説明

水中構造物における中詰材の投入管理装置

【課題】複数の投入箇所を有する水中構造物において、投入箇所に均等に中詰材を投入することができる水中構造物における中詰材の投入管理装置を提供する。
【解決手段】水中構造物の投入箇所6に対応して設けられた投入箇所表示部と、水中構造物の隔壁5に対応して設けられた隔壁表示部と、ガット船16のグラブバケットにより定まる投入量により投入箇所6における中詰材の高さを表示する高さ表示部と、隔壁5を挟んで隣合う投入箇所6,6の中詰材の高低差を表示する高低差表示部とを備えるから、グラブバケットにより中詰材を投入箇所6に投入すると、中詰材の高さと隣合う投入箇所6,6の中詰材の高低差とが表示され、これらの表示に基づいて投入作業を行うことにより、隣合う投入箇所6,6の中詰材の高低差で隔壁5に悪影響を与えることなく、均一な投入作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中詰材を投入して構築する水中構造物における中詰材の投入管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
護岸工事や水中構造物構築工事などにおいては、ケーソンや鋼製セル等からなる構造物中に土砂、岩ズリ、砕石などの中詰材を投入して水中構造物を構築する施工方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
上記ケーソンのような水中構造物は隔壁により内部が複数の投入箇所に分割され、この投入箇所は上部が開口し、水を入れて沈設した後、内部に中詰材を均一に投入する。また、コストの削減には隔壁の厚さを必要最小限にすることが好ましため、施工時において隣合う投入空間の充填高さの高低差を一定範囲に保つ必要があり、一定範囲を超えるとその偏土圧により隔壁を損傷する虞がある。
【0004】
そこで、従来の管理方法は、目盛りを施した索条体の下端に錘を設けたレッドを用いたり、超音波式計測器を用いたりしていた。しかし、レッドを用いる方法では、水中構造物の上で作業員が海水などを満たした投入箇所にレッドを入れて測定作業を行うため、安全管理上、中詰材の投入を休止した状態で測定を行う必要があり、投入作業を中断するために時間的なロスが発生する。また、複数の投入箇所の全て測定する必要があり、作業員の移動にも時間を要する。さらに、測定値を記録するなどの手間が掛かり、測定間違いや記入間違いなどのミスを誘発する虞もある。
【0005】
また、超音波式測定器を用いる方法では、投入箇所内の海水などに濁り、気泡がなくなるまで待機する必要があり、測定作業に時間を要し、投入作業に支障を来たす。
【0006】
一方、測定作業の効率化を図るものとして、水中構造物の内壁に被覆伝線をその先端が内壁の縦方向位置の所定位置になるように敷設し、被覆電線はその先端で導電体が絶縁されかつ露出可能なように処理された端末処理部を有し、被覆電線とアースとの間の電気抵抗を測定し、水中構造物内での中詰材の堆積により被覆電線の先端で端末処理部が損傷して導電体が水中に露出することで電気抵抗が低下したことを検知することによって中詰材の天端高および中詰量を計測する方法が提案されている(例えば特許文献2)。
【0007】
上記特許文献2の方法では、端末未処理部が中詰材で損傷を生じない場合や、中詰材投入の衝撃により伝線の途中が切れてしまった場合では正確な測定を行うことができない。また、被覆電線自体の費用と被覆電線を設置する費用が嵩み、さらに、被覆電線が水中構造物中に異物として残ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−268563号公報
【特許文献2】特開2010−196438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、複数の投入箇所を有する水中構造物において、投入箇所に均等に中詰材を投入することができる水中構造物における中詰材の投入管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、隔壁で仕切られた複数の投入箇所を有する水中構造物に、投入手段により中詰材を投入する水中構造物における中詰材の投入管理装置において、前記中詰材の投入量を各投入箇所毎に表示する管理用制御手段を備え、
