説明

水供給システム

【課題】日頃から特段の備えを要することなく、停電時や断水時に、各家庭や職場などで衛生的な水を利用可能とする手段を提供する。
【解決手段】水供給システム1は、フィルタ群101と、第1のパイプ102と、第1の弁103と、第2のパイプ104と、第2の弁105と、第3のパイプ106と、第3の弁107と、手動式ポンプシステム108と、止水閉弁機構109と、第4のパイプ110と、連動閉弁機構111とを備えている。止水閉弁機構109は、容器内の水が満水近くになると自動的に第3の弁107を閉じ、連動閉弁機構111は、第3の弁107の閉弁に連動して第1の弁103を閉じる。断水時には、第3の弁107のバイパス上に設けられた手動弁113を開き、手動式ポンプシステム108により手動で水を送り込むことで、浄化された水の供給が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等に用いられる水を供給する水供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害時など衛生的な水の供給が不足する状況下において、比較的純度の高い水を提供する手段がいくつか提案され、また実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水源から揚水ポンプで汲み上げが原水から浄化ユニットにより細菌類及びウイルスの一部を除去した後、電解水にて殺菌処理を行うことで、ライフラインの断たれた緊急災害時において、衛生管理用水を給水する水供給システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−274182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの災害はいつ発生するかを予測することが難しく、また発生の頻度が極めて低い。従って、予め特許文献1に記載のような水供給システムを一般の家庭や職場などに配置し、それらをいつでも使用可能な状態に保っておくことは、費用対効果等の観点から現実的ではない。
【0006】
従って、特許文献1に記載のような水供給システムは、消防署や自衛隊、公共施設等に配置されるに留まる。大地震や台風、津波などの広域災害が発生した場合、その直後の1〜2週間程は、交通の分断などにより水供給システムの配置された公共施設等に辿り着けない人々も多く、仮に辿り着けたとしても長蛇の列が生じてなかなか必要な水を手に入れることができない、といった状況が生じる可能性も高い。
【0007】
そこで、本発明は、日頃から特段の備えを要することなく、停電時や断水時に、各家庭や職場などで衛生的な水を利用可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的に鑑みて想到されたものであり、
水を浄化するための1以上のフィルタと、
入口端が上水道に連結されかつ出口端が前記1以上のフィルタの上流側入口に連結されている第1の流路を形成する第1のパイプと、
前記第1のパイプの所定の位置に設けられ、前記第1の流路を開閉する第1の弁と、
前記第1のパイプにおける前記第1の弁から見て前記出口端側の所定の位置に出口端が連結される第2の流路を形成する第2のパイプと、
前記第2のパイプの所定の位置に設けられ、前記第2の流路を開閉する第2の弁と、
前記1以上のフィルタの下流側出口に入口端が連結される第3の流路を形成する第3のパイプと、
前記第3のパイプの所定の位置に設けられ、前記第3の流路を開閉する第3の弁と、
前記第2のパイプの入口端に連結され、外部の水を汲み上げて所定以上の圧力で第1の流路に流し込む手動式ポンプと、
前記第3のパイプの出口端から流れ出る水を受け入れる容器に溜まった水の量が所定の量以上になったとき前記第3の弁を閉じる止水閉弁機構と
を備える水供給システム
を第1の実施態様として提案する。
【0009】
また、上記の第1の実施態様において、
前記1以上のフィルタのうちの少なくとも最も下流側のフィルタの上流側から水を外部に排出する第4の流路を形成する第4のパイプを備える
構成を第2の実施態様として提案する。
【0010】
また、上記の第1または2の実施態様において、
前記第3の弁の閉弁に連動して前記第1の弁を閉じる連動閉弁機構を備える
構成を第3の実施態様として提案する。
【0011】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記第3の弁は電力の供給量が所定値以上の場合に開弁し、当該電力の供給量が前記所定値未満の場合に閉弁する電磁弁であり、
前記第3のパイプに対し入口端および出口端が連結され、前記第3の弁をバイパスするバイパス流路を形成するバイパス用パイプと、前記バイパス用パイプの所定の位置に設けられ、前記バイパス流路を開閉する手動弁とを備えるか、もしくは前記閉弁している第3の弁を手動で開く開弁機構を備える
構成を第4の実施態様として提案する。
【0012】
また、上記の第1乃至4のいずれかの実施態様において、
前記第1の弁は電力の供給量が所定値以上の場合に開弁し、当該電力の供給量が前記所定値未満の場合に閉弁する電磁弁であり、
前記第1のパイプに対し入口端および出口端が連結され、前記第1の弁をバイパスするバイパス流路を形成するバイパス用パイプと、前記第1のパイプに連結される前記バイパス用パイプの所定の位置に設けられ、前記第1の弁をバイパスする前記バイパス流路を開閉する手動弁とを備えるか、もしくは前記閉弁している第1の弁を手動で開く開弁機構を備える
構成を第5の実施態様として提案する。
【0013】
また、上記の第1乃至5のいずれかの実施態様において、
