説明

水中油型懸濁状農薬組成物

【課題】安定性に優れた水中油型懸濁状農薬組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の農薬組成物は、1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物およびアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体を含有し、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とする水中油型懸濁状農薬組成物であり、本農薬組成物は安定性に優れるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型懸濁状農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型懸濁状農薬組成物は、引火性が低く、安全、不快な溶剤臭がない、定量的に扱うことが容易、作業者への安全性が高い、環境への毒性が少ない等の理由から、従来の油性乳剤から代替されつつある農薬組成物である。
【0003】
【特許文献1】特公昭62−46251号
【特許文献2】特開2000−119103号
【特許文献3】特許3621493号
【特許文献4】特許3313016号
【特許文献5】特許3313015号
【特許文献6】特開2003−342108号
【特許文献7】特開2004−35435号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中油型懸濁状農薬組成物は、使用直前に水に希釈し、散布して施用することが一般的であり、粘度が低いほど、水分散性および容器からの吐出性に優れるため、好ましい。さらに、農薬活性化合物の濃度が高いほど、希釈倍率を上げることができ、利便性に優れるため、好ましい。
しかしながら、農薬活性化合物を多量に含有した場合には、低温条件下において、農薬活性化合物の結晶が析出することが多い。結晶析出を抑制するためには、農薬活性化合物と相溶性の高い有機溶剤を含有させることが一般的な方法であるが、多くの場合には、農薬組成物中の油性成分総量が大きくなるため、高温条件下において、粒子径の肥大および組成物の分離が生じる。また、農薬組成物の粒子径の肥大および組成物の分離を抑制するためには、農薬組成物の粘度を高くすることが一般的な方法であるが、農薬組成物の利便性を損なうものであり、改善が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、水難溶性農薬活性化合物を有効成分とし、上記の課題を解決する水中油型懸濁状農薬組成物を提供するために種々検討した結果、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体を含有させ、低粘度にすることによって、安定性に優れた水中油型懸濁状農薬組成物を調製することが可能であることを見出し、本発明を完成したものである。
【0006】
即ち、本発明は以下の〔1〕〜〔7〕のものである。
〔1〕 1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物とアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体とを含有し、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とする水中油型懸濁状農薬組成物。
〔2〕 さらに1種若しくは2種以上の非イオン性界面活性剤を含有する〔1〕記載の農薬組成物。
〔3〕 1種若しくは2種以上の非イオン性界面活性剤が、1種若しくは2種以上の10以上のHLBである非イオン性界面活性剤と1種若しくは2種以上の10未満のHLBである非イオン性界面活性剤との組合わせである〔2〕記載の農薬組成物。
〔4〕 1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物の含有量が3〜40重量%であり、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体の含有量が0.01〜1.0重量%であり、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sである〔1〕記載の農薬組成物(但し、農薬組成物を100重量%とする)。
〔5〕 1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物の含有量が3〜40重量%であり、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体の含有量が0.01〜1.0重量%であり、1種若しくは2種以上の非イオン性界面活性剤の含有量が0.02〜5.0重量%であり、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sである〔2〕記載の農薬組成物(但し、農薬組成物を100重量%とする)。
〔6〕 1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物の含有量が3〜40重量%であり、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体の含有量が0.01〜1.0重量%であり、1種若しくは2種以上の10以上のHLBである非イオン性界面活性剤の含有量と1種若しくは2種以上の10未満のHLBである非イオン性界面活性剤の含有量とが合計量で0.02〜5.0重量%であり、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sである〔3〕記載の農薬組成物(但し、農薬組成物を100重量%とする)。
〔7〕 25℃における粘度が200〜1500mPa・sである〔1〕〜〔6〕いずれか一項記載の農薬組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体を含有させ、低粘度にすることによって、安定性に優れた水中油型懸濁状農薬組成物(以下、本発明農薬組成物と記す)を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明農薬組成物は、1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物と、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体とを含有し、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とするものである。
【0009】
本発明における水難溶性農薬活性化合物は、殺菌剤、殺虫剤、除草剤のいずれでもよく、室温において、液体でも固体でもよい。水難溶性農薬活性化合物が固体もしくは低融点の液体の場合には、相溶性に優れた有機溶剤を同時に含有させることにより、安定性に優れた農薬組成物の調製が可能となる。
【0010】
本発明における水難溶性とは、水への溶解度が1重量%以下であることであり、本発明に用いることのできる水難溶性農薬活性化合物の好適な例としては、
