説明

水処理装置

【課題】排水することなく経路内を空にして殺菌することのできる水処理装置を得る。
【解決手段】原水供給部2から供給された原水を浄化部4で浄化して浄水供給経路3に通水する。少なくとも浄水供給経路3内の水を溜めることができる貯留部5と、殺菌成分を含む殺菌流体を生成して浄水供給経路3内に供給可能な殺菌流体生成部8と、殺菌の終了時に浄水供給経路3内の殺菌流体を回収して殺菌成分を分解する殺菌成分分解部81と、を設ける。そして、浄水供給経路3の殺菌時に、浄水供給経路3内の水を貯留部5に移送する。この移送させた水は殺菌後に原水として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水などの原水を浄化して浄水を生成する水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水道水や井戸水などの原水を浄化して浄水を生成する水処理装置では、ある程度の使用期間が経過した時に経路内を殺菌することが提案されており、その一例として、オゾンガスを用いて殺菌する水処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−337324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の水処理装置では、オゾンガスで殺菌する際に殺菌する経路内を一旦空の状態として、その空となった経路内にオゾンガスを所定濃度で充満させる必要がある。このとき、特許文献1の水処理装置では、経路内を水抜きして排水することにより空にするようにしている。
【0005】
したがって、殺菌する度に水抜き作業が必要となって作業性が悪いものとなり、また、水抜きした水が排水されるため、経済性も悪くなってしまう恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、排水することなく経路内を空にして殺菌することのできる水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、原水供給部と、前記原水供給部から供給された原水を浄化して浄水供給経路に通水する浄化部と、少なくとも前記浄水供給経路内の水を溜めることができる貯留部と、殺菌成分を含む殺菌流体を生成し当該殺菌流体を前記浄水供給経路内に供給可能な殺菌流体生成部と、殺菌の終了時に前記浄水供給経路内の殺菌流体を回収して殺菌成分を分解する殺菌成分分解部と、を備え、前記浄水供給経路の殺菌時に、当該浄水供給経路内の水を前記貯留部に移送することを要旨とする。
【0008】
第2の特徴は、前記貯留部が、前記原水供給部を兼ねることを要旨とする。
【0009】
第3の特徴は、前記浄化部の下流側に、前記浄水供給経路内の水を前記浄化部に逆流させて前記貯留部に移送する水逆流部を設けたことを要旨とする。
【0010】
第4の特徴は、前記貯留部を、前記浄水供給経路よりも下方に配置したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水処理装置によれば、浄水供給経路を殺菌する際には、浄水供給経路内の水を貯留部に移送して浄水供給経路内を空とし、この空となった浄水供給経路に殺菌流体生成部で生成した殺菌流体を供給する。殺菌が終了すると浄水供給経路内の殺菌流体を殺菌成分分解部で分解する。このように、殺菌時には浄水供給経路内の水を貯留部に一旦退避させておくことができるため水抜き作業が不要となり、殺菌時の作業性を向上させることができる。また、殺菌終了後は退避させた水を再利用できるため、経済性をも高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる水処理装置の第1実施形態を概略的に示す全体構成図である。
【図2】図1に示す水処理装置の通水モードを示す全体構成図である。
【図3】図1に示す水処理装置の殺菌モードを示す全体構成図である。
【図4】本発明にかかる水処理装置の第2実施形態を概略的に示す全体構成図である。
【図5】本発明にかかる水処理装置の第3実施形態を概略的に示す全体構成図である。
