水中航走体の着水揚収方法および水中航走体の着水揚収に用いる保持金具
【課題】水中航走体の着水、揚収作業において海象の影響を受け難く、かつ専用の運用支援船を必要としない水中航走体の着水揚収方法を提供する。
【解決手段】揚荷手段12を備えた運用支援船10を用いて、水中航走体40を運用支援船から海上へ着水させるため、または海上から運用支援船へ揚収するための方法であって、前記水中航走体の長手方向端部を保持して安定させるための保持金具60を前記揚荷手段に支持させる工程と、前記水中航走体の前記端部を前記保持金具に保持させて前記水中航走体を垂直に吊り上げる工程と、前記水中航走体を長手方向中心軸に沿った回転軸回りに回動させて着水方向あるいは荷役方向に着水面あるいは接地面を向ける工程と、前記揚荷手段を介して前記水中航走体を着水あるいは揚収する工程と、を有することを特徴とする。
【解決手段】揚荷手段12を備えた運用支援船10を用いて、水中航走体40を運用支援船から海上へ着水させるため、または海上から運用支援船へ揚収するための方法であって、前記水中航走体の長手方向端部を保持して安定させるための保持金具60を前記揚荷手段に支持させる工程と、前記水中航走体の前記端部を前記保持金具に保持させて前記水中航走体を垂直に吊り上げる工程と、前記水中航走体を長手方向中心軸に沿った回転軸回りに回動させて着水方向あるいは荷役方向に着水面あるいは接地面を向ける工程と、前記揚荷手段を介して前記水中航走体を着水あるいは揚収する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無索無人の水中航走体を運用支援船から着水または運用支援船へ揚収するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底情報の調査等を目的として用いられる水中航走体は、運用支援船に搭載されて調査対象となる海域まで運ばれる。このため、調査の前には水中航走体の着水作業が必要となり、調査後には揚収作業が必要となる。このような作業の中で、特に問題となるのは、運用支援船と水中航走体との接触を避けながら船上への引き上げを行う必要がある揚収作業である。
【0003】
従来、比較的小型の水中航走体は、特許文献1に開示されているように、揚収網で捕らえた水中航走体を運用支援船の舷側に備えられたスロープ(斜板)を利用して船上の作業員が引き上げるという手段が採られていた。
【0004】
また、種々の調査機器を搭載した比較的大型な水中航走体は、人手のみによる引き上げが困難であるため、運用支援船に設けられた揚苛手段を用いて揚収される。例えば特許文献2に開示されているような技術では、海底調査を終えた水中航走体が海面付近に到達すると水中航走体から、牽引索が接続されたブイが放出される。放出されたブイは、運用支援船上の作業員により引き上げられ、運用支援船に備えられた揚苛手段に接続される。牽引索は、水中航走体を2点吊りできるように玉掛けされているため、揚苛手段によって引き上げられる水中航走体は海面に対して略水平な姿勢となるように引き上げられる。これにより、引き上げた水中航走体をそのまま運用支援船上に載置することが可能となる。
【0005】
また、特許文献3には、水中航走体を揚収する際に揚苛手段に係る負荷を軽減するために、水中航走体を後端または先端から引き上げ、耐圧容器とボディーカバーの間に溜まった水を排水するという技術が開示されている。
【0006】
しかし、引用文献1や引用文献3に開示されている技術では、水中航走体の捕獲、牽引索の接続のために作業員が海に入る必要がある。このため、海象が悪い場合には揚収作業を行うことができない。また、引用文献2に開示されている技術によれば、水中航走体に対する牽引索の接続を海中で行うという作業は不要となるが、水中航走体を水平状態で引き上げるために、運用支援船に設けた揚苛手段に対して少なくとも2点の係合部が必要となる。このため、揚苛手段による吊り代が長くなる。揚収時の形態をこのような形態とした場合、海象が悪化すると、運用支援船の揺動により水中航走体の振れが大きくなるため、複数の振れ止め索による牽引作業が必要となる虞がある。このため、やはり海象が悪い場合には揚収作業を行うことが困難となる。さらに、引用文献3に開示されている技術では、水中航走体を垂直に引き上げた後の姿勢制御ができない。このため、運用支援船上に載置する際に、翼が下敷きとなり、破損する虞がある。
【0007】
このような実状を鑑み、水中航走体を海中で発射回収することのできる技術が、特許文献4に開示されている。特許文献4に開示されている技術は、運用支援船下部に収容可能とされる発射回収カゴに牽引索を接続し、これを海中に放出し、この発射回収カゴを介して水中航走体の発射、回収を実施するというものである。具体的には、発射回収カゴの出入り口に、誘導信号を出力するピンガを複数設け、前記誘導信号を受けた水中航走体が姿勢制御および位置決めを行い、発射回収カゴ内へ収容されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−291981号公報
【特許文献2】特開2003−291888号公報
【特許文献3】特開2006−298000号公報
【特許文献4】特開2009−208511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献4に開示されているような技術によれば、水中航走体の発射回収を海中で行い、かつ発射回収カゴを運用支援船の下部に収容可能とすることより、着水、揚収といった作業が無く、海象の悪化による揺動等の影響を受け難いということができる。しかし、特許文献4に開示されているような技術では、水中航走体を収容可能なサイズのカゴ(発射回収カゴ)を収容、牽引可能な専用の運用支援船が必要となる。このため、専用のハンドリング装置等を備えた専用の運用支援船を持たず、様々な船で運用することができるという無索無人の水中航走体の利点を活かすことができなくなってしまう。
また、発射回収カゴと水中航走体との間での姿勢および位置制御は、潮流の影響下では複雑な制御系が必要となることが考えられる。
【0010】
そこで本発明では、水中航走体の着水、揚収作業において海象の影響を受け難く、かつ専用の運用支援船を必要としない水中航走体の着水揚収方法、およびこの方法を実施する場合に用いる保持金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る水中航走体の着水揚収方法は、揚荷手段を備えた運用支援船を用いて、水中航走体を運用支援船から海上へ着水させるため、または海上から運用支援船へ揚収するための方法であって、前記水中航走体の長手方向端部を保持して安定させるための保持金具を前記揚荷手段に支持させる工程と、前記水中航走体の前記端部を前記保持金具に保持させて前記水中航走体を垂直に吊り上げる工程と、前記水中航走体を長手方向中心軸に沿った回転軸回りに回動させて着水方向あるいは荷役方向に着水面あるいは接地面を向ける工程と、前記揚荷手段を介して前記水中航走体を着水あるいは揚収する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法のうち、前記水中航走体を海上から運用支援船へ揚収する場合においては、前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部から揚収索付ブイを放出させる工程と、前記運用支援船上から前記揚収索付ブイを回収する工程と、前記保持金具を介して揚収索を巻上げ手段に接続する工程を有するようにすると良い。
【0013】
このような特徴を有することによれば、水中航走体の揚収作業の全てを運用支援船上から行うことができる。このため、ダイバーによる海中作業が必要な従来の方法に比べ、海象の影響を受け難い。
【0014】
また、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法では、前記揚荷手段としてAフレーム構造のクレーンを用い、前記クレーンのフレーム間にスリングロープを張り渡す工程を有し、前記水中航走体を揚収する工程において前記クレーンを前記運用支援船側に振り込む際に前記スリングロープによって前記水中航走体を受け止めるようにすると良い。
【0015】
このような特徴を有することによれば、クレーンのフレーム間に垂下される水中航走体を、フレームの傾倒状態に倣わせて倒し込む事ができる。また、スリングロープにより水中航走体を受け止めるため、水中航走体が傷つき難い。
【0016】
また、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法のうち、前記水中航走体を前記運用支援船から海上へ着水させる場合においては、前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部に着水索を接続する工程を有し、前記水中航走体を着水させる工程の後に前記着水索を遠隔操作にて前記水中航走体から切り離す工程とを有するようにすると良い。
【0017】
このような特徴を有することによれば、水中航走体の着水作業の全てを運用支援船上から行うことができる。このため、ダイバーによる海中作業(水中航走体の切り離し作業)が必要な従来の方法に比べ、海象の影響を受け難い。
【0018】
さらに、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法では、前記運用支援船に、前記水中航走体を載置する載置台を有する稼動台座を備え、前記水中航走体を前記運用支援船から吊り上げる際、あるいは前記水中航走体を前記運用支援船に揚収する際に、前記載置台を前記水中航走体の傾斜方向へ傾けるようにすると良い。
【0019】
このような特徴を有することによれば、垂直に吊り上げられた水中航走体を接地させる際、接地部に過度の負荷がかかる虞が無くなる。また、水中航走体を垂直に吊り上げる際にも、最後に地切りする箇所、あるいは艇体に過度の負荷が係る虞が無くなる。
【0020】
