説明

水処理装置

【課題】ゴミ類を含む汚水を大量に短時間で処理することができ、小型化できる簡易な構成を有する水処理装置10,10Aを提供すること。
【解決手段】キャスター14を下部に設けたハウジング11を備え、ハウジング内に上部タンク12を配置し、上部タンク内に濾過材40を敷設し、ハウジングにおける上部タンク下方の空間13に、下部タンク15を出し入れ可能に設置し、下部タンクの上端面に汚水の投入口25を形成し、投入口に汚水中のゴミ類を捕集する捕集フィルタ30を着脱自在に装着し、下部タンクから汚水を、揚水管35を通して上部タンクへ揚水するポンプ27を設け、揚水管に散水孔50aを接続し、散水孔を濾過材の上方で運動させるための運動機構52,55,56,60,61を設け、散水孔を運動させながら汚水を散水孔から濾過材に散水して濾過し、濾過した汚水を上部タンクから排水又は下部タンクへ循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ、吸殻等のゴミ類を含む汚水から該ゴミ類を分離した後、該汚水を浄化して排水する水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅のホーム上、パチンコ店の店内、ホテルのロビー等の公共の喫煙スペースに設置されている灰皿は、煙草が確実に消火されるように、該灰皿の底部に消火水が溜められている場合がある。そのため、該灰皿を回収するときは、吸殻から溶け出したタール、ニコチン等を大量に含んだ汚水が吸殻とともに回収されている。この汚水が下水や河川等にそのまま流されると環境汚染の原因となる。
【0003】
また、キャンプ場、厨房、各家庭等で発生した生ゴミは、ザルや網等によって水切りをして当該生ゴミから水分をできるだけ除去してから廃棄されている。しかし、ザルや網の目を通り抜けてしまう細かな茶殻や食材の切れ端、米の研ぎ汁等は、下水等にそのまま流されている。特にキャンプ場においては、それらの細かいゴミが下水処理場を介さずに河川の上流部、湖沼或いは海等に直接流されることになる。そのため、自然を満喫するための場所が水質汚濁や土壌汚染等の環境汚染の発生場所となるおそれがある。
【0004】
ここで、煙草の吸殻と水との混合物を処理するために、開閉自在の排水口を有するタンクと、前記タンクの上方に配置され、前記混合物のうち前記水のみを前記タンクに通過させる吸殻フィルタと、カートリッジフィルタが充填されている汚水フィルタと、ポンプと、前記タンクと前記ポンプとの間に配置された除塵用フィルタと、濾過水パイプとからなる吸殻処理装置が実用新案登録第3136031号公報に開示されている。
該吸殻処理装置の前記ポンプは、前記タンクの下部から前記タンク内の水を吸引し、前記汚水フィルタの下方から前記水を前記汚水フィルタ内に送り込んでいる。そして、前記汚水フィルタを通過した前記水は、前記汚水フィルタの上方から排出され、前記濾過水パイプを介して再び前記タンクに戻されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3136031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の吸殻処理装置は、タンク及びポンプ等を床に固設していることから、設置に際し手間がかかる。また、貯水能力を上げるために当該吸殻処理装置を大型化すると、タンク壁面が高くなるので、新たに足場を設ける必要が生じる。
そして、上記の吸殻処理装置では、汚水を絶えずタンク内を循環させていることから、新たに回収した汚水と浄水とが混合してしまう。そのため、タンク内の水を全て清澄化するまでに時間がかかる。
さらに、濾過水パイプ途中に汚水フィルタを設けていることから、当該汚水フィルタに掛かる負担が大きい。そのため、濾過水パイプが頻繁に目詰まりするおそれがある。
【0007】
したがって、上記課題を解決するためになされた本発明は、ゴミ類を含む汚水を大量に短時間で処理することができ、小型化できる簡易な構成を有する水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の水処理装置は、キャスターを下部に設けたハウジングを備え、該ハウジング内に上部タンクを配置し、前記上部タンク内に濾過材を敷設し、前記ハウジングにおける前記上部タンク下方の空間に、下部タンクを出し入れ可能に設置し、該下部タンクの上端面に汚水の投入口を形成し、該投入口に汚水中のゴミ類を捕集する捕集フィルタを着脱自在に装着し、前記下部タンクから前記汚水を、揚水管を通して上部タンクへ揚水するポンプを設け、揚水管に散水孔を接続し、前記散水孔を前記濾過材の上方で運動させるための運動機構を設け、散水孔を運動させながら前記汚水を該散水孔から前記上部タンク内の濾過材に散水して濾過し、濾過した汚水を上部タンクから排水又は前記下部タンクへ循環させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