O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジエチル O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート、O,O−ジエチル O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート、O,S−ジメチルアセチルホスホラミドチオエート、S−2,3−ジヒドロ−5−メトキシ−2−オキソ−1,3,4−チアジアゾール−3−イルメチル O,O−ジメチルホスホロジチオエート、O,O−ジエチル S−2−エチルチオエチルホスホロジチオエート、2,2−ジクロロビニルジメチルホスフェート、O−エチル O−4−(メチルチオ)フェニル S−プロピルホスホロジチオエート、O−4−シアノフェニル O,O−ジメチルホスホロチオエート、2−メトキシ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−2−スルフィド、O,O−ジメチル S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェート、エチル 2−ジメトキシホスフィノチオイルチオ(フェニル)アセテート、ジエチル(ジメトキシホスフィノチオイルチオ)サクシネート、ジメチル 2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチルホスホネート、S−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−イルメチル O,O−ジメチルホスホロジチオエート、ジメチル−{(E)−1−メチル−2−(メチルカルバモイル)ビニル}ホスフェート、O,O,O′,O′−テトラエチル−S,S′−メチレンビス(ホスホロジチオエート)、O−2,6−ジクロロ−4−メチルフェニル O,O−ジメチルホスホロチオエート、O,O−ジエチル O−2−キノキサリニル ホスホロチオエート、O−(6−エトキシ−2−エチル−4−ピリミジニル) O,O−ジメチル ホスホロチオエート、O,O−ジプロピル O−4−メチルチオフェニルホスフェート等の有機リン系化合物、
【0011】
2−sec−ブチルフェニルメチルカーバメート、エチル N−{2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ}−N−イソプロピル−β−アラニネート、2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ[b]フラニル N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカーバメート、1−ナフチル−N−メチルカーバメート、S−メチル−N−(メチルカルバモイルオキシ)チオアセトイミデート、2−(エチルチオメチル)フェニルメチルカーバメート、2−メチル−2−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド O−メチルカルバモイルオキシム、N,N−ジメチル−2−メチルカルバモイルオキシイミノ−2−(メチルチオ)アセトアミド、S−4−フェノキシブチル−N,N−ジメチルチオカーバメート等のカーバメート系化合物、
【0012】
2−(4−エトキシフェニル)−2−メチル−1−(3−フェノキシベンジル)オキシプロパン、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート、(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート、α−シアノ−3−フェノキシベンジル N−(2−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)−D−バリネート、2−メチル−3−フェニルベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)−2−メチル−1−(3−フェノキシベンジル)メチルプロパン、(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス−3−(1,2,2,2−テトラブロモエチル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、(4−エトキシフェニル)−{3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル}ジメチルシラン、3−フェノキシベンジル(1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、5−ベンジル−3−フリルメチル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R,3Z)−シス−(2,2−ジメチル−3−{3−オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロペニル}シクロプロパンカルボキシレート、(RS)−α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル (1RS)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート、(RS)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1RS)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート、(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート、(RS)−1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート、2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イルメチル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート、5−(2−プロピニル)フルフリル(1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート、5−(2−プロピニル)フルフリル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、(RS)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペント−2−エニル (1RS,3RS;1RS、3SR)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロプ−1−エニル)シクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド系化合物、
【0013】
N−ホスホノメチルグリシンおよび農薬学的に許容されるその塩、4−ヒドロキシメチルホスフィノイル−L−ホモアラニル−L−アラニン等のホスホリレイティドアミノアシッド系化合物、
【0014】
