説明

水供給・処理システム

【課題】純水を製造、供給して、使用後の排水における金属イオンの量を低減して金属石けんの発生を防ぎ、排水路等への悪影響を防ぐことに加え、排水を再利用すると共に純水発生に用いる熱を有効活用して、水供給に係る新水とエネルギの消費を共に抑えられる水供給・処理システムを提供する。
【解決手段】加熱器で温めた温水から蒸発器と凝縮器を用いて純水を発生させ、この純水を洗髪等に使用可能とすることから、排水中に含まれる金属イオンの量を極めて少なくすることができ、排水における金属石けんの発生を抑えて、金属石けんによる排水路への悪影響を防止できる。また、蒸発器で蒸発せずに残った温水や凝縮器での熱交換で温度上昇した冷却水等を加熱器で加熱される水として用いることから、加熱器で継続して大量の熱を投入せずに済み、エネルギ消費を節減できる上、新規に外部から補給する水量を抑えて水消費量の低減も図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純水の温水を製造して洗髪等の各種用途に使用可能に供給すると共に、生じた排水を浄化して純水製造等に再利用する水供給・処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
理美容におけるパーマネントウェーブ加工(以下、パーマと略称する。なお、いわゆるストレートパーマ等のウェーブ状にしない加工も含む総称として用いる。)では、パーマ液を用いて、髪を所望のくせが付きやすい状態にしたり、くせを付けた状態を固定したりしているが、パーマの後、パーマ液は髪から洗い流す必要があり、必要に応じて洗剤等を併用しつつ、水あるいは温水で洗髪が行われていた。
【0003】
洗髪用の水や温水には一般に水道水が使用されていたが、水道水のみではパーマ液に対する洗浄力が弱く、パーマ液の独特の臭気が長い間残ることから、洗浄力を高めて臭気の発生を抑えたりする工夫が従来から種々提案されており、そうした一例として、特開平9−28447号公報に記載されるものがある。
【0004】
この従来の洗髪装置は、水にオゾンガスを混合させて得られたオゾン水を給水して洗髪に用いることで、脱臭を図るものであった。
【特許文献1】特開平9−28447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパーマ液の洗浄は上記のように行われており、前記特許文献に示される装置においても、オゾンガスを混合させる水としては水道水が用いられていた。 このように、従来は洗浄水として主に水道水を用いていたことから、パーマ液やパーマ液除去用の洗剤等を水で洗い流した場合、排水中では、パーマ液に含まれる金属イオンの他、特に水道水中に含まれる金属イオンが、パーマ液や洗剤に含まれる石けん分(脂肪酸塩等)と反応して、水に溶けない金属石けんが生じることとなり、これが排水路に大量に集積して排水の流れを滞らせたり、排水中の色素成分や臭気成分を取込んだ状態で流出して周囲環境に悪影響を与えたりするという課題を有していた。
【0006】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、純水を製造、供給して、使用後の排水における金属イオンの量を低減して金属石けんの発生を防ぎ、排水路等への悪影響を防ぐことに加え、排水を再利用すると共に純水発生に用いる熱を有効活用して、水供給に係る新水とエネルギの消費を共に抑えられる水供給・処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水供給・処理システムは、供給された水を加熱して所定温度の温水とする加熱器と、当該加熱器で得られた温水の一部を供給され、当該温水を減圧空間で蒸発させる蒸発器と、当該蒸発器で蒸発した気相の水を冷却水と熱交換させて凝縮させ、金属イオンを含まない純水を得る凝縮器と、前記加熱器で加熱された水のうち前記蒸発器へ供給されない残り分の温水を、前記凝縮器で得られた純水と熱交換させ、温かい純水を得る純水用熱交換器と、前記温かい純水を使用して生じた排水から、汚染物質を除去して浄化された浄化水を得る浄水器と、前記冷却水の少なくとも一部となる水道水を供給する水道水供給源とを少なくとも備え、前記蒸発器で蒸発しきれずに液相で残った温水と、前記凝縮器で熱交換した後の温度上昇した冷却水と、前記純水用熱交換器で純水と熱交換した後の温水と、前記水道水供給源から供給される水道水とが、加熱対象の水として合流させて前記加熱器に供給され、前記浄水器を出た浄化水が、水道水供給源から供給される水道水と共に前記冷却水として凝縮器に導入されるものである。