水処理装置において、前記運動機構が前記散水孔を往復移動させる往復移動機構であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の水処理装置において、前記運動機構が前記散水孔を円運動させる円運動機構であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の水処理装置において、前記往復移動機構が、散水孔を形成した散水パイプと、前記ハウジングに回転可能に組み付けたネジ棒と、前記ハウジングに固設され、ネジ棒を回転させるモータと、前記散水パイプに固定され、前記ネジ棒が螺合するナット部材と、前記モータの回転を正逆切換制御する制御手段とから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の水処理装置によれば、上部タンクに濾過材を充填し、下部タンクから揚水した汚水が当該上部タンク中に満遍なく行き渡るようにした。そのため、汚水を大量に、かつ、短時間で処理することができる。
また、上部タンクと下部タンクとからなる二槽構造としたことから、水処理装置に貯水される水を上部タンクと下部タンクに分けることができる。そのため、一槽からなる水処理装置と同量の水を貯水する場合であれば、小型化することができる。
さらに、二槽構造とし、下部タンクの上端面にゴミ類の投入口を設けたので、ゴミ類を投入し易くすることができる。
そして、上部タンク下方の空間に出し入れ可能に下部タンクを設けたことから、ゴミ類を投入するときには、投入するゴミ類の大きさや量に合わせて、下部タンクをハウジングから引き出して使用し、水処理装置を稼動させ、若しくは移動させるときには、下部タンクをハウジングに格納することができる。そのため、使用する形態にあわせて水処理装置が設置されているスペースを有効に利用することができ、使い勝手を良くすることができる。
さらに又、下部タンクの汚水を単に上部タンクに単に注入するのではなく、濾過材の上方で散水孔を運動させながら、散水孔から上部タンク内の濾過材に向けて散水するので、上部タンクに敷設した濾過材の濾過能力を効果的に発揮させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、散水孔を濾過材の上方で往復運動させるので、濾過材に汚水を満遍なく降り注ぐことができる。そのため、濾過材の濾過能力がより効果的に発揮される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、散水孔を濾過材の上方で円運動させるので、濾過材に汚水を満遍なく降り注ぐことができる。そのため、濾過材の濾過能力がより効果的に発揮される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、モータによりネジ棒を回転させると、ナット部材及びこれと一体の散水パイプがネジ棒に沿って移動する。そして、モータの回転を制御手段で正逆切り替えることにより、散水パイプを簡単な機構で往復移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例に係る水処理装置の構造の概略を示す一部破断した説明図である。
【図2】同第1実施例に係る水処理装置の主要部の構造の概略を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る水処理装置の構造の概略を示す一部破断した説明図である。
【図4】同第2実施例に係る水処理装置の主要部の構造の概略を示す説明図である。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例を、添付した図にしたがって説明する。
本実施例に係る水処理装置10について、概略の構成を説明する説明図を図1に示す。
ここで本実施例において、汚水とは、ゴミ類が混合された水のことをいう。ゴミ類とは、茶殻、食材の切れ端、吸殻等の一般的に生ゴミと呼ばれるもののことをいう。そして、汚水は吸殻から溶出したニコチン、タール等の有害物質や、米の研ぎ汁、お茶等が混ざり合っている。
【0018】
水処理装置10は、図1に示すように、下部にキャスター14を設けたハウジング11を有する。該ハウジング11は、内側上方に固設された上部タンク12と、該上部タンク12の下方に下部タンクの収容スペースとして形成された空間13を有する。
当該空間13には出し入れすることができるように下部にキャスター16が設けられた下部タンク15が配されている。
なお、上部タンク12及び下部タンク15の底面に、出水口20又は取水口26に向かう下り勾配を設けても良い。
【0019】
上部タンク12は、内部に濾過材40が敷設され、底部に出水口20が形成されている。
