説明

気液分離装置及び気液分離装置を備えた冷凍装置

【課題】 冷凍サイクルユニットの小型化に伴い、部品の取り付けスペースも制約され、各部品の小型化が求められ、気液分離装置も小型化が求められる。一方、気液分離装置が小型化されても、気液分離装置への入口管および気相出口管の径は冷凍装置等製品の所定の冷凍能力、即ち、冷媒流量により決まり、気液分離装置の小型化に合わせて管径を小さく出来ないため、分離装置の容器と出口管の間の空間が狭くなり、分離性能が低下する問題があった。
【解決手段】 円筒状の容器の上部壁面横から容器の中心線からずらし、二相流の入口管を設け、容器の上端部中央を垂直に貫通した気相出口管を設け、容器の下端部に液相出口管を設けた気液分離装置において、入口管先端が気相出口管を通り越すよう容器側面より入口管を取り付け、入口管が出口管の外径に重なるのを防止するように気相出口管に対面する入口管先端に至る入口管の一部に入口管中心側に向かう傾斜部を設けたことを特徴とした気液分離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば冷凍サイクルや蒸気サイクル等の熱機関および気液二相流を扱う流体機械装置の気液分離装置及びオイルセパレ−タに関し、詳細には、より一層の高性能化並びに小型化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、気液二相流を扱う流体機械で、冷凍サイクルでは気体冷媒と液体冷媒を分離する気液分離装置、水蒸気と水あるいは空気と水を分離する気液分離装置および油と気体を分離するオイルセパレ−タ等の気液分離装置(以下これらを総称して気液分離装置と呼ぶ)は、重力によって液あるいは油を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液あるいは油を壁面に付着させた後に重力によって液あるいは油を回収する気液分離装置が用いられている。
【0003】
かかる構成の気液分離装置では、基本的に重力や遠心力などの体積力によって密度の大きい液相を分離する構造となっている。例えば、円筒状の容器の上部壁面横から容器の中心線からずらし、二相流の入口管を設け、容器の上端部中央を垂直に貫通した気相出口管を設け、容器の下端部に液相出口管を設けた気液分離装置において、入口管から容器に流入した二相流は容器内壁面に沿って旋回することにより遠心力の作用で液相を容器内壁面に付着させることにより、気相と液相に分離し、気相は気相出口管から流出し、液相は重力の作用により容器の下方に溜まり、液相出口管から取り出される。
また、容器の上端部に気相出口管を設け、容器の下端部に液相出口管を設け、二相流の入口管を気相出口管と液相出口管の中間の高さ位置に設け、先の例と同様に、入口管から容器に流入した二相流は容器内壁面に沿って旋回することにより遠心力の作用で液相を容器内壁面に付着させることにより、気相と液相に分離し、気相は気相出口管から流出し、液相は重力の作用により容器の下方に溜まり、液相出口管から取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公開平8―110128
【特許文献2】特許公開2007−271110
【特許文献3】特許公報第4248770号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、二相流の入口管と気相出口管の管径に対して容器径が十分に大きい場合であり、容器径が小さくなった場合の問題には配慮されていない。即ち、冷凍サイクルユニットの小型化に伴い、部品の取り付けスペースも制約を受け、各部品の小型化が求められ、気液分離装置も小型小径化が求められている。一方、気液分離装置が小型小径化されても、気液分離装置への入口管および気相出口管の径は冷凍装置等製品の所定の冷凍能力、即ち、冷媒流量により決まり、入口管および気相出口管における圧力損失の観点から、気液分離装置の小型小径化に合わせて管径を小さく出来ないため、分離装置の容器と出口管の間の空間が狭くなり、分離性能が低下する問題があった。
【0006】
例えば、最近の冷凍サイクルに使用される圧縮機は、冷凍負荷に応じて回転数を変化させるインバータ方式が主流であり、冷凍負荷が小さくなると圧縮機回転数を下げ、圧縮機からの吐出冷媒流量を減少させる。圧縮機から冷媒と共に吐出される冷凍機油を回収するために、圧縮機吐出管にオイルセパレータを設ける場合、圧縮機からの吐出冷媒流量が減少すると入口管から容器に流入した二相流の旋回流速が低下するため遠心力の作用が弱まり、入口管から容器へ流入するときに発生する微細液滴ミストを容器内壁面に十分に捕捉出来なくなり、タンク式のように容器の大きさが十分でないと、効率の良い気液分離が出来ないという課題があった。
【0007】
また、圧縮機回転数が上がった時には、圧縮機からの吐出冷媒流量が増加し、入口管から容器に流入した二相流の旋回流速が高くなり遠心力の作用は強まるが、入口管から容器への流入速度が速くなると、微細液滴ミストが発生しやすくなり、容器の大きさが十分でないと微細液滴ミストが気流に乗り、気相出口管に吸い込まれやすくなり、効率の良い気液分離が出来ないという課題があった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は小型小径化を維持しながら効率の良い気液分離装置を提供し、さらに、その気液分離装置を空気調和機、冷蔵庫、冷凍庫、除湿機、ショーケース、自動販売機、車両用冷凍・空調機および気液二相流を扱う流体機械装置等へ採用することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
二相流が入口管から容器内へ流入することにより発生する微細液滴ミストが、気相出口管に吸い込まれ難くする手段の考え方は二つあり、その第一は入口管から容器内へ流入した二相流の液相成分である微細液滴ミストが容器の中心側に広がるのを防止し、二相流の液相成分が容器の内壁面に付着し易くする手段であり、第二には入口管から容器内へ流入する入口管先端位置を極力容器内壁面に近づけ、二相流の液相成分である微細液滴ミストをただちに容器内壁面に付着させ、極力気相出口管から離れた位置で容器内壁面に沿って旋回させる手段である。以下にそれらの手段について説明する。
【0010】
請求項1に記載の発明は、小型小径化を維持しながら効率の良い気液分離装置を提供するものであり、入口管から容器内に流入した二相流の液相成分が容器の中心側に広がるのを防止し、且つ、入口管先端の気相出口管側端から入口管軸に平行な容器内壁面までの距離Soを小さくし、二相流の液相成分が容器の内壁面にただちに付着し易くし、容器内へ流入した二相流の液相成分を極力気相出口管から離れた位置で容器内壁面に沿って旋回させるため、入口管先端が気相出口管を通り越すよう容器側面より入口管を取り付け、入口管が気相出口管の外径に重なることを防止するように気相出口管に対面する入口管先端に至る入口管の一部に入口管中心側に向かう傾斜部を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管の外径をdio,入口管先端の潰し厚さをhとしたとき、h/dio=0.75±0.1としたことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、h/dioを可変させ、h/dio=0.75±0.1になるようにしたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管先端の気相出口管側端から入口管軸に平行な容器内壁面までの距離をSo、潰し厚さをhとしたとき So<hとしたことを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管2の傾斜開始点を容器と入口管の内側接合点と一致させるか又は内側接合点の内側にしたことを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、容器に入口管を接合する部分の管外径をdとし、入口管の先端側の入口管先端に至る一部を小径化し入口管の先端の外径をdioとし、小径化部の入口管先端に至る一部を潰し傾斜部を設け、外径がdioの入口管の先端を厚さhに潰し、入口管先端幅がWになるとき、Wより大きな管外径dとしたことを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、容器に入口管を接合する部分の管外径をdioとし、入口管先端に至る一部を潰し傾斜部を設け、傾斜部先端を潰し幅W方向に波形潰しにすることにより、W≦dioにしたことを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管と気相出口管の間の隣接点および入口管先端と容器内壁面の間の隣接点を当接または接合したことを特徴としている。