面部とを備え、流入部は、第2底面部において、流入部から容器ケース部内に流れ込む気体溶解溶液により発生する気泡の浮上する方向に沿って設置されているが好ましい。第1底面部よりも高い第2底面部を設けることにより、第2底面部に設置された流入部から、気体溶解溶液が、気泡分離槽の容器ケース部に貯留された液体の液面に近い位置に吐出されることができる。このため、気体溶解溶液により発生する気泡が流入部から液面まで浮上する距離が短くなる。また、流入部を気泡の浮上方向に沿って第2底面部に設置することにより、気泡の浮上方向と流入部から吐出される液体の吐出方向が一致になる。よって、気泡の浮上速度が速くなり、気泡が早く液面まで浮上することができる。さらに、第2底面部が液面から近い位置に設置されているため、第2底面部を沿って気泡を含む液体が流れるので、気泡の移動が第2底面部により規制される。この結果、気泡の横方向(水平方向)または上昇方向の移動が促進され、下方向への拡散が抑制される。つまり、静電力などにより、気泡が浮力による浮上方向以外の他方向、例えば下方向へ移動する性質を持っている為、特に微細気泡の場合には、気泡のサイズが微小のため、浮力と静電力はほぼ同程度である。このため、浮上方向以外の方向への移動可能性は大きい。本発明の気泡発生装置は、気泡分離槽に液面から近い第2底面部を設けることにより、第2底面部を沿って流れる液体に含まれた気泡が下方向へ移動できないので、水平方向または上昇方向へ移動することとなり、気泡の下方向への移動が抑えられる。つまり、本発明の気泡発生装置の第2底面部は、気泡を液体から早く分離させるのに有利である。
【0014】
本発明の気泡発生装置の容器ケース部は、第1底面部と第2底面部とを連結する斜面部を備えることが好ましい。第1底面部と第2底面部を連結する斜面部を設けることにより、第1底面部と第2底面部は平滑に連結される。このため、気泡含有液体が第2底面部よりも深い第1底面部へ流れるとき、流体内の気泡リッチ層(気泡が比較的に多く含まれる層)と液体層(気泡が比較的に少なく含まれる層)との中心位置を大きく分離しつつ、気泡リッチ層の気泡が液体層への拡散を抑制することができる。つまり、斜面部を沿って流路径が大きくなっても、気泡の浮上により分離された気泡リッチ層と液体層の混合が抑えられている。
【0015】
本発明の気泡発生装置の排出部は、容器ケース部の第1底面部に設置され、容器ケース部は、排出部の上方に位置し排出部を遮蔽する排出部遮蔽板を備えることが好ましい。本発明の気泡発生装置の容器ケース部に排出部遮蔽板を設けることにより、排出部から液体を排出する際、液体層に気泡の混入を抑えることができる。つまり、排出部遮蔽板は排出部付近の流体の流れを調整することができる。よって、流体が穏やかになり、液体層の上方に存在する気泡リッチ層の混入が抑制される。即ち、本発明の排出部遮蔽板は、流体の上方に位置する気泡リッチ層の下方向への移動を抑制でき、気泡が排出部から排出されることを軽減することができる。
【0016】
本発明の気泡発生装置の気泡分離槽は、容器ケース部の上方に形成され気泡分離曲走流路から分離された気泡を気泡消費部へ吐出して供給する気泡供給部を備え、気泡供給部は、気泡分離曲走流路の各複数の連通流路にそれぞれ連通し、気泡を収集する気泡収集手段と、気泡収集手段に設けられ、気泡収集手段から収集された気泡を気泡消費部へ吐出する気泡吐出口と、を備えることが好ましい。容器ケース部の上方に形成された気泡収集手段により、各複数の連通流路から分離された気泡を収集することができる。そして、収集された気泡を気泡吐出口から気泡消費部へ吐出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の気泡発生装置によれば、気泡分離槽において、気体混入手段側から気体溶解溶液が気泡分解槽に吐出され、減圧により液体に気泡(気泡を含んだ液体)を生成することができる。また、気泡分離槽に気泡分離曲走流路を設けることにより、気泡を含んだ液体を気泡分離曲走流路内において曲走(蛇行)させ、気泡が液体層から浮上して分離するのに必要な時間を充分に与えることができる。つまり、気泡分離槽の容器ケース部の内部空間に気泡分離曲走流路を形成することにより、容器ケース部の内部空間が有効に利用される。即ち、気泡を含んだ液体が気泡分離曲走流路を通過する際、曲走(蛇行)するように気泡分離槽の容器ケース部の内部空間を通り抜けるので、限られた容積に対してもより長い移動距離を実現することができる。これにより、気泡を含んだ液体が気泡分離槽内の滞在時間を十分に延長することができ、気泡が液体から浮上して分離するために必要な時間を充分に与えることができる。よって、本発明の気泡分離槽は、限られた容器ケース部の容積(内部空間)を充分に有効利用し、気泡を含んだ液体からの気泡の分離、浮上を効率よく促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の気泡発生装置について、図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態の気泡発生装置は、図1に示される。図1は本実施形態の気泡発生装置の全体概念図を示す。なお、本実施形態の気泡発生装置は、シャボンを発生するシャボン発生装置に応用されたものである。また、シャボン消費側には温泡入浴の浴槽Wが設けられている。なお、本実施形態の浴槽Wは本発明のシャボン消費部を構成するものである。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の気泡発生装置は循環通路5で接続して連通され、流路順に気体混入手段1、移動加圧手段P、気泡微細化手段2、気泡溶解促進手段3、発泡手段4、浴槽Wとで構成される。なお、循環通路5は連通パイプで構成される。また、浴槽Wは大気開放とされている。また、本実施形態の発泡手段4は本発明の気泡分離槽を構成するものである。