前記止水閉弁機構は、前記容器に溜まった水の量が前記所定の量以上になったときに、当該水の重さによって所定の部位が変位し当該変位に連動して、梃子を用いた構造、ギアを用いた構造、もしくはベルトを用いた構造のうちの少なくとも一つが作動し前記第3の弁を閉じる機構である
構成を第6の実施態様として提案する。
【0014】
また、上記の第1乃至5のいずれかの実施態様において、
前記止水閉弁機構は、前記容器に溜まった水の水位の上昇に伴って浮力により上昇する浮体の変位に連動して、梃子を用いた構造、ギアを用いた構造、もしくはベルトを用いた構造のうちの少なくとも一つが作動し前記第3の弁を閉じる機構である
構成を第7の実施態様として提案する。
【0015】
また、上記の第1乃至5のいずれかの実施態様において、
前記止水閉弁機構は、前記容器に溜まった水の水位もしくは重さを感知するセンサを有し、前記センサから出力される信号に応じて前記第3の弁を閉じる
構成を第8の実施態様として提案する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の実施態様にかかる水供給システムによれば、通常時には上水道から供給される水を浄化した水が容器に供給され、当該容器内の水の量が所定量以上となると自動的にその水の容器に対する供給が停止される。従って、例えば浸透性の低いフィルタにより水の浄化を行う場合などのように容器に供給される水の供給速度が遅い場合であっても、ユーザは水が十分に容器に溜まるまで監視する必要がなく、快適に浄化された水を利用することができる。
【0017】
一方、上水道からの水供給が停止した場合には、上水道からの水供給の経路を弁で閉じるとともに、その経路に手動ポンプを連結し、例えば水溜まりや川などから汲んできた水を当該手動ポンプによって送り込むことにより、フィルタにより浄化された水が容器に供給される。
【0018】
このように、日常的に快適に使用可能な水供給システムを容易に非常用の水供給システムに変化させることができるため、非常用の水供給システムを別途設けた場合のように、そのメインテナンスを別途行う必要がなく、余分な場所をとることもない。そのため、各家庭や職場への普及が容易である。
【0019】
また、本発明の第2の実施態様にかかる水供給システムによれば、容器へ水を供給する間、フィルタの上流側表面を流れて外部へ排出される水の流路が形成されているため、フィルタの上流側表面が常に洗い流され、目詰まりが防止されるとともに、容器への水供給の経路が閉弁された際、水供給システム内に過剰な圧力がかかることが防止される。
【0020】
また、本発明の第3の実施態様にかかる水供給システムによれば、容器への水供給が停止されると、それにともない上水道から水供給システムへの水供給のための経路が自動的に閉弁されるため、不使用時に水供給システム内に過剰な圧力がかかることが防止される。
【0021】
また、本発明の第4の実施態様にかかる水供給システムによれば、容器への水供給の経路が例えば容器内に溜まった水の量を計測するセンサからの信号に応じて自動的に開閉する電磁弁により開閉されるような構造において、電磁弁への電力供給が途絶え電磁弁が閉じてしまった場合であっても、手動でその電磁弁を開くか、もしくはバイパス経由により、水を容器へと供給させることができる。
【0022】
また、本発明の第5の実施態様にかかる水供給システムによれば、容器への水供給の経路が例えば容器内に溜まった水の量を計測するセンサからの信号に応じて自動的に開閉する電磁弁により開閉されるような構造において、電磁弁への電力供給が途絶え電磁弁が閉じてしまったが、上水道からの水供給は途絶えていない場合、手動でその電磁弁を開くか、もしくはバイパス経由により、上水道からフィルタへと水を供給させることができる。
【0023】
また、本発明の第6または7の実施態様にかかる水供給システムによれば、機械的な手段によって容器に一定量以上の水が溜まった場合の水供給の停止が行われるため、通常の使用において省電力であるとともに、電力供給が停止した非常時においても自動的に容器に対する水供給が停止する仕組みが作動し便利である。
【0024】
また、本発明の第8の実施態様にかかる水供給システムによれば、水量を計測するセンサからの信号に応じて電磁弁等が作動し、容器に一定量以上の水が溜まった場合の水供給の停止が行われるため、容器と弁とを自由に配置可能であり、場合によっては低コストで故障の少ない水供給システムが実現される。なお、センサやその信号を受けて弁を開閉する仕組みを動作させるための電力供給が必要となるが、例えば充電可能な電池によりそれらを動作させることで、電力供給が停止した非常時においても暫くの間、自動的に容器に対する水供給が停止する仕組みを作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の一実施例にかかる水供給システムの構造を模式的に示した図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例にかかる水供給システムの構造を模式的に示した図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例にかかる梃子を用いた止水閉弁機構の構造を模式的に示した図である。
【図4】図4は、本発明の一実施例にかかる浮体を用いた止水閉弁機構の構造を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施例)
以下、本発明の一具体例である実施例を、図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、本実施例にかかる水供給システム1の概略を示す図である。
【0028】
