説明

水処理設備および水処理機器の吊り上げ装置

【課題】液体中に没して目視することのできない状態の水処理機器を水槽外から正確に操作することができる水処理設備および水処理機器の吊り上げ装置を提供する。
【解決手段】水処理機器1と、水処理機器1を浸漬する処理槽2と、処理槽2の内外にわたって昇降する吊り上げ装置3を備え、槽内に吊り上げ装置3を位置決めするための基準となる基準部21を有し、吊り上げ装置3は、水処理機器1を伴って槽体の内外にわたって昇降可能な本体部31と、水処理機器1の吊り部11に着脱可能な接続部32と、槽内の基準部21に対して本体部を位置決めして接続部を水処理機器の吊り部に対応させる位置決め部36を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理設備および水処理機器の吊り上げ装置に関し、下水処理、工場廃水処理、浄水処理、その他の水処理を行なう水処理機器に係る技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水処理機器には膜分離装置等があり、水槽内に水没して設置するものであるために、メンテナンスや交換等のためには水槽内から水処理機器を引き上げる必要がある。このような場合には、水槽内の液体を排出して水処理機器を液面上に露出させたうえで、吊り上げ装置と水処理機器を連結し、クレーン等により吊り上げ装置と水処理機器を一体的に引き上げている。
【0003】
また、図20に示すように、水槽701の内部に水没して設置する水処理機器702を水槽701の内部の液体を排出せずに取り出すための構成として、チェーン等の牽引具703の一端を水処理機器702に連結し、牽引具703の他端を液面より上方の位置に取り出して配置するものがある。
【0004】
先行技術文献としては特許文献1がある。この特許文献1では、曝気槽内に設置する膜ユニットが濾過水配管と吸引管との接続部に自動着脱継手を介在させており、曝気槽と洗浄槽との間の上方部にレールを配置し、自動ロック式クランプ装置を備えたホイストをレール上で移動可能に設けている。膜ユニットにはクランプ装置でクランプするための吊りピースを取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−309350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、水槽内の液体を排出して水処理機器を液面上に露出させる場合に、水槽内の液体はその状態で公共下水路へ排出することはできないので、排出する液体を一時的に貯留する水槽または排水を受け入れる処理設備が必要である。また、吊り上げ装置と水処理機器との連結作業は水槽の外部から行なうことはできず、作業者が水槽内に入って連結作業を行なう必要があった。
【0007】
図20に示すように、予め牽引具703を水処理機器701に接続しておく場合には、水槽701から水処理機器702を搬出するための吊り上げ代が水処理機器701の全高と牽引具703の長さとを合わせた距離となり、この吊り上げ代を水槽701の上方の作業空間に確保する必要がある。
【0008】
作業空間に十分な吊り上げ代を確保できない場合には、クレーン等704により吊り上げ装置を限界位置まで引き上げた状態でも、図20(b)に示すように、水処理機器702が水槽701の内部に位置する状態となり、水処理機器702を完全に水槽701の外へ搬出するためには吊り上げ装置700に接続する牽引具703の連結位置を変更するための吊り替え作業が必要であった。
【0009】
特許文献1のように、クランプ装置を使用するものでは、水処理機器を水深の深い位置に設置する場合や液体が汚泥等の濁ったものである場合に、液体中に没している水処理機器の吊りピースを液面上から目視できないので、クランプ装置を吊りピースに対応する位置に正確に降ろすことが困難であり、クランプ装置が吊りピースを確実に把持したか、否かを視認することができない。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するものであり、液体中に没して目視することのできない状態の水処理機器を水槽外から正確に操作することができる水処理設備および水処理機器の吊り上げ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の水処理設備は、水処理機器と、水処理機器を浸漬する槽体と、槽体の内外にわたって昇降する吊り上げ装置を備え、槽内に吊り上げ装置を位置決めするための基準となる基準部を有し、吊り上げ装置は、水処理機器を伴って槽体の内外にわたって昇降可能な本体部と、水処理機器の吊り部に着脱可能な接続部と、槽内の基準部に対して本体部を位置決めして接続部を水処理機器の吊り部に対応させる位置決め部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の水処理設備において、吊り上げ装置を位置決めするための基準となる基準部は、水処理機器を位置決めする基準部を兼ねることを特徴とする。