この管理用制御手段は、前記投入箇所に対応して設けられた投入箇所表示部と、前記隔壁に対応して設けられた隔壁表示部と、前記投入手段により定まる投入量により前記投入箇所における中詰材の高さを表示する高さ表示部と、前記隔壁を挟んで隣合う前記投入箇所の中詰材の高低差を表示する高低差表示部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記投入箇所表示部に設けられ、前記投入手段により定まる投入量により該投入箇所における中詰材の高さを表示する前記高さ表示部と、前記隔壁表示部に設けられ、前記隔壁を挟んで隣合う前記投入箇所の中詰材の高低差を表示する前記高低差表示部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記隣合う投入箇所の中詰材の高低差が設定値に達すると、中詰材の高さが低い投入箇所に対応する投入箇所表示部に警告表示を行うことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、前記投入手段に対応して作業用制御手段を設け、この作業用制御手段に前記投入箇所表示部と前記隔壁表示部を設け、前記管理用制御手段の操作により前記作業用制御手段の前記投入箇所表示部に中詰材の投入指示を行うように構成したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、複数の前記投入手段に対応して複数の前記作業用制御手段を備え、それら複数の投入手段に対応して前記複数の投入箇所表示部を分割し、この分割した複数の投入箇所表示部を前記作業用制御手段にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の構成によれば、投入手段により中詰材を投入箇所に投入すると、中詰材の高さと隣合う投入箇所の中詰材の高低差とが表示され、これらの表示に基づいて投入作業を行うことにより、隣合う投入箇所の中詰材の高低差で隔壁に悪影響を与えることなく、均一な投入作業を行うことができる。
【0016】
また、請求項2の構成によれば、投入箇所表示部に高さ表示部を設けると共に、隔壁表示部に隣合う前記投入箇所の中詰材の高低差を表示する高低差表示部を設けることにより、中詰材の投入高さを、視覚を通して的確に把握することができる。
【0017】
また、請求項3の構成によれば、警告表示に従って低い方の投入箇所に中詰材を投入することにより、投入高さを均一にすることがきる。
【0018】
また、請求項4の構成によれば、作業者用制御手段が投入指示を受け、作業者が投入手段により投入を行うことにより、管理者が管理者用制御手段を用いて投入量の管理を行うことができる。
【0019】
また、請求項5の構成によれば、複数の投入手段を用いる場合、管理用制御手段により複数の作業用制御手段を用いて中詰め作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1を示す全体平面図である。
【図2】同上、水中構造物の縦断面図である。
【図3】同上、全体平面説明図である。
【図4】同上、表示手段である主ディスプレイの正面図である。
【図5】同上、主ディスプレイの正面図であり、始めの投入指示状態を示す。
【図6】同上、主ディスプレイの正面図であり、投入指示状態を示す。
【図7】同上、主ディスプレイの正面図であり、警告表示の一例を示す。
【図8】同上、主ディスプレイの正面図であり、高さ補正手段の使用状態を示す。
【図9】同上、副ディスプレイの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる水中構造物における中詰材の投入管理装置を採用することにより、従来にない水中構造物における中詰材の投入管理装置が得られ、その水中構造物における中詰材の投入管理装置を夫々記述する。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の水中構造物における中詰材の投入管理装置を添付図面を参照して説明する。図1〜図9は、本発明の実施例1を示し、同図に示すように、水中構造物である据付ケーソン1は、既設水中構造物である既設防波堤2に沿って海底のマウンド上に据え付けられ、底板3の四方に外壁4,4,4,4を設け、これら周囲の外壁4,4,4,4間に平面で前後左右方向の隔壁5,5を設けて複数の投入箇所6,6・・・を升目状に配置している。この例では、左右(図中でも左右)に並んだ4つの枡目が前後(図中でも前後)に4列に並んで配置されている。尚、以下の説明では、図中左上角の枡目の投入箇所を1行1列の投入箇所6、右上角の枡目の投入箇所を1行4列の投入箇所6、右下角の枡目の投入箇所6を4行4列の投入箇所6と称して説明する。
【0023】