水供給システム1は、フィルタ群101と、第1のパイプ102と、第1の弁103と、第2のパイプ104と、第2の弁105と、第3のパイプ106と、第3の弁107と、手動式ポンプシステム108と、止水閉弁機構109と、第4のパイプ110と、連動閉弁機構111と、第3のパイプ106に連結されるバイパス用パイプ112と、バイパス用パイプ112の所定の位置に設けられる手動弁113と、第1のパイプ102に連結されるバイパス用パイプ114と、バイパス用パイプ114の所定の位置に設けられる手動弁115とを備えている。
【0029】
フィルタ群101は複数のフィルタにより水を浄化する。より具体的には、フィルタ群101は、第1のパイプ102から流れてくる多少の不純物を含む水から比較的粒径の大きな不純物を濾過して取り除く粒子浄化装置1011と、粒子浄化装置1011から流れてくる水から臭いを放つ物質の粒子を濾過して取り除く臭気浄化装置1012と、臭気浄化装置1012から流れてくる水になお含まれる粒径の小さい不純物を濾過して取り除き水の純度を高める逆浸透膜浄化装置1013とを有している。
【0030】
第1のパイプ102は、入口端が上水道に連結され、出口端がフィルタ群101の上流側入口(すなわち、粒子浄化装置1011の入口)に連結されている。以下、第1のパイプ102により形成される上水道からフィルタ群101へと向かう水の流路を「第1の流路」と呼ぶ。
【0031】
第1の弁103は、第1の流路を開閉するための電磁弁であり、第1のパイプ102の途中位置に配置されている。第1の弁103は、電力の供給量が所定値以上の場合に開弁した状態を維持し、電力の供給量が当該所定値未満となると閉弁する。
【0032】
第2のパイプ104は、入口端が後述の手動式ポンプシステム108に連結され、出口端が、第1のパイプ102における第1の弁103から見て出口端側の所定の位置に連結されている。以下、第2のパイプ104により形成される手動式ポンプシステム108から第1の流路へと向かう水の流路を「第2の流路」と呼ぶ。
【0033】
第2の弁105は、第2の流路を開閉するための逆止弁であり、第2のパイプ104の途中位置に配置されている。第2の弁105は、第2のパイプ104の入口端側から出口端側へのみ水が流れることを可能にしている。
【0034】
第3のパイプ106は、入口端がフィルタ群101の下流側出口(すなわち、逆浸透膜浄化装置1013の出口)に連結され、出口端は外部に開口している。なお、第3のパイプ106の出口端の下には通常、浄化された水を溜めるための容器が配置され、その容器に対し水の供給が行われる。以下、第3のパイプ106により形成されるフィルタ群101から外部(容器)へと向かう水の流路を「第3の流路」と呼ぶ。
【0035】
第3の弁107は、第3の流路を開閉する電磁弁であり、第3のパイプ106の途中位置に配置されている。第3の弁107は、第1の弁103と同様に、電力の供給量が所定値以上の場合に開弁した状態を維持し、電力の供給量が当該所定値未満となると閉弁する。
【0036】
手動式ポンプシステム108は、タンク1081と、手動式ポンプ1082とを有している。タンク1081は、例えば非常時にユーザが川などから汲んできた水を収容するためのタンクである。手動式ポンプ1082は、例えばハンドルをユーザが繰り返し押したり引いたりする動作に応じて、タンク1081内に蓄えられた水の一部を吸い込み、吸い込んだ水を所定の大きさ以上の圧力で第2のパイプ104に送り込む。なお、手動式ポンプ1082により第2のパイプ104に送り込まれる水は、第2の弁105により、第1のパイプ102の方向へは流れるが、タンク1081の方向へは流れない。
【0037】
止水閉弁機構109は、上述の容器に溜まった水の水位を感知するセンサ(図示略)を有し、当該センサから出力される信号に応じて第3の弁107を閉じる。
【0038】
止水閉弁機構109が有するセンサは、洗濯バサミと同様の構造のクリップの先に配置されており、ユーザが、センサが容器内に配置されるように当該クリップを容器の受水口付近に取り付けることで、容器内の水の水位が容器の受水口付近に達した際に満水を示す信号がセンサかrあ第3の弁107(および後述のように第1の弁103)に対し出力される仕組みとなっている。
【0039】
第4のパイプ110は、入口端がフィルタ群101のうち最下流側のフィルタである逆浸透膜浄化装置1013内の逆浸透膜の上流側に連結され、出口端は外部に開口している。なお、第4のパイプ110の出口端は通常、下水道へとつながる排水口内に配置される。以下、第4のパイプ110により形成される逆浸透膜浄化装置1013内の逆浸透膜の上流側から外部(排水口)へと向かう水の流路を「第4の流路」と呼ぶ。
【0040】
第4の流路が設けられている理由は、逆浸透膜浄化装置1013が備えるフィルタである逆浸透膜が極めて浸透性の低い膜であり、水供給システム1内に対し上水道もしくは手動式ポンプ1082から加えられ得る過剰な水の圧力の一部を外部に逃がすことで、水供給システム1の物理的な損傷を回避するためと、逆浸透膜の上流側表面に付着する不純物の粒子を常時洗い流し外部に排出することで逆浸透膜の目詰まりを回避するためである。
【0041】
なお、逆浸透膜とは、孔の大きさは概ね2ナノメートル以下の濾過膜であり、水以外の不純物はほとんど透過しない性質を持つ。
【0042】
連動閉弁機構111は、第3の弁107の閉弁に連動して第1の弁103を閉じる。より具体的には、連動閉弁機構111は、上述した止水閉弁機構109が有する容器に溜まった水の水位を感知するセンサから出力される信号に応じて第1の弁103を閉じる。その結果、第1の弁103が閉じられる時、第3の弁107もまた閉じられる。
【0043】
バイパス用パイプ112は、入口端が第3のパイプ106の第3の弁107から見て上流側に、また出口端が第3のパイプ106の第3の弁107から見て下流側に各々連結され、第3の弁107をバイパスするバイパス流路を形成する。以下、バイパス用パイプ112により形成されるバイパス流路を「第1のバイパス流路」と呼ぶ。