また、上記目的を達成するための本発明に係る保持金具は、上記特徴を有する水中航走体の着水揚収方法に用いられる保持金具であって、運用支援船に備えられた揚荷手段の吊り上げワイヤを係合する係合部と、水中航走体の保持側端部の一部を収容する収容部と、水中航走体に当接して吊り上げ状態を安定させる当接部と有することを特徴とする。
【0021】
また、上記のような特徴を有する保持金具において前記当接部には、緩衝材を設けるようにすると良い。
このような特徴を有することにより、水中航走体を保持した際に、水中航走体を傷つける虞が無い。
【0022】
また、上記のような特徴を有する保持金具では、前記収容部内に、前記水中航走体に接続する着水索、または前記水中航走体から放出された揚収索を掛け回すシーブを設け、前記収容部は、少なくとも前記着水索または前記揚収索を外部に引き出すことが可能なフレーム構造とすると良い。
【0023】
このような特徴を有することにより、揚苛手段以外の巻上げ手段のワイヤを用いて保持金具まで水中航走体を引き上げることが可能となる。
また、上記のような特徴を有する保持金具では、保持した前記水中航走体を長手方向中心線回りに回転させることを可能とするローテータを備えるようにすると良い。
【0024】
このような特徴を有することにより、垂直に吊り上げた水中航走体の姿勢制御を行うことが可能となる。これにより、水中航走体を揚収、あるいは着水させる際、翼が艇体の下敷きになる虞が無くなる。
【0025】
また、上記のような特徴を有する保持金具において前記ローテータは、前記当接部に設けるようにすると良い。
このような構成とすることにより、水中航走体を保持したまま、吊り上げ形態に影響を与えることなく水中航走体を中心線回りに回転させることが可能となるからである。
【0026】
さらに、上記のような特徴を有する保持金具では、前記係合部に、前記ワイヤによって吊り上げられた後に前記揚荷手段に安定支持させるための緩衝手段を備えるようにすると良い。
【0027】
このような特徴を有することによれば保持金具を揚苛手段と擬似的に一体化することができる。これにより、水中航走体を保持した状態では、ワイヤ等の可撓部材による吊り代が無くなる。よって、吊り上げた水中航走体の揚動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法によれば、水中航走体の着水、揚収作業において海象の影響を受け難く、従来に比べ、海象が悪化した場合であっても、着水、揚収作業を実施できる可能性が高まる。また、運用支援船には、揚苛手段と巻上げ手段、および保持金具が具備されていれば良いため、水中航走体を運用するにあたって専用の運用支援船を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態で利用する運用支援船の装備例を説明するための図である。
【図2】実施形態において揚収、着水を行う水中航走体の構成を示す図である。
【図3】水中航走体の揚収作業を行う際の工程を示すフローである。
【図4】実施形態で用いる保持金具の具体例の正面構成を示す図である。
【図5】図4に示す保持金具の側面構成を示す図である。
【図6】図4に示す保持金具の平面構成を示す図である。
【図7】図4に示す保持金具の構成を示す斜視図である。
【図8】緩衝手段設置工程の様子を示す図である。
【図9】保持金具設置工程、スリングロープ張り渡し工程、ワイヤ巻き掛け工程の様子を示す図である。
【図10】海上に浮上し、ブイを放出した水中航走体の様子を示す図である。
【図11】水中航走体を捕捉する様子を示す図である。
【図12】揚収索接続工程の様子を示す図である。
【図13】水中航走体吊り上げ工程の様子を示す図である。
【図14】姿勢制御工程の様子を示す図である。
【図15】振り込み工程において水中航走体がスリングロープに接触する様子を示す図である。
【図16】振り込み工程においてフレームを最大振り込み位置まで振り込んだ状態を示す図である。
【図17】接地工程の様子を示す図である。
【図18】揚収を完了した水中航走体の様子を示す図である。
【図19】水中航走体の着水作業を行う際の工程を示すフローである。
【図20】実施形態で用いる吊り金具の正面構成を示す図である。
【図21】実施形態で用いる吊り金具の左側面の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の水中航走体の着水揚収方法、および水中航走体の着水揚収に用いる保持金具に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、本発明の水中航走体の着水揚収方法を実施するにあたって使用する運用支援船と水中航走体の構成について、図1および図2を参照して説明する。
【0031】
本実施形態で使用する運用支援船10は、例えば海洋調査船と呼ばれる船であれば良い。具体的には、少なくとも船体に、詳細を後述する水中航走体40を吊り上げ可能とする揚荷手段12を備えている。本実施形態で使用する運用支援船10は図1に示すように、船尾に、Aフレーム構造(門型フレーム構造)を持つ揚荷手段12(クレーン)を備える構成としている。揚荷手段12を構成するフレーム14には、いわゆるペンダント型のフレーム(以下、ペンダントフレーム16と称す)が付随しており、フレーム14の船体側への振り込みや、海上側への振り出しを行った場合であっても、ペンダントフレーム16のベース16aが水平を保つように構成されている。揚荷手段12のワイヤ(以下、第1ワイヤ18と称す)は、ペンダントフレーム16のベース16aから垂下されるように構成されている。
【0032】
また、本実施形態で使用する運用支援船10には、揚荷手段12とは別に巻上げ手段24が備えられている。巻上げ手段24としては、巻上げ用のワイヤ(不図示)と、ワイヤを巻回させるドラム、およびドラムを回転させてワイヤを巻き取るモータ等の駆動手段(不図示)を備えたウインチ等であれば良い。
【0033】
また、運用支援船10には、詳細を後述する水中航走体40を載置するための稼動台座20を搭載しておくと良い。稼動台座20は、水中航走体40を載置するための載置台22を備えていれば良く、載置台22は、稼動台座20本体を基準として起伏可能な構成とすると良い。
【0034】
このような運用支援船10であれば、一般的な海洋調査船に備えられた装備で事が足り、専用船への改造等が不要であり、種々の運用支援船10を用いて実施が可能となる。なお、稼動台座20に関しては、水中航走体40と同様に、船体へ搭載すれば足りる。
【0035】
水中航走体40は、無索で無人探査が可能なものであれば特に限定するものでは無いが、本実施形態で使用するものは図2に示すように、全体として流線型をした、いわゆる魚雷型の艇体42を有するものである。図2に示す形態の水中航走体40には、主翼44と尾翼46、垂直尾翼48、スクリュー50、およびブイ52が備えられている。主翼44と尾翼46は、水中航走体40の傾きや、上昇、下降などを制御するための翼である。図2に示すように、主翼44と尾翼46の双方の角度を変更可能とする水中航走体40では、主翼44と尾翼46を同じ角度で傾けることで、艇体42を傾ける事無く上昇、下降することが可能となる。垂直尾翼48は、艇体42のローリングを抑制すると共に、艇体42を基準として左右の進行方向を制御する役割を担う。垂直尾翼48の先端には、海中において運用支援船からの指令を受けるための音波や、海上に浮上した際に運用支援船から出力される電波を受信するためのアンテナ48a等が備えられている。
【0036】
ブイ52は、海上、あるいは海上近傍にまで浮上した水中航走体40から放出される浮きである。ブイ52には、水中航走体40に接続された揚収索54が係合されている。このようなブイ52を放出し、ブイ52を回収することで水中航走体40を捕捉することが可能となる。なお、ブイ52の先端には、水中航走体40を着水させる際に着水索(巻上げ手段24のワイヤ)を係合するための係合部56が設けられている。
【0037】
次に、上記に一例を挙げた基本構成を持つ運用支援船10と水中航走体40を用いた水中航走体40の着水、揚収方法について説明する。まず、図3、並びに図8〜図18を参照して、揚収作業についての実施形態を説明する。なお、図3は実施形態に係る揚収作業のフローであり、図8〜図18は、揚収作業における各工程を説明するための図である。
【0038】
まず、図8に示すように、揚荷手段12におけるペンダントフレーム16に、詳細を後述する保持金具60を安定支持するための緩衝手段58を備える。緩衝手段58としては、ショックアブソーバなどである事が望ましいが、保持金具60を押し付けた状態で安定支持することができるものであれば、ウレタン材などにより構成された枠であっても良い(緩衝手段設置工程:S100)。
【0039】
保持金具60は、水中航走体40の長手方向端部(本実施形態においては進行方向前側端部)を保持するための冶具であり、図4〜図7に示すように、係合部62と収容部64、および当接部66を主として構成される。なお、図4は保持金具の正面構成を示す図であり、図5は側面構成、図6は上面構成をそれぞれ示し、図7は斜視図である。
【0040】
係合部62は、揚荷手段12における第1ワイヤ18を係合するための吊り環状の貫通孔62a1を設けた平板62aと、緩衝手段58を押し当てるための当接板62bとを有する。収容部64は、係合部62における当接板62bを頂点として構成される水平方向の断面形状を円形とした籠状のフレーム64aを備える。フレーム64aを構成する円形断面の直径は、魚雷型とされる水中航走体40における艇体42の直径よりも若干小さいか、前記直径と同程度となるように形成されている。このような構成とすることで、水中航走体40の端部を収容した上で安定保持することが可能となるからである。収容部64内には、シーブ64bが備えられている。シーブ64bは、水中航走体40を揚収、または着水させる際、水中航走体40を吊り上げるのに利用される。具体的には、巻上げ手段24のワイヤを巻き掛けて、このワイヤの先端を水中航走体40に接続して着水索としたり、水中航走体40から延びる揚収索54に接続してワイヤを巻き上げることで水中航走体40を吊り上げるといった具合である。