【0021】
本実施形態では、発泡手段4が洗剤溶液容器40を備えている。また、洗剤溶液容器40内に貯留された洗剤溶液が循環して使用される。洗剤溶液を循環せずに使用される場合には、本実施形態のような液体循環型でなくてもよい。また、本実施形態で使用される洗剤溶液は、水または温水で調製したものであり、以下液体と称する場合もある。なお、実施形態の洗剤溶液容器40は本発明の容器ケース部を構成するものである。
【0022】
また、本実施形態の気泡発生装置は循環型であるため、洗剤溶液容器40は洗剤溶液排出口41と、洗剤溶液供給口42とを備えており、循環通路5を構成する接続通路401の一端401aに接続されている。排出する洗剤溶液が循環して使用されるので、洗剤溶液排出口41は後述する液体取り込み部として機能する。洗剤溶液供給口42としては、移動加圧手段(ポンプ)Pを作動させたとき循環通路5内に生じる圧力を適度に保持しつつ、循環通路5内の液体を吐出可能な構造を有している。具体的に、吐出側(下流側)に向かって内径が小さくなる絞る構成である。このような構成により、移動加圧手段Pと洗剤溶液供給口42との間が適度に加圧されるため、気体(気泡)の液体への溶解促進が促進される。また、気体溶解溶液(気体が液体に溶解された液体)が洗剤溶液供給口42から洗剤溶液容器40内に吐出されることにより、気体溶解溶液は圧力開放(減圧)されるため、洗剤溶液容器40内において、微細気泡が発生する。
【0023】
なお、本実施形態の洗剤溶液は本発明の液体である。以下、洗剤溶液を液体と称する場合もある。また、本実施形態の気泡発生装置の洗剤溶液排出口(後述する液体取り込み部)41は、本発明の排出部を構成するものである。また、本実施形態の気泡発生装置の洗剤溶液供給口42は、本発明の流入部を構成するものである。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、気体混入手段1は、内径が流路の流れ方向に沿って縮径する第1絞り部(例えば:ベンチュリー管)11と、気体導入通路101と、接続通路401、102とを備えている。気体導入通路101は気体を第1絞り部11に導入するものであり、第1絞り部11の内部に気体を混入させる。接続通路401、102は循環通路5の一部を構成している。図1に示すように、接続通路401の一端401aは洗剤溶液容器40の洗剤溶液排出口41に連通され、他端401bは気体混入手段1の第1絞り部11に連通されている。また、気体導入通路101には、導入される気体の流量などを調整する調整弁もしくは電磁バルブなどの気体量調節手段12が備えられている。一方、接続通路401及び102を介して第1絞り部11が循環通路5に接続されている。なお、接続通路401を介して気体混入手段1は洗剤溶液排出口41に連通される。このような構成により、第1絞り部11の内部を通過する液体は加速されるため、第1絞り部11の内部に生じる負圧により気体導入通路101を通じて第1絞り部11に気体が混入し気泡が形成される。なお、本実施形態では、気体混入手段1から混入される気体として、空気が使用されているが、これに限定するものではない。
【0025】
移動加圧手段Pであるポンプは、図1に示すように、気体混入手段1と気泡微細化手段2との間において、循環通路5に配置されている。移動加圧手段Pを作動させることにより、移動加圧手段Pと洗剤溶液供給口42との間に洗剤溶液が加圧された状態となる。本実施形態では、洗剤溶液供給口42までの流体圧力は、例えば約4kgf/cmとされている。移動加圧手段Pは、接続通路102及び201に接続され、液体循環流路5に接続される。なお、移動加圧手段Pに連通する接続通路102は本発明の移動加圧手段Pの吸込側となる。また、気体混入手段1及び移動加圧手段Pは、制御手段6Aにより自動的に制御されている。
【0026】
本発明の気泡微細化手段2は、図1に示すように、第2絞り部29と、第2絞り部29の洗剤溶液供給口42側に連通する開放部25とにより構成された流路を備えている。気泡微細化手段2の内部には、液体取り込み部41側から洗剤溶液供給口42側に気泡含有液体が流れる流路が形成されている。
【0027】
具体的に、気泡微細化手段2は、洗剤溶液供給口42側に向かって順に、液体取り込み部41側において接続通路201と連結するための連結部(図示せず)と、接続通路201から第2絞り部29に洗剤液体を誘導する誘導空間(図示せず)と、第2絞り部29と、開放部25と、洗剤溶液供給口42側において接続通路202と連結するための連結部(図示せず)とを備えている。