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管の入口管先端に至る一部の中心を入口管軸からY偏心させ小径化し、更にその小径化した入口管先端の潰し厚さがhになる傾斜部を設けたことを特徴としている。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、気相出口管と入口管の隣接点の距離を確保するように、気相出口管の一部を小径化等した、若しくは、気相出口管の中心軸に対して小径化部の中心軸を偏心させたことを特徴としている。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10記載の気液分離装置にあって、気相出口管に気相出口管小径化部を設け、気相出口管の外径をdgo、気相出口管小径化部の潰し幅をWoとしたときWo≦dgoの範囲で気相出口管小径化部を潰し、潰し面が入口管の傾斜部と略平行に対面するように取り付けたことを特徴としている。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、気相出口管の中心軸は円筒状容器の中心軸に対してZ偏心して取り付けられ、容器の中心軸に対する偏心Zの方向を入口管の傾斜部と反対の方向に気相出口管を取り付けたことを特徴としている。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管先端に微少距離εの管軸に平行な平行面部を設けたことを特徴としている。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項1から請求項13のいずれか一項記載の気液分離装置にあって、気液分離装置の二相流入口管に、冷凍サイクル中の圧縮機吐出管を接続し、気液分離装置の液相出口管を流量調整絞りを介して圧縮機吸込み管に接続し、一方、気液分離装置の気相出口管を冷凍サイクル中の凝縮器に至る管路に接続したことを特徴としている。
【0024】
請求項15に記載の発明は、請求項1から請求項13のいずれか一項記載の気液分離装置を気液二相流を扱う流体機械装置に適用したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、入口管先端が気相出口管を通り越すよう容器側面より入口管を取り付け、入口管が気相出口管の外径に重なることを防止するように気相出口管に対面する入口管先端に至る入口管の一部に入口管中心側に向かう傾斜部を設けることにより、入口管から容器内に流入した二相流の液相成分が容器の中心側に広がるのを防止し、且つ、入口管から容器内へ流入する入口管先端から容器内壁面までの距離Soを小さくし、二相流の液相成分が容器の内壁面にただちに付着し易くし、容器内へ流入した二相流の液相成分を極力気相出口管から離れた位置で容器内壁面に沿って旋回させることにより、気液分離装置を小型小径化した時、気液分離装置の容器と気相出口管の間の空間が狭くても効率の良い気液分離装置を提供出来る。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、傾斜部付き入口管の外径をdio、入口管先端の潰し厚さをhとしたとき、h/dio=0.75±0.1とすることにより、入口管先端から流出する二相流の流速が適切になり、良好な分離性能を確保出来る。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、h/dioを可変させ、h/dio=0.75±0.1になるようにしたことにより、流量の変化に応じてh可変ブレードの撓みが変化し、流路断面積が変わり、適切な流速に自動調整され、流量が変化しても良好な分離性能が得られる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、入口管先端の気相出口管側端から入口管軸に平行な容器内壁面までの距離をSo、潰し厚さをhとしたとき So<hとすることにより、二相流の液相成分が容器の内壁面にただちに付着し易くし、容器内へ流入した二相流の液相成分を極力気相出口管から離れた位置で容器内壁面に沿って旋回させるため、良好な分離性能を確保出来る。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、入口管2の傾斜開始点を容器と入口管の内側接合点と一致させるか又は内側接合点の内側にすることにより、傾斜角θを小さくでき、入口管先端の気相出口管側端と容器内壁面との距離Soを小さくでき、更に良好な分離性能が得られる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、容器に入口管を接合する部分の管外径をdとし、入口管の先端側の入口管先端に至る一部を小径化し入口管の先端の外径をdioとし、小径化部の入口管先端に至る一部を潰して傾斜部を設け、外径がdioの入口管の先端を厚さhに潰し入口管先端幅がWになるとき、Wより大きな管外径dとするため、潰し幅Wの入口管先端を容器内に貫通させることが可能で、入口管の管径dの部分で容器と接合することにより、接合の信頼性が高く、容器への穴加工も容易な気液分離装置が得られる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、容器に入口管を接合する入口管外径をdioとし、入口管先端に至る一部を潰し傾斜部を設け、傾斜部先端を潰し幅W方向に波形潰しにすることにより、W≦dioにすることができ、容器に入口管外径dioが貫通出来る穴径を開けることにより、入口管の管径dioの部分で容器と接合することにより、接合の信頼性が高く、容器への穴加工も容易な気液分離装置が得られる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、入口管と気相出口管の間の隣接点および入口管先端と容器内壁面の間の隣接点を当接または接合することにより、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管および入口管先端と容器内壁面が振動しても、隣接している部品同士が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、入口管の入口管先端に至る一部の中心を入口管軸からY偏心させ小径化し、更にその小径化した入口管先端の潰し厚さがhになるように傾斜部を設けることにより、傾斜部と気相出口管との間にクリアランスδ1を確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、気相出口管と入口管の隣接点の距離を確保するように、気相出口管の一部を小径化等した、若しくは、気相出口管の中心軸に対して小径化部の中心軸を偏心させたことにより、傾斜部7と気相出口管との間にクリアランスδ1を確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、気相出口管に気相出口管小径化部を設け、気相出口管の外径をdgo、気相出口管小径化部の潰し幅をWoとしたときWo≦dgoの範囲で気相出口管小径化部を潰し、潰し面が入口管の傾斜部と略平行に対面するように取り付けることにより、傾斜部と気相出口管との間にクリアランスδ1を確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、気相出口管の中心軸は円筒状容器の中心軸に対してZ偏心して取り付けられ、容器の中心軸に対する偏心Zの方向を入口管の傾斜部と反対の方向に気相出口管を取り付けることにより、傾斜部と気相出口管との間にクリアランスδ1を確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、入口管先端に微少距離εの管軸に平行な平行面部を設けることにより、バリ発生を防止し、二相流が容器内に流出するとき、二相流が容器と気相出口管の間の空間に広がるのを防止でき、良好な気液分離性能を確保できる。
