説明

水位差発生水槽

【課題】水位差の監視や調整作業の負担を軽減し、浚渫作業に必要な水位差を安定して発生させる。
【解決手段】ダム湖等の浚渫作業に用いられる水位差発生水槽14は、開口した上端部が貯水池の水面上に浮き出た状態で水中に沈められる水槽本体140と、水槽本体140の内部を2室に区画して、その一方を底板148上から所定の高さの位置に浚渫水の水位を保持する水位保持室16として形成するとともに、その他方を水位保持室16から溢れ出た浚渫水を水槽本体140の外部へ排出するための排水室18として形成する仕切板15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム等の貯水池に浮かべた状態で貯水池の水位よりも低い水位を形成し、サイフォン力を用いて浚渫作業を行うのに必要な水位差を発生させる水位差発生水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイフォン力を利用したダム湖等の浚渫に関する先行技術として、湖内にフローティングタンクを浮かべ、タンク内の水位と湖面の水位との水位差を利用して湖底を浚渫する先行技術がある。この先行技術は、ダム湖内に浮かべたフローティングタンク内にパイプの後方開放端部を設置し、フローティングタンクの函内水位を湖面水位より下げて維持する等の方法により、主として静水圧を利用した吸引・浚渫・流送を行う浚渫方法である(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記の浚渫方法では、屈曲部に開口部を有するパイプを湖底に沈め、パイプの前方開放端部をその後方開放端部よりも静水圧の高い水中位置に維持し、パイプ内を周囲よりも低圧とすることにより屈曲部開口部からその周囲の沈殿物を吸引してパイプ後方開放端部へ流排出している。この浚渫方法によれば、水位差を利用して浚渫した土砂をダム湖内に浮かべたフローティングタンク内に一時的に集積しておくことで、そこから湖外へ土砂を搬出したり、あるいはダム堤体を貫通するバイパストンネルを通じて土砂を湖外に放出したりすることが可能になる。
【特許文献1】特開2003−138598号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術のように水位差を発生させて浚渫を行う場合、サイフォン力を安定させて効率的に浚渫作業を行うためには、その水位差の管理がきわめて重要である。このため先行技術においても、フローティングタンクには、タンク内の水位を調整するためのバルブ及びポンプが設けられている。例えば、タンク内の水位が上がり過ぎると、水位差が小さくなってサイフォン力が不足するため、この場合はバルブを絞って浚渫水の流量を下げ、ポンプを高速駆動することでタンク内の水位を低下させる必要がある。逆にタンク内の水位が下がり過ぎると、水位差が大きくなってサイフォン力が過大となったり、タンク内が水切れしたりするため、今度はバルブを大きく開けて浚渫水の流量を上げ、ポンプを休止することでタンク内の水位を上昇させる必要がある。
【0005】
しかしながら、タンク内の水位を上下させるためにバルブを一々操作したり、ポンプの運転状態を調整したりする作業はきわめて繁雑であり、また、所望の水位差に到達するまで長時間を要するため、その分、余計な作業工数が増えてしまう。また、作業をミスしたり、作業を怠ったりするとタンク内の水位が不用意に変動するため、浚渫作業の途中でサイフォン力が変動し、浚渫作業が不安定になるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、浚渫作業に必要な水位差を安定して発生させることができる技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、貯水池の水位よりも低い水位を形成し、これらの間に発生する水位差を利用して湖底から堆積物を含む浚渫水を汲み上げる浚渫作業に用いられる水位差発生水槽である。特に本発明では、水槽本体の内部を仕切板によって2室に区画し、その一方を水位保持室として形成し、他方を排水室として構成している。
【0008】
水槽本体は、その開口した上端部が貯水池の水面上に浮き出た状態で水中に沈められる。この場合、水槽本体内の水位を大気圧下で貯水池の水位よりも低くすると、その間にサイフォン力を得るための水位差を発生させることができる。本発明では、水槽本体内の水位が常に一定となる構造を採用することで上記の課題を解決している。
【0009】
具体的には、上記のように水槽本体の内部を仕切板により水位保持室及び排水室の2室に区画する。水位保持室は、水槽本体の底面から所定の高さの位置に浚渫水の水位が保持される構造である。また排水室は、水位保持室から溢れ出た浚渫水を水槽本体の外部へ排出するために使用される。この場合、浚渫により汲み上げられた浚渫水は水位保持室から溢れ出て排水室に至り、さらに排水室から排出される。したがって、長時間にわたり浚渫作業を行っても、水位保持室が浚渫水で満たされている間は、水位差発生水槽内での水位が所定の高さで常に保持されているため、安定して浚渫作業を効率よく行うことが可能になる。
【0010】
また本発明の水位差発生水槽はごみ除去部材をさらに備えていてもよい。ごみ除去部材は、水位保持室への入口と排水室からの出口との間で浚渫水からごみを除去するものである。好ましくは、水位保持室から溢れ出た浚渫水が排水室に流れ込む際に浚渫水からごみを除去する位置にごみ除去部材を配置するのがよい。
【0011】