【0028】
なお、接続通路201、202は循環通路5の一部を構成している。また、本実施形態の小気泡とは、後述する気泡溶解促進手段3において、液体に対して十分に溶解可能なほど小さい(比表面積が大きい)気泡をいう。また、洗剤溶液供給口42から洗剤溶液容器40に吐出することにより生成される微細気泡とは、小気泡よりも小さい気泡をいう。
【0029】
本実施形態において、第2絞り部29は、気泡が含有された液体に十分な流速を付与することができるように、誘導空間の断面積と比較して十分小さい断面積を有している。
【0030】
また、第2絞り部29は、洗剤溶液供給口42側に向かって断面積が小さくなる形状となっている。これにより、第2絞り部29内部を通過する気泡含有液体は十分に加速される。開放部25は、第2絞り部29の洗剤溶液供給口42側に連続して設けられている。開放部25の断面積は、第2絞り部29から移動してきた気泡に微細化可能な流速勾配を与える程度に、第2絞り部29の断面積より大きくなっている。
【0031】
また、開放部25の洗剤溶液供給口42側への長さは、開放部25に到達して減速された気泡が微細化するために十分な長さを有している。
【0032】
また、開放部25の断面積は、洗剤溶液供給口42側に連続する循環通路5の内部空間の断面積より大きくなっている。これにより、開放部25内における流速が、第2絞り部29内における流速及び洗剤溶液供給口42側の循環通路5における流速より十分に小さいものとなる。このため、気泡に大きな速度勾配を与えることができる。
【0033】
このように、開放部25を有することにより、第2絞り部29を通過して加速された気泡は、開放部25に到達したとき減速される。この速度勾配により気泡は圧縮され微細化して小気泡が発生する。
【0034】
気泡溶解促進手段3は、図1に示すように、液体が流入する流入口311と液体が流出する流出口312を備えている。流入口311には、接続通路202が連通され、流出口312には、接続通路301が連通されている。接続通路202、301は循環通路5の一部を構成している。このように、接続通路202、301を介して、気泡溶解促進手段3が循環通路5に接続されている。
【0035】
また、図1に示すように、気泡溶解促進手段3は、内部に(小)気泡含有液体が通過可能かつ小気泡が液体に十分に溶解する時間を与えるように、気泡溶解促進手段3内の液体を曲走させる曲走流路31と、気泡溶解促進手段3の上部に設けられ液体に溶解しない気体を収集する非溶解気体収集部32とを備えている。
【0036】
曲走流路31は、遮蔽板などの部材を用いて気泡溶解促進手段3の内部を仕切りして形成されるものである。曲走流路31を介して、気泡含有液体は気泡溶解促進手段3の内部を通過する際、十分な溶解する時間を得ることができ、小気泡がさらに液体中に溶解される。
【0037】
非溶解気体収集部32は、気泡溶解促進手段3の上方に設けられ、液体に含まれ溶解しない気体(溶解飽和などにより発生する余剰気体をいう)を比重差により収集するものである。また、非溶解気体収集部32で収集された非溶解気体(液体に溶解しない気体)は、気泡溶解促進手段3に設けられ非溶解気体収集部32に連通する非溶解気体排出部33を介して排出される。さらに、非溶解気体排出部33は、気泡溶解促進手段3と連通する気体排出流路331と、気体排出流路331に設けられた気体排出量を調整する流量調整手段332とを備えている。なお、流量調整手段332は、電磁バルブなどの開閉弁で構成される。
【0038】
気泡溶解促進手段3で小気泡内の気体を液体に溶解させた後、気体溶解洗剤溶液(気体が液体に溶解された洗剤溶液)は接続通路301を介して発泡手段4に流れる。このように、循環通路5は接続通路401、102、201、202及び301から構成されている。
【0039】
次に、本実施形態の特徴である発泡手段4について説明する。
【0040】
本実施形態の発泡手段4は、図2〜5において示される。なお、図2は、本実施形態の発泡手段4の正面図を示す。また、図3は、図2に示す発泡手段4のA−A断面図を示す。図4は、図2に示す発泡手段4のB−B断面図を示す。また、図5は、図2に示す発泡手段4のC−C断面図を示す。
【0041】
図2〜5に示すように、本実施形態の発泡手段4は、直方体形状をなす洗剤溶液容器40を備える。また、洗剤溶液容器40は、図1に示す側面部40A、40B、40C及び40Dと、図3又は図5に示す第1底面部40E、第2底面部40F及び斜面部40Gを備えている。また、図1から理解できるように、側面部40A、40Cは互いに背向し、側面部40B、40Cは互いに背向している。なお、本実施形態の洗剤溶液容器40は直方体形状が好ましく採用できるが、これに限らず、円柱形状なども採用できる。
【0042】
また、図3及び図5から理解できるように、第1底面部40Eは、第2底面部40Fによりも深い位置に設けられている。即ち、第2底面部40Fは、第1底面部40Eによりも高い位置にあり、洗剤溶液容器40内に溜められた洗剤溶液の液面F01の付近に形成されている。
【0043】