【0038】
請求項14に記載の発明によれば、気液分離装置の二相流入口管に、冷凍サイクル中の圧縮機吐出管を接続し、気液分離装置の液相出口管を流量調整絞りを介して圧縮機吸い込み管に接続し、一方、気液分離装置の気相出口管を冷凍サイクル中の凝縮器に至る管路に接続することにより、運転時、起動時共に冷凍サイクルへの冷凍機油流出を防止でき、高効率な冷凍サイクル運転が可能になり、また、信頼性の高い運転が可能になる。
【0039】
請求項15に記載の発明によれば、二相流を扱う流体機械装置に本発明の気液分離装置を適用することにより、気相成分を効率的に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を備えた第1の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す気液分離装置の拡大A-A断面図である。
【図3】本発明の効果を示す実験結果のグラフである。
【図4】本発明に至る前段階の技術における容器1への入口管2の取り付け状態を示す 断面図である。
【図5】本発明を備えた第2の実施の形態の気液分離装置を説明する実験結果の一例を示すグラフである。
【図6】本発明を備えた第3の実施の形態の気液分離装置の入口管を示す断面図である。
【図7】図2の入口管2から流出する微細液滴ミストの流れ状態イメージを示す断面図である。
【図8】図4の入口管2から流出する微細液滴ミストの流れ状態イメージを示す断面図である。
【図9】本発明を備えた第4の実施の形態を説明するグラフである。
【図10】本発明を備えた第5の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明を備えた他の第5の実施の形態を示す断面図である。
【図12】図10の構成において、傾斜角θをさらに小さくした場合の断面図である。
【図13】(a)は本発明を備えた第6の実施の形態が生まれるに至る課題を説明する断面図である。(b)は図13(a)のB視図である。
【図14】(a)は本発明を備えた第6の実施の形態の一つ目の実施形態を示す断面図である。(b)は図14(a)のC視図である。
【図15】本発明を備えた第6の実施の形態の入口管を容器に装着した状態を示す断面図である。
【図16】(a)は本発明を備えた第6の実施の形態の二つ目の実施形態の入口管縮管状態を示す断面図である。(b)は図16(a)のD視図である。
【図17】(a)は本発明を備えた第6の実施の形態の二つ目の実施形態を示す入口管断面図である。(b)は図16(a)のD視図である。
【図18】(a)は本発明を備えた第7の実施の形態を示す入口管断面図である。(b)は図18(a)のE視図である。
【図19】(a)は本発明を備えた第7の実施の形態を示す他の入口管断面図である。(b)は図19(a)のF視図である。
【図20】本発明を備えた第8の実施の形態を示す断面図である。
【図21】本発明を備えた第8の実施の形態が生まれるに至る課題を説明する断面図である。
【図22】(a)は本発明を備えた第9の実施の形態の一つ目の実施の形態を示す断面図である。(b)は図22(a)のG視図である。
【図23】(a)は本発明を備えた第9の実施の形態の二つ目の実施の形態を示す断面図である。(b)は図23(a)のH視図である。
【図24】本発明を備えた第9の実施の形態の入口管を組みこんだ場合の断面図である。
【図25】本発明を備えた第10の実施の形態を示す断面図である。
【図26】図25の拡大B−B断面視図である。
【図27】本発明を備えた第11の実施の形態を示す断面図である。
【図28】図27の拡大C−C断面視図である。
【図29】本発明を備えた第12の実施の形態を示す断面図である。
【図30】本発明を備えた第12の実施の形態の他の実施の形態を示す断面図である。
【図31】本発明を備えた第13の実施の形態を示す断面図である。
【図32】図31の拡大D−D断面視図である。
【図33】本発明を備えた第14の実施の形態を示す断面図である。
【図34】本発明を備えた第15の実施の形態を示す、気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の冷凍サイクル構成図である。
【図35】本発明を備えた第16の実施形態を示す、気液分離装置を気液二相流を扱う流体機械装置に適用した系統図である。
【図36】従来技術における入口管の取り付け状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
【第1の実施の形態】
【0042】
図1は本発明を備えた第1の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図2は図1に示す気液分離装置の拡大A-A断面図である。
図1において、円筒状の容器1の上部壁面横から容器1の中心線からずらし、二相流の入口管2を設け、容器1の上端部略中央を垂直に貫通した気相出口管3を設け、容器1の下端部に液相出口管4を設けている。図2に示した水平断面図で、二相流の入口管2を円筒状容器側壁より挿入したとき,該容器上端部より挿入された気相出口管3に重合し、且つ二相流の入口管2が気相出口管3を通り越した1象限で二相流の入口管2の先端が容器内壁5に隣接または当接する関係寸法に構成すると共に、入口管2は図2に示すように、その中心線が容器1の中心を通る水平中心線12から距離Lずらし、容器1と気相出口管3の間の空間17に容器1の壁面を貫通し、容器1の内部に二相流が流入可能となるように取り付けられており、入口管先端6が気相出口管3を通り越すよう容器側面より入口管2を取り付け、入口管2は気相出口管3の外径への重なりを防止するように気相出口管3に対面する入口管先端6に至る入口管2の一部を潰し、傾斜開始点18から角度θで入口管中心側に向かう傾斜部7を設け、傾斜部7は、容器1の水平断面の中心を通る垂直中心線11と水平中心線12で区分される四つの象限において、二つの象限にまたがるように設け、気液二相流が入口管2から円筒状の容器1の中に流入するとき、二相流が容器内壁面5側に押し付けられるように構成されている。
【0043】
上記構成において、入口管2から容器1に流入する二相流は傾斜部7に沿う流れ9により容器内壁面5側に押し付けられた後、容器内壁面5に沿って旋回流13が発生し、遠心力の作用により液相は容器内壁面5に付着し分離され、液相は重力の作用により容器1の下方に溜まり、液相出口管4から取り出される。気相は容器1内を旋回しながら下方に流れ、気相出口管下端8から気相出口管3に流入し、気相出口管3から流出する。
【0044】
気相出口管3に対面する入口管先端6に至る入口管2の一部に入口管中心側に向かう傾斜部7を設けることにより、以下に示す三つの効果が働き、小型小径化を維持しながら効率の良い気液分離装置を提供出来る。
【0045】