【0041】
当接部66は、収容部64におけるフレーム64aの開口端部側に設けられ、水中航走体40に接触して水中航走体40の揺動を抑制する保持部の役割を担う。なお、当接部66は、枠体となる円形ベース66aと、水中航走体40の艇体42を傷つけることを防ぐ緩衝材66bとを有する。また、実施形態に係る保持金具60の場合、当接部66における円形ベース66aと緩衝材66bとの間にベアリング等により構成されるローテータ(不図示)を介在させ、円形ベース66aに対して緩衝材66bが回動可能な構成としている。このような構成とすることで、保持した水中航走体40を長手方向中心軸回りに回転させることができる。これにより、揚収、または着水させる際の姿勢制御が可能となり、揚収、着水に際して水中航走体40の翼などを傷つけることを防止することができる。
【0042】
次に図9に示すように、船体側に振り込まれた揚荷手段12の第1ワイヤ18に保持金具60を係合する。保持金具60に係合した第1ワイヤ18を巻上げ、保持金具60をペンダントフレーム16のベース16aに備えた緩衝手段58に当接させる。これにより、ペンダントフレーム16のベース16aに対して保持金具60の揺動が無くなる。よって、保持金具60により水中航走体40を保持した場合には、ワイヤ等の可撓部材による水中航走体の吊り代が実質的に無くなる。このため、吊り上げられた水中航走体の揺動が抑制され、振れ止め索等を用いた抑えが必要なくなる(保持金具設置工程:S110)。
【0043】
保持金具60をセットした後、水中航走体40の接地位置(着座位置)に稼動台座20を移動させる(稼動台座移動工程:S121)。なお、本実施形態で接地とは、揚収作業において水中航走体40が船体、あるいは船体に備えられた器具(例えば稼動台座20)により支えられる状態をいう。稼動台座20の移動と前後して、あるいは稼動台座20の移動と同時に、揚荷手段12におけるフレーム14間にスリングロープ70を張り渡す。こうすることにより、吊り上げた水中航走体40を保持した状態で揚荷手段12が船体側へ振り込まれた場合であっても、スリングロープ70により水中航走体40が受け止められる。このため、水中航走体40が垂直状態のまま接地される虞が無い(スリングロープ張り渡し工程:S122)。
【0044】
また、稼動台座20の移動やスリングロープ70の張り渡しと前後して、あるいは同時に、巻上げ手段24からワイヤを引き出し、保持金具60におけるシーブ64bに巻き掛ける。シーブ64bに対する巻き掛けは、保持金具60における収容部64のフレーム64a外側からワイヤを入れ、シーブ64bに巻き掛けた後に当接部66側から引き出すようにする(ワイヤ巻き掛け工程:S123)。
【0045】
次に、図10に示すように水中航走体40が潜航を終了して浮上する際に放出した揚収索54付のブイ52を回収し水中航走体40を捕捉する。ブイ52の回収は、運用支援船10上から行う。具体的には図11に示すように、サンドレット72等を投げ込み、これにブイ52を引掛けて引き寄せる。ブイ52を回収した後、揚収索54からブイ52を取り外し、図12に示すように保持金具60の当接部66から引き出されているワイヤに接続する(揚収索接続工程:S130)。
【0046】
ワイヤに対して揚収索54を接続した後図13に示すように揚荷手段12のフレーム14を海上側へ振り出し、巻上げ手段24によりワイヤを巻き取り、水中航走体40を吊り上げる。水中航走体40を垂直に吊り上げることで、水中航走体40を構成する耐圧容器とカバー(いずれも具体的構成については不図示)との間の水切りを行うことができ、揚収索54に掛かる負担を軽減することができる。水中航走体40の吊り上げは、波浪状況を考慮しながら、平均波周期(6秒間)以内で行う。これにより、水中航走体40の揺れを抑制することができる。水中航走体40の吊り上げは、水中航走体40の艇体42が保持金具60の当接部66に接触して保持されるまで行う。これにより、ワイヤによる吊り代が無くなり、水中航走体40の吊り上げ状態が安定する(水中航走体吊り上げ工程:S140)。
【0047】
ワイヤにより吊り上げ、保持金具60によって水中航走体40を保持した後、水中航走体40を回転させ、図14に示すように艇体42の底部が運用支援船10の船体側を向くようにする。なお、水中航走体40の回転は、図示しないロープ等を介して手動で行っても良いし、図示しないモータ等の駆動手段を用いて行っても良い(姿勢制御工程:S150)。
【0048】
ローテータを介した姿勢制御を終えた後、揚荷手段12のフレーム14を運用支援船10側に振り込む。フレーム14の振り込みが垂直状態となると、ペンダントフレーム16に垂下された状態となっている水中航走体40は図15に示すように、フレーム14間に張り渡されたスリングロープ70に接触する。この状態でフレーム14を最大振り込み位置まで振り込むと、スリングロープ70に支持された水中航走体40は図16に示すように、フレーム14の傾斜に沿った角度を維持することとなる。なお、フレーム14の振り込みを行う際には、巻上げ手段24によるワイヤの巻上げ状態を変化させ、水中航走体40の吊り上げ張力を一定に保持させる。これにより、フレーム14の振り込み時に吊り上げ張力が下がり、水中航走体40の保持状態が解除されるといった虞が無くなる(振り込み工程:S160)。
【0049】
揚荷手段12のフレーム14を最大振り込み位置まで振り込んだ後、水中航走体40の接地位置に移動させておいた稼動台座20の載置台22を起伏させ(図17参照)、載置台22をフレーム14の傾斜角度、すなわち水中航走体40の傾きに合わせて傾斜させ、載置台22に水中航走体40を接地させる。その後、載置台22に対して水中航走体40を縛り付けて固定する(ラッシング)。水中航走体40を固定した後、スリングロープ70を取り外し、巻上げ手段24によるワイヤの巻上げ状態を解除し、ワイヤに掛かる張力を緩める(接地工程:S170)。
【0050】
最後に、図18に示すように、稼動台座20の載置台22を水平に戻し、揚収索54の収納、あるいは取り外しを行った後、稼動台座20を移動して水中航走体40を格納する(揚収完了:S180)。
【0051】
このような揚収方法によれば、保持金具60により水中航走体40の頭部を保持することとなるため、水中航走体40を吊り上げた際の揺動を抑制することができる。水中航走体40の揺動を抑制することができることより、振れ止め索による抑え込みを行う必要がなく、甲板作業の労力を抑えることができる。また、水中航走体40の捕捉から吊り上げ、揚収完了までを運用支援船10上における作業のみで実施することができる。このため、水中航走体40捕捉のための作業艇の出動や、ダイバーなどによる海上作業が無く、海象の悪化による影響を受け難い。例えば、従来では揚収作業が困難とされてきたSea State 4(有義波高2.5m、平均波周期6.0sec:気象庁風浪階級表より)であっても、揚収作業を行うことができる。
【0052】
また、作業を行うにあたり必要とされる専用冶具は保持金具60程度であるため、運用支援船10を専用設計とする必要が無い。よって、種々の船舶(例えば海洋調査船)を運用支援船10として利用することができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、揚苛手段12のフレーム14間にスリングロープ70を張り渡し、水中航走体40を吊り上げた揚苛手段12のフレーム14が垂直状態に達した際にスリングロープ70で水中航走体40を受け止める旨記載した。しかしながら、本発明に係る水中航走体40の揚収方法を実施するにあたっては、揚苛手段12のフレーム14が垂直状態に達した際、稼動台座20の載置台22を垂直に起こすようにしても良い。このようにすれば、揚苛手段12のフレーム14が垂直状態に達することで、吊り上げられた水中航走体40は稼動台座20の載置台22に当接することとなる。この後、水中航走体40をラッシングし、巻上げ手段24のワイヤの張力を弱めて載置台22を寝かせれば、上記実施形態と同様に、水中航走体40の揚収が完了するからである。
【0054】
次に、水中航走体の着水作業について図19を参照して説明する。
まず、運用支援船10側に振り込まれた揚苛手段12のペンダントフレーム16に、保持金具60を支持させる。保持金具60の支持は、揚収作業時と同様で良い。すなわち、保持金具60における係合部62に、巻上げ手段24のワイヤを係合し、これを吊り上げ、ペンダントフレーム16のベース16aにセットした緩衝手段58に当接させて安定させるという方法である(吊り金具設置工程:S200)。
【0055】
ペンダントフレーム16に保持金具60を支持させた後、運用支援船10に備えられた巻上げ手段24のワイヤを保持金具60のシーブ64bに巻き掛ける。ワイヤの巻き掛けは、保持金具60の収容部64の側面からワイヤを通し、シーブ64bに巻き掛けた後に当接部66側へ先端を垂らすといった方法で良い(ワイヤ巻き掛け工程:S211)。
【0056】
載置台22に水中航走体40を載置した稼動台座20を配置する。稼動台座20の配置位置は、水中航走体40の吊り上げ位置、すなわち地切り位置とすれば良い(稼動台座移動工程:S212)。
【0057】
地切り位置に配置した水中航走体40の端部(本実施形態においては進行方向前側端部)に、保持金具60から垂らされたワイヤ(着水作業においては着水索)を接続する。ワイヤの接続には、遠隔切離手段86を備えた吊り金具76を用いると良い(図20、図21参照)。遠隔操作でワイヤと水中航走体40との係合を解除することができれば、水中航走体40を着水させた後、運用支援船10の船上から、水中航走体40に接続されたワイヤを取り外すことが可能となり、ダイバー等による海上(海中)作業が不要となる。これにより、着水作業の労力が軽減されると共に、着水作業を行うにあたり、海象の悪化に影響され難くなる(着水索接続工程:S220)。
【0058】
