説明

水フィルタアセンブリおよびフィルタエレメント

水フィルタアセンブリおよび水フィルタエレメント[1]が提供される。水フィルタエレメントは、水を浄化するための使用時に水が通過する水透過性バリアを有する。水透過性バリアは、使用時に水が浸透するナノ細孔を画定するナノファイバー層[9]を含む。水フィルタエレメントは、少なくとも1つの粒状活性炭、少なくとも1つの適切なイオン交換樹脂、および少なくとも1つの適切な吸着体[7]を収容する封入体[2]の形であってもよい。好ましくは、水透過性バリアは、透過性支持層[8]および透過性支持層[8]によって担持されるナノファイバー層[9]を含む。ナノファイバーは、好ましくは、ナノファイバー自体の本質的な特性であるか、またはナノファイバーもしくはナノファイバー層内に同伴されるもしくはその他の方法で捕捉される殺生剤によって与えられるかのいずれかもしくは両方である抗微生物特性を有する。水フィルタアセンブリは、水フィルタアセンブリを通る流路において、水フィルタエレメントを作動的にぴったりと受容する穿孔ホルダ[3、23]を有する。好ましくは、穿孔ホルダは、容器[4]の口内に取り付けられるためのネジ山付きソケット[5、26]を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水フィルタアセンブリおよび該水フィルタアセンブリ用のフィルタエレメントに関し、これにより、水を概して飲料に適した程度にまで浄化することができる。より具体的には、本発明は、水フィルタアセンブリおよび該水フィルタアセンブリ用の交換式水フィルタエレメントに関し、特に、限定するものではないが、飲料水を生成するための小規模の使用、具体的には家庭または個人規模の使用に適する。
【背景技術】
【0002】
各種異なる形状の小規模の水フィルタ、特に携帯用水フィルタが、具体的には農村地域の住民または農村地域への訪問者によって、および飲料水の供給が崩壊しているまたは単に利用不可能な被災地において、利用されている。自然に存在する不純物を含む水に典型的に存在する細菌およびその他の微生物(マラリア原虫を含む可能性もある)だけでなく、多くの場合、汚染は、人間が作り出した化学薬品および廃棄物ならびにヒトおよび動物の排泄物の形でも存在する。
【0003】
少量の水の浄化に最も一般的に使用されるものは、ろ過バリアと、通常、フィルタバッグまたはフィルタ材からなるその他の容器に含有される塩素放出化合物および活性炭とを含むフィルタエレメントである。また、多孔質セラミックフィルタも一般的に使用される。
【0004】
幾つかの利用可能な既存のフィルタアセンブリ、例えばいわゆる「LIFESAVER(商標)」の水用ボトルは、費用がかなり高く、システムの多くの使用志望者には手が届かない。
【0005】
多くの従来技術のフィルタアセンブリが有する別の問題は、ろ過された微生物がフィルタ表面に繁殖し、バイオフィルムを形成することによって、フィルタ表面を少なくともある程度覆い隠す可能性があることである。
【0006】
ろ過装置が困難であり、その費用が高い結果、化学的水処理を採用することも多い。この目的のために使用される1つの市販の殺生物剤は、商品名AquaQureとして販売されている殺生物剤であり、濃度の高い方から順に、元素Cu、Zn、K、Ca、Na、Fe、Mg、B、Cr、Cd、Sr、Ni、およびSiを含有する溶液である。この製品は、AquaQure Global Water Solutions(スウェレンダム、ウエスタンケープ州、南アフリカ)から入手可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、効果的な水の浄化を提供する水フィルタアセンブリおよび該水フィルタアセンブリに使用されるフィルタエレメントを提供し、上述した不利な点の少なくとも1つをある程度除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、水透過性バリアを有する封入体の形をなす水フィルタエレメントが提供され、水を浄化するための使用時に水が水透過性バリアを通過し、封入体が、少なくとも1つの粒状活性炭、少なくとも1つの適切なイオン交換樹脂、および少なくとも1つの適切な吸着体を内部に収容し、フィルタエレメントは、透過性バリアが、使用時に水が浸透するナノ細孔を画定するナノファイバー層を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、水透過性バリアを有する水フィルタエレメントが提供され、水を浄化するための使用時に水が水透過性バリアを通過し、水フィルタエレメントは、水透過性バリアが、透過性支持層および透過性支持層によって担持されるナノファイバー層を含み、かつナノファイバー層が、使用時に水が浸透するナノ細孔を画定することを特徴とする。