【図6】本発明にかかる水処理装置の第4実施形態を概略的に示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1〜図3は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置1を示した図である。本実施形態の水処理装置1は、水道水や井戸水などの原水を浄化して飲用に適する浄水を生成し、且つ、浄水供給経路3内の殺菌処理を可能とするものである。
【0015】
すなわち、図1に示すように、本実施形態の水処理装置1は、原水供給部2と、この原水供給部2から供給された原水を浄化して浄水供給経路3に通水する浄化部4と、少なくとも浄水供給経路3内の水を溜めることができる貯留部5と、を備えている。また、水処理装置1は、上述した原水供給部2、浄水供給経路3、浄化部4、貯留部5などがカバーなどで覆われて本体部11が構成されている。
【0016】
原水供給部2は、図示省略した水道管などの原水源に接続されて本体部11内に原水を取り込む原水給水路21と、本体部11内に設けられて原水給水路21の端末に配置される原水給水弁22とを備えている。原水給水弁22は、本実施形態では三方弁で構成されており、1つの弁口に原水給水路21が接続され、もう1つの弁口に浄化部4の原水導入路41が接続され、残りの弁口に貯留部5の底部に連通する循環給水路51が接続されている。この循環給水路51には、貯留部5内の水を原水給水弁22を介して浄化部4に圧送する循環ポンプP1が設けられている。
【0017】
浄化部4は、原水を浄化して浄水を生成する機能を有しており、MF膜(精密ろ過膜)、UF膜(限外ろ過膜)またはRO膜やNF膜(逆浸透膜)などの分離膜を用いて構成されている。また、これら分離膜以外にも水の浄化を可能とする他の手段を用いることもできる。例えば、活性炭などの吸着材料や中空糸膜または砂ろ過やイオン交換樹脂などを用いることができる。
【0018】
浄水供給経路3は、浄化部4の出口に連通する浄水流出路42と、この浄水流出路42から二股状に分岐して設けられる冷水路31と熱水路32とを備えている。
【0019】
冷水路31には、下流側端末部に冷水吐水弁33が設けられており、この冷水吐水弁33から冷水吐水口34が本体部11の外側に延びている。また、熱水路32には、下流側端末部に熱水吐水弁35が設けられており、この熱水吐水弁35から熱水吐水口36が本体部11の外側に延びている。
【0020】
熱水路32の途中には、加熱部61を内臓した熱水貯留部6が設けられている。そして、熱水路32の一次側(上流側)が熱水貯留部6の上部に接続されているとともに、二次側(下流側)が熱水貯留部6の下部に接続されている。また、熱水貯留部6内の水は、加熱部61により所定温度に加温されるようになっている。
【0021】
熱水貯留部6と熱水吐水弁35との間の経路には流路切替弁37が設けられている。流路切替弁37は三方弁で構成されており、1つの弁口に熱水路32の熱水貯留部6側が接続され、もう1つの弁口に熱水路32の熱水吐水弁35側が接続され、残りの弁口には殺菌流体の循環路7が接続されている。
【0022】
熱水貯留部6から流路切替弁37に至る二次側の熱水路32の途中には、熱水を熱水吐水口36方向へと圧送する熱水供給ポンプP2が設けられている。
【0023】
循環路7は、殺菌流体を流す際には、流路切替弁37に接続される方向が下流側となり、上流側となる反対側端は熱水路32の熱水貯留部6よりも上流側に連通されている。この循環路7には、殺菌時に稼働して殺菌流体を下流側へと移送する一時給水ポンプP3が設けられている。また、この一時給水ポンプP3の下流側で分岐した分岐路71は、貯留部5の上部に接続されている。
【0024】
また、貯留部5の下部にはドレン管52が接続されている一方で、熱水貯留部6の下部にもドレン管62が接続されている。そして、ドレン管52には冷水排水弁53が設けられており、ドレン管62には熱水排水弁63が設けられている。したがって、メンテナンス時などにあって排水弁53、63を開弁することにより、貯留部5内および熱水貯留部6内を空にすることができる。
【0025】
ここで、冷水路31の冷水吐水弁33の上流側と、熱水吐水弁35と流路切替弁37との間の熱水路32と、を連通する連通路38が設けられている。そして、この連通路38の冷水吐水弁33寄りに殺菌流体生成部としてのオゾン生成部8と、熱水吐水弁35寄りに殺菌成分分解部としてのオゾン分解部81とが直列に設けられる。
