水処理器における磁気装置

【目的】水を効率的に活性化する水処理器に設置する磁気装置を提供する。
【構成】原水供給口（１０）から供給された原水を、カートリッジ（２）内の水処理材層（Ｓ）を通過させて水処理を行なったのち、処理水を流出管（４１）から取り出すとともに、水供給路中に設けた磁気装置（６０）で水を活性化するようにした水処理器において、前記磁気装置を、底面に複数の通水孔（６２）を有し、前記水供給路に嵌合するケース本体（６１）および複数の通水孔（６５）を有するキャップ（６４）と、からなる非磁性材料製ケース内に、各３個以上の球状永久磁石（６６）と板状永久磁石（６７）とを交互に配設した構成とした。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば、水道の蛇口に直結される水処理器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、前記水処理器として、種々の形式のものが提案されているが、近年、磁界内に水を通過させると、水が活性化し、この水は人体に良いとされ、磁気装置を設置した水処理器が提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気装置においては、少なくとも一対の永久磁石を対向させ、この隙間内に水を通過させるものであり、隙間が小さい程、磁界の強さは大きい。しかも、これら永久磁石はスペーサを介して配設する必要がある。したがって、水処理器の小さい流路中に多くの永久磁石を配設することはできず、かつ、多くの永久磁石を配設すると、それだけ水の抵抗が大で充分な流量を保つことができない。一方、永久磁石を一対として、その間隙を大とすれば、水の流量は確保されるものの、磁界の強さが十分でないという課題を有する。
【０００４】したがって、本発明は多くの永久磁石を流路中に配設するものの、流量が多く、しかも、十分水に活性を付与することのできる水処理器における磁気装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、水処理器における磁気装置を、原水供給口から供給された原水を、カートリッジ内の水処理材層を通過させて水処理を行なったのち、処理水を流出管から取り出すとともに、水供給路中に設けた磁気装置で水を活性化するようにした水処理器において、前記磁気装置を、底面に複数の通水孔を有し、前記水供給路に嵌合するケース本体および複数の通水孔を有するキャップとからなる非磁性材料製ケース内に、各３個以上の球状永久磁石と板状永久磁石とを交互に配設した構成としたものである。
【０００６】
【実施例】つぎに、本発明にかかる水処理器Ａの実施例を図にしたがって説明する。本発明にかかる水処理器は、大略、基台１、カートリッジ２０、カバー３０、キャップ３５、前処理フィルタ４５、磁気装置６０とからなる。
【０００７】前記基台１は、合成樹脂あるいは金属からなり、図２，図３に示すように、その上面外周に、内周面に環状のパッキング装着溝３を備えた円筒状側壁２が突設している。また、前記側壁２の上面内側から上方に突出し、さらに外方に突出した鍔部５を有する係止片４が、図に示すように等間隔で４箇所設けてある。
【０００８】また、前記基台１には、一端が開放された断面円形の下記する前処理用フィルタ装入部６が設けてあり、かつ、この装入部６の底部には環状突出部７が設けてある。そして、前記環状突出部７の内部は前記基台１の上面に開口する原水供給路８を形成するとともに、基台１の上面側には下記する水活性用磁気装置６０の装着部９となっている。なお、１０は基台１の側壁に、前記前処理用フィルタ装入部６に達する原水供給口である。
【０００９】前記カートリッジ２０は合成樹脂製で、有底のケースと導水管２１を備えた蓋体とからなり、導水管２５の下端開口には図示しないフィルタが装着されている。また、蓋体の肩部にはフィルタを有する開口部が設けられており、ケースの前記導水管２１を除く部分に、たとえば活性炭等の水処理材Ｓが充填されて、ケースの開口部を蓋体で密閉したものである。
【００１０】前記カバー３０はステンレス鋼等からなり、前記カートリッジ２０に所定間隔（通路）を保持して被覆するもので、図４に示すように、頂部中央には前記導水管２１が突出する首部３１を有し、下部外周は前記基台１の円筒状側壁２に嵌合するようになっている。また、カバー３０の下方外周には前記係止片４の鍔部５下方に形成される溝５ａに係止する突起３２を等間隔で４箇所有する突片部３３を備えている。ただし、突起３２の円周方向の長さは前記係止片４の長さより小さいものである。したがって、前記パッキング装着溝３内に環状のＵパッキングＰを装入し、前記カートリッジ２０を基台１の上面中央に載置したのち、導水管２１を首部３１から突出させてカバー３０の突起３２を前記係止片４間に位置させて回動することにより基台１にカートリッジ２０とカバー３０を取り付ける。