3−イソプロピル−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン−4(3H)−オン2,2−ジオキサイド、2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5−チアジアジン−4−オン等のチアジアジン誘導体、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアジアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン、(EZ)−(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン、(EZ)−3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサヂアジナム−4−イリデン(ニトロ)アミン等のニトログアニジン誘導体、
【0015】
(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチ
ルアセタミジン、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン等のピリジルメチルアミン誘導体、N−シアノ−N′−メチル−N′−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)アセトアミジン等のN−シアノアミジン誘導体、S,S′−(2−ジメチルアミノトリメチレン)ビス(チオカーバメート)、N,N−ジメチル−1,2,3−トリチアン−5−イルアミン、S,S′−2−ジメチルアミノトリメチレンジ(ベンゼンチオスルフォネート)等のネライストキシン誘導体、
6,7,8,9,10,10−ヘキサクロロ−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサチエピンオキサイド、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノ−ル等の塩素化炭化水素化合物、
【0016】
1−{3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシ)フェニル}−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア、1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア、1−{4−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−フルオロフェニル}−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、N,N′−{(メチルイミノ)ジメチリジン}−ジ−2,4−キシリジン、N′−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N,N−ジメチルメチニミダミド等のホルムアミジン誘導体、N−(2,6−ジイソプロピル−4−フェノキシフェニル)−N′−t−ブチルカルボジイミド等のチオ尿素誘導体、
【0017】
N−フェニルピラゾール系化合物、5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−(3H)−オン、イソプロピル4,4′−ジブロモベンジレート、4−クロロフェニル 2,4,5−トリクロロフェニルスルホン、S,S−6−メチルキノキサリン−2,3−ジイルジチオカルボネート、2−(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロヘキシルプロピ−2−イルスルファイト、ビス{トリス(2−メチル−2−フェニルプロピル)ティン}オキシド、(4RS,5RS)−5−(4−クロロフェニル)−N−クロロヘキシル−4−メチル−2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−カルボキサミド、3,6−ビス(2−クロロフェニル)−1,2,4,5−テトラジン、2−tert−ブチル−5−(4−tert−ブチルベンジルチオ)−4−クロロピリダジン−3(2H)−オン、tert−ブチル (E)−4−[(1,3−ジメチル−5−フェノキシピラゾール−4−イル)メチレンアミノオキシメチル]ベンゾエート、N−4−tert−ブチルベンジル)−4−クロロ−3−エチル−1−メチル−5−ピラゾールカルボキサミド、テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン、5−クロロ−N−[2−{4−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルフェノキシ}エチル]−6−エチルピリミジン−4−アミン]、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、アザジラクチン[AZAD]、5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール、メチル 1−(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−カーバメート、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン、1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタノン、(E)−4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)−N−〔1−(イミダゾール−1−イル)−2−プロポキシエチリデン〕アニリン、1−〔N−プロピル−N−〔2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル〕カルバモイル〕イミダゾール、(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、(E)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、4−〔3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル〕−2,6−ジメチルモルホリン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール、2−ジエチルアミノ−5,6−ジメチルピリミジン−4−イルジメチルカーバメート、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル p−トルエンスルホナート、4−アミノ−6−(1,1−ジメチルエチル)−3−メチルチオ−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン、2−クロロ−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−エトキシカルボニル−N−〔(4−クロロ−6−メトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−(2−クロロエトキシ)−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕フェニルメタンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕チオフェン−3−スルホンアミド、4−エトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕−1−メチルピラゾール−5−スルホンアミド、2−〔4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル〕−3−キノリンカルボン酸、5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−7−カルボン酸、2−〔4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル〕−5−エチル−3−ピリジンカルボン酸、メチル 