この場合、水位差発生水槽内にごみが滞留したり、あるいは、浚渫水が排出された先の管路内や排砂ポンプ等を詰まらせたりすることがない。したがって、浚渫設備の安定した稼働を可能とし、ごみ詰まりによる作業効率の低下を未然に防止することができる。
【0012】
一般に浚渫作業は、汲み上げた浚渫水を一箇所に滞留させておくのではなく、これを順々に搬送していく1つの搬送系(システム)を利用して行われる態様が実用的である。このような態様であれば、長期間(例えば1作業日)にわたり浚渫作業を連続的に行うことができるため、きわめて作業効率がよい。
【0013】
浚渫水の搬送系(システム)を管路で構成した場合、水位差発生水槽を搬送系の一部に組み込んで利用することができる。すなわち、上記の水位保持室には流入管が接続されており、また排水室には流出管が接続されていてもよい。流入管は、湖底から汲み上げられた浚渫水を水位保持室に流入させるものである。また流出管は、外部からの吸引力により水槽本体の外部へ浚渫水を流出させるためのものである。
【0014】
このような構成であれば、搬送系の一部に水位差発生水槽を組み込んだ状態となるので、長期間にわたり浚渫設備の稼働を安定化させることに寄与する。
【0015】
また水位差発生水槽の水槽本体には、貯水池内への沈み込み量を調節するバラストウェイトが設けられている。この場合、バラストウェイトを加減することで所望の水位差を発生させ、また、浚渫場所の状況に合わせて水位差を調節することができる。
【0016】
なおバラストウェイトは、膨張・収縮が可能な収縮袋体で構成してもよい。収縮袋体は槽本体の内部に設置されており、外部から流体の供給を受けて膨張する一方、外部へ流体を排出して収縮することができる。
【0017】
この場合、水位差発生水槽を貯水池に浮かべたままの状態で流体の供給・排出を行うことにより、浚渫作業の途中で水位差を容易に調節することができる。
【0018】
あるいは、水槽本体には収縮部が設けられていてもよい。収縮部は、貯水池の水深方向に伸縮することで水槽本体の長さを可変するものである。
【0019】
例えば、バラストウェイトを増量して水槽本体の沈み込み量を多くとる場合、伸縮部を引き伸ばして水槽本体の長さを延長する。あるいは、バラストウェイトを減量して水槽本体の沈み込み量を少なくする場合、伸縮部を縮めて水槽本体の長さを短縮することができる。これにより、浚渫場所の状況に合わせて水位差発生水槽を浮き沈みさせ、適切な水位差を発生させて浚渫作業を行うことができる。
【0020】
また、水位差発生水槽が水面上に浮き出る高さを調節することにより、風や波高の影響をまともに受けるのを防止し、水位差発生水槽を安定した姿勢で水中に浮かべたり、あるいは曳航したりすることができる。
【0021】
また水位差発生水槽は、水槽本体に浮力を付加することで水没を防止する浮力発生体をさらに備えていてもよい。
【0022】
この場合、例えば排水室内に多くの浚渫水が滞留して沈み込み量がある程度まで大きくなると、浮力発生体の浮力が作用して、それ以上の沈み込みを防止することができる。また、水位差発生水槽(水槽本体)内に浚渫水や湖水が充満しても、水位差発生水槽を水没させることがない。
【0023】
また水槽本体の周囲には、内部が周方向に複数の区画に仕切られた環状の空洞体が設置されていてもよい。この場合、複数の区画のうち、周方向で等間隔をおいて配置された区画は外部から流体を注入することで水槽本体に質量を付加するバラストタンクとして機能し、その他の区画は水槽本体に浮力を付加する水没防止タンクとして機能することができる。
【0024】
上記の空洞体を備えた構成であれば、いずれの区画にも流体を注入していない状態では空洞体の全体がフロートとして機能する。そして、いくつかの区画内に流体を注入した状態では、空洞体がバラストとしても機能し、水槽本体の沈み込み量を調節することができる。一方、何らかの原因で水槽本体内に湖水が充満してしまったとしても、空洞体には水没防止タンクとして機能する区画が残存しているため、水槽本体の水没が確実に防止される。
【0025】
また空洞体は、周方向で等間隔をおいて配置された区画の内部がさらに上下2室に区画して形成されていてもよい。このうち下側の室は外部から流体を注入することでバラストタンクとして機能し、上側の室は水没防止タンクとして機能することができる。
【0026】
より詳細には、水槽本体は外殻体を有する構成である。この外殻体は、上面が開口するとともに底面が閉塞された円筒形状である。そして仕切板は、外殻体よりも内径が小さい円筒形状をなしており、外殻体の底面上に設置された状態で自身の外側と外殻体の内周面との間に水位保持室を区画する。また仕切板は、その内側にて排水室を区画する。
【0027】
上記の構成では、水槽本体が外殻体と仕切板の2重殻構造となり、内圧及び外圧のいずれに対しても強固となる。
【0028】
水槽本体が2重殻構造の場合、その外殻体には流入口が開口して形成されている態様が好ましい。この流入口は、外殻体の外側から水位保持室に対してその周方向に浚渫水を流入させることができる。また、外殻体の内周面と仕切板の外周面との間には螺旋状板が設けられている。この螺旋状板は、外殻体の底面から仕切板の頂部に向けて螺旋状に延びており、その上面が水位保持室の底面を形成するものである。この場合、螺旋状板は流入口を通じて水位保持室に流入した浚渫水をその上面に沿って仕切板の頂部まで案内することができる。これにより、水位保持室には外殻体の内周面に沿う旋回流が発生し、流入口から流入した浚渫水は流入口の付近で澱むことなく土砂を伴って流動するので、土砂の沈殿を有効に防止することができる。
【0029】