第一の効果は、気相出口管3に対面する入口管先端6に至る入口管2の一部に入口管中心側に向かう傾斜部7を設けることにより、容器1と気相出口管3の間の空間が狭い場合でも、入口管2と気相出口管3が重なることなく、入口管先端6と容器内壁面5間の距離Soを小さくでき、二相流が容器内壁面5に接触しやすくなるので、二相流の液相成分がただちに容器内壁面5に付着し易くなり、気液分離性能が向上する。
【0046】
第二の効果は、入口管2から容器1に流入する二相流は傾斜部に沿う流れ9により容器内壁面5側に押し付けられるため、入口管先端6から流出する二相流が容器中心側に広がるのを防止でき、二相流が容器内壁面5に接触しやすくなるので、二相流の液相成分が容器内壁面5に付着し易くなり、気液分離性能が向上する。
【0047】
第三の効果は、気相出口管3に対面する入口管先端6に至る入口管2の一部に入口管中心側に向かう傾斜部7を設けることにより入口管先端の気相出口管側端10は気相出口管3から離れる。従って、入口管先端の気相出口管側端10から流出した微細液滴ミストは気相出口管3から離れた位置で気相出口管3の周りを旋回しながら気相出口管下端8、すなわち、気相出口管流入部に至るため、気相出口管流入部に微細液滴ミストが吸い込まれ難くなり、気液分離性能が向上する。
【0048】
上記発明の効果を実験により確認した一例を図3、図36、図4および先に示した図2を用いて説明する。
図3は上記した本発明の効果を示す実験結果であり、比較の為に、従来技術および本発明に至る前段階の技術による実験結果も併記している。
【0049】
図36は従来技術における容器1への入口管2の取り付け状態を示す断面図であり、入口管先端6は単純な円筒形状であり、入口管先端6は容器内壁面5に接するように、垂直中心線11の位置まで挿入され取り付けられている。
図4は本発明に至る前段階の技術における容器1への入口管2の取り付け状態を示す断面図であり、入口管先端6には傾斜部7が設けられているが、入口管先端6は容器内壁面5に接するように、垂直中心線11の位置まで挿入され取り付けられている。
【0050】
図3のグラフの横軸は気液分離器の最大流量に対する流量比を%で示しており、縦軸は気液分離器に流入する液相成分に対して、気液分離器で分離され、液相出口管4から取り出される液相成分の質量割合を分離率として%で示している。
【0051】
図3のグラフにおいて、◆で示した実験1は図36に示した従来技術における入口管2の取り付け状態の場合であり、流量の低下により分離率は大幅に低下している。この理由は流量の低下により入口管先端6から流出する二相流の流速が低下するため遠心力の作用が弱まり、微細液滴ミストが気相出口管3の周囲にも分布しながら気相出口管下端8、すなわち、気相出口管流入部に至るためである。
【0052】
それに対して、■で示した実験2は図4に示した本発明に至る前段階の技術における入口管2の取り付け状態の場合であり、流量低下による分離率の低下が大幅に改善されている。その理由は前記第二の効果と第三の効果によるものである。
【0053】
更に、図3のグラフに●で示した結果は図2の本発明の入口管2の取り付け状態の場合であり、100%流量における分離率は更に向上し、また、流量低下50%の場合でも分離率の低下も大幅に改善されている。その理由は前記第二の効果と第三の効果に加え、前記第一の効果よるものである。
【第2の実施の形態】
【0054】
第1の実施の形態で述べたように、入口管先端6の気相出口管側の一部を潰し、入口管中心側に向かう傾斜部7を設け、入口管先端6と容器内壁面5間の距離Soを小さくすることにより分離率が向上することが明らかになった。そこで、図2に示す入口管先端6の潰し厚さhの最適値を明らかにするため、入口管先端6の潰し厚さhの影響を実験により検討した。
【0055】
図5は第2の実施の形態を説明する本発明を備えた気液分離装置の入口管先端6の潰し厚さhと入口管2の外径dioの比h/dioに対して、分離率を測定した結果を示すグラフである。
また、実験結果には、入口管2の外径dio=d1,d2の2種類の入口管を使用し、さらに、流量G=100%と67%の2つの条件の場合を示している。実験結果によると分離率はh/dioに対してピーク値が存在し、ピーク値が存在する理由は以下によるものである。
h/dio=1.0は先端を潰さない単純な円筒形状の場合であり、先端を潰し、hを小さくするに従い入口管先端6の流路断面積は小さくなり、入口管先端6から流出する二相流の流速が速くなり、容器内壁面5に沿う旋回流13の遠心力の作用が大きくなり、液相は容器内壁面5に付着しやすくなり分離性能が向上する。
しかし、h/dioを小さくしすぎ、入口管先端6から流出する二相流の流速が速くなりすぎると、二相流が入口管先端6から流出するとき、多くの微細液滴ミストが発生しやすくなり、微細液滴ミストは気相出口管3の周りを旋回しながら気相出口管下端8、すなわち、気相出口管流入部に至るため、気相出口管流入部に微細液滴ミストが吸い込まれ易くなり、分離性能が低下するためである。
【0056】
また、図5において、いずれのh/dioでも流量が100%から67%に低下すると分離性能が低下している。その理由は、流量が低下すると入口管先端6から流出する二相流の流速が低下し、容器内壁面5に沿う旋回流13の遠心力の作用が小さくなり、液相は容器内壁面5に付着し難くなるためである。
【0057】
分離率は全体的に見てh/dio=0.75付近がピークとなっている。実際に物を加工する場合には寸法公差を考える必要があり、図5のグラフより寸法公差としてh/dio=±0.1として、h/dio=0.75±0.1とすれば良好な分離性能を確保出来ることが分かる。
【第3の実施の形態】
【0058】
以上に述べたように、流量が変化した時、分離率は変化する。従って、流量の変化に伴い、hが変わるh可変構造とするとにより、より広い流量範囲で良好な分離率が得られる。
図6を用いて第3の実施の形態を説明する。図6は図2の入口管のみを取り出した断面図であり、h可変ブレード30を入口管2の傾斜部7の入口管内側に支持点31で溶接等により取り付けられている。h可変ブレード30は所定の流量範囲でその撓みが変わる材質で構成され、等価的にhを可変に出来る機構としている。即ち、(a)は流量が低い場合のh可変ブレード30の状態図であり、(b)は流量が高い場合のh可変ブレード30の状態図である。図6(a)に示すように、流量が低い場合にはh可変ブレード30の撓みが小さくhが小さい状態にあり、路断面積が縮小され、入口管先端6から流出する流速を高い状態で維持でき、容器内壁面に沿う旋回流の遠心力の作用が大きく、液相は容器内壁面5に付着し易くなり分離性能が向上する。
【0059】
一方、図6(b)に示すように、流量が高い場合にはh可変ブレード30に作用する動圧が大きくなるため、h可変ブレード30の撓みが大きくhが大きい状態になり、流路断面積が拡大され入口管先端6から流出する流速を適度な速さに押さえることにより、二相流が入口管先端6から流出するとき微細液滴ミストの発生を抑制し、分離性能が向上する。
【0060】
上記構成にすることにより、流量の変化に応じてh可変ブレード30の撓みが変化し、流路断面積が変わり、適切な流速に自動調整され、流量が変化しても良好な分離性能が得られる。
【第4の実施の形態】
【0061】
先に説明した図2、図3、および図7、図8、図9を用いて第4の実施の形態を説明する。
図7は先に述べた図2の入口管2から流出する微細液滴ミストの流れ状態のイメージを示す断面図であり、図8は先に述べた図4の入口管2から流出する微細液滴ミストの流れ状態のイメージを示す断面図である。図9は本発明を備えた第3の実施の形態を説明するグラフであり、傾斜角θを変化させたときの無次元傾斜角θ/θ0に対してSo/hをプロットしたグラフである。
図3に示したグラフにおいて、●で示した図2の本発明の入口管2の取り付け状態の実験結果は、■で示した図4の本発明に至る前段階の技術における入口管2の取り付け状態の実験結果に比べ、100%流量における分離率は向上し、また、流量低下50%の場合でも分離率の低下も大幅に改善されている。両者の場合共に、気相出口管3に対面する入口管先端6に至る入口管2の一部を潰し、傾斜部7を設けているにも拘わらず分離率に差が出ている理由は以下による。