【0026】
オゾン生成部8は、殺菌流体としてのオゾンガスを生成し、このオゾンガスを浄水供給経路3内に供給可能となっている。また、オゾン分解部81は、浄水供給経路3内の殺菌終了時に、この浄水供給経路3内のオゾンガスを回収して殺菌成分であるオゾンを分解するようになっている。
【0027】
水処理装置1には、図示省略した操作パネルが本体部11に備わっており、この操作パネルの操作信号は制御部9に送られて、水処理装置1の各種電気機器を制御するようになっている。この電気機器としては、加熱部61、オゾン生成部8、原水給水弁22、流路切替弁37、冷水吐水弁33、熱水吐水弁35および循環ポンプP1、熱水供給ポンプP2、一時給水ポンプP3があり、これらが制御部9によって制御される。なお、冷水排水弁53および熱水排水弁63は、必要に応じて手動で開閉するようになっている。また、図1中に示す2点鎖線は、制御部9と各種電気機器とを電気的に接続する配線である。
【0028】
ところで、熱水貯留部6の加熱部61は、一般に用いられる抵抗発熱式のヒータであってもよいが、ペルチェ素子を用いても構成できる。すなわち、ペルチェ素子は、一般に知られるように放熱側と吸熱側とを備えており、この場合はペルチェ素子の放熱側を利用して熱水貯留部6内の水を加温することになる。
【0029】
そして、制御部9によって加熱部61を制御する場合は、熱水貯留部6内に水温センサを設け、この水温センサの検出値を制御部9にフィードバックして制御することが好ましい。この場合、温めようとする熱水の温度は、60゜C前後〜95゜C前後の範囲に設定されることが好ましいが、所望する一定の温度、例えば、60゜C、80゜C、95゜C以上などの特定の温度として設定してもよい。
【0030】
制御部9は、熱水貯留部6内の熱水が所望の温度に達すると、流路切替弁37を切り替えると同時に熱水吐水弁35を開弁し、そして、熱水供給ポンプP2を稼働する。これにより、熱水貯留部6内の熱水が熱水吐水口36から吐水されることになる。この場合、熱水貯留部6に保温機能を設けて、水処理装置1が停止している時も加熱部61を作動して、熱水貯留部6内の水温を所定温度(例えば、60゜C)に保温しておくこともできる。
【0031】
また、上述したようにペルチェ素子を加熱部61として用いた場合は、このペルチェ素子の吸熱側を利用して図示しない冷水貯留部を構成することができる。このように冷水貯留部を設けた場合は、熱水以外にも冷水を利用できるようになる。
【0032】
水処理装置1は、冷水または熱水を吐水できる通水モードと、浄水供給経路3を殺菌する殺菌モードとが備わっており、これらのモードは操作パネルによって選択できるようになっている。
【0033】
「通水モード」
利用者が操作パネルで通水モードを選択すると、原水給水路21と原水導入路41とを連通するように原水供給弁22が切り替わる。すると、図2中に点線で示すように、原水給水路21から供給される原水は浄化部4で浄化されて浄水となり、この浄水は冷水路31および熱水路32に流入する。熱水路32に流入した浄水は熱水貯留部6に溜められるが、この溜められた水を加熱部61によって予備加熱しておくことが好ましい。
【0034】
そして、操作パネルで冷水を選択した場合は冷水吐水弁33が開弁し、浄化部4で生成された浄水は冷水路31を経由して冷水吐水口34から吐出される。なお、水処理装置1に備わる各種弁は、図2に示すように、白抜きの三角が連通状態、黒塗りの三角が遮断状態を示しており、これは図3にあっても同様とする。
【0035】
一方、操作パネルで熱水を選択した場合は、上述したように熱水貯留部6内の熱水が所望の温度に達した時点で、流路切替弁37が切り替わると同時に熱水吐水弁35が開弁する。これにより、図2中に一点鎖線で示すように、熱水貯留部6内の熱水は、熱水供給ポンプP2の稼働によって熱水貯留部6の二次側の熱水路32を経由して熱水吐水口36から吐水される。
【0036】
操作パネルによって通水を停止すると、冷水吐水弁33および熱水吐水弁35が共に閉弁状態となり、且つ、原水給水弁22は原水導入路41と循環給水路51とを連通するように切り替わる。
【0037】
「殺菌モード」