投入管理装置11は、前記既設防波堤2に主管理制御手段たる主コンピュータ12を配置し、この主コンピュータ12は、表示手段である主ディスプレイ13と、各種の入力及び操作を行う入力操作手段であるキーボード14及びマウスや左右の操作ボタン付のタッチパット15とを備え、また、前記据付ケーソン1を挟んだ左右には、投入船たる左右のガット船16,16が配置され、このガット船16は投入手段たるグラブバケット17を備え、それら左右のガット船16,16には、それぞれ副管理制御手段たる副コンピュータ12Aを配置し、この副コンピュータ12Aは、表示手段である副ディスプレイ13Aと、各種の入力及び操作を行う入力操作手段であるキーボード14及びマウスや左右の操作ボタン付のタッチパット15とを備える。また、それらコンピュータ12,12Aは、無線手段によりそれぞれデータのやり取りが行われるように設定され、さらに、以下に説明するように、定められたプログラムと、入力操作手段などによる操作及び入力データなどに基き、各ディスプレイ13,13Aに投入状態などに係わる表示を行うように制御し、その入力したデータを記憶する。また、投入指示者である管理者が前記主管理制御手段12を操作し、各ガット船16,16の作業者が前記副ディスプレイ13Aに表示された指示データなどに基づいて中詰材7の投入作業を行う。また、各ディスプレー13,13Aにタッチセンサーとしての機能を付与し、表面の所定箇所に接触することにより、各種の操作及び入力を行うようにしてもよい。そして、前記投入管理装置11は主コンピュータ12及び副コンピュータ12A,12Aなどから構成される。
【0024】
図4〜図8は、主管理制御手段たる主コンピュータ12の主ディスプレイ13の表示を示し、前記据付ケーソン1の平面形状に対応して、前記投入箇所6に対応する投入箇所表示部61を前記投入箇所6と同様に升目状に配置し、この投入箇所表示部61は投入箇所の輪郭を四角い枠線により現し、それら投入箇所表示部61の間に前記隔壁5を示す隔壁表示部51を配置している。また、前記投入箇所表示部61の内部には、中詰材7の投入量を表示する投入量表示部たる高さ表示部62が設けられ、この高さ表示部62は丸い枠線内に高さを表す数値を表示してなる。また、前記隔壁表示部51には、隣合う投入箇所表示部61,61の間に高低差表示部52を設け、この高低差表示部52は、左右方向に長い略長方形の枠線内に、隣合う投入箇所6,6間における中詰材7の投入高さの差を示す数値を表示してなる。さらに、投入箇所表示部61内又は該当する投入箇所表示部61を示す箇所には、投入指示表示部63が表示され、この投入指示表示部63は、「投入中」の文字を長方形の枠線で囲んでなり、投入作業をすべき投入箇所6に対応する投入箇所表示部61を、入力装置であるマウスや左右の操作ボタン付のタッチパットによりクリックして選択すると、前記投入指示表示部63の「投入中」が表示される。また、後述するように、主コンピュータ12により投入指示表示部63を表示すると、このデータが対応する副コンピュータ12Aに送られる。
【0025】
また、升目状に配置した複数の前記投入箇所表示部61,61に対応する位置、この例では左右には、左右のガット船16,16に係わる情報表示箇所及び入力箇所が設けられ、上から現在使用中のガット船16の番号を示す投入船表示部21と、隣合う投入箇所6,6間の投入高さの差の限界値を表示する限界値表示部22と、隣合う投入箇所6,6間の投入高さの差の管理値を表示する管理値表示部23と、投入回数表示部24と、投入数量表示部25と、グラブ容量表示部26と、1回の投入による高さを示す1投入表示部27とを有する。前記投入回数表示部24は、今回の投入回数(図中左側)と中詰めが完了する予定回数(図中右側)とを表示し、前記投入数量表示部25は、今回の投入容量(図中左側)と中詰めが完了する予定容量(図中右側)とを表示する。尚、限界値表示部22と管理値表示部23は入力手段などを操作して数値を変更することができる。
【0026】
投入管理装置11は、前記投入船表示部21と、グラブ容量表示部26と、1回の投入による高さを示す1投入表示部27の各種データを、各ガット船16毎に予め記憶されており、ガット船16を選択することにより、投入船表示部21にはガット船16の番号として「投入船(n):nは自然数」、グラブ容量表示部26として例えば「3.0m3」、1回の投入による高さを示す1投入表示部27として例えば「0.1m」が表示される。したがって、「投入船(1)」に対応するガット船16による中詰材7の投入が完了したら、即ち、搭載した中詰材7がなくなったら、次の「投入船(3)」であるガット船16と交代して中詰作業を開始し、その前に、投入船表示部21を「投入船(3)」に切り替えると、この「投入船(3)」のデータがグラブ容量表示部26と1投入表示部27に表示される。尚、投入作業が完了した「投入船(1)」は、現場を離れて新たに中詰材7を積み込んだ後、現場に戻って投入作業が完了した「投入船(3)」と交代する。
【0027】