【0010】
本発明のさらなる特徴によれば、以下が提供される。ナノファイバーは、ナノファイバー自体の本質的な特性であるか、および/またはナノファイバーもしくはナノファイバー層内に同伴されるもしくはその他の方法で捕捉される殺生剤によって与えられるかである抗微生物特性を有する。任意の封入体は、概して円筒形であるか、または円筒形となるように巻かれた概して平坦な長方形または正方形状のバッグかのいずれかであり、いずれの場合でも、円筒形は、穿孔ホルダ内に密接に適合するようになされている。封入体中に、少なくとも1つの粒状またはビーズ状イオン交換樹脂または吸着体、特に陽イオン交換樹脂が、典型的には粒状活性炭と混合して含まれる。任意の透過性支持層は、ティーバッグ等を生産するために広く使用されている一般型の特殊フィルタタイプの紙である。
【0011】
尚、特殊ろ紙のタイプは、正しく選択された場合、ナノファイバーの支持マトリックスとして使用された時に、ファイバーが特殊紙の細孔内に織り合わされるようになり、これにより、任意の追加的な接着または結合増強手段の必要性が無くなるという非常に有益な特性を示す可能性がある。特殊ろ紙は、粗面と平滑面とを有するタイプであってもよい。この場合、ナノファイバーは、粗面によって担持される。
【0012】
ナノファイバー層によって画定されたナノ細孔は概して、約1ミクロンより大きいサイズの微生物およびその他の粒子を保持するように選択されたサイズを有する。
【0013】
本発明はまた、上記に定義したような水フィルタエレメントとともに水フィルタエレメント用穿孔ホルダを含む水フィルタアセンブリを提供し、穿孔ホルダは、水フィルタアセンブリを通る流路において、水フィルタエレメントをぴったりと受容する。
【0014】
本発明の本態様のさらなる特徴によれば、以下が提供される。穿孔ホルダは、缶やボトル等の水用容器、特にプラスチック製飲用水用ボトルの口内に作動的に適合するように構成される場合に、ホルダが水用容器の流出口、特にネジ山付き流出口ネックなどの中に留まるような構造配置を有するか、あるいは、蛇口等の給水口上に適合するようになされたハウジング内に配されるかのいずれかである。ネジ山付きソケットが穿孔ホルダをボトルの口内に取り付けるように使用される場合、ネジ山付きソケットには、水フィルタアセンブリを通る流路を閉鎖するための閉鎖物、任意選択的にはスポーツ用キャップタイプのものが装着されている。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、抗微生物特性を示すナノファイバーを生成する方法が提供され、この方法は、好適なポリマー材料の溶液からナノファイバーをエレクトロスピニングすることを含む。この方法は、エレクトロスピニングの前に溶液に好適な殺生剤を取り入れ、これにより、好適な殺生剤をナノファイバーに組み込んで、抗微生物特性を備えたナノファイバーを提供するまたはナノファイバーの抗微生物特性を向上させることを特徴とする。
【0016】
ナノファイバーは、本質的に抗微生物性であってもよく、その場合、殺生剤を添加してナノファイバー層内に同伴させることは、任意選択的な追加事項である。あるいは、ナノファイバー自体は、抗微生物特性を一切示さなくてもよく、その場合、エレクトロスピニングの準備として殺生剤を添加することは、概して必須であると見なされる。
【0017】
抗微生物特性が提供される理由は、ナノファイバー層によってろ過された微生物が、死滅する故に、バイオフィルム形成を促進しやすい方法で増殖することができないためである。したがって、ナノファイバー層が不必要に覆い隠されるという傾向は示されない。このようにして、得られたフィルタエレメントの寿命は、バイオフィルムが形成可能な場合と比較して、かなり長くなる。
【0018】
殺生剤は、上述したAquaQureであり得るし、1つもしくは複数の適切なフラノンまたは任意のその他の相溶性殺生物剤でもあり得る。
【0019】
本発明をさらに完全に理解することを可能にするために、より詳しい考察および各種実施例を、添付の図面を参照して以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による水フィルタアセンブリを装着した水飲用ボトルの模式的立断面図である。
【図2】本発明による水フィルタアセンブリを装着した蛇口の模式的立断面図である。
