説明

水性エアゾール組成物及びそれを用いた害虫の防除方法

【課題】4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの殺虫効果が十分に発揮される水性エアゾール組成物を提供すること。
【解決手段】(A)油溶性殺虫成分、(B)疎水性有機溶剤、(C)水、(D)非イオン性界面活性剤、(E)噴射剤を含有する水性エアゾール組成物であって、(A)油溶性殺虫成分が、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートであり、(D)非イオン性界面活性剤のHLBが4.1〜7.0の範囲であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫成分を有する水性エアゾール組成物及びそれを用いた害虫の防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、製剤の火災に対する危険性を軽減する等の観点から、水を配合した散布用水性殺虫組成物や水性エアゾール組成物の提案がなされ、また種々のものが既に市販されている。
【0003】
本出願人も先に、特許文献1において、殺虫成分としての4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、「本化合物」と記することがある)を提案すると共に、本化合物を含有する水性のエアゾール組成物を提案した(特許文献1の製剤例9)。
【特許文献1】特開2004−2363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、殺虫成分として本化合物を含有する水性エアゾール組成物において、本化合物の殺虫効果を一層発揮させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成すべく本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、殺虫成分である本化合物に対して特定のHLBを有する非イオン性界面活性剤を用いることによって、本化合物の殺虫効果が十分に発揮されることを見出し、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明の水性エアゾール組成物は、次の成分(A)〜(E)
(A)油溶性殺虫成分
(B)疎水性有機溶剤
(C)水
(D)非イオン性界面活性剤
(E)噴射剤
を含有する水性エアゾール組成物であって、(A)油溶性殺虫成分が、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートであり、(D)非イオン性界面活性剤のHLBが4.1〜7.0の範囲であることを特徴とする。
【0007】
なお、本明細書において、非イオン性界面活性剤のHLBは、親水親油バランス(Hydrophile-Lipophile Balance)をいい、本発明においてはグリフィン法(Griffin)によって算出したものである。但し、グリフィン法によって直接算出できない場合は、Devies法、有機概念図を応用した小田の方法等により算出される値を、適宜グリフィン法による値に換算して得られる値を用いてもよい。また、2種類以上の界面活性剤を使用する場合のHLBは、下記式によって算出したものである。
【0008】
【数1】