6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−m−トルエート、メチル 2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−p−トルエート、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、N−(4−クロロフェニル)メチル−N−シクロペンチル−N’−フェニルウレア、(RS)−2−シアノ−N−[(R)−1(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−3,3−ジメチルブチルアミド、N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチルイソベンゾフラン−4−イル)−5−クロロ−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキシアミド、N−[2,6−ジブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)−5−チアゾ−ルカルボキシアミド、2,2−ジクロロ−N−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−3−メチルシクロプロパンカルボキシアミド、メチル(E)−2−2−6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ−フェニル−3−メトキシアクリレイト、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド、ジイソプロピル=1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート、
【0018】
5−[4−[4−(3,3−ジクロロアリロキシ)フェノキシ]フェノキシ]−1,3,4−トリメチル−1H−ピラゾール等のジハロプロペン系化合物等が挙げられる。
【0019】
本発明農薬組成物は、水難溶性農薬活性化合物を通常は3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%含有する。
【0020】
本発明農薬組成物に含有される水難溶性農薬活性化合物が、常温で固体または低融点の液体である場合に、本発明農薬組成物に同時に含有されていてもよい有機溶剤としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィン系溶剤、キシレン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ジフェニルキシリルエタン等の芳香族系溶剤、シクロヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、ベンジルベンゾエート、メチルベンゾエート、オレイン酸イソブチル、サリチル酸ベンジル、酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸メチルベンジル、オレイン酸メチル、ラウリン酸メチル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸オクチル、アジピン酸ジイソブチル等のエステル系溶剤、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール系溶剤、菜種油、大豆油、アマニ油、オリーブ油、米ヌカ油等の植物油が挙げられ、好ましくは、エステル系溶剤、さらに好ましくは、アジピン酸ジイソブチルが挙げられる。
【0021】
上記有機溶剤と、上記有機溶剤と均一に混ざりあう常温で固体または低融点の液体である水難溶性農薬活性化合物との混合比率は、通常、0.5:1〜3:1の範囲である。
有機溶剤は水難溶性農薬活性成分との総量が50重量%を超えない範囲で含有させることが可能である。
【0022】
本発明に用いられるアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体は、油成分の分散性に優れた高分子界面活性剤であり、低粘度の水中油型懸濁状農薬組成物の調製に適しているものである。本発明の農薬組成物には、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体を通常0.01〜1.0重量%、好ましくは0.02〜0.5重量%含有する。
【0023】
本発明に用いられるアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体としては、例えばアクリル酸−メタクリル酸(C10−C30)アルキル共重合体が挙げられ、市販されているものとしては、Pemulen TR−1、Pemulen TR−2、カーボポール1382、カーボポールETD2020(以上、ノベオン社製)、アキュリン22(ロームアンドハース社製)が好ましい例として挙げられ、特に好ましくは、Pemulen TR−2が挙げられる。
【0024】
本発明農薬組成物は、25℃における粘度が100〜2000mPa・sであることが好ましく、さらに好ましくは、200〜1500mPa・sである。粘度が100mPa・s未満の場合には、十分な安定性が得られず、また、2000mPa・sより大きい場合には、使用時の利便性が損なわれるため、好ましくない。
なお、本発明における粘度とは、B型粘度計を用いて、2番のローターにより、回転数6rpmで測定を行い、30秒後の測定値を組成物の粘度とした。
【0025】
本発明農薬組成物は、非イオン性界面活性剤を含有することによって、粒子径の調節および安定性の改善が可能となる。10以上のHLBである非イオン性界面活性剤と、10未満のHLBである非イオン性界面活性剤とを各々単独で含有することが可能であるが、両界面活性剤を併用することで著しく安定性が向上する。
【0026】
本発明におけるHLBは下記グリフィンの式により算出したものを指す。
【0027】
1)ポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤の場合
HLB=E/5
(式中、Eはポリエチレングリコール部分の重量%を表す。)
【0028】
2)多価アルコール型非イオン性界面活性剤の場合
HLB=20(1−S/A)
(式中、Sはエステルのけん化価、Aは脂肪酸の酸価を表す。)
【0029】
「10以上のHLBである非イオン性界面活性剤」の好適な例としては、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリ、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、
【0030】