【0062】
図8において、入口管2の入口管軸14に平行な入口管直線部側15は容器内壁面に接しているが、入口管先端6の気相出口管側端10と容器内壁面5との距離Soは離れている。従って、入口管先端6から流出した微細液滴ミスト16は図8に示すよう容器1と気相出口管3の間の空間17に広がりやすく、気相出口管3の周りを旋回しながら気相出口管下端8、すなわち、気相出口管流入部に至るため分離率が低下しやすくなる。
【0063】
それに対して、図7では、入口管2の入口管軸14に平行な入口管直線部側15は容器内壁面に当接しており、入口管先端6の気相出口管側端10と容器内壁面5との距離Soは小さく、入口管先端6から流出した微細液滴ミスト16は図7に示すようにただちに容器内壁面5に当たり、微細液滴ミストは容器内壁面5に付着し易く、良好な分離率がえられる。
【0064】
従って、入口管先端6の気相出口管側端10と容器内壁面5との距離Soが分離率に影響している。図2に示した構成において、入口管2の外径dioと潰し厚さhを一定にした状態で傾斜角θを変化させたときのSoを求め、So=hのときのθをθ0として、θ/θ0に対してSo/hをプロットしたのが図9である。図9より、傾斜角θを小さくしθ/θ0<1の領域を用いることにより、So/h<1すなわち、少なくとも So<hとすることにより良好な分離率が得られる。
【第5の実施の形態】
【0065】
先に示した図2、図5および図10、図11、図12を用いて第5の実施の形態を説明する。
図10は本発明を備えた第5の実施の形態を示す断面図であり、図2よりも傾斜角θを小さくした場合の水平断面図である。図11は本発明を備えた他の第5の実施の形態を示す断面図であり、傾斜角θを小さくし、容器1の入口管貫通部にバーリング19を設けた場合の水平断面図である。図12は図10の構成において、傾斜角θをさらに小さくした場合の水平断面図である。
【0066】
図5に示したように、入口管2の外径dioと潰し厚さhの間には高い分離率を維持できる関係があるので、図2において、入口管2の外径dioと潰し厚さhを一定にした状態で傾斜角θを小さくすると、図10示すように、傾斜開始点18は図の左の方に移動し、傾斜開始点18が容器1の容器内壁面5と一致し、その点が容器1と入口管2の内側接合点20となる。傾斜角θを小さくすると、入口管2の入口管先端6は右方向に移動できることになり、入口管先端6の気相出口管側端10と容器内壁面5との距離Soを小さくでき、更に良好な分離率が得られる。
【0067】
図11に示すように、傾斜角θを小さくし、容器1の入口管貫通部にバーリング19を設けた場合、容器1と入口管2の内側接合点はバーリング部分の内側接合点20となる。傾斜開始点18は内側接合点20まで左に寄せることができるので、傾斜角θを小さくでき、図10の場合と同様な理由で入口管先端6の気相出口管側端10と容器内壁面5との距離Soを小さくでき、さらに良好な分離率が得られる。
【0068】
図12に示すように、傾斜角θをさらに小さくした場合には傾斜開始点18は容器の外径21の外に出るため、容器壁22と入口管2との間に隙間23ができ、容器壁22と入口管2との溶接等による接合のときに溶接不良等の問題が発生しやすくなる。図示してはいないが、図11のようにバーリング19を設けた場合でも、傾斜角θが小さすぎると、傾斜開始点は容器の外径の外に出るため、同様な問題が発生する。
【0069】
以上に述べたように、傾斜角θを小さくしながら、上記問題を回避するためには、入口管2の傾斜開始点18を容器1と入口管2の内側接合点20と一致させるか又は内側接合点の内側にすることが必要である。なお、図9のグラフにおいて、一番左側のプロット点が入口管2の傾斜開始点18を容器1と入口管2の内側接合点20と一致させた場合の点である。
【第6の実施の形態】
【0070】
図13(a)、図13(b)および図14(a)、図14(b)、図15を用いて第6の実施の形態の一つ目の実施形態を説明する。図13(a)は図10の傾斜部7を設けた入口管2のみを取り出した断面図であり、図13(b)は図13(a)のB視図である。
図14(a)は本発明を備えた第6の実施の形態の一つ目の実施形態を示す断面図であり、容器1との接合に適した入口管2の断面図であり、図14(b)は図14(a)のC視図である。図15は容器1に接合するのに適した入口管2を容器に装着した場合を示す断面図である。
図13(a)において、外径dioの入口管2の傾斜開始点18から角度θで入口管中心側に向かう傾斜部7を設けることにより、入口管先端6を潰し厚さhに潰すと、潰した先端の幅はWとなり、当然のことながらW>dioとなる。従って、容器1に穴を開け、図13(a)の入口管を容器内に貫通させようとすると、容器の貫通穴24は潰した先端の幅Wが通過できる径にするか又は先端端面25の形状に合わせた変則的な穴を開ける必要がある。先端の幅Wが通過できる穴径D=WにするとW>dioであるため、容器1と入口管2の間に隙間が生じ溶接等による接合が難しくなる。また、先端端面25の形状に合わせた変則的な穴を開けると、加工が難しくコストが上がるという問題がある。
【0071】
そこで、容器との接合に適した入口管として、図14(a)、図14(b)に示す形状の第2の入口管26を考案した。すなわち、外径がdioの入口管の先端を厚さhに潰し、入口管先端幅がWになるとき、Wより大きな管径dの管を選び、その管の一部を縮管し小径化し、径がdioの縮管部27を造る。さらに、径がdioの縮管部27の傾斜開始点18から角度θで入口管中心側に向かう傾斜部7を設けることにより、入口管先端6の潰し厚さh、潰し幅Wに加工できる。この様に、容器に入口管を接合する部分の管外径をdとし、傾斜部7を設ける部分の管外径をdioとし、外径がdioの入口管の先端を厚さhに潰し、入口管先端幅がWになるとき、Wより大きな管外径dとなる二段径縮管入口管にすることにより、容器1には管径dより僅かに大きめの穴を開けておけば、潰し幅Wの入口管先端6を容器内に貫通させることが可能で、第2の入口管26の管径dの部分で容器1と接合することにより、上記した問題を解決できる。なお、外径dioの管を用い、その一部を外径dに拡管し、外径dioの管の先端に傾斜部7を設けても同様に問題を解決できる。以上に述べた第2の入口管26を容器内に装着した場合の断面図が図15である。
【0072】
図16(a)、図16(b)、図17(a)、図17(b)を用いて第6の実施の形態の二つ目の実施形態を説明する。
図14(a)に示した一つ目の実施形態では、容器に入口管を接合する部分の管外径がdの管を管外径dioに二段縮管し、入口管先端6の潰し厚さがhになるように傾斜部を設けているが、縮管の形状は二段縮管に限らず、図16(a)に示すように容器1に入口管を接合する部分の管外径がdの管を入口管先端6の径がdioになるようにテーパ状に縮管しても良い。図16(a)に示すようにテーパ状に縮管した後、図17(a)、図17(b)に示すように入口管先端幅をWとしたとき、W≦dの範囲内で縮管部27に入口管先端6の潰し厚さがhになるように傾斜部7を設けても同様な効果である。
【第7の実施の形態】
【0073】
図18(a)、図18(b)、図19(a)、図19(b)を用いて第7の実施の形態を説明する。
図14(a)、図17(a)はいずれも入口管先端6の外径dioを厚さhに潰し、入口管先端幅がWになるとき、W>dioとなるため、容器に入口管を接合する部分の管外径がdの管を入口管先端6の径がdioになるように縮管し、縮管後に傾斜部を設けている。