また、第1底面部40Eと第2底面部40Fの間に、斜面部40Gが設置され、第1底面部40Eと第2底面部40Fを平滑に連結している。なお、斜面部40Gは、所定傾斜度(例えば30〜60度)で第2底面部40Fと第1底面部40Eを間に接続している。また、図3又は図5に示すように、第2底面部40Fと、第2底面部40Fに連結されている斜面部40Gは、後述する第1連通流路461の底部の一部を構成している。また、第1底面部40Eは、後述する第2流路462、第3流路463、第4流路464、第5連通流路465の底部と、第1連通流路461の底部の一部とを構成している。
【0044】
具体的に、まず図1に示すように、発泡手段4は、内部に微細気泡を含んだ洗剤溶液の流体F0(説明の為、以下単に流体F0と称する)が通過可能、かつ微細気泡が流体F0の上部に浮上し、気泡リッチ層F1(気泡がより多く含まれ、上部に位置する層)と、液体層F2(気泡がより少なく、液体が多く含まれ、下部に位置する層)を分離するために、発泡手段4内の流体F0を曲走させる気泡分離曲走流路46と、その上部に形成されるシャボン供給口43とを備えている。なお、本実施形態シャボン供給口43は、本発明の気泡供給部を構成するものである。
【0045】
気泡分離曲走流路46は板状の部材を用いて発泡手段4の洗剤溶液容器40の内部を仕切りして形成されるものである。具体的には、図2、図3または図4に示すように、洗剤溶液容器40には、板状の仕切部材451、452、453、454が設けられている。
【0046】
図4に示すように、仕切部材451は、端部4514及び端部4515を介して、洗剤溶液容器40の側面部40B及び第1底面部40Eにそれぞれ接続されている。仕切部材451の端部4514の反対側には、端部4513は、洗剤溶液容器40の側面部40Dの内側面40D1に対向し、内側面40D1と共に所定開口幅H1(例えば10cm、なお、これに限定されない)を持つ第1開口部466を形成している。
【0047】
仕切部材451と同様に、仕切部材453は、洗剤溶液容器40の側面部40B及び第1底面部40Eにそれぞれ接続され、端部4533は、洗剤溶液容器40の側面部40Dの内側面40D1に対向し、内側面40D1と共に第3開口部468を形成している。
【0048】
また、仕切部材451、453とは反対方向に、仕切部材452、454は、洗剤溶液容器40の側面部40D及び第1底面部40Eにそれぞれ接続され、端部4523、4543は、洗剤溶液容器40の側面部40Bの内側面40B1に対向し、内側面部40B1と共に、第2、第4開口部467、469をそれぞれ形成している。
【0049】
また、図2又は図5に示すように、洗剤溶液容器40の内部空間に仕切部材451を設けることにより、第2底面部40Fと、洗剤溶液容器40の側面部40Bの内側面40B1と、仕切部材451の第1側面4511とで第2径部471が区画されている。そして、斜面部40Gと、側面部40Bの内側面40B1と、仕切部材451の第1側面4511とで流路径増大部472が区画されている。さらに、第1底面部40Eと、側面部40Bの内側面40B1と、仕切部材451の第1側面4511とで第1径部473が区画されている。第2径部471と、流路径増大部472と、第1径部473とから第1連通流路461が構成されている。
【0050】
また、図2に示すように、第1連通流路461と同様に、洗剤溶液容器40の内部空間に仕切部材452を設けることにより、第1底面部40Eと、仕切部材451の第2側面4512と、仕切部材452の第1側面4521とで、第2連通流路462が区画されている。
【0051】
同様に、洗剤溶液容器40の内部空間に仕切部材453を設けることにより、第1底面部40Eと、仕切部材452の第2側面4522と、仕切部材453の第1側面4531とで、第3連通流路463が区画されている。洗剤溶液容器40の内部空間に仕切部材454を設けることにより、第1底面部40Eと、仕切部材453の第2側面4532と、仕切部材454の第1側面4541とで、第4連通流路464が区画されている。第1底面部40Eと、仕切部材454の第2側面4542と、洗剤溶液容器40の側面部40Cの内側面40C1とで、第5連通流路465が区画されている。
【0052】
このように、洗剤溶液容器40の内部空間に、所定間隔を隔てて互いに平行する仕切部材451、452、453、454を設けることにより、発泡手段4の洗剤溶液容器40の内部空間において、複数の連通流路、即ち、第1連通流路461、第2連通流路462、第3連通流路463、第4連通流路464、第5連通流路465が形成される。また、これらの複数の連通流路(461、462、463、464、465)から気泡分離曲走流路46が構成される。
【0053】
なお、本実施形態では、4枚の仕切部材を採用して5個の連通流路を形成しているが、これに限らず、1枚でも、1枚以上複数枚の仕切部材を採用しでもよい。また、洗剤溶液容器40の内部空間を複数の連通流路に仕切りして形成する際、複数枚の仕切部材は互いに平行に設置されても、非平行に設置されてもよい。つまり、仕切部材の配置方は平行設置に限らず、気泡分離曲走流路46を二つ以上の連通する連通流路に区画すれば、流体F0の洗剤溶液容器40内の滞在時間を延長することができる。また、気泡分離曲走流路46内の流体F0の状態(流速、圧力抵抗など)を考量した上で仕切部材の枚数、配置方を最適化することができる。
