説明

気液分離装置および気液分離装置を備えた冷凍装置。

【課題】 狭小空間、急拡大部での表面張力効果を利用して気液二相流を気相と液相に分離する気液分離装置のより一層の高性能化、小形化、それに冷凍サイクル中への組み込みを容易にした気液分離装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 狭小空間、急拡大部での表面張力効果を利用して気液二相流を気相と液相に分離する気液分離装置の外郭を、筒体と上下の蓋体と出入口管等で構成し、二相流入口管と気相出口管とは上下の蓋体の中心部にそして液相出口管は気相出口管に近づけた筒体部に設け、且つ上記3本の出入口管を同一平面上に位置させると共に、気液分離装置は二相流入口管が上方になるよう取付具をもって機器側に取り付けた気液分離装置を備えた冷凍装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷凍サイクルや蒸気サイクル等の熱機関の気液分離装置およびオイルセパレータに関し、詳細には、より一層の高性能化並びに小型化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍サイクルで使用される気液分離装置およびオイルセパレータとしては、重力によって液あるいは油を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液あるいは油を外壁に付着させ、重力によって液あるいは油を回収する気液分離装置等が用いられている。
【0003】
かかる構成の気液分離装置およびオイルセパレータでは、基本的に重力や遠心力などの体積力によって密度の大きい液相を分離する構造となっている。このため、タンクや旋回流発生装置を用いるため大型の装置となっている上、気液分離装置の設置位置や向きに自由度が少ない。更には気液を効率良く分離する手段が示されていないものであった。
【0004】
そこで、先に、発明者らは前記した課題を解決すべく、溝内で表面張力の作用により液相を溝に付着させて流すことで、気液分離装置をより高性能化並びに小型化することを目的とする発明の特許を出願した。
【特許文献1】国際特許出願番号:PCT/JP2006/322682
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の気液分離装置およびオイルセパレータでは、密度の大きな液相(油)を重力や遠心力などの体積力で分離する構造となっているため、体積力が支配的となるように曲率半径や流速を設定する必要があり、また設置方向と重力方向とをマッチングさせる必要があるなどの工夫が必要であった。
【0006】
これらは、重力方向に高さを確保したタンクが必要である、あるいは遠心力を用いる場合は流速を高める必要がある。また、曲がり流れを発生させるために、仕切り板等によって流れの向きを変える必要がある。このため、圧力損失が大きくなりやすく、それを防ぐために装置が大型なものとなり、小型化が困難であった。
【0007】
上記した気液分離装置を小型化しようとする場合には、流速を大きく、曲率半径を小さくする必要があるが、小型化するに伴って遠心力や重力等の体積力に対して粘性力や表面張力等の影響が無視できなくなるため、装置自体の特性が低下してしまったり、あるいは圧力損失が大きくなるため、冷凍サイクル性能が低下してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、先に出願したPCT/JP2006/322682を更に発展させ、表面張力効果を用いることで気液分離装置をより高性能化並びに小型化することを目的とする気液分離装置およびオイルセパレータにあって、気相に乗って運ばれる液滴を極力捕捉でき、高性能で小型の気液分離装置およびオイルセパレータを提供し、さらに、その気液分離装置を空気調和機、冷蔵庫、冷凍庫、除湿機、ショーケース、自動販売機およびカーエアコン等の冷凍装置等への採用を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。