また、仕切板の頂部を越えた浚渫水は排水室に流れ込み、流出路を通じて外殻体の外側へ排出される。このため仕切板には流出口が貫通して形成されており、流出路は外殻体を貫通して外側に開通するとともに、流出口を通じて排水室内から外殻体の外側へ浚渫水を流出させることができる。
【0030】
また仕切板には、螺旋状板の下面よりも下方の位置に貫通した連通穴が形成されており、この連通穴を通じて仕切板の内側と外側とを相互に連通させることで、排水室の容積が仕切板の外側まで拡張されている。
【0031】
このような構造により、水位保持室内に流入する浚渫水の流量が増加したり、あるいは排水室から浚渫水を排水する流量が減少したりしても、ある程度は排水室の容量で吸収することができるため、排水室の水位が急激に上昇することはない。
【0032】
また螺旋状板には、厚み方向に貫通した多数の貫通穴がその周方向に分布して形成されている態様が好ましい。
【0033】
浚渫水とともに水位保持室内に流入した土砂の一部は、やがて勢いを失って沈降するが、このとき土砂は螺旋状板の上に沈殿せず、貫通穴を通じてさらに沈下し、螺旋状板の下方で拡張された排水室内に移動する。この後、土砂は排水室内から流出口を通じて排出されるので、水位保持室内に多くの土砂が沈殿するのを防止することができる。
【0034】
また本発明において、水槽本体に排砂ポンプが一体に設置されていてもよい。この場合、排水室内に滞留した浚渫水を排砂ポンプによって外部へ排出することができるので、湖上やポンプ船上等の別の位置に排砂ポンプを設置する必要がない。なお排砂ポンプは、湖水中で動作する水中ポンプであり、設置場所は排水室内でもよいし、あるいは水槽本体の外面であってもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、特段の監視や作業を必要とせずに水位差を一定に保持することができるため、長期間にわたり安定した浚渫能力が得られ、浚渫作業の効率を大幅に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
〔浚渫作業の概要〕
図1は、浚渫作業に必要な設備を示す概略図である。本実施形態の水位差発生水槽は、例えばダム湖等の貯水池における浚渫作業に利用することができる。浚渫作業は、貯水池の湖底に堆積した土砂類(土、砂、泥など)を浚渫し、これを堤外へ搬送して貯水池より低所の自然水域(河川、海)へ放流する目的で行われる。以下、浚渫作業を行うための設備の一例について説明する。
【0038】
〔浚渫部〕
浚渫部10は、主にサイフォン船12及び水位差発生水槽14から構成されている。サイフォン船12には垂直可動式の吸込管12aが設置されており、この吸込管12aは船上から水中に没し、その先端部(吸い込み口)を湖底に臨ませた状態にある。ここでは浚渫効率をよくするため、吸込管12aの先端部に掘削装置12bが取り付けられている。掘削装置12bは、例えば水中モータ等の動力で掘削歯を回転させ、湖底の堆積物Sをほぐして吸込管12aに吸い込ませやすくする。サイフォン船12の船上では、吸込管12aにバルブ12cを介して湖上管13が連結されており、湖上管13は図示しないフロートに支持されて水面上に敷設されている。
【0039】
水位差発生水槽14は、その本体部を水中に沈めた状態で水面に浮かべられており、その浮力と質量とのバランスにより、その上部開口を水面上に浮き出させた姿勢を安定して保持している。水位差発生水槽14内の水位は、貯水池の水位よりも低く設定されており、これらの間に水位差が形成されている。上記の湖上管13には流入管11が接続されており、この流入管11は湖面上から水中に垂れ下がり、水中にて水位差発生水槽14に接続されている。
【0040】
掘削装置12bでほぐされた堆積物Sは、水位差によって湖水とともに吸込管12aに吸い込まれ、浚渫水(土砂水)となって水位差発生水槽14へ汲み上げられる。水位差発生水槽14内には底面上に仕切板15が設置されており、この仕切板15によって水位差発生水槽14内は、例えば水位保持室16(図1中両外側)と排水室18(図1中内側)の2室に区画されている。このうち一方の水位保持室16には、吸込管12a、湖上管13及び流入管11を通じて浚渫水が流れ込むものとなっている。また、水位保持室16に流れ込んだ浚渫水は仕切板15の上端から溢れ出し、内側の排水室18へ移行する。なお、水位差発生水槽14の詳細な構造については別図を用いてさらに後述する。
【0041】
排水室18の上部には、仕切板15から溢れ出た浚渫水が流れ込む位置にごみスクリーン17が取り付けられている。水位保持室16へ流れ込み、やがて仕切板15から溢れた浚渫水は、ごみスクリーン17を通過して排水室18へ移行する際、そこでごみを除去される。このときごみスクリーン17の番手(メッシュ)は、例えば水中の沈木や落葉、石などを捕集できる程度(例えば1.5メッシュ)の大きさに選定されている。
【0042】
〔搬送部〕
搬送部20は、主に排砂ポンプ22及び搬送管24を備えており、排砂ポンプ22はポンプ船50上に設置されている。排砂ポンプ22には吸引管22aが接続されており、この吸引管22aの先端部は、水位差発生水槽14内にて排水室18の水中に没している。一方、搬送管24はバルブ26を介して排砂ポンプ22の吐出口に接続されており、ポンプ船50の外では図示しないフロートに支持されて水面上を堤体Dに向かって延びている。なお、ポンプ船50を例えば複数艘を湖上に連ねて配置することで、これらが順々に排砂ポンプ22の動力で浚渫水を受け渡しながら浚渫水を堤体Dへ圧送することができる。