利用者が操作パネルで殺菌モードを選択すると、一時給水ポンプP3が稼働して浄水供給経路3内の水、詳細には図3中破線で示す冷水路31および熱水路32内の水を循環路7を通過させて貯留部5内に移送する。したがって、本実施形態で殺菌する浄水供給経路3とは、水を貯留部5に移送して空となる部分であり、本実施形態では図3中破線で示す部分となる。よって、以下に述べる浄水供給経路3とは、水を移送した後に殺菌される部分を示し、冷水路31および熱水路32の図3中破線で示す部分となる。このとき循環路7も同時に殺菌される部分となる。
【0038】
このように浄水供給経路3内の水が貯留部5に移送されることにより、殺菌モードでは、浄水供給経路3内の水が貯留部5内に一旦退避されることになる。つまり、このように貯留部5内に水を退避させることにより、殺菌しようとする上記浄水供給経路3内を空にすることができる。
【0039】
このとき、熱水貯留部6内の熱水も貯留部5に退避させてもよいが、後述するように貯留部5内の水を再利用する際に水温に影響するため、熱水貯留部6内の熱水はそのままにしておく方が好ましい。また、熱水貯留部6および熱水貯留部6の二次側の熱水路32は熱水により加熱殺菌されるため、必ずしも本実施形態のオゾン殺菌を施す必要はない。
【0040】
また、浄水供給経路3内の水を貯留部5内に移送して、浄水供給経路3内が空になった状態を検知するにあたって、貯留部5に水位センサを設けたり制御部9にタイマーを内臓する等し、これら水位センサまたはタイマーで空状態を検知するようにしている。
【0041】
このように浄水供給経路3内が空になったことを検知すると、オゾン生成部8が稼働するとともに、図3に示すように、流路切替弁37が循環路7とオゾン分解部81とを連通するように切り替わる。すると、オゾン生成部8で生成されたオゾンガスは、図3中破線および矢印に示すように、一時給水ポンプP3によって冷水路31を通過して熱水路32に流入し、そして、循環路7を通過した後に流路切替弁37を介してオゾン分解部81に至る。これにより、オゾンガスが通過する経路が殺菌されることになる。このとき、図示省略したが、分岐路71から貯留部5にオゾンガスが入り込まない構造が施されている。そして、最終的にオゾン分解部81に至ったオゾンガスは、このオゾン分解部81によって分解されて無毒化される。
【0042】
そして、殺菌モードが完了すると貯留部5に退避させてあった水が再度原水として用いられる。すなわち、殺菌モードの終了によって循環ポンプP1が稼働し、貯留部5内の水は循環給水路51から原水供給弁22および原水導入路41を通って浄化部4に供給される。したがって、浄化部4で浄化された浄水は冷水路31および熱水路32に流入されることになり、上述した通水モードを実行できることになる。
【0043】
殺菌モードは、利用者が手動で操作パネルを操作することによって選択することもできるが、自動で殺菌モードとなるように制御してもよい。例えば、タイマーなどによって所定の時間帯に殺菌モードを実行させることができる。この場合、使用頻度の少ない夜中に自動で殺菌モードとなるように制御することが好ましい。
【0044】
ところで、本実施形態のオゾン生成部8としては、放電方式や紫外線方式などによるオゾンガスの生成手段を用いるようにしている。また、オゾンガスに限ること無く、エチレンオキシド、ホルムアルデヒトなどの殺菌成分を有する流体であっても良い。
【0045】
オゾン分解部81は、活性炭や紫外線、またはヒータなどのオゾンを分解できる手段であればどのような構造であってもよい。また、オゾン分解部として紫外線やヒータを用いる場合、制御部9によってオゾン分解部81を自動制御することが好ましい。つまり、殺菌状態を維持している時はオゾン分解部81を停止しておき、殺菌が終了した時にオゾン分解部81を稼働してオゾンを分解するようにする。
【0046】
また、殺菌モードでは、別途にオゾン濃度検知手段を設けて、安全な濃度まで分解されたことを確認できるようにしてもよい。その場合、オゾン濃度検知手段として例えば紫外線吸収法を用いることができ、これは波長254nm付近の紫外線を照射して吸光度を測定することによりオゾン濃度を検出できる。
【0047】
