気流拡散装置
【課題】外観面で良好であると共に気流の放出をその放出方向に向かって放射状に拡散することができ、装飾性及び拡散性の向上を同時に図ることができる気流拡散装置を提供する。
【解決手段】薬剤を保持した薬剤保持体15と、気流を発生させるファン14と、薬剤保持体15およびファン14を収納した気流拡散装置本体11と、を備え、気流拡散装置本体11の正面に排気口16が設けられると共に気流拡散装置本体11の背面に吸気口が設けられ、排気口16の前方には、排気口16の内径に対し略同一又は大きい外径を有する遮蔽板17が排気口16を覆うように近傍配置されて設けられる気流拡散装置10。
【解決手段】薬剤を保持した薬剤保持体15と、気流を発生させるファン14と、薬剤保持体15およびファン14を収納した気流拡散装置本体11と、を備え、気流拡散装置本体11の正面に排気口16が設けられると共に気流拡散装置本体11の背面に吸気口が設けられ、排気口16の前方には、排気口16の内径に対し略同一又は大きい外径を有する遮蔽板17が排気口16を覆うように近傍配置されて設けられる気流拡散装置10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を保持した薬剤保持体、又は気流を清浄化するためのフィルタを収納して、ファンにより気流を発生させ、薬剤の有効成分を雰囲気中に拡散ささせたり、又は気流を清浄化したりする気流拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤に含まれる有効成分を雰囲気中に拡散させる装置としては、図11に示すように、チャンバ101内に収納されると共に薬剤を保持した薬剤保持体105に、チャンバ101内に収納されたファン102を用いて気流を当ててその薬剤に含まれる有効成分をチャンバ101外(雰囲気中)に拡散させる装置100が知られている(例えば、特許文献1参照)。
なお、この特許文献1の発明は、本出願人により出願されたものである。
【0003】
この特許文献1に記載された装置100においては、ファン102は、チャンバ101に設けられた吸気口103、103と排気口104、104を結んだ、気流が通過する経路の途中位置に設けられており、このとき、薬剤保持体105はファン102とその排気口104、104との間に位置し、また、この装置100では、発生した気流をチャンバ101外の所定の方向に向けて略直線状に放出するため、排気口104、104前方は何も設けられておらず、開放された状態となっている。
なお、以下、「発生した気流を所定の方向に向けて略直線状に放出する性質」を「指向性」として説明し、またこの「指向性」に対し「発生した気流を所定の箇所で放出した際に、その放出する方向に向かって放射状に拡散する性質」を「拡散性」として説明し、勿論この「指向性」と「拡散性」はトレードオフの関係にある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−187799号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、この種の装置の開発及び市場販売が活発化しており、これに伴って、消費者から種々の要望が高まってきている。例えば、気流の発生の仕方、装飾性等が挙げられる。
【0006】
特許文献1に記載されたような装置では、排出される気流は、主に指向性を有するものであることから、前述した消費者の要望等を考慮すると、以下のような点について改善の余地があると思われる。
【0007】
特許文献1に記載されたような装置では、ファン102により発生した気流が排気口104、104の前方に向かって略直線的に放出されるため、人体の近傍に設置した場合に、ファン102からの気流が人体に直接当たることがある。また、キャンプ等の野外で使用した場合、有効成分を含んだ気流が飲食物等に直接かかることがあり、改善の余地があった。
【0008】
さらに、排気口104、104がチャンバ101の内部と外部とを貫通している貫通孔として設けられており且つその前方には何も設けられておらず、開放された状態となっているので、装置内部のファン102や薬剤保持体等が使用者により外部から直接視認されやすく、装飾性を損ねてしまう場合があった。また、薬剤保持体に触れることもでき、好ましくない。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観面で良好であると共に気流の放出をその放出方向に向かって放射状に拡散することができ、装飾性及び拡散性の向上を同時に図ることができる気流拡散装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)薬剤を保持した薬剤保持体と、前記薬剤保持体に気流を当てて前記薬剤に含まれる有効成分を含んだ気流を発生させるファンと、前記薬剤保持体及び前記ファンを収納する気流拡散装置本体と、を備える気流拡散装置であって、
前記気流拡散装置本体の正面には排気口が設けられると共に前記気流拡散装置本体の当該正面とは異なる他方の面には吸気口が設けられ、そして
前記排気口の前方には、前記排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板が、前記排気口を覆うように近傍配置されて設けられる
ことを特徴とする気流拡散装置。
(2) 前記ファンが、前記排気口と前記吸気口とを接続する、前記気流が流通するための経路の途中に配設されており、
前記薬剤保持体が、前記ファンの後方側に配置される
ことを特徴とする上記(1)の気流拡散装置。
(3) 前記薬剤保持体に代えて、前記気流を清浄化するためのフィルタを前記気流拡散装置本体に収納する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の気流拡散装置。
【0011】
上記(1)の構成によれば、排気口が気流拡散装置本体の正面に配置されるとともに吸気口が気流拡散装置本体のこの正面とは異なる他方の面に配置されており、排気口の前方には排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板が排気口を覆うように近傍配置されて設けられる。これにより、ファンの駆動により発生する負圧により吸気口から吸引された気流が、薬剤保持体に当てられ、その結果、薬剤を含んだ気流が排気口から放出されることになるが、このとき、排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板の存在により、ファンからの気流が略直線的に流れずにその放出方向に向かって放射状に拡散され、この結果、排気口の前方で広範囲にわたって薬剤を含んだ気流を漂わせることができるので、装置の拡散性の向上を図ることができる。また、遮蔽板が排気口の前方に設けられているため、排気口から内部の構造物が見えることがなく、外観性を損ねることがない。加えて、その遮蔽板の存在により、排気口の近傍に配置される異物(例えばファンの羽や電線等)との接触を抑制することができて、例えば幼児等が誤って指等を差し込むことがないので安全性を向上させることができる。
上記(2)の構成によれば、ファンの後方側に薬剤保持体が配置されているので、気流拡散装置本体の後方側の正面から見えない側に薬剤保持体を配設することができ、装飾性を向上させることができる。加えて、薬剤保持体を定期的に交換する場合等、薬剤保持体着脱用のカバー等の蓋部を設ける必要があるが、遮蔽板が設けられる前方にこの蓋部を設けた場合と比べて、この蓋部を複雑な構造とせずに、簡単な構造とすることができて取扱性を向上させることができる。
上記(3)の構成によれば、ファンの駆動により発生する負圧により吸気口から吸引された気流が、フィルタを通じて清浄化され、清浄化された気流が排出口から放出されることにより、気流拡散装置を気流清浄装置として機能させることもできる。より具体的には、気流に含まれる粉塵や悪臭を濾過・除去する清浄機能等が挙げられる。
【0012】
ここで、前述した薬剤保持体に保持(含浸、練り込み、塗布等)させる薬剤、そして薬剤を保持するための担体の例について説明する。
【0013】
薬剤としては、以下の物を例示することができる。
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名メトフルトリン]
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名プロフルトリン]
・2,3,5,6−テトラフルオロベンジル(+)1R−トランス−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)−シクロプロパンカルボキシレート[一般名トランスフルトリン]
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル dl−シス/トランス−3−(2,2−シグロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d1−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名テラレスリン]
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名エムペンスリン]
・5−プロパギル−2−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名フラメトリン]
・(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート[一般名フタルスリン]
・5−プロパギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名テフラメトリン]
・2,4−ジメチルベンジル dl−シス/トランス−2,2−ジメチル−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート[一般名ジメトリン]
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート[一般名アレスリン]
・(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル(+)−シス/トランス−クリサンテマート[一般名プラレトリン]
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名アレスリン]
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート[商品名バイオアレスリン]
・d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート[商品名エキスリン]
・(5−ベンジル−3−フリル)メチル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名レストメリン]
・3−フェノキシベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名ペルメトリン]
・3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名フェノトリン]
・α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート[一般名フェンバレレート]
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名テフルスリン]
・(±)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (+)−シス/トランス−クリサンテマート[一般名シフェノトリン]
・α−シアノ−3−フェノキシベンジル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名フェンプロパトリン]
・2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−dl−シス/トランス 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名フェンフルスリン]
等のピレスロイド系化合物が挙げられる。
【0014】
これらの化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用される。また、これらの化合物には、光学異性体および立体異性体が存在するが、本発明においてはこれらの有効な各異性体、さらに類緑化合物やその誘導体を単独または混合して使用することもできる。
【0015】