【0044】
手動弁113は、第1のバイパス流路を開閉する手動弁であり、バイパス用パイプ112の途中位置に配置されている。手動弁113は通常時においては閉弁されており、停電時に第3の弁107が閉弁した状態において水供給システム1による水供給を行う際、ユーザの手動操作により開かれて、第3の流路の上流側と下流側とを連通させる。
【0045】
バイパス用パイプ114は、入口端が第1のパイプ102の第1の弁103から見て上流側に、また出口端が第1のパイプ102の第1の弁103から見て下流側に各々連結され、第1の弁103をバイパスするバイパス流路を形成する。以下、バイパス用パイプ114により形成されるバイパス流路を「第2のバイパス流路」と呼ぶ。
【0046】
手動弁115は、第2のバイパス流路を開閉する手動弁であり、バイパス用パイプ114の途中位置に配置されている。手動弁115は通常時においては閉弁されており、停電時に第1の弁103が閉弁した状態において、上水道からの水供給が途絶えていない場合、水供給システム1による水供給を行う際、ユーザの手動操作により開かれて、第1の流路の上流側と下流側とを連通させる。
【0047】
以上のような構成を有する水供給システム1の使用方法の一例を以下に示す。
【0048】
まず、通常時(停電もなく上水道からの水供給がある状態)において、手動弁115および手動弁113は常時、閉じられている。また、電磁弁である第1の弁103および第3の弁107に関しては、水供給システム1の電源がOFFの状態において閉弁している。
【0049】
ユーザは、第3のパイプ106の出口端の下に水を受けるための容器を置いて、その容器の受水口付近にセンサの配置されたクリップを取り付ける。
【0050】
続いて、ユーザが水供給システム1の電源をONにすると、上水道から押し出されてくる水道水が第1のパイプ102を通ってフィルタ群101に到達し、粒子浄化装置1011において大きい粒径の不純物が取り除かれ、臭気浄化装置1012において臭いを伴う不純物が取り除かれた後、逆浸透膜浄化装置1013に到達する。
【0051】
逆浸透膜浄化装置1013に到達した水の一部は、逆浸透膜を透過し、第3のパイプ106を通ってその出口端から水供給システム1の外部に流れ出し、容器内に落ちる。このように水供給システム1から容器へと供給される水は、逆浸透膜を透過する際に水以外の不純物をほとんど含まない極めて純度の高い水である。
【0052】
一方、逆浸透膜を透過しなかった水は、逆浸透膜の上流側面上に付着している不純物を洗い落としながら第4のパイプ110へと流れ、第4のパイプ110の出口端から水供給システム1の外部に流れ出し、下水道へと排水される。
【0053】
その後暫く時間が経過して、容器内の水の水位が容器の受水口付近にクリップにより取り付けられているセンサの位置まで達すると、センサは満水を示す信号を第3の弁107および第1の弁103に対し出力する。第3の弁107および第1の弁103はその信号に応じて閉弁する。それにより、第3のパイプ106の出口端から容器への水の供給が停止される。
【0054】
なお、第3の弁107および第1の弁103が閉弁した直後には、まだ水供給システム1の内部の水圧が高いため、第4のパイプ110を通って下水道へと向かう水の流れが続くが、その後水供給システム1の水圧が十分に下がると、その排水も自然と停止する。
【0055】
ユーザは、満水になって水供給が停止していることを確認すると、水供給システム1の電源をOFFし、センサのクリップを容器から取り外す。ユーザはこのようにして容器内に溜まった水を、例えば飲料用などの様々な用途に用いることができる。

【0056】
何らかの事情により停電になったが、上水道からの水道水の供給は通常通り行われている、という場合、仮にユーザが水供給システム1の電源をONにしても電力供給が行われないため、電磁弁である第3の弁107および第1の弁103は閉弁したままである。
【0057】
その状態で水供給を受けたい場合、まず、ユーザは第3のパイプ106の出口端の下に容器を置く。その際、センサの付いたクリップを容器に取り付ける必要はない。
【0058】
その後、手動弁115および手動弁113を各々、手動で開く。それにより、第1のパイプ102の第1の弁103から見た上流側と下流側とがバイパス用パイプ114により、また第3のパイプ106の第3の弁107から見た上流側と下流側とがバイパス用パイプ112により、各々連通される。
【0059】
その結果、水供給システム1によって、上述した通常時におけるものとほぼ同様の水供給が行われる。すなわち、上水道から水供給システム1に流れ込んでくる水道水が、第2のバイパス流路により第1の弁103をバイパスしつつ第1の流路を通ってフィルタ群101に到達し、フィルタ群101において浄化された水が第1のバイパス流路により第3の弁107をバイパスしつつ第3の流路を通って容器へと流れ落ちる。なお、逆浸透膜の上流側まで達した水の一部は、第4の流路を通って下水道へと排出される。
【0060】
上記のように、停電はしているが上水道からの水道水の供給はある、という場合、停電によりセンサは機能せず、また仮にセンサが機能したとしても第3の弁107および第1の弁103はそもそも閉弁しており、バイパス用パイプ114およびバイパス用パイプ112によりバイパスされている。
【0061】
従って、容器に水がいっぱいになっても水供給システム1から容器への水供給は自動的には停止しない。従って、ユーザは容器がオーバーフローしないように、例えば市販のタイマーを用いて所定時間経過ごとに容器の水位を確認するなどの対応を取る必要がある。
【0062】
容器に水が十分に溜まると、ユーザは手動弁113および手動弁115を各々閉じる。これにより、容器への水供給が止まるとともに、水供給システム1内の水圧も第4のパイプ110からの排水に伴い下がる。