さらに、その他のオゾン濃度検知手段として半導体センサを用いることによっても達成できる。すなわち、In2O3やSnO3などの半導体は、オゾンガスの吸着によって電気伝導度が変化する特徴があり、半導体の薄膜表面をオゾンによって酸化させた薄膜の電気抵抗値の変化を測定することでオゾン濃度を検出できる。
【0048】
さらにまた、オゾンは着色料として使用されるインジゴカルミンの青色を白色に変化させる特徴を有しており、この原理を利用してオゾン濃度を検出するようにしてもよい。勿論、これら以外の方法にあってもオゾン濃度を検知できればどのような手段でも用いることができる。
【0049】
以上、説明してきたように、本実施形態の水処理装置1によれば、通水モードでは、原水供給部2から供給された原水を浄化部4で浄化し、その浄水を浄水供給経路3の冷水路31および熱水路32に通水する。そして、冷水吐水弁33を開弁することにより冷水吐水口8から冷水を吐水できる一方、熱水吐水弁35を開弁することにより熱水吐水口36から熱水を吐水できる。
【0050】
次に、殺菌モードでは、浄水供給経路3内の水を一旦貯留部5に退避させて浄水供給経路3内を空とし、この空となった浄水供給経路3に殺菌流体生成部8で生成したオゾンガスを供給して殺菌する。殺菌が終了すると浄水供給経路3内の殺菌流体の殺菌成分を殺菌成分分解部81で分解し、その後に貯留部5に退避させた水を原水として再度用いることができる。
【0051】
したがって、殺菌時には浄水供給経路3内の水を貯留部5に退避させておくことができるため水抜き作業が不要となり、殺菌時の作業性を向上させることができる。また、殺菌終了後は退避させた水を原水として再利用できるため経済性をも高めることができる。
【0052】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態を示した図であり、上記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0053】
本実施形態の水処理装置1Aが上記第1実施形態と主に異なる点は、貯留部5Aに原水供給部を兼ねさせたことにある。
【0054】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Aは、上記第1実施形態に示した原水給水路21、原水給水弁22および原水導入路41をなくして、貯留部5Aから循環給水路51を介して直接原水を浄化部4に取り込むようになっている。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0055】
したがって、本実施形態の貯留部5Aは、予め原水を溜めておく容量と、浄水供給経路3から退避させる水量とを合わせた量以上の容積が確保されている。ここでは、本実施形態の貯留部5Aを第1の実施形態の貯留部5と区別するために原水貯留部5Aとして以下説明する。
【0056】
原水貯留部5Aは、第1の実施形態と同様に下部に循環給水路51が接続されているが、本実施形態では、この循環給水路51は浄化部4に直接接続され、その循環給水路51の途中に循環ポンプP1が設けられている。
【0057】
このように原水供給部を兼ねた原水貯留部5Aは、原水を注入するための図示省略した扉が設けられている。この場合、その扉を開いて原水を直接原水貯留部5A内に注入してもよく、また、原水を注入するための図示省略した配管を設け、開いた扉からその配管を挿入して原水を注入してもよい。この場合、原水貯留部5Aは必ずしも本体部11内に設置する必要はなく、また、原水の注入時以外は扉を密閉して原水貯留部5A内が外気と遮断されていることが好ましい。
【0058】
勿論、本実施形態にあっても通水モードと殺菌モードとを有しており、操作パネルによって通水モードが選択されると、循環ポンプP1が稼働して原水貯留部5Aに貯留されている原水が浄化部4に供給されて浄化される。そして、浄化された浄水は、第1の実施形態と同様に冷水路31および熱水路32に通水されることになる。その後、冷水吐水口34および熱水吐水口36から吐水されるまでの動作は第1の実施形態と同様であり、ここではその説明を省略するものとする。
【0059】
