説明

水処理装置

【課題】十分な流量を確保し、かつ、長期に亘り安定な運転を維持する水処理装置を提供すること。
【解決手段】入口部12と出口部13が連結された容器11に、水浄化媒質14が入口部保持体15と出口部保持体16に保持されて配置され、水処理装置10が構成される。入口部12には、それぞれ入水遮断弁19と排水遮断弁110を具備する入水配管17と排水配管18が接続される。入口部保持体15の水浄化媒質14と対向しない対向面は親水処理され、入口部保持体15からの水の流入抵抗を低下させ水の流入を容易にし、水処理装置10の流量を十分に確保する。入口部保持体15の水浄化媒質14と対向する入水面は撥水処理され、水処理装置10から水を排水する際の水の流出を阻害し、水浄化媒質14の保水状態を維持し、水処理装置10の長期安定な運転を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水等を浄化処理する水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水処理装置はタンク等の容器に貯えられた水を、当該水処理装置の入口部から送水し、イオン交換樹脂等の水浄化媒質を介してイオン成分や残留塩素成分を取り除き、前記水処理装置の出口部から浄化水を取り出す装置である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような、特許文献1に記載された水処理装置の一般的な構成を図7に示す。
【0004】
図7は、従来の水処理装置の構成を示す断面図である。
【0005】
図7に示すように、水処理装置70は、シェル71と、入口開口72と、出口開口73と、粒状媒質74と、多孔性粒子フィルタ75とから構成されている。
【0006】
粒状媒質74は、多孔性粒子フィルタ75で保持され、シェル71と多孔性粒子フィルタ74との隙間に出口開口73が設けられている。入口開口72から入水した水は、粒状物質74と接触した後、多孔性粒子フィルタ75を通過し、出口開口73から流出する。粒状物質74は、イオン交換樹脂、ゼオライト、粒状活性炭等の化学物質から構成され、水処理装置70に流入した水を浄化する機能を果たす。
【0007】
ここで、粒状媒質74と接触した水が、多孔性粒子フィルタ75を円滑に通過するのを促進し、出口開口73から流出する水の流量を十分に確保するため、多孔性粒子フィルタ75は親水性物質から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−166042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の構成では、水処理装置を長期に亘って安定に使用することができないという課題を有していた。つまり、水処理装置を長期に亘って使用する場合、凍結等によって、シェル等の構成部材が破損するのを防止するため、水処理装置から一旦水を排水し、水処理装置が、水を充填していない状態で放置される場合があり、その放置状態において、粒状媒質の表面から水が徐々に離脱することで粒状媒質の水浄化機能が低下することによって、水処理装置の長期安定性が損なわれるという課題があった。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、水処理装置から水を排水した状態で、長期間に亘り水処理装置を放置する場合においても、水浄化媒質から水が離脱するのを抑止できる手段を提供し、長期に亘って十分な流量を確保でき、かつ、安定な運転を実現できる水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の水処理装置は、水が通水する入口部及び出口部を有する容器と、該容器の内部に保持される水浄化媒質と、前記容器の入口部に配置され、前記水浄化媒質を保持する保持体とを具備し、前記保持体の水浄化媒質が対向する
側の表面の臨界表面張力が、該保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力より小さくなる構成としたものである。
【0012】
これによって、水処理装置の入口部における保持体の水浄化媒質と対向しない面、つまり水が入水する面(以下、入水面という)の表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減することができる。また、保持体の水浄化媒質と対向する面(以下、対向面という)の表面張力を小さくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができる。
【0013】
また、本発明の水処理装置は、前記保持体を、該保持体の水浄化媒質が対向する側の表面が撥水処理され、かつ、該保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面が親水処理された構成としたものである。
【0014】
これによって、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を、入水面と対向面で変えることができる。また、水処理装置の入口部において、保持体の入水面の表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減することができる。また、保持体の対向面の表面張力を小さくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができる。
【0015】
また、本発明の水処理装置は、前記保持体を、水浄化媒質が対向しない側の表面が不動態化処理された多孔製金属板で構成するものである。
【0016】
これによって、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を入水面と対向面で変えることができる。また、不動態化処理により金属表面の表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減できる。さらに、保持体の対向面は、不動態化処理が施されず、表面張力が小さいため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができる。