濾過材40は、活性炭、ゼオライト等からなる多孔質の粒体又は粉体を、浸水性の袋又はケース等に収納して形成したものであって、多孔質の粒体又は粉体が具備する複数の微細な孔部に汚水に含まれる有害物質等を吸着させることができる。
上部タンク12内には上端面を開口にし、底面に多数の通孔を形成した箱形ケース41が載置され、該箱形ケース41の内面に網袋42が被せられている。使用済みの濾過材40はこの網袋42とともに箱形ケース41から取り出して廃棄できる。
出水口20には、切換バルブ21が設けられ、排水管22と循環管23が接続されている。切換バルブ21は、排水管22側又は循環管23側に切り換えることができ、また、閉じておくこともできる。
循環管23の先端部には、ホース24が接続されている。これにより、下部タンク15を引き出した場合であっても、循環管23から捕集フィルタ30上に浄水を循環させることができる。
【0020】
下部タンク15は、上端面にゴミ類の投入口25が形成され、下部に取水口26が形成されている。そして下部タンク15の取水口26近傍にはポンプ27が設けられている。
投入口25には、捕集フィルタ30が嵌合されている。捕集フィルタ30は、フィルタ収納函31に、一次フィルタ32と、二次フィルタ33とを重ね合わせて収納して形成されている。
フィルタ収納函31は、金属、合成樹脂等からなり、口縁部にフランジを備え、底面及び側面に複数個の通孔が形成されている。
一次フィルタ32は、合成樹脂製の網、濾紙等からなり、シート状又はフィルタ収納函31と略同じ大きさの袋状に形成されている。これにより、捕集したゴミ類をまとめて処分することができる。
二次フィルタ33は、不織布、HEPAフィルタ等からなり、複数枚のシートを積層してマットレス状に形成されている。該二次フィルタ33は、フィルタ収納函31の底面部と略同じ面積に形成され、該フィルタ収納函31の底面に敷設されている。これにより、一次フィルタ32で取りこぼした細かなゴミ類を捕集することができる。
ここで、HEPAフィルタとは、空気清浄機等に用いられている粒径が3マイクロメートル程度の微粒子を略全て捕集することができる高性能エアフィルタであって、吸殻、吸い残しの葉、炭、灰、その他のゴミを捕集することができる。なお、二次フィルタ33は、当該HEPAフィルタ、不織布等から形成されるものに限られず、洗浄等によって捕集能力を再生することができる部材で構成しても良い。
【0021】
取水口26には、揚水管35の一端35aがポンプ27を介して接続されている。その揚水管35の他端35bは、上部タンク12の上端面まで延伸されている。
揚水管35は、可撓性を具備するホースから形成されている。そのため、下部タンク15をハウジング11から引き出した際に、下部タンク15にしたがって揚水管35の一端35aも引き出される。なお、ホース状の揚水管をリールに巻回して、空間13に収納しても良い。
【0022】
揚水管35の上端35bは所要の長さを有するホース36を介して1本の散水パイプ50に接続されている。散水パイプ50には揚水管35から汚水を濾過材40の表面に散水するための多数の散水孔50aがその長手方向に沿って列設され、先端は閉塞されている。揚水管35の中間部には散水パイプ50から散水される汚水の水量を調整する調整バルブ51が接地されている。
【0023】
この散水パイプ50の中間部にはナットブラケット52が一体に固定され、閉塞された先端にはローラ53が取り付けられている。
一方、上部タンク12の上面開口12aにカバープレート54が着脱可能に設置されている。このカバープレート54にはモータ55、ギヤ56、モータ55の回転を正逆切換制御する制御回路(図示略)、軸受(図示略)等が内蔵された駆動ボックス60が固定されている。この駆動ボックス60にはネジ棒61が軸受(図示略)によって回転可能に組み付けられ、ネジ棒61とモータ55の駆動軸がギヤ56を介して連結されている。このネジ棒61は散水パイプ50のナットブラケット52に回転可能に螺合している。また、ネジ棒の反駆動ボックス側の端部はカバープレート54に固定した軸受57で支持されている。
【0024】
カバープレート54にはレール部材62が取り付けられ、レール部材62に散水パイプ50のローラ53が回転可能に接地している。このようにして、散水パイプ50はナットブラケット52とレール部材62によって濾過材40上方でネジ棒61に沿って移動可能にハウジング11に取り付けられている。そして、ネジ棒50は濾過材40の一端から他端にかけて架設されている。
さらにまた、カバープレート54には一対のリミットスイッチ63,64が固定されている。このリミットスイッチ63,64はナットブラケット52が接離することにより開閉される。そして、リミットスイッチ63,64の開閉に伴いモータ55の回転が正逆切換制御される。
【0025】
以上のように構成される水処理装置10は、以下のように使用される。
水処理装置10の投入口25にゴミ類を投入すると、ゴミ類と混合されていた汚水が捕集フィルタ30を通過して下部タンク15に貯水される。当該汚水をポンプ27によって揚水管35で上部タンク12上端に揚水する。