本発明に係る薬剤には、前述の薬剤の他に、例えば、ジメチルフタレート、2,3,4,5−ビス−(Δ2−ブチレン)−テトラヒドロフラン、2,3,4,5−ビス−(Δ2−ブチレン)−テトラヒドロフルフリルアルコール、N,N−ジメチル−m−トルアミド、カプリン酸ジエチルアミド、2,3,4,5−ビス−(Δ2−ブチレン)−テトラヒドロフルフラン、ジ−m−プロピル−イソシンコロネート、第2級ブチルスチリルケトン、ノニルスチリルケトン、N−プロピルアセトアニリド、2−エチル−1,3−ヘキサジオール、p−メチルジエチルベンゾアミド、ジブチルフタレート、テトラヒドロチオフェン、β−ナフトール、ジアリルジスルフィド、テトラメチルチウラムジサルファイド、グアニジン、タフタレンクレゾール、シクロヘキシミド、シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルスルフェニルジチオカーバメイト、O,O−ジメチル−S−2−イソプロピルチオエチルジチオホスフェート、r−クロラーゼ、4−(メチルチオ)−3,5−キシリル−N−メチルカーバメイト、アニス油、シソ油、ヒバ油、ユーカリプトール、ゲラニオール、シトロネラール、チモール、イソオイゲノール、α−ピネン等が挙げられる。
【0016】
さらに、本発明に係る薬剤には、各種の添加剤、例えば、効力増強剤、消臭剤および防臭剤、殺菌剤、香料等を用いてもよい。前述の効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキサイド、N−プロピルイソゾーム、MGK−264、サイネピリン222,リーセン384、IBTA、IBTE、S−421等を、消臭剤および防臭剤としては、例えば、ラウリル酸メタクリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチル酸アセフェート、パラメチルアセトフェノンベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、アミルシンナミックアルデヒド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、ネオリン、サフロール、セダウッド油、セダ菜油、シトロネラ油、ラバンテン油、ペティグレイン油、レモングラス油、緑茶エキス、茶抽出物、ポリフェノール等を、殺菌剤としては、例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ハイドロキシジフェニルエーテル、2,3,5,6−テトラクロロ−4(メチルスルフォニル)ピリジン、アルキルベンジル ジメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチル{2−〔2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ〕エチル}アンモニウムクロライド、4−イソプロピルトロポロン、N,N−ジメチル−N−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフォンアミド、2−(4’−チアゾリル)ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタールイミド、6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキシン、エチレンビス(ジチオカルバミド酸)亜鉛、エチレンビス(ジチオカルバミド酸)マンガン、亜鉛、マンネブ錯化合物、ビス(ジメチルジチオカルバミド酸)エチレンビス(ジチオカルバミド酸)二亜鉛、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィルド、クロトン酸、2,6−ジニトロ−4−オクチルフェニル反応異性体混合物、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、2,3−ジシアノ−1,4−ジチアアントラキノン、2,4−ジクロロ−6−(o−クロロアニリノ)−S−トリアジノン、S−n−ブチル S’−p−ter−ブチルベンジル N−3−ピリジルジチオカルボンイミデート、N−(3’,5’−ジクロロフェニル)−1,2−ジメチルクロロプロパン、ジカルボキシイミド、ビス(クロロフェニル)トリクロロエタノール、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカ−ボネート、テトラクロロイソフタロニトリル、メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメイト、ストレプトマイシン塩酸塩、カスガマイシン塩酸塩、シクロヘキシミド等を挙げることができる。
【0017】
香料としては、例えば、動物性香料、植物性香料、合成または抽出成分からなる人工香料等があり、動物性香料としては、例えば、じゃ香、霊猫香、竜延香等を、植物性香料としては、例えば、アビエス油、アジョクン油、アーモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、べルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウェー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シナモン油、シトロネラ油、コンニャク油、コリアンダー油、キュベパ油、クミン油、ジル油、樟脳、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ポップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロページ油、メース油、ナツメグ油、アンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、ハッカ油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレビン油、ウォームウッド油、バニラ豆エキストラクト、ローズマリー油等が挙げられる。
【0018】
また人工香料としては、例えば、ピネン、リモネン等の炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール類、アネトール、オイゲノール等のフェノール類、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロビン、ワニリン等のアルデヒド類、メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、メントン、樟脳、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、イオノン等のケトン類、アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトンまたはオキシド類、メチルフォーメート、イソプロピルフォーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸グラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ペラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サリチル酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルピルベート、エチルα−ブチルブチレート等のエステル類が挙げられる。
【0019】
また香料とともにバッチユリ油等の保留剤、オイゲノール等の変調剤、その他の香料分野で使用されている種々の成分を併用してもよい。さらに有効成分や各種の添加剤の安定性を改善するために、例えば、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−4−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノール),4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)〕メタン、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン、2−t−ブチル−4−メトキシフェニール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール,ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸等を含有させることができる。
【0020】
そして、前述したような薬剤が保持される担体としては、薄型で前述の化合物の揮散を妨げない構造のものを使用するのがよい。このような担体は、その容積が小さくても揮散性に優れるので、ピレスロイド系化合物等が効率よく揮散し、その結果、優れた害虫防除効果および揮散効果を発揮すると共に、これらの効果を維持することができる。
【0021】
このような担体としては、例えば、紙、糸(撚り糸等)、不織布、木材、パルプ、無機高分子物質、無機多孔質物質(ケイ酸塩、シリカ、ゼオライト等)、有機高分子物質(セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等)、昇華性物質(アダマンタン、シクロドデカン、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳等)、樹脂類などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することができる。また、自重の数倍以上を保持できる担体、例えば、高吸液性ポリマー、綿、海綿体、連続気泡の発泡体などを用い、より小型化をしてもよい。さらに、紙等を使用する場合には、多数の連続的な空隙を有した、例えば、ハニカム構造、ネット構造等の担体とするのが好ましい。
また、通気性を有する不織布等の布帛を担体として用いることもできる。
また、担体として前述の薬剤が含浸された複数の粒状体(パルプ粒、シリカ等の多孔体等)を用意し、この複数の粒状体を、通気性を有したケース内に収納して薬剤保持体として構成することもできる。さらに、例えば、前述の複数の粒状体又は不織布等のシート状の担体を、ファン(シロッコファン等)内部又は外部に収納又は直接連結させて、ファンの回転と共に担体が協動するように構成することもできる。
【0022】
担体に前述したような薬剤(化合物)を保持させる方法として、例えば、滴下塗布、浸漬塗布、スプレー塗布、含浸、担体への練り込み等の方法が挙げられる。薬剤の保持量は、害虫の防除に有効な量を持続的に放出できる量であり、具体的には担体の単位面積当りの薬剤量が0.1〜10mg/cm2程度になる量である。
【0023】
なお、担体に薬剤を保持させる際には、薬剤を有機溶剤などの溶剤に溶解させるのが、効率よく担体に保持させる上で好ましい。このような溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ケロシン、パラフィン、石油ベンジン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0024】
本発明の気流拡散装置10は、例えば、シナハマダラカ、アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ、トウゴウヤブカ等の蚊;サシバエ等のハエ;シクロアブ、ウシアブ、メクラアブ、ゴマフアブ等のアブ;クロオオブユ、キアシオオブユ、アオキツメトゲブユ等のブユ;トクナガクロズカカ、オオシマヌカカ、ニワトリヌカカ等のヌカカ;キイロスズメバチ、セグロアシナガバチ、ミツバチ等のハチ;ハネアリ等のアリ、ショウジョウバエ等のコバエ等の害虫を防除するのに用いることができる。
【0025】
そして、前述した薬剤保持体(担体)に代えて、例えば、気流に含まれる粉塵や悪臭を濾過・除去する等、気流を清浄化するためのフィルタを用いる場合には、そのフィルタとして、前述した担体に、炭(例えば、備長炭等)、ゼオライト、カテキン、ポリフェノール、銀イオン、光触媒(例えば、微細酸化チタン等)、各種植物抽出物(例えば、イチョウ葉エキス、ユズエキス、グレープフルーツエキス、ブドウエキス、茶エキス、カキエキス等)等を含浸させて構成する。また、この場合に、前述の香料、精油等を合わせて用いると周囲雰囲気中の環境改善を行うことができてよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、外観面で良好であると共に気流の放出をその放出方向に向かって放射状に拡散することができ、装飾性及び拡散性の向上を同時に図ることができる気流拡散装置を提供することができる。また、本発明によれば、装置内部に異物が混入することを防ぐことができ、更に薬剤保持体に触れるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る好適な複数の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第1実施形態)