一方、操作パネルによって殺菌モードが選択されると、第1の実施形態と同様に一時給水ポンプP3が稼働し、浄水供給路3内の水が循環路7から分岐路71を経由して原水貯留部5Aへと退避される。その後、空となった浄水供給路3にオゾン生成部8で生成したオゾンガスを供給して殺菌し、そして、殺菌が終了するとオゾン分解部81でオゾンが分解されることになり、この殺菌工程は第1の実施形態と同様である。
【0060】
そして、殺菌が完了すると、循環ポンプP1の稼働により、原水貯留部5Aに退避させてあった水、つまり、元の原水と混合された水を循環給水路51を介して浄化部4に導入し、その原水貯留部5Aの水を再度原水として用いることができる。
【0061】
以上、説明してきたように、本実施形態の水処理装置1Aによれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏するのは勿論のこと、それに加えて第1の実施形態の貯留部5を原水貯留部5Aとして原水供給部を兼ねるようにしている。これにより、原水給水路21や原水給水弁22(図1参照)が不要となって水処理装置1Aのコンパクト化を図ることができる。
【0062】
また、このように原水給水路21の引き込みがなくなるので、コンパクト化と相俟って水処理装置1Aを移動式とすることができ、電源さえ確保できれば装置の設置場所を容易に変更することができるようになる。
【0063】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態を示した図であり、上記第2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0064】
本実施形態の水処理装置1Bが上記第2実施形態と主に異なる点は、浄化部4の下流側に水逆流部としての逆流用ポンプP4を設け、浄水供給経路3内の水を浄化部4に逆流させつつ貯留部としての原水貯留部5Aに退避させるようにしたことにある。
【0065】
このとき、循環給水路51は、原水貯留部5Aの上部に接続されているので、浄水供給経路3内の水を退避させる際、原水貯留部5Aの上部から流入することになる。また、流路切替弁37に繋がる循環路7は、熱水路32ではなく浄水流出路42に接続されており、また、一時給水ポンプP3(図4参照)が廃止されている。その他の構成は上記第2実施形態と同様である。
【0066】
勿論、本実施形態にあっても通水モードと殺菌モードとを有しており、操作パネルによって通水モードが選択されると、循環ポンプP1が稼働して原水貯留部5Aに貯留されている原水が浄化部4に供給されて浄化される。そして、浄化された浄水は冷水路31および熱水路32に通水されることになり、その後、冷水吐水口34および熱水吐水口36から吐水されるまでの動作は第2の実施形態と同様である。
【0067】
一方、操作パネルによって殺菌モードが選択されると、逆流用ポンプP4が稼働し、浄水供給路3内の水が冷水路31から浄水流出路42を介して浄化部4へと逆流する。そして、浄化部4を逆流した水は循環給水路51を経て原水貯留部5Aへと退避される。このとき、循環ポンプP1は停止しており、逆流した水は循環ポンプP1を通過するようになっている。
【0068】
次に、空となった浄水供給路3にオゾン生成部8で生成されたオゾンガスを供給して殺菌し、そして、殺菌が終了するとオゾン分解部81でオゾンが分解されることになり、この殺菌工程は第2の実施形態と同様である。そして、殺菌が完了すると、第2の実施形態と同様に原水貯留部5Aに退避させてあった水を再度原水として用いることができる。
【0069】
以上、説明してきたように、本実施形態の水処理装置1Bによれば、上記第2実施形態と同様の効果を奏するのは勿論こと、これに加えて逆流用ポンプP4を設けて、浄水供給経路3内の水を浄化部4に逆流させつつ原水貯留部5Aに移送させるようにしている。これにより、浄水供給経路3内の水を原水貯留部5Aに退避させるための流路(図4の分岐路71)を別途設ける必要がないので、流路が複雑化してしまうのを抑制することができる。
【0070】
また、浄水供給経路3内の水を退避させる際に浄化部4を逆流するので、その逆流水によって浄化部4の目詰まりを除去でき、浄化部4の寿命を延ばすことができるという利点もある。
【0071】
