説明

水平交差換気が可能な二重窓

本発明は室外窓と室内窓で構成された二重窓に関し、垂直窓フレームに水平交差換気手段を上端部及び/又は下端部に設けることにより、垂直窓フレームにより区画された全ての領域に開閉窓を設けなくても、又は全ての開閉窓を開放しなくても、水平交差換気手段を介して各領域の室外窓と室内窓との間に形成された空間部で空気の流動がなされる二重窓を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は室内窓と室外窓を備える二重窓に関し、特に全ての室外窓を開閉可能な窓で構成しなくても室内窓と室外窓との間の空間部に空気の流れを誘導させることができる構造を有する二重窓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アパート及び住商複合建物には、室内窓と室外窓からなる二重窓又はカーテンウォールが設けられている。特に、二重窓は断熱性と遮音性を確保することができる長所がある。
【0003】
図1は、一般的な二重窓(又はカーテンウォール)の構造を概略的に示した図面であって、従来の二重窓は、壁体(図示せず)に固定された窓フレーム10、窓フレーム10に設けられた窓枠フレーム20及び30、そして窓枠フレーム20及び30にそれぞれ設けられた室内窓40及び室外窓50を備えており、室内窓40と室外窓50との間には、所定の空間部60が形成されている。
【0004】
図2は、二重窓の正面図であって、室外側から見た室外窓のみを示したものである。二重窓の窓フレーム10は、上部及び下部水平窓フレーム11−1、11−2、そして上部及び下部水平窓フレーム11−1、11−2に固定された多数の垂直窓フレーム12−1、12−2、12−3、12−4及び12−5を備え、この水平及び垂直窓フレームによって窓フレーム10は窓枠フレーム(図lの20及び30)がそれぞれ装着される多数の領域に区画される。
【0005】
このように、上部及び下部水平窓フレーム及び2つの垂直窓フレームによって形成された各領域には、図1に示した通り室外窓50と室内窓40が設けられ、室内窓40と室外窓50との間には、所定の空間部60が形成される。
【0006】
一方、図2に示した通り、室内の換気のためには、窓フレームの各領域に設けられた室外窓50の上下部に開閉可能な別途の窓51を設けたり、室外窓50自体を開閉可能な窓で設けなければならない。
【0007】
二重窓では、換気性能及びエネルギー効率を上げるために、室外窓50と室内窓40との間の空間部60で太陽の日射によって自然に発生する煙突効果を用いたり、ブラインドを設ける方式が用いられている。
【0008】
しかし、室外窓50と室内窓40との間の空間部で煙突効果を発生させるためには、窓の垂直窓フレーム12−1、12−2、12−3、12−4及び12−5によって分割された全ての領域の室外窓50の上下部に開閉可能な窓51を設置しなければならない。
【0009】
このように、垂直窓フレーム12−1、12−2、12−3、12−4及び12−5によって分割された領域に設けられた全ての室外窓50の上下部に開閉可能な窓51が必ず設けられなければならないだけでなく、室内窓40にも開閉可能な窓が設けられなければならなかった。
【0010】
このような構造を有する従来の二重窓では、全ての室外窓50に開閉可能な窓51を上部及び下部に設けなければならないために製造コストが上昇し、二重窓自体の構造が複雑になる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような問題を解決するためのもので、本発明の目的は、窓フレームを分割する内側垂直窓フレームの上下部に空気が水平に循環可能なように開口部を設け、垂直窓フレームにより分割される室外窓と室内窓との間の空間部の空気が相互水平に交差して循環が可能で、このような構造を適用して開閉可能な窓の数を画期的に減らし、かつ垂直窓フレームにより分割される室外窓と室内窓との間の空間部で発生する煙突効果と水平対流効果を極大化して性能を最適化させた二重窓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の一形態によれば、多数の水平窓フレームと前記水平窓フレームに固定された多数の垂直窓フレームと、水平窓フレームと垂直窓フレームによって定義された各領域に所定の空間部が形成されるように離隔配置され、それぞれ開閉可能に設けられた室外窓と室内窓とを備え、前記垂直窓フレームには水平交差換気手段が形成され、前記垂直窓フレームを基準に隣接した室内窓と室外窓との間の空間部と、これに隣接した領域の室内窓と室外窓との間の空間部とが相互連通したことを特徴とする二重窓が提供される。
【0013】
このとき、前記水平交差換気手段は、垂直窓フレームに形成された少なくとも1つの開口により隣接する2つの空間部を連通させることが望ましい。