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、
【0031】
モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトライソステアリン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、
【0032】
ポリオキシエチレン(20)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油等のポリオキシエチレンヒマシ油類、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、
【0033】
ポリオキシエチレン(5.5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、
【0034】
モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(7)グリセリル等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが挙げられる。
【0035】
「10未満のHLBである非イオン性界面活性剤」の好適な例としては、モノオレイン酸ジグリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(10)ヒマシ油等のポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル類が挙げられる。
【0036】
本発明農薬組成物に非イオン性界面活性剤が含有される場合、上記の非イオン性界面活性剤の1種または2種以上の含有量は、通常0.02〜5.0重量%、好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0037】
本発明において、10以上のHLBである非イオン性界面活性剤と、10未満のHLBの非イオン性界面活性剤とを併用する場合、それらの混合比は通常は1:3〜3:1である。
【0038】
本発明では、さらにアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体とともに、さらに水溶性高分子及び粘土鉱物等の増粘剤を、本発明農薬組成物の25℃における粘度が2000mPa・sを超えない範囲内で含有し、粘度を調整してもよい。
【0039】
増粘剤の好適な例としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミド、カルボキシビニルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、結晶セルロース、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、寒天、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストラン、ベントナイト、グァーガム、珪酸マグネシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0040】
本発明農薬組成物には、さらに凍結防止剤として、任意の多価アルコールを含有してもよい。
【0041】
「多価アルコール」の好適な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
本発明農薬組成物に多価アルコールが含有される場合、その含有量は、通常1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%の範囲である。
【0042】
本発明農薬組成物は、さらに、他の溶媒、補助剤、酸化防止剤、香料、着色剤、金属封鎖剤、防腐剤、消泡剤、紫外線吸収剤等を任意に含有していてもよい。
【0043】
本発明農薬組成物は、例えば、1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物と、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体と、さらに必要に応じて用いられる非イオン性界面活性剤、増粘剤、多価アルコール、溶媒、補助剤、酸化防止剤、香料、着色剤、金属封鎖剤、防腐剤、消泡剤及び/又は紫外線吸収剤とを、25℃における粘度が100〜2000mPaとなるように、場合により粘度を測定して各成分の含有量を調整しながら混合することにより製造される。
【0044】
本発明農薬組成物は、通常、水で希釈して施用される。例えば、水難溶性農薬活性化合物が殺虫活性化合物の場合には、通常、水で希釈して害虫または害虫が生息する場所に施用される。より具体的には、例えば、本発明農薬組成物を10〜5000倍程度に水で希釈して、害虫が生息する植物および/または土壌に散布することにより施用される。また、本発明農薬組成物を10〜1000倍程度に水で希釈して、ヘリコプターで空中散布してもよい。
【0045】
本発明農薬組成物は、通常、0.1〜1000g/10aの割合で施用される。例えば、水難溶性活性化合物が5−[4−[4−(3,3−ジクロロアリロキシ)フェノキシ]フェノキシ]−1,3,4−トリメチル−1H−ピラゾールである場合には、その施用量としては、通常0.1〜1000g/10a、好ましくは1〜100g/10aの割合を挙げることができる。
【0046】
以下、製造例、試験例等を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0047】
製造例1
5−[4−[4−(3,3−ジクロロアリロキシ)フェノキシ]フェノキシ]−1,3,4−トリメチル−1H−ピラゾール 10重量部、アジピン酸ジイソブチル 20重量部およびトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル 0.1重量部を均一に混合したものを、Pemuren TR−2(ノベオン社製)の1%分散液 6重量部、プロピレングリコール 5重量部、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油 0.2重量部、エデト酸ニナトリウム 0.03重量部、プロキセルGXL(S)(20%BIT*)を含むジプロピレングリコール水溶液、アビシア社製) 0.2重量部、アンチフォームCE(シリコーンエマルション、ダウコーニング社製) 0.2重量部および精製水の混合液中に添加し、オートホモミキサー(プライミクス社製)を用いて2000rpmで分散した後、10%に希釈した水酸化カリウム水溶液を0.2重量部加え、4000rpmで攪拌、pHを約6.0にし、粘度が1015mPa・sである農薬組成物(以下、本発明農薬組成物(1)と記す。)100重量部を得た。
*)BIT:1,2-Benzisothiazolin-3-one
【0048】
製造例2
ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油を含有しないこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が950mPa・sである農薬組成物(以下、本発明農薬組成物(2)と記す。)100重量部を得た。
【0049】
製造例3