まず、本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1〜図4は本発明に係る気流拡散装置の第1実施形態を示すもので、図1は本発明の第1実施形態に係る気流拡散装置の遮蔽板を取り外した斜め前方から視た外観斜視図であり、図2は図1の気流拡散装置の斜め後方から視た外観斜視図であり、図3は図1の気流拡散装置の前面ケースを取り外した正面図であり、図4は図1の気流拡散装置のI−I線断面図である。
なお、今回開示される実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前述した意味に限定されるべきではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
図1に示すように、気流拡散装置10は、前面ケース12と後面ケース13とからなる気流拡散装置本体11と、ファン(図3参照)14と、薬剤を保持するための薬剤保持体(図4参照)15と、を備えて構成される。
【0030】
前面ケース12は、成形がし易い、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料を用いてドーム形状に形成されており、前面の中央部に円形の排出口16を有する。そして、この排出口16の前方には、遮蔽板17が取り付けられ、この排気口16を覆うように近傍配置している。
【0031】
また、前面ケース12は、豚の前方半分のデザインを表現するために、遮蔽板17に施された一対の鼻意匠部18と、排出口16の上方に施された一対の目意匠部19と、目意匠部19の上側において上方に向けて突出した一対の耳意匠部20と、排出口16の下側において下方に向けて突出した一対の前足意匠部21、21と、を有し、この前足意匠部21、21の間に一対のインジケータランプ孔22を有する。
【0032】
図2に示すように、後面ケース13は、前面ケース12と同様にして、成形がし易い、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料を用いて、前面ケース12に略対称のドーム形状に形成されており、後面の側部に円弧形状をなす4個の吸気口23を円周方向に等間隔に有する。
【0033】
また、後面ケース13は、豚の後方半分のデザインを表現するために、中央部に施された尻尾意匠部24と、下端部において下方に向けて突出した一対の後足意匠部25、25と、を有し、前面ケース12と後面ケース13とを合体(閉塞)させるときに使用される可撓係止片26を吸気口23の下側に有する。
【0034】
気流拡散装置本体11は、前面ケース12と後面ケース13とが閉塞されることで、前足意匠部21と後足意匠部25とが4本の足を構成することになるので、床やテーブル等の所定の設置場所で安定的に直立されることになる。
【0035】
次に、図3、図4を参照して、気流拡散装置10の内部構造について詳細に説明する。
【0036】
図3に示すように、気流拡散装置本体11には、前面ケース12と後面ケース13との間に隔壁27が組み付けられており、この隔壁27に、風洞部28と、ファン固定部29と、一対の電池ケース30と、基板固定部31と、が形成されている。
【0037】
隔壁27は、前面ケース12および後面ケース13と同様にして、成形がし易い、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料を用いて前面ケース12および後面ケース13の外形に倣うように円板形状に形成されており、外周側に配置された4個のねじ孔32に不図示のねじがねじ込まれることで、前面ケース12に固定されている。
【0038】
ファン14は、直流ブラシモータ33と、旋回翼34と、からなり、直流ブラシモータ33のモータ回転軸35に旋回翼34が同芯に固定されている。
なお、本実施形態では、旋回翼34は、直径が、例えば、59mmで11枚羽根とされるが、これに限らず種々のものを採用することができる。
【0039】
風洞部28は、隔壁27の中央部に円筒形状に形成されており、後面ケース13の吸気口23から導入された気流を前面ケース12の排気口16に流通させるための開口として機能することになる。
【0040】
ファン固定部29は、風洞部28の中央に円筒形状に配置されたモータ装着部36と、風洞部28の内周の4箇所からモータ送着部36に向けて延出された4個の支持アーム37と、を有して構成される。
このとき、ファン固定部29のモータ装着部36に直流ブラシモータ33が装着され、これにより、ファン14が排気口16と吸気口23とを接続する、気流が流通するための経路の途中に配設されることになる。また、直流ブラシモータ33のリード線38は、4個の支持アーム37のうちの一つに形成されているリード線収納溝39に収納されるので、旋回翼34の表面側に隠れて配置されて、風洞部28の内周側に向かってに露出することがない。このため、リード線38ファン14により発生した気流に直接当たることがなく、気流に含まれる薬剤の影響を受けることがない。
【0041】
電池ケース30は、隔壁27の両側部にそれぞれ配置されており、単三型の電池40がそれぞれ収納されている。このため、電池40は、両側部に配置されることで、気流拡散装置10を安定的に設置するための錘の機能を果たすことになる。
【0042】
基板固定部31には、不図示のスイッチや、同じく不図示の制御回路等を実装した基板41が固定されており、その下端部にスイッチに操作部42が取り付けられている。また、基板41には、前面ケース12のインジケータランプ孔22,22に挿入されるLED等の発光素子であるインジケータランプ43、44が実装されている。
【0043】
図4に示すように、遮蔽板17は、前面ケース12における排気口16の内側に位置するように設けられている遮蔽板固定部45に固定されており、その外径寸法L1が、排気口16の内径寸法L2よりも大きい。
なお、このとき、遮蔽板17とファン14の旋回翼34とは、10mm程度の、例えば7〜12mmの離間距離L3にて近傍配置されている。
【0044】
薬剤保持体15は、ファン14の背面側(後方側)であって隔壁27に設けられる薬剤保持体取付部46に取り付けられており、四角形の枠体47内に担体48が収納され得るように構成されている。担体48は、例えば、外形が60×60×10mmであり、そのセルサイズが2.1mm、紙坪量が50g/m2のものが適用され、ハニカム構造にて形成されている。その具体的構成としては、例えば、特開2002−209500号公報等を挙げることができる。
なお、薬剤保持体15は、気流拡散装置10を芳香装置として機能させる場合には、前述した香料等を保持するように構成されていてもよい。
【0045】
後面ケース13の上端部には、前面ケース12の上端部に有する係合部49に係止される係止突部50が形成されており、前面ケース12の下端部には、後面ケース13の可撓係止片26が係止される係合部51が形成されている。このため、前面ケース12の係合部49に後面ケース13の係止突部50を係止させてから、後面ケース13を前面ケース12に合体させ、後面ケース13の可撓係止片26を前面ケース12の係合部51に係止させることで、後面ケース13が前面ケース12に閉塞されることになる。
【0046】
このような気流拡散装置10は、床やテーブル等の設置場所に直立され、操作部42をオンに切換えすることで、直流ブラシモータ33が駆動され、ファン14の旋回翼34が回転を始めることで負圧を発生し、吸気口23から気流を導入する。そして、導入された気流が、薬剤保持体15の担体48内を通過して薬剤を含んで風洞部28内を通過し、排気口16から遮蔽板17に当たる。これにより、ファン14からの気流が直線的に流れずに遮蔽板16によってその放出方向に向かって放射状に拡散され、部屋等の空間に、拡散性を有して排気口16前方で放射状に拡散した状態で前述の薬剤を含んだ気流を漂わせることになる。
【0047】
また、薬剤として芳香剤を適用した場合、吸気口23から導入された気流が、薬剤保持体15の担体48内を通過して芳香剤成分を含んで風洞部28内を通過し、排気口16から遮蔽板17にあたってその放出方向に向かって放射状に拡散され、部屋等の空間に、放射状に拡散した状態で芳香剤を含んだ気流を漂わせることになる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、排気口16が気流拡散装置本体11の正面に配置されるとともに、吸気口23が気流拡散装置本体11の背面に配置されており、排気口16の前方に、排気口16の内径(外形)よりも大きい外径(外形)を有する遮蔽板17が排気口16を覆うように近傍配置されて設けられる。これにより、ファン14の駆動により発生する負圧により吸気口23から吸引された気流が、薬剤保持体15に当てられ、その結果、薬剤を含んだ気流が排気口16から放出されることになるが、このとき、排気口16の外形よりも大きい外形を有する遮蔽板17の存在により、ファン14からの気流が略直線的に流れずにその放出方向に向かって放射状に拡散され、この結果、排気口16の前方で広範囲にわたって薬剤を含んだ気流を漂わせることができるので、装置の拡散性向上を図ることができる。また、遮蔽板17が排気口の前方に設けられているため、排気口16から内部の構造物(例えば、ファン固定部29、ファン14、リード線38等)が見えることがなく、外観性を損ねることがない。加えて、その遮蔽板17の存在により、排気口16の近傍に配置される異物(例えばファン14、リード線38等)との接触を抑制することができて、例えば幼児等が誤って指等を差し込むことがないので安全性を向上させることができる。
なお、遮蔽板17を排気口16の内径と略同一になるように設けても、本発明の目的を達成できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ファン14の背面側に薬剤保持体15が配置されているので、気流拡散装置本体11の背面側の正面から見えない側に薬剤保持体15を配設することができ、装飾性を向上させることができる。加えて、薬剤保持体15を定期的に交換する場合には後面ケース13を前面ケース12から取り出す作業を行うが、遮蔽板17が設けられる前方、即ち前面ケース12を設けた場合と比べて、気流拡散装置10を複雑な構造とせずに、簡単な構造とすることができて取扱性を向上させることができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、本発明に係る気流拡散装置の第2実施形態について説明する。
図5は本発明の第2実施形態に係る気流拡散装置の分解斜視図である。
なお、以下の第2実施形態において、前述した第1実施形態と共通する構成部分の説明は同一符号または相当符号を付すことで簡略化あるいは省略する。
【0051】
図5に示すように、本実施形態に係る気流拡散装置60は、前面ケース12と後面ケース13とからなる気流拡散装置本体11を有し、そして、この後面ケース13には、横スリット形状の複数の吸気口23を有する後面カバー61が着脱自在に取り付けられており、後面ケース13が隔壁の構造を有した構成になっている。また、気流拡散装置60は、ファン14が気流拡散装置本体11の左方寄りに配置されており、操作部42およびインジケータランプ43,44が前面ケース12の上部に配置されている。
【0052】
後面カバー61は、後面ケース13よりも小さい外形の板形状に形成されており、3個の係止突部62と一つの可撓係止片63とを有し、背面側の下部にスタンド64を有する。3個の係止突部62と一つの可撓係止片63とは、後面ケース13の背面側に形成された不図示の係合部に係止されることで、後面カバー61が後面ケース13に取り付けられる。また、スタンド64は、後面カバー61に展開自在に組み付けられているために、用時に、回動させて引き出すことで、気流拡散装置60を起立させることができる。
また、本実施形態では、薬剤保持体15に代えて、気流に含まれる粉塵等を濾過・除去して気流を清浄化するためのフィルタ68を有したカートリッジ65が取り付けられる。
また、このフィルタ68は、外形が60×60×10mmであり、そのセルサイズが2.1mm、紙坪量が50g/m2のものが適用され、ハニカム構造にて形成されている。
なお、本実施形態では、気流に含まれる粉塵等を濾過・除去するフィルタ68を用いたが、これに代えて、気流に含まれる悪臭を除去するフィルタを用いてもよく、また、その両方の機能を兼ね備えたフィルタとしてもよい。
【0053】