実施形態で用いる吊り金具は、例えば図20、図21に示すような形態であれば良い。なお、図20は吊り金具の正面形態を示し、図21は吊り金具の左側面を示す図である。図20、図21に示す吊り金具76は、上部係合部78と下部係合部82、および遠隔切離手段86を基本として構成されるものである。具体的には、上部係合部78は、いわゆる吊り環状の孔78aが開いた平板であれば良い。遠隔切離を不要とする側の係合部は、このような構成であればワイヤ等との係合が可能となるからである。例えば、孔78aに直接ワイヤを係合したり、ワイヤを係合させたシャックル94等の吊具を接続することができる。
【0059】
下部係合部82は、止めピン84を挿通させる貫通孔82aを設けた一対の平行板と、この平行板に挿通される止めピン84とを有する。係合対象物(例えば水中航走体40の先端に設けられた係合部56(吊り環))を対を成す平行板間に介入させ、その後に止めピン84を挿通させることで、係合対象物の抜け止めが図れ、係合対象物との係合が達成される。
【0060】
遠隔切離手段86は、例えばエアシリンダなどであれば良い。遠隔切離手段86は、上部係合部78と下部係合部82の間に介在されるベース80を基点として設けられたブラケット92にシリンダ部88を固定し、ロッド部90の先端に止めピン84を接続する構成とすれば良い。このような構成の遠隔切離手段86は、ロッド部90が伸張した状態では止めピン84が平行板である下部係合部82の貫通孔82aに挿通され、ロッド部90が短縮した状態では止めピン84が下部係合部82の貫通孔82aから抜き取られる状態となるように取り付け位置を調整する。このような構成の吊り金具76を用いれば、シリンダ部88に対するエアの供給により、遠隔操作にて係合状態の解除が可能となる。
【0061】
水中航走体40の先端にワイヤを接続した後、稼動台座20における載置台22を傾斜させ、水中航走体40を垂直姿勢とさせる。この際、水中航走体40は載置台22に対してラッシングしておく。これにより、載置台22の起伏状態の変化に伴って水中航走体40が載置台22から落下するといった虞が無くなるからである。水中航走体40の姿勢を垂直状態とした後、巻上げ手段24によりワイヤを巻き取り、水中航走体40と係合されたワイヤに張力をかけ、この状態で水中航走体40のラッシングを解除する。ワイヤに張力が掛かった状態であれば、ラッシングを解除した場合であっても水中航走体40が載置台22からずれ落ちる虞が無いからである(地切り工程:S230)。
【0062】
水中航走体40のラッシングを解除した後、巻上げ手段24によりワイヤをさらに巻き上げ、水中航走体40を保持金具60により保持する。これにより、実質的に水中航走体40の吊り代が無くなるため、吊り上げ状態の水中航走体40の揺動を抑制することができる。このため、着水作業を実施するにあたって、複数の振れ止め索を用いて水中航走体40の揺動を抑えるといった作業が不要となり、着水作業時における甲板作業の労力を軽減することができる。また、揺動が少ないため、着水作業を行うにあたって、海象の影響を受け難い(水中航走体吊り上げ工程:S240)。
【0063】
水中航走体40を吊り上げた後、ローテータにより水中航走体40を長手方向中心軸回りに回動させ、姿勢の変更を行う。姿勢の変更は、例えば、海上側に艇体42の底部が向くようにすれば良い(姿勢制御工程S250)。水中航走体40の姿勢制御を行った後、揚苛手段12のフレーム14を海上側へ振り出す。この際、フレーム14の振り出しに応じて巻上げ手段24におけるワイヤの張力を一定に保つように、巻上げ手段24におけるワイヤの巻き取り量、あるいは送り出し量を調整する(振り出し工程:S260)。
【0064】
揚苛手段12のフレーム14を海上側へ振り出した後、巻上げ手段24のワイヤを送り出し、水中航走体40を着水させる。水中航走体40を着水させた後、ワイヤと水中航走体40を係合している吊り金具76の遠隔切離手段86を解除し、ワイヤと水中航走体40との係合状態を解除する。本実施形態の場合、係合状態の解除は、シリンダ部88にエアを投入し、ロッド部90を短縮させて止めピン84を下部係合部82を構成する平行板から抜きとることで成される。このようにして係合状態を解除することによれば、ワイヤと水中航走体40の係合状態の解除を運用支援船10上から実施することができるため、ダイバー等による海中作業が不要となり、海象の影響を受け難くなる(着水完了:S270)。その他の作用、効果については、上述した揚収作業における効果と同様である。
【0065】
上記実施形態ではいずれも、揚苛手段12としてAフレーム構造のクレーンを用いる旨記載した。しかしながら本発明に係る水中航走体の着水揚収方法は、使用するクレーンの形態を限定するものでは無い。例えば揚苛手段12の構造をデッキクレーンなどとした場合でも、本発明を実施することができる。クレーン形態の違いは、海上への振り出しや運用支援船10への振り込み形態の違いであり、このような相違があった場合であっても、稼動台座20の載置台22の傾きを利用すれば、垂直状態で吊り上げられた水中航走体40を接地させることができると共に、垂直状態に吊り上げるように地切りすることができるからである。
【0066】
また、上記実施形態では、保持金具60を揚苛手段12におけるペンダントフレーム16のベース16aに安定支持させるため、ベース16aに緩衝手段58を設ける旨記載した。しかしながら緩衝手段58は、保持金具60における係合部62に設けるようにしても良い。設置対象を逆転させた場合であっても、吊り上げ状態では同様な効果を奏することができるからである。
【符号の説明】
【0067】
10………運用支援船、12………揚苛手段、14………フレーム、16………ペンダントフレーム、16a………ベース、18………第1ワイヤ、20………稼動台座、22………載置台、24………巻上げ手段、40………水中航走体、42………艇体、44………主翼、46………尾翼、48………垂直尾翼、48a………アンテナ、50………スクリュー、52………ブイ、54………揚収索、56………係合部、58………緩衝手段、60………保持金具、62………係合部、62a………平板、62a1………貫通孔、62b………当接板、64………収容部、64a………フレーム、64b………シーブ、66………当接部、66a………円形ベース、66b………緩衝材、70………スリングロープ、72………サンドレット、76………吊り金具、78………上部係合部、78a………孔、80………ベース、82………下部係合部、82a………貫通孔、84………止めピン、86………遠隔切離手段、88………シリンダ部、90………ロッド部、92………ブラケット、94………シャックル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無索無人の水中航走体を運用支援船から着水または運用支援船へ揚収するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底情報の調査等を目的として用いられる水中航走体は、運用支援船に搭載されて調査対象となる海域まで運ばれる。このため、調査の前には水中航走体の着水作業が必要となり、調査後には揚収作業が必要となる。このような作業の中で、特に問題となるのは、運用支援船と水中航走体との接触を避けながら船上への引き上げを行う必要がある揚収作業である。
【0003】
従来、比較的小型の水中航走体は、特許文献1に開示されているように、揚収網で捕らえた水中航走体を運用支援船の舷側に備えられたスロープ(斜板)を利用して船上の作業員が引き上げるという手段が採られていた。
【0004】
また、種々の調査機器を搭載した比較的大型な水中航走体は、人手のみによる引き上げが困難であるため、運用支援船に設けられた揚苛手段を用いて揚収される。例えば特許文献2に開示されているような技術では、海底調査を終えた水中航走体が海面付近に到達すると水中航走体から、牽引索が接続されたブイが放出される。放出されたブイは、運用支援船上の作業員により引き上げられ、運用支援船に備えられた揚苛手段に接続される。牽引索は、水中航走体を2点吊りできるように玉掛けされているため、揚苛手段によって引き上げられる水中航走体は海面に対して略水平な姿勢となるように引き上げられる。これにより、引き上げた水中航走体をそのまま運用支援船上に載置することが可能となる。
【0005】
また、特許文献3には、水中航走体を揚収する際に揚苛手段に係る負荷を軽減するために、水中航走体を後端または先端から引き上げ、耐圧容器とボディーカバーの間に溜まった水を排水するという技術が開示されている。
【0006】
しかし、引用文献1や引用文献3に開示されている技術では、水中航走体の捕獲、牽引索の接続のために作業員が海に入る必要がある。このため、海象が悪い場合には揚収作業を行うことができない。また、引用文献2に開示されている技術によれば、水中航走体に対する牽引索の接続を海中で行うという作業は不要となるが、水中航走体を水平状態で引き上げるために、運用支援船に設けた揚苛手段に対して少なくとも2点の係合部が必要となる。このため、揚苛手段による吊り代が長くなる。揚収時の形態をこのような形態とした場合、海象が悪化すると、運用支援船の揺動により水中航走体の振れが大きくなるため、複数の振れ止め索による牽引作業が必要となる虞がある。このため、やはり海象が悪い場合には揚収作業を行うことが困難となる。さらに、引用文献3に開示されている技術では、水中航走体を垂直に引き上げた後の姿勢制御ができない。このため、運用支援船上に載置する際に、翼が下敷きとなり、破損する虞がある。
【0007】
このような実状を鑑み、水中航走体を海中で発射回収することのできる技術が、特許文献4に開示されている。特許文献4に開示されている技術は、運用支援船下部に収容可能とされる発射回収カゴに牽引索を接続し、これを海中に放出し、この発射回収カゴを介して水中航走体の発射、回収を実施するというものである。具体的には、発射回収カゴの出入り口に、誘導信号を出力するピンガを複数設け、前記誘導信号を受けた水中航走体が姿勢制御および位置決めを行い、発射回収カゴ内へ収容されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−291981号公報
