説明

水中での電界発生装置

【課題】 水中に生息する各種細菌を死滅させ、又発生を防止する為の装置であって、薬剤を投入することなく低コストでしかも簡単に殺菌処理を行うと共に、水を活性化することが出来る電界発生装置の提供。
【解決手段】 複巻き変圧器1を使用し、該変圧器1の二次側巻線4のマイナス側端子6aには導電板の表面を絶縁体で被覆した絶縁性電極7を接続し、該絶縁性電極7を水中10に沈め、二次側巻線4の他方のプラス側端子6bはアースされる。そして、一次側巻線3の両端子に電圧を負荷させることで、上記絶縁性電極7の周囲に電界を発生させることにより、その水中及び連続している水系に発生する一般細菌、大腸菌、レジオネラ菌等を殺菌し、その発生を防止することが出来る。又、オゾンに高電圧の電界をかけることにより、殺菌、スケール除去効果、配管などの金属腐食防止効果が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流水および溜り水の中に発生する細菌を殺菌し、及び細菌の発生を防ぐと共に、水の活性化を図る水中での電界発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一口に細菌といってもその種類は無数にあり、中には人にとって有益な細菌もあるが、害を及ぼす細菌も多い。時には、細菌が体に侵入することで病気になり、命を落とすといった場合も多い。特に、老人など免疫力が低下した人の体に細菌が侵入することで、死亡事故に繋がる。
【0003】
ところで、細菌が生息する場所は色々あるが、例えばエアコンのクーリーングタワー内にはレジオネラ菌、大腸菌等が存在するが、特にレジオネラ菌はビル内の空気流入口から侵入して、ビル内で感染被害を起すことが知られている。又、ビルやマンションの給水塔内にも各種細菌が存在している。
【0004】
温泉旅館などでもレジオネラ菌が問題になることが多く、老人などの免疫力が低下した人体に該レジオネラ菌が侵入すると、肺炎症状を起して死亡事故につながる。従来、プールなどの施設では塩素を使用して殺菌しているが、皮膚炎などの症状を引き起こす。
【0005】
ところで、ビルやマンションにはびこるレジオネラ菌などを死滅させるには、一般に強力な薬剤が使用される。しかし、生命力のあるレジオネラ菌などは変異して強くなり、さらに強力な薬剤を用いなくてはならなくなる。一方、薬剤の投入によって殺菌する場合、人手もかかって、その費用は高くなる為に定期的な殺菌処理を行なうことも出来ない。
そこで、従来では薬剤の投入による殺菌方法以外に、磁力を応用した方法が知られている。すなわち、磁力を用いることで発生する磁界を横切る流水中に微弱電流が発生し、この電気的効果により細菌を死滅させると共に新たな細菌の発生を防止することが出来る。又、正負各々の電極を水中に没して低い電圧をその電極間に掛けて、その電気的効果により細菌の生成を抑えることも出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように磁力を利用して水中に生息する細菌を殺菌する方式では、設置した磁石によって発生する磁力線を流水が横切る事による微弱電流の発生を利用しているが、この場合には流水の量および速度によって発生する微弱電流が変化する為に、安定した効果を期待することが出来ない。
【0007】
また、水中に設けた電極間に電圧をかけて微弱電流を流す方式では、水中に電流が流れるため、配管などの金属製の設備に電気による腐食が発生する可能性がある。そこで、余り高い電流が流れないようにしなければならず、効果が出るまでに時間がかかる。
【0008】
同様に高電圧を発生させる装置では漏電や感電事故を防止することが出来ない。このように、従来の殺菌方法には色々な問題点があり、本発明は薬剤を投入することなく、又水中に電流を流すこと無く、水中に発生する細菌の殺菌及び発生の防止を行うことが出来、一方では水の活性化を図る電界発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は強力な交流電界を水中に発生させて、水中で起きる化学反応を制御し、細菌の殺菌及び発生を阻止するように構成したものである。水中で高電圧を利用する場合、漏電及び感電事故が発生する危険性が高い為に、複巻きトランスを使用して事故防止を図っている。すなわち、交流変圧器の二次側巻線のプラス側端子をアースして、残る他方のマイナス側端子を絶縁された電極に接続している。そして該電極を水中に沈める。