第2実施形態の気流拡散装置60は第1実施形態と同様の作用効果を奏するために、それらの説明は省略されるが、特に、本実施形態の場合には薬剤保持体15に代えてフィルタ68を有したカートリッジ65が適用されており、このため本実施形態の気流拡散装置60は空気清浄装置として機能することになる。即ち、本実施形態に係る気流拡散装置60によれば、ファン14の駆動により発生する負圧により吸気口23から導入された空気が、フィルタ68を通過して清浄化されて風洞部28内を通過し、排気口16から遮蔽板17にあたってその放出方向に向かって放射状に拡散され、トイレ等の小空間、卓上、部屋、タンス、車内、テント等の空間に、この所定空間の広範囲にわたって清浄化された気流を漂わせることになる。
なお、本実施形態においても、遮蔽板17を排気口16の内径と略同一になるように設けても、本発明の目的を達成できる。
【0054】
次に、フィルタの変形例について説明する。
フィルタは、前記ハニカム構造に、例えば、微細酸化チタン等の光触媒、イチョウ葉エキス,緑茶カテキン等のポリフェノール、フラボノイド等の天然消臭成分等を、混合、含浸等して保持させたものを用いることができる。また、前記ハニカム構造に、別のフィルタを積層したものとしてもよく、別のフィルタとしては、例えば、ハニカム構造、ネット構造、シート状構造、不織布構造、積層構造等を採用することができる。さらにハニカム構造としては、斜交ハニカム構造とすることもでき、これにより気流拡散装置内に備えられたファンによって発生させた気流の通過方向に対してセルの壁面が斜めに交わった構造となるので、気流とセルの壁面との接触量を増やすことができる。その結果として、粉塵や悪臭等の吸着量を増やしたり、薬剤からの有効成分の揮散量を増やすことができる。
【0055】
(第3実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、本発明に係る気流拡散装置の第3実施形態について説明する。
図6は本発明の第3実施形態に係る気流拡散装置の正面側から見た斜視図、図7は背面側から見た分解斜視図である。
なお、以下の第3実施形態において、前述した第1実施形態及び第2実施形態と共通する構成部分の説明は同一符号または相当符号を付すことで簡略化あるいは省略する。
気流拡散装置70の本体11の後面側には、保持部材71により薬剤保持体15が保持された状態で後面ケース13が装着され、本体11の前面側には前面ケース12が装着されている。後面ケース13には吸気口23が形成されている。また、本体11にはファン14が設けられ、本体11の下部にはファン11を駆動するための電池が収容され、電池は底部カバー72により覆われている。
【0056】
前面ケース12は、複数の排気口16が形成されるとともに、ファン14及び薬剤保持体15の略正面に位置する部分(前面ケース12の略中央部分)に遮蔽板17が装着されている。
本実施形態によれば、薬剤を含んだ気流が排気口16から放出されることになるが、このとき、遮蔽板17の存在により、ファン14からの気流が略直線的に流れずに放射状に拡散される。この結果、排気口16の前方で広範囲にわたって薬剤を含んだ気流を漂わせることができるので、装置の拡散性向上を図ることができる。また、遮蔽板17が前面ケース12の略中央部分に設けられているため、正面から排気口16を通して内部の構造物が見えることがなく、外観性を損ねることがない。加えて、遮蔽板17の存在により、例えば幼児等が誤って指等を差し込むことがないので安全性を向上させることができる。
【実施例】
【0057】
次に、本発明に係る気流拡散装置の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
【0058】
実施例1
排気口16の前に配置される遮蔽板17と、ファン14との距離を4種類の異なる値に設定して、それらの風量を測定することで、遮蔽板17の特性を試験した。試験結果を表1に示す。
なお、気流拡散装置としては図1の装置10を用いた。即ち、旋回翼34の直径が59mmで11枚羽根であり、薬剤保持体15の担体48の外形が60×60×10mmであり、そのセルサイズが2.1mm、紙坪量が50g/m2のハニカム構造、そして、直流ブラシモータ33の印加電圧を3.0V、その回転数を約1100rpmとして設定して試験を行った。
また、その風量の測定については、略断面矩形状の筒体を、吸気口23全部を覆うように後方から当てて、この筒体の内部の中間部(気流拡散装置本体から約40cm)に風速測定端子を、2組高さを違えて設置し、そして、2分後、この2組の風速測定端子が示す数値を所定時間(15秒)間隔で5回確認して、その平均値を求め風量として示した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1により明らかなように、遮蔽板とファンとの離間距離が、17mm、22mmの比較例1,2では、離間距離が7mm、12mmの実施例1,2と比べて、風量がほぼ10%低下した。これにより、遮蔽板17とファン14とを、7mm〜12mmの離間距離L3に設定することにより、風量を損なうことがなく、適切な薬剤の拡散が得られることがわかった。
【0061】
実施例2
図1に示す構成の気流拡散装置を用いて、試験室に薬剤を揮散させて蚊に対する防除効果を検討した。
【0062】
本発明の実施例として図1に示す構成の気流拡散装置(実施例1と同じもの)を用い、比較例としてアース製薬株式会社製「電池でノーマット90日用セット」を用いた。なお薬剤保持体としては、実施例及び比較例は同一のものを用いた。この薬剤保持体は、トランスフルトリン500mgと流動パラフィン600mgの混合液1100mgを、60mm×60mm×10mmのハニカム構造のパルプ製担体に含浸させて保持させたものである。
【0063】
試験室は、10畳居室(4.5m×3.6m、高さ2.4m)を湿度60〜80%RH、温度27±2℃に調節した。そして図8に示したように、各ケージにアカイエカの雌成虫17頭を入れて、壁面から水平距離90cmの位置、床から高さ75cm及び150cmの位置に、それぞれ対角線上に吊るした。ここで試験室の中心から各ケージまでの水平距離は約1.4mである。そして試験室の中央に本発明の実施例の気流拡散装置を置いて薬剤を拡散させた。なお実施例及び比較例の気流拡散装置は、排気口が設けられた正面を所定の壁面(図8中、A)を向くように置いた。
【0064】
気流拡散装置を作動させて、試験開始から10分毎に各ケージ内でのアカイエカのノックダウン数を計数し、KT50(50%ノックダウン時間(分))、KT90(90%ノックダウン時間(分))を算出した。
計数は2時間継続して行い、その後、各ケージを試験室の外に出し、アカイエカを清潔なカップに移して温度27±2℃条件下に放置し、24時間後の致死率を算出した。
結果は表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示したとおり、75cmの高さにおけるKT50は、略同等の効力を示したが、150cmの高さでは、本発明の実施例の方がKT50は速く、有効成分の拡散に優れていることが明らかとなった。またKT90においても同様の傾向が示された。
これらの結果から、本発明の実施例と比較例とでは、ファンにより発生される風量、薬剤保持体からの有効成分の揮散量に差はないが、排気口の前方に所定の遮蔽板を近傍配置した本発明の実施例の方が、その構造により、遠方への有効成分の拡散性に優れることが明らかとなった。
【0067】
実施例3
図5に示す構成の気流拡散装置を用いて、気流の清浄効果(粉塵の除去効果)について検討した。
【0068】
図9に示したように、アクリル製容器(30cm×30cm×30cm)を2つ組み合わせ、図5に示す構成の実施例の気流拡散装置を、その正面が容器Bに向くように容器AとBの間にアクリル板により空気の移動がないように密に設置した。そして気流拡散装置を作動させて、容器Aから容器Bに向かって気流が発生するようにし、気流拡散装置の吸気口側に当たる容器Aに粉塵をシリンジで0.2g噴霧して充満させた。
気流拡散装置を30分間にわたり作動させ、容器Bのサンプリング口から光散乱式デジタル粉塵計MODEL3431(日本カノマックス製)を用いて粉塵濃度を経時的に測定した。
測定対象とした粉塵・・・φ4〜5μmの無水ケイ酸
試験に用いたフィルタ・・・(1) 混合型フィルタEM01(三菱製紙製)
(2) 分離型フィルタECC04/45S−TGY
(三菱製紙製)
【0069】
図10に示した結果のとおり、本発明の気流拡散装置は、φ4〜5μmの粉塵に対して充分な清浄効果が得られることが明らかとなった。特にフィルタ(2)において清浄効果が優れていた。
【0070】
実施例4
図5に示す構成の気流拡散装置を用いて、気流の清浄効果(タバコ臭の除去効果)について検討した。
アクリル製容器(30cm×30cm×30cm)内に図5に示す構成の気流拡散装置を設置し、タバコ0.5本又は1本を燃焼させた後、容器内のタバコ臭(アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸)の気中濃度(ppm)を検知管式ガス測定器(GASTEC製)で測定した。その後、気流拡散装置を30分間作動させてから同様にしてタバコ臭を測定し、これらの値からタバコ臭の除去率を算出した。
試験に用いたフィルタ・・・(1) アクアラジット&アレルスイープ混合ハニカム(5
号段)(三菱製紙製)
結果は表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】
表3に示したとおり、本発明の気流拡散装置は、タバコ臭の原因であるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸をフィルタにより充分に除去することがわかった。
【0073】
以上のことから、本実施例によれば、小空間でのタバコの脱臭性能があり、1日6時間使用で約1ヶ月間効果が持続することが分かる。
【0074】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、前述した実施形態では、遮蔽版が排気口の外形よりも大きい外形であるとして説明したが、略同じ大きさに設定したとしても、本発明の目的を達成できる。
また、前述した実施形態では、吸気口を背面に設けたが、これに限定されず例えば周面に設けてもよい。
さらに、前述した実施形態では、気流拡散装置の意匠がアニメ的な豚を表現するように構成したが、この意匠としては、アニメ的な豚に限らず、他の動物、植物、魚、昆虫、キャラクター等、適宜様々な意匠を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1実施形態に係る気流拡散装置の遮蔽板を取り外した斜め前方から視た外観斜視図である。
【図2】図1の気流拡散装置の斜め後方から視た外観斜視図である。
【図3】図1の気流拡散装置の前面ケースを取り外した正面図である。
【図4】図1の気流拡散装置のI−I線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る気流拡散装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る気流拡散装置の外観斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る気流拡散装置の分解斜視図である。
【図8】本発明実施例により殺虫試験を行った試験室の構成図である。
【図9】本発明実施例により集塵性能試験を行った器具の構成図である。
【図10】集塵性能試験の結果を表すグラフである。
【図11】従来の装置の外観図である。
【符号の説明】
【0076】
10 気流拡散装置
11 気流拡散装置本体
14 ファン
15 薬剤保持体
16 排気口
17 遮蔽板
23 吸気口
48 担体
60 気流拡散装置
68 フィルタ
70 気流拡散装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を保持した薬剤保持体、又は気流を清浄化するためのフィルタを収納して、ファンにより気流を発生させ、薬剤の有効成分を雰囲気中に拡散ささせたり、又は気流を清浄化したりする気流拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤に含まれる有効成分を雰囲気中に拡散させる装置としては、図11に示すように、チャンバ101内に収納されると共に薬剤を保持した薬剤保持体105に、チャンバ101内に収納されたファン102を用いて気流を当ててその薬剤に含まれる有効成分をチャンバ101外(雰囲気中)に拡散させる装置100が知られている(例えば、特許文献1参照)。
なお、この特許文献1の発明は、本出願人により出願されたものである。
【0003】
