説明

水引の構造とその成形方法

【課題】 水引の形態を流麗なものとし、現代感覚に沿った製品を提供することにある。
【解決手段】 祝儀・不祝儀袋に施される水引2であって、文字・具象図形等を一筆書き様に連続形成した構成であり、所定の文字・具象図形等を一筆書き様に描いた原画を裏返しし、透明プレートを上から重ねて前記した文字・具象図形等を透視できるようにし、一本または複数本の紐糸状の水引素材3を文字・具象図形等をなぞるようにして配置すると共に前記した透明プレート上に仮止めし、接着剤を介して前記した水引素材3の交叉部或いは複数本を相互に固着して成形するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、祝儀・不祝儀袋等に施される水引の構造とその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
祝儀・不祝儀袋等に施される水引は、わが国の伝統的な風習として広く普及しているが、典型的な「結びきり」「蝶著結び」形状が殆どであって、具象的な図形も例えば「鶴亀」であったりと、現代感覚からはかけ離れたものであった。アクセサリー等として祝儀・不祝儀袋以外の利用もあるが、逆に凝った形状となってシンプルさに欠けるものであった。
【0003】
例えば「祝儀・不祝儀袋の水引」として以下の如き考案の提案がある。
【特許文献1】実用新案登録第3106283号公報
【特許文献2】実用新案登録第3085517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献1は「金封」であって、その実施例で示された図3の水引形態はまさに昆虫の蝶を模したものになっているが、従来の「蝶結び」と特段の変化はない。
【0005】
また、上記文献2の「祝儀袋」では、水引箇所に「松竹梅」や「季節の草花」を配するとの記載が見られるが、旧態依然の古風な感覚である。
【0006】
よって本発明は、上述した従来技術の欠点、不都合、不満を解消するべく開発された水引構造とその成形方法であって、水引の形態を流麗なものとし、現代感覚に沿った製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の水引の構造は、祝儀・不祝儀袋に施されるものであって、文字・具象図形等を一筆書き様に連続形成したことを特徴とする構成である。
【0008】
また、所定の文字・具象図形等を一筆書き様に描いた原画を裏返しし、透明プレートを上から重ねて前記した文字・具象図形等を透視できるようにし、一本または複数本の紐糸状の水引素材を文字・具象図形等をなぞるようにして配置すると共に前記した透明プレート上に仮止めし、接着剤を介して前記した水引素材の交叉部或いは複数本を相互に固着することを特徴とする水引の成形方法である。
【発明の効果】
【0009】
従って本発明の水引の構造によれば、文字・具象図形等が一筆書き様に連続形成されているので、極めて流麗でモダン感覚に溢れ、とかく古風な感覚である祝儀・不祝儀の袋に対し現代人、若者の受け入れが円滑になるものと期待される。
【0010】
また、従来の水引飾りは、針金や様々な工具を用いて製作していたのであるが、本発明の成形方法によれば、単に一筆書き様の文字・具象図形等の原画に紐糸状の水引素材をなぞるようにして配置仮止めし、接着剤を介して相互に固着するだけであるから、手間がかからず、それでいて一筆書き様の立体的な形態を容易に再現させることができる。
【0011】
この成形工程に於いては、原画を裏返しして透明プレートを上から重ねて文字・具象図形等を透視できるようにし、透明プレート上に仮止めされた水引素材のその裏面側を接着剤を介して相互に固着するものであるから、透明プレートが介在するが故に原画に接着剤が直接付着することはなく、成形された水引の表面側に接着剤がはみ出て汚してしまって不体裁になるといったこともない。
【0012】
また、原画を裏返しにするので、文字等の交差部分では成形される水引の裏面部分に接着部分が露出するだけで、表記しようとする文字等の表面側から接着剤部分が視認されることはなく、この点からも外観体裁を良好に維持できる等、多くの優れた作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の水引の構造は、祝儀・不祝儀袋1に施されるものであって、水引2を文字・具象図形等を一筆書き様に連続形成した構成である。
【0014】
また、本発明の水引の成形方法では、先ず、所定の文字・具象図形等を原画に一筆書き様に描く。この原画は裏返しして使用するものであるから、例えばトレーシングペーパーの如く、裏面からの透視が容易であるものが望ましい。
【0015】
この原画を裏返しして例えば作業台上に固定し、文字・具象図形等が透視できるように、透明プレートを上から重ねる。そしてこの透視された文字・具象図形等をなぞるようにして、一本または複数本の紐糸状の水引素材3を湾曲させながら配置して透明プレート上に接着テープ等で仮止めし、更に接着剤を介して水引素材3の交叉部或いは複数本を相互に固着するのである。透明プレートは、はみ出た場合の接着剤が原画に直接付着しないようにするためであり、文字・具象図形等が透視できるように透明・半透明とする。また、接着剤で固着した後、アイロンで熱と圧力をかけると、固着の安定性がより増す。尚、接着剤は、コロイド状の接着剤、瞬間接着剤のみならず、単なる接着テープ等であっても良い。
【0016】
水引素材3は、従来の製品と同様に、和紙を紙縒りにして紙紐状とするものであり、所定の色彩を塗布したり、金箔、銀箔、絹糸等を外装したりする。
【実施例1】
【0017】
一筆書き様の水引2は、本発明の成形方法で成形したものをリング状とし、祝儀・不祝儀袋1に外装装着するのが最も外観体裁の良いものであるが、簡易である場合は単に祝儀・不祝儀袋1に直接印刷しても良いものである。
【実施例2】
【0018】
図示実施例では、水引2は水引素材3三本をもって構成しているが、扁平に太くした一本でも良いし、五本、七本、十本等でもよい。但し、一本では円滑な曲線が形成しにくく、図示実施例の如く水引素材3間に多少の間隙を形成して流麗感を強調するためには、三本か五本が望ましく、或いは位置によって本数を途中で変更して組み合わせることもできよう。
【実施例3】
【0019】
水引2の形態は、一筆書き様に横書きに表現するのに最も適しているものとしてアルファベットの筆記体が有効である。図1では「love」を表記しているが、その他「peace」「happy」「good」「yes」「hi」「hello」「welcome」「nice」「ciao」等の単語を使用すれば、メッセージ性も充分に含んだものになる。また、平仮名での「おめでとう」や数字で生年月日を表記することも可能である。勿論、これ等の文字と数字等との組み合わせであっても良い。
【実施例4】
【0020】
更には図2に示したように、ハート型、ダイアモンド型等の連続模様形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる水引の正面図である。
【図2】他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 祝儀・不祝儀袋
2 水引
3 水引素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
祝儀・不祝儀袋に施される水引の構造であって、文字・具象図形等を一筆書き様に連続形成したことを特徴とする水引の構造。
【請求項2】
所定の文字・具象図形等を一筆書き様に描いた原画を裏返しし、透明プレートを上から重ねて前記文字・具象図形等を透視できるようにし、一本または複数本の紐糸状の水引素材を文字・具象図形等をなぞるようにして配置すると共に前記透明プレート上に仮止めし、接着剤を介して前記水引素材の交叉部或いは複数本を相互に固着することを特徴とする水引の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−256825(P2009−256825A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106096(P2008−106096)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(502198641)アッシュコンセプト有限会社 (6)
【Fターム(参考)】