即ち、狭小空間急拡大部での表面張力効果を利用して気液二相流を気相と液相に分離する気液分離装置の外郭を、筒体と上下の蓋体と出入口管等で構成し、二相流入口管と気相出口管とは上下の蓋体の中心部にそして液相出口管は気相出口管に近づけた筒体部に設け、且つ上記3本の出入口管を同一平面上に位置させると共に、気液分離装置は二相流入口管が上方になるよう取付具をもって機器側に取り付けるようにしたものであるから気液分離装置単体であるときの運搬移送の為の箱詰め整理が容易に行なえる他、冷凍サイクル配管、並びに部品との接続に当たっても設置方向と重力方向とをマッチングさせる必要が無く、しかも、溶接作業等が容易となるものである。
又、上記気液分離装置は出来るなら二相流入口管が上方になるよう取付具をもって機器側(冷凍装置本体側)に固着することにより、運搬或いは使用時に該気液分離装置の取り付け状態が変り分離作用を低下させることがないものである。
【0010】
又、気液分離装置を構成する蓋体を球或いは曲面を含む碗状蓋体としたものであるから、冷凍サイクル中の高圧部に使用しても、気液分離装置を構成する蓋体の機械的強度が向上し、原価低減が図れるものである。
【0011】
又、気液分離装置に設けられる3本の出入口管は蓋体及び筒体より20〜50mm突出しているものであるから、気液分離装置の冷凍サイクル配管への組み込み時、ロー付け等の熱伝導で気液分離装置内の部品を損傷することがないものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上説明した如き構成を有するものであるから、気液分離装置単体であるときの運搬、移送の為の箱詰、整理が容易に行なえる他、冷凍サイクル配管、並びに部品との接続に当たっても設置方向と重力方向とをマッチングさせる必要が無く、しかも溶接作業等が容易となるものである。
又、上記気液分離装置は出来るなら二相流入口管が上方になるよう取付具をもって機器側(冷凍装置本体側)に固着することにより、運搬或いは使用時に該気液分離装置の取り付け状態が変り分離作用を低下させることがないものである。
【第一の実施の形態】
【0013】
図1は第一の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。図2は図1に示す気液分離装置のA−A断面図である。図3は薄板を折り曲げて構成した溝付き体5の展開斜視図であり、また図4は図3の溝付き体5の1ピッチを取り出したときの拡大図である。
図に於いて、1は冷凍サイクル中等に組み込まれる気液分離装置、2は気液分離装置1を構成する外郭容器、この外郭容器2は筒体3と上蓋体3a等より構成されている。
そして上記外郭容器2内に液相出口管7に向かう溝4を有する溝付き体5が設けられており、溝付き体5の上流には入口仕切体16が設けられ、気液分離室6を構成している。
溝付き体5は図3に示すように薄板を折り曲げ溝4を構成し、これをまるめて図2に示すように外郭容器2に挿入している。
【0014】
溝付き体5の下流には気相出口管8に接合された出口仕切り体9により溝付き体5の高さ方向の下部位置を規定するように、気相出口管8が外郭容器2の下縮管部13に接合されている。
尚、この下縮管部13は筒体3をプレス加工で作る際、一体に絞り加工して作ったものである。気液二相流は入口管10から流入し、さらに入口仕切体16と外郭容器2をもって作られる狭小空間12に流入する。入口仕切体16をもって作られる狭小空間12で気液二相流を溝4に沿って供給するので、気液二相流は溝に沿って溝に流入する。溝付き体5の内部に流入した二相流の液相は基本的には溝4の表面に付着し液膜となる。また、気相に乗って運ばれる液滴は溝4の表面に衝突し液膜となる。液膜は下方に流下し、液相出口管7から流出する。液滴を除去された気相は気相出口管8から流出する。
【0015】
ここで、溝付き体5の表面には図4に示すような主流方向に傾斜した略波形状が設けられている。この略波形状は、流れの向きに半径方向外側に広がるように形成されている。この傾斜した略波形状の効果により、溝4の内部には断面内の2次流れが発生する。その間を気相に搬送された液滴が流れると、この液滴は2次流れによって断面内を回転運動し、その際に働く遠心力の効果によって溝付き体5に衝突する。衝突した液滴は溝付き体の表面で液膜となり、主流のせん断力と重力によって略波形状に沿って下方に流下する。このようにして、気相内の液滴を気液分離することができる。
【0016】