この特許文献1に記載された装置100においては、ファン102は、チャンバ101に設けられた吸気口103、103と排気口104、104を結んだ、気流が通過する経路の途中位置に設けられており、このとき、薬剤保持体105はファン102とその排気口104、104との間に位置し、また、この装置100では、発生した気流をチャンバ101外の所定の方向に向けて略直線状に放出するため、排気口104、104前方は何も設けられておらず、開放された状態となっている。
なお、以下、「発生した気流を所定の方向に向けて略直線状に放出する性質」を「指向性」として説明し、またこの「指向性」に対し「発生した気流を所定の箇所で放出した際に、その放出する方向に向かって放射状に拡散する性質」を「拡散性」として説明し、勿論この「指向性」と「拡散性」はトレードオフの関係にある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−187799号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、この種の装置の開発及び市場販売が活発化しており、これに伴って、消費者から種々の要望が高まってきている。例えば、気流の発生の仕方、装飾性等が挙げられる。
【0006】
特許文献1に記載されたような装置では、排出される気流は、主に指向性を有するものであることから、前述した消費者の要望等を考慮すると、以下のような点について改善の余地があると思われる。
【0007】
特許文献1に記載されたような装置では、ファン102により発生した気流が排気口104、104の前方に向かって略直線的に放出されるため、人体の近傍に設置した場合に、ファン102からの気流が人体に直接当たることがある。また、キャンプ等の野外で使用した場合、有効成分を含んだ気流が飲食物等に直接かかることがあり、改善の余地があった。
【0008】
さらに、排気口104、104がチャンバ101の内部と外部とを貫通している貫通孔として設けられており且つその前方には何も設けられておらず、開放された状態となっているので、装置内部のファン102や薬剤保持体等が使用者により外部から直接視認されやすく、装飾性を損ねてしまう場合があった。また、薬剤保持体に触れることもでき、好ましくない。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観面で良好であると共に気流の放出をその放出方向に向かって放射状に拡散することができ、装飾性及び拡散性の向上を同時に図ることができる気流拡散装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)薬剤を保持した薬剤保持体と、前記薬剤保持体に気流を当てて前記薬剤に含まれる有効成分を含んだ気流を発生させるファンと、前記薬剤保持体及び前記ファンを収納する気流拡散装置本体と、を備える気流拡散装置であって、
前記気流拡散装置本体の正面には排気口が設けられると共に前記気流拡散装置本体の当該正面とは異なる他方の面には吸気口が設けられ、そして
前記排気口の前方には、前記排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板が、前記排気口を覆うように近傍配置されて設けられる
ことを特徴とする気流拡散装置。
(2) 前記ファンが、前記排気口と前記吸気口とを接続する、前記気流が流通するための経路の途中に配設されており、
前記薬剤保持体が、前記ファンの後方側に配置される
ことを特徴とする上記(1)の気流拡散装置。
(3) 前記薬剤保持体に代えて、前記気流を清浄化するためのフィルタを前記気流拡散装置本体に収納する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の気流拡散装置。
【0011】
上記(1)の構成によれば、排気口が気流拡散装置本体の正面に配置されるとともに吸気口が気流拡散装置本体のこの正面とは異なる他方の面に配置されており、排気口の前方には排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板が排気口を覆うように近傍配置されて設けられる。これにより、ファンの駆動により発生する負圧により吸気口から吸引された気流が、薬剤保持体に当てられ、その結果、薬剤を含んだ気流が排気口から放出されることになるが、このとき、排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板の存在により、ファンからの気流が略直線的に流れずにその放出方向に向かって放射状に拡散され、この結果、排気口の前方で広範囲にわたって薬剤を含んだ気流を漂わせることができるので、装置の拡散性の向上を図ることができる。また、遮蔽板が排気口の前方に設けられているため、排気口から内部の構造物が見えることがなく、外観性を損ねることがない。加えて、その遮蔽板の存在により、排気口の近傍に配置される異物(例えばファンの羽や電線等)との接触を抑制することができて、例えば幼児等が誤って指等を差し込むことがないので安全性を向上させることができる。
上記(2)の構成によれば、ファンの後方側に薬剤保持体が配置されているので、気流拡散装置本体の後方側の正面から見えない側に薬剤保持体を配設することができ、装飾性を向上させることができる。加えて、薬剤保持体を定期的に交換する場合等、薬剤保持体着脱用のカバー等の蓋部を設ける必要があるが、遮蔽板が設けられる前方にこの蓋部を設けた場合と比べて、この蓋部を複雑な構造とせずに、簡単な構造とすることができて取扱性を向上させることができる。
上記(3)の構成によれば、ファンの駆動により発生する負圧により吸気口から吸引された気流が、フィルタを通じて清浄化され、清浄化された気流が排出口から放出されることにより、気流拡散装置を気流清浄装置として機能させることもできる。より具体的には、気流に含まれる粉塵や悪臭を濾過・除去する清浄機能等が挙げられる。
【0012】
ここで、前述した薬剤保持体に保持(含浸、練り込み、塗布等)させる薬剤、そして薬剤を保持するための担体の例について説明する。
【0013】
薬剤としては、以下の物を例示することができる。
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名メトフルトリン]
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名プロフルトリン]
・2,3,5,6−テトラフルオロベンジル(+)1R−トランス−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)−シクロプロパンカルボキシレート[一般名トランスフルトリン]
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル dl−シス/トランス−3−(2,2−シグロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d1−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名テラレスリン]
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名エムペンスリン]
・5−プロパギル−2−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名フラメトリン]
・(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート[一般名フタルスリン]
・5−プロパギル−2−フリルメチル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名テフラメトリン]
・2,4−ジメチルベンジル dl−シス/トランス−2,2−ジメチル−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート[一般名ジメトリン]
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート[一般名アレスリン]
・(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル(+)−シス/トランス−クリサンテマート[一般名プラレトリン]
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名アレスリン]
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート[商品名バイオアレスリン]
・d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート[商品名エキスリン]
・(5−ベンジル−3−フリル)メチル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名レストメリン]
・3−フェノキシベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名ペルメトリン]
・3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート[一般名フェノトリン]
・α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート[一般名フェンバレレート]
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名テフルスリン]
・(±)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (+)−シス/トランス−クリサンテマート[一般名シフェノトリン]
・α−シアノ−3−フェノキシベンジル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート[一般名フェンプロパトリン]
・2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−dl−シス/トランス 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート[一般名フェンフルスリン]
等のピレスロイド系化合物が挙げられる。
【0014】
これらの化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用される。また、これらの化合物には、光学異性体および立体異性体が存在するが、本発明においてはこれらの有効な各異性体、さらに類緑化合物やその誘導体を単独または混合して使用することもできる。
【0015】
本発明に係る薬剤には、前述の薬剤の他に、例えば、ジメチルフタレート、2,3,4,5−ビス−(Δ2−ブチレン)−テトラヒドロフラン、2,3,4,5−ビス−(Δ2−ブチレン)−テトラヒドロフルフリルアルコール、N,N−ジメチル−m−トルアミド、カプリン酸ジエチルアミド、2,3,4,5−ビス−(Δ2−ブチレン)−テトラヒドロフルフラン、ジ−m−プロピル−イソシンコロネート、第2級ブチルスチリルケトン、ノニルスチリルケトン、N−プロピルアセトアニリド、2−エチル−1,3−ヘキサジオール、p−メチルジエチルベンゾアミド、ジブチルフタレート、テトラヒドロチオフェン、β−ナフトール、ジアリルジスルフィド、テトラメチルチウラムジサルファイド、グアニジン、タフタレンクレゾール、シクロヘキシミド、シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルスルフェニルジチオカーバメイト、O,O−ジメチル−S−2−イソプロピルチオエチルジチオホスフェート、r−クロラーゼ、4−(メチルチオ)−3,5−キシリル−N−メチルカーバメイト、アニス油、シソ油、ヒバ油、ユーカリプトール、ゲラニオール、シトロネラール、チモール、イソオイゲノール、α−ピネン等が挙げられる。
【0016】