【0054】
また、第2径部471を形成する第2底面部には、気体溶解洗剤溶液を洗剤溶液容器40に流入させる洗剤溶液供給口42が設けられている。洗剤溶液供給口42から、流体F0は第1連通流路461を始め、気泡分離曲走流路46を沿って曲走(蛇行)するように誘導される。
【0055】
また、図5に示すように、洗剤溶液供給口42は、第1底面部40Eよりも浅い第2底面部40Fに形成されているため、洗剤溶液容器40の内部空間に貯留された液体(流体F0)の液面F01の付近に位置している。つまり、洗剤溶液供給口42から液面F01までの距離が短く(近く)設定できる。これにより、洗剤溶液供給口42から吐出され形成される気泡が早く液面F01まで浮上することができる。また、第2底面部40Fにおいて、洗剤溶液供給口42が気泡の浮上する方向(例えば、第2底面部40Fに垂直する方向)に沿って形成されているため、洗剤溶液供給口42から液体が吐出されることに連れ、液体から析出された気泡の浮上が加速される。従って、さらに気泡が流体F0の内部から早く液面F01に到達することができる。つまり、気泡リッチ層F1が液体層F2から早く分離できる。
【0056】
また、洗剤溶液供給口42から吐出され、第2径部471を流れる流体F0は、第2底面部40Fを沿い、液面F01の近い層面(第2底面部40Fの位置に相当する)に流れるので、流体F0に含まれる気泡が第2底面部40Fにより規制され、下方への移動は不可能である。このため、第2径部471を流れる流体F0に含まれる気泡は、横方向(水平方向)あるいは上昇方向の移動が促進され、下方向への拡散が抑制される。つまり、第2径部471を介して、液面F01から浅い層面(第2底面部40Fに位置する)で流体F0を流動させることにより、気泡リッチ層F1を液体層F2から早速に分離させることができる。
【0057】
また、図5に示すように、流体F0は第2径部471を流れた後、流路径増大部472を介して第1径部473へ流れる。第1径部473は、第1底面部40E上に形成されているため、第2底面部40F上に形成された第2径部471よりも大きい径(深さ)を有している。また、斜面部40上に形成された流路径増大部472を介して、第2径部471と第1径部473が連通されている。これにより、流体F0は流路径増大部472に沿って断面積を徐々に増大しながら、第2径部471から第1径部473へ流れる。
【0058】
即ち、流体F0は斜面部40Gを介して第2底面部40Fから第1底面部40Eへ、深さを増しつつ移動している。つまり、斜面部40Gを沿って流路径増大部472が大きくなっても、気泡の浮上により分離された気泡リッチ層F1と液体層F2の混合が抑えられている。このように、流体F0が気泡リッチ層F1と液体層F2に分離されながら、気泡リッチ層F1に含まれる気泡が液体層F2への拡散が抑制されている。
【0059】
このように、第2径部471、流路径増大部472、第1径部473を介して、流体F0は第1流れ方向D1(図5または図2に示す)を沿って第1連通流路461を流れる。
【0060】
図2に示すように、流体F0は第1連通流路461を流れた後、第1開口部466を介して、第2流れ方向D2に沿って、水平にUターンするように流れる。そして、第3流れ方向D3(第1流れ方向D1とは逆方向)に沿って、第2連通流路462を流れる。そして、第2開口部467を介して、第4流れ方向D4(第2流れ方向D2により、蛇行方向上の前進方向)に沿って、水平にUターンするように流れる。そして、第5流れ方向D5(第3流れ方向D3とは逆方向)に沿って、第3連通流路463を流れる。そして、第3開口部468を介して、第6流れ方向D6(第4流れ方向D4により、蛇行方向上の前進方向)に沿って、水平にUターンするように流れる。そして、第7流れ方向D7(第5流れ方向D5とは逆方向)に沿って、第4連通流路464を流れる。そして、第4開口部469を介して、第8流れ方向D8(第6流れ方向D6により、蛇行方向上の前進方向)に沿って、水平にUターンするように流れる。そして、第9流れ方向D9(第7流れ方向D7とは逆方向)に沿って、第5連通流路465を流れる。最後に、流体F0は、洗剤溶液容器40の第1底面部40Eに形成され側面部40Dから近い位置(図2に示す)にある洗剤溶液排出口41を介して、移動加圧手段Pの吸入側102へ排出される。このように、仕切部材451、452,453、454を用いて、発泡手段4の洗剤溶液容器40に設けられた洗剤溶液排出口41と洗剤溶液流入口42を連通して気泡分離曲走流路46が形成される。これにより、流体F0は、適切な(緩やかな)流速を確保しながら、気泡を浮上させるために洗剤溶液容器40内の滞在時間を充分に確保することができる。
【0061】