【図3】水透過性バッグの形をなすフィルタエレメントの等角図である。
【図4】フィルタエレメント用円筒状穿孔ホルダ内に挿入する準備ができた状態でありかつ巻いた形式のフィルタエレメントの等角図である。
【図5】図1および図2に示したフィルタエレメント用ホルダの分解等角図である。
【図6】ホルダアセンブリの立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態では、水フィルタエレメント[1]は、水透過性バリアを有する封入体を画定する水透過性バッグ[2]の形をなす。水透過性バリアは、フィルタエレメントに水を通過させるための経路を画定する。バッグは、ティーバッグの生産に広く使用されているタイプの特殊グレードの紙で作られてもよい。
【0022】
フィルタエレメントは、概して円筒状の穿孔ホルダ[3]内に密接に適合するように作られる。穿孔ホルダ[3]は、缶やボトル等の水用容器、特にプラスチック製飲用水用ボトル)[4]の口内に作動的に適合する。このように、ホルダは、ボトルのネジ山付き流出口ネック[6]上にホルダを解放可能に締めるためのネジ山付きソケット[5]を有する。ホルダの穿孔壁がボトル内に突出することによって、フィルタエレメントがボトルからの流出路を形成する。
【0023】
バッグは、参照番号[7]で示される約1mmの粒径を有する粒状活性炭を収容し、粒状活性炭は、同様に約1mmの粒径を有する少なくとも1つの粒状またはビーズ状イオン交換樹脂と混合されてもよい。この場合、陽イオン交換樹脂が採用されているが、浄化する水の一般的特性に少なくともある程度応じて、陰イオン交換樹脂が追加的または代替的に使用され得る。粒状活性炭またはイオン交換樹脂に追加してまたはその代わりに、任意のその他の適切な吸着体も使用してもよい。
【0024】
本発明によって提供される際、フィルタエレメントは、バッグの壁によって画定される透過性バリアを有する。バッグは、特殊紙[8][ティーバッグタイプの紙]によって画定される透過性支持層および透過性支持層によって担持されるナノファイバー層[9]を含む。ナノファイバー層は、使用時に水が浸透するナノ細孔を画定する。
【0025】
ナノファイバー層は、水を飲料に不適にする微生物およびその他の粒子の通路を妨げるように寸法が形成されたナノ細孔を提供するように構成される。
【0026】
本発明の本実施形態では、ナノファイバーは、抗微生物特性を有するように選択される。具体的には、ナノファイバーは、好ましくはナノファイバー層内に同伴されるもしくはその他の方法で捕捉される殺生剤を有するPVA材料からエレクトロスピニングされる。
【0027】
(試験1)
必要な抗微生物特性を提供するために、ポリビニルアルコール(PVA)および殺生物剤AquaQureを用いて、ナノファイバーを作製した。
【0028】
PVAのナノファイバー層を以下のように準備した。加水分解(87〜89%)したポリビニルアルコール(8.5%w/v)を蒸留水に溶解させた。架橋剤であるグリオキサール(8%v/v)(40%水溶液)をPVA溶液に入れて溶解するまで撹拌し、一滴の濃塩酸を加えてpHを2に下げた。AquaQure(5%v/v)を溶液に加えて撹拌した。
【0029】
エレクトロスピニングを実施するために、相対湿度40%未満の環境下でバブルスピナを使用した。陽極をポリマー溶液に浸し、陰極をコレクタプレートに取り付けた。コレクタプレートを、バブルスピニング小型装置の真上に、25cmの距離をあけて位置付けた。形成されたナノファイバーを、架橋が起こるように60℃で4日間維持した。
【0030】
結果として得られた、ナノファイバー層を担持する特殊紙から、フィルタバッグを形成し、4gの活性炭およびイオン交換体の混合物で充填した。エレクトロスピニングしたナノファイバー層をバッグの内側にしてバッグをヒートシールし、最終的なフィルタエレメントを形成した。
【0031】
ナノファイバー層によって画定されたナノ細孔は、約1ミクロンより大きいサイズの微生物およびその他の粒子を保持するように選択されたサイズを有する。
【0032】
殺生物剤であるAquaQureを組み込んでいないナノファイバーPVAおよびAquaQureを組み込んだPVAについて、試験を行った。結果を以下に示す。この結果によると、後者は記載の微生物を完全に除去したが、殺生物剤であるAquaQureを組み込んでいないPVAを用いると微生物を少ない割合しか除去しなかったことが示されている。
【0033】
[表1]

【0034】
したがって、本発明は、極めて簡素であるにもかかわらず、非常に効果的かつ安価な水フィルタアセンブリおよびその内部で使用するためのフィルタエレメントを提供するということが想定される。