上部タンク12に注がれた汚水は、散水パイプ50の散水孔50aから濾過材40の表面に散水される。このときの散水量は濾過材40の濾過能力に応じた適量となるように調整弁51で調整される。また、散水時、モータ55に通電し、ネジ棒61を回転させる。ネジ棒61の回転に伴い、散水パイプ50がネジ棒61に沿って移動する。散水パイプ50が一方向へ所定量移動するとナットブラケット52がリミットスイッチ64に当たってモータ55の回転方向が切り換わり、散水パイプ50が逆方向へ移動する。そして、ナットブラケット52がリミットスイッチ63に当たると、再びモータ55の回転方向が切り換わる。こうして散水パイプ50が濾過材40上方で往復移動を繰り返し、散水孔50aから汚水が濾過材40表面に満遍なく散水される。そして、濾過材40によって濾過されて有害物質等の不純物が除去され、出水口20から切換バルブ21を通って排水されるか、又は下部タンク15へ循環される。
【0026】
投入されたゴミ類は、捕集フィルタ30により捕集される。このとき、ゴミ類のうち、吸殻、若しくは食材の切れ端等の比較的大き目のものは、一次フィルタ32によって捕集される。次いで、煙草の灰又は吸い残しの葉、茶殻等の一次フィルタ32で捕集されなかった細かなゴミ類は、二次フィルタ33で捕集される。
その結果、不純物、例えば、吸殻に含まれていたニコチンやタール等の溶出した有害物質、或いは食材の切屑から溶出した養分、米の研ぎ汁、お茶、ジュース等を含んだ汚水が捕集フィルタ30を通過して下部タンク15に貯水される。
【0027】
一次フィルタ32で捕集されたゴミ類は、一次フィルタ32ごと廃棄処分することができる。そのため、ゴミ類の廃棄処理に手間がかからない。
なお、細かなゴミ類を捕集する二次フィルタ33が目詰まり等して、捕集能力が低下した場合、洗浄等によって捕集能力を再生させることもでき、また、そのまま廃棄処分とすることもできる。
【0028】
下部タンク15に貯水された汚水は、濾過材が充填された上部タンク12に揚水され、当該上部タンク12中に注がれる。このとき、濾過材を構成する活性炭等の多孔質の粒体又は粉体が具備する微細な孔部の表面や中空部に、汚水に含まれる有害物質や養分、米ぬか等が水分を媒体として吸着される。これにより、上部タンク12を通過した汚水は清澄化された浄水として出水口20から排出される。
【0029】
濾過された水は、排水若しくは下部タンク15に再度循環される。
排水する場合、濾過後の水は既に有害物質等が除去されているので、水質汚染、土壌汚染等の環境汚染の原因となることが無い。そのため、下水道に流すことができることに加えて、河川、湖沼、海等にそのまま流すことができる。さらに、本実施例の水処理装置10は移動可能であることから、シーズン中のキャンプ場等のように、大量に生ゴミ等が発生し、かつ、生ゴミをそのまま廃棄すると環境汚染の原因となるおそれがある場所で利用することができる。
【0030】
下部タンク15に再度循環する場合、フィルタ収納函31に投入されたゴミ類を濾過後の浄水で洗うことになる。そのため、ゴミ類が発する悪臭を抑えることができる。また、浄水を循環させることにより、投入口25から投入された汚水の濃度が薄くなる。特に、汚水に大量の吸殻が含まれていた場合、汚水中のタールの濃度が低くなることから、二次フィルタ33や濾過材の目詰まりを防ぐことができる。
さらに、本実施例の水処理装置10の場合、一度上部タンク12で汚水を濾過させただけでも、十分に清澄な浄水を得ることができるが、複数回循環させたときには、汚水に含まれていた有害物質等の不純物を略全て除去することができる。
【0031】
本実施例によれば、水処理装置10を上部タンク12と下部タンク15の二槽に分けた構造にしたことにより、同一容積の単槽構造の水処理装置と比べて小型化することができる。
また、下部タンク15にゴミ類の投入口25を設けたので、使用者は上部タンク上端まで、ゴミ箱や生ゴミ入れを持ち上げなくても良い。
そして、上部タンク12の下方に設けた空間13に出し入れ可能に下部タンク15を設置したので、水処理装置10をコンパクトにすることができる。
【0032】
また、水処理装置10は、下部タンク15の捕集フィルタ30で予めゴミ類を除去した汚水を上部タンク12へ揚水している。そのため、故障の原因となる細かなゴミがポンプ27及び揚水管35に侵入してしまうことを防ぐことができる。
【0033】
散水孔50aを濾過材40の上方で往復運動させるので、濾過材40に汚水を満遍なく降り注ぐことができる。そのため、濾過材40の濾過能力がより効果的に発揮される。
【0034】
さらに、下部にキャスター14,16を設けて移動可能にした。そのため、例えば、パチンコ店等のように、大量の吸殻が発生する場所に本実施例の水処理装置を設置したり、キャンプ場のように、シーズン中に集中して大量の生ゴミが発生する場所に設置したりするように、ゴミ類を処理する場所に移動させてから使用することができる。