つまり、流体F0は、気泡リッチ層F1及び気体層F2を形成しながら、図3または図2に示すように、第2、第4、第6、第8流れ方向D2、D4、D6、D8に沿って、洗剤溶液流入口42から洗剤溶液排出口43へ曲走しつつ流れる(蛇行しながら前進する)。洗剤溶液容器40の内部空間(容積)を有効に利用し、曲走(複数回のUターン)しながら前進することにより、流体F0が洗剤溶液容器40内の十分な滞在時間(気泡分離に寄与する時間)を確保することができると同時に、気泡リッチ層F1と液体層F2を十分に分離し、液体層F2の深さH222(図3参照)を許容範囲に維持することができる。なお、この許容範囲とは、気泡リッチ層F1から洗剤溶液排出口41までの安全距離の範囲である。
【0062】
具体的に、図3に示すように、洗剤溶液流入口42から吐出され、気泡分離曲走流路46の前半の連通流路(例えば、図2に示す第2連通流路462)を流れる際、流体F0は、上部に気泡の浮上による気泡リッチ層の幅H211が大きく、下方に液体層F2の幅H212が小さい。気泡分離曲走流路46内において曲走(蛇行)しながら前進することにより、流体F0は、気泡分離曲走流路46の後半の連通流路(例えば、図3に示す第4連通流路464)を流れる際、気泡が流体F0の液面F01から脱出することにより、上方の気泡リッチ層F1の幅H221(図3参照)が小さくなると同時に、下方の液体層F2の幅H222(図3参照)が大きくなる。つまり、気泡分離曲走流路46を曲走しつつ流れることにより、気泡の分離が促進され、気泡が十分に液体層F2から浮上し、さらに気泡リッチ層F1から脱出することができる。
【0063】
本実施形態の気泡発生装置は、発泡手段4の洗剤溶液容器40の内部空間において、気泡分離曲走流路46を設けることにより、
気泡を含んだ洗剤溶液の流体F0を気泡分離曲走流路46内に曲走(蛇行)させ、気泡が液体層F2から浮上して分離するのに必要な時間を充分に与えることができる。つまり、発泡手段4の洗剤溶液容器40の内部空間に気泡分離曲走流路46を形成することにより、洗剤溶液容器40の内部空間が有効に利用される。即ち、気泡を含んだ洗剤溶液が気泡分離曲走流路46を通過する際、曲走(蛇行)するように発泡手段4の洗剤溶液容器40の内部空間を通り抜けるので、限られた容積に対してもより長い移動距離を実現することができる。これにより、気泡を含んだ洗剤溶液が発泡手段4内の滞在時間を十分に延長することができ、気泡リッチ層F1が液体層F2から浮上して分離するために必要な時間を充分に与えることができる。よって、本実施形態の気泡発生装置は、限られた洗剤溶液容器40の容積(内部空間)を充分に有効利用し、気泡を含んだ洗剤溶液からの気泡の分離、浮上を効率よく促進することができる。
【0064】
また、発泡手段4の洗剤溶液容器40の内部空間が仕切部材(451、452、453、454)により複数の連通流路(461,462、463、464、465)に仕切され、相互に連通される。つまり、本実施形態の気泡発生装置は、好適には、洗剤溶液容器40の内部空間において、仕切部材(451、452、453、454)を介して気泡分離曲走流路46を形成し、気泡を含んだ洗剤溶液が洗剤溶液容器40の内部空間の隅々(デッドスペース)まで流れるように誘導している。このため、発泡手段4の内部に気泡が液体から分離し、浮上させる経路が長くなり、気泡の分離、浮上に寄与しないデッドスペースが低減される。よって、本実施形態では、洗剤溶液容器40の内部空間の容積が有効に利用され、発泡手段4を含む装置全体の大きさをできるだけ最小限に設定することができる。
【0065】
また、発泡手段4の洗剤溶液容器40に仕切部材(451、452、453、454)を設けることにより、本実施形態の発泡手段4の強度を向上することができる。つまり、仕切部材(451、452、453、454)は、本実施形態の発泡手段4に対して補強作用を有する補強手段としても機能できる。
【0066】
また、図3または図2に示すように、第1底面部40Eに設置された洗剤溶液排出口41の上方には、これと対面するように遮蔽板455が設けられている。なお、本実施形態の遮蔽板455は、本発明の排出部遮蔽板を構成するものである。具体的には、図2に示すように、遮蔽板455は、洗剤溶液排出口41の上方から洗剤溶液排出口41を遮蔽し、洗剤溶液排出口41の口径よりも大きい径を有する円盤状板部455Aと、円盤状板部455Aと一体に形成され、円盤状板部455Aを洗剤溶液容器40の側面40Dに接続して固定する支持部455Bとを備えている。つまり、円盤状板部455Aの下側面4552は洗剤溶液排出口41と対面に設置されている。また、支持部455Bは、洗剤溶液排出口41(第1底面部40E)との間に所定間隔(例えば2cm、なお、これに限定されない)を持って側面部40Dに接続して円盤状板部455Aを支持している。このように、遮蔽板455は、流体F0の液体層F2に位置するように配置され、液体層F2が洗剤溶液排出口41へ流出するとき、遮蔽部455の端部4551と洗剤溶液容器40の側面部40Cの内側面40C1及び仕切部材454の第2側面4542との間の隙間を通して流れる(図3に示す)。つまり、適切な径を有する円盤状板部及び適切な間隙を設けることにより、流体F0の流速が調整され、液体層F2が穏やかに洗剤溶液排出口41へ排出することができる。よって、液体層F2の上方に位置する気泡リッチ層F1内の気泡が液体層F2へ混入しにくくなり、気泡が洗剤溶液排出口41から排出されることが抑制される。
【0067】