【0063】
大規模災害などの理由により、停電になり、上水道からの水道水の供給も止まっている状態においては、仮にユーザが水供給システム1の電源をONにしても電力供給が行われないため、電磁弁である第3の弁107および第1の弁103は閉弁したままである。さらに、仮にユーザが手動弁115および手動弁113を開いても、上水道から水供給システム1に水道水が流れ込むことはない。
【0064】
その状態で水供給を受けたい場合、ユーザはまず、川から汲んでくるなど、何らかの方法で入手した水(多くの場合、水道水よりも純度の低い水)をタンク1081に入れる。
【0065】
続いて、第3のパイプ106の出口端の下に容器を置く。その際、センサの付いたクリップを取り付ける必要はない。
【0066】
その後、手動弁113を手動で開く。それにより、第3のパイプ106の第3の弁107から見た上流側と下流側とがバイパス用パイプ112により連通される。なお、手動弁115は開かず、上水道から水供給システム1への流路が閉ざされた状態を維持する。
【0067】
その状態で、ユーザは手動式ポンプ1082のハンドルを押したり引いたりする。その操作により、タンク1081内の水の一部が手動式ポンプ1082に吸い込まれた後、所定以上の水圧で第1の流路に押し込まれる。その際、第2の弁105により、手動式ポンプ1082からタンク1081へと水が逆流することはない。
【0068】
上記のように第1の流路に押し込まれた水は、フィルタ群101に到達し、フィルタ群101において浄化された水が第1のバイパス流路により第3の弁107をバイパスしつつ第3の流路を通って容器へと流れ落ちる。なお、逆浸透膜の上流側まで達した水の一部は、第4の流路を通って下水道へと排出される。
【0069】
この場合も、容器内の水の水位に応じて水供給システム1から容器への水の供給が自動的に止まることはないが、容器への水供給が行われる間、ユーザは手動式ポンプ1082を操作するために常に水供給システム1のそばにいるため、容器から気付かないうちに水がオーバーフローする、という不都合は生じない。
【0070】
ユーザは容器に水が十分に溜まると、手動式ポンプ1082の操作を止め、手動弁113を閉じる。これにより、容器への水供給が止まるとともに、水供給システム1内の水圧も第4のパイプ110からの排水に伴い下がる。
【0071】
何らかの事情により上水道からの水道水の供給は止まっているが、電力供給は通常通り行われている、という場合、仮にユーザが水供給システム1の電源をONすると、電磁弁である第1の弁103および第3の弁107が開弁する。その状態において、上水道の供給がないので手動式ポンプ1082により水供給システム1内に水を送り込もうとしても、第1の流路が上水道に対し解放されているため、手動式ポンプ1082から送り込まれる多くの水は上水道側に逆流してしまい、水供給システム1内に十分な水圧がかからない可能性がある。
【0072】
従って、その場合、ユーザは水供給システム1の電源をOFFしたままで、上述した停電になり、上水道からの水道水の供給も止まっている状態における場合と同様の使い方により、水供給システム1を使用する。
【0073】
以上のように、水供給システム1によれば、ユーザは停電時においては簡単な弁の開閉、断水時には簡単な弁の開閉および手動式ポンプの操作によって、通常時と同様に浄化された水を手に入れることができる。
【0074】
その際、通常時に用いられるフィルタ群101がそのまま、非常時にも利用されるため、非常時に備えたメインテナンスを別途行う必要がなく、メインテナンス不足により非常時に使用ができない、といった不都合が生じることがない。
【0075】
なお、非常時用の手動式ポンプによる浄水器として、ハンディタイプのものが既に市販されている。これらの既存の浄水器は、フィルタのみでは川から汲んできたような不純物の多い水を飲料用にまで浄化することはできず、殺菌や脱臭のために化学薬品を用いるなど、別途消耗品を必要とする。そのため、それらの化学薬品がなければ用途の限られた水しか得られない、という問題がある。
【0076】
なお、それらのハンディタイプの浄水器は、フィルタの浸透性が比較的高いため、浄化された水の供給速度が速く、そのため満水時の自動停止機能が不要であり、ハンディ化が可能となっている。
【0077】
一方、本発明にかかる水供給システム1は、逆浸透膜に代表される浸透性の低い、浄化能力の高いフィルタを用いているため、供給される水は別途の処理なく飲料用として利用可能な程に浄化されている。ただし、水供給システム1からの水の供給速度は比較的遅く、従って満水時の自動停止機能を備えることで通常使用時における利便性を高めている。
【0078】
自動停止機能および高い濾過性能を持つフィルタ群101を導入すると必然的にサイズは大きくなり、据え置き型となるが、仮に非常時に水供給システム1自体を上水道から取り外して手動式ポンプシステム108に付け替えなければならないとすると、その作業は大がかりなものとなり、多くのユーザの使用には耐えられない。水供給システム1によれば、そのような大がかりな作業を行う必要はなく、ユーザは弁の開閉のみで非常時においても飲料用としても利用可能な程に浄化された水を手に入れることができる。
【0079】
(第2実施例)
以下、本発明の別の実施例を、図面を用いて説明する。なお、本説明においては、上述の実施例とは異なる点を中心に記述する。また、上述の実施例と同じ構成要素については同じ参照番号を付するものとする。
【0080】
図2は、本実施例にかかる水供給システム2の概略を示す図である。
【0081】