そこで、容器に接合するのに適した入口管として、図18(a)、図18(b)、図19(a)、図19(b)に示す形状の第3の入口管33を発明した。すなわち、図18(b)、図19(b)に示すように傾斜部先端面を潰し幅W方向に波形潰し32にすることにより、W≦dioに構成でき、容器1には入口管外径dioが貫通出来る穴を開けておけば、潰し幅Wの入口管先端6を容器内に貫通させることが可能である。図18(b)に比べ図19(b)に示すように波数を多くすることにより入口管先端6の流路断面積を大きく確保することが可能になる。なお、本実施形態に於いては、入口管外形dでなく、dio(小径化後外径)で説明したが、dとWとの関係に於いても、同様にW≦dである。
【第8の実施の形態】
【0074】
図20を用いて第8の実施の形態を説明する。
図20は本発明を備えた第8の実施の形態を示す断面図であり、基本的に先に説明した第5の実施の形態の図10と同じである。図21は本発明を備えた第8の実施の形態が生まれるに至る課題を説明する断面図である。
図10に示すように、入口管2と気相出口管3および入口管先端6と容器内壁面5が隣接しているとき、気液分離装置が取り付けられている装置の振動により気液分離装置も振動し、入口管2と気相出口管3および入口管先端6と容器内壁面5も振動し、隣接している部品同士が衝突を繰り返し、騒音の発生や磨耗の原因になる可能性がある。
【0075】
そのような場合、図20に示すように入口管2と気相出口管3の間の隣接点および入口管先端6と容器内壁面5の間の隣接点を隣接点D28および隣接点E29として、当接または接合することにより、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管2と気相出口管3および入口管先端6と容器内壁面5が振動しても、隣接している部品同士が衝突することなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
密閉された容器1に入口管2と気相出口管3を組み込んだ後で隣接点D28および隣接点E29として接合する方法は、例えば、容器1に入口管2と気相出口管3を組み込んだ後に電気抵抗法等により接合することができる。
また、本実施形態では図20に示したように、容器1の入口管貫通部にバーリングを設けていない場合を示したが、図11に示したようにバーリング19を設けた場合でも同様の効果がある。さらに図15に示した縮管加工を行った場合も同様の効果がある。
【第9の実施の形態】
【0076】
図21、図22、図23および図24を用いて第9の実施の形態を説明する。
図21は本発明を備えた第9の実施の形態が生まれるに至る課題を説明する断面図である。
図22は本発明を備えた第9の実施の形態の一つ目の実施の形態を示す断面図であり、図23は本発明を備えた第9の実施の形態の二つ目の実施の形態を示す断面図である。図24は本発明の一つ目の実施の形態の入口管を組みこんだ場合の断面図である。
図21に示すように入口管2と気相出口管3の間にクリアランスδ1、入口管先端6と容器内壁面5の間にクリアランスδ2を設けることにより隣接している部品同士が衝突を繰り返すことは無く、騒音の発生や磨耗を防止できる。
しかし、図20の入口管2の位置から図21に示すように入口管2を単に左方にずらし、クリアランスδ1、クリアランスδ2を設けると入口管先端6の気相出口管側端10と容器内壁面5との距離Soが大きくなり、先に述べたように分離性能が低下する要因となる。
【0077】
分離性能を確保するためにクリアランスδ2=0としてSoを小さくし、かつ、クリアランスδ1を所定の寸法を確保しようとすると、入口管2の外径を細くするか、または、入口管先端6の潰し厚さhを小さくすることが必要になる。入口管2の外径を細くするか、または、入口管先端6の潰し厚さhを小さくすると、入口管先端6から流出する二相流の速度が上がりすぎ分離性能が低下する要因になる場合が考えられる。また、圧力損失も増加する要因になることも考えられる。
従って、図20の入口管2と流体力学的に等価である入口管特性を維持しながら所定寸法のクリアランスδ1を確保することが必要になる。
【0078】
その手段として、二つの方法を発明した。一つ目の実施の形態は先に図14および図17で述べた入口管26の先端側に入口管先端6に至る一部に縮管部27を設ける場合、図22、図23に示すように縮管した入口管先端の中心59を入口管軸14からY偏心させ縮管し小径化し、入口管先端6の潰し厚さがhになるように傾斜部7を設けることにより、図24に示すように傾斜部7と気相出口管3との間にクリアランスδ1確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。なお、クリアランスδ1の確保は、例えば、容器1の下端に液相出口管4を取り付ける前にその取り付け穴からスペーサδ1の冶具を入れ、所定のクリアランスδ1を確保出来る。また、クリアランス確保の確認は内視鏡を用いても可能である。
【0079】
分離性能を確保するため入口管先端6と容器内壁面5の間のクリアランスδ2=0とする場合には、先に述べたように入口管先端6と容器内壁面5の間の隣接点を隣接点E29として、当接または接合することにより、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
【第10の実施の形態】
【0080】
図25、図26を用いて第10の実施の形態を説明する。第10の実施の形態は第9の実施の形態で述べた二つの方法の発明の二つ目の実施の形態である。図25は第10の実施の形態を示す断面図であり、図26は図25の拡大B−B断面視図である。図25は基本的には図1と同じであり、図1と異なる点は図26の入口管先端6側から見た断面図であり、また、管外径がdooの気相出口管3の入口管2に対面する位置から下側を外径dosに縮管により小径化し気相出口管縮管部60を設けた点である。気相出口管縮管部60を設けることにより、図26に示すように傾斜部7と気相出口管3との間にクリアランスδ1を確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。なお、外径dosの管の一部をdooに拡管しても同様な効果がある。
【第11の実施の形態】
【0081】
図27、図28を用いて第11の実施の形態を説明する。第11の実施の形態は第10の実施の形態で述べた二つ目の実施の形態をさらに発展させた実施形態である。
図27は第11の実施の形態を示す断面図である。図28は図27の拡大C−C断面視図である。図27は基本的には図25と同じであり、図25と異なる点は気相出口管3の入口管2に対面する位置から下側を縮管により小径化し、気相出口管縮管部60を設けるとき、気相出口管縮管部の中心軸62を気相出口管の中心軸61からX偏心させ縮管している点である。気相出口管縮管部の中心軸62を気相出口管の中心軸61からX偏心させ縮管し、偏心Xが気相出口管の中心軸に対して傾斜部7の反対側になるよう容器1に組み込むことにより、図28に示すように傾斜部7と気相出口管3との間にクリアランスδ1を十分に確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。なお、図25、図27で説明した実施の形態の他、本発明の実施形態の中には隣接点近くの気相出口管を部分的に小径化する案も含まれる。
【第12の実施の形態】
【0082】
図29は第12の実施の形態を示す断面図であり、図30は第12の実施の形態の他の実施形態を示す断面図である。
第12の実施の形態は、図29に示すように気相出口管3に気相出口管縮管部60を設け、気相出口管3の外径をdgo、楕円の長径を潰し幅WoとしたときWo≦dgoの範囲で気相出口管縮管部60をその断面が略楕円状になるように潰し、楕円の長径が傾斜部7と略平行に対面するように取り付けることにより、傾斜部7に対向する気相出口管縮管部の潰した面66が潰す前の気相出口管縮管部60の仮想径65の内側に位置する構成にすることにより、一層、傾斜部7と気相出口管3との間にクリアランスδ1確保することができる。
【0083】