なお、発生する2次流れは溝付き体の溝内の非常に狭い空間内の流れとなるため、その流線の曲率半径も非常に小さいものとなる。このことで、液滴に非常に強い遠心力を働かせることができる。また、気液分離装置の体積あたりの溝付き体の表面積をコンパクトに実装することができるので、体積あたりの液滴捕獲面積を増すことができ、非常にコンパクトな気液分離装置を構成することができる。
【第二の実施の形態】
【0017】
次に図5をもって上記した気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクル構成を説明する。図5に示した冷凍サイクル構成図には本実施形態を説明するために必要な基本的構成要素を示している。すなわち、圧縮機17は第一のシリンダ18と第二のシリンダ19を有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ18と第二のシリンダ19で二段に圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管20を経て、凝縮器21で凝縮器用送風機22で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。その液冷媒は第一の減圧器23で減圧され二相流となり、入口管10から気液分離装置1に流入し、液相冷媒は液相出口管7から出た後、第二の減圧器24でさらに減圧され、蒸発器25に入り蒸発器用送風機26で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機17に吸い込まれる。一方、気液分離装置1で分離された気相冷媒は気相出口管8から第二のシリンダー19に吸い込まれるため、気液分離装置1で分離された蒸発に寄与しない気相冷媒は第一のシリンダー18で圧縮する必要が無く、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【第三の実施の形態】
【0018】
図6は第三の実施の形態として、上記した気液分離装置1を冷凍サイクルに使用した場合の第二の冷凍サイクル構成図である。図6に示した冷凍サイクル構成図には本実施形態を説明するために必要な基本的構成要素を示している。すなわち、圧縮機17は第一のシリンダ18のみを有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ18で圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管20を経て、凝縮器21で凝縮器用送風機22で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。その液冷媒は第一の減圧器23で減圧され二相流となり、入口管10から気液分離装置1に流入し、液相冷媒は液相出口管7から蒸発器25に入り蒸発器用送風機26で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機17に吸い込まれる。一方、気液分離装置1で分離された気相冷媒は気相出口管8から蒸発器バイパス管27を経て圧縮機17に吸い込まれる。
【0019】
気液分離装置1を用いない場合には、減圧器23で減圧された二相流の気相冷媒も蒸発器に流入するため、特に、蒸発器用送風機26で送られる空気温度が低い場合には蒸発圧力が低下し、気相冷媒の密度は小さくなり体積流量が大きくなるため、蒸発器25での圧力損失が大きく蒸発器25の出口圧力、即ち、圧縮機吸込み圧力が低下するため、圧縮動力が増大し、高効率な運転ができなくなる。
それに対して、本実施例で示したように気液分離装置1を設け、分離された気相冷媒を気相出口管8から蒸発器バイパス管27を経て圧縮機17に吸い込ませることにより、蒸発に寄与しない気相冷媒は蒸発器25に流入しないため蒸発器25での圧力損失を抑えることができ、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【0020】
従来、冷凍サイクルで使用される気液分離装置1としては、重力によって液を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液相を外壁に付着させ、重力によって液を回収する気液分離装置1等が用いられていたが、かかる構成の気液分離装置1では、基本的に重力や遠心力などの体積力によって密度の大きい液相を分離する構造となっているため、気液分離装置1の設置位置や向きに自由度が少ない上、タンクや旋回流発生装置を用いるため、大型の装置となっていたが、本発明の気液分離装置1を使用することにより、小型で、設置位置や向きの自由度が大きい効果を発揮しながら、高効率な運転を可能にできる。
