説明

水冷式IC試験装置

【課題】テストヘッドの冷水システムに異常が発生した場合に安全にテストヘッド側の冷却システムを停止できる水冷式IC試験装置を提供する。
【解決手段】水冷式IC試験装置において、メインフレーム4に設けられた冷却水用の給水用配管41、排水用配管42、給水用配管41と排水用配管42とを連通するバイパス配管43、給水用配管41に設けられた電磁弁44を設け、テストヘッド5側の冷水システムに異常が発生時、電磁弁44を閉にする冷却システム異常検出手段45を有する構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却方式に水冷を使用するIC試験装置の冷却装置の構成に関するものである。
更に詳述すれば、本発明は、テストヘッド側の水冷システムに異常が発生した場合に、冷却水の供給装置に関係なく、安全にテストヘッド側の水冷システムを停止することが出来る水冷式IC試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水冷式IC試験装置に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−0094706号公報
【0004】
図3は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
従来の水冷式IC試験装置の冷却装置は、システム全体の電源供給と異常管理機能を有するメインフレーム1と、内部カード冷却用の水冷配管21を有するテストヘッド2と、テストヘッド2に循環水を供給するチラーユニット3から構成される。
【0005】
メインフレーム1は、電源ケーブル11,12を経由してそれぞれチラーユニット3、テストヘッド2に電力を供給する。
テストヘッド2には水冷配管21が設けられている。
チラーユニット3は、チラー31と異常検出手段32とを有している。
チラー31は熱交換器311とポンプ312と温調手段313とを有する。
チラーユニット3とテストヘッド2は、循環水配管33で連結されており、チラーユニット3は熱交換器311で一定温度に保たれた循環水をテストヘッド2へ供給・循環させる。
【0006】
テストヘッド2内部の発熱は、水冷配管21で循環水に移動し、熱交換器311で工場冷却水配管34によって工場から供給される工場冷却水と熱交換され、工場冷却水配管34から排熱される。
熱交換器311で熱交換された循環水は、再度、テストヘッド2に供給され、循環水配管33内を循環する。
【0007】
チラーユニット3の異常検出手段32は、循環水配管33とテストヘッド内配管21と熱交換器311との異常を検出する。
異常検出手段32が異常を検出した場合には、アラームケーブル35を介して、メインフレーム1に異常報告する。
チラーユニット3からの異常報告を受けたメインフレーム1は、電源ケーブル11,12の電源供給を停止し、テストヘッド2、チラーユニット3の動作を停止させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような装置においては、以下の間題点がある。
チラーユニット3内部に、テストヘッド2側の配管異常検出手段32を有するため、メインフレーム1に対し、異常検出の報告を行う必要がある。
市販のチラーにおいては、このインターフェースについて統一が取れていないため、水冷式IC試験装置で使用するチラーユニット3はシステムごとの専用設計となっている。
このため、市販のチラーを使用することが出来ず、システムごとにその都度チラーユニット3の開発を行う必要があり、コストダウンの障害となっている。
【0009】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、テストヘッド側の水冷システムに異常が発生した場合に、工場側冷却水の供給装置に関係なく、安全にテストヘッド側の水冷システムを停止することが出来る水冷式IC試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の水冷式IC試験装置においては、
システム全体に電源を供給するメインフレームから電源と冷却水とが供給されるテストヘッドを具備する水冷式IC試験装置において、前記メインフレームに設けられた冷却水の供給用配管と排出用配管と、前記メインフレームに設けられ前記供給用配管と排出用配管とを連通するバイパス配管と前記メインフレームの前記バイパス配管より下流側の前記供給用配管に設けられた電磁弁と、前記メインフレームの前記電磁弁より下流側の前記供給用配管と排出用配管とに設けられ前記テストヘッド側の水冷システムに異常が発生した場合に前記電磁弁に前記電磁弁を閉にする信号を送る水冷システム異常検出手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2の水冷式IC試験装置においては、請求項1記載の水冷式IC試験装置において、
前記水冷システム異常検出手段は、前記供給用配管と排出用配管の少なくともいずれか一方に設けられた圧力センサと流量センサと、前記供給用配管と排出用配管とに設けられた温度センサとを具備したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3の水冷式IC試験装置においては、請求項1又は請求項2記載の水冷式IC試験装置において、
前記供給用配管と排出用配管とに一方が接続され他方が工場側冷却水の配管に接続された熱交換装置を具備したことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4の水冷式IC試験装置においては、請求項3記載の水冷式IC試験装置において、