また、グラブバケット17による1回の投入量を補正する投入量変更表示部28を備え、この投入量変更表示部28には、例えば「100%」、「75%」「50%」、「25%」の複数の選択表示部29があり、これら選択表示部をマウスや左右の操作ボタン付のタッチパットなどでクリックして選択することにより、選択表示部29のいずれかを選択することができ、初期には「100%」が選択されており、「100%」では1回の投入量をグラブ容量として計算し、「75%」、「50%」、「25%」ではその数値の割合をグラブ容量に掛けた値を1回の投入量として計算する。例えば、投入が進むと、ガット船16に搭載した中詰材7の山が小さくなっていくから、グラブ容量の100%を掬うことができなくなる場合があり、このような場合、投入量変更表示部28を操作して実際の投入量に近い値に設定することができ、管理者がグラブバケット17が掬った中詰材7の量が半分程度と判断した場合は、「50%」を選択すると、この場合は、1.5m3(「3.0m3」×0・5)が投入量として各種データが計算される。
【0028】
また、前記投入箇所表示部61は左右中央に分割箇所53を設け、この分割箇所53を境目にして左右の領域で異なる色に着色されている。例えば、右側を赤系統の色、左側を青系統の色とし、右側が右側のガット船16に対応し、左側が左側のガット船16に対応する。
【0029】
尚、副入力装置としてマウスや左右の操作ボタン付のタッチパットを使用する場合、分割箇所53の右側の選択などの操作をマウスや左右の操作ボタン付のタッチパットの右クリックにより行い、分割箇所53の左側の選択などの操作をマウスや左右の操作ボタン付のタッチパットの左クリックにより行うようにプログラムしてもよい。
【0030】
さらに、左右両側の下方には、投入量や投入回数などの計算を実施する計算実施部31が「投入」を枠線で囲んで設けられ、その計算実施部31の下部に投入に係わる計算を取り消す投入取消部32が「投入取消」を枠線で囲んで設けられている。
【0031】
図9は、副管理制御手段たる副コンピュータ12Aの副ディスプレイ13Aの表示を示し、据付ケーソン2の右側に中詰材7を投入するガット船16の副ディスプレイ13Aには、前記主ディスプレイ13の右側に対応する前記投入箇所表示部61が升目状に配置され、据付ケーソン2の左側に中詰材7を投入するガット船16の副ディスプレイ13Aには、前記ディスプレイ13の左側に対応する投入箇所表示部61が升目状に配置され、投入箇所表示部61には投入指示表示部63Aが設けられ、この投入指示表示部63Aには、投入を指示する「投入せよ」などが表示される。また、副ディスプレイ13Aの左右方向一側には、前記主ディスプレイ13と同様に、対応するガット船16に係わる情報表示箇所が設けられ、上から現在使用中のガット船16の番号を示す前記投入船表示部21と、投入回数表示部24Aと、投入数量表示部25Aと、前記グラブ容量表示部26と、1回の投入による高さを示す前記1投入表示部27とを有する。前記投入回数表示部24Aは、今回の投入回数を表示し、前記投入数量表示部25Aは、今回の投入容量を表示する。
【0032】
また、複数回の投入作業を行った後、必要に応じて、前記レッドを用いた中詰材7の高さの測定を行い、実際の高さと誤差が発生した場合は、図8に示すように、高さ補正手段により中詰材7の高さを補正する。高さ補正手段33は、盛高変更ボタン34を備え、盛高変更ボタン34をクリックして操作した後、変更する投入箇所表示部52を選択すると、入力画面たるポップアップ画面35が表示され、ポップアップ画面35にレッドにより補正した高さを入力し、OKボタン36を選択すると、高さ表示部62,高低差表示部52、投入数量表示部25などの中詰材7の高さに関連する数値が変更される。
【0033】
次に、前記コンピュータ12,12Aを備えた投入管理装置11による中詰材7の投入管理方法の一例を説明する。管理者が投入の支持をしたい投入箇所6に対応する投入箇所表示部61をマウスや左右の操作ボタン付のタッチパットにより選択すると、投入指示表示部63に「投入中」が表示され、同時に副ディスプレイ13Aの対応する投入箇所表示部61に「投入せよ」などが表示され、この表示にしたがって作業者が指示された投入箇所6に中詰材7を投入する。この場合、管理者は左右のガット船16の作業者にそれぞれ指示する。指示した管理者が計算実施部31の「投入」を選択すると、高さ表示部62,投入回数表示部24及び投入数量表示部25などが計算されてそれぞれの数値が表示されると共に、高低差表示部52には、隣合う投入箇所5,5間における中詰材7の投入高さの差を示す数値を表される。尚、投入指示表示部63の「投入中」の指示は、次の指示を行う前に限り、投入取消部32を操作して取り消すことができる。尚、管理者は左右のガット船16,16が交互に中詰材7を投入するように指示することが好ましい。
【0034】
投入を繰り返し、図7に示すように、隣合う投入箇所6,6間の高低差が管理値を越えると、低い方の投入箇所6(1行1列,2行3列)に対応する投入箇所表示部61に警告表示が現れ、この例では、管理値表示部23に設けた警告色(例えば黄色)に、投入箇所表示部61の色が変わり、また、隣合う投入箇所6,6間の高低差が限界値を越えると、低い方の投入箇所6(2行2列,3行1列)に対応する投入箇所表示部61に警告表示が現れ、この例では、限界値表示部22に設けた警告色(例えば赤色)に、投入箇所表示部61の色が変わり、これらを管理者が直感的に認識することができる。これにより管理者が低い方の投入箇所6に中詰材7を投入するように指示することにより、高低差が限界値を超えないように中詰め作業を行うことができる。