【特許文献2】特開2003−291888号公報
【特許文献3】特開2006−298000号公報
【特許文献4】特開2009−208511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献4に開示されているような技術によれば、水中航走体の発射回収を海中で行い、かつ発射回収カゴを運用支援船の下部に収容可能とすることより、着水、揚収といった作業が無く、海象の悪化による揺動等の影響を受け難いということができる。しかし、特許文献4に開示されているような技術では、水中航走体を収容可能なサイズのカゴ(発射回収カゴ)を収容、牽引可能な専用の運用支援船が必要となる。このため、専用のハンドリング装置等を備えた専用の運用支援船を持たず、様々な船で運用することができるという無索無人の水中航走体の利点を活かすことができなくなってしまう。
また、発射回収カゴと水中航走体との間での姿勢および位置制御は、潮流の影響下では複雑な制御系が必要となることが考えられる。
【0010】
そこで本発明では、水中航走体の着水、揚収作業において海象の影響を受け難く、かつ専用の運用支援船を必要としない水中航走体の着水揚収方法、およびこの方法を実施する場合に用いる保持金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る水中航走体の着水揚収方法は、揚荷手段を備えた運用支援船を用いて、水中航走体を運用支援船から海上へ着水させるため、または海上から運用支援船へ揚収するための方法であって、前記水中航走体の長手方向端部を保持して安定させるための保持金具を前記揚荷手段に支持させる工程と、前記水中航走体の前記端部を前記保持金具に保持させて前記水中航走体を垂直に吊り上げる工程と、前記水中航走体を長手方向中心軸に沿った回転軸回りに回動させて着水方向あるいは荷役方向に着水面あるいは接地面を向ける工程と、前記揚荷手段を介して前記水中航走体を着水あるいは揚収する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法のうち、前記水中航走体を海上から運用支援船へ揚収する場合においては、前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部から揚収索付ブイを放出させる工程と、前記運用支援船上から前記揚収索付ブイを回収する工程と、前記保持金具を介して揚収索を巻上げ手段に接続する工程を有するようにすると良い。
【0013】
このような特徴を有することによれば、水中航走体の揚収作業の全てを運用支援船上から行うことができる。このため、ダイバーによる海中作業が必要な従来の方法に比べ、海象の影響を受け難い。
【0014】
また、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法では、前記揚荷手段としてAフレーム構造のクレーンを用い、前記クレーンのフレーム間にスリングロープを張り渡す工程を有し、前記水中航走体を揚収する工程において前記クレーンを前記運用支援船側に振り込む際に前記スリングロープによって前記水中航走体を受け止めるようにすると良い。
【0015】
このような特徴を有することによれば、クレーンのフレーム間に垂下される水中航走体を、フレームの傾倒状態に倣わせて倒し込む事ができる。また、スリングロープにより水中航走体を受け止めるため、水中航走体が傷つき難い。
【0016】
また、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法のうち、前記水中航走体を前記運用支援船から海上へ着水させる場合においては、前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部に着水索を接続する工程を有し、前記水中航走体を着水させる工程の後に前記着水索を遠隔操作にて前記水中航走体から切り離す工程とを有するようにすると良い。
【0017】
このような特徴を有することによれば、水中航走体の着水作業の全てを運用支援船上から行うことができる。このため、ダイバーによる海中作業(水中航走体の切り離し作業)が必要な従来の方法に比べ、海象の影響を受け難い。
【0018】
さらに、上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法では、前記運用支援船に、前記水中航走体を載置する載置台を有する稼動台座を備え、前記水中航走体を前記運用支援船から吊り上げる際、あるいは前記水中航走体を前記運用支援船に揚収する際に、前記載置台を前記水中航走体の傾斜方向へ傾けるようにすると良い。
【0019】
このような特徴を有することによれば、垂直に吊り上げられた水中航走体を接地させる際、接地部に過度の負荷がかかる虞が無くなる。また、水中航走体を垂直に吊り上げる際にも、最後に地切りする箇所、あるいは艇体に過度の負荷が係る虞が無くなる。
【0020】
また、上記目的を達成するための本発明に係る保持金具は、上記特徴を有する水中航走体の着水揚収方法に用いられる保持金具であって、運用支援船に備えられた揚荷手段の吊り上げワイヤを係合する係合部と、水中航走体の保持側端部の一部を収容する収容部と、水中航走体に当接して吊り上げ状態を安定させる当接部と有することを特徴とする。
【0021】
また、上記のような特徴を有する保持金具において前記当接部には、緩衝材を設けるようにすると良い。
このような特徴を有することにより、水中航走体を保持した際に、水中航走体を傷つける虞が無い。
【0022】
また、上記のような特徴を有する保持金具では、前記収容部内に、前記水中航走体に接続する着水索、または前記水中航走体から放出された揚収索を掛け回すシーブを設け、前記収容部は、少なくとも前記着水索または前記揚収索を外部に引き出すことが可能なフレーム構造とすると良い。
【0023】
このような特徴を有することにより、揚苛手段以外の巻上げ手段のワイヤを用いて保持金具まで水中航走体を引き上げることが可能となる。
また、上記のような特徴を有する保持金具では、保持した前記水中航走体を長手方向中心線回りに回転させることを可能とするローテータを備えるようにすると良い。
【0024】
このような特徴を有することにより、垂直に吊り上げた水中航走体の姿勢制御を行うことが可能となる。これにより、水中航走体を揚収、あるいは着水させる際、翼が艇体の下敷きになる虞が無くなる。
【0025】
また、上記のような特徴を有する保持金具において前記ローテータは、前記当接部に設けるようにすると良い。
このような構成とすることにより、水中航走体を保持したまま、吊り上げ形態に影響を与えることなく水中航走体を中心線回りに回転させることが可能となるからである。
【0026】
さらに、上記のような特徴を有する保持金具では、前記係合部に、前記ワイヤによって吊り上げられた後に前記揚荷手段に安定支持させるための緩衝手段を備えるようにすると良い。
【0027】
このような特徴を有することによれば保持金具を揚苛手段と擬似的に一体化することができる。これにより、水中航走体を保持した状態では、ワイヤ等の可撓部材による吊り代が無くなる。よって、吊り上げた水中航走体の揚動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
上記のような特徴を有する水中航走体の着水揚収方法によれば、水中航走体の着水、揚収作業において海象の影響を受け難く、従来に比べ、海象が悪化した場合であっても、着水、揚収作業を実施できる可能性が高まる。また、運用支援船には、揚苛手段と巻上げ手段、および保持金具が具備されていれば良いため、水中航走体を運用するにあたって専用の運用支援船を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態で利用する運用支援船の装備例を説明するための図である。
【図2】実施形態において揚収、着水を行う水中航走体の構成を示す図である。
【図3】水中航走体の揚収作業を行う際の工程を示すフローである。
【図4】実施形態で用いる保持金具の具体例の正面構成を示す図である。
【図5】図4に示す保持金具の側面構成を示す図である。
【図6】図4に示す保持金具の平面構成を示す図である。
【図7】図4に示す保持金具の構成を示す斜視図である。
【図8】緩衝手段設置工程の様子を示す図である。
【図9】保持金具設置工程、スリングロープ張り渡し工程、ワイヤ巻き掛け工程の様子を示す図である。
【図10】海上に浮上し、ブイを放出した水中航走体の様子を示す図である。
【図11】水中航走体を捕捉する様子を示す図である。
【図12】揚収索接続工程の様子を示す図である。
【図13】水中航走体吊り上げ工程の様子を示す図である。
【図14】姿勢制御工程の様子を示す図である。
【図15】振り込み工程において水中航走体がスリングロープに接触する様子を示す図である。
【図16】振り込み工程においてフレームを最大振り込み位置まで振り込んだ状態を示す図である。
【図17】接地工程の様子を示す図である。
【図18】揚収を完了した水中航走体の様子を示す図である。
【図19】水中航走体の着水作業を行う際の工程を示すフローである。
【図20】実施形態で用いる吊り金具の正面構成を示す図である。
【図21】実施形態で用いる吊り金具の左側面の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の水中航走体の着水揚収方法、および水中航走体の着水揚収に用いる保持金具に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、本発明の水中航走体の着水揚収方法を実施するにあたって使用する運用支援船と水中航走体の構成について、図1および図2を参照して説明する。
【0031】