【0043】
〔堤体越え部〕
堤体越え部30は、主に鋼管32及び受水槽34を備えている。鋼管32は堤体Dの内側で搬送管24に接続されて堤体Dの頂部に向かって立ち上がり、さらに堤体Dの頂部を越えて湖外(外側)にまで達している。また、受水槽34は堤体Dの外側に設置されており、鋼管32は堤体Dの外側で頂部から立ち下がり、その開口端部は受水槽34内にて水中に没している。なお鋼管32には、堤体Dの外側にてバルブ33が介挿されている。堤体Dの内側では、排砂ポンプ22の揚水力によりある程度の高さまで水位を発生させれば、その外側にある受水槽34内の水位と堤体Dの頂部との高低差を大気圧(自然エネルギー)により越えさせることができる。
【0044】
受水槽34内には堰34aが設けられており、この堰34aよって受水槽34内は流入室36と流出室38とに区画されている。このうち一方の流入室36内には、堤体Dを越えて搬送管24内を流下してきた浚渫水が流入する。そして受水槽34の流入室36内に流入した浚渫水は、堰34aから溢れ出て他方の流出室38に移る。
【0045】
〔下流搬送部〕
下流搬送部40は、主に放流管42を備えている。放流管42は、受水槽34内の流出室38に接続されており、その下流端は図示しない河川水域(又は海水域)に達している。受水槽34内で堰34aから溢れ出て流出室38内に流入した浚渫水は、さらに放流管42を通じて低所へ放流される。
【0046】
以上が浚渫作業を行うための設備の一例である。続いて、本実施形態の水位差発生水槽14の詳細を説明する。
【0047】
〔第1実施形態〕
図2は、水位差発生水槽14の構成を詳細に示す縦断面図である。水位差発生水槽14は全体的に縦長であり、その上部よりも下部の径が大きくなった段付き円筒形状(ボトル形状)をなしている。
【0048】
水位差発生水槽14は主に、水槽本体140、伸縮部150及び水上部160から構成されている。このうち水槽本体140は、上記のように段付きの円筒形状をなしており、水槽本体140はその全体が水中に没している。水槽本体140はその下部分が最も径の大きい円筒形状をなし、この下部分が外殻体142となっている。また、水槽本体140はその上部分が径の小さい円筒形状をなし、この上部分がネック状の水槽短管144となっている。外殻体142と水槽短管144との間は穴あき蓋形状(ドーナツ形状)の鏡板146で連結されており、また外殻体142の下端は底板148で閉塞されている。なお水槽本体140は、外殻体142や水槽短管144、鏡板146等のパーツに分割できる構造であってもよい。
【0049】
水槽本体140の下端部にはバラストウェイト170が取り付けられている。バラストウェイト170は、例えば外殻体142の外周面に沿って複数箇所へ均等に配置されている。これらバラストウェイト170は、水位差発生水槽14の質量を加減調節し、その大部分を水中に沈降させて浮力とのバランスをとっている。また本実施形態では、バラストウェイト170を水槽本体140の下端部に設置することで、水位差発生水槽14全体の重心位置をメタセンタよりも低く設定し、傾斜時の復元モーメントを確保している。
【0050】
伸縮部150は、蛇腹状(コルゲート筒状)の上部短管152を有している。この上部短管152は上下方向(図中矢印方向)に伸縮自在であり、かつ、ある程度の大きさの外力が加わるまでは伸び縮みすることなく、その長さを保持することができる。なお上部短管152は、水中に没した状態でも水圧に耐えられるだけの充分な強度を有している。上部短管152はその上下端が開放しており、上下に伸縮可能な姿勢で水槽本体140の上端に例えばフランジを介して連結されている。
【0051】
水上部160は上下端が開放された水上短管162を有しており、この水上短管162は、上部短管152の上端に例えばフランジを介して連結されている。また水上部160は沈没防止フロート164を有しており、沈没防止フロート164は、例えば水上短管162の外周面に沿って複数箇所へ均等に設置されている。これら沈没防止フロート164は、水位差発生水槽14の内部が水で満たされた場合でも、水位差発生水槽14を沈没させないだけの浮力を有している。また沈没防止フロート164は、通常時に水位差発生水槽14が傾いても、水上短管162が水面下に没するのを防止している。
【0052】
次に、水位差発生水槽14の内部構造について説明する。図3は、水位差発生水槽14の下部分における水平断面図(図2中、III−III断面)である。以下、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0053】
水槽本体140の内部には、上記のように仕切板15が設置されており、この仕切板15により水位保持室16及び排水室18が区画して形成されている。この仕切板15は外殻体142の内径よりも小さい円筒形状を有しており、その下端は外殻体142と同じ底板148により閉塞されている。また、仕切板15の上端(頂部)には漏斗形状の集水板15aが設置されている。この集水板15aは、円筒形状をなす仕切板15の中心に向かって下り傾斜しており、その中央には円形の開口15bが形成されている。なお上記のごみスクリーン17は、集水板15aの開口15b内に嵌め込んだ状態で設置されている。
【0054】
このように水槽本体140の内部は、外殻体142と仕切板15とによって二重殻構造に形成されている。円筒形状の仕切板15は、その外周面と外殻体142の内周面との間の円環状の空間に上記の水位保持室16を形成している。このため水位保持室16は、全体として円環柱形状をなしている。また、排水室18は仕切板15の内側に形成されており、こちらは全体として円柱形状をなしている。