【0017】
また、本発明の水処理装置は、前記保持体を、水浄化媒質が対向する側に配置される第1の保持体と、水浄化媒質が対向しない側に配置される第2の保持体とを積層して形成し、第1の保持体における水浄化媒質が対向する側の表面の臨界表面張力が、第2の保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力より小さくなる構成としたものである。
【0018】
これによって、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を入水面と対向面で変えることができる。また、水処理装置の入口部において、保持体の入水面の表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減できる。またさらに、保持体の水浄化媒体との対向面の表面張力を小さくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の水浄化媒質との対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができる。またさらには、第1の保持体と第2の保持体について、各保持体毎に、イオン交換機能や残留塩素除去機能等を別々に付与することができ、水浄化装置の水浄化機能をより向上させることができる。
【0019】
また、本発明の水処理装置は、前記保持体を、前記第1の保持体と前記第2の保持体との間に積層された第3の保持体を備えて形成し、第1〜第3の保持体の互いに隣接する各表面の臨界表面張力を、水浄化媒質に近い側の表面の臨界表面張力が水浄化媒質に遠い側
の表面の臨界表面張力より小さいくなる構成としたものである。
【0020】
これによって、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を水の入水面と水浄化媒質との対向面で変えることができる。また、水処理装置の入口部において、保持体の入水面における表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減できる。さらに、保持体の水浄化媒体との対向面の表面張力を小さくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の水浄化媒質との対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができる。またさらには、第3の保持体にイオン交換機能や残留塩素除去機能等を付与することができ、水処理装置の多機能化を実現することができる。
【0021】
また、本発明の水処理装置は、前記保持体を、多孔体で形成すると共に、水浄化媒質が対向する側に配置される第4の保持体と、水浄化媒質が対向しない側に配置される第5の保持体とを積層して形成し、第4の保持体が有する多孔体の平均孔径を第5の保持体が有する多孔体の平均孔径より小さくなる構成としたものである。
【0022】
これによって、水処理装置の入口部における保持体の入水面における圧力損失を小さくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減できる。また、保持体の対向面の圧力損失を大きくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができる。さらに、第4の保持体と第5の保持体について、各保持体毎にイオン交換機能や残留塩素除去機能等を別々に付与することができ、水浄化装置の水浄化機能をより向上させることができる。
【0023】
また、本発明の水処理装置は、前記保持体を、前記第4の保持体と前記第5の保持体との間に積層された第6の保持体を備えて形成し、第4〜第6の保持体の互いに隣接する多孔体の平均孔径を前記水浄化媒質に近い側の多孔体の平均孔径が水浄化媒質に遠い側の多孔体の平均孔径より小さくなる構成としたものである。
【0024】
これによって、水処理装置の入口部における保持体の入水面における圧力損失を小さくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減できる。また、保持体の対向面の圧力損失を大きくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができる。さらに、第6の保持体にイオン交換機能や残留塩素除去機能等を付与することができ、水処理装置の多機能化を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の水処理装置は、水処理装置の入口部における入水抵抗を軽減でき、また、水処理装置の放置時における、水浄化媒質からの水分の離脱を抑止でき、十分な流量を確保し、かつ、長期に亘り安定な運転を確保し得る水処理装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における水処理装置を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態2における水処理装置を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態3における水処理装置を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態4における水処理装置を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態5における水処理装置を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態6における水処理装置を示す断面図
【図7】従来の水処理装置を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1の発明は、水が通水する入口部及び出口部を有する容器と、該容器の内部に保持される水浄化媒質と、前記容器の入口部に配置され、前記水浄化媒質を保持する保持体とを具備する水処理装置であって、前記保持体は、該保持対の水浄化媒質が対向する側の表面の臨界表面張力が、該保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力より小さい保持体である水処理装置である。