本実施形態で使用する運用支援船10は、例えば海洋調査船と呼ばれる船であれば良い。具体的には、少なくとも船体に、詳細を後述する水中航走体40を吊り上げ可能とする揚荷手段12を備えている。本実施形態で使用する運用支援船10は図1に示すように、船尾に、Aフレーム構造(門型フレーム構造)を持つ揚荷手段12(クレーン)を備える構成としている。揚荷手段12を構成するフレーム14には、いわゆるペンダント型のフレーム(以下、ペンダントフレーム16と称す)が付随しており、フレーム14の船体側への振り込みや、海上側への振り出しを行った場合であっても、ペンダントフレーム16のベース16aが水平を保つように構成されている。揚荷手段12のワイヤ(以下、第1ワイヤ18と称す)は、ペンダントフレーム16のベース16aから垂下されるように構成されている。
【0032】
また、本実施形態で使用する運用支援船10には、揚荷手段12とは別に巻上げ手段24が備えられている。巻上げ手段24としては、巻上げ用のワイヤ(不図示)と、ワイヤを巻回させるドラム、およびドラムを回転させてワイヤを巻き取るモータ等の駆動手段(不図示)を備えたウインチ等であれば良い。
【0033】
また、運用支援船10には、詳細を後述する水中航走体40を載置するための稼動台座20を搭載しておくと良い。稼動台座20は、水中航走体40を載置するための載置台22を備えていれば良く、載置台22は、稼動台座20本体を基準として起伏可能な構成とすると良い。
【0034】
このような運用支援船10であれば、一般的な海洋調査船に備えられた装備で事が足り、専用船への改造等が不要であり、種々の運用支援船10を用いて実施が可能となる。なお、稼動台座20に関しては、水中航走体40と同様に、船体へ搭載すれば足りる。
【0035】
水中航走体40は、無索で無人探査が可能なものであれば特に限定するものでは無いが、本実施形態で使用するものは図2に示すように、全体として流線型をした、いわゆる魚雷型の艇体42を有するものである。図2に示す形態の水中航走体40には、主翼44と尾翼46、垂直尾翼48、スクリュー50、およびブイ52が備えられている。主翼44と尾翼46は、水中航走体40の傾きや、上昇、下降などを制御するための翼である。図2に示すように、主翼44と尾翼46の双方の角度を変更可能とする水中航走体40では、主翼44と尾翼46を同じ角度で傾けることで、艇体42を傾ける事無く上昇、下降することが可能となる。垂直尾翼48は、艇体42のローリングを抑制すると共に、艇体42を基準として左右の進行方向を制御する役割を担う。垂直尾翼48の先端には、海中において運用支援船からの指令を受けるための音波や、海上に浮上した際に運用支援船から出力される電波を受信するためのアンテナ48a等が備えられている。
【0036】
ブイ52は、海上、あるいは海上近傍にまで浮上した水中航走体40から放出される浮きである。ブイ52には、水中航走体40に接続された揚収索54が係合されている。このようなブイ52を放出し、ブイ52を回収することで水中航走体40を捕捉することが可能となる。なお、ブイ52の先端には、水中航走体40を着水させる際に着水索(巻上げ手段24のワイヤ)を係合するための係合部56が設けられている。
【0037】
次に、上記に一例を挙げた基本構成を持つ運用支援船10と水中航走体40を用いた水中航走体40の着水、揚収方法について説明する。まず、図3、並びに図8〜図18を参照して、揚収作業についての実施形態を説明する。なお、図3は実施形態に係る揚収作業のフローであり、図8〜図18は、揚収作業における各工程を説明するための図である。
【0038】
まず、図8に示すように、揚荷手段12におけるペンダントフレーム16に、詳細を後述する保持金具60を安定支持するための緩衝手段58を備える。緩衝手段58としては、ショックアブソーバなどである事が望ましいが、保持金具60を押し付けた状態で安定支持することができるものであれば、ウレタン材などにより構成された枠であっても良い(緩衝手段設置工程:S100)。
【0039】
保持金具60は、水中航走体40の長手方向端部(本実施形態においては進行方向前側端部)を保持するための冶具であり、図4〜図7に示すように、係合部62と収容部64、および当接部66を主として構成される。なお、図4は保持金具の正面構成を示す図であり、図5は側面構成、図6は上面構成をそれぞれ示し、図7は斜視図である。
【0040】
係合部62は、揚荷手段12における第1ワイヤ18を係合するための吊り環状の貫通孔62a1を設けた平板62aと、緩衝手段58を押し当てるための当接板62bとを有する。収容部64は、係合部62における当接板62bを頂点として構成される水平方向の断面形状を円形とした籠状のフレーム64aを備える。フレーム64aを構成する円形断面の直径は、魚雷型とされる水中航走体40における艇体42の直径よりも若干小さいか、前記直径と同程度となるように形成されている。このような構成とすることで、水中航走体40の端部を収容した上で安定保持することが可能となるからである。収容部64内には、シーブ64bが備えられている。シーブ64bは、水中航走体40を揚収、または着水させる際、水中航走体40を吊り上げるのに利用される。具体的には、巻上げ手段24のワイヤを巻き掛けて、このワイヤの先端を水中航走体40に接続して着水索としたり、水中航走体40から延びる揚収索54に接続してワイヤを巻き上げることで水中航走体40を吊り上げるといった具合である。
【0041】
当接部66は、収容部64におけるフレーム64aの開口端部側に設けられ、水中航走体40に接触して水中航走体40の揺動を抑制する保持部の役割を担う。なお、当接部66は、枠体となる円形ベース66aと、水中航走体40の艇体42を傷つけることを防ぐ緩衝材66bとを有する。また、実施形態に係る保持金具60の場合、当接部66における円形ベース66aと緩衝材66bとの間にベアリング等により構成されるローテータ(不図示)を介在させ、円形ベース66aに対して緩衝材66bが回動可能な構成としている。このような構成とすることで、保持した水中航走体40を長手方向中心軸回りに回転させることができる。これにより、揚収、または着水させる際の姿勢制御が可能となり、揚収、着水に際して水中航走体40の翼などを傷つけることを防止することができる。
【0042】
次に図9に示すように、船体側に振り込まれた揚荷手段12の第1ワイヤ18に保持金具60を係合する。保持金具60に係合した第1ワイヤ18を巻上げ、保持金具60をペンダントフレーム16のベース16aに備えた緩衝手段58に当接させる。これにより、ペンダントフレーム16のベース16aに対して保持金具60の揺動が無くなる。よって、保持金具60により水中航走体40を保持した場合には、ワイヤ等の可撓部材による水中航走体の吊り代が実質的に無くなる。このため、吊り上げられた水中航走体の揺動が抑制され、振れ止め索等を用いた抑えが必要なくなる(保持金具設置工程:S110)。
【0043】
保持金具60をセットした後、水中航走体40の接地位置(着座位置)に稼動台座20を移動させる(稼動台座移動工程:S121)。なお、本実施形態で接地とは、揚収作業において水中航走体40が船体、あるいは船体に備えられた器具(例えば稼動台座20)により支えられる状態をいう。稼動台座20の移動と前後して、あるいは稼動台座20の移動と同時に、揚荷手段12におけるフレーム14間にスリングロープ70を張り渡す。こうすることにより、吊り上げた水中航走体40を保持した状態で揚荷手段12が船体側へ振り込まれた場合であっても、スリングロープ70により水中航走体40が受け止められる。このため、水中航走体40が垂直状態のまま接地される虞が無い(スリングロープ張り渡し工程:S122)。
【0044】
また、稼動台座20の移動やスリングロープ70の張り渡しと前後して、あるいは同時に、巻上げ手段24からワイヤを引き出し、保持金具60におけるシーブ64bに巻き掛ける。シーブ64bに対する巻き掛けは、保持金具60における収容部64のフレーム64a外側からワイヤを入れ、シーブ64bに巻き掛けた後に当接部66側から引き出すようにする(ワイヤ巻き掛け工程:S123)。
【0045】
次に、図10に示すように水中航走体40が潜航を終了して浮上する際に放出した揚収索54付のブイ52を回収し水中航走体40を捕捉する。ブイ52の回収は、運用支援船10上から行う。具体的には図11に示すように、サンドレット72等を投げ込み、これにブイ52を引掛けて引き寄せる。ブイ52を回収した後、揚収索54からブイ52を取り外し、図12に示すように保持金具60の当接部66から引き出されているワイヤに接続する(揚収索接続工程:S130)。
【0046】
ワイヤに対して揚収索54を接続した後図13に示すように揚荷手段12のフレーム14を海上側へ振り出し、巻上げ手段24によりワイヤを巻き取り、水中航走体40を吊り上げる。水中航走体40を垂直に吊り上げることで、水中航走体40を構成する耐圧容器とカバー(いずれも具体的構成については不図示)との間の水切りを行うことができ、揚収索54に掛かる負担を軽減することができる。水中航走体40の吊り上げは、波浪状況を考慮しながら、平均波周期(6秒間)以内で行う。これにより、水中航走体40の揺れを抑制することができる。水中航走体40の吊り上げは、水中航走体40の艇体42が保持金具60の当接部66に接触して保持されるまで行う。これにより、ワイヤによる吊り代が無くなり、水中航走体40の吊り上げ状態が安定する(水中航走体吊り上げ工程:S140)。
【0047】
ワイヤにより吊り上げ、保持金具60によって水中航走体40を保持した後、水中航走体40を回転させ、図14に示すように艇体42の底部が運用支援船10の船体側を向くようにする。なお、水中航走体40の回転は、図示しないロープ等を介して手動で行っても良いし、図示しないモータ等の駆動手段を用いて行っても良い(姿勢制御工程:S150)。
【0048】