水供給システム2は、フィルタ群101と、第1のパイプ102と、第1の弁203と、第2のパイプ104と、第2の弁105と、第3のパイプ106と、第3の弁207と、手動式ポンプシステム108と、止水閉弁機構209と、第4のパイプ110と、連動閉弁機構211とを備えている。
【0082】
第3の弁207はいったん閉まるとその状態でロックがかかる手動弁である。第3の弁207はユーザにより手動で開閉される他、止水閉弁機構209が機能することによって自動的に閉じられ、ユーザの操作によりそのロックが解除されるまでの間、閉じた状態を維持する構造となっている。
【0083】
第1の弁203もまた、いったん閉まるとその状態でロックがかかる手動弁である。第1の弁203はユーザにより手動で開閉される他、連動閉弁機構211が機能することによって自動的に閉じられ、ユーザの操作によりそのロックが解除されるまでの間、閉じた状態を維持する構造となっている。
【0084】
図3は、止水閉弁機構209の概略を示す図である。
【0085】
止水閉弁機構209は、まず、水供給システム1から供給される浄化された水を受ける容器をその上に載置する受け皿2091を備えている。受け皿2091は梃子の原理における梃子棒の役割を果たすレバー2092の一方の端部に取り付けられている。
【0086】
レバー2092の他方の端部は軸2093に対し回動可能に軸着されている。
【0087】
レバー2092はバネ2094により上方に付勢されており、受け皿2091はレバー2092から受ける力により上方に付勢されている。
【0088】
レバー2092の下側には第3の流路を形成する第3のパイプ106を開閉する第3の弁207が配置されている。
【0089】
容器に水が入っていない状態においては、容器の重さが軽いため、受け皿2091は図3の上の図に示されるように上方に位置している。
【0090】
水供給システム1から容器に水が供給され、容器の重さが増すに伴い、受け皿2091は水の入った容器の重力により徐々に下方に下がる。その際、軸2093を支点、受け皿2091がレバー2092に取り付けられている位置を力点(もしくは作用点)、バネ2094がレバー2092に取り付けられている点を作用点(もしくは力点)とする梃子の原理に従い、受け皿2091が下方に押し下げる力と、バネ2094が上方に引き上げる力とが均衡する位置までレバー2092が軸2093の回りに回動する。
【0091】
容器内の水が満水近くになり、水の入った容器の重さが所定値以上となると、レバー2092は軸2093の回りの回動により十分に下に下がり、図3の下の図のようになる。その状態において、第3の弁207はレバー2092から受ける下方への力により閉じられ、第3の流路の水の流れが止められる。この場合、レバー2092が第3の弁207に接する位置が梃子の原理における作用点となる。
【0092】
連動閉弁機構211は、第3の弁207の閉弁に連動して電力を用いずに第1の弁203を閉じる機構である。
【0093】
連動閉弁機構211は、第3のパイプ106の第1の弁203から見て上流側の位置と、第1のパイプ102に設けられている第1の弁103とをブリッジするように配置されており、第3の弁207が上記の止水閉弁機構209により閉じられ、第3の弁207の上流側の第3のパイプ106内における水圧が高まると、その水圧に従い第1の弁203を閉じる構造を備えている。
【0094】
以上のような構成を有する水供給システム2においては、通常時においても電力は不要である。以下、水供給システム2の使用方法の一例を以下に示す。
【0095】
通常時、すなわち上水道から水道水が供給されている状態においては、ユーザはまず、空の容器を受け皿2091の上に載せた後、第3の弁207および第1の弁203を手動で開く。これにより、上水道から水供給システム2へと供給される水は、第1の流路を通ってフィルタ群101に到達し、フィルタ群101において浄化された水が第3の流路を通って容器へと流れ落ちる。なお、逆浸透膜の上流側まで達した水の一部は、第4の流路を通って下水道へと排出される。
【0096】
容器内の水が満水近くになると、上述した止水閉弁機構209および連動閉弁機構211が作動し、第3の弁207および第1の弁203が自動的に閉じられる。これにより、容器への水供給が止まるとともに、水供給システム2内の水圧が第4のパイプ110からの排水に伴い下がる。
【0097】
ユーザは水が十分に溜まった容器を受け皿2091の上から取り除き、その水を様々な用途に用いることができる。
【0098】
なお、ユーザが容器を受け皿2091から取り除くと、受け皿2091はバネ2094の付勢に従い上方に移動し、図3の上の図のような状態となるが、上述したようにいったん閉じられた第3の弁207および第1の弁203はロックされ、閉じられた状態を維持する。そのため、ユーザが容器を持ち上げても、第3のパイプ106の出口端から水が流れ出る、といった不都合は生じない。
【0099】
断水時においては、ユーザはまず、第1実施例における場合と同様に、川などから汲むなどの方法により入手した水をタンク1081に入れる。
【0100】
続いて、空の容器を受け皿2091の上に載せた後、第3の弁207を手動で開弁する。その際、第1の弁203は開弁せず、閉じたままとする。
【0101】
その状態で、ユーザが手動式ポンプ1082のハンドルを押したり引いたりして、タンク1081内の水を第1のパイプ102に押し込む。その操作に伴い、第1のパイプ102に押し込まれた水がフィルタ群101に到達し、その一部が浄化されて第3のパイプ106から容器内へと流れ落ち、その一部が第4のパイプ110から排水される。
【0102】
容器内の水が満水近くになると、止水閉弁機構209が作動し、第3の弁207が自動的に閉弁する。なお、第1の弁203は既に閉弁しているため、連動閉弁機構211が作動してもその状態は変わらない。
【0103】