【0028】
この構成により、水処理装置の入口部における保持体の入水面の表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減でき、水処理装置の流量を十分に確保することができる。また、保持体の対向面の表面張力を小さくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができ、水処理装置を長期に亘り安定に運転することができることになる。
【0029】
第2の発明は、特に、第1の発明の保持体を、該保持体の水浄化媒質が対向する側の表面が撥水処理され、かつ、該保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面が親水処理された保持体とした水処理装置である。
【0030】
この構成により、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を入水面と対向面で変えることができる。また、水処理装置の入口部における保持体の入水面の表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減でき、水処理装置の流量を十分に確保することができる。さらに、保持体の対向面の表面張力を小さくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができ、水処理装置を長期に亘り安定に運転することができることになる。
【0031】
第3の発明は、特に、第1の発明の保持体を、多孔製金属板とし、該多孔製金属板の水浄化媒質が対向しない側の表面が不動態化処理された保持体とした水処理装置である。
【0032】
この構成により、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を入水面と対向面で変えることができる。また、不動態化処理により金属表面の表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減でき、水処理装置の流量を十分に確保することができる。さらに、保持体の対向面は、不動態化処理が施されず、表面張力が小さくなるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができ、水処理装置を長期に亘り安定に運転することができることになる。
【0033】
第4の発明は、特に、第1の発明の保持体を、前記水浄化媒質が対向する側に配置される第1の保持体と、前記水浄化媒質が対向しない側に配置される第2の保持体とが積層されて形成される保持体であって、前記第1の保持体における前記水浄化媒質が対向する側の表面の臨界表面張力が、前記第2の保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力より小さいこととする水処理装置である。
【0034】
この構成により、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を入水面と対向面で変えることができる。また、水処理装置の入口部における保持体の入水面における表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減でき、水処理装置の流量を十分に確保することができる。さらに、保持体の対向面の表面張力を小さくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができ、水処理装置を長期に亘り安定に運転することができることになる。またさらには、第
1の保持体と第2の保持体について、各保持体毎に、イオン交換機能や残留塩素除去機能等を別々に付与することができ、水浄化装置の水浄化機能をより向上させることができることになる。
【0035】
第5の発明は、特に、第4の発明の保持体を、前記第1の保持体と前記第2の保持体との間に積層された第3の保持体を備えて構成し、前記第1〜前記第3の保持体の互いに隣接する各表面の臨界表面張力は、前記水浄化媒質に近い側の表面の臨界表面張力が前記水浄化媒質に遠い側の表面の臨界表面張力より小さいこととする水処理装置である。
【0036】
この構成により、水処理装置の入口部における保持体の表面張力を入水面と対向面で変えることができる。また、水処理装置の入口部における保持体の入水面における表面張力を大きくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減でき、水処理装置の流量を十分に確保することができる。さらに、保持体の対向面の表面張力を小さくできるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができ、水処理装置を長期に亘り安定に運転することができることになる。またさらには、第3の保持体にイオン交換機能や残留塩素除去機能等を付与することができ、水処理装置の多機能化を実現することができることになる。
【0037】
第6の発明は、特に、第1の発明の保持体を、多孔体で形成すると共に、前記水浄化媒質が対向する側に配置される第4の保持体と、前記水浄化媒質が対向しない側に配置される第5の保持体とが積層されて形成され、前記第4の保持体が有する多孔体の平均孔径は前記第5の保持体が有する多孔体の平均孔径より小さいこととする水処理装置である。
【0038】
この構成により、水処理装置の入口部における保持体の入水面における圧力損失を小さくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減でき、水処理装置の流量を十分に確保することができる。また、保持体の対向面の圧力損失を大きくすることができるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができ、水処理装置を長期に亘り安定に運転することができることになる。さらには、第4の保持体と第5の保持体について、各保持体毎にイオン交換機能や残留塩素除去機能等を別々に付与することができ、水浄化装置の水浄化機能を向上させることができることになる。