第12の実施の形態の他の実施の形態は、図30に示すように気相出口管3に気相出口管縮管部60を設け、気相出口管3の外径をdgo、気相出口管縮管部60の潰し幅をWoとしたときWo≦dgoの範囲で気相出口管縮管部60をその断面が略D字状になるように潰し、潰し面が傾斜部7と略平行に対面するように取り付けることにより、傾斜部7に対向する気相出口管縮管部の潰した面66が潰す前の気相出口管縮管部60の仮想径65の内側に位置する構成にすることにより、一層、傾斜部7と気相出口管3との間にクリアランスδ1確保することができる。
【0084】
上記構成にすることにより、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
なお、図29、図30では気相出口管3に気相出口管縮管部60を設け、気相出口管縮管部60を潰し加工する場合を述べたが、図28に示した気相出口管縮管部の中心軸62を気相出口管の中心軸61からX偏心させ縮管している場合に同様の潰し加工をしても同様な効果が得られる。
【第13の実施の形態】
【0085】
図31、図32を用いて第12の実施の形態を説明する。
図31は第12の実施の形態を示す断面図であり、図32は図31のD−D断面視図である。
図31は基本的には図1と同じであり、図1と異なる点は図32の入口管先端6側から見た断面図であり、また、容器1の上下スピニング部63が容器の中心軸64に対してZ偏心して加工されている。従って、気相出口管3は気相出口管の中心軸61がZ偏心して取り付けられることになる。容器の中心軸64に対する偏心Zの方向を入口管2の傾斜部7と反対の方向にすることにより、図32に示すように傾斜部7と気相出口管3との間にクリアランスδ1確保することができ、装置の振動により気液分離装置が振動し、入口管と気相出口管が振動しても、両部品が衝突することはなく、騒音の発生や磨耗の問題は起こらなくなる。
【第14の実施の形態】
【0086】
図33を用いて第14の実施の形態を説明する。図33は本発明を備えた第14の実施の形態を示す断面図である。
これまでの実施形態では、いずれも入口管先端6の気相出口管3側の一部に入口管中心側に向かう傾斜部7を設けることにより、二相流の液成分がただちに容器内壁面5に付着し易くし、気液分離性能の向上を図るものであった。
【0087】
それに対して、気液分離性能を向上させるためには、入口管先端6から二相流が容器1内に流出するとき、液相成分を極力微細液滴ミストにしないことが必要である。従って、入口管先端6の流出部角にバリがあると、液相成分は微細液滴ミストになりやすいため、一般的な考え方では、バリを取るため面取り加工やR加工を行う。しかし、気液分離装置の場合には面取り加工やR加工を行うと、入口管先端6から二相流が容器1内に流出するとき、コアンダー効果により二相流が容器1と気相出口管3の間の空間17に広がりやすくなる問題がある。
【0088】
そこで、図33に示すように、入口管先端に微少距離εの管軸に平行な平行面部34を設けることにより、バリ発生を防止し、二相流が容器1内に流出するとき、二相流が容器1と気相出口管3の間の空間17に広がることが防止でき、良好な気液分離性能を確保できる。
【第15の実施の形態】
【0089】
図34を用いて第15の実施の形態を説明する。図34は本発明を備えた第1から第14の実施形態を備えた気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の冷凍サイクル構成図である。
図34はセパレート型エアコンの例であり、室外ユニット35と室内ユニット36より構成され、冷房運転時のサイクルを示している。圧縮機37で圧縮された高温高圧気相冷媒には冷凍機油が混入しており、圧縮機から吐出された気相冷媒に混入する冷凍機油量が多くなると、冷凍サイクル冷媒流路の圧力損失が増加し、また冷媒の蒸発熱伝達率および凝縮熱伝達率が低下し、冷凍サイクル効率の低下の原因になる。さらに、圧縮機起動時には圧縮機内に封入されている冷凍機油がフォーミングし、大量の冷凍機油が気相冷媒に混入し圧縮機から吐出され、冷凍サイクルに流出する。特にセパレート型エアコンの場合には、室内ユニットと室外ユニットを接続する接続配管が設けられており、この接続配管38が長い場合には、冷凍サイクルに流出した冷凍機油はただちには圧縮機に戻らず、運転条件によっては圧縮機内の冷凍機油が不足し、圧縮機の信頼性に支障をきたす問題があった。
【0090】
そこで、図34は上記課題を解決するために、圧縮機37の冷媒吐出管にコンパクトな気液分離装置39を設け、冷凍サイクル効率の確保および圧縮機の信頼性確保を図るものである。すなわち、圧縮機37で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は圧縮機37で圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管40を経て、気液分離装置39の入口管2から気液分離装置に流入する。圧縮機37で圧縮された高温高圧気相冷媒には冷凍機油が混入しており、気液分離装置39内で冷凍機油は液相として、気相冷媒は気相として分離され、それぞれ液相出口管4および気相出口管3から取り出される。液相出口管4を出た冷凍機油は液レシーバ41、流量調整絞り42をへて、圧縮機吸込み管43に吸い込まれ、冷凍機油は圧縮機に戻る。流量調整絞り42を設けている理由は、通常の運転条件では圧縮機37から吐出される高温高圧気相冷媒に混入している冷凍機油は気相冷媒に比べて少ないため、気液分離装置39で分離した冷凍機油を流量調整絞り42で徐々に圧縮機37に冷凍機油を戻すためである。また、液レシーバ41を設けている理由は、圧縮機起動時に圧縮機内に封入されている冷凍機油がフォーミングし、大量の冷凍機油が気相冷媒に混入し圧縮機から吐出されるが、これは一時的な現象であるため、気液分離装置39で分離した冷凍機油を一時的に液レシーバ41に溜め込み、流量調整絞り42で徐々に圧縮機37に冷凍機油を戻すためである。なお、気液分離装置の液溜の容積が大きな場合には必ずしも液レシーバは必要としない。
【0091】
一方、気液分離装置39内で分離された気相冷媒は気相出口管3から四方弁44を経て、凝縮器45で凝縮器用送風機46から送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。その液冷媒は減圧器47で減圧され低温低圧のニ相流となり、蒸発器48に入り蒸発器用送風機49で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機37に吸い込まれる。したがって、気液分離装置39内で冷凍機油は液相として分離され、液相出口管4から液レシーバ41、流量調整絞り42を経て、圧縮機吸込み管43に吸い込まれ、冷凍機油は圧縮機に戻るため、運転時、起動時共に冷凍サイクルへの冷凍機油流出を防止でき、高効率な冷凍サイクル運転が可能になり、また、信頼性の高い運転が可能になる。
【第16の実施の形態】
【0092】
図35を用いて第15の実施の形態を説明する。図35は本発明を備えた第1から第14の実施形態を備えた気液分離装置を気液二相流を扱う流体機械装置に適用した一例を示す系統図である。
具体的には、図35は空気清浄装置であり、空気中に混入している臭い成分、微粒子成分等の汚れ成分を除去し、清浄な空気を得るものである。臭い成分、微粒子成分を含んだ汚れ空気50は送風機51で汚れ吸着室52に送られる。一方、ポンプ53から吸着水54がノズル55に送られ、ノズル55から汚れ吸着室52内に微細水滴56を噴霧する。微細水滴56は汚れ吸着室52に送られた汚れ空気の臭い成分、微粒子成分を吸着し、下方に落下しドレン管57から取り出される。一方、清浄化された空気は空気取り出し部58から取り出されるが、その空気中には多数の微細水滴56が含まれているため、気液分離装置39の入口管2から気液分離装置39内に流入し、微細水滴56が分離され、液相出口管4より取り出され、清浄化された空気は気相出口管3より取り出される。従って、本発明の気液分離装置を用いることにより、気相成分を効率的に取り出すことができる。