【0055】
水槽本体140には、外殻体142を貫通して流入口172が形成されている。この流入口172は外殻体142の内周面で開口し、水位保持室16内に通じている。また水槽本体140の外側では、流入口172に流入ノズル11aが設置されており、この流入ノズル11aを介して上記の流入管11が接続されている。流入ノズル11aは外殻体142の外周面からその接線に沿う方向に延びている。このため流入管11内を流れてきた浚渫水は、流入ノズル11a内で外殻体142の接線に沿う方向に流れを変えると、流入口172から水位保持室16内へその周方向に流入することになる。
【0056】
なお、水位保持室16内では仕切板15が堰となっている。これにより、水位差発生水槽14内の水位は常に一定に設定されており、水位差発生水槽14全体が水中にほぼ静止した状態では、水位差発生水槽14内の水位と貯水池の水位との水位差Hが常に一定となる。
【0057】
外殻体142の内側には、その内周面と仕切板15の外周面との間に螺旋状板173が設置されている。この螺旋状板173は底板148の上面、つまり外殻体142の底面から仕切板15の頂部に向けて螺旋状に延びている。図3に示されているように、螺旋状板173は外殻体142の内周(仕切板15の外周)をほぼ一周している。
【0058】
ここで図4は、螺旋状板173の周方向(長手方向)に沿う縦断面図(図3中IV−IV断面)である。螺旋状板173は、その周方向でみて流入口172の近傍位置で最も低く、そこから浚渫水の流入方向(図3中の反時計回り方向)に進むにつれて上昇し、ほぼ一周した流入口172より手前の位置で仕切板15の頂部に到達する。さらに螺旋状板173は、仕切板15の頂部に達した位置から急激に下り傾斜し、その最も低い位置につながっている。
【0059】
図4に示されているように、螺旋状板173は、その上面が水位保持室16の底面を形成する。このため水位保持室16は、流入口172の近傍の位置で最も深く、そこから浚渫水の流入方向(図3中の反時計回り方向)に進むにつれて次第に浅くなり、略一周した流入口172より手前の位置で水深がなくなることになる。また螺旋状板173には、その周方向に分布して多数の貫通穴173aが形成されている。これら貫通穴173aは螺旋状板173をその厚み方向に貫通している。
【0060】
水槽本体140には、外殻体142を貫通して流出ノズル174(流出路)が設置されている。また仕切板15には、流出口176が貫通して形成されている。流出口176は仕切板15の内周面で開口し、排水室18内に通じている。流出ノズル174は外殻体142を貫通してその内外に延びている。流出ノズル174は、外殻体142の内側では仕切板15の外面から上記の流出口176に接続される一方、外側では上記の吸引管22aに接続されている。上記の排砂ポンプ22を作動させると、排水室18内の浚渫水は流出口176から流出ノズル174を通じて外殻体142の外側へ流出し、吸引管22aに引き込まれる。
【0061】
なお図2,図3に示されているように、仕切板15の下端部には連通穴15cが形成されている。連通穴15cは仕切板15の周方向で複数箇所にあり、本実施形態では螺旋状板173の下方に位置している。連通穴15cは仕切板15を厚み方向に貫通しており、このため螺旋状板173の下方では、連通穴15cを通じて仕切板15の内側と外側とが相互に連通している。これにより水槽本体140の内部では、排水室18の容積が仕切板15の外側(外殻体142の内周面)まで拡張されている。
【0062】
その他、水位差発生水槽14には管状のゲージポール180(防波管)が設置されている。このゲージポール180は、水槽短管144及び上部短管152の外面に沿って鉛直上方に延び、その上端は水上短管162の頂部位置に達している。一方、ゲージポール180は鏡板146及び集水板15aを貫通して鉛直下方に延び、その下端は排水室18内にて水中に没している。
【0063】
ゲージポール180の上端には指示棒182が設置されており、この指示棒182の先端には滑車182aが取り付けられている。またゲージポール180内にはゲージワイヤ184が挿入されており、その下端には浮子184aが取り付けられている。浮子184aは排水室18内の浚渫水に浮かび、その水位に応じてゲージポール180内を上下に移動する。またゲージワイヤ184は、ゲージポール180内を鉛直上方に延び、その外部に露出した位置では滑車182aに案内されて下方に垂れ下がっている。ゲージワイヤ184の垂れ下がった先には水位計測錘184bが取り付けられている。
【0064】
水位計測錘184bは、浚渫水に浮かんだ浮子184aよりも軽量であるが、浮子184aの上下動に追随して上下し、ワイヤ184に適度な張力を働かせた状態に保持する。指示棒182には図示しない目盛りが付されており、水位計測錘184bが指示する目盛りを読み取ることで、排水室18内の水位を観測することができるものとなっている。
【0065】
次に、浚渫作業時の水位差発生水槽14内での浚渫水の流れを説明する。
図5は、水槽本体140の内部構造を図解した斜視図である。なお、図5では煩雑化を防止するため、螺旋状板173の貫通穴173aやゲージポール180等の図示を省略している。
【0066】