【0039】
第7の発明は、特に、第6の発明の保持体を、前記第4の保持体と前記第5の保持体との間に積層された第6の保持体を備えて構成し、前記第4〜前記第6の保持体の互いに隣接する多孔体の平均孔径は前記水浄化媒質に近い側の多孔体の平均孔径が前記水浄化媒質に遠い側の多孔体の平均孔径より小さいこととする水処理装置である。
【0040】
この構成により、水処理装置の入口部における保持体の入水面における圧力損失を小さくすることができるため、水処理装置に入水する水の流入抵抗を軽減でき、水処理装置の流量を十分に確保することができる。また、保持体の対向面の圧力損失を大きくできるため、水処理装置から水を排水する際に、保持体の対向面と水浄化媒質との界面に水が残存し、この残存した水により水浄化媒質の保水状態を維持することができ、水処理装置を長期に亘り安定に運転することができることになる。さらには、第6の保持体にイオン交換機能や残留塩素除去機能等を付与することができ、水処理装置の多機能化を実現することができることになる。
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0042】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における水処理装置の構成図を示すものである。
【0043】
図1において、容器11には入口部12と出口部13が連結され、その内部に、水浄化媒質14が保持される。また、入口部保持体15が入口部12に、出口部保持体16が出口部13に、それぞれ水浄化媒質14に面して配置され、水浄化媒質14を保持し、水処理装置10が構成される。水処理装置10の入口部12には、該水処理装置10に水を入水する為の入水配管17と、該水処理装置10から水を排水する為の排水配管18が接続され、前記入水配管17と排水配管18には、それぞれ、入水及び排水の状態を調整する為の入水遮断弁19と排水遮断弁110が配置されている。
【0044】
以上により構成された水処理装置について、以下、各構成部材の材料について具体的に説明する。
【0045】
容器11はポリプロピレン等の樹脂で構成される。入口部保持体15と出口部保持体16は、ポリプロピレン等の樹脂で構成される焼結体フィルタであって、入口部保持体15の水浄化媒質14と対向する対向面(図1において、b面)は撥水剤(例えば、コニシ株式会社製の防水スプレー;商品名 防水スプレーF)のコーティングによる撥水処理が施され、その臨界表面張力は20dyne/cmに維持されている。また、入口部保持体15の水浄化媒質14と対向しない入水面(図1において、a面)はプラズマ照射による親水処理が施され、その臨界表面張力は38dyne/cmに維持されている。
【0046】
次に、以上のように構成された水処理装置について、その動作、作用を説明する。
【0047】
まず、水処理装置10へ水を入水する際の水の流れと作用について説明する。
【0048】
水処理装置10には、その入口部12に接続された入水配管17を通して水が流入し、入口部保持体15を通過して水浄化媒質14に流れ込む。この時、排水配管18は排水遮断弁110により閉止されている。また、入口部保持体15の水浄化媒質14と対向しない入水面(図1において、a面)は、水浄化媒質14と対向する対向面(図1において、b面)に比べ、その臨界表面張力が大きく設定されており、入口部保持体15からの水の流入抵抗を低下させ水の流入を容易にしている。入口部保持体15を通過して、水浄化媒質14に流入した水は、水浄化媒質14と接触しながら出口部保持体16に向かって流れる。この時、水に含まれるイオン性物質等の不純物が水浄化媒質14に吸着することで取り除かれ浄化される。水浄化媒質14を通り抜けた水は出口部保持体16を通って、出口部13から浄化水として流出する。なお、入水配管17を介した入口部12への水の流入は、水を貯えた貯水タンクからポンプ等の送水手段で行うことができ、また、前記貯水タンクを水処理装置10の位置より高い位置に配置し、貯水タンクと水処理装置10との水頭差を利用して行うこともできる。
【0049】
続いて、水処理装置10から水を排水する際の水の流れと作用について説明する。
【0050】
水処理装置10に充填されている水は、水浄化媒質14及び入口部保持体15を通って流れ、入口部12に接続された排水配管18から排水される。この時、入水配管17は入水遮断弁19により閉止されている。また、入口部保持体15の水浄化媒質14と対向する対向面(図1において、b面)は、水浄化媒質14と対向しない入水面(図1において、a面)に比べ、その臨界表面張力が小さく設定されており、入口部保持体15からの水の流出を阻害し、入口部保持体15の水浄化媒質14と対向する対向面(図1において、b面)と水浄化媒質14との界面に水が残存し、水浄化媒質14の保水状態を維持できるようにしている。
【0051】
以上のように、本実施の形態においては、水処理装置を構成する保持体を、水浄化媒質が対向する側の表面の臨界表面張力を、該保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力より小さい保持体とすることで、水処理装置に水が入水する際の流入抵抗を低減でき、また、水処理装置からの排水時において、水処理装置からの流出を阻害することで、入口部保持体と水浄化媒質との界面に水を残存させることができるため、水浄化媒質からの水の離脱を抑えることができる。その結果、十分な流量を確保し、かつ、長期にわたり安定な運転を維持できる水処理装置が実現できることになる。
【0052】
なお、撥水処理は上記した実施の形態に記載した撥水剤を保持体にコーティングするコーティング法に限られるものではなく、撥水性物質を含む液を保持体に含浸させる含浸法、圧着機で保持体の表面に撥水剤を塗布する方法などが利用できる。また、親水処理は上記した実施の形態に記載した保持体にプラズマを照射するプラズマ処理法以外に、保持体に紫外線を照射する紫外線処理法、保持体にオゾンを照射するオゾン処理法、保持体にコロナ放電を行うコロナ放電法、保持体にポリシロキサン結合等で構成される親水性塗膜を設ける親水性塗膜法などが利用できる。
