説明

水引

【課題】放置しておいても土に還るような新規な水引の提供。
【解決手段】紙製の紙撚芯の表面に、合成樹脂フィルムからなる表装材を設けた水引であって、上記表装材を、表面にアルミ蒸着層を有する生分解性の合成樹脂フィルムで形成した水引である。生分解性の合成樹脂フィルムには、燃焼しても有害ガスを発生しないもの、たとえばポリ乳酸フィルムなどを用いる。その結果、この水引は、紙撚芯も自然界で分解可能である。このため、廃棄に当たっては分別の手間が不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水引に関し、より詳しくは、放置しても土に還るような新規な水引に関する。
【背景技術】
【0002】
水引は、本来、慶弔用の贈答などのときに真心のこもった品物であることを表すために用いられたものであるが、その造形可能性故に、近年では、装飾細工用にも多く利用されている。このため、紅白など、オーソドックスな水引のみではなく、青、黄、緑、ピンク、水色など様々な色を呈する水引や、光沢を呈する水引、立体的な色調の光輝状態を呈する水引(例えば、下記特許文献1参照)等が次々と提案されている。表面の材質や色は多様で、常に新しさや見た目の美しさが求められている。
【0003】
ところで、水引は、もともと紙製の紙撚糸を芯として構成されているものであるので、紙製のものという印象が極めて大きい。
【0004】
しかし実際には、上述のごとく概観上の美しさを追求するため、昔ながらの水引とは打って変わって、化学製品化がすすみ、紙撚糸にはアルミ蒸着フィルムなどの多様な合成樹脂フィルムが巻かれている。この合成樹脂フィルムには、例えばポリエステルフィルムなどの自然界では分解しないものが使用されている。また、焼却すると有毒ガスが発生する。しかし、廃棄するときに、合成樹脂フィルムを紙撚糸から分離することは実質的に不可能である。
【0005】
これまで、自然に還る水引を得るという発想はなく、生分解性の合成樹脂フィルムを用いた水引は提案されていない。
【0006】
【特許文献1】特許第2772941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は土に還る合成樹脂フィルムを使用することで、外観美麗でありながらも、廃棄処分が容易で、自然に負担を掛けないような水引の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、紙製の紙撚芯の表面に、合成樹脂フィルムからなる表装材を設けた水引であって、上記表装材を、生分解性の合成樹脂フィルムで形成した水引であることを特徴とする。生分解性の合成樹脂フィルムには、好ましくは、燃焼しても有害ガスを発生しないもの、例えばポリ乳酸フィルムなどを用いるとよい。
【0009】
すなわち、この水引は、紙撚芯も表装材も自然界で分解可能である。このため、廃棄に当たっては、分別などの手間が不要である。
【0010】
上記生分解性の合成樹脂フィルムには、表面にアルミ蒸着層を有するものを用いると、金銀は勿論のこと、光沢を有する様々な色の美麗な水引を得られる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明によれば、紙撚芯も表装材も自然界で分解可能であるので、たとえ地中に放置されても、地中のバクテリアによって分解される。このため、廃棄処分は簡単であり、贈答や装飾細工に有益でありながらも自然に負担を掛けない格別の水引となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、水引11の構成を示す斜視図であり、この水引11は、紙製の紙撚芯12の表面に、細幅テープ状の表装材13を、糊(図示せず)を介して螺旋状に巻き付けて構成される。
【0013】
上記紙撚芯12には、和紙などの、地中でバクテリアによって分解され得る素材のものを用い、この紙撚芯12は、所定形状に裁断された上で撚って形成される。
【0014】
上記表装材13の基材14には、生分解性の合成樹脂フィルムを用いる。生分解性フィルムには、燃焼しても有毒ガスが発生しないものを採用するのが好ましい。一例として、例えば、ポリ乳酸フィルムが挙げられる。このほか、より良い生分解性フィルムが日々開発されているので、それらを適宜採用し得る。
【0015】
合成樹脂フィルムには、透明又は半透明のものを用い、その表面に、図2(a)に示した如く、アルミ蒸着層15を形成する。
【0016】
アルミ蒸着層15に代えて、適宜色の着色層を形成するもよい。
【0017】
また、図2(b)に示したように、アルミ蒸着層15の上に、適宜色の着色層16を積層すれば、金色のほか、光沢のある赤や青、緑、ピンク、水色等の様々な美麗な色を得ることが出来る。
【0018】
上記糊には、自然で分解する澱粉糊などを用いる。
【0019】
このように構成された水引11は、目的に応じて、そのままの状態で使用されたり、あるいは所定本数を糊で引き揃えて、テープ状に一体化して使用されたりする。
【0020】
なお、上記表装材13の貼着の仕方は、一例で、例えば、螺旋状の巻く場合でも、密に巻かずに、隙間を開けて巻きつけるもよい。また、異なる色の表装材13を複数種類巻きつけるもよい。さらに、表装材13は紙撚芯12一本ごとに巻き付けるのではなく、図3に示したように、所定本数引き揃えた紙撚芯12群を形成して、これに対して被覆するもよい。被覆は、帯状に裁断した表装材13を被せた後、紙撚芯12間に対応する部位に突条を有するローラ(図示せず)によって押圧すれば、引き揃えた状態を損なわずに、きれいに被覆できる。
【0021】
このように構成した水引11は、慶弔用や装飾細工用に、自由に使用できる。また、表面には表装材13を設けているので、外観が美麗であり、所望の美感を得ることができる。
【0022】
そして、使用後は、焼却するなり、そのまま放っておくなりしても、紙撚芯12も表装材13も、自然で分解可能な材料からなるので、地球環境に負担を掛けずに済む。
【0023】
つまり、廃棄に際しては、分別などに気を使う必要もなく、処理が容易である。用途が広くて、それぞれがどのように処分されるかわからず、また構成要素が細かい故に分別不可能な水引にとってきわめて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】水引の構造を示す斜視図。
【図2】表装材の断面図。
【図3】水引の構造を示す斜視図。
【符号の説明】
【0025】
11…水引
12…紙撚芯
13…表装材
14…基材
15…アルミ蒸着層
16…着色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製の紙撚芯の表面に、合成樹脂フィルムからなる表装材を設けた水引であって、
上記表装材を、生分解性の合成樹脂フィルムで形成した
水引。
【請求項2】
前記生分解性の合成樹脂フィルムが、表面にアルミ蒸着層を有するものである
請求項1に記載の水引。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−118071(P2006−118071A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305145(P2004−305145)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000153982)株式会社さん・おいけ (5)
【Fターム(参考)】