説明

水と気体を混合する装置

【課題】気体を含む飲料水の製造を目的とし、構造が単純で低コストで製造でき、水と気体が良好に混合する装置を提供する。
【解決手段】水供給系統3から供給される水と、気体供給系統4から供給される気体を混合セクション2bで合流させ、生じた水及び気体の混合物を、ハウジング10内で流れ接続部16を有するプランジャ11がハウジングと相対的に振動運動している乱流発生器2aに導入することによりさらに混合する装置であって、前記振動運動は電磁石によって発生させ、プランジャはばねによって支持される装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載したタイプの、飲用を目的とする、水と気体とを混合する装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水と気体(例えば、COあるいはO)とを混合する数多くの装置が公知である。これらの装置のほとんどは、場合によっては高圧下で、水の中に気体を微細に分布させる(これは単純に加える処理では達成できない)ために専用に設計されている混合手段を含んでいる。このような混合手段は、例えば、特許文献1から公知である。この公知の混合手段は、水の表面積の増大によって二酸化炭素の吸収が大幅に高まるように、水および気体を微細に分布させた後、これらを混合する微細構造を含んでいる。
【0003】
別の混合手段は、特許文献2から公知であり、この発明においては、接続されるラインの断面積を小さくしてさらなる増圧を行うならば、供給装置においてしばしば使用される循環ポンプまたは増圧ポンプを炭酸化にも使用できることが開示されている。
【0004】
さらには、水と気体とを混合する乱流手段(turbulence means)を採用することが、特許文献3から公知である。この公知の手段は、海洋動物のための海洋牧場において使用する目的で、好ましくは、塩水に酸素を取り込むように設計されている。しかしながら、この手段を炭酸化(carbonizing)に使用することもできる。この文献においては、気体と水の混合物を円筒状ハウジングの中に接線方向に導入することにより、遠心力を利用して混合結果を向上させる。
【0005】
しかしながら、これらの公知の解決策は、通常では極めて複雑かつ高価である。さらに、受動的な解決策(微細構造)の場合、混合効果は水の一次圧力(変動しうる)に大きく依存する。ポンプの解決策は、水の一次圧力とは実質的に無関係であるが、恩恵を得るためには、相応に効率の高いポンプを設けなければならない。
【特許文献1】独国特許第10055856号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/012874号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/009598号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の目的は、飲用を目的とする、水と気体とを混合する装置であって、構造が単純であり、低コストで製造することができ、確実に水と気体が良好に混合する装置、を提供することである。
【0007】
本発明の実施形態によると、混合装置において乱流を発生させ、この乱流によって、水と気体の間の接触面が大きく増大する。機械的に発生する乱流によって、気泡および水が微粒化されて完全に混合し、従って、気体が水に極めて良好に溶解する。本発明による混合手段による乱流は、振動コンポーネントの運動エネルギのみに基づいているため、本発明による混合手段は、動作時における供給温度、流速、圧力比または圧力比変化には無関係である。試験によると、本発明による装置では、比較的高い気体含有量を達成することが可能であることが示された(例えば、飲料水中のCO含有量として6g/l以上が達成された)。
【0008】
本発明のさらなる有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
プランジャの上流の混合セクションにおいて、あらかじめ水に気体を混合し、従って、水および気体が一緒にプランジャのハウジングに入ることは、特に有利である。
【0010】
振動運動は、水圧自体によって発生させることができ、あるいは好ましくは、個別の駆動手段(特に、電磁石)によって発生させることができる。
【0011】
戻す動作、もしくは振動運動の減衰、またはその両方を目的として、プランジャは、ばねによって支持されている。
【0012】
気体の取り込み効果をさらに高めるため、水と気体の混合物の圧力を(さらに)高める増圧装置をさらに設けることができる。
【0013】
以下では、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、飲用を目的とする、水と気体とを混合する本発明の装置1を、極めて概略的に示している。この装置1は、飲料水と二酸化炭素とを混合するように設計されている(炭酸化器)ことが好ましいが、この装置1は、酸素またはその他の気体を取り込む目的にも採用することができる。
【0015】