このように、本実施形態の気泡分離曲走流路46を介して、流体F0内の気泡(気泡リッチ層F1)が液体層F2から十分に分離されたのち、さらに液体層F2に気泡リッチ層F1の混入を抑えながら、洗剤溶液排出口41を介して液体層F2のみ排出することができる。また、曲走気泡分離流路46を形成することにより、洗剤溶液容器40の有効容積が大きくなり(デッドスペースが小さくなり)、洗剤溶液容器40の小型化が実現できる。また、これにより、洗剤溶液(有効成分である界面活性剤及び水)の必要量が低減できる。さらに、洗剤溶液容器40の第1底面部40Eに洗剤溶液排出口41が設けられることにより、洗剤溶液の使用量をより一層低減することができる。つまり、洗剤溶液容器40内の洗剤溶液をより低い液面に維持しながら、洗剤溶液排出口41に気泡の混入を抑制しつつ、洗剤溶液を循環させることができる。
【0068】
このように、本実施形態の気泡発生装置は、発泡手段4の洗剤溶液容器40のコンパクト化を図りつつ、気泡分離曲走流路46に流れる液体F0がより長い流路に沿って流れることができ、発泡手段4に滞在する時間が長くなる。よって、十分に気泡リッチ層F1と液体層F2を分離することができる。よって、移動加圧手段P側の気体混入による吐出圧の低下を抑制することができ、気泡発生装置の性能を向上させることができる。また、本実施形態の気泡発生装置は、使用する洗剤溶液が低減できるため、ランニングコストの削減にも有利である。
【0069】
また、図6または図7に示すように、本実施形態の発泡手段4は、洗剤溶液容器40の上方に、気泡分離曲走流路46から分離された気泡からなるシャボンを気泡消費側へ吐出して供給するシャボン供給口43を備えている。なお、本実施形態のシャボン供給口43は、本発明の気泡供給部を構成するものである。
【0070】
図6は、発泡手段4にシャボン供給口43を設けたときの正面図を示す。図7は、シャボン供給口43を備える発泡手段4の矢視D方向の側面図を示す。なお、本実施形態では、洗剤溶液が使用されるため、気泡が洗剤溶液の液面から脱出する際、シャボンP1(図1参照)となる。
【0071】
図6または図7に示すように、シャボン供給口43は、洗剤溶液容器40の上部に第1上面部432と、第2連通部433とを備えている。第1上面部432は、上方から洗剤溶液容器40を覆うように形成されている。第2連通部433は、第1上面部432と一体に形成され、第1上面部432に沿って側面部40D側から水平に突出している。
【0072】
第1上面部432と洗剤溶液容器40との間に、第1気泡流路434が形成され、気泡分離曲走流路46に連通されている。気泡分離流路46で分離された気泡がシャボンP1となり、第1気泡流路434に流れる(収集される)。
【0073】
図7に示すように、第2連通部433は、一端が第1気泡流路434に連通し他端が開口部436を持つ第2気泡流路435を形成している。第2連通部433は、図6から理解できるように、第1気泡流路434側から開口部436側へ向かって流路幅を縮小している。つまり、気泡分離曲走流路46で分離された気泡によるシャボンP1が第1気泡流路434から第2気泡流路435に流れ、気泡流動方向D10(図6に示す)に沿ってオーバフローするように開口部436へ合流される。第2気泡流路435で合流されたシャボンP1は開口部436を介してシャボン消費部を構成する浴槽Wへ供給される。なお、本実施形態の第1気泡流路434及び第2気泡流路435は本発明の気泡収集手段を構成するものである。また、本実施形態の開口部436は、本発明の気泡吐出口を構成するものである。
【0074】
また、本実施形態の洗剤溶液容器40と、仕切部材451、452、453、454と、遮蔽板455と、シャボン供給口43は、樹脂により一体に形成されている。洗剤溶液容器40と仕切部材(451、452、453、454)と、遮蔽板455と、シャボン供給口43は、より軽くて低コストの樹脂素材で構成することにより、発泡手段4の薄肉化、樹脂化ができ、装置全体は従来の製品に比べ、軽量化、低コスト化に優れている。また、発泡手段4の洗剤溶液容器40と仕切部材(451、452、453、454)と遮蔽板455とシャボン供給口43が一体に形成されるため、発泡手段4の生産性が向上され、洗剤溶液容器40、仕切部材(451、452、453、454)、遮蔽板455及びシャボン供給口43が加工し易くなる。また、発泡手段4が一体形成により、機械強度が向上される。
【0075】
また、シャボンP1の温度を調整するために、循環通路5またはシャボン供給口43においてヒータなどの加熱手段を設けることもできる。ヒータなどの加熱手段を設けることにより、循環通路5及び洗剤溶液容器40内の洗剤溶液を温めることができ、洗剤溶液により形成されたシャボンP1の温度を調整することができる。
【0076】
洗剤溶液容器40内に形成されたシャボンP1は、図1に示すように、シャボン供給口43を介して浴槽Wへ供給され使用される。
【0077】