【0014】
本発明の一形態に係る二重窓で、垂直窓フレームは両外側垂直窓フレーム及び内側垂直窓フレームに区分され、水平交差換気手段は内側垂直窓フレームに形成されている。また、前記水平交差換気手段は、内側垂直窓フレームの上端部及び下端部にそれぞれ形成される。
【0015】
本発明の一形態に係る二重窓で、水平交差換気手段は、いずれか1つの領域の室内窓と室外窓との間の空間部と、隣接したいずれか1つの領域の室内窓と室外窓との間の空間部とを連結し、前記いずれか1つの内側垂直窓フレームの上端部に水平交差換気手段が形成される場合には、これに隣接する内側垂直窓フレームには下端部に水平交差換気手段が形成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上で説明した通り、本発明に係る二重窓は、窓フレームを分割する内側垂直窓フレームの上下部に空気が水平に循環可能なように開口部を設け、垂直窓フレームにより分割される室外窓と室内窓との間の空間部の空気が相互水平に交差して循環が可能で、このような構造を適用して開閉可能な窓の数を画期的に減らし、かつ垂直窓フレームにより分割される室外窓と室内窓との間の空間部で発生する煙突効果と水平対流効果を極大化して性能を最適化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の二重窓(又はカーテンウォール)の構造を概略的に示した図面である。
【図2】従来の二重窓の正面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る二重窓の部分斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係る二重窓の部分斜視図である。
【図5】本発明の一実施例に係る二重窓の正面図である。
【図6】本発明の一実施例に係る二重窓の正面図である。
【図7】本発明の一実施例に係る二重窓の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して本発明の一実施例に係る二重窓をより具体的に説明する。添付した図面は、本発明の例示的な形態を示したもので、これは本発明をより詳細に説明するために提供するだけで、これによって本発明の技術的な範囲が限定されるわけではない。
【0019】
本発明の一実施例に係る二重窓を構成する窓フレームは、上部及び下部水平窓フレーム、そして上部及び下部水平窓フレームに固定された多数の垂直窓フレームを備え、この水平及び垂直窓フレームによって窓フレームは窓枠フレームがそれぞれ装着される多数の領域に区画される。
【0020】
このように、上部及び下部水平窓フレーム及び2つの垂直窓フレームによって形成された各領域には室外窓と室内窓が設けられ、室外窓と室内窓との間には所定の空間部が形成される。
【0021】
図3及び図4は、水平交差換気手段が形成された本発明の一実施例に係る二重窓の部分斜視図であって、便宜上、最外側垂直窓フレーム及びいずれか1つの内側垂直窓フレームのみを示した。また、図3の右側部には室外窓を示さなかった。
【0022】
ここで、二重窓の最外側垂直窓フレーム121を除いた内側垂直窓フレーム122に水平交差換気手段170が形成される。この水平交差換気手段170によって垂直窓フレーム122の両側に形成された空間部160(室内窓140と室外窓150との間に形成された空間)は、互いに連通状態となる。
【0023】
即ち、いずれか1つの空間部に流入した外部の空気は、この水平交差換気手段170を介して隣接する空間部に流入することができ、従って、いずれか1つの室外窓にのみ開閉可能な窓を設ける場合又は全ての室外窓に開閉窓を形成した構造でいずれか1つの開閉窓のみを開放した場合にも、外部から流入した空気は水平交差換気手段170を介して隣接する空間部に流入することができる。
【0024】
水平交差換気手段によりそれぞれの空間部160の空気が循環できる構造になるので、従来の二重窓でのように室内窓と室外窓との間の空間部160ごとに上部及び下部に開閉窓を設ける必要がなく、本発明では多数の空間部160のいずれか1つに対応する窓枠フレームにのみ開閉窓を設けても、既存の煙突効果が得られる。
【0025】
一方、内側垂直窓フレーム122の水平交差換気手段170は、その形状に制限されはせず、図3及び図4に示したような多数のスリット状開口171であってもよく、広い面積の単一の開口であってもよい。
【0026】
図5〜図7は、内側垂直窓フレームに水平交差換気手段が形成された二重窓での空気の流れを示しており、便宜上、室外窓のみを示した。
【0027】
図5を参照すると、本発明の一実施例に係る二重窓は、いずれか1つの垂直窓フレーム122の上部及び下部に図3を通じて説明した水平交差換気手段170が形成され、これに隣接した垂直窓フレーム123には水平交差換気手段が形成されないこともある。