尚図5、図6で説明した冷凍サイクルに気液分離装置1を組み込むに当たり、取り付け具(図示せず)等をもって入口管10が上方に位置するよう機器本体に固定しておくのが良策であることは言うまでもない。
【第四の実施の形態】
【0021】
次に、以上説明した構成を有する気液分離装置1の外郭構造に付いて図7〜図16をもって説明する。
図の説明に入る前に本発明の気液分離装置1の形状、構成、材質、製作方法等に付いて概略を説明する。
【0022】
先づ形状に付いて、本発明の気液分離装置1の外郭容器2は20〜50mmの円筒状の筒体3を基本とし、上下に蓋体3a、(3b)を取り付けた形をしている。この蓋体3a、(3b)の取り付けに当っては、上記筒体3に拡管部を設けておき、この拡管部に蓋体側のフランジを差し込むようにして被せ、その差込部をロー付或いは溶接したものである。
尚、筒体3に蓋体3a、(3b)側のフランジをオーバラップするように被せ、その重合部をロー材等を使用してロー付等にて、蓋体を筒体3に固定しても良いことは言うまでもない。
【0023】
一方上記気液分離装置1の材質は該気液分離装置1を組み込む為の冷凍サイクルの配管等の材質にも左右されるが、例えば、中形、大型パッケージ用としては鉄材で、小型の空気調和機、パッケージ用としては銅材で、自動車用としてはアルミニウム材で作られる。そしてこの気液分離装置1は筒体3と蓋体3a、(3b)で構成される。
【0024】
即ち、筒体3はパイプを輪切にして作り、蓋体3a、3bは、例えば鋼板をプレス等して碗状の球形体或いは曲面体に形成するものである。勿論この時、必要となる出入口パイプ取り付け孔は筒体3、蓋体3a、3bのロー付(溶接)前にプレス等を利用して、形成される。
更にこの孔部には、出入口パイプのロー付等時の作業を容易にする目的でバーリングを設けても良いことは言うまでもない。
【0025】
以下図に於いて説明する。
図7〜図16に示す気液分離装置1の内部は図1〜図4を備えるものであり、しかも冷凍サイクル中には図5〜図6に示す如く接続され、狭小空間、急拡大部での表面張力効果を利用し、気液二相流を気相と液相に分離するものである。
【0026】
先ず、図7〜図8に示す気液分離装置1に付いて、10は入口管、8は気相出口管、7は液相出口管である。2は気液分離装置1の外郭を構成する外郭容器である。この外郭容器2は筒体3と上蓋体3aとで構成されている。図7の場合筒体3の成形時に下蓋体3bに相当する部分が筒体3と一体に形成されている。13は下縮管部を示している。
而して、上記出入口管7、8、10は例えば冷凍サイクル配管等とのロー付、或いは溶接を考慮してΦ6.35〜Φ8.00mmのパイプが使われる。またこの気液分離装置1の外郭容器2からの突出寸法は20〜50mmの長さに設定されている。
【0027】
この気液分離装置1の特徴は材質が銅製であり、液相出口管7の取り付け部を外郭容器2(筒体3)の外周とし、更に上蓋体3a及び外郭容器2の底部を碗状の球形体或いは曲面体とし、且つ、その中心に縮管部11、13を設け、入口管10、気相出口管8を設けたものである。
【0028】
又、このものは筒体3が作る拡管部15に上蓋体3aのフランジを差し込み、その重合部をロー材等を使用してロー付若しは溶接し、上蓋体3aを筒体3に固定したものである。
このように構成することにより入口管10、気相出口管8、液相出口管7は同一平面上に位置することとなるので、以後の搬送、組立、作業等が容易になるものである。
更に、液相出口管7は気相出口管8に近づけた筒体3部に設けるようにしたので、ロー付或いは溶接作業の治具作り、或いはロー付作業等を良好なものとすることが出来る。
【第五の実施の形態】
【0029】
次に図9〜図10に示す気液分離装置1に付いて説明する。
図9に示す気液分離装置1も図7に示す気液分離装置1と作用効果を同じくするものであり、違いは、外郭容器2の底部形状が変るものである。
即ち、図7に於いては、外郭容器2の底部は外郭容器2を構成する筒体3と一体に絞り成形等で作られ、その形状は碗状の球形体或いは曲面体に形成されていたものであるが、図9に示すものは筒体3は円筒管を輪切にした筒体で作られ、その筒体の上下に蓋体3a、3bを取り付けるようにしたものである。この時の3aが上蓋体であり、3bが下蓋体となる。