装置1は、混合手段2を含んでおり、この手段2は、図示した実施形態においては、乱流発生器2aと混合セクション2bとを含んでいる。水供給系統3と気体供給系統4は、混合手段2に接続されている。水供給系統3は、地域の飲料水給水網に接続されていることが好ましく、しかしながら、水供給系統3は給水タンクに接続することもできる。水は、圧力下で、具体的には、地域の給水主管の圧力下で供給されることが好ましい。取水口3には圧力調整器5および逆止弁6が設けられている。必要であれば、圧力調整器5の代わりに、または圧力調整器5に加えて、混合手段2における圧力を高めるための追加のポンプ(図示していない)(例えば、公知の設計の振動電機子ポンプ(vibrating armature pump))を設けることができる。
【0016】
気体供給系統4は、気体ボンベ7またはその他の任意の気体貯蔵器に、この場合も圧力調整器8および逆止弁9を介して接続されていることが好ましい。図示した実施形態においては、水供給系統3および気体供給系統4は共通のラインに接続されており、このラインは、混合セクション2bとして設計されており、気体と水の最初の混合を行うことができる。圧力調整器5および8によって、気体と水とを混合するのに必要な圧力差を調整することができる。混合セクション2bは乱流発生器2aに通じている。乱流発生器2aでは、混合セクション2bを介して入ってくる水と気体の混合物において、発生する機械的振動によって乱流が生じ、この乱流によって気体が水の中で極めて微細に分布し、従って、気体が水に良好に溶解する。
【0017】
乱流発生器2aはハウジング10を含んでおり、ハウジング10の中にプランジャ11が配置されている。ハウジング10およびプランジャ11は、互いに対して振動することができ、好ましい実施形態においては、プランジャ11がハウジング10内で振動運動を行う。
【0018】
図2と合わせて明らかであるように、ハウジング10は、実質的に円柱形であり、好ましくは円筒形の設計であり、好ましくは管状の混合セクション2bを接続するための吸込み接続部12aが一方の前面10aに設けられており、接続部12aは、ハウジング10の縦軸線10’と同軸に延びていることが好ましい。吸込み接続部12aに対向配置されている、ハウジング10の第2の前面10bには、出口接続部12bが設けられており、この接続部12bには供給ライン13が接続されている。出口接続部12bも、ハウジング10の縦軸線10’と同軸に延びている。
【0019】
プランジャ11も、円筒状の設計であることが好ましく、両方向矢印Aに沿って縦軸線10’の方向に往復運動することができる。プランジャ11は、ハウジング10の内側でばねによって支持されていることが好ましい。図示した実施形態においては、プランジャ11は第1のばね14によって支持されており、この第1のばね14は、復元ばねとして設計されており、プランジャ11の前面とハウジング10の前面との間に支持されている。プランジャ11は別のばね15によって支持されており、このばね15は、吸収ばねとして設計されており、プランジャの第2の前面とハウジング10の第2の前面との間に支持されている。図示した実施形態においては、復元ばねは、吸込口12aに面している前面10aと、対応する前面11aとにおいて支持されており、吸収ばねは、供給ライン13に面している対向する前面11b,10bの間に支持されている。
【0020】
乱流発生器2aは流れ接続部(flow connection)16を含んでおり、この流れ接続部16は、プランジャの2つの前面11a,11bを互いに連結している。図2の実施形態においては、流れ接続部16は、一方の前面11aから対向する前面11bまでプランジャを貫いている貫通穴として設計されている。この貫通穴は、好ましくは、ハウジング10の縦軸線10’に位置しており、実質的になめらかな壁面を備えている。
【0021】
しかしながら、流れ接続部16は、プランジャ11の周囲に設ける、もしくは、ハウジング10の壁の内側あるいは外側に設ける、またはその両方に設けることもできる(図1および図2を参照)。従って、水と気体の混合物は、オプションとして、プランジャの中、もしくはプランジャの周囲、またはその両方を流れることができる。
【0022】
プランジャ11の前面11aおよび11bの間の流れ接続部16の流れの有効断面積は、図2に示したように、吸込み接続部12aおよび出口接続部12bの領域における流れの有効断面積よりも大きい必要はなく、同じ大きさ、または、より小さい有効断面積とすることができる。
【0023】
ハウジング10とプランジャ11との間の相対的な振動運動を発生させるため、好ましくは、駆動手段20が設けられており、この駆動手段20は、ハウジング10の周囲に延在するマグネットコイルの形での電磁石を含んでおり、この電磁石には、50Hzまたは60Hzの交流電圧が印加されることが好ましい。プランジャはこの周波数で振動する。
【0024】
あるいは、この運動は、加えられた水圧によって発生させることもできる。この場合、水と気体の混合物によって駆動されるローターの回転運動を、プランジャの直線振動運動に変換する必要がある。
【0025】
乱流発生器2aは、通常の振動電機子ポンプから逆止弁を省いたポンプとして設計することができる。
【0026】