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリルを含有しないこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が980mPa・sである農薬組成物(以下、本発明農薬組成物(3)と記す。)100重量部を得た。
【0050】
製造例4
ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油とトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルとを含有しないこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が650mPa・sである農薬組成物(以下、本発明農薬組成物(4)と記す。)100重量部を得た。
【0051】
比較例1
Pemulen TR−2 1%分散液 6重量部の代わりに、カーボポール981 0.06重量部を用いたこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が850mPa・sである農薬組成物(以下、比較組成物(1)と記す。)100重量部を得た。
【0052】
比較例2
Pemulen TR−2 1%分散液 6重量部の代わりに、カーボポール981 0.1重量部に代替した以外は製造例1と同様に調製し、粘度が2800mPa・sである農薬組成物(以下、比較組成物(2)と記す。)100重量部を得た。
【0053】
比較例3
Pemulen TR−2 1%分散液 6重量部の代わりに、カーボポール981 0.06重量部を用い、また、精製水に0.1重量%の割合でキサンタンガムを含有させたこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が2450mPa・sである農薬組成物(以下、比較組成物(3)と記す。)100重量部を得た。
【0054】
比較例4
Pemulen TR−2 1%分散液 6重量部の代わりに、カーボポール981 0.04重量部を用い、また、精製水に0.1重量%の割合でキサンタンガムを含有させたこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が1650mPa・sである農薬組成物(以下、比較組成物(4)と記す。)100重量部を得た。
【0055】
比較例5
PemulenTR−2 1%分散液 6重量部の代わりに、ポリアクリルアミド 0.4重量部を用い、水酸化カリウム 10%水溶液を含有しないこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が740mPa・sである農薬組成物(以下、比較組成物(5)と記す。)100重量部を得た。
【0056】
比較例6
Pemulen TR−2 1%分散液 6重量部の代わりに、ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部を用い、水酸化カリウム 10%水溶液を含有しないこと以外は製造例1と同様に調製し、粘度が1035mPa・sである農薬組成物(以下、比較組成物(6)と記す。)100重量部を得た。
【0057】
試験例
本発明組成物(1)〜(4)および比較組成物(1)〜(6)のサンプルをガラス管に入れ、54℃、40℃、−20℃の各条件下で保存した。54℃条件下のサンプルは2週間および1ヶ月間保存した後、分離および偏析の有無を判定し、40℃条件下のサンプルは3ヶ月間保存した後、分離および偏析の有無を判定し、−20℃条件下のサンプルは1ヶ月間保存した後、室温に戻し、分離および偏析の有無を判定した。
判定方法は、分離および偏析が全く見られないものを○、軽微な偏析があるものの、使用上問題ないものを△、分離し、使用上問題があるものを×とした。
その結果を〔表1〕及び〔表2〕に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
上記の試験例から、本発明農薬組成物は安定性に優れていることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体を含有させることによって、安定性に優れた水中油型懸濁状農薬組成物を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物とアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体とを含有し、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sであることを特徴とする水中油型懸濁状農薬組成物。
【請求項2】
さらに1種若しくは2種以上の非イオン性界面活性剤を含有する請求項1記載の農薬組成物。
【請求項3】
1種若しくは2種以上の非イオン性界面活性剤が、1種若しくは2種以上の10以上のHLBである非イオン性界面活性剤と1種若しくは2種以上の10未満のHLBである非イオン性界面活性剤との組合わせである請求項2記載の農薬組成物。
【請求項4】
1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物の含有量が3〜40重量%であり、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体の含有量が0.01〜1.0重量%であり、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sである請求項1記載の農薬組成物(但し、農薬組成物を100重量%とする)。
【請求項5】
1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物の含有量が3〜40重量%であり、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体の含有量が0.01〜1.0重量%であり、1種若しくは2種以上の非イオン性界面活性剤の含有量が0.02〜5.0重量%であり、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sである請求項2記載の農薬組成物(但し、農薬組成物を100重量%とする)。
【請求項6】
1種または2種以上の水難溶性農薬活性化合物の含有量が3〜40重量%であり、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体の含有量が0.01〜1.0重量%であり、1種若しくは2種以上の10以上のHLBである非イオン性界面活性剤の含有量と1種若しくは2種以上の10未満のHLBである非イオン性界面活性剤の含有量とが合計量で0.02〜5.0重量%であり、かつ、25℃における粘度が100〜2000mPa・sである請求項3記載の農薬組成物(但し、農薬組成物を100重量%とする)。
【請求項7】
25℃における粘度が200〜1500mPa・sである請求項1〜6いずれか一項記載の農薬組成物。

【公開番号】特開2007−314515(P2007−314515A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105831(P2007−105831)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】