【0028】
このような構造の二重窓では、隣接する2つの領域の2つの空間部(室外窓と室内窓との間の空間)は、水平交差換気手段170を介して空気の循環がなされる。
【0029】
この水平交差換気手段170によって各領域の室外窓150上部又は下部にのみ開閉窓151を形成すれば、この開閉窓151を介して流入した外部の空気は、2つの領域の各空間部に循環することができる。
【0030】
図6は、窓フレーム200の最外側垂直窓フレーム321、325を除いた全ての垂直窓フレーム322、323及び324の上部及び下部に水平交差換気手段を設けた構造を示している。
【0031】
このような構造では、水平交差換気手段によって全ての領域の空間部(室外窓と室内窓との間の空間)が互いに連通されており、従って、いずれか1つの領域の空間部内の空気は、全ての領域の空間部内に循環できる。
【0032】
この水平交差換気手段170によっていずれか1つの領域の室外窓150上部又は下部にのみ開閉窓151を形成すれば、開閉窓151を介していずれか1つの空間部に流入した外部の空気が全ての空間部で循環することができる。
【0033】
図7は、いずれか1つの垂直窓フレーム422又は424の下部に水平交差換気手段170を形成し、これに隣接した垂直窓フレーム423の上部に水平交差換気手段170を形成した構造を示している。
【0034】
このような構造でも、水平交差換気手段によって全ての領域の空間部(室外窓と室内窓との間の空間)が互いに連通されており、従って、いずれか1つの領域の空間部内の空気は、全ての領域の空間部内に循環できる。
【0035】
図5〜図7で具現した多様な適用例で、室内窓は1つの開閉窓で形成でき、2つの領域に区画して1つの領域は固定窓に、もう1つは開閉窓に形成される。
【0036】
前記で説明した本発明の望ましい実施例は例示のために開示されたものであって、本発明に関する通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更及び付加は特許請求の範囲に属するものと見なければならない。
【符号の説明】
【0037】
10、200:窓フレーム、11−1〜2:水平窓フレーム、12−1〜5、121、122、123、321、322、323、324、325、422、423、424:垂直窓フレーム、20、30:窓枠フレーム、40:室内窓、50:室外窓、51:窓、60、160:空間部、140:室内窓、150:室外窓、151:開閉窓、170:水平交差換気手段、171:スリット状開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の水平窓フレームと前記水平窓フレームに固定された両外側垂直窓フレーム及び多数の内側垂直窓フレームと、
水平窓フレームと垂直窓フレームによって定義された各領域に所定の空間部が形成されるように離隔配置された室外窓と室内窓と、
を備え、
前記垂直窓フレームには水平交差換気手段が形成され、いずれか1つの領域の室内窓と室外窓との間のいずれか1つの空間部と、これに隣接した領域の室内窓と室外窓との間の空間部とが水平交差換気手段によって相互連通されたことを特徴とする二重窓。
【請求項2】
前記水平交差換気手段は、垂直窓フレームに形成された少なくとも1つの開口によって隣接する2つの空間部を連通させることを特徴とする請求項1に記載の二重窓。
【請求項3】
前記水平交差換気手段は、内側垂直窓フレームの上端部及び下端部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二重窓。
【請求項4】
前記いずれか1つの内側垂直窓フレームには上端部に水平交差換気手段が形成され、これに隣接する内側垂直窓フレームには下端部に水平交差換気手段が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二重窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−508835(P2011−508835A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540583(P2010−540583)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007717
【国際公開番号】WO2009/084878
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】20,Yoido−dong,youngdungpo−gu,Seoul150−721,Republic of Korea
【Fターム(参考)】