【0008】
このように本発明によれば、加熱器で温めた温水から蒸発器と凝縮器を用いて純水を発生させ、この純水を使用可能に供給することにより、使用後の排水中に含まれる金属イオンの量を極めて少なくすることができ、排水における金属石けんの発生を抑えて、金属石けんによる排水路への悪影響を防止できる。また、加熱器で発生させた熱を純水の加熱にも利用し、且つ凝縮器での熱交換で温度上昇した冷却水や蒸発器で蒸発せずに残った温水等を加熱器で加熱される水として用いることにより、加熱器で発生させた熱を適切に回収でき、加熱器で継続して大量の熱を投入せずに済み、エネルギ消費を節減できる。さらに、排水を浄化して冷却水や純水製造用、純水加熱用に再利用でき、新規に外部から補給する水量を抑えて水消費量の低減も図れる。
【0009】
また、本発明に係る水供給・処理システムは必要に応じて、前記純水用熱交換器の後段側に配設され、所定のオゾン発生器で発生させたオゾンを純水に混入してオゾン水を製造するオゾン水製造器を備えるものである。
【0010】
このように本発明によれば、純水の流路にオゾン水製造器を配設し、純水にオゾンを混入してオゾン水となし、これを洗髪等の使用に供することにより、特にパーマ時の洗髪の場合に、パーマ液を適切に中和してパーマ後における髪の状態を良好にできる他、排水も中性に近い状態にでき、浄水器にかかる負担を軽減して浄水能力の維持が図れ、より効率よく浄水処理が行える。
【0011】
また、本発明に係る水供給・処理システムは必要に応じて、前記凝縮器における冷却水流路の前段側に、冷却水を他の冷却用媒体と熱交換させて冷却水の凝縮器入口温度を低下させる他の熱交換器が配設されるものである。
【0012】
このように本発明によれば、凝縮器の前段に冷却水と所定の冷却用媒体とを熱交換させる熱交換器を配設し、冷却水の凝縮器入口温度を低下させることにより、凝縮させる気相の水と冷却水との温度差を大きくして凝縮器での気相の水の凝縮を効率よく進行させられ、凝縮器における純水の収量を増加させたり、純水収量を変えずに凝縮器を小型化したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。本実施形態では、パーマ後におけるパーマ液の洗浄用に水又は温水を供給し且つ洗浄で生じた排水を処理するシステムの例について説明する。図1は本実施形態に係る水供給・処理システムのブロック構成図である。
【0014】
前記図1において本実施形態に係る水供給・処理システム1は、供給された水を加熱して所定温度の温水とする加熱器10と、この加熱器10で得られた温水の一部を供給され、この温水を減圧空間で蒸発させる蒸発器20と、この蒸発器20で蒸発した気相の水を冷却水と熱交換させて凝縮させ、純水を得る凝縮器30と、前記加熱器10で加熱された水のうち前記蒸発器20へ供給されない残り分の温水を、前記凝縮器30で得られた純水と熱交換させ、純水を加熱する純水用熱交換器40と、この純水用熱交換器で加熱され温度上昇した純水にオゾンを導入してオゾン水とするオゾン水製造器50と、前記オゾン水が所定の洗浄部100で洗髪に用いられた後の排水から、汚染物質を除去して浄化された水を得る浄水器60と、浄水器60の後段に配設される逆浸透膜式浄水器70と、前記冷却水の少なくとも一部となる水道水を供給する水道水供給源80とを備える構成である。
【0015】
前記加熱器10は、所定の燃料の燃焼により生じた熱で装置内部に供給された水を加熱して温水を得る公知のボイラであり、加熱対象の水を後段側の蒸発器20で蒸発可能な所定温度まで上昇させる。
【0016】
前記蒸発器20は、前段側で所定温度まで加熱された水をその飽和圧力以下に減圧した容器内に導入することで効率よく蒸発させて水蒸気を得る公知の装置であり、加熱器10で加熱された温水の一部を直接供給され、この温水を蒸発させて、不純物をほとんど含まない気相の水を得るものとなっている。この蒸発器20は、多段フラッシュ式やスプレーフラッシュ式など、いずれのフラッシュ蒸発機構とすることもできる。この蒸発器20で蒸発しきれずに残った液相の水は、蒸発器20外に排出され、加熱器10に還流される仕組みである。
【0017】
前記凝縮器30は、内部の伝熱部を介して隔てられた流路の一方に蒸発器20で蒸発した気相の水を流通させ、他方の流路に冷却水を流通させ、伝熱部を介して気相の水と冷却水とを熱交換させて気相の水を凝縮させるものであり、熱交換器としての構造自体は公知の構成である。この凝縮器30で気相の水を凝縮させることで、不純物をほとんど含まない純水が得られることとなる。
【0018】