ローテータを介した姿勢制御を終えた後、揚荷手段12のフレーム14を運用支援船10側に振り込む。フレーム14の振り込みが垂直状態となると、ペンダントフレーム16に垂下された状態となっている水中航走体40は図15に示すように、フレーム14間に張り渡されたスリングロープ70に接触する。この状態でフレーム14を最大振り込み位置まで振り込むと、スリングロープ70に支持された水中航走体40は図16に示すように、フレーム14の傾斜に沿った角度を維持することとなる。なお、フレーム14の振り込みを行う際には、巻上げ手段24によるワイヤの巻上げ状態を変化させ、水中航走体40の吊り上げ張力を一定に保持させる。これにより、フレーム14の振り込み時に吊り上げ張力が下がり、水中航走体40の保持状態が解除されるといった虞が無くなる(振り込み工程:S160)。
【0049】
揚荷手段12のフレーム14を最大振り込み位置まで振り込んだ後、水中航走体40の接地位置に移動させておいた稼動台座20の載置台22を起伏させ(図17参照)、載置台22をフレーム14の傾斜角度、すなわち水中航走体40の傾きに合わせて傾斜させ、載置台22に水中航走体40を接地させる。その後、載置台22に対して水中航走体40を縛り付けて固定する(ラッシング)。水中航走体40を固定した後、スリングロープ70を取り外し、巻上げ手段24によるワイヤの巻上げ状態を解除し、ワイヤに掛かる張力を緩める(接地工程:S170)。
【0050】
最後に、図18に示すように、稼動台座20の載置台22を水平に戻し、揚収索54の収納、あるいは取り外しを行った後、稼動台座20を移動して水中航走体40を格納する(揚収完了:S180)。
【0051】
このような揚収方法によれば、保持金具60により水中航走体40の頭部を保持することとなるため、水中航走体40を吊り上げた際の揺動を抑制することができる。水中航走体40の揺動を抑制することができることより、振れ止め索による抑え込みを行う必要がなく、甲板作業の労力を抑えることができる。また、水中航走体40の捕捉から吊り上げ、揚収完了までを運用支援船10上における作業のみで実施することができる。このため、水中航走体40捕捉のための作業艇の出動や、ダイバーなどによる海上作業が無く、海象の悪化による影響を受け難い。例えば、従来では揚収作業が困難とされてきたSea State 4(有義波高2.5m、平均波周期6.0sec:気象庁風浪階級表より)であっても、揚収作業を行うことができる。
【0052】
また、作業を行うにあたり必要とされる専用冶具は保持金具60程度であるため、運用支援船10を専用設計とする必要が無い。よって、種々の船舶(例えば海洋調査船)を運用支援船10として利用することができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、揚苛手段12のフレーム14間にスリングロープ70を張り渡し、水中航走体40を吊り上げた揚苛手段12のフレーム14が垂直状態に達した際にスリングロープ70で水中航走体40を受け止める旨記載した。しかしながら、本発明に係る水中航走体40の揚収方法を実施するにあたっては、揚苛手段12のフレーム14が垂直状態に達した際、稼動台座20の載置台22を垂直に起こすようにしても良い。このようにすれば、揚苛手段12のフレーム14が垂直状態に達することで、吊り上げられた水中航走体40は稼動台座20の載置台22に当接することとなる。この後、水中航走体40をラッシングし、巻上げ手段24のワイヤの張力を弱めて載置台22を寝かせれば、上記実施形態と同様に、水中航走体40の揚収が完了するからである。
【0054】
次に、水中航走体の着水作業について図19を参照して説明する。
まず、運用支援船10側に振り込まれた揚苛手段12のペンダントフレーム16に、保持金具60を支持させる。保持金具60の支持は、揚収作業時と同様で良い。すなわち、保持金具60における係合部62に、巻上げ手段24のワイヤを係合し、これを吊り上げ、ペンダントフレーム16のベース16aにセットした緩衝手段58に当接させて安定させるという方法である(吊り金具設置工程:S200)。
【0055】
ペンダントフレーム16に保持金具60を支持させた後、運用支援船10に備えられた巻上げ手段24のワイヤを保持金具60のシーブ64bに巻き掛ける。ワイヤの巻き掛けは、保持金具60の収容部64の側面からワイヤを通し、シーブ64bに巻き掛けた後に当接部66側へ先端を垂らすといった方法で良い(ワイヤ巻き掛け工程:S211)。
【0056】
載置台22に水中航走体40を載置した稼動台座20を配置する。稼動台座20の配置位置は、水中航走体40の吊り上げ位置、すなわち地切り位置とすれば良い(稼動台座移動工程:S212)。
【0057】
地切り位置に配置した水中航走体40の端部(本実施形態においては進行方向前側端部)に、保持金具60から垂らされたワイヤ(着水作業においては着水索)を接続する。ワイヤの接続には、遠隔切離手段86を備えた吊り金具76を用いると良い(図20、図21参照)。遠隔操作でワイヤと水中航走体40との係合を解除することができれば、水中航走体40を着水させた後、運用支援船10の船上から、水中航走体40に接続されたワイヤを取り外すことが可能となり、ダイバー等による海上(海中)作業が不要となる。これにより、着水作業の労力が軽減されると共に、着水作業を行うにあたり、海象の悪化に影響され難くなる(着水索接続工程:S220)。
【0058】
実施形態で用いる吊り金具は、例えば図20、図21に示すような形態であれば良い。なお、図20は吊り金具の正面形態を示し、図21は吊り金具の左側面を示す図である。図20、図21に示す吊り金具76は、上部係合部78と下部係合部82、および遠隔切離手段86を基本として構成されるものである。具体的には、上部係合部78は、いわゆる吊り環状の孔78aが開いた平板であれば良い。遠隔切離を不要とする側の係合部は、このような構成であればワイヤ等との係合が可能となるからである。例えば、孔78aに直接ワイヤを係合したり、ワイヤを係合させたシャックル94等の吊具を接続することができる。
【0059】
下部係合部82は、止めピン84を挿通させる貫通孔82aを設けた一対の平行板と、この平行板に挿通される止めピン84とを有する。係合対象物(例えば水中航走体40の先端に設けられた係合部56(吊り環))を対を成す平行板間に介入させ、その後に止めピン84を挿通させることで、係合対象物の抜け止めが図れ、係合対象物との係合が達成される。
【0060】
遠隔切離手段86は、例えばエアシリンダなどであれば良い。遠隔切離手段86は、上部係合部78と下部係合部82の間に介在されるベース80を基点として設けられたブラケット92にシリンダ部88を固定し、ロッド部90の先端に止めピン84を接続する構成とすれば良い。このような構成の遠隔切離手段86は、ロッド部90が伸張した状態では止めピン84が平行板である下部係合部82の貫通孔82aに挿通され、ロッド部90が短縮した状態では止めピン84が下部係合部82の貫通孔82aから抜き取られる状態となるように取り付け位置を調整する。このような構成の吊り金具76を用いれば、シリンダ部88に対するエアの供給により、遠隔操作にて係合状態の解除が可能となる。
【0061】
水中航走体40の先端にワイヤを接続した後、稼動台座20における載置台22を傾斜させ、水中航走体40を垂直姿勢とさせる。この際、水中航走体40は載置台22に対してラッシングしておく。これにより、載置台22の起伏状態の変化に伴って水中航走体40が載置台22から落下するといった虞が無くなるからである。水中航走体40の姿勢を垂直状態とした後、巻上げ手段24によりワイヤを巻き取り、水中航走体40と係合されたワイヤに張力をかけ、この状態で水中航走体40のラッシングを解除する。ワイヤに張力が掛かった状態であれば、ラッシングを解除した場合であっても水中航走体40が載置台22からずれ落ちる虞が無いからである(地切り工程:S230)。
【0062】
水中航走体40のラッシングを解除した後、巻上げ手段24によりワイヤをさらに巻き上げ、水中航走体40を保持金具60により保持する。これにより、実質的に水中航走体40の吊り代が無くなるため、吊り上げ状態の水中航走体40の揺動を抑制することができる。このため、着水作業を実施するにあたって、複数の振れ止め索を用いて水中航走体40の揺動を抑えるといった作業が不要となり、着水作業時における甲板作業の労力を軽減することができる。また、揺動が少ないため、着水作業を行うにあたって、海象の影響を受け難い(水中航走体吊り上げ工程:S240)。
【0063】
水中航走体40を吊り上げた後、ローテータにより水中航走体40を長手方向中心軸回りに回動させ、姿勢の変更を行う。姿勢の変更は、例えば、海上側に艇体42の底部が向くようにすれば良い(姿勢制御工程S250)。水中航走体40の姿勢制御を行った後、揚苛手段12のフレーム14を海上側へ振り出す。この際、フレーム14の振り出しに応じて巻上げ手段24におけるワイヤの張力を一定に保つように、巻上げ手段24におけるワイヤの巻き取り量、あるいは送り出し量を調整する(振り出し工程:S260)。
【0064】
揚苛手段12のフレーム14を海上側へ振り出した後、巻上げ手段24のワイヤを送り出し、水中航走体40を着水させる。水中航走体40を着水させた後、ワイヤと水中航走体40を係合している吊り金具76の遠隔切離手段86を解除し、ワイヤと水中航走体40との係合状態を解除する。本実施形態の場合、係合状態の解除は、シリンダ部88にエアを投入し、ロッド部90を短縮させて止めピン84を下部係合部82を構成する平行板から抜きとることで成される。このようにして係合状態を解除することによれば、ワイヤと水中航走体40の係合状態の解除を運用支援船10上から実施することができるため、ダイバー等による海中作業が不要となり、海象の影響を受け難くなる(着水完了:S270)。その他の作用、効果については、上述した揚収作業における効果と同様である。
【0065】
上記実施形態ではいずれも、揚苛手段12としてAフレーム構造のクレーンを用いる旨記載した。しかしながら本発明に係る水中航走体の着水揚収方法は、使用するクレーンの形態を限定するものでは無い。例えば揚苛手段12の構造をデッキクレーンなどとした場合でも、本発明を実施することができる。クレーン形態の違いは、海上への振り出しや運用支援船10への振り込み形態の違いであり、このような相違があった場合であっても、稼動台座20の載置台22の傾きを利用すれば、垂直状態で吊り上げられた水中航走体40を接地させることができると共に、垂直状態に吊り上げるように地切りすることができるからである。