本発明の水処理機器の吊り上げ装置は、水処理機器を伴って槽体の内外にわたって昇降可能な本体部と、水処理機器の吊り部に着脱可能な接続部と、槽内の基準部に対して本体部を位置決めして接続部を水処理機器の吊り部に対応させる位置決め部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の水処理機器の吊り上げ装置において、接続部は、水処理機器の吊り部に係合する係合位置と吊り部に係合しない非係合位置とにわたって変位可能な係合部と、係合部を槽外から変位操作する係合操作部を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の水処理機器の吊り上げ装置において、接続部は、係合部を係合位置もしくは非係合位置に保持するロック部を有することを特徴とする。
本発明の水処理機器の吊り上げ方法は、水処理機器を伴って槽体の内外にわたって昇降可能な吊り上げ装置の本体部を、吊り上げ装置の位置決め部で槽内の基準部に対して位置決めすることにより、吊り上げ装置の接続部を水処理機器の吊り部に対応させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、吊り上げ装置と水処理機器との脱着を目視確認することができない液中部においても、吊り上げ装置の接続部を水処理機器の吊り部に確実に対応させることができ、槽内の液体を槽外へ排出する必要がなくなる。
【0016】
吊り上げ装置を水処理機器に直接固定するので、水槽から水処理機器を搬出するための吊り上げ代が概ね水処理機器の全高となり、吊り上げ代を水槽の上方の作業空間に確保することが容易であり、従来のように牽引具の連結位置を変更する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置を示す模式図
【図2】同吊り上げ装置を示す斜視図
【図3】同吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図4】同吊り上げ装置のロック状態を示す斜視図
【図5】同吊り上げ装置のロック解除状態を示す斜視図
【図6】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置を示す平面図
【図7】同吊り上げ装置を示す側面図
【図8】同吊り上げ装置の接続部の動作を示す側面図
【図9】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置を示す斜視図
【図10】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図11】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図12】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図13】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図14】同吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図15】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図16】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図17】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図18】本発明の他の実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の要部を示す斜視図
【図19】同実施の形態における水処理機器の吊り上げ装置の作用を示す平面図
【図20】従来の水処理機器の吊り上げ装置の要部を示し、(a)は吊り上げ前、(b)は吊り上げ完了を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図5に示すように、水処理設備は、浸漬型膜分離装置等の水処理機器1と、被処理液を貯留して水処理機器1を浸漬する処理槽2と、水処理機器1を処理槽2の内外にわたって昇降させる吊り上げ装置3と、吊り上げ装置3を昇降駆動するホイストクレーン等の揚重機4を備えており、揚重機4のワイヤー、チェーン等の索体41で吊り上げ装置3を懸垂支持している。揚重機4はレール等に沿って水平方向に移動可能である。
【0019】
吊り上げ装置3は、水処理機器1を伴って処理槽2の内外にわたって昇降可能な四角形の枠状をなす本体部31を有しており、本体部31はワイヤー、チェーン等の索体311および吊り環312を有し、吊り環312に揚重機4の索体41の先端に取り付けたフック42が掛かっている。本体部31は、水処理機器1の平面形状の四角形と略等しい形状をなして、水処理機器1の吊り部11に着脱可能な接続部32を備えており、水処理機器1の吊り部11は断面四角形の桟材111に係止孔112を設けたものである。
【0020】
接続部32は本体部31の四隅のそれぞれに配置した係合部33を備えている。係合部33は、軸部331を本体部31に対して軸心廻りに回転自在に配置してあり、軸部331の下端に吊り部11の係止孔112に挿入可能な係合爪332を有し、軸部331の上端に本体部31に当接する複数のストッパー部333を有しており、ストッパー部333は軸部331の周囲に放射状に設けている。係合部33は軸部331の軸心廻りに回転することで、係合爪332が吊り部11に係合する係合位置と吊り部11に係合しない非係合位置とにわたって回動して変位する。