流入口172を通じて水位保持室16内に流入した浚渫水は、螺旋状板173の上面に沿って案内され、このとき外殻体142の内周面に沿って旋回流(スワール)が発生する。浚渫水に含まれていた土砂の一部は勢いを失って沈降し、貫通穴173aを通じて螺旋状板173の下側、つまり拡張された排水室18内に落下する。これにより、水位保持室16内に土砂が堆積するのを有効に防止することができる。なお、螺旋状板173の貫通穴173aを通じて排水室18に落下した土砂は、上記の連通穴15cを通じて仕切板15の内側の排水室18に合流し、そこから流出口176を通じて浚渫水とともに排出される。
【0067】
水位保持室16に満たされた浚渫水は、仕切板15の周囲からその頂部を越えて溢れ出すと、内側で集水板15a上を中央に向かって流れ落ちる。なお、ここでも水位保持室16内での旋回流の影響により、集水板15a上では僅かに渦巻き流が発生する。
【0068】
集水板15aの中央に集められた浚渫水は、中央のごみスクリーン17を介して排水室18内に流れ込む。浚渫水に含まれていたごみ類は、ごみスクリーン17により捕集される。
【0069】
排水室18内に流れ込んだ浚渫水は、ここで暫く滞留した後、その流出口176を通じて流出ノズル174に引き込まれ、さらに吸引管22aを通って水位差発生水槽14の外側へ排水される。上記のように排水室18の容積は、連通穴15cを通じて仕切板15の外側にまで拡張されている。このため、排砂ポンプ22の運転状態の変化によって排水室18内に滞留する浚渫水の量が増加した場合であっても、排水室18内の水位が急激に上昇することはない。なお、排砂ポンプ22の運転状態は、上記の水位計測錘184bが示す目盛りを観測しながら調節することができる。
【0070】
ただし、たとえ排水室18内の水位が変動したとしても、水位保持室16内の水位は仕切板15の頂部位置で常に安定しているため、浚渫作業の過程でサイフォン力を得るため必要な水位差(図1中符号H)が変動することはない。したがって、本実施形態の水位差発生水槽14によれば、浚渫作業中のサイフォン力を常に安定して得ることができ、それにより浚渫作業の効率化を図ることができる。
【0071】
また第1実施形態では、伸縮部150において上部短管152を伸び縮みさせ、合わせてバラストウェイト170を加減することにより、水位差発生水槽14の沈み込み量を調節することができる。これにより、水位差発生水槽14で発生させる水位差(図1中符号H)を所望に可変することができ、浚渫場所の状況に合わせて適切な水位差を発生させることができる。
【0072】
図6は、水槽本体140内部をより拡大した断面図である。ごみスクリーン17は、その外径が水槽短管144や上部短管152、水上短管162(図6には示さず)の内径よりも小さく設定されている。このため水位差発生水槽14を湖上に浮かべだ状態であっても、例えば水上短管162の上部開口を通じて吊り上げ索188をごみスクリーン17に連結し、これを引き上げることでごみスクリーン17を水位差発生水槽14外へ取り出すことができる。ごみスクリーン17にて捕集されたごみを回収した後は、またごみスクリーン17を吊り下げて水槽本体140内に降ろし、集水板15aの中央に取り付けることができる。
【0073】
〔第2実施形態〕
図7は、水位差発生水槽14の第2実施形態を示す縦断面図である。第2実施形態は、以下の点で第1実施形態と異なっている。
(1)水槽本体140の上部に別の上部短管190が連結されている。
(2)水槽本体140の水槽短管144内に収縮袋192が設置されている。
(3)沈没防止フロート164が吊り下げ式であり、上下に位置を変更できる。
なお、その他の事項は第1実施形態と共通であり、ここでは共通する構成には同じ符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。
【0074】
第2実施形態で用いる上部短管190は伸縮式ではないが、第1実施形態のように伸縮式であってもよい。この上部短管190は、ある程度の余裕を持って水面上に浮き出るだけの長さを有している。
【0075】
収縮袋192は、例えばゴム等の弾性素材を用いた容量可変の袋体である。収縮袋192には、配管194を通じてその内部に流体(水)を供給(圧送)することができる。なお、配管194には逆止弁196が介挿されており、この逆止弁196は収縮袋192内の流体が内圧で逆流するのを防止している。また、配管194には分岐して排水路194aが設けられており、この排水路194aには排水弁198が取り付けられている。排水弁198を開放すると、収縮袋192内の流体が排出されて収縮袋192が収縮する。
【0076】
第2実施形態では、収縮袋192内により多くの流体を供給することで水位差発生水槽14全体の質量を増加し、その沈み込み量を増やす(沈降させる)ことができる。このとき収縮袋192は、例えば水槽本体140から上方へ膨張し、図中に2点鎖線で示されるように上部短管190内にまで到達する。逆に、収縮袋192内の流体を排出することで水位差発生水槽14全体の質量を軽減し、その沈み込み量を減らす(浮上させる)こともできる。これにより、バラストウェイト170を加減することなく、外部からの作業だけで水位差Hを容易に可変することができるので、浚渫作業の効率を向上することができる。
【0077】
また沈没防止フロート164は、例えばブラケット190a及び吊り下げ索190bを介して上部短管190から吊り下げられた状態で上部短管190に固定されている。上記のように水位差発生水槽14をより沈降させて使用する場合、吊り下げ索190bを短くして沈没防止フロート164の位置を相対的に引き上げる。逆に水位差発生水槽14を浮上させて使用する場合、吊り下げ索190bを長くして沈没防止フロート164の位置を相対的に下げればよい。
【0078】
〔第3実施形態〕