【0053】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における水処理装置の構成図を示すものである。なお、図2において、図1と同一の構成は同じ符号を用い、説明を省略する。
【0054】
図2において、容器には、入口部12と出口部13が連結され、その内部に、水浄化媒質14が保持される。また、入口部保持体21が入口部12に、また、出口部保持体22が出口部13に、それぞれ水浄化媒質14に面して配置され、水浄化媒質14を保持し、水処理装置20が構成される。水処理装置20の入口部12には、該水処理装置20に水を入水する為の入水配管17と、該水処理装置20から水を排水する為の排水配管18が接続され、前記入水配管17と排水配管18には、それぞれ、入水及び排水の状態を調整する為の入水遮断弁19と排水遮断弁110が配置されている。
【0055】
以上により構成された水処理装置について、以下、各構成部材の材料について具体的に説明する。
【0056】
入口部保持体21はステンレス等の金属で構成される焼結体フィルタである。入口部保持体21の水浄化媒質14と対向しない入水面(図2において、c面)は硝酸による不動態化処理が施され、その臨界表面張力は40dyne/cmに維持されている。一方、入口部保持体21の水浄化媒質14と対向する対向面(図2において、d面)は不動態化処理が施されることなく、その臨界表面張力は30dyne/cmに維持されている。
【0057】
次に、以上のように構成された水処理装置について、その動作、作用を説明する。
【0058】
まず、水処理装置20へ水を入水する際の水の流れと作用について説明する。
【0059】
水処理装置20には、その入口部12に接続された入水配管17を通して水が流入し、入口部保持体21を通過して水浄化媒質14に流れ込む。この時、排水配管18は排水遮断弁110により閉止されている。また、入口部保持体21の水浄化媒質14と対向しない入水面(図2において、c面)は、水浄化媒質14と対向する対向面(図2において、d面)に比べ、その臨界表面張力が大きく設定されており、入口部保持体21からの水の流入抵抗を低下させ水の流入を容易にしている。入口部保持体21を通過して、水浄化媒質14に流入した水は、水浄化媒質14と接触しながら出口部保持体16に向かって流れる。この時、水に含まれるイオン性物質等の不純物が水浄化媒質14に吸着することで取
り除かれ浄化される。水浄化媒質14を通り抜けた水は出口部保持体16を通って、出口部13から浄化水として流出する。なお、入水配管17を介した入口部12への水の流入は、水を貯えた貯水タンクからポンプ等の送水手段で行うことができ、また、前記貯水タンクを水処理装置20の位置より高い位置に配置し、貯水タンクと水処理装置20との水頭差を利用して行うこともできる。
【0060】
続いて、水処理装置20から水を排水する際の水の流れと作用について説明する。
【0061】
水処理装置20に充填されている水は、水浄化媒質14及び入口部保持体15を通って流れ、入口部12に接続された排水配管18から排水される。この時、前述した入水配管17は入水遮断弁19により閉止されている。また、入口部保持体21の水浄化媒質14と対向する対向面(図2において、d面)は、水浄化媒質14と対向しない入水面(図2において、c面)に比べ、その臨界表面張力が小さく設定されており、入口部保持体21からの水の流出を阻害し、入口部保持体21の水浄化媒質14と対向する対向面(図2において、d面)と水浄化媒質14との界面に水が残存し、水浄化媒質14の保水状態を維持できるようにしている。
【0062】
以上のように、本実施の形態においては、水処理装置を構成する保持体を、金属製多孔体とし、その金属製多孔体の水浄化媒質と対向しない側の表面を不動態化処理して、水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力を、該保持体の水浄化媒質が対向する側の表面の臨界表面張力より大きい保持体とすることで、水処理装置に水が入水する際の流入抵抗を低減でき、また、水処理装置からの排水時において、水処理装置からの流出を阻害することで、入口部保持体と水浄化媒質との界面に水を残存させることができ、水浄化媒質からの水の離脱を抑えることができる。その結果、十分な流量を確保し、かつ、長期にわたり安定な運転を維持できる水処理装置が実現できることになる。
【0063】
(実施の形態3)
図3は、本発明の第3の実施の形態における水処理装置の構成図を示すものである。なお、図3において、図1と同一の構成は同じ符号を用い、説明を省略する。
【0064】
図3に示すように、本実施の形態の水処理装置30は、入口部保持体を第1の保持体31と第2の保持体32で構成した点で、実施の形態1の水処理装置とは異なる。
【0065】
ここで、第1の保持体31は水浄化媒質14と対向して配置され、第2の保持体32は水浄化媒質14と離れて、入口部12により近い位置に配置される。第1の保持体31と第2の保持体32は、ポリプロピレン等の樹脂で構成される焼結体フィルタである。
【0066】
第1の保持体31は、撥水剤(例えば、コニシ株式会社製の防水スプレー;商品名:防水スプレーF)のコーティングによる撥水処理が施され、その臨界表面張力は20dyne/cmに維持されている。また、第2の保持体32はプラズマ照射による親水処理が施され、その臨界表面張力は38dyne/cmに維持されている。
【0067】
以上のように構成された水処理装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0068】
まず、水処理装置30へ水を入水する際の水の流れと作用について説明する。
【0069】
水処理装置30には、その入口部12に接続された入水配管17を通して水が流入し、第2の保持体32を通過して水浄化媒質14に流れ込む。この時、排水配管18は排水遮断弁110により閉止されている。また、第2の保持体32は、第1の保持体31に比べ、その臨界表面張力が大きく設定されており、第2の保持体32からの水の流入抵抗を低