【0021】
接続部32は係合部33を槽外から変位操作する係合操作部34を有しており、係合操作部34は本体部31に配置したドライブ軸341とドライブ軸341を回転駆動するベルト342を有し、ドライブ軸341と係合部33との間をリンク、カム、ギヤ等によって連動可能に連結している。
【0022】
接続部32は係合部33を係合位置もしくは非係合位置に保持するロック部35を有しており、ロック部35は本体部31に上下動自在に配置したロッド351と、ロッド351に固定した昇降棒352と、昇降棒352に設けたロック爪353を有し、ロック爪353が係合部33のストッパー部333に係合するロック位置とロック解除位置とにわたって上下動して変位する。
【0023】
処理槽2の内部には上下方向に延びる断面四角形の一対のガイドレールからなる基準部21を設け、本体部31には断面U字状の位置決め部36を設けており、位置決め部36が基準部21のガイドレールに当接することで、基準部21に対して本体部31が位置決めされるとともに、接続部32の係合部33が水処理機器1の吊り部11に対応する。
【0024】
本実施の形態では基準部21のガイドレールに沿って位置決め部36が摺動することで、本体部31は槽内外にわたって直線的に移動し、槽内の定位置に確実に到達する。しかしながら、基準部21はガイドレールに代えて槽内に配置したブロックとすることも可能であり、この場合には本体部31を槽内に沈めた後に索体等により本体部31を引き寄せて位置決め部36を基準部21のブロックに当接させて位置決めする。また、基準部21は処理槽2の槽内壁面とし、本体部31に処理槽2の槽内壁面に当接するローラ等の位置決め部36を設けることも可能である。
【0025】
基準部21のガイドレールにはロック解除バー22が水処理機器1から上方へ所定距離を隔てた位置に固定してあり、本体部31の降下時にロック部35の昇降棒352をロック解除バー22が受け止めることで、ロック爪353が係合部33のストッパー部333に係合しないロック解除位置に持ち上げられ、ロック解除状態で係合部33の係合爪332が吊り部11の係止孔112に挿入される。水処理機器1には機器位置決め部12が設けてあり、機器位置決め部12が基準部21のガイドレールに沿って摺動することで、水処理機器1が槽内外にわたって直線的に移動し、槽内の定位置に確実に到達する。
【0026】
ところで、吊り上げ装置3と水処理機器1のそれぞれに対応する基準部を別途に設けた場合には、それぞれの基準部の据付誤差を考慮して吊り上げ装置3の位置決め部36と基準部21との隙間を設定する必要があり、結果として位置決め部36と基準部21の隙間が大きくなる。
【0027】
しかし、本発明のように、吊り上げ装置3の位置決め部36と水処理機器1の機器位置決め部12が基準部21を共用することで、つまり、吊り上げ装置3を位置決めするための基準となる基準部21が水処理機器1を位置決めする基準部を兼ねることで、位置決め部36と基準部21の隙間を小さくできるので、水処理機器1の昇降の際に生じる振動を抑制でき、振動に起因する吊り上げ装置3や水処理機器1での応力の発生が抑えられる。
【0028】
また、吊り上げ装置3の位置決め部36と水処理機器1の機器位置決め部12が基準部21を共用することで装置の構造が簡素化できる。さらに、水処理機器1が処理槽2の内部で吊り上げ装置3と同じ基準部21に位置決めされることで、吊り上げ操作時に、吊り上げ装置3のみを処理槽2に降下させる際に、水処理機器1の吊り部11に吊り上げ装置3の接続部32を正確に対応させることができる。
【0029】
以下、上記した構成における作用を説明する。図1に示すように、処理槽2の内部に設置された水処理機器1は、設置時に吊り上げ装置3を使用することにより、処理槽2の定位置に配置されている。
【0030】
この水処理機器1を取り出す場合には、図2に示すように、揚重機4から索体41を繰り出し、基準部21のガイドレールで位置決め部36を案内しながら吊り上げ装置3を処理槽2の内部に降下させる。吊り上げ装置3は位置決め部36が基準部21のガイドレールに沿って摺動することで、槽外から槽内へ直線的に移動し、槽内の水処理機器1の上端面の定位置に確実に到達する。
【0031】
このため、吊り上げ装置3と水処理機器1との脱着を目視確認することができない液中部においても、吊り上げ装置3の接続部32を水処理機器1の吊り部11に確実に対応させることができ、槽内の液体を槽外へ排出する必要がなくなる。
【0032】
吊り上げ装置3が降下する際には、ロック爪353が係合部33のストッパー部333に係合したロック状態で係合爪332の姿勢を保持し、係合爪332を確実に吊り部11の係止孔112に人手によらずして挿入する。この後、図5に示すように、吊り上げ装置3がさらに降下すると本体部31に設けたロック部35の昇降棒352を基準部21のロック解除バー22が受け止めることで、ロック爪353が係合部33のストッパー部333に係合しないロック解除位置に持ち上げられ、ロック解除状態となる。
【0033】