【0035】
また、ガット船16の中詰材7が無くなったら、投入船表示部21を操作して次のガット船16のデータに切り替え、投入を継続する。
【0036】
以上のように中詰材7の投入管理者がガット船16に対してディスプレイ13,13Aを通して投入位置を指示できると共に、投入完了箇所を投入管理装置11が記録して、中詰材7の投入高さや投入量を主ディスプレイ13に表示することで、隣接する投入箇所6,6の高低差を把握しながら、過大な偏土圧が隔壁5に作用しないように管理することができる。また、レッドなどを使用する実際の測定の回数を低減でき、安全性の向上を図ることができると共に、中詰材7の投入作業の休止時間が減り作業効率を向上することができる。
【0037】
このように本実施例では、請求項1に対応して、隔壁5で仕切られた複数の投入箇所6,6・・・を有する水中構造物たる据付ケーソン1に、投入手段たるグラブバケット17により中詰材7を投入して該据付ケーソン1を構築する水中構造物における中詰材7の投入管理装置において、中詰材7の投入量を各投入箇所6毎に表示する管理用制御手段たる主コンピュータ12を備え、この主コンピュータ12は、投入箇所6に対応して設けられた投入箇所表示部61と、隔壁5に対応して設けられた隔壁表示部51と、グラブバケット17により定まる投入量により投入箇所6における中詰材7の高さを表示する高さ表示部62と、隔壁5を挟んで隣合う投入箇所6,6の中詰材7の高低差を表示する高低差表示部52とを備えるから、グラブバケット17により中詰材7を投入箇所6に投入すると、中詰材7の高さと隣合う投入箇所6の中詰材7の高低差とが表示され、これらの表示に基づいて投入作業を行うことにより、隣合う投入箇所6,6の中詰材7の高低差で隔壁5に悪影響を与えることなく、均一な投入作業を行うことができる。
【0038】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、投入箇所表示部61に設けられ、投入手段たるグラブバケット17により定まる投入量により該投入箇所6における中詰材7の高さを表示する高さ表示部62と、隔壁表示部51に設けられ、隔壁5を挟んで隣合う投入箇所6,6の中詰材7の高低差を表示する高低差表示部52とを備えるから、投入箇所表示部61に高さ表示部62を設けると共に、隔壁表示部51に隣合う投入箇所6,6の中詰材7の高低差を表示する高低差表示部52を設けることにより、中詰材7の投入高さを、視覚を通して的確に把握することができる。
【0039】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、隣合う投入箇所6,6の中詰材7の高低差が設定値に達すると、中詰材7の高さが低い投入箇所6に対応する投入箇所表示部61に警告表示を行うから、警告表示に従って低い方の投入箇所6に中詰材7を投入することにより、投入高さを均一にすることがきる。
【0040】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、投入手段たるグラブバケット17に対応して作業用制御手段たる副コンピュータ12Aを設け、この副コンピュータ12Aに投入箇所表示部61と隔壁表示部51を設け、副コンピュータ12Aの操作により作業用制御手段たる主コンピュータ12の投入箇所表示部61に中詰材7の投入指示を行うように構成したから、副コンピュータ12Aが投入指示を受け、作業者がグラブバケット17により投入を行うことにより、管理者が主コンピュータ12を用いて投入量の管理を行うことができる。
【0041】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、複数の投入手段たるグラブバケット17,17に対応して複数の副コンピュータ12A,12Aを備え、それら複数のグラブバケット17,17に対応して複数の投入箇所表示部61,61・・・を分割し、この分割した複数の投入箇所表示部61,61・・・を副コンピュータ12A,12Aにそれぞれ設けたから、複数のグラブバケット17,17を用いる場合、主コンピュータ12により複数の副コンピュータ12A,12Aを用いて中詰め作業を効率よく行うことができる。
【0042】