ユーザは通常時と同様に、水が十分に溜まった容器を受け皿2091の上から取り除き、その水を様々な用途に用いることができる。
【0104】
このように、水供給システム2によれば、ユーザは通常時には第1の弁203と第3の弁207を、断水時には第3の弁207のみを開弁する、という簡単な操作で、いずれの状態においても水供給システム2から浄化された水の供給を受けることができる。
【0105】
(変形例)
上述した実施例は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形が可能である。以下にそれらの変形の例を示す。
【0106】
まず、水供給システム1および水供給システム2に関し上述もしくは図により示した構成要素を特定する数値、形状、素材、個数、位置などはあくまでも一例であって、特に問題がなければその他の数値、形状、素材、個数、位置などが用いられてもよい。
【0107】
例えば、水供給システム1において、止水閉弁機構109は水位を感知するセンサを備えるものとしたが、例えば水の重さを感知するセンサなど、他の方法により容器内の水の量を計測するセンサを備える構成が採用されてもよい。
【0108】
また、水供給システム2において、止水閉弁機構209は梃子の原理に従い受け皿2091の変位に応じて第3の弁207の閉弁を行う構造を備えるものとしたが、例えば梃子に代えて、もしくはそれに加えて、ギアやベルトを用いた構造により、受け皿2091の変位を第3の弁207に伝達し、第3の弁207の閉弁が行われる仕組みが採用されてもよい。
【0109】
また、水供給システム2において、止水閉弁機構209は受け皿2091にかかる重さにより第3の弁207を閉弁する構造を備えるものとしたが、容器に溜まった水の重さに代えて、容器に溜まった水の水面上に浮かぶ浮体の浮力により第3の弁207を閉弁する構造を備える止水閉弁機構が採用されてもよい。
【0110】
図4は、浮力により第3の弁207の閉弁を行う止水閉弁機構309の一例を示す概略図である。
【0111】
止水閉弁機構309は、容器内に溜まった水の水面上に浮く浮球3091と、浮球3091を覆うように配置される円筒3092と、浮球3091の上昇に伴い押し上げられるバー3093と、バー3093を覆うように配置される円筒9034とを備えている。
【0112】
バー3093の上側先端には、側方に突起したピン3095が設けられている。バー3093は、ピン3095が円筒9034の内側面に押し付けられるように、バネ(図示略)により付勢されている。
【0113】
円筒9034には内部と外部とを貫通する孔3096が設けられており、孔3096には外側から。「L」字形状に屈曲したレバー3097の屈曲部分が嵌り込んでいる。レバー3097はバネ(図示略)により、当該屈曲部分が孔3096に嵌り込むように、円筒9034の外側から内側へと付勢されている。屈曲部分と反対側の端部は、軸回りに回動可能に円筒9034に取り付けられている。
【0114】
上記の構成の止水閉弁機構309が容器内に置かれた状態で容器内の水の水位が上昇すると、図4の右の図に示されるように、浮球3091が浮力により上昇し、バー3093を下から上へと押し上げる。
【0115】
バー3093の上昇に伴い、ピン3095が円筒9034の内側面上を上昇し、孔3096に達すると、ピン3095が孔3096に嵌り込み、孔3096に嵌り込んでいたレバー3097の屈曲部分が、図4の右の図の矢印Aに示されるように、円筒9034の外側へと押し出される。
【0116】
このレバー3097の移動に伴い、レバー3097に隣接された第3の弁207(図示略)がレバー3097に押され閉じられる。以上が止水閉弁機構309の説明である。
【0117】
また、水供給システム1の連動閉弁機構111および水供給システム2の連動閉弁機構211は、第3の弁207の閉弁に伴い第1の弁203を閉弁する他の如何なる機構により代替されてもよい。また、特に問題がなければ、連動閉弁機構は設けられなくてもよい。
【0118】
また、水供給システム1においては第1の弁103および第3の弁107が共に電磁弁であるものとし、また水供給システム2においては第1の弁203および第3の弁207が共に手動弁であるものとしたが、これらの弁に如何なる弁を採用するかは様々に変更可能である。
【0119】
また、水供給システム1においては、停電時に自動的に閉弁する電磁弁である第1の弁103および第3の弁107をバイパスするバイパス用パイプ114およびバイパス用パイプ112を設け、それらに手動弁115および手動弁113を設ける構成が採用されている。これに代えて、電気の供給がない状態において手動で開閉可能な電磁弁が採用されてもよい。
【0120】
また、水供給システム2においては、第1の弁203および第3の弁207に、いったん閉弁するとその状態を維持するロック機構が採用さえているものとしたが、このロック機構は必ずしも必要ではない。例えば、弁にロック機構を設ける代わりに、レバー2092が所定位置より下に下がると自動的にその位置でロックされる仕組みが採用されてもよい。
【0121】
また、水供給システム1および水供給システム2は、粒子浄化装置1011と、臭気浄化装置1012と、逆浸透膜浄化装置1013とを有するフィルタ群101により水を浄化するものとしたが、フィルタ群101に代えて、水を浄化する他の様々なフィルタもしくはフィルタ群が本発明において採用可能である。
【0122】
また、水供給システム1および水供給システム2において、手動式ポンプシステム108は水供給システム1および水供給システム2の本体に常時、連結されているものとして説明したが、手動式ポンプシステム108を本体から取り外し可能としてもよい。
【0123】