下させ水の流入を容易にしている。第2の保持体32と第1の保持体31を通過して、水浄化媒質14に流入した水は、水浄化媒質14と接触しながら出口部保持体16に向かって流れる。この時、水に含まれるイオン性物質等の不純物が水浄化媒質14に吸着することで取り除かれ浄化される。水浄化媒質14を通り抜けた水は出口部保持体16を通って、出口部13から浄化水として流出する。なお、入水配管17を介した入口部12への水の流入は、水を貯えた貯水タンクからポンプ等の送水手段で行うことができ、また、前記貯水タンクを水処理装置30の位置より高い位置に配置し、貯水タンクと水処理装置30との水頭差を利用して行うこともできる。
【0070】
続いて、水処理装置30から水を排水する際の水の流れと作用について説明する。
【0071】
水処理装置30に充填されている水は、水浄化媒質14及び第1の保持体31と第2の保持体32を通って流れ、入口部12に接続された排水配管18から排水される。この時、入水配管17は入水遮断弁19により閉止されている。また、第1の保持体31は、第2の保持体32に比べ、その臨界表面張力が小さく設定されており、第1の保持体31からの水の流出を阻害し、第1の保持体31と水浄化媒質14との界面に水が残存し、水浄化媒質14の保水状態を維持できるようにしている。
【0072】
以上のように、本実施の形態においては、水処理装置を構成する保持体を、水浄化媒質と対向する側に配置される第1の保持体と、水浄化媒質と離れ、入口部に近い位置に配置される第2の保持体で構成し、第1の保持体の臨界表面張力を、第2の保持体の臨界表面張力より小さい構成とすることで、水処理装置に水が入水する際の流入抵抗を低減でき、また、水処理装置からの排水時において、水処理装置からの流出を阻害することで、保持体と水浄化媒質との界面に水を残存させることができるため、水浄化媒質からの水の離脱を抑えることができる。その結果、十分な流量を確保し、かつ、長期にわたり安定な運転を維持できる水処理装置が実現できることになる。
【0073】
なお、撥水処理は上記した実施の形態に記載した撥水剤を保持体にコーティングするコーティング法に限られるものではなく、撥水性物質を含む液を保持体に含浸させる含浸法、圧着機で保持体の表面に撥水剤を塗布する方法などが利用できる。また、親水処理は上記した実施の形態に記載した保持体にプラズマを照射するプラズマ処理法以外に、保持体に紫外線を照射する紫外線処理法、保持体にオゾンを照射するオゾン処理法、保持体にコロナ放電を行うコロナ放電法、保持体にポリシロキサン結合等で構成される親水性塗膜を設ける親水性塗膜法などが利用できる。
【0074】
(実施の形態4)
図4は、本発明の第4の実施の形態における水処理装置の構成図を示すものである。なお、図4において、図3と同一の構成は同じ符号を用い、説明を省略する。
【0075】
図3に示すように、本実施の形態の水処理装置40は、入口部保持体の構成において、第1の保持体31と第2の保持体32との間に第3の保持体41を配置した構成とした点で、実施の形態3の水処理装置とは異なる。
【0076】
ここで、第1の保持体31は水浄化媒質14と対向して配置され、第2の保持体32は水浄化媒質14と離れて、入口部12により近い位置に配置される。第1の保持体31と第2の保持体32の間に第3の保持体41が配置される。
【0077】
第3の保持体41は、活性炭を主成分とする繊維状フィルタであって、その臨界表面張力は30dyne/cmである。また、この第3の保持体41である活性炭を主成分とする繊維状フィルタは、水浄化装置に入水した水から残留塩素成分を除去する機能を果たす

【0078】
以上のように構成された水処理装置について、その動作、作用を説明する。
【0079】
まず、水処理装置40へ水を入水する際の水の流れと作用について説明する。
【0080】
水処理装置40には、その入口部12に接続された入水配管17を通して水が流入し、第2の保持体32を通過して水浄化媒質14に流れ込む。この時、排水配管18は排水遮断弁110により閉止されている。また、第2の保持体32は、第3の保持体41及び第1の保持体31に比べ、その臨界表面張力が大きく設定されており、第2の保持体32からの水の流入抵抗を低下させ水の流入を容易にしている。第2の保持体32と第3の保持体41及び第1の保持体31を通過して、水浄化媒質14に流入した水は、水浄化媒質14と接触しながら出口部保持体16に向かって流れる。この時、水に含まれるイオン性物質等の不純物が水浄化媒質14に吸着することで取り除かれ浄化される。水浄化媒質14を通り抜けた水は出口部保持体16を通って、出口部13から浄化水として流出する。なお、入水配管17を介した入口部12への水の流入は、水を貯えた貯水タンクからポンプ等の送水手段で行うことができ、また、前記貯水タンクを水処理装置40の位置より高い位置に配置し、貯水タンクと水処理装置40との水頭差を利用して行うこともできる。
【0081】
続いて、水処理装置40から水を排水する際の水の流れと作用について説明する。
【0082】
水処理装置40に充填されている水は、水浄化媒質14及び第1の保持体31と第3の保持体41及び第2の保持体32を通って流れ、入口部12に接続された排水配管18から排水される。この時、入水配管17は入水遮断弁19により閉止されている。また、第1の保持体31は、第3の保持体41及び第2の保持体32に比べ、その臨界表面張力が小さく設定されており、第1の保持体31からの水の流出を阻害し、第1の保持体31と水浄化媒質14との界面に水が残存し、水浄化媒質14の保水状態を維持できるようにしている。
【0083】
以上のように、本実施の形態においては、水処理装置を構成する保持体を、水浄化媒質と対向する側に配置される第1の保持体と、水浄化媒質と離れ、入口部に近い位置に配置される第2の保持体と、前記第1の保持体と第2の保持体の間に配置される第3の保持体とで構成し、第1の保持体の臨界表面張力を、第3の保持体の臨界表面張力より小さい構成とし、また、第3の保持体の臨界表面張力を、第2の保持体の臨界表面張力より小さい構成することで、水処理装置に水が入水する際の流入抵抗を低減でき、また、水処理装置からの排水時において、水処理装置からの流出を阻害することで、保持体と水浄化媒質との界面に水を残存させることができるため、水浄化媒質からの水の離脱を抑えることができる。その結果、十分な流量を確保し、かつ、長期にわたり安定な運転を維持できる水処理装置が実現できることになる。