この凝縮器30における気相側流路の後段側には、凝縮器30で得られた純水を所定量貯留する純水タンク31、及び、この純水タンク31から出た純水を所定の送給圧力で純水用熱交換器40へ送出すポンプ32がそれぞれ配設される構成である。純水タンク31は、1回の洗髪に用いられる水量を少なくとも貯留可能とされ、凝縮器30で凝縮された純水を貯留して、前記水量を連続して後段側に流せる構成である。一方、凝縮器30における冷却水側流路は、加熱器10の入口側に接続されており、気相の水を凝縮させて温度上昇した冷却水は加熱器10に流入する仕組みである。
【0019】
前記純水用熱交換器40は、公知の熱交換器における一方の流路にポンプ32から送給された純水、他方の流路に加熱器10で得られた温水のうち前記蒸発器20へ供給されない残り分の温水をそれぞれ流通させて熱交換を行わせるものであり、加熱器10からの温水で純水を加熱して、洗浄部100で洗髪に用いるのに適した温度に調整する。なお、前記他方の流路は、加熱器10の入口側に接続されており、純水との熱交換で温度低下した温水は再び加熱器10に流入する仕組みである。
【0020】
この純水用熱交換器40における純水温度の調整は、温水側流路を変化させて純水へ熱を伝達する伝熱面に対し高温の温水が接触する面積を変えることで、伝熱量を調整して純水の適切な温度状態を得る仕組みである。純水を加熱しない場合は、温水の流路を切換えて温水を純水用熱交換器40内部に通さず、そのまま加熱器10に還流させることとなる。
【0021】
前記オゾン水製造器50は、所定のオゾン発生器51で発生させたオゾンを、純水用熱交換器40を通った純水に混入させてオゾン水とするものである。純水は、オゾン水製造器50を経由してオゾン水となった状態でカランやシャワーヘッド等を備えた洗浄部100に達し、洗髪等の使用に供されることとなる。オゾン水を使用することで、その殺菌作用により雑菌の付着、繁殖を抑えられると共に、パーマにおける洗髪の場合、オゾンでパーマ液を適切に中和してパーマ後における髪の状態を良好にでき、また排水も中性に近い状態にでき、浄水器60における浄化処理の効率化が図れる。
【0022】
前記オゾン発生器51としては、公知の無声放電法、沿面放電法、又は紫外線照射法などを用いたもののいずれを使用してもかまわない。このオゾン発生器51で発生させたオゾンの一部を他の用途、例えばパーマを行う際にオゾンを髪に接触させてパーマの効果を促進する、いわゆるオゾンパーマに用いたりすることもできる。
【0023】
前記浄水器60は、オゾン水製造器50を出たオゾン水が洗浄部100で洗髪等使用に供された後の排水を通され、汚染物質を内部のフィルタで除去し、浄化された水を得るものである。洗浄部100と浄水器60の間には貯水タンク61が配設され、洗浄部100から流出した排水は一旦貯水タンク61に貯留され、排水中の残留オゾンによるパーマ液等成分の分解、中和を進行させると共に、排水の浄水器60に流入する流量が調節される仕組みである。
【0024】
前記逆浸透膜式浄水器70は、逆浸透膜を用いた公知の浄水装置であり、浄水器60の後段側に配設され、浄水器60を出た浄化水を通されて、水中の汚染物質の量をさらに減らして水道水と同等の水質とするものである。この逆浸透膜式浄水器70を出た浄化水は、水道水供給源80から供給された水道水と合流し、共に冷却水として凝縮器30に送られることとなる。
【0025】
前記水道水供給源80は、加熱器10に供給される水の一部又は全部となる水道水、並びに、前記冷却水の一部又は全部となる水道水をそれぞれ供給するものである。システム起動直後は、システム内各機器を通った水が加熱器10入口側や凝縮器30入口側に還流していないため、加熱器10に導入される水や凝縮器30に導入される冷却水としては、全て水道水が用いられる。システムが起動して一定期間が経過すると、システム内各機器を通った水が加熱器10入口側や凝縮器30入口側に還流してくるため、水道水の導入量を低下させられる。
【0026】
次に、本実施の形態に係る水供給・処理システムの動作について説明する。まず、システムが起動した直後は、水道水供給源80から供給された水道水のみが、加熱器10に供給されると共に、凝縮器30に冷却水として導入される。
【0027】
加熱器10では燃料を燃焼させ、発生した熱で供給された水を加熱し、温水を得ることとなる。温水は、加熱器10を出て、一部は蒸発器20へ向い、残りは純水用熱交換器40へ向う。
【0028】
温水が蒸発器20に達すると、減圧された蒸発器20内で一部の温水が蒸発し、気相の水となる。気相の水は、ミスト等を適切に分離された上で、蒸発器20を出て凝縮器30の一方の流路に導入される。一方、蒸発せず液相のまま残った温水は、蒸発器20外に排出され、加熱器10入口側に向うこととなる。