さらに、本発明に係る薬剤には、各種の添加剤、例えば、効力増強剤、消臭剤および防臭剤、殺菌剤、香料等を用いてもよい。前述の効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキサイド、N−プロピルイソゾーム、MGK−264、サイネピリン222,リーセン384、IBTA、IBTE、S−421等を、消臭剤および防臭剤としては、例えば、ラウリル酸メタクリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチル酸アセフェート、パラメチルアセトフェノンベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、アミルシンナミックアルデヒド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、ネオリン、サフロール、セダウッド油、セダ菜油、シトロネラ油、ラバンテン油、ペティグレイン油、レモングラス油、緑茶エキス、茶抽出物、ポリフェノール等を、殺菌剤としては、例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ハイドロキシジフェニルエーテル、2,3,5,6−テトラクロロ−4(メチルスルフォニル)ピリジン、アルキルベンジル ジメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチル{2−〔2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ〕エチル}アンモニウムクロライド、4−イソプロピルトロポロン、N,N−ジメチル−N−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフォンアミド、2−(4’−チアゾリル)ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタールイミド、6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキシン、エチレンビス(ジチオカルバミド酸)亜鉛、エチレンビス(ジチオカルバミド酸)マンガン、亜鉛、マンネブ錯化合物、ビス(ジメチルジチオカルバミド酸)エチレンビス(ジチオカルバミド酸)二亜鉛、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィルド、クロトン酸、2,6−ジニトロ−4−オクチルフェニル反応異性体混合物、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、2,3−ジシアノ−1,4−ジチアアントラキノン、2,4−ジクロロ−6−(o−クロロアニリノ)−S−トリアジノン、S−n−ブチル S’−p−ter−ブチルベンジル N−3−ピリジルジチオカルボンイミデート、N−(3’,5’−ジクロロフェニル)−1,2−ジメチルクロロプロパン、ジカルボキシイミド、ビス(クロロフェニル)トリクロロエタノール、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカ−ボネート、テトラクロロイソフタロニトリル、メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメイト、ストレプトマイシン塩酸塩、カスガマイシン塩酸塩、シクロヘキシミド等を挙げることができる。
【0017】
香料としては、例えば、動物性香料、植物性香料、合成または抽出成分からなる人工香料等があり、動物性香料としては、例えば、じゃ香、霊猫香、竜延香等を、植物性香料としては、例えば、アビエス油、アジョクン油、アーモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、べルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウェー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シナモン油、シトロネラ油、コンニャク油、コリアンダー油、キュベパ油、クミン油、ジル油、樟脳、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ポップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロページ油、メース油、ナツメグ油、アンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、ハッカ油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレビン油、ウォームウッド油、バニラ豆エキストラクト、ローズマリー油等が挙げられる。
【0018】
また人工香料としては、例えば、ピネン、リモネン等の炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール類、アネトール、オイゲノール等のフェノール類、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロビン、ワニリン等のアルデヒド類、メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、メントン、樟脳、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、イオノン等のケトン類、アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトンまたはオキシド類、メチルフォーメート、イソプロピルフォーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸グラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ペラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サリチル酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルピルベート、エチルα−ブチルブチレート等のエステル類が挙げられる。
【0019】
また香料とともにバッチユリ油等の保留剤、オイゲノール等の変調剤、その他の香料分野で使用されている種々の成分を併用してもよい。さらに有効成分や各種の添加剤の安定性を改善するために、例えば、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−4−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−エチルフェノール),4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)〕メタン、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン、2−t−ブチル−4−メトキシフェニール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール,ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸等を含有させることができる。
【0020】
そして、前述したような薬剤が保持される担体としては、薄型で前述の化合物の揮散を妨げない構造のものを使用するのがよい。このような担体は、その容積が小さくても揮散性に優れるので、ピレスロイド系化合物等が効率よく揮散し、その結果、優れた害虫防除効果および揮散効果を発揮すると共に、これらの効果を維持することができる。
【0021】
このような担体としては、例えば、紙、糸(撚り糸等)、不織布、木材、パルプ、無機高分子物質、無機多孔質物質(ケイ酸塩、シリカ、ゼオライト等)、有機高分子物質(セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等)、昇華性物質(アダマンタン、シクロドデカン、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳等)、樹脂類などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することができる。また、自重の数倍以上を保持できる担体、例えば、高吸液性ポリマー、綿、海綿体、連続気泡の発泡体などを用い、より小型化をしてもよい。さらに、紙等を使用する場合には、多数の連続的な空隙を有した、例えば、ハニカム構造、ネット構造等の担体とするのが好ましい。
また、通気性を有する不織布等の布帛を担体として用いることもできる。
また、担体として前述の薬剤が含浸された複数の粒状体(パルプ粒、シリカ等の多孔体等)を用意し、この複数の粒状体を、通気性を有したケース内に収納して薬剤保持体として構成することもできる。さらに、例えば、前述の複数の粒状体又は不織布等のシート状の担体を、ファン(シロッコファン等)内部又は外部に収納又は直接連結させて、ファンの回転と共に担体が協動するように構成することもできる。
【0022】
担体に前述したような薬剤(化合物)を保持させる方法として、例えば、滴下塗布、浸漬塗布、スプレー塗布、含浸、担体への練り込み等の方法が挙げられる。薬剤の保持量は、害虫の防除に有効な量を持続的に放出できる量であり、具体的には担体の単位面積当りの薬剤量が0.1〜10mg/cm2程度になる量である。
【0023】
なお、担体に薬剤を保持させる際には、薬剤を有機溶剤などの溶剤に溶解させるのが、効率よく担体に保持させる上で好ましい。このような溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ケロシン、パラフィン、石油ベンジン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0024】
本発明の気流拡散装置10は、例えば、シナハマダラカ、アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ、トウゴウヤブカ等の蚊;サシバエ等のハエ;シクロアブ、ウシアブ、メクラアブ、ゴマフアブ等のアブ;クロオオブユ、キアシオオブユ、アオキツメトゲブユ等のブユ;トクナガクロズカカ、オオシマヌカカ、ニワトリヌカカ等のヌカカ;キイロスズメバチ、セグロアシナガバチ、ミツバチ等のハチ;ハネアリ等のアリ、ショウジョウバエ等のコバエ等の害虫を防除するのに用いることができる。
【0025】
そして、前述した薬剤保持体(担体)に代えて、例えば、気流に含まれる粉塵や悪臭を濾過・除去する等、気流を清浄化するためのフィルタを用いる場合には、そのフィルタとして、前述した担体に、炭(例えば、備長炭等)、ゼオライト、カテキン、ポリフェノール、銀イオン、光触媒(例えば、微細酸化チタン等)、各種植物抽出物(例えば、イチョウ葉エキス、ユズエキス、グレープフルーツエキス、ブドウエキス、茶エキス、カキエキス等)等を含浸させて構成する。また、この場合に、前述の香料、精油等を合わせて用いると周囲雰囲気中の環境改善を行うことができてよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、外観面で良好であると共に気流の放出をその放出方向に向かって放射状に拡散することができ、装飾性及び拡散性の向上を同時に図ることができる気流拡散装置を提供することができる。また、本発明によれば、装置内部に異物が混入することを防ぐことができ、更に薬剤保持体に触れるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る好適な複数の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第1実施形態)
まず、本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1〜図4は本発明に係る気流拡散装置の第1実施形態を示すもので、図1は本発明の第1実施形態に係る気流拡散装置の遮蔽板を取り外した斜め前方から視た外観斜視図であり、図2は図1の気流拡散装置の斜め後方から視た外観斜視図であり、図3は図1の気流拡散装置の前面ケースを取り外した正面図であり、図4は図1の気流拡散装置のI−I線断面図である。
なお、今回開示される実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前述した意味に限定されるべきではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
図1に示すように、気流拡散装置10は、前面ケース12と後面ケース13とからなる気流拡散装置本体11と、ファン(図3参照)14と、薬剤を保持するための薬剤保持体(図4参照)15と、を備えて構成される。
【0030】
前面ケース12は、成形がし易い、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料を用いてドーム形状に形成されており、前面の中央部に円形の排出口16を有する。そして、この排出口16の前方には、遮蔽板17が取り付けられ、この排気口16を覆うように近傍配置している。
【0031】
また、前面ケース12は、豚の前方半分のデザインを表現するために、遮蔽板17に施された一対の鼻意匠部18と、排出口16の上方に施された一対の目意匠部19と、目意匠部19の上側において上方に向けて突出した一対の耳意匠部20と、排出口16の下側において下方に向けて突出した一対の前足意匠部21、21と、を有し、この前足意匠部21、21の間に一対のインジケータランプ孔22を有する。