【0084】
(実施の形態5)
図5は、本発明の第5の実施の形態における水処理装置の構成図を示すものである。なお、図5において、図1と同一の構成は同じ符号を用い、説明を省略する。
【0085】
図5に示すように、本実施の形態の水処理装置50は、入口部保持体を第4の保持体51と第5の保持体52で構成した点で、実施の形態1の水処理装置とは異なる。
【0086】
ここで、第4の保持体51は水浄化媒質14と対向して配置され、第5の保持体52は水浄化媒質14と離れて、入口部12により近い位置に配置される。第4の保持体51は平均気孔径が100μmのポリプロピレン等の樹脂で構成される焼結体フィルタである。
一方、第5の保持体52は、平均気孔径が400μmのポリプロピレン等の樹脂で構成される焼結体フィルタである。
【0087】
以上のように構成された水処理装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0088】
まず、水処理装置50へ水を入水する際の水の流れと作用について説明する。
【0089】
水処理装置50には、その入口部12に接続された入水配管17を通して水が流入し、第5の保持体52を通過して水浄化媒質14に流れ込む。この時、排水配管18は排水遮断弁110により閉止されている。また、第5の保持体52は、第4の保持体51に比べ、その平均気孔径が大きく設定されており、第5の保持体52からの水の流入抵抗を低下させ水の流入を容易にしている。第5の保持体52と第4の保持体51を通過して、水浄化媒質14に流入した水は、水浄化媒質14と接触しながら出口部保持体16に向かって流れる。この時、水に含まれるイオン性物質等の不純物が水浄化媒質14に吸着することで取り除かれ浄化される。水浄化媒質14を通り抜けた水は出口部保持体16を通って、出口部13から浄化水として流出する。なお、入水配管17を介した入口部12への水の流入は、水を貯えた貯水タンクからポンプ等の送水手段で行うことができ、また、前記貯水タンクを水処理装置50の位置より高い位置に配置し、貯水タンクと水処理装置50との水頭差を利用して行うこともできる。
【0090】
続いて、水処理装置50から水を排水する際の水の流れと作用について説明する。
【0091】
水処理装置50に充填されている水は、水浄化媒質14及び第4の保持体51と第5の保持体52を通って流れ、入口部12に接続された排水配管18から排水される。この時、入水配管17は入水遮断弁19により閉止されている。また、第4の保持体51は、第5の保持体52に比べ、その平均気孔径が小さく設定されており、第4の保持体51からの水の流出を阻害し、第4の保持体51と水浄化媒質14との界面に水が残存し、水浄化媒質14の保水状態を維持できるようにしている。
【0092】
以上のように、本実施の形態においては、水処理装置を構成する保持体を、水浄化媒質と対向する側に配置される第4の保持体と、水浄化媒質と離れ、入口部に近い位置に配置される第5の保持体で構成し、第4の保持体の平均気孔径を、第5の保持体の平均気孔径より小さい構成とすることで、水処理装置に水が入水する際の流入抵抗を低減でき、また、水処理装置からの排水時において、水処理装置からの流出を阻害することで、第4の保持体と水浄化媒質との界面に水を残存させることができるため、水浄化媒質からの水の離脱を抑えることができる。その結果、十分な流量を確保し、かつ、長期にわたり安定な運転を維持できる水処理装置が実現できることになる。
【0093】
(実施の形態6)
図6は、本発明の第6の実施の形態における水処理装置の構成図を示すものである。なお、図6において、図5と同一の構成は同じ符号を用い、説明を省略する。
【0094】
図6に示すように、本実施の形態の水処理装置60は、入口部保持体の構成において、第4の保持体51と第5の保持体52との間に第6の保持体61を配置した構成とした点で、実施の形態5の水処理装置とは異なる。
【0095】
ここで、第4の保持体51は水浄化媒質14と対向して配置され、第5の保持体52は水浄化媒質14と離れて、入口部12により近い位置に配置される。第4の保持体51と第5の保持体52の間に第6の保持体61が配置される。
【0096】
第6の保持体61は平均気孔径が300μmの活性炭を主成分とする繊維状フィルタである。
【0097】
以上のように構成された水処理装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0098】
まず、水処理装置60へ水を入水する際の水の流れと作用について説明する。
【0099】
水処理装置60には、その入口部12に接続された入水配管17を通して水が流入し、第5の保持体52を通過して水浄化媒質14に流れ込む。この時、排水配管18は排水遮断弁110により閉止されている。また、第5の保持体52は、第6の保持体61及び第4の保持体51に比べ、その平均気孔径が大きく設定されており、第5の保持体52からの水の流入抵抗を低下させ水の流入を容易にしている。第5の保持体52と第6の保持体61及び第4の保持体51を通過して、水浄化媒質14に流入した水は、水浄化媒質14と接触しながら出口部保持体16に向かって流れる。この時、水に含まれるイオン性物質等の不純物が水浄化媒質14に吸着することで取り除かれ浄化される。水浄化媒質14を通り抜けた水は出口部保持体16を通って、出口部13から浄化水として流出する。なお、入水配管17を介した入口部12への水の流入は、水を貯えた貯水タンクからポンプ等の送水手段で行うことができ、また、前記貯水タンクを水処理装置60の位置より高い位置に配置し、貯水タンクと水処理装置60との水頭差を利用して行うこともできる。
【0100】
続いて、水処理装置60から水を排水する際の水の流れと作用について説明する。