【0035】
もちろん、本発明による水フィルタは、多くの異なる形態を仮定し得る。もう一つの特に有用な形態は、図2に示されるタイプであり得ることが想定される。この形態では、水フィルタ(概して参照番号[11]で示される)は、ハウジング[13]内に適合するホルダ[12]を有する。ハウジング[13]は、通常のネジ山付きソケット[15]を用いて給水口である蛇口[14]上に適合するようになされている。この形態では、水フィルタは、要望通りにおよび要望されたときに、任意の水の使用者によって、水用蛇口に設けられることができる。このような水フィルタを蛇口に取り付けるために、例えば蛇口の形状に応じて、任意の種類のコネクタを用いることができる。
【0036】
本発明の別の実施形態が添付図面の図3〜6に示される。フィルタは、ティーバッグの生産に使用されている特殊紙で作られた、概して平坦な長方形または正方形状のバッグ[20]である。参照番号[21]で示されるように、バッグの周囲がヒートシールされている。
【0037】
この場合に使用される特殊紙は、商品名DYNAPOREティーフィルタペーパーで、Glatfelter Gernsbach GmbH&Co.KG[Composite Fibers Business Unit](ドイツ、ゲルンスバッハ)から、品質117/S製品として販売されている。紙は、重量が16.50±1.00g/mであり、厚さが65.00±5.00ミクロンであり、ヒートシール可能な表面を有する。
【0038】
ナノファイバー層は、エレクトロスピニング法によって、特殊紙の2つの表面のうちの粗面上に直に設けられる。エレクトロスピニング法の詳細は以下の通りである。本方法は、ナノファイバーが特殊紙の細孔内に織り合わされることにより、任意の追加的な接着または結合増強手段の必要性が無くなるという非常に有益な特性を有する。
【0039】
(試験2)
ポリビニルアルコール(PVA、Mr=146,000〜186,000ダルトン、87〜89%加水分解)(8.5%w/v)を蒸留水に溶解させ、撹拌しながら90℃で30分間加熱した。グリオキサール形態の架橋剤(8%v/v)(40%水溶液)をPVA溶液に入れて溶解するまで撹拌し、一滴の濃塩酸を加えてpHを2に下げた。尚、グリオキサール濃度を下げ、より短い時間でより高温で硬化させることが可能である。尚、PVAが再度使用されている理由は、単に、PVAを食品および医薬品に用いることが承認されているためである。
【0040】
ポリマー溶液を冷却させ、AquaQure(5%v/v)をその溶液に加えて溶解するまで撹拌した。
【0041】
ヒートシール可能な特殊紙を、64×64mm四方に切断した。紙を、粗面が上向きの状態でスズ箔のコレクタプレートに取り付けた。
【0042】
パスツールピペットにポリマー溶液を注入し、高圧電源の正極に取り付けられた銅線をポリマー溶液に入れた。陰極を、ピペットから200mmの距離で、スズ箔のコレクタプレートに取り付けた。15kVの電流で高電圧を印加し、ナノファイバーをスズ箔のコレクタプレートに向かって吐出することによって特殊紙上に吐出した。
【0043】
紙を除去し、オーブンで4日間60℃で加熱乾燥した。ナノファイバーの乾燥重量は600g/mであった。ナノファイバーの直径は、使用したAquaQureの濃度および電圧に応じて、200〜350nmであった。5%PVA/AquaQure濃度で15kVの電圧を加えると、直径が約250nmのナノファイバーが生じた。ナノファイバー間に形成された細孔のサイズは、7〜13nmであった。
【0044】
次に、エレクトロスピニングした紙の縁部を、一側面を開いた状態で互いに重ねてヒートシールすることによって、バッグを準備した。各バッグを3gの粒状活性炭(AquaSorb(登録商標)1000、Jacobi Carbons AG、Rheinweg5 8200、シャフハウゼン、スイス)で充填し、バッグを閉じるためにヒートシールした。
【0045】
図3に明らかに示すように、フィルタバッグは、一端部に一体型装着部[24]を有しかつ他端部に取り外し可能なキャップ[25]を有する穿孔円筒状ホルダ[23]に収容されるような寸法である。円筒状ホルダの寸法は、図4に示すようにフィルタバッグを強固に巻いたときに、フィルタバッグを円筒状ホルダに挿入可能でかつそこにフィルタバッグがぴったりと適合するように、選択される。次に、巻いたフィルタバッグを導入したホルダの開口端上に、取り外し可能なキャップを戻す。
【0046】