前記熱交換装置はチラーが使用されたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5の水冷式IC試験装置においては、請求項1記載の水冷式IC試験装置において、
前記供給用配管に一端が接続されたヒーター装置と、このヒーター装置の他端に一端が接続され他端が工場側冷却水の配管に接続された水質調整装置とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
テストヘッド側の水冷システムに異常が発生した場合に、冷却水の供給装置に関係なく、安全にテストヘッド側の水冷システムを停止することができる水冷式IC試験装置が得られる。
【0016】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
水冷システム異常検出手段は、供給用配管と排出用配管の少なくともいずれか一方に設けられた圧力センサと流量センサと、供給用配管と排出用配管とに設けられた温度センサとが設けられたので、確実に、テストヘッド側の水冷システムの異常を検出できる水冷式IC試験装置が得られる。
【0017】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。
供給用配管と排出用配管とに一方が接続され他方が工場側冷却水の配管に接続された熱交換装置が設けられたので、テストヘッド側の水冷システムを閉鎖された循環水の循環システムにすることが出来るので、循環水が循環するので、水質管理が容易となり、耐久性が向上された水冷式IC試験装置が得られる。
【0018】
本発明の請求項4によれば、次のような効果がある。
熱交換装置はチラーが使用されたので、テストヘッド側の水冷システムに適する水温と圧力が容易に得られ、チラーは市場性があり入手容易で、安価であるので、安価な水冷式IC試験装置が得られる。
【0019】
本発明の請求項5によれば、次のような効果がある。
供給用配管に一端が接続されたヒーター装置と、ヒーター装置の他端に一端が接続され他端が工場側冷却水の配管に接続された水質調整装置とが設けられたので、テストヘッド側の水冷システムに適する水質と水温とが容易に得られる水冷式IC試験装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図である。
図において、図3と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図3との相違部分のみ説明する。
【0021】
図1において、本発明の水冷式IC試験装置の冷却装置は、システム全体の電源供給と異常管理機能を有するメインフレーム4と、内部カード冷却用の水冷配管51を有するテストヘッド5と、テストヘッド5に循環水を供給するチラー6とから構成される。
【0022】
冷却水の供給用配管41と排出用配管42とが、メインフレーム4に設けられている。
バイパス配管43は、メインフレーム4に設けられ、供給用配管41と排出用配管42とを連通する。
電磁弁44は、メインフレーム4のバイパス配管43より下流側の供給用配管41に設けられている。
【0023】
水冷システム異常検出手段45は、メインフレーム1の電磁弁44より下流側の供給用配管41と排出用配管42とに設けられ、テストヘッド5側の水冷システムに異常が発生した場合に、電磁弁44に対して、電磁弁44を閉にする信号を送る。
【0024】
水冷システム異常検出手段45は、供給用配管41に設けられた圧力センサ451と、
供給用配管41と排出用配管42の少なくともいずれか一方に設けられた流量センサ452と、供給用配管41と排出用配管42とに設けられた温度センサ453,454を有する。
この場合は、供給用配管41に圧力センサ451と温度センサ453とが取付けられ、排出用配管42に流量センサ452と温度センサ454とが取付けられている。
【0025】
メインフレーム4とテストヘッド5は、電源ケーブル46と、供給用配管41と排出用配管42とに接続された循環水配管47とで連結され、メインフレーム4はテストヘッド5に電源ケーブル46を介して電力を供給し、チラー6から供給された循環水を循環水配管47を介してテストヘッド5に中継する。
【0026】
チラー6は電源ケーブル61により工場から直接供給され電力で動作し、メインフレーム4に循環水配管62を介して循環水の供給・循環を行う。
チラー6は、熱交換器601とポンプ602と温調手段603とを有する。
循環水配管62によりチラー6に戻った循環水は、熱交換器601で、工場冷却水配管63により供給される工場冷却水に熱交換され排熱する。
【0027】
テストヘッド5内部にて水冷システム異常が発生した場合は、メインフレーム4内部の各センサ451,452,453,454により検出され、電磁弁44を閉じ、テストヘッド5への循環水供給を停止させ、電源ケーブル46による電力供給も停止させる。
チラー6から供給される循環水は、バイパス配管43を経由してチラー6へもどるために、チラー6は正常動作を維持する。
【0028】
チラー6側に異常が発生した場合は、通常、チラー6単体が有する異常検出手段によりチラー6側でチラー6自身の動作をコントロールする。
結果として、メインフレーム4側に供給する循環水の出力異常となり、温度・圧力・流量のいずれかの異常となるため、メインフレーム4内部のセンサ451,452,453,454で間接的に異常検出し、同様の動作を行う。