次に、ベルト342を操作してドライブ軸341を駆動し、係合部33を回動させて係合爪332を非係合位置から係合位置に変位させ、軸部331の軸心方向において係合爪332を桟材111で係止する。この状態で揚重機4の索体41を巻き上げて、吊り上げ装置3および水処理機器1を槽外へ引き上げる。
【0034】
吊り上げ装置3が上昇する途中において本体部31に設けたロック部35の昇降棒352が基準部21のロック解除バー22から離間することで、ロック爪353が係合部33のストッパー部333に係合するロック位置に下がり、ロック状態となる。
【0035】
上述の工程で、液面上からは係止爪332が係止孔112に挿入されたか否かは目視確認できない。しかし、ロック部35は、昇降棒352が基準部21のロック解除バー22に当接する所定位置まで吊り上げ装置3が降下しない限り解除されないので、錯誤により吊り上げ装置3が水処理機器1に到達したと思って係合操作部34を操作しても係合部33は動かず、係合操作部34の操作の可否により係止爪332が係止孔112に挿入されたか否かを判断できる。
【0036】
吊り上げ装置3が上昇する途中において、ロック部35の昇降棒352が基準部21のロック解除バー22から離間し、ロック爪353が係合部33のストッパー部333に係合するロック位置に降下してロック状態となる。
【0037】
このように、吊り上げ装置3を水処理機器1と直接固定するので、処理槽2から水処理機器1を搬出するための吊り上げ代が概ね水処理機器1の全高となり、吊り上げ代を処理槽2の上方の作業空間に確保することが容易であり、従来のように牽引具の連結位置を変更する必要がなくなる。
【0038】
この水処理機器1を設置する場合には、揚重機4から索体41を繰り出し、基準部21のガイドレールで位置決め部36を案内しながら水処理機器1を伴った吊り上げ装置3を処理槽2の内部に降下させ、水処理機器1を処理槽2の定位置に配置する。
【0039】
吊り上げ装置3が降下する途中において、本体部31に設けたロック部35の昇降棒352を基準部21のロック解除バー22が受け止めることで、ロック爪353が係合部33のストッパー部333に係合しないロック解除位置に持ち上げられる。
【0040】
次に、ベルト342を操作してドライブ軸341を駆動し、係合部33を回動させて係合爪332を係合位置から非係合位置に変位させ、この状態で揚重機4の索体41を巻き上げて、吊り上げ装置3を槽外へ引き上げる。
【0041】
上述の工程で、液面上からは水処理機器1が所定位置に達したか否かは目視確認できない。しかし、ロック部35は、昇降棒352が基準部21のロック解除バー22に当接する所定位置まで吊り上げ装置3が降下しない限り解除されないので、錯誤により水処理機器1が所定位置に到達したと思って係合操作部34を操作しても係合部33は動かず、係合操作部34の操作の可否により水処理機器1が所定位置に到達したか否かを判断できる。
【0042】
上述した実施の形態における係合操作部34は、図6から図8に示すように、T形操作ハンドル500とすることも可能である。この場合に係合部33には磁石501を設置し、T形操作ハンドル500の下端を磁石501で係合部33に連結するが、磁石501の磁力をガイドとして利用してT形操作ハンドル500を導くことができる。磁石501を使用しない場合にはガイドパイプ等の誘導体を設置する。また、図6から図8に示すように、係合部33および吊り部11はフック502、503に形成することも可能である。
【0043】
図9に示すように、係合部33を固定したL字型のフック504として形成するとともに、吊り部11もL字型の固定物に対応する形状(図示省略)とすることも可能である。 この構成では、吊り上げ装置3を水平方向に移動させて係合部33のL字型のフック504を吊り部11に係合させる。このため、位置決め部36は図15に示すように、基準部21に一方向から当接する平板505とし、吊り上げ装置3を所定位置まで降下させた後に、索体等により吊り上げ装置3を水平方向に引き寄せて平板505を基準部21に押し当てることで位置決めし、係合部33と吊り部11を係合させる。位置決め部36は図16に示すように、基準部21に一方向から当接するL字型板506とすることも可能であり、図17に示すように、基準部21を一対のガイドロッド507とし、ガイドロッド507の間に位置決め部36の平板508を誘導することも可能である。
【0044】
図10に示すように、係合部33は回転軸509の軸心周りに回転できるように設置したフック510とすることも可能であり、フック510の一端に連結したロッド511の押し引きによりフック510を回動させて吊り部11の環部512に係合させる。
【0045】
図11に示すように、係合部33を回転軸509の軸心周りに回転できるように設置したフック513とし、ばね等の付勢手段により吊り部11の環部515に係合する方向に付勢し、フック513の一端に連結した索体514の引きによりフック513を回動させて吊り部11の環部515に対して係合と離脱を行うことも可能である。
【0046】
図18および図19に示すように、係合部33を回転軸701の軸心周りに回転自在に設置したブロック702とし、水処理機器1の上端縁にL字状の吊り部703を設け、ブロック702を回動させて吊り部703に対して係合と離脱を行うことも可能である。
【0047】