【0010】
一次側巻線の端子には電源側電圧が負荷され、その結果、二次側巻線には高い電圧が発生するが、該二次側巻線の一方をアース状態にすると共に他方を絶縁して水中に沈めることで、水中に電気が流れることはないが、高い交流電界が発生する。一般に細菌はプラス電子を所有している。又配管の内面に付着している藻などのスケールもプラス電子を持っている。
【0011】
そこで、水中にマイナスの交流電界を発生するならば、プラス電子を所有している細菌は死滅することになる。一方、特殊加工した鉱物などを使用し、育成光線と呼ばれている範疇の遠赤外線を放射させて水の活性化を図ることが出来る。一方、本発明では絶縁性電極に対面した位置にオゾンO3を放出する散気管を配置することが出来る。散気管の周囲には小さな穴が多数設けられ、外部に設置したオゾン発生器から送り込んだオゾンO3はこれら穴から放出される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電界装置は、絶縁性電極を水中に沈めて一次側巻線に電圧を作用することで交流電界が発生し、水中での化学反応に干渉して水中に存在する各種細菌は死滅する。すなわち、プラス電子を持っている細菌類は発生するマイナス電界によって死滅することになる。又、冷却水の管路や他の付属の機器に析出しているスケール等が、再溶出して徐々に消滅していく。
【0013】
従って、この電界装置の絶縁性電極を各種水設備の水系に挿入しておけば、大腸菌、一般細菌、レジオネラ菌等が死滅し、また時間をかけて管路内のスケールを除去し、内部の清掃の手間が省け、水系設備内部全体が細菌やスケール等の析出物によって汚染、閉塞する事から守られることになる。しかも、手間がかからず低コストで殺菌処理を行なうことが可能である。
【0014】
一方、育成光線と呼ばれる範疇の遠赤外線には、水を活性化させる働きがあると考えられ、特殊加工した鉱物などを電極プレート内部に入れることで本発明の電界装置の性能が向上し、しかも水を活性化することが出来る。さらに、絶縁性電極付近で散気管からオゾンO3を放出することで、該オゾンO3に高電圧の電界が作用して殺菌効果を向上し、スケール除去及び配管の金属腐食防止効果も高まる。
【実施例】
【0015】
図1は本発明に係る電界発生装置の概要(電気回路)を示している。電界発生装置は変圧器1を有し、鉄心2には一次側巻線3と二次側巻線4が巻かれて構成されている。そして、一次側巻線3には一次側端子5a,5bを有し、二次側巻線4には同じく二次側端子6a,6bを有している。
【0016】
そして、同図に示すようにマイナス側の二次側端子6aには絶縁性電極7を接続し、他方のプラス側の二次側端子6bは抵抗を介してアースされている。この絶縁性電極7は、図2に断面を示しているように、導電板8を有し、該導電板8の周囲は絶縁体9にて完全被覆されている。勿論、二次側端子6aは導電板8に接続しているが、表面が絶縁体9にて被覆されている為に電気は流れない。
【0017】
ここで、導電板8の材質は問わないが、一般には銅板など電気を良く通す金属板が使用され、又ある程度大きな面積を備えているほうが好ましい。そして、絶縁体9としてはゴム又は樹脂が使用され、導電板8を金型にセットして樹脂を射出成形することで造ることが出来る。又は両ゴム板を導電板8の両面に隙間が残らないように貼り合わせることも可能である。
【0018】
又、該絶縁体9は防水ウレタンを真空脱泡して加工することも出来る。図3は二次側巻線6aの先端に絶縁電極7を接続した場合を示している。そして使用する時には、図4に示しているように、絶縁電極7を水中に沈め、又循環している管路に挿入する。
【0019】
このように、絶縁電極7を水10の中に沈め、変圧器1の一次側巻線3の両端子5a,5bに電圧をかけるならば、二次側巻線4の二次側端子6a,6bには高い交流電圧が発生する。しかし、一方の二次側端子6aだけが絶縁性電極と成って水中に存在する為に、絶縁性電極7の周囲には交流電界が発生する。そして、水中での化学反応に干渉して、細菌を死滅させ、発生を防止することが出来る。
【0020】