装着部は、ボトルのネジ山付き流出口ネック上に装着部を解放可能に締めるためのネジ山付きソケット[26]を有する。穿孔円筒状ホルダ[23]がボトル内に突出することによって、フィルタエレメントがボトルからの流出路を形成する。
【0047】
装着部は、好ましくは、スポーツキャップ口として知られている流出口を有する。スポーツキャップ口は、閉位置と開位置との間で軸方向にスライドする外部スカート[28]を有する閉鎖乳頭状部[27]を含むバルブを具現化する。閉位置では、閉鎖乳頭状部の端壁[30]に存する開口[29]が、プラグ部材[31]によって塞がれる。プラグ部材[31]は、装着部[24]内壁にプラグ部材[31]を取り付ける材料である一体型ウェブ[32]によって、流出路の中央に保持される。開位置では、閉鎖乳頭状部が外側に向けて軸方向に移動し[図6に示されるように]、それによって、水が流出路を通ってプラグおよび開口[29]を通過して流れることができる。
【0048】
円筒状ホルダおよび装着部が互いに一体化されているとして上述されているが、このような一体型プラスチック射出成形を製造するための器具およびダイが実用的でないこともあり、その場合には、円形状ホルダを別個のユニットとして作り、装着部に取り付けることができる。この取り付けは、好ましくは、ホルダを作動位置とせずに装着部を使用することを実質的に回避するために、概して不可逆な方法で行われる。
【0049】
準備されたその他の抗微生物性ナノファイバーは、以下の通りである。
【0050】
i.殺生物剤:銅およびポリマーPVA
10%w/v PVAおよびCuSO・5HO(5〜15%w/v)を室温で水に混合し、塩が完全に溶解するまで撹拌し続けることによって、ポリビニルアルコール/銅(PVA/Cu)繊維マットを製作した。架橋剤としてグリオキサール(8%)を加え、60℃で4日間硬化させることによってナノファイバーを架橋させた。
【0051】
ii.殺生物剤:フラノンおよびポリマーPVA
8%w/v PVAおよびフラノン(2〜10%w/v)を室温で水に混合し、塩が完全に溶解するまで撹拌し続けることによって、ポリビニルアルコール/フラノン繊維マットを製作した。架橋剤としてグリオキサール(8%)を加え、60℃で4日間硬化させることによって架橋させた。
【0052】
iii.殺生物剤:銀およびポリマーPVA
90℃で穏やかに撹拌することによってPVA粉末を水に溶解させ、8wt%PVAポリマー溶液を調製した。ポリマー溶液を冷却させ、架橋剤として8%v/vグリオキサールを加えた。濃塩酸でpHを5に調節し、架橋プロセスを補助した。最後に、5%(wt/v)AgNOをポリマー溶液に加え、完全に混合した。AgNOを含有するPVAナノファイバーをプレート上に収集し、60℃で4日間硬化させることによって架橋させた。架橋後、ナノファイバーを1時間紫外線照射し、ナノファイバー中の銀イオンを銀ナノ粒子に還元した。
【0053】
iv.殺生物剤:銀およびポリマーPAN(ポリアクリロニトリル)
ジメチルホルムアミド(DMF)(Sigma Aldrich)中6%(wt/v)PANを含有するポリマー溶液を調製した。DMFを90℃まで加熱し、PANを徐々に加えながら撹拌した。混合物を90℃で5時間、透明の濃黄色溶液が得られるまで撹拌した。シリコーン界面活性剤であるJSYK L580(0.95g/l)を加え、バブルエレクトロスピニング中の泡の形成を安定化させた。最後に、5%(wt/v)AgNOをポリマー溶液に加え、完全に混合した。AgNOおよび既に還元した銀ナノ粒子を含有するPANナノファイバーを、プレート上に収集した。続いて、ナノファイバーを1時間紫外線照射し、ナノファイバー中の残留銀イオン全てを銀ナノ粒子に還元した。
【0054】
本発明の範囲を逸脱することなく、上述した2つの異なる形態の発明に対する多数の変更が可能である。具体的には、所望されかつ適切であれば、ナノファイバー層の本質は幅広く変更可能であり、透過性支持体もまた変更可能である。粒状活性炭またはイオン交換樹脂もまた、ゼオライトまたはベントナイト等の任意のその他の適切な吸収体によって、完全にまたは部分的に置き換えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水透過性バリアを有する封入体[2]の形をなす水フィルタエレメント[1]であって、水を浄化するための使用時に水が前記水透過性バリアを通過し、前記封入体が、少なくとも1つの粒状活性炭、少なくとも1つの適切なイオン交換樹脂、および少なくとも1つの適切な吸着体[7]を内部に収容し、前記フィルタエレメントは、前記透過性バリアが、使用時に水が浸透するナノ細孔を画定するナノファイバー層[9]を含むことを特徴とする、水フィルタエレメント[1]。