【0101】
水処理装置60に充填されている水は、水浄化媒質14及び第4の保持体51と第6の保持体61及び第4の保持体51を通って流れ、入口部12に接続された排水配管18から排水される。この時、入水配管17は入水遮断弁19により閉止されている。また、第4の保持体51は、第6の保持体61及び第5の保持体52に比べ、その平均気孔径が小さく設定されており、第4の保持体51からの水の流出を阻害し、第4の保持体51と水浄化媒質14との界面に水が残存し、水浄化媒質14の保水状態を維持できるようにしている。
【0102】
以上のように、本実施の形態においては、水処理装置を構成する保持体を、水浄化媒質と対向する側に配置される第4の保持体と、水浄化媒質と離れ、入口部に近い位置に配置される第5の保持体と、前記第4の保持体と第5の保持体に間に配置される第6の保持体とで構成し、第4の保持体の平均気孔径を、第6の保持体の平均気孔径より小さい構成とし、また、第5の保持体の平均気孔径を、第6の保持体の平均気孔径より小さい構成とすることで、水処理装置に水が入水する際の流入抵抗を低減でき、また、水処理装置からの排水時において、水処理装置からの流出を阻害することで、第4の保持体と水浄化媒質との界面に水を残存させることができるため、水浄化媒質からの水の離脱を抑えることができる。その結果、十分な流量を確保し、かつ、長期にわたり安定な運転を維持できる水処理装置が実現できることになる。
【0103】
なお、上記した各実施の形態において、水処理装置から水を排水した状態で放置する際に、出口部からの水の蒸発を抑止し、水浄化媒質の保水状態をより向上させるため、出口部保持体の水浄化媒質と対向する対向面の臨界表面張力を小さくする構成がより好ましい。また、上記した各実施の形態においては、水浄化媒質としてイオン交換樹脂を使用しているが、これに限られるわけではなく、活性炭、ゼオライトなどの水浄化媒質、または、これら水浄化媒質を複数混合して利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明に係る水処理装置は、水処理装置の入口部における入水抵抗と、
水処理装置の放置時における、水浄化媒質からの水分の離脱を軽減できるため、十分な流量を確保し、かつ、長期に亘り安定な運転を確保する水処理装置を利用する燃料電池システム等の産業分野に適用できる。
【符号の説明】
【0105】
10,20,30,40,50,60 水処理装置
11 容器
12 入口部
13 出口部
14 水浄化媒質
15、21 入口部保持体
16、22 出口部保持体
17 入水配管
18 排水配管
19 入水遮断弁
110 排水遮断弁
31 第1の保持体
32 第2の保持体
41 第3の保持体
51 第4の保持体
52 第5の保持体
61 第6の保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が通水する入口部及び出口部を有する容器と、該容器の内部に保持される水浄化媒質と、前記容器の入口部に配置され、前記水浄化媒質を保持する保持体とを具備する水処理装置であって、
前記保持体は、該保持体の水浄化媒質が対向する側の表面の臨界表面張力が、該保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力より小さい保持体であることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記保持体は、該保持体の水浄化媒質が対向する側の表面が撥水処理され、かつ、該保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面が親水処理されている保持体であることを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
【請求項3】
前記保持体は、多孔製金属板で形成され、該多孔製金属板の水浄化媒質が対向しない側の表面が不動態化処理されている多孔製金属板であることを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
【請求項4】
前記保持体は、前記水浄化媒質が対向する側に配置される第1の保持体と、前記水浄化媒質が対向しない側に配置される第2の保持体とが積層されて形成され、前記第1の保持体における前記水浄化媒質が対向する側の表面の臨界表面張力が、前記第2の保持体の水浄化媒質が対向しない側の表面の臨界表面張力より小さいことを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
【請求項5】
前記保持体は、前記第1の保持体と前記第2の保持体との間に積層された第3の保持体を備え、前記第1〜前記第3の保持体の互いに隣接する各表面の臨界表面張力は、前記水浄化媒質に近い側の表面の臨界表面張力が前記水浄化媒質に遠い側の表面の臨界表面張力より小さいことを特徴とする請求項4記載の水処理装置。
【請求項6】
前記保持体は多孔体で形成されると共に、前記水浄化媒質が対向する側に配置される第4の保持体と、前記水浄化媒質が対向しない側に配置される第5の保持体とが積層されて形成され、前記第4の保持体が有する多孔体の平均孔径は前記第5の保持体が有する多孔体の平均孔径より小さいことを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
【請求項7】
前記保持体は、前記第4の保持体と前記第5の保持体との間に積層された第6の保持体を備え、前記第4〜前記第6の保持体の互いに隣接する多孔体の平均孔径は前記水浄化媒質に近い側の多孔体の平均孔径が前記水浄化媒質に遠い側の多孔体の平均孔径より小さいことを特徴とする請求項6記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−50902(P2012−50902A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193445(P2010−193445)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】