【0029】
チラー6自身に異常検出機能を有しない場合でも、水冷システムに影響を及ぼす温度・圧力・流量が供給された場合は、メインフレーム4の内部センサ451,452,453,454で検出し、メインフレーム4側で保護動作が可能である。
【0030】
この結果、
テストヘッド5側の水冷システムに異常が発生した場合に、冷却水の供給装置に関係なく、安全にテストヘッド5側の水冷システムを停止することができる水冷式IC試験装置が得られる。
【0031】
水冷システム異常検出手段45は、供給用配管41に設けられた圧力センサ451と、供給用配管41と排出用配管42の少なくともいずれか一方に設けられた流量センサ452と、供給用配管41と排出用配管42とに設けられた温度センサ453,454とが設けられたので、確実に、テストヘッド5側の水冷システムの異常を検出できる水冷式IC試験装置が得られる。
【0032】
供給用配管41と排出用配管42とに一方が接続され他方が工場側冷却水配管63に接続された熱交換装置が設けられたので、テストヘッド5側の水冷システムを閉鎖された循環水の循環システムにすることが出来るので、循環水が循環するので、水質管理が容易となり、耐久性が向上された水冷式IC試験装置が得られる。
【0033】
熱交換装置はチラー6が使用されたので、テストヘッド5側の水冷システムに適する水温と圧力が容易に得られ、チラー6は市場性があり入手容易で、安価であるので、安価な水冷式IC試験装置が得られる。
【0034】
図2は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図2において、ヒーター装置71は、供給用配管41に一端が接続されている。
水質調整装置72は、ヒーター装置71の他端に一端が接続され他端が工場側冷却水の配管4に接続されている。
【0035】
この結果、供給用配管41に一端が接続されたヒーター装置71と、ヒーター装置71の他端に一端が接続され他端が工場側冷却水の配管64に接続された水質調整装置72とが設けられたので、テストヘッド5側の水冷システムに適する水質と水温とが容易に得られる水冷式IC試験装置が得られる。
【0036】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図3】従来より一般に使用されている従来例の構成説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 メインフレーム
11 電源ケーブル
12 電源ケーブル
2 テストヘッド
21 水冷配管
3 チラーユニット
31 チラー
311 熱交換器
312 ポンプ
313 温調手段
32 異常検出手段
33 循環水配管
34 工場冷却水配管
35 アラームケーブル
4 メインフレーム
41 供給用配管
42 排出用配管
43 バイパス配管
44 電磁弁
45 水冷システム異常検出手段
451 圧力センサ
452 流量センサ
453 温度センサ
454 温度センサ
46 電源ケーブル
47 循環水配管
5 テストヘッド
51 水冷配管
6 チラー
601 熱交換器
602 ポンプ
603 温調手段
61 電源ケーブル
62 循環水配管
63 工場冷却水配管
71 ヒーター装置
72 水質調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム全体に電源を供給をするメインフレームから電源と冷却水とが供給されるテストヘッドを具備する水冷式IC試験装置において、
前記メインフレームに設けられた冷却水の供給用配管と排出用配管と、
前記メインフレームに設けられ前記供給用配管と排出用配管とを連通するバイパス配管と
前記メインフレームの前記バイパス配管より下流側の前記供給用配管に設けられた電磁弁と、
前記メインフレームの前記電磁弁より下流側の前記供給用配管と排出用配管とに設けられ前記テストヘッド側の水冷システムに異常が発生した場合に前記電磁弁に前記電磁弁を閉にする信号を送る水冷システム異常検出手段と
を具備したことを特徴とする水冷式IC試験装置。
【請求項2】
前記水冷システム異常検出手段は、前記供給用配管に設けられた圧力センサと、
前記供給用配管と排出用配管の少なくともいずれか一方に設けられた流量センサと、
前記供給用配管と排出用配管とに設けられた温度センサと
を具備したことを特徴とする請求項1記載の水冷式IC試験装置。
【請求項3】
前記供給用配管と排出用配管とに一方が接続され他方が工場側冷却水の配管に接続された熱交換装置
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水冷式IC試験装置。
【請求項4】
前記熱交換装置はチラーが使用されたこと
を特徴とする請求項3記載の水冷式IC試験装置。
【請求項5】
前記供給用配管に一端が接続されたヒーター装置と、
このヒーター装置の他端に一端が接続され他端が工場側冷却水の配管に接続された水質調整装置と
を具備したことを特徴とする請求項1記載の水冷式IC試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−25150(P2009−25150A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188461(P2007−188461)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】