そして、下部タンク15が空間13へ出し入れ可能に設置されているので、例えばレストラン等の調理場のように、昼食時等の忙しいときには、ゴミ類を下部タンク15のフィルタ収納函31に捨てるだけにしておき、時間に余裕が生じたときに、下部タンク15を空間13に収納して濾過処理することができる。すなわち、本実施例の水処理装置10は、使用目的にあわせて下部タンク15を引き出したり空間13に格納したりすることができるので、使い勝手を良くすることができる。
【0035】
また、本実施例の水処理装置10は、上部タンク12を濾過材で充填して構成されている。そのため、揚水管35又は排水管22、循環管23の途中に濾過フィルタを設けるよりも、濾過能力を大幅に引き上げることができ、一度に大量の汚水を処理することができる。そして、上部タンク12へ注がれた汚水は、上部タンク中に満遍なく浸水する。そのため、濾過処理の時間を短縮することができ、目詰まり等による濾過材の吸着能力の急激な低下を防ぐことができる。
【実施例2】
【0036】
本発明の第2実施例に係る水処理装置10Aを図3及び図4に示す。当該水処理装置10Aでは、カバープレート54に取り付けた駆動ボックス70から接続管71が垂設され、該接続管71が散水孔72aを形成した散水パイプ72の中央部に連結されている。この接続管71は駆動ボックス70に内蔵されたモータによって回転し、それに伴い散水パイプ72が濾過材40上方で円運動するように構成されている。また、汚水が揚水管35の上端35bから接続管71を通して散水パイプ72へと送り込むことができるように接続されている。
なお、本実施例に係る水処理装置10Aの他の構成は第1実施例に係る水処理装置10と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、濾過材40上方で円運動する散水パイプ72から汚水を濾過材40表面に満遍なく散水することができる。
【符号の説明】
【0037】
10,10A…水処理装置、11…ハウジング、12…上部タンク、13…空間、14…ハウジングのキャスター、15…下部タンク、16…下部タンクのキャスター、
20…出水口、21…切換バルブ、22…排水管、23…循環管、24…ホース、25…投入口、26…取水口、27…ポンプ、
30…捕集フィルタ、31…フィルタ収納函、32…一次フィルタ、33…二次フィルタ、
35,35a,35b…揚水管、
40…濾過材、
50,72…散水パイプ、50a,72a…散水孔、52…ナット部材、55…モータ、61…ネジ棒、63,64…リミットスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスターを下部に設けたハウジングを備え、該ハウジング内に上部タンクを配置し、前記上部タンク内に濾過材を敷設し、前記ハウジングにおける前記上部タンク下方の空間に、下部タンクを出し入れ可能に設置し、該下部タンクの上端面に汚水の投入口を形成し、該投入口に汚水中のゴミ類を捕集する捕集フィルタを着脱自在に装着し、前記下部タンクから前記汚水を、揚水管を通して上部タンクへ揚水するポンプを設け、揚水管に散水孔を接続し、前記散水孔を前記濾過材の上方で運動させるための運動機構を設け、散水孔を運動させながら前記汚水を該散水孔から前記上部タンク内の濾過材に散水して濾過し、濾過した汚水を上部タンクから排水又は前記下部タンクへ循環させるようにしたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記運動機構が前記散水孔を往復移動させる往復移動機構であることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記運動機構が前記散水孔を円運動させる円運動機構であることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記往復移動機構が、散水孔を形成した散水パイプと、前記ハウジングに回転可能に組み付けたネジ棒と、前記ハウジングに固設され、ネジ棒を回転させるモータと、前記散水パイプに固定され、前記ネジ棒が螺合するナット部材と、前記モータの回転を正逆切換制御する制御手段とから成ることを特徴とする請求項2に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−279906(P2010−279906A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135608(P2009−135608)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(509158451)サンレックス株式会社 (1)
【出願人】(592208758)株式会社マックス (9)
【Fターム(参考)】