【0030】
そしてこの図9に示す下蓋体3bは平板状に作られており、この中心部には気相出口管8を取り付ける為の孔が設けられている。本図では、出入口パイプのロー付時の作業を容易にする目的でバーリング14が設けられている。
この気液分離装置1の特徴は材質が鋼製であり、液相出口管7を筒体3の外周とし、上蓋体3aは碗状の球形体或いは曲面体に成形し、下蓋体3bは平板としたものである。
又外郭容器2は筒体3、上蓋体3a、下蓋体3bに三分割されているものである。
尚、下蓋体3bを平板にすることにより、強度不足が心配される場合には板厚を増せば容易に解消出来る。又、平板にするメリットは金型等を準備しなくてすむので、少量機種生産に適するものである。
【第六の実施の形態】
【0031】
次に図11〜図12に示す気液分離装置1に付いて説明する。
図11に示す気液分離装置1も図9に示す気液分離装置1と作用効果を同じくするものであり、外郭容器2の上蓋体3a形状が図9と変るものである。
即ち、図9に於いては上蓋体3a形状が球形体と言うより、むしろ角部にR形状を施した形状であったが、図11に示すものは碗状の球形体そのものである。
【0032】
又、この気液分離装置1の特徴は材質が鋼製であり、液相出口管7を筒体3の外周とし、上蓋体3aは碗状の球形体或いは曲面体に成形し、下蓋体3bは平板としたものである。
又外郭容器2は筒体3、上蓋体3a、下蓋体3bに三分割されているものである。
このように上蓋体3aを球形体或いは曲面体で形成することにより、上蓋体3aの強度を向上させることが出来ることは勿論、気液分離装置1内に導入される気液二相流の流れをスムーズな流れとすることが出来るものである。
【第七の実施の形態】
【0033】
次に図13〜図16に示す気液分離装置1に付いて説明する。
図7〜図12に示した気液分離装置1と性能及び機能は同じくするものであるが、図7〜図12に示す気液分離装置1は入口管10と気相出口管8が、上下の蓋体3a、3bに設けられ、筒体3に、液相出口管7が設けられていたが、図13〜図16に示すものは、上蓋体3aには入口管10と気相出口管8が、又、下蓋体3bには液相出口管7が設けられている。
更に、図15に示す気液分離装置1に付いては図13とは異なり気相出口管8を筒体3に設けるようにしている。
【0034】
そして図13、図15の気液分離装置1はいずれも上下の蓋体3a、3bは平板となし、筒体3にロー付け若しくは溶接する構造とされている。
尚図15に示す気液分離装置1に於いては気相出口管8を冷凍サイクル等への取り付けに対応し、屈曲パイプとしている。
【0035】
以上のように図13、図15に示す気液分離装置1は図7〜図12に示す気液分離装置1とは外観を異にするが、気液分離装置1自体の機能及び作用効果は同じものである。
即ち、図16の入口管10が示すように、パイプ形状を変えることにより気液分離装置1の機能及び作用効果を達成するようにしたものである。
【0036】
本発明は以上説明した如き構成を有するものであるから、次の如き効果が得られるものである。
即ち、狭小空間、急拡大部での表面張力効果を利用して気液二相流を気相と液相の分離する気液分離装置の外郭を、筒体と上下の蓋体と出入口管等で構成し、二相流入口管と気相出口管とは上下の蓋体の中心部にそして液相出口管は気相出口管に近づけた筒体部に設け、且つ上記3本の出入口管を同一平面上に位置させると共に、気液分離装置は二相流入口管が上方になるよう取付具をもって機器側に取り付けるようにしたものであるから気液分離装置単体であるときの運搬移送の為の箱詰め整理が容易に行なえる他、冷凍サイクル配管、並びに部品との接続に当たっても設置方向と重力方向とをマッチングさせる必要が無く、しかも溶接作業等が容易となるものである。
又、上記気液分離装置は出来るなら二相流入口管が上方になるよう取付具をもって機器側(冷凍装置本体側)に固着することにより、運搬或いは使用時に該気液分離装置の取り付け状態が変り分離作用を低下させることがないものである。
【0037】
又、気液分離装置を構成する蓋体を球或いは曲面を含む碗状蓋体としたものであるから、冷凍サイクル中の高圧部に使用しても、気液分離装置を構成する蓋体の機械的強度が向上し、原価低減が図れるものである。
【0038】