【0029】
凝縮器30では、気相の水が導入される一方の流路に対し、伝熱部を隔てた他方の流路に温度の低い冷却水が導入されていることで、気相の水が冷却水と熱交換して凝縮し、不純物をほとんど含まない純水となる。この純水は、凝縮器30から排出されて後段側の純水タンク31に一時的に貯留された後、ポンプ32を経由して純水用熱交換器40に送られる。また、凝縮器30で凝縮する純水側からの熱を受け取り昇温した冷却水は、凝縮器30から排出されて加熱器10入口側へ向う。
【0030】
純水用熱交換器40では、後段側に設けられた洗浄部100で求められる純水温度に対応させて伝熱量を調整しつつ、加熱器10を出た直後の高温の温水と純水とを熱交換させ、純水を昇温させることとなる。温められた純水は温純水となって純水用熱交換器40を出て、オゾン水製造器50に達する。なお、純水用熱交換器40において純水との熱交換で純水を昇温させた結果、温度低下した温水は、純水用熱交換器40から排出され、加熱器10入口側に向うこととなる。
【0031】
温純水は、オゾン水製造器50においてオゾンを混入されてオゾン水となった後、洗浄部100に送給されて洗髪等に用いられる。洗髪使用後の排水には、水分の他、パーマ液、パーマ液を除去するためのシャンプー、髪の調子を整えるためのコンディショナー、髪染色用のカラー剤等の成分が含まれる。純水には金属イオンが含まれていないことから、使用後の排水における金属石けんの発生量を極めて少なくすることができる。
【0032】
洗浄部100での使用を経て洗浄部100から排出された排水は、一時的に貯水タンク61に貯留された後、浄水器60に導入される。浄水器60では、排水からパーマ液成分等の汚染物質が取除かれ、浄化水が得られる。この浄水器60においては、排水中に含まれる金属石けんの量が少ないことから、フィルタの詰り等が発生しにくく、浄化能力を確実に維持して効率よく浄水処理が行える。
【0033】
浄化水は浄水器60を出てさらに逆浸透膜式浄水器70に達し、浄水器60で取除かれなかった微細な汚染物質を除去されて、水道水と同等の清浄度となる。そして、逆浸透膜式浄水器70を出た浄化水は、凝縮器30より上流側の冷却水流路で水道水と合流し、冷却水として凝縮器30に導入される。こうして浄化水が冷却水の一部として還流されることで、冷却水に用いる水道水の量を低減できる。
【0034】
また、加熱器10の入口側では、蒸発器20を出た温水、凝縮器30を出た温かい冷却水、及び純水用熱交換器40を出た温水が合流し、加熱器10に供給される水となることから、これら温水の還流した分、加熱器10に供給する水道水の量を低減できる。
【0035】
この後、加熱器10入口側に各装置から出た温水を還流させ、且つ凝縮器30入口側に使用済の浄化水を還流させながら、前記同様に純水の生成と熱交換、排水の浄化処理等の各過程が繰返されることとなる。動作の継続に伴い、加熱器10では供給される水における還流分の温水の割合が増え、供給される水の温度が高くなることで、加熱器10で水を所定温度まで上昇させるにあたり投入する熱量を低減でき、加熱器10で燃焼させる燃料の消費を抑えることができる。
【0036】
このように、本実施の形態に係る水供給・処理システムにおいては、加熱器10で温めた温水から蒸発器20と凝縮器30を用いて純水を発生させ、この純水を洗髪等に使用可能とすることから、排水中に含まれる金属イオンの量を極めて少なくすることができ、排水における金属石けんの発生を抑えて、金属石けんによる排水流路への悪影響を防止できる。また、加熱器10で発生させた熱を純水の加熱にも利用し、且つ凝縮器30での熱交換で温度上昇した冷却水や蒸発器20で蒸発せずに残った温水等を加熱器10で加熱される水として用いることから、加熱器10で発生させた熱を適切に回収でき、加熱器10で継続して大量の熱を投入せずに済み、エネルギ消費を節減できる。また、排水を浄化して冷却水や純水製造用、純水加熱用に再利用でき、新規に外部から補給する水量を抑えて水消費量の低減も図れる。
【0037】
なお、前記実施の形態に係る水供給・処理システムにおいては、純水用熱交換器40を通って温められた純水を、オゾン混入の上で洗浄部100に供給して洗髪等への使用に供する構成としているが、この他、純水をクリーニング業における洗浄水として使用したり、洗米用の水として使用したりするなど、様々な用途に使用する構成としてかまわない。
【0038】