図12に示すように、係合部33にレバー519を設け、レバー519に係合操作部34として操作ロッド520を連結し、レバー519に形成した孔521に挿入するロック用ロッド522を本体部31に設けることも可能である。この場合にはレバー519の孔521にロック用ロッド522を挿入してロック状態とし、レバー519の孔521からロック用ロッド522が抜け出るロック解除状態で操作ロッド520を押し引きして係合部33を操作する。
【0048】
この構成では、吊り上げ装置3が水処理機器1に到達した時にロック用ロッド522の先端が水処理機器1に当接してロック用ロッド522が上部に持ち上げられる。つまり、吊り上げ装置3が所定位置まで降下した時にのみロックが解除され、レバー519が回転できる。よって、吊り上げ装置3と水処理機器1との脱着を目視確認することができない液中部においても、吊り上げ装置3と水処理機器1を確実に対応させることができる。
【0049】
図13および図14に示すように、ロック部35は、ドライブ軸341にブロック523を設け、ブロック523に遊嵌するロック環524を索体525で吊り下げ、ロック環524にブロック523の回転を阻止するロック領域526とブロック523の回転を許容するロック解除領域527を設けて構成することも可能である。
【0050】
この場合には、図13に示すように、ロック環524を索体525で引き上げてロック領域526をブロック523に対応させてロック状態とし、索体525を緩めてロック環524を下げることでロック解除領域527をブロック523に対応させてロック解除状態とする。
【0051】
索体525の先端に吊り環312に結合させておくと、吊り上げ装置3を降ろしている時は索体525に張力が働くので、図13のようにロック状態となる。吊り上げ装置3が所定位置まで降下すれば、索体525に働いていた張力がなくなり、図14のようにロック解除となる。
【0052】
このように、吊り上げ装置3が所定位置まで降下した時にのみロックが解除されることで、吊り上げ装置3と水処理機器1との脱着を目視確認することができない液中部においても、吊り上げ装置3を水処理機器1に確実に対応させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 水処理機器
2 処理槽
3 吊り上げ装置
4 揚重機
11 吊り部
12 機器位置決め部
21 基準部
22 ロック解除バー
31 本体部
32 接続部
33 係合部
34 係合操作部
35 ロック部
36 位置決め部
41 索体
42 フック
111 桟材
112 係止孔
311 索体
312 吊り環
331 軸部
332 係合爪
333 ストッパー部
341 ドライブ軸
342 ベルト
351 ロッド
352 昇降棒
353 ロック爪
500 T形操作ハンドル
501 磁石
502、503、504 フック
505、508 平板
506 L字型板
507 ガイドロッド
509 回転軸
510、513 フック
511 ロッド
512、515 環部
514、525 索体
519 レバー
520 操作ロッド
521 孔
522 ロック用ロッド
523 ブロック
524 ロック環
526 ロック領域
527 ロック解除領域
701 回転軸
702 ブロック
703 吊り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理機器と、水処理機器を浸漬する槽体と、槽体の内外にわたって昇降する吊り上げ装置を備え、槽内に吊り上げ装置を位置決めするための基準となる基準部を有し、吊り上げ装置は、水処理機器を伴って槽体の内外にわたって昇降可能な本体部と、水処理機器の吊り部に着脱可能な接続部と、槽内の基準部に対して本体部を位置決めして接続部を水処理機器の吊り部に対応させる位置決め部を備えることを特徴とする水処理設備。
【請求項2】
吊り上げ装置を位置決めするための基準となる基準部は、水処理機器を位置決めする基準部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の水処理設備。
【請求項3】
水処理機器を伴って槽体の内外にわたって昇降可能な本体部と、水処理機器の吊り部に着脱可能な接続部と、槽内の基準部に対して本体部を位置決めして接続部を水処理機器の吊り部に対応させる位置決め部を備えることを特徴とする水処理機器の吊り上げ装置。
【請求項4】
接続部は、水処理機器の吊り部に係合する係合位置と吊り部に係合しない非係合位置とにわたって変位可能な係合部と、係合部を槽外から変位操作する係合操作部を有することを特徴とする請求項3に記載の水処理機器の吊り上げ装置。
【請求項5】
接続部は、係合部を係合位置もしくは非係合位置に保持するロック部を有することを特徴とする請求項4に記載の水処理機器の吊り上げ装置。
【請求項6】
水処理機器を伴って槽体の内外にわたって昇降可能な吊り上げ装置の本体部を、吊り上げ装置の位置決め部で槽内の基準部に対して位置決めすることにより、吊り上げ装置の接続部を水処理機器の吊り部に対応させることを特徴とする水処理機器の吊り上げ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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