【0032】
図2に示すように、後面ケース13は、前面ケース12と同様にして、成形がし易い、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料を用いて、前面ケース12に略対称のドーム形状に形成されており、後面の側部に円弧形状をなす4個の吸気口23を円周方向に等間隔に有する。
【0033】
また、後面ケース13は、豚の後方半分のデザインを表現するために、中央部に施された尻尾意匠部24と、下端部において下方に向けて突出した一対の後足意匠部25、25と、を有し、前面ケース12と後面ケース13とを合体(閉塞)させるときに使用される可撓係止片26を吸気口23の下側に有する。
【0034】
気流拡散装置本体11は、前面ケース12と後面ケース13とが閉塞されることで、前足意匠部21と後足意匠部25とが4本の足を構成することになるので、床やテーブル等の所定の設置場所で安定的に直立されることになる。
【0035】
次に、図3、図4を参照して、気流拡散装置10の内部構造について詳細に説明する。
【0036】
図3に示すように、気流拡散装置本体11には、前面ケース12と後面ケース13との間に隔壁27が組み付けられており、この隔壁27に、風洞部28と、ファン固定部29と、一対の電池ケース30と、基板固定部31と、が形成されている。
【0037】
隔壁27は、前面ケース12および後面ケース13と同様にして、成形がし易い、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等の樹脂材料を用いて前面ケース12および後面ケース13の外形に倣うように円板形状に形成されており、外周側に配置された4個のねじ孔32に不図示のねじがねじ込まれることで、前面ケース12に固定されている。
【0038】
ファン14は、直流ブラシモータ33と、旋回翼34と、からなり、直流ブラシモータ33のモータ回転軸35に旋回翼34が同芯に固定されている。
なお、本実施形態では、旋回翼34は、直径が、例えば、59mmで11枚羽根とされるが、これに限らず種々のものを採用することができる。
【0039】
風洞部28は、隔壁27の中央部に円筒形状に形成されており、後面ケース13の吸気口23から導入された気流を前面ケース12の排気口16に流通させるための開口として機能することになる。
【0040】
ファン固定部29は、風洞部28の中央に円筒形状に配置されたモータ装着部36と、風洞部28の内周の4箇所からモータ送着部36に向けて延出された4個の支持アーム37と、を有して構成される。
このとき、ファン固定部29のモータ装着部36に直流ブラシモータ33が装着され、これにより、ファン14が排気口16と吸気口23とを接続する、気流が流通するための経路の途中に配設されることになる。また、直流ブラシモータ33のリード線38は、4個の支持アーム37のうちの一つに形成されているリード線収納溝39に収納されるので、旋回翼34の表面側に隠れて配置されて、風洞部28の内周側に向かってに露出することがない。このため、リード線38ファン14により発生した気流に直接当たることがなく、気流に含まれる薬剤の影響を受けることがない。
【0041】
電池ケース30は、隔壁27の両側部にそれぞれ配置されており、単三型の電池40がそれぞれ収納されている。このため、電池40は、両側部に配置されることで、気流拡散装置10を安定的に設置するための錘の機能を果たすことになる。
【0042】
基板固定部31には、不図示のスイッチや、同じく不図示の制御回路等を実装した基板41が固定されており、その下端部にスイッチに操作部42が取り付けられている。また、基板41には、前面ケース12のインジケータランプ孔22,22に挿入されるLED等の発光素子であるインジケータランプ43、44が実装されている。
【0043】
図4に示すように、遮蔽板17は、前面ケース12における排気口16の内側に位置するように設けられている遮蔽板固定部45に固定されており、その外径寸法L1が、排気口16の内径寸法L2よりも大きい。
なお、このとき、遮蔽板17とファン14の旋回翼34とは、10mm程度の、例えば7〜12mmの離間距離L3にて近傍配置されている。
【0044】
薬剤保持体15は、ファン14の背面側(後方側)であって隔壁27に設けられる薬剤保持体取付部46に取り付けられており、四角形の枠体47内に担体48が収納され得るように構成されている。担体48は、例えば、外形が60×60×10mmであり、そのセルサイズが2.1mm、紙坪量が50g/m2のものが適用され、ハニカム構造にて形成されている。その具体的構成としては、例えば、特開2002−209500号公報等を挙げることができる。
なお、薬剤保持体15は、気流拡散装置10を芳香装置として機能させる場合には、前述した香料等を保持するように構成されていてもよい。
【0045】
後面ケース13の上端部には、前面ケース12の上端部に有する係合部49に係止される係止突部50が形成されており、前面ケース12の下端部には、後面ケース13の可撓係止片26が係止される係合部51が形成されている。このため、前面ケース12の係合部49に後面ケース13の係止突部50を係止させてから、後面ケース13を前面ケース12に合体させ、後面ケース13の可撓係止片26を前面ケース12の係合部51に係止させることで、後面ケース13が前面ケース12に閉塞されることになる。
【0046】
このような気流拡散装置10は、床やテーブル等の設置場所に直立され、操作部42をオンに切換えすることで、直流ブラシモータ33が駆動され、ファン14の旋回翼34が回転を始めることで負圧を発生し、吸気口23から気流を導入する。そして、導入された気流が、薬剤保持体15の担体48内を通過して薬剤を含んで風洞部28内を通過し、排気口16から遮蔽板17に当たる。これにより、ファン14からの気流が直線的に流れずに遮蔽板16によってその放出方向に向かって放射状に拡散され、部屋等の空間に、拡散性を有して排気口16前方で放射状に拡散した状態で前述の薬剤を含んだ気流を漂わせることになる。
【0047】
また、薬剤として芳香剤を適用した場合、吸気口23から導入された気流が、薬剤保持体15の担体48内を通過して芳香剤成分を含んで風洞部28内を通過し、排気口16から遮蔽板17にあたってその放出方向に向かって放射状に拡散され、部屋等の空間に、放射状に拡散した状態で芳香剤を含んだ気流を漂わせることになる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、排気口16が気流拡散装置本体11の正面に配置されるとともに、吸気口23が気流拡散装置本体11の背面に配置されており、排気口16の前方に、排気口16の内径(外形)よりも大きい外径(外形)を有する遮蔽板17が排気口16を覆うように近傍配置されて設けられる。これにより、ファン14の駆動により発生する負圧により吸気口23から吸引された気流が、薬剤保持体15に当てられ、その結果、薬剤を含んだ気流が排気口16から放出されることになるが、このとき、排気口16の外形よりも大きい外形を有する遮蔽板17の存在により、ファン14からの気流が略直線的に流れずにその放出方向に向かって放射状に拡散され、この結果、排気口16の前方で広範囲にわたって薬剤を含んだ気流を漂わせることができるので、装置の拡散性向上を図ることができる。また、遮蔽板17が排気口の前方に設けられているため、排気口16から内部の構造物(例えば、ファン固定部29、ファン14、リード線38等)が見えることがなく、外観性を損ねることがない。加えて、その遮蔽板17の存在により、排気口16の近傍に配置される異物(例えばファン14、リード線38等)との接触を抑制することができて、例えば幼児等が誤って指等を差し込むことがないので安全性を向上させることができる。
なお、遮蔽板17を排気口16の内径と略同一になるように設けても、本発明の目的を達成できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ファン14の背面側に薬剤保持体15が配置されているので、気流拡散装置本体11の背面側の正面から見えない側に薬剤保持体15を配設することができ、装飾性を向上させることができる。加えて、薬剤保持体15を定期的に交換する場合には後面ケース13を前面ケース12から取り出す作業を行うが、遮蔽板17が設けられる前方、即ち前面ケース12を設けた場合と比べて、気流拡散装置10を複雑な構造とせずに、簡単な構造とすることができて取扱性を向上させることができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、本発明に係る気流拡散装置の第2実施形態について説明する。
図5は本発明の第2実施形態に係る気流拡散装置の分解斜視図である。
なお、以下の第2実施形態において、前述した第1実施形態と共通する構成部分の説明は同一符号または相当符号を付すことで簡略化あるいは省略する。
【0051】
図5に示すように、本実施形態に係る気流拡散装置60は、前面ケース12と後面ケース13とからなる気流拡散装置本体11を有し、そして、この後面ケース13には、横スリット形状の複数の吸気口23を有する後面カバー61が着脱自在に取り付けられており、後面ケース13が隔壁の構造を有した構成になっている。また、気流拡散装置60は、ファン14が気流拡散装置本体11の左方寄りに配置されており、操作部42およびインジケータランプ43,44が前面ケース12の上部に配置されている。
【0052】
後面カバー61は、後面ケース13よりも小さい外形の板形状に形成されており、3個の係止突部62と一つの可撓係止片63とを有し、背面側の下部にスタンド64を有する。3個の係止突部62と一つの可撓係止片63とは、後面ケース13の背面側に形成された不図示の係合部に係止されることで、後面カバー61が後面ケース13に取り付けられる。また、スタンド64は、後面カバー61に展開自在に組み付けられているために、用時に、回動させて引き出すことで、気流拡散装置60を起立させることができる。
また、本実施形態では、薬剤保持体15に代えて、気流に含まれる粉塵等を濾過・除去して気流を清浄化するためのフィルタ68を有したカートリッジ65が取り付けられる。
また、このフィルタ68は、外形が60×60×10mmであり、そのセルサイズが2.1mm、紙坪量が50g/m2のものが適用され、ハニカム構造にて形成されている。
なお、本実施形態では、気流に含まれる粉塵等を濾過・除去するフィルタ68を用いたが、これに代えて、気流に含まれる悪臭を除去するフィルタを用いてもよく、また、その両方の機能を兼ね備えたフィルタとしてもよい。
【0053】
第2実施形態の気流拡散装置60は第1実施形態と同様の作用効果を奏するために、それらの説明は省略されるが、特に、本実施形態の場合には薬剤保持体15に代えてフィルタ68を有したカートリッジ65が適用されており、このため本実施形態の気流拡散装置60は空気清浄装置として機能することになる。即ち、本実施形態に係る気流拡散装置60によれば、ファン14の駆動により発生する負圧により吸気口23から導入された空気が、フィルタ68を通過して清浄化されて風洞部28内を通過し、排気口16から遮蔽板17にあたってその放出方向に向かって放射状に拡散され、トイレ等の小空間、卓上、部屋、タンス、車内、テント等の空間に、この所定空間の広範囲にわたって清浄化された気流を漂わせることになる。
なお、本実施形態においても、遮蔽板17を排気口16の内径と略同一になるように設けても、本発明の目的を達成できる。
【0054】
次に、フィルタの変形例について説明する。
フィルタは、前記ハニカム構造に、例えば、微細酸化チタン等の光触媒、イチョウ葉エキス,緑茶カテキン等のポリフェノール、フラボノイド等の天然消臭成分等を、混合、含浸等して保持させたものを用いることができる。また、前記ハニカム構造に、別のフィルタを積層したものとしてもよく、別のフィルタとしては、例えば、ハニカム構造、ネット構造、シート状構造、不織布構造、積層構造等を採用することができる。さらにハニカム構造としては、斜交ハニカム構造とすることもでき、これにより気流拡散装置内に備えられたファンによって発生させた気流の通過方向に対してセルの壁面が斜めに交わった構造となるので、気流とセルの壁面との接触量を増やすことができる。その結果として、粉塵や悪臭等の吸着量を増やしたり、薬剤からの有効成分の揮散量を増やすことができる。
【0055】
(第3実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、本発明に係る気流拡散装置の第3実施形態について説明する。
図6は本発明の第3実施形態に係る気流拡散装置の正面側から見た斜視図、図7は背面側から見た分解斜視図である。