【0093】
以上に述べた、気液分離装置は冷媒HFC-410Aと冷凍機油を用いた実験による知見に基づき考案されたものであるが、その基本的考え方は他のHFC系冷媒、HFO系冷媒、自然冷媒および空気―水等の一般的な気相―液相からなる二相流にも適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 容器 2 入口管
3 気相出口管 4 液相出口管
5 容器内壁面 6 入口管先端
7 傾斜部 8 気相出口管下端
9 傾斜部に沿う流れ 10 入口管先端の気相出口管側端
11 垂直中心線 12 水平中心線
13 旋回流 14 入口管軸
15 入口管直線部側 16 微細液滴ミスト
17 空間 18 傾斜開始点
19 バーリング 20 内側接合点
21 容器の外径 22 容器壁
23 隙間 24 容器の貫通穴
25 先端端面 26 第2の入口管
27 縮管部 28 隣接点D
29 隣接点E 30 h可変ブレード
31 支持点 32 波形潰し
33 第三の入口管 34 平行面部
35 室外ユニット 36 室内ユニット
37 圧縮機 38 接続配管
39 気液分離装置 40 冷媒吐出管
41 液レシーバ 42 流量調整絞り
43 圧縮機吸込み管 44 四方弁
45 凝縮器 46 凝縮器用送風機
47 減圧器 48 蒸発器
49 蒸発器用送風機 50 汚れ空気
51 送風機 52 汚れ吸着室
53 ポンプ 54 吸着水
55 ノズル 56 微細水滴
57 ドレン管 58 空気取り出し部
59 縮管した入口管先端の中心 60 気相出口管縮管部
61 気相出口管の中心軸 62 気相出口管縮管部の中心軸
63 上下スピニング部 64 容器の中心軸
65 仮想径 66 気相出口管縮管部の潰した面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の容器の上部壁面横から、容器の中心線からずらし二相流の入口管を設け、容器の上端部略中央を垂直に貫通した気相出口管を設け、容器の下端部に液相出口管を設けた気液分離装置において、水平断面図で、二相流入口管を円筒状容器側壁より挿入したとき,該容器上端部より挿入された気相出口管に重合し、且つ二相流入口管が気相出口管を通り越した1象限で二相流入口管の先端が容器内壁に隣接または当接する関係寸法に構成すると共に、入口管先端が気相出口管を通り越すよう容器側面より入口管を取り付け、入口管が気相出口管の外径に重なることを防止するように気相出口管に対面する入口管先端に至る入口管の一部にを潰し、入口管中心側に向かう傾斜部を設けたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
請求項1記載の気液分離装置にあって、傾斜部付き入口管の外径をdio,入口管先端の潰し厚さをhとしたとき、h/dio=0.75±0.1としたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項3】
請求項1記載の気液分離装置にあって、h/dioを可変させ、h/dio=0.75±0.1になるようにしたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項4】
請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管先端の気相出口管側端から入口管軸に平行な容器内壁面までの距離をSo、潰し厚さをhとしたとき So<hとしたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項5】
請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管2の傾斜開始点を容器と入口管の内側接合点と一致させるか又は内側接合点の内側にしたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項6】
請求項1記載の気液分離装置にあって、容器に入口管を接合する部分の管外径をdとし、入口管の先端側の入口管先端に至る一部を小径化し入口管の先端の外径をdioとし、小径化部の入口管先端に至る一部を潰して傾斜部を設け、外径がdioの入口管の先端潰し厚さをhに潰し、入口管先端幅がWになるとき、Wより大きな管外径dとしたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項7】
請求項1記載の気液分離装置にあって、容器に入口管を接合する部分の管外径をdioとし、入口管先端に至る一部を潰し傾斜部を設け、傾斜部先端を潰し幅W方向に波形潰しにすることにより、W≦dioにしたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項8】
請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管と気相出口管の間の隣接点および入口管先端と容器内壁面の間の隣接点を当接または接合したことを特徴とする気液分離装置。
【請求項9】
請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管の入口管先端に至る一部の中心を入口管軸からY偏心させ小径化し、更にその小径化した入口管先端の潰し厚さがhになるように傾斜部を設けたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項10】
請求項1記載の気液分離装置にあって、気相出口管と入口管の隣接点の距離を確保するように、気相出口管の一部を小径化等した、若しくは、気相出口管の中心軸に対して小径化部の中心軸を偏心させたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項11】
請求項10記載の気液分離装置にあって、気相出口管に気相出口管小径化部を設け、気相出口管の外径をdgo、気相出口管小径化部の潰し幅をWoとしたときWo≦dgoの範囲で気相出口管小径化部を潰し、潰し面が入口管の傾斜部と略平行に対面するように取り付けたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項12】
請求項1記載の気液分離装置にあって、気相出口管の中心軸は円筒状容器の中心軸に対してZ偏心して取り付けられ、容器の中心軸に対する偏心Zの方向を入口管の傾斜部と反対の方向に気相出口管を取り付けたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項13】
請求項1記載の気液分離装置にあって、入口管先端に微少距離εの管軸に平行な平行面部を設けたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項記載の気液分離装置の二相流入口管に、冷凍サイクル中の圧縮機吐出管を接続し、気液分離装置の液相出口管を流量調整絞りを介して圧縮機吸い込み管に接続し、一方、気液分離装置の気相出口管を冷凍サイクル中の凝縮器に至る管路に接続したことを特徴とする冷凍装置。
【請求項15】
請求項1から請求項13のいずれか一項記載の気液分離装置を気液二相流を扱う流体機械装置に適用したことを特徴とする流体機械装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−247575(P2011−247575A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97728(P2011−97728)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(596083364)日冷工業株式会社 (10)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)