供給ライン13は供給開口21に通じており、この開口21の下に収集容器22(例えば、飲料容器または貯蔵容器)を配置して、気体と混合した水を満たすことができる。供給ライン13には放出弁23がさらに取り付けられており、この放出弁23は、供給開口21を通じて飲料を放出することが必要であるときに開く。供給ライン13は、好ましくは、共通の設計の補正器24を含んでおり、この補正器24は、圧力が早すぎるタイミングで解放されることを回避し、気体が大量に抜けないように最小限の速度低下にて圧力を低減させる。
【0027】
本発明による装置には、気体と混合した水の供給を開始および終了させる、何らかのタイプの制御手段が設けられている。最も単純な場合、この制御手段を手動式要素とすることができ、この手動式要素は、貯水設備(地域の給水系統)もしくは気体の貯蔵設備(気体ボンベ)、またはその両方における圧力によって水および気体が装置1に押し込まれるように、弁23を開く。最初に、水および気体は、最初のおおまかな混合のため混合セクション2bに達する。次いで、この混合物がハウジング10に入り、ここで、機械的な振動によって混合物が撹拌されることにより、気泡がますます微細化され、水の中に気体が微細に分布する。混合物が混合手段2から出た後、補正器24において、わずかに減圧され、これにより、突然の減圧によって気体がただちに水から抜けることが阻止される。その後、気体と混合した水が飲料容器に流れ込む。
【0028】
振動が水圧自体によって発生するのではない場合、駆動手段20をオンにする何らかの手段が必要である。この手段は、例えば、弁23の作動と一緒に作動して電磁石に電流を供給する電気スイッチとすることができる。
【0029】
図面に示して上述した実施形態の修正として、混合セクションを省いて、水および気体を乱流発生器に直接供給することが可能である。二酸化炭素の代わりに、または二酸化炭素に加えて、酸素を取り込むことができる。プランジャではなくハウジングを振動させることができる。さらには、直線方向以外の振動が考えられる。本発明の目的には、プランジャとハウジングの間の任意の相対的な振動運動が適する。振動運動は、別の適する振動駆動装置によって発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による装置を概略的に示している。
【図2】プランジャ/ハウジングユニットの断面を概略的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲用を目的とする、水と気体とを混合する装置(1)であって、
水供給系統(3)および気体供給系統(4)が接続されている、水および気体の混合手段(2)を備える装置(1)において、
前記混合手段(2)は、水および気体の混合物を収容するハウジング(10)を有する乱流発生器(2a)と、2つの前面(11a,11b)を備えているプランジャ(11)と、を含んでおり、
前記プランジャ(11)および前記ハウジング(10)は、振動的に互いに対して相対的に動くことができ、
前記プランジャ(11)の2つの前面(11a,11b)の間に流れ接続部(16)が存在している、
ことを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記混合装置(2)は、前記乱流発生器(2a)の上流に混合セクション(2b)を含んでおり、前記混合セクション(2b)に前記水供給系統および前記気体供給系統(3,4)が接続されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記水供給系統もしくは前記気体供給系統、またはその両方は、圧力下で作動している、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記水供給系統(3)は地域の給水系統に接続されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記気体供給系統(4)は気体貯蔵容器(7)に接続されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記振動運動は駆動手段(20)によって発生する、
ことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記振動運動は電磁石によって発生する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プランジャ(11)はばねによって支持されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記水および気体の混合物の圧力を高める装置が設けられている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
流れの方向における前記混合手段(2)の後ろに補正器(24)が設けられている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載の装置。


【図1】
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【図2】
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