また、本実施形態の気泡発生装置で発生された気泡のサイズは5〜100μmとすることができる。径は例えば5〜100μmの気泡を水(温水などを含む)に形成することにより、気泡を含有する水はミルクのように白く濁った状態となりやすく、利用者にとって特殊な感触を与えることができる。例えば、このような気泡を含有する水を使用すれば、ミルク浴のような感触で入浴することができる。また、本実施形態のように気泡を洗剤溶液のような界面活性剤溶液に形成した場合、径は例えば5〜100μmのシャボンを形成することができ、シャボン入浴や、シャボンシャワーなどに利用することができる。このようなシャボンは、微細(例えば、マイクロ単位)サイズのため、一般のシャボンよりも高い洗浄力、温度維持性、または高い液体保持率を有することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の微細気泡発生装置は、身体洗浄装置、温泡シャワー装置、温泡入浴装置などの分野に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態における気泡発生装置の概念図である。
【図2】本発明の実施形態における気泡発生装置の発泡手段の正面図である。
【図3】本発明の実施形態における気泡発生装置の図2に示す発泡手段のA−A断面図である。
【図4】本発明の実施形態における気泡発生装置の図2に示す発泡手段のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態における気泡発生装置の図2に示す発泡手段のC−C断面図である。
【図6】本発明の実施形態における気泡発生装置の気泡供給部を備えた発泡手段の正面図である。
【図7】本発明の実施形態における気泡発生装置の図6に示す発泡手段のD方向矢視図である。
【符号の説明】
【0080】
1:気体混入手段 11:第1絞り部 12:気体流量調整手段
101:気体導入通路 P:移動加圧手段
2:気泡微細化手段 3:気泡溶解促進手段
31:曲走流路 311:流入口 312:流出口
33:非溶解気体排出部 331:気体排出流路 332:流量調整手段
4:発泡手段(気泡分離槽) 40:洗剤溶液容器(容器ケース部)
41:洗剤溶液排出口/液体取り込み部(排出部)
42:洗剤溶液吐出口(流入部) 43:シャボン供給口
5:循環通路 6A:制御手段
40E:第1底面部 40F:第2底面部 40G:斜面部
451、452、453、454:仕切部材
46:気泡分離曲走流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に気体を混入させる気体混入手段と、
前記液体を移動させかつ該液体を加圧する移動加圧手段と、
前記液体に気体を混入させることにより発生する気体溶解溶液を減圧することにより気泡を発生させ、前記液体から分離する気泡分離槽と、を備え、
前記気泡分離槽は、
内部に内部空間を形成する容器ケース部と、
前記容器ケース部に位置し、前記気体混入手段により形成される前記気体溶解溶液を流入させる流入部と、
前記容器ケース部に位置し、前記液体を排出する排出部と、
前記容器ケース部に設置され、前記容器ケース部の前記内部空間において前記流入部と前記排出部とを連通し、該流入部と該排出部との間に前記気泡を含んだ前記液体を曲走させ、前記液体から前記気泡を分離する気泡分離曲走流路と、を有することを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
前記気泡分離曲走流路は、前記気泡発生槽の前記容器ケース部の前記内部空間を仕切り、前記気泡分離曲走流路を複数の連通する連通流路に区画する仕切部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の気泡発生装置。
【請求項3】
前記容器ケース部は、第1底面部と、前記第1底面部より高く設置された第2底面部とを備え、前記流入部は、前記第2底面部において、前記流入部から前記容器ケース部内に流れ込む前記気体溶解溶液により発生する前記気泡の浮上方向に沿って設置されている請求項1または2のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【請求項4】
前記容器ケース部は、前記第1底面部と前記第2底面部とを連結する斜面部を備えることを特徴とする。請求項1〜3のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【請求項5】
前記排出部は、前記容器ケース部の前記第1底面部に設置され、前記容器ケース部は、前記排出部の上方に位置し該排出部を遮蔽する排出部遮蔽板を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【請求項6】
前記気泡分離槽は、前記容器ケース部の上方に形成され前記気泡分離曲走流路から分離された前記気泡を気泡消費部へ吐出して供給する気泡供給部を備え、
前記気泡供給部は、
前記気泡分離曲走流路の各前記複数の連通流路にそれぞれ連通し、前記気泡を収集する気泡収集手段と、
前記気泡収集手段に設けられ、前記気泡収集手段から収集された前記気泡を前記気泡消費部へ吐出する気泡吐出口と、を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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