すなわち、絶縁性電極7の周囲に発生する電界はプラス電子を有す細菌を引寄せて死滅させ、配管の内面などに付着しているスケールを溶出して消滅させる。ところで、上記導電板8には不織布に炭塗料と金属珪素及び鉱物などを塗り込んだシートと一体化することで、微弱な遠赤外線を発生させ、導電板から発生する交流静電気に遠赤外線(特定の周波数を持つ微弱電磁波)を乗せて該導電板の性能を向上させることが出来る。これは、遠赤外線と呼ばれる範疇の育成光線を発生させ、水の活性化が図られる。
【0021】
図5は前記図4に示す絶縁性電極7に散気管11を配置した使用形態である。該散気管11は絶縁性電極7の下側に配置され、オゾン発生器12から送られるオゾンO3は上記散気管11の表面に設けられている小さな穴から放出される。勿論、絶縁性電極7の周りは高電圧の電界が形成され、散気管11の穴から放出されるオゾンO3によって殺菌効果及びスケールの除去効果それに配管の金属腐食防止効果が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る水中での電界発生装置。
【図2】絶縁性電極の内部構造。
【図3】2次側巻線の端子に接続した絶縁性電極。
【図4】絶縁電極を水槽に入れた場合。
【図5】絶縁性電極にオゾン発生散気管を組み合わせて水槽に入れた場合。
【符号の説明】
【0023】
1 変圧器
2 鉄心
3 一次側巻線
4 二次側巻線
5 一次側端子
6 二次側端子
7 絶縁性電極
8 導電板
9 絶縁体
10 水
11 散気管
12 オゾン発生器













【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に生息する各種細菌を死滅させ、又発生を防止する為の装置において、水中における漏電や感電事故の危険防止の為に複巻き変圧器を使用し、該変圧器の二次側巻線の一方側端子には導電板の表面を絶縁体で被覆した絶縁性電極を接続して水中に沈め、二次側巻線の他方側端子は開放し、一次側巻線の両端子に電圧を負荷させることで、上記絶縁性電極の周囲に電界を発生させることにより、その水中及び連続している水系に発生する一般細菌、大腸菌、レジオネラ菌等を殺菌し、その発生を防止し、さらに導電板には鉱物などを塗り込んだシートを一体にし、育成光線と呼ばれる範疇の遠赤外線を併せて発生させることを特徴とする水中での電界発生装置。
【請求項2】
水中に生息する各種細菌を死滅させ、又発生を防止する為の装置において、水中における漏電や感電事故の危険防止の為に複巻き変圧器を使用し、該変圧器の二次側巻線の一方側端子には導電板の表面を絶縁体で被覆した絶縁性電極を接続して水中に沈め、二次側巻線の他方側端子は開放し、一次側巻線の両端子に電圧を負荷させることで、上記絶縁性電極の周囲に電界を発生させることにより、その水中及び連続している水系に発生する一般細菌、大腸菌、レジオネラ菌等を殺菌し、その発生を防止し、さらにオゾンO3を放出する散気管を上記絶縁性電極に対面して配置したことを特徴とする水中での電界発生装置。
【請求項3】
水中に生息する各種細菌を死滅させ、又発生を防止する為の装置において、水中における漏電や感電事故の危険防止の為に複巻き変圧器を使用し、該変圧器の二次側巻線の一方側端子には導電板の表面を絶縁体で被覆した絶縁性電極を接続して水中に沈め、二次側巻線の他方側端子は開放し、一次側巻線の両端子に電圧を負荷させることで、上記絶縁性電極の周囲に電界を発生させることにより、その水中及び連続している水系に発生する一般細菌、大腸菌、レジオネラ菌等を殺菌すると共にその発生を防止し、そして導電板には鉱物などを塗り込んだシートを一体にして育成光線と呼ばれる範疇の遠赤外線を併せて発生させ、さらにオゾンO3を放出する散気管を上記絶縁性電極に対面して配置したことを特徴とする水中での電界発生装置。
【請求項4】
上記オゾンO3を放出する散気管を水平に置かれた絶縁性電極の下側に配置した請求項2、又は請求項3記載の水中での電界発生装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−68720(P2006−68720A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367670(P2004−367670)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(500335424)
【Fターム(参考)】