又、気液分離装置に設けられる3本の出入口管は蓋体及び筒体より20〜50mm突出しているものであるから、気液分離装置の冷凍サイクル配管への組み込み時、ロー付け等の熱伝導で気液分離装置内の部品を損傷することがないものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】 本発明を備えた第一の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図2】 図1に示す気液分離装置のA−A断面図である。
【図3】 図2に示す溝付き体の展開斜視図である。
【図4】 図3に示す主流に対して傾斜した略波形状を設けた溝付き体の1ピッチを示す斜視図である。
【図5】 本発明を備えた気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクル構成図である。
【図6】 図5と異なる冷凍サイクルに本発明を備えた気液分離装置を使用した第二の冷凍サイクル構成図である。
【図7】 図7は絞り成形で筒体を作り、その筒体上部に蓋体を取り付けた本発明を備えた気液分離装置の斜視図である。
【図8】 図8は図7の気液分離装置を正面、側面等より見た図で(a)が正面図であり、(b)が側面図、(c)が上面図である。
【図9】 図9は筒体の上下に蓋体を取り付けた本発明を備えた気液分離装置の斜視図である。
【図10】 図10は図9の気液分離装置を正面、側面等より見た図で(a)が正面図であり、(b)が側面図、(c)が下面図である。
【図11】 図11は図9とは上蓋体の形状が異なる筒体の上下に蓋体を取り付けた本発明を備えた気液分離装置の斜視図である。
【図12】 図12は図11の気液分離装置を正面、側面等より見た図で(a)が正面図であり、(b)が側面図、(c)が下面図である。
【図13】 図13は図7、図9、図11とは形態を異にするが、これも本発明を備えた気液分離装置の斜視図である。
【図14】 図14は図13の気液分離装置を正面、側面等より見た図で(a)が正面図であり、(b)が側面図、(c)が上面図である。
【図15】 図15は図13とは出入口管の形状が異なる本発明を備えた気液分離装置の斜視図である。
【図16】 図16は図15の気液分離装置を正面、側面等より見た図で(a)が正面図であり、(b)が側面図、(c)が上面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 気液分離装置
2 外郭容器
3 筒体 3a 上蓋体 3b 下蓋体
4 溝
5 溝付き体
6 気液分離室
7 液相出口管
8 気相出口管
9 出口仕切体
10 入口管
11 上縮管部
12 狭小空間
13 下縮管部
14 バーリング
15 拡管部
16 入口仕切体
17 圧縮機
18 第一のシリンダー
19 第二のシリンダー
20 吐出管
21 凝縮器
22 凝縮器用送風機
23 第一の減圧器
24 第二の減圧器
25 蒸発器
26 蒸発器用送風機
27 蒸発器バイパス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭小空間、急拡大部での表面張力効果を利用して気液二相流を気相と液相に分離する気液分離装置の外郭を、筒体と上下の蓋体と出入口管等で構成し、二相流入口管と気相出口管とは上下の蓋体の中心部にそして液相出口管は気相出口管に近づけた筒体部に設け、且つ上記3本の出入口管を同一平面上に位置させると共に、気液分離装置は二相流入口管が上方になるよう取付具をもって機器側に取り付けたこと特徴とする気液分離装置および気液分離装置を備えた冷凍装置。
【請求項2】
気液分離装置を構成する蓋体を球或いは曲面を含む碗状蓋体としたことを特徴とする気液分離装置および気液分離装置を備えた冷凍装置。
【請求項3】
気液分離装置に設けられる3本の出入口管は蓋体及び筒体より20〜50mm突出していることを特徴とする気液分離装置および気液分離装置を備えた冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−96483(P2010−96483A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290364(P2008−290364)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(596083364)日冷工業株式会社 (10)