【0066】
また、上記実施形態では、保持金具60を揚苛手段12におけるペンダントフレーム16のベース16aに安定支持させるため、ベース16aに緩衝手段58を設ける旨記載した。しかしながら緩衝手段58は、保持金具60における係合部62に設けるようにしても良い。設置対象を逆転させた場合であっても、吊り上げ状態では同様な効果を奏することができるからである。
【符号の説明】
【0067】
10………運用支援船、12………揚苛手段、14………フレーム、16………ペンダントフレーム、16a………ベース、18………第1ワイヤ、20………稼動台座、22………載置台、24………巻上げ手段、40………水中航走体、42………艇体、44………主翼、46………尾翼、48………垂直尾翼、48a………アンテナ、50………スクリュー、52………ブイ、54………揚収索、56………係合部、58………緩衝手段、60………保持金具、62………係合部、62a………平板、62a1………貫通孔、62b………当接板、64………収容部、64a………フレーム、64b………シーブ、66………当接部、66a………円形ベース、66b………緩衝材、70………スリングロープ、72………サンドレット、76………吊り金具、78………上部係合部、78a………孔、80………ベース、82………下部係合部、82a………貫通孔、84………止めピン、86………遠隔切離手段、88………シリンダ部、90………ロッド部、92………ブラケット、94………シャックル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚荷手段を備えた運用支援船を用いて、水中航走体を運用支援船から海上へ着水させるため、または海上から運用支援船へ揚収するための方法であって、
前記水中航走体の長手方向端部を保持して安定させるための保持金具を前記揚荷手段に支持させる工程と、
前記水中航走体の前記端部を前記保持金具に保持させて前記水中航走体を垂直に吊り上げる工程と、
前記水中航走体を長手方向中心軸に沿った回転軸回りに回動させて着水方向あるいは荷役方向に着水面あるいは接地面を向ける工程と、
前記揚荷手段を介して前記水中航走体を着水あるいは揚収する工程と、
を有することを特徴とする水中航走体の着水揚収方法。
【請求項2】
前記水中航走体を海上から運用支援船へ揚収する場合において、
前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部から揚収索付ブイを放出させる工程と、
前記運用支援船上から前記揚収索付ブイを回収する工程と、
前記保持金具を介して揚収索を巻上げ手段に接続する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項3】
前記揚荷手段としてAフレーム構造のクレーンを用い、
前記クレーンのフレーム間にスリングロープを張り渡す工程を有し、
前記水中航走体を揚収する工程において前記クレーンを前記運用支援船側に振り込む際に前記スリングロープによって前記水中航走体を受け止めることを特徴とする請求項2に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項4】
前記水中航走体を前記運用支援船から海上へ着水させる場合において、
前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部に着水索を接続する工程を有し、
前記水中航走体を着水させる工程の後に前記着水索を遠隔操作にて前記水中航走体から切り離す工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項5】
前記運用支援船に、前記水中航走体を載置する載置台を有する稼動台座を備え、
前記水中航走体を前記運用支援船から吊り上げる際、あるいは前記水中航走体を前記運用支援船に揚収する際に、前記載置台を前記水中航走体の傾斜方向へ傾けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水中航走体の着水揚収方法に用いられる保持金具であって、
運用支援船に備えられた揚荷手段の吊り上げワイヤを係合する係合部と、
水中航走体の保持側端部の一部を収容する収容部と、
水中航走体に当接して吊り上げ状態を安定させる当接部と有することを特徴とする保持金具。
【請求項7】
前記当接部には、緩衝材を設けたことを特徴とする請求項6に記載の保持金具。
【請求項8】
前記収容部内に、前記水中航走体に接続する着水索、または前記水中航走体から放出された揚収索を掛け回すシーブを設け、
前記収容部は、少なくとも前記着水索または前記揚収索を外部に引き出すことが可能なフレーム構造としたことを特徴とする請求項6または7に記載の保持金具。
【請求項9】
保持した前記水中航走体を長手方向中心線回りに回転させることを可能とするローテータを備えたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の保持金具。
【請求項10】
前記ローテータは、前記当接部に設けることを特徴とする請求項9に記載の保持金具。
【請求項11】
前記係合部に、前記ワイヤによって吊り上げられた後に前記揚荷手段に安定支持させるための緩衝手段を備えたことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の保持金具。
【請求項1】
揚荷手段を備えた運用支援船を用いて、水中航走体を運用支援船から海上へ着水させるため、または海上から運用支援船へ揚収するための方法であって、
前記水中航走体の長手方向端部を保持して安定させるための保持金具を前記揚荷手段に支持させる工程と、
前記水中航走体の前記端部を前記保持金具に保持させて前記水中航走体を垂直に吊り上げる工程と、
前記水中航走体を長手方向中心軸に沿った回転軸回りに回動させて着水方向あるいは荷役方向に着水面あるいは接地面を向ける工程と、
前記揚荷手段を介して前記水中航走体を着水あるいは揚収する工程と、
を有することを特徴とする水中航走体の着水揚収方法。
【請求項2】
前記水中航走体を海上から運用支援船へ揚収する場合において、
前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部から揚収索付ブイを放出させる工程と、
前記運用支援船上から前記揚収索付ブイを回収する工程と、
前記保持金具を介して揚収索を巻上げ手段に接続する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項3】
前記揚荷手段としてAフレーム構造のクレーンを用い、
前記クレーンのフレーム間にスリングロープを張り渡す工程を有し、
前記水中航走体を揚収する工程において前記クレーンを前記運用支援船側に振り込む際に前記スリングロープによって前記水中航走体を受け止めることを特徴とする請求項2に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項4】
前記水中航走体を前記運用支援船から海上へ着水させる場合において、
前記水中航走体を吊り上げる工程の前に前記水中航走体における保持側端部に着水索を接続する工程を有し、
前記水中航走体を着水させる工程の後に前記着水索を遠隔操作にて前記水中航走体から切り離す工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項5】
前記運用支援船に、前記水中航走体を載置する載置台を有する稼動台座を備え、
前記水中航走体を前記運用支援船から吊り上げる際、あるいは前記水中航走体を前記運用支援船に揚収する際に、前記載置台を前記水中航走体の傾斜方向へ傾けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水中航走体の着水揚収方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水中航走体の着水揚収方法に用いられる保持金具であって、
運用支援船に備えられた揚荷手段の吊り上げワイヤを係合する係合部と、
水中航走体の保持側端部の一部を収容する収容部と、
水中航走体に当接して吊り上げ状態を安定させる当接部と有することを特徴とする保持金具。
【請求項7】
前記当接部には、緩衝材を設けたことを特徴とする請求項6に記載の保持金具。
【請求項8】
前記収容部内に、前記水中航走体に接続する着水索、または前記水中航走体から放出された揚収索を掛け回すシーブを設け、
前記収容部は、少なくとも前記着水索または前記揚収索を外部に引き出すことが可能なフレーム構造としたことを特徴とする請求項6または7に記載の保持金具。
【請求項9】
保持した前記水中航走体を長手方向中心線回りに回転させることを可能とするローテータを備えたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の保持金具。
【請求項10】
前記ローテータは、前記当接部に設けることを特徴とする請求項9に記載の保持金具。
【請求項11】
前記係合部に、前記ワイヤによって吊り上げられた後に前記揚荷手段に安定支持させるための緩衝手段を備えたことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の保持金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−229005(P2012−229005A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100167(P2011−100167)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
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