また、手動式ポンプシステム108はタンク1081および手動式ポンプ1082を有するものとしたが、例えばタンク1081に代えて、バケツなどに汲まれた水を手動式ポンプ1082へ吸い込むためのホースを設けるなど、手動式ポンプ1082により第1の流路へ水を押し込むことを可能とする他の如何なる構成の手動式ポンプシステム108が採用されてもよい。
【0124】
また、第4のパイプ110は、特に問題がなければ設けられなくてもよい。
【0125】
また、上述した水供給システム1および水供給システム2の使用方法はあくまでも一例であって、他のいかなる方法によって使用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の水供給システムは、家庭や職場など、飲料用の水を必要とするあらゆる場所で利用可能である。従って、大量に製造・販売され、いわゆる製造業や小売業などのサービス業において利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1…水供給システム、2…水供給システム、101…フィルタ群、102…第1のパイプ、103…第1の弁、104…第2のパイプ、105…第2の弁、106…第3のパイプ、107…第3の弁、108…手動式ポンプシステム、109…止水閉弁機構、110…第4のパイプ、111…連動閉弁機構、112…バイパス用パイプ、113…手動弁、114…バイパス用パイプ、115…手動弁、203…第1の弁、207…第3の弁、209…止水閉弁機構、211…連動閉弁機構、309…止水閉弁機構、1011…粒子浄化装置、1012…臭気浄化装置、1013…逆浸透膜浄化装置、1081…タンク、1082…手動式ポンプ、2091…受け皿、2092…レバー、2093…軸、2094…バネ、3091…浮球、3092…円筒、3093…バー、3095…ピン、3096…孔、3097…レバー、9034…円筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を浄化するための1以上のフィルタと、
入口端が上水道に連結されかつ出口端が前記1以上のフィルタの上流側入口に連結されている第1の流路を形成する第1のパイプと、
前記第1のパイプの所定の位置に設けられ、前記第1の流路を開閉する第1の弁と、
前記第1のパイプにおける前記第1の弁から見て前記出口端側の所定の位置に出口端が連結される第2の流路を形成する第2のパイプと、
前記第2のパイプの所定の位置に設けられ、前記第2の流路を開閉する第2の弁と、
前記1以上のフィルタの下流側出口に入口端が連結される第3の流路を形成する第3のパイプと、
前記第3のパイプの所定の位置に設けられ、前記第3の流路を開閉する第3の弁と、
前記第2のパイプの入口端に連結され、外部の水を汲み上げて所定以上の圧力で第1の流路に流し込む手動式ポンプと、
前記第3のパイプの出口端から流れ出る水を受け入れる容器に溜まった水の量が所定の量以上になったとき前記第3の弁を閉じる止水閉弁機構と
を備える水供給システム。
【請求項2】
前記1以上のフィルタのうちの少なくとも最も下流側のフィルタの上流側から水を外部に排出する第4の流路を形成する第4のパイプを備える
請求項1に記載の水供給システム。
【請求項3】
前記第3の弁の閉弁に連動して前記第1の弁を閉じる連動閉弁機構を備える
請求項1または2に記載の水供給システム。
【請求項4】
前記第3の弁は電力の供給量が所定値以上の場合に開弁し、当該電力の供給量が前記所定値未満の場合に閉弁する電磁弁であり、
前記第3のパイプに対し入口端および出口端が連結され、前記第3の弁をバイパスするバイパス流路を形成するバイパス用パイプと、前記バイパス用パイプの所定の位置に設けられ、前記バイパス流路を開閉する手動弁とを備えるか、もしくは前記閉弁している第3の弁を手動で開く開弁機構を備える
請求項1乃至3のいずれかに記載の水供給システム。
【請求項5】
前記第1の弁は電力の供給量が所定値以上の場合に開弁し、当該電力の供給量が前記所定値未満の場合に閉弁する電磁弁であり、
前記第1のパイプに対し入口端および出口端が連結され、前記第1の弁をバイパスするバイパス流路を形成するバイパス用パイプと、前記第1のパイプに連結される前記バイパス用パイプの所定の位置に設けられ、前記第1の弁をバイパスする前記バイパス流路を開閉する手動弁とを備えるか、もしくは前記閉弁している第1の弁を手動で開く開弁機構を備える
請求項1乃至4のいずれかに記載の水供給システム。
【請求項6】
前記止水閉弁機構は、前記容器に溜まった水の量が前記所定の量以上になったときに、当該水の重さによって所定の部位が変位し当該変位に連動して、梃子を用いた構造、ギアを用いた構造、もしくはベルトを用いた構造のうちの少なくとも一つが作動し前記第3の弁を閉じる機構である
請求項1乃至5のいずれかに記載の水供給システム。
【請求項7】
前記止水閉弁機構は、前記容器に溜まった水の水位の上昇に伴って浮力により上昇する浮体の変位に連動して、梃子を用いた構造、ギアを用いた構造、もしくはベルトを用いた構造のうちの少なくとも一つが作動し前記第3の弁を閉じる機構である
請求項1乃至5のいずれかに記載の水供給システム。
【請求項8】
前記止水閉弁機構は、前記容器に溜まった水の水位もしくは重さを感知するセンサを有し、前記センサから出力される信号に応じて前記第3の弁を閉じる
請求項1乃至5のいずれかに記載の水供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−91910(P2013−91910A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232852(P2011−232852)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(502182765)株式会社アクアベンドジャパン (1)