また、前記実施の形態に係る水供給・処理システムにおいて、システム内で最も低温の水である水道水供給源80からの水道水又はこれと浄化水の混合水を、冷却水としてそのまま凝縮器30に導入する構成としているが、これに限らず、凝縮器の前段側の冷却水通路に、あらかじめ冷却水と所定の冷却用媒体とを熱交換させて冷却水温度を低下させる熱交換器、例えば、冷却塔やチラー等を設置し、冷却水をこうした熱交換器に最初に通して熱交換により温度を下げた後、凝縮器30に流入させる構成とすることもでき、凝縮器30入口における冷却水温度を低下させて凝縮させる気相の水との温度差を大きくすることから、気相の水の凝縮を効率よく進行させられ、凝縮器における純水の収量を増加させたり、純水収量を変えずに凝縮器を小型化したりすることができる。
【0039】
また、前記実施の形態に係る水供給・処理システムにおいては、蒸発器20に向う分と純水用熱交換器40に向う分との合計量の水を加熱器10で加熱する構成としているが、これに限らず、純水を低水温のまま用いたり、洗浄部で水を使用しない状況においては、加熱器で蒸発器に向ける分の水量のみ加熱し、蒸発器と凝縮器の動作で得られた純水を純水タンクに貯留するのみとし、純水用熱交換器に水を流入させない構成とすることもでき、加熱器における水加熱量を抑えられることでエネルギ消費をさらに低減できる。この他、純水用熱交換器に加熱した水を流入させない一方で、加熱器で純水用熱交換器へ進む分の水を加熱するために割当てられていた熱の一部又は全部を、蒸発器に向う分の水の加熱に振向け、加熱されて蒸発器に向う温水の温度をより高くする構成とすることもでき、蒸発器での蒸発に伴う気相の水の発生量を多くして、最終的に凝縮器で得られる凝縮後の純水の収量を多くすることができ、短時間で効率よく純水を製造できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る水供給・処理システムのブロック構成図である。
【符号の説明】
【0041】
1 水供給・処理システム
10 加熱器
20 蒸発器
30 凝縮器
31 純水タンク
32 ポンプ
40 純水用熱交換器
50 オゾン水製造器
51 オゾン発生器
60 浄水器
61 貯水タンク
70 逆浸透膜式浄水器
80 水道水供給源
100 洗浄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水を加熱して所定温度の温水とする加熱器と、
当該加熱器で得られた温水の一部を供給され、当該温水を減圧空間で蒸発させる蒸発器と、
当該蒸発器で蒸発した気相の水を冷却水と熱交換させて凝縮させ、金属イオンを含まない純水を得る凝縮器と、
前記加熱器で加熱された水のうち前記蒸発器へ供給されない残り分の温水を、前記凝縮器で得られた純水と熱交換させ、温かい純水を得る純水用熱交換器と、
前記温かい純水を使用して生じた排水から、汚染物質を除去して浄化された浄化水を得る浄水器と、
前記冷却水の少なくとも一部となる水道水を供給する水道水供給源とを少なくとも備え、
前記蒸発器で蒸発しきれずに液相で残った温水と、前記凝縮器で熱交換した後の温度上昇した冷却水と、前記純水用熱交換器で純水と熱交換した後の温水と、前記水道水供給源から供給される水道水とが、加熱対象の水として合流させて前記加熱器に供給され、
前記浄水器を出た浄化水が、水道水供給源から供給される水道水と共に前記冷却水として凝縮器に導入されることを
特徴とする水供給・処理システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載の水供給・処理システムにおいて、
前記純水用熱交換器の後段側に配設され、所定のオゾン発生器で発生させたオゾンを純水に混入してオゾン水を製造するオゾン水製造器を備えることを
特徴とする水供給・処理システム。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の水供給・処理システムにおいて、
前記凝縮器における冷却水流路の前段側に、冷却水を他の冷却用媒体と熱交換させて冷却水の凝縮器入口温度を低下させる他の熱交換器が配設されることを
特徴とする水供給・処理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−29750(P2010−29750A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192264(P2008−192264)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(596058591)
【Fターム(参考)】