【００１１】前記キャップ３５は、前記カバー３０の首部３１にパッキングを介して螺着される固定部３６と、この固定部３６に回動自在に装着され、下端が前記カートリッジ２０の導水管２１にパッキング（図示せず）を介して接続され、内部に通水路３９を有する軸部３８を突設し、前記通水路に接続する流出管４１を備えた回転部３７とからなり、前記軸部３８の通水路３９上部には下記する磁気装置６０の装着部４０を有する。
【００１２】前記前処理フィルタ４５は、図５に示すように、多数の通路口４７を有する合成樹脂製筒体４６と、該筒体４６の孔４８の開口部内に取り付けられる鍔付き栓体４９と、この栓体４９の凹部５０に取り付けられるツマミ５１と、フィルタ５３とからなる。そして、前記筒体４６の一端に鍔付き栓体４９を取り付けたのち、外周部に、たとえば、不織布等のフィルタ５３を積層し、これを前記基台１に設けた前処理フィルタ装入部６に挿入し、筒体４６の端部を前記環状突出部７の外周に嵌合し、その後、ツマミ５１の突部を栓体４９の凹部５０に圧入するとともに回転させ、ねじ５２を基台１に設けたねじに螺合するものである。
【００１３】前記磁気装置６０は、前記各磁気装置装入部９，４０に嵌合するもので、図６，図７に示すように、底部に多数の孔６２を有する有底円筒体からなるケース本体６１と、このケース本体６１の開口６３に嵌合する、多数の孔６５を有するキャップ６４と、球状とした第１永久磁石体６６と、円板状の第２永久磁石体６７とからなり、前記ケース本体６１とキャップ６４とは非磁性材料からなる。そして、前記ケース本体６１内に、図に示すように、たとえば各３個の第１永久磁石体６６と第２永久磁石体６７と交互に封入し、各永久磁石６６，６７間に強力な磁場を形成したものである。なお、第１永久磁石体６６は、その表面に樹脂コーティングすることにより発錆を防止するようにしてもよい。
【００１４】前記構成からなるため、図示しない水道蛇口を開にすると、原水（水道水）は、基台１に設けた原水供給口１０から前処理用フィルタ装入部６に流入し、フィルタ５３、通路口４７を通って粒子の大きい懸濁物が除去されて筒体４６内に入り、磁気装置６０を通過する。この磁気装置６０は前述したように、球形および円板状の第１，第２永久磁石６６，６７を交互に配列したものであり、磁石間隔は小さいため大きな磁場が形成されており、かつ、球形永久磁石６６の存在により流通抵抗も比較的小さいため、原水は活性化されたのち、前記カバー３０とカートリッジ２０との間を通って、開口２４からカートリッジ２０内を上方から下方に流下したのち、導水管２５を通ってキャップ３５に設けた磁気装置６０を通って排出管から吐出する。なお、前記実施例においては、２箇所に磁気装置６０を設置したが、いずれか一方だけでもよい。
【００１５】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明にかかる磁気装置は、非磁性材料からなるケースに収納した球状と板状の永久磁石体とからなり、各３個以上の磁石体を交互にケース内に配設するため、予め組立てることができる。しかも、スペーサを使用せず、かつ、第１永久磁石体は球形であるため、あまり水の抵抗にならないとともに、永久磁石間距離も小さく、かつ、水の流通方向に直交状態となって、水を効率的に活性化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる水処理器の一部断面正面図。
【図２】図１の基台の断面図。
【図３】図２の平面図。
【図４】ケースの一部断面正面図。
【図５】前記処理フィルタの断面図。
【図６】磁気装置の断面図。
【図７】図６の永久磁石体のみの平面図。
【符号の説明】
１…基台、６…前処理用フィルタ装入部、９…磁気装置装入部、１０…原水供給口、２０…カートリッジ、３０…カバー、４０…磁気装置装着部、４１…流出管、４５…前処理用フィルタ、６０…磁気装置、６１…ケース本体、６２，６５…孔、６４…キャップ、６６…第１永久磁石、６７…第２永久磁石、Ｓ…水処理材層。

【特許請求の範囲】
【請求項１】原水供給口から供給された原水を、カートリッジ内の水処理材層を通過させて水処理を行なったのち、処理水を流出管から取り出すとともに、水供給路中に設けた磁気装置で水を活性化するようにした水処理器において、前記磁気装置を、底面に複数の通水孔を有し、前記水供給路に嵌合するケース本体および複数の通水孔を有するキャップとからなる非磁性材料製ケース内に、各３個以上の球状永久磁石と板状永久磁石とを交互に配設した構成としたことを特徴とする水処理器における磁気装置。

【図２】