図8は、水位差発生水槽14の第3実施形態を示す図である。第3実施形態は、水没防止フロート164の構造に特徴を有するものである。以下、水没防止フロート164の構造について説明する。
【0079】
図8中(A):水没防止フロート164は、その全体が円環状の空洞体を構成している。さらに水没防止フロート164の構造を水平断面で見ると、その内部が周方向に複数の区画(ここでは12区画)に仕切られている。これら12の区画を周方向でみると、水没防止タンク164aの区画とバラストタンク164bの区画が交互に6区画ずつ配置されている。
【0080】
図8中(B):さらに水没防止フロート164の構造を縦断面で見ると、バラストタンク164bのある区画について内部が上下2室に区画されている。このうち上側の室はそのまま水没防止タンク164aとして機能し、下側の室だけがバラストタンク164bとして機能するものとなっている。
【0081】
なお図8には示されていないが、各バラストタンク164b内には、上記の収縮袋192と同様に外部から流体(水)を注入することができる。またバラストタンク164b内の流体は、図示しないドレン口を通じて排出することができる。バラストタンク164bは、周方向で等間隔(1区画おき)に配置されているため、流体を注入した状態で驟雨方向にバランスよく質量を付加することができる。
【0082】
〔第4実施形態〕
図9は、水位差発生水槽14の第4実施形態を示す図である。第4実施形態の水位差発生水槽14は、水槽本体140に排砂ポンプ22を一体として取り付けた点に特徴を有している。
【0083】
図9中(A):第4実施形態では、外殻体142の外面に遠心式の排砂ポンプ22が取り付けられている。なお排砂ポンプ22は、ケーシング22cの外側でモータ22mを気密にカバーした水中ポンプである。排砂ポンプ22は、その吸込口を上記の流出ノズル174の一端に連結させている。また流出ノズル174の他端には、流出口176から排水室18内に向かってラッパ状に拡がるレジューサ200が取り付けられている。
【0084】
図9中(B):排砂ポンプ22で吸引された浚渫水は、流出ノズル174に対して垂直方向(上方向)に圧送される。この場合、上記の吸引管22aをそのまま圧送管として利用すればよく、ポンプ船50上には排砂ポンプ22を設置する必要はない。なお、ここでは外殻体142の外側に排砂ポンプ22を設置する例を挙げているが、排砂ポンプ22は水槽本体140の内側、つまり、排水室18内に設置されていてもよい。
【0085】
本発明は上述した第1,第2実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。例えば、外殻体142や仕切板15等をさらに複数のパーツで構成し、これらを分割・組み立て式に構成してもよい。
【0086】
各実施形態では水槽本体140に上部短管152,190等を連結しているが、水槽本体140の水槽短管144の部分の長さを延長して水面上に浮き出させれば、特に上部短管152,190等を連結する必要はない。
【0087】
各実施形態ではごみスクリーン17を集水板15aの中央に配置しているが、ごみスクリーン17は流入口172の手前や流出口176の手前に配置してもよい。
【0088】
また、水位差発生水槽14の各部の形状や構造はあくまで好ましい例示であり、これらを適宜変形して実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】浚渫作業に用いる設備を概略的に示した構成図である。
【図2】水位差発生水槽の構成を詳細に示す縦断面図である。
【図3】水位差発生水槽の下部分における水平断面図(図2中、III−III断面)である。
【図4】螺旋状板の周方向(長手方向)に沿う縦断面図(図3中IV−IV断面)である。
【図5】水槽本体の内部構造を図解した斜視図である。
【図6】水槽本体の内部をより拡大した断面図である。
【図7】水位差発生水槽の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図8】水位差発生水槽の第3実施形態を示す図である。
【図9】水位差発生水槽の第4実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
11 流入管
11a 流入ノズル
14 水位差発生水槽
15 仕切板
15a 集水板
15c 連通穴
17 ごみスクリーン(ごみ除去部材)
16 水位保持室
18 排水室
22 排砂ポンプ
22a 吸引管(流出管)
140 水槽本体
142 外殻体
148 底板
150 伸縮部
152 上部短管
164 沈没防止フロート(浮力発生体)
164a 水没防止タンク
164b バラストタンク
170 バラストウェイト
172 流入口
173 螺旋状板
173a 貫通穴
174 流出ノズル
192 収縮袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水池の水位よりも低い水位を形成し、これらの間に発生する水位差を利用して湖底から堆積物を含む浚渫水を汲み上げる浚渫作業に用いられる水位差発生水槽において、
開口した上端部が貯水池の水面上に浮き出た状態で水中に沈められる水槽本体と、
前記水槽本体の内部を2室に区画して、その一方を前記水槽本体の底面から所定の高さの位置に浚渫水の水位を保持する水位保持室として形成するとともに、その他方を前記水位保持室から溢れ出た浚渫水を前記水槽本体の外部へ排出するための排水室として形成する仕切板と
を備えたことを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項2】