なお、以下の第3実施形態において、前述した第1実施形態及び第2実施形態と共通する構成部分の説明は同一符号または相当符号を付すことで簡略化あるいは省略する。
気流拡散装置70の本体11の後面側には、保持部材71により薬剤保持体15が保持された状態で後面ケース13が装着され、本体11の前面側には前面ケース12が装着されている。後面ケース13には吸気口23が形成されている。また、本体11にはファン14が設けられ、本体11の下部にはファン11を駆動するための電池が収容され、電池は底部カバー72により覆われている。
【0056】
前面ケース12は、複数の排気口16が形成されるとともに、ファン14及び薬剤保持体15の略正面に位置する部分(前面ケース12の略中央部分)に遮蔽板17が装着されている。
本実施形態によれば、薬剤を含んだ気流が排気口16から放出されることになるが、このとき、遮蔽板17の存在により、ファン14からの気流が略直線的に流れずに放射状に拡散される。この結果、排気口16の前方で広範囲にわたって薬剤を含んだ気流を漂わせることができるので、装置の拡散性向上を図ることができる。また、遮蔽板17が前面ケース12の略中央部分に設けられているため、正面から排気口16を通して内部の構造物が見えることがなく、外観性を損ねることがない。加えて、遮蔽板17の存在により、例えば幼児等が誤って指等を差し込むことがないので安全性を向上させることができる。
【実施例】
【0057】
次に、本発明に係る気流拡散装置の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
【0058】
実施例1
排気口16の前に配置される遮蔽板17と、ファン14との距離を4種類の異なる値に設定して、それらの風量を測定することで、遮蔽板17の特性を試験した。試験結果を表1に示す。
なお、気流拡散装置としては図1の装置10を用いた。即ち、旋回翼34の直径が59mmで11枚羽根であり、薬剤保持体15の担体48の外形が60×60×10mmであり、そのセルサイズが2.1mm、紙坪量が50g/m2のハニカム構造、そして、直流ブラシモータ33の印加電圧を3.0V、その回転数を約1100rpmとして設定して試験を行った。
また、その風量の測定については、略断面矩形状の筒体を、吸気口23全部を覆うように後方から当てて、この筒体の内部の中間部(気流拡散装置本体から約40cm)に風速測定端子を、2組高さを違えて設置し、そして、2分後、この2組の風速測定端子が示す数値を所定時間(15秒)間隔で5回確認して、その平均値を求め風量として示した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1により明らかなように、遮蔽板とファンとの離間距離が、17mm、22mmの比較例1,2では、離間距離が7mm、12mmの実施例1,2と比べて、風量がほぼ10%低下した。これにより、遮蔽板17とファン14とを、7mm〜12mmの離間距離L3に設定することにより、風量を損なうことがなく、適切な薬剤の拡散が得られることがわかった。
【0061】
実施例2
図1に示す構成の気流拡散装置を用いて、試験室に薬剤を揮散させて蚊に対する防除効果を検討した。
【0062】
本発明の実施例として図1に示す構成の気流拡散装置(実施例1と同じもの)を用い、比較例としてアース製薬株式会社製「電池でノーマット90日用セット」を用いた。なお薬剤保持体としては、実施例及び比較例は同一のものを用いた。この薬剤保持体は、トランスフルトリン500mgと流動パラフィン600mgの混合液1100mgを、60mm×60mm×10mmのハニカム構造のパルプ製担体に含浸させて保持させたものである。
【0063】
試験室は、10畳居室(4.5m×3.6m、高さ2.4m)を湿度60〜80%RH、温度27±2℃に調節した。そして図8に示したように、各ケージにアカイエカの雌成虫17頭を入れて、壁面から水平距離90cmの位置、床から高さ75cm及び150cmの位置に、それぞれ対角線上に吊るした。ここで試験室の中心から各ケージまでの水平距離は約1.4mである。そして試験室の中央に本発明の実施例の気流拡散装置を置いて薬剤を拡散させた。なお実施例及び比較例の気流拡散装置は、排気口が設けられた正面を所定の壁面(図8中、A)を向くように置いた。
【0064】
気流拡散装置を作動させて、試験開始から10分毎に各ケージ内でのアカイエカのノックダウン数を計数し、KT50(50%ノックダウン時間(分))、KT90(90%ノックダウン時間(分))を算出した。
計数は2時間継続して行い、その後、各ケージを試験室の外に出し、アカイエカを清潔なカップに移して温度27±2℃条件下に放置し、24時間後の致死率を算出した。
結果は表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示したとおり、75cmの高さにおけるKT50は、略同等の効力を示したが、150cmの高さでは、本発明の実施例の方がKT50は速く、有効成分の拡散に優れていることが明らかとなった。またKT90においても同様の傾向が示された。
これらの結果から、本発明の実施例と比較例とでは、ファンにより発生される風量、薬剤保持体からの有効成分の揮散量に差はないが、排気口の前方に所定の遮蔽板を近傍配置した本発明の実施例の方が、その構造により、遠方への有効成分の拡散性に優れることが明らかとなった。
【0067】
実施例3
図5に示す構成の気流拡散装置を用いて、気流の清浄効果(粉塵の除去効果)について検討した。
【0068】
図9に示したように、アクリル製容器(30cm×30cm×30cm)を2つ組み合わせ、図5に示す構成の実施例の気流拡散装置を、その正面が容器Bに向くように容器AとBの間にアクリル板により空気の移動がないように密に設置した。そして気流拡散装置を作動させて、容器Aから容器Bに向かって気流が発生するようにし、気流拡散装置の吸気口側に当たる容器Aに粉塵をシリンジで0.2g噴霧して充満させた。
気流拡散装置を30分間にわたり作動させ、容器Bのサンプリング口から光散乱式デジタル粉塵計MODEL3431(日本カノマックス製)を用いて粉塵濃度を経時的に測定した。
測定対象とした粉塵・・・φ4〜5μmの無水ケイ酸
試験に用いたフィルタ・・・(1) 混合型フィルタEM01(三菱製紙製)
(2) 分離型フィルタECC04/45S−TGY
(三菱製紙製)
【0069】
図10に示した結果のとおり、本発明の気流拡散装置は、φ4〜5μmの粉塵に対して充分な清浄効果が得られることが明らかとなった。特にフィルタ(2)において清浄効果が優れていた。
【0070】
実施例4
図5に示す構成の気流拡散装置を用いて、気流の清浄効果(タバコ臭の除去効果)について検討した。
アクリル製容器(30cm×30cm×30cm)内に図5に示す構成の気流拡散装置を設置し、タバコ0.5本又は1本を燃焼させた後、容器内のタバコ臭(アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸)の気中濃度(ppm)を検知管式ガス測定器(GASTEC製)で測定した。その後、気流拡散装置を30分間作動させてから同様にしてタバコ臭を測定し、これらの値からタバコ臭の除去率を算出した。
試験に用いたフィルタ・・・(1) アクアラジット&アレルスイープ混合ハニカム(5
号段)(三菱製紙製)
結果は表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】
表3に示したとおり、本発明の気流拡散装置は、タバコ臭の原因であるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸をフィルタにより充分に除去することがわかった。
【0073】
以上のことから、本実施例によれば、小空間でのタバコの脱臭性能があり、1日6時間使用で約1ヶ月間効果が持続することが分かる。
【0074】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、前述した実施形態では、遮蔽版が排気口の外形よりも大きい外形であるとして説明したが、略同じ大きさに設定したとしても、本発明の目的を達成できる。
また、前述した実施形態では、吸気口を背面に設けたが、これに限定されず例えば周面に設けてもよい。
さらに、前述した実施形態では、気流拡散装置の意匠がアニメ的な豚を表現するように構成したが、この意匠としては、アニメ的な豚に限らず、他の動物、植物、魚、昆虫、キャラクター等、適宜様々な意匠を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1実施形態に係る気流拡散装置の遮蔽板を取り外した斜め前方から視た外観斜視図である。
【図2】図1の気流拡散装置の斜め後方から視た外観斜視図である。
【図3】図1の気流拡散装置の前面ケースを取り外した正面図である。
【図4】図1の気流拡散装置のI−I線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る気流拡散装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る気流拡散装置の外観斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る気流拡散装置の分解斜視図である。
【図8】本発明実施例により殺虫試験を行った試験室の構成図である。
【図9】本発明実施例により集塵性能試験を行った器具の構成図である。
【図10】集塵性能試験の結果を表すグラフである。
【図11】従来の装置の外観図である。
【符号の説明】
【0076】
10 気流拡散装置
11 気流拡散装置本体
14 ファン
15 薬剤保持体
16 排気口
17 遮蔽板
23 吸気口
48 担体
60 気流拡散装置
68 フィルタ
70 気流拡散装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を保持した薬剤保持体と、前記薬剤保持体に気流を当てて前記薬剤に含まれる有効成分を含んだ気流を発生させるファンと、前記薬剤保持体及び前記ファンを収納する気流拡散装置本体と、を備える気流拡散装置であって、
前記気流拡散装置本体の正面には排気口が設けられると共に前記気流拡散装置本体の当該正面とは異なる他方の面には吸気口が設けられ、そして
前記排気口の前方には、前記排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板が、前記排気口を覆うように近傍配置されて設けられる
ことを特徴とする気流拡散装置。
【請求項2】
前記ファンが、前記排気口と前記吸気口とを接続する、前記気流が流通するための経路の途中に配設されており、
前記薬剤保持体が、前記ファンの後方側に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の気流拡散装置。
【請求項3】
前記薬剤保持体に代えて、前記気流を清浄化するためのフィルタを前記気流拡散装置本体に収納する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の気流拡散装置。
【請求項1】
薬剤を保持した薬剤保持体と、前記薬剤保持体に気流を当てて前記薬剤に含まれる有効成分を含んだ気流を発生させるファンと、前記薬剤保持体及び前記ファンを収納する気流拡散装置本体と、を備える気流拡散装置であって、
前記気流拡散装置本体の正面には排気口が設けられると共に前記気流拡散装置本体の当該正面とは異なる他方の面には吸気口が設けられ、そして
前記排気口の前方には、前記排気口の外形に対し略同一又は大きい外形を有する遮蔽板が、前記排気口を覆うように近傍配置されて設けられる
ことを特徴とする気流拡散装置。
【請求項2】
前記ファンが、前記排気口と前記吸気口とを接続する、前記気流が流通するための経路の途中に配設されており、
前記薬剤保持体が、前記ファンの後方側に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の気流拡散装置。
【請求項3】
前記薬剤保持体に代えて、前記気流を清浄化するためのフィルタを前記気流拡散装置本体に収納する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の気流拡散装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−172361(P2009−172361A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294205(P2008−294205)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
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