【請求項2】
水透過性バリアを有する水フィルタエレメント[1]であって、水を浄化するための使用時に水が前記水透過性バリアを通過し、前記水フィルタエレメントは、前記水透過性バリアが、透過性支持層[8]および該透過性支持層[8]によって担持されるナノファイバー層[9]を含み、かつ前記ナノファイバー層が、使用時に水が浸透するナノ細孔を画定することを特徴とする、水フィルタエレメント[1]。
【請求項3】
前記ナノファイバーが、ナノファイバー自体の本質的な特性であるか、またはナノファイバーもしくはナノファイバー層内に同伴されるもしくはその他の方法で捕捉される殺生剤によって与えられるかのいずれかもしくは両方である抗微生物特性を有する、請求項1または2のいずれか1項に記載の水フィルタエレメント。
【請求項4】
任意の封入体が、概して円筒形であり、該円筒形が、穿孔ホルダ[3]内に密接に適合するようになされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水フィルタエレメント。
【請求項5】
任意の封入体が、円筒形となるように巻くのに適した概して平坦な長方形または正方形状のバッグ[20]であり、該円筒形が、穿孔ホルダ[23]内に密接に適合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水フィルタエレメント。
【請求項6】
任意の封入体中に、少なくとも1つの粒状またはビーズ状イオン交換樹脂または吸着体が含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水フィルタエレメント。
【請求項7】
任意の透過性支持層が、ティーバッグ等を生産するために広く使用されている一般型の特殊フィルタタイプの紙である、請求項6に記載の水フィルタエレメント。
【請求項8】
前記特殊ろ紙が、粗面と平滑面とを有するタイプであり、ナノファイバーが粗面によって担持される、請求項7に記載の水フィルタエレメント。
【請求項9】
前記ナノ細孔が、約1ミクロンより大きいサイズの微生物およびその他の粒子を保持するように選択されたサイズを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水フィルタエレメント。
【請求項10】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の水フィルタエレメントを含む水フィルタアセンブリであって、前記水フィルタアセンブリを通る流路において、前記水フィルタエレメントを作動的にぴったりと受容する穿孔ホルダ[3、23]を有する、水フィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記穿孔ホルダが、容器[4]の口内またはネジ山付き水用蛇口[14]のいずれかに取り付けられるためのネジ山付きソケット[5、26]を備える、請求項11に記載の水フィルタアセンブリ。
【請求項12】
前記ネジ山付きソケットに、前記水フィルタアセンブリを通る流路を閉鎖するための閉鎖物が装着されている、請求項12に記載の水フィルタアセンブリ。
【請求項13】
請求項12または13のいずれか1項に記載の水フィルタアセンブリを装着した水用容器。
【請求項14】
抗微生物特性を示すナノファイバーを生成する方法であって、好適なポリマー材料の溶液からナノファイバーをエレクトロスピニングすることを含み、前記方法は、エレクトロスピニングの前に前記溶液に好適な殺生剤を取り入れ、これにより、前記好適な殺生剤を前記ナノファイバーに組み込んで、抗微生物特性を備えたナノファイバーを提供するまたはナノファイバーの抗微生物特性を向上させることを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−521113(P2013−521113A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555506(P2012−555506)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000346
【国際公開番号】WO2011/107847
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(510337919)ステレンボッシュ ユニバーシティ (4)
【氏名又は名称原語表記】STELLENBOSCH UNIVERSITY
【Fターム(参考)】