また、実施例上の効果として、投入箇所表示部61を投入箇所6と略同径の方形にしたから、直感的に投入箇所表示部61を判断できる。また、複数のガット船16に対応して情報表示箇所及び入力箇所を設けたから、それらを用いて管理者が複数の作業者に適切に指示を行うことができる。さらに、投入管理装置11は、前記投入船表示部21と、グラブ容量表示部26と、1回の投入による高さを示す1投入表示部27の各種データを、各ガット船16毎に予め記憶しているから、ガット船16が交代したら、交代したガット船16を投入船表示部21において選択することにより、交代したガット船16の情報を利用することができる。また、投入管理装置11は、グラブバケット17による1回の投入量を補正する投入量変更表示部28を備えるから、グラブバケット17の掬い量が規定のグラブ容量と異なる場合、補正することができる。また、升目状に配置した投入箇所表示部61を複数のグラブバケット17,17に対応して分割し、分割箇所毎に各種データ及び入力を行い、また、色分けしたから、対応するガット船16,16に的確な指示を送ることができる。さらに、隣合う投入箇所6,6間の高低差が規定値(管理値又は限界値)を越えると、低い方の投入箇所6に対応する投入箇所表示部61に警告表示を行い、この警告表示が色の変化により行われるから、高い警告効果が得られる。また、高さ表示部や高低差表示部を数値で表示することにより、規定値に対してそれぞれの値を数値管理しやすくなる。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、升目状の投入箇所表示部を左右に分割したが、前後に分割してもよく、各種の表示などは、管理者及び作業者が実物と比較して見やすいようにディスプレイに表示すればよい。
【符号の説明】
【0044】
1 据付ケーソン(水中構造物)
5 隔壁
6 投入箇所
7 中詰材
11 投入管理装置
12 主コンピュータ(管理用管理制御装置)
12A 副コンピュータ(作業用管理制御装置)
13 主ディスプレ(表示手段)
13A 副ディスプレ(表示手段)
17 グラブバケット(投入手段)
21 投入船表示部
22 限界表示部
23 管理値表示部
24 投入回数表示部
25 投入数量表示部
26 グラブ容量表示部
27 1投入表示部
51 隔壁表示部
52 高低差表示部
53 分割箇所
61 投入箇所表示部
62 高さ表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁で仕切られた複数の投入箇所を有する水中構造物に、投入手段により中詰材を投入する水中構造物における中詰材の投入管理装置において、
前記中詰材の投入量を各投入箇所毎に表示する管理用制御手段を備え、
この管理用制御手段は、
前記投入箇所に対応して設けられた投入箇所表示部と、
前記隔壁に対応して設けられた隔壁表示部と、
前記投入手段により定まる投入量により前記投入箇所における中詰材の高さを表示する高さ表示部と、
前記隔壁を挟んで隣合う前記投入箇所の中詰材の高低差を表示する高低差表示部と
を備えることを特徴とする水中構造物における中詰材の投入管理装置。
【請求項2】
前記投入箇所表示部に設けられ、前記投入手段により定まる投入量により該投入箇所における中詰材の高さを表示する前記高さ表示部と、
前記隔壁表示部に設けられ、前記隔壁を挟んで隣合う前記投入箇所の中詰材の高低差を表示する前記高低差表示部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の水中構造物における中詰材の投入管理装置。
【請求項3】
前記隣合う投入箇所の中詰材の高低差が設定値に達すると、中詰材の高さが低い投入箇所に対応する投入箇所表示部に警告表示を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の水中構造物における中詰材の投入管理装置。
【請求項4】
前記投入手段に対応して作業用制御手段を設け、この作業用制御手段に前記投入箇所表示部と前記隔壁表示部を設け、前記管理用制御手段の操作により前記作業用制御手段の前記投入箇所表示部に中詰材の投入指示を行うように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中構造物における中詰材の投入管理装置。
【請求項5】
複数の前記投入手段に対応して複数の前記作業用制御手段を備え、それら複数の投入手段に対応して前記複数の投入箇所表示部を分割し、この分割した複数の投入箇所表示部を前記作業用制御手段にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中構造物における中詰材の投入管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−87482(P2013−87482A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228314(P2011−228314)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000155034)株式会社本間組 (15)