請求項1に記載の水位差発生水槽において、
前記水位保持室への入口と前記排水室からの出口との間にて、浚渫水からごみを除去するごみ除去部材をさらに備えたことを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水位差発生水槽において、
前記水位保持室に接続され、湖底から汲み上げられた浚渫水を流入させる流入管と、
前記排水室に接続され、外部からの吸引力により前記水槽本体の外部へ浚渫水を流出させる流出管と
をさらに備えたことを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の水位差発生水槽において、
前記水槽本体に設けられて貯水池内への沈み込み量を調節するバラストウェイトをさらに備えたことを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項5】
請求項4に記載の水位差発生水槽において、
前記バラストウェイトは、
前記水槽本体の内部に設置され、外部から流体の供給を受けて膨張する一方、外部へ流体を排出して収縮する収縮袋体から構成されていることを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の水位差発生水槽において、
前記水槽本体に設けられ、貯水池の水深方向に伸縮することで前記水槽本体の長さを可変する伸縮部をさらに備えたことを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の水位差発生水槽において、
前記水槽本体に浮力を付加することで水没を防止する浮力発生体をさらに備えたことを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載の水位差発生水槽において、
前記水槽本体の周囲に配置され、内部が周方向に複数の区画に仕切られた環状の空洞体をさらに備え、
前記複数の区画のうち、周方向で等間隔をおいて配置された区画は外部から流体を注入することで前記水槽本体に質量を付加するバラストタンクとして機能し、その他の区画は前記水槽本体に浮力を付加する水没防止タンクとして機能することを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項9】
請求項8に記載の水位差発生水槽において、
前記複数の区画のうち、周方向で等間隔をおいて配置された区画の内部がさらに上下2室に区画して形成されており、このうち下側の室は外部から流体を注入することで前記水槽本体に質量を付加するバラストタンクとして機能し、一方、上側の室は前記水槽本体に浮力を付加する水没防止タンクとして機能することを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の水位差発生水槽において、
前記水槽本体は、
上面が開口するとともに底面が閉塞された円筒形状の外殻体を有しており、
前記仕切板は、
前記外殻体よりも内径が小さい円筒形状をなし、前記外殻体の底面上に設置された状態でその外側と前記外殻体の内周面との間に前記水位保持室を区画するとともに、その内側にて前記排水室を区画することを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項11】
請求項10に記載の水位差発生水槽において、
前記外殻体に開口して形成され、外側から前記水位保持室に対してその周方向に浚渫水を流入させる流入口と、
前記外殻体の内周面と前記仕切板の外周面との間に設けられ、前記外殻体の底面から前記仕切板の頂部に向けて螺旋状に延び、かつ、その上面が前記水位保持室の底面を形成する螺旋状板と、
前記外殻体を貫通して外側に開通するとともに、前記仕切板を貫通して形成された流出口を通じて前記排水室内から前記外殻体の外側へ浚渫水を流出させる流出路とをさらに有し、
前記螺旋状板は、
前記流入口を通じて前記水位保持室に流入した浚渫水を、その上面に沿って前記仕切板の頂部まで案内することを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項12】
請求項11に記載の水位差発生水槽において、
前記仕切板には、前記螺旋状板の下面よりも下方の位置に貫通した連通穴が形成されており、この連通穴を通じて前記仕切板の内側と外側とを相互に連通させることで、前記排水室の容積が前記仕切板の外側まで拡張されていることを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の水位差発生水槽において、
前記螺旋状板には、厚み方向に貫通した多数の貫通穴がその周方向に分布して形成されていることを特徴とする水位差発生水槽。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の水位差発生水槽において、
前記水槽本体に設置され、前記排水室内に滞留した浚渫水を外部へ排出する排砂ポンプをさらに備えたことを特徴とする水位差発生水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−308818(P2008−308818A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154817(P2007−154817)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(505077334)株式会社 ダムドレ (7)