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態を示した図であり、上記第3実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0072】
本実施形態の水処理装置1Cが上記第3実施形態と主に異なる点は、貯留部としての原水貯留部5Aを、浄水供給経路3よりも下方に配置したことにある。
【0073】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Cは、浄水供給経路3の少なくとも殺菌時に空となる冷水路31よりも重力方向で下方に原水貯留部5Aを配置し、冷水路31内の水を重力によって原水貯留部5Aに退避させるようにしている。これにより、上記第3実施形態の逆流用ポンプP4が不要となり、この逆流用ポンプP4を廃止することができる。
【0074】
このとき、退避させる水は浄化部4を逆流して循環給水路51に流入するが、本実施形態では浄化部4から原水貯留部5Aに流入し易いように、循環給水路51を浄化部4の上部に接続している。そして、殺菌が完了すると、第3の実施形態と同様に原水貯留部5Aに退避させてあった水を再度原水として用いることができる。なお、原水貯留部5A内の水を浄化部4へと汲み上げる際には、図6では図示省略したが循環ポンプP1が備える管を用いることで行うことができる。よって、循環ポンプP1の管は原水貯留部5Aの下部まで延びた状態で配置されるのが好ましい。
【0075】
このように、本実施形態では原水貯留部5Aと浄水供給経路3との上下関係を特定した場合であり、逆流用ポンプP4を廃止した以外は基本的に第3の実施形態の水処理装置1Bと同様の構成となる。
【0076】
以上、説明してきたように、本実施形態の水処理装置1Cによれば、上記第3実施形態と同様の作用効果を奏するのは勿論のこと、これに加えて原水貯留部5Aが浄水供給部3よりも下方に配置されている。したがって、循環ポンプP1が停止すると、浄水供給路3内の水が重力により自動的に原水貯留部5Aに退避されることになる。これにより、逆流用ポンプP4が不要となるため、水処理装置1Cの構造が簡素化され、よりコンパクト化および低コスト化を図ることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、特徴部分を上記第3実施形態に適用した場合を示したが、上記第1および第2実施形態にあっても適用することができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1、1A、1B、1C 水処理装置
2 原水供給部
3 浄水供給経路
4 浄化部
5 貯留部
5A 原水貯留部(貯留部)
8 殺菌流体生成部
81 殺菌成分分解部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水供給部と、
前記原水供給部から供給された原水を浄化して浄水供給経路に通水する浄化部と、
少なくとも前記浄水供給経路内の水を溜めることができる貯留部と、
殺菌成分を含む殺菌流体を生成し当該殺菌流体を前記浄水供給経路内に供給可能な殺菌流体生成部と、
殺菌の終了時に前記浄水供給経路内の殺菌流体を回収して殺菌成分を分解する殺菌成分分解部と、を備え、
前記浄水供給経路の殺菌時に、当該浄水供給経路内の水を前記貯留部に移送することを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記貯留部が、前記原水供給部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記浄化部の下流側に、前記浄水供給経路内の水を前記浄化部に逆流させて前記貯留部に移送する水逆流部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記貯留部を、前記浄水供給経路よりも下方に配置したことを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−66822(P2013−66822A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205449(P2011−205449)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】