(式中、Hは各非イオン性界面活性剤のHLB、wは各非イオン性界面活性剤の重量を示す)
【0009】
成分(A)の含有量を、組成物全体に対して、0.001〜5wt%の範囲とし、成分(D)の含有量を、組成物全体に対して、0.1〜5wt%の範囲とするのが好ましい。
【0010】
また、成分(B)と成分(C)との重量比は1:27〜5:1の範囲が好ましい。
【0011】
そしてまた、成分(E)の含有量は、組成物全体に対して、10〜80wt%の範囲が好ましい。
【0012】
成分(B)としては、沸点が150℃以上の疎水性有機溶剤が好ましく、さらには飽和炭化水素溶剤であることが好ましい。
【0013】
また、本発明によれば、前記記載の水性エアゾール組成物の害虫防除有効量を害虫、害虫の通り道、及び/又は害虫の生息場所に噴霧することを特徴とする害虫の防除方法が提供される。
【0014】
前記防除方法は双翅目害虫又は膜翅目害虫に対して好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水性エアゾール組成物では、殺虫成分としての本化合物に対して、特定のHLBを有する非イオン性界面活性剤を用いるので、優れた殺虫効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る水性エアゾール組成物についてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0017】
本発明で使用する(A)油溶性殺虫成分の含有量は、組成物全体に対して、0.001〜5wt%の範囲が好ましく、より好ましくは0.005〜3wt%の範囲である。
【0018】
本発明で使用する(B)疎水性有機溶剤は、水100gに対する溶解度が、20℃において5g以下である常温で液体、好ましくは常圧下での沸点が150℃以上である疎水性有機溶剤である。具体的には、炭素数8以上の脂肪族有機溶剤または炭素数8以上の脂環式有機溶剤が好ましく、さらには炭素数8以上の飽和炭化水素溶剤が好ましい。
本発明で使用する(B)疎水性有機溶剤としては、具体的には以下の有機溶剤が挙げられる。
【0019】
炭素数8以上の飽和炭化水素溶剤としては、例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、2−メチルデカンなどが挙げられる。市販品としては、「ネオチオゾール」(中央化成社製)、「ノルパー12」、「ノルパー13」、「ノルパー15」(以上、エクソンモービル化学社製)等の飽和炭化水素溶剤;「アイソパーE」、「アイソパーG」、「アイソパーH」、「アイソパーM」、「アイソパーV」、「エクソールD40」、「エクソールD60」、「エクソールD80」(以上、エクソンモービル化学社製)、「IP−2028」(出光石油化学社製)及び灯油等が挙げられる。
【0020】
炭素数8以上の脂肪酸エステル溶剤としては、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸へキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
【0021】
疎水性有機溶剤の含有量は、組成物全体に対して、3〜50wt%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜20wt%の範囲である。
【0022】
本発明で使用する(C)水は、工業用水として使用される水であれば特に限定されるものではないが、好ましくはイオン交換水が用いられる。水の含有量は、組成物全体に対して、10〜80wt%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜70wt%の範囲である。
【0023】
本発明の水性エアゾール組成物に含有される(B)疎水性有機溶剤と(C)水との重量比は、1:27〜5:1の範囲であるのが好ましい。
【0024】
本発明で使用する(D)非イオン性界面活性剤は、HLBが4.1〜7.0の範囲、好ましくは4.3〜7.0の範囲である。このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコキシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いればよい。なお、2種以上の界面活性剤を混合して用いる場合、前述のように、混合した界面活性剤の加重平均HLBが4.1〜7.0の範囲となるようにすることが必要である。
【0025】
非イオン性界面活性剤の含有量は、前述の油溶性殺虫成分の含有量とのバランスにおいて、組成物全体に対して、0.1〜5wt%の範囲であるのが好ましく、より好ましくは0.3〜3wt%の範囲である。
【0026】
本発明で使用する(E)噴射剤としては、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタン、イソブタン等が挙げられ、これらの単独又は2種以上の混合物が用いられるが、好ましくは液化石油ガス(LPG)が用いられる。本発明には、必要に応じて窒素、圧縮空気を加えてもよい。噴射剤の含有量は、組成物全体に対して10〜80wt%が好ましく、より好ましくは20〜70wt%の範囲である。
【0027】
なお、噴射剤は、他の成分と共に耐圧容器内に充填してもよいし、二重構造とした耐圧容器の外周空間に、他の成分とは別に充填してもよい。後者の構造とすると、使用経過に伴う噴射圧の低下が抑えられる。
【0028】
本発明の水性エアゾール組成物には、前述の成分(A)〜(E)のほかに、必要により、本発明の効果を阻害しない範囲において、本化合物以外の殺虫活性成分や殺ダニ活性成分、忌避活性成分、殺虫活性成分の共力剤、香料、防錆剤、防黴剤、酸化防止剤、pH調整剤等を含有させてもよい。これらの成分の総含有量は、組成物全体に対して5wt%以下である。
【0029】
殺虫活性成分、殺ダニ活性成分としては、例えば、フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、アセフェート、メチダチオン、ジスルホトン、DDVP、スルプロホス、シアノホス、ジオキサベンゾホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、アジンホスメチル、モノクロトホス、エチオン、ジクロルボス、プロフェノホス、スルプロホス、フェントエート、イソキサチオン、テトラクロロビンホス、テルブホス、フォレート、クロルエトキシホス、ホスチアゼート、エトプロホス、カズサホス等の有機リン系化合物、
BPMC、ベンフラカルブ、プロポキスル、カルボスルファン、カルバリル、メソミル、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、オキサミル、フェノチオカルブ、チオジカルブ、アラニカルブ、メチオカルブ、カルタップ等のカーバメート系化合物、
エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、タウフルバリネート、ビフェンスリン、ハルフェンプロックス、トラロメトリン、シラフルオフェン、d−レスメトリン、アクリナトリン、テフルトリン、トランスフルトリン、テトラメトリン、アレスリン、d−フラメトリン、プラレトリン、エンペントリン、フルシトリネート、フルメトリン、5−(2−プロピニル)フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド化合物、
アセタミプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム、ジノテフラン、クロチアニジン、イミダクロプリド等のネオニコチノイド系化合物、エンドスルファン、γ−BHC、1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール等の塩素化炭化水素化合物、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、フルアズロン、ノバルロン、トリアズロン、ビストリフルロン等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、アセトプロール、ピリプロール、ピラフルオプロール、エチプロール等のフェニルピラゾール系化合物、テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド、ハロフェノジド等のベンゾイルヒドラジン化合物、メトキサジアゾン、ブロモプロピレート、テトラジホン、キノメチオネート、ピリダベン、フェンピロキシメート、ジアフェンチウロン、テブフェンピラド、ピメトロジン、フロニカミド、トリアザメート、ブプロフェジン、クロルフェナピル、インドキサカルブ、ピリダリル、シロマジン、フルアクリピリム、エトキサゾール、フェナザキン、アセキノシル、ヘキシチアゾクス、クロフェンテジン、酸化フェンブタスズ、ジコホル、プロパルギット、アミトラズ、ベンスルタップ、チオシクラム、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、アミドフルメト、メタフルミゾン、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、ピリフルキナゾン、ポリナクチンコンプレックス〔テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン〕、ピリミジフェン、ミルベメクチン、アバメクチン、スピノサド、エマメクチン安息香酸塩、イバーメクチン及びアザジラクチンが挙げられる。
【0030】
忌避活性成分としては、例えば3,4−カランジオール、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1−メチルプロピル 2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、p−メンタン−3,8−ジオール及びヒソップ油等の植物精油が挙げられる。
【0031】
殺虫活性成分の共力剤としては、例えばビス−(2,3,3,3−テトラクロロプロピル)エーテル(S−421)、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名:MGK−264)、α−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン(ピペロニルブトキシド)、IBTA(チオシアノ酢酸イソボルニル)及びN−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名:サイネピリン500)が挙げられる。
【0032】
香料としては、天然及び人工の各種香料を使用でき、例えば動物性、植物性の天然香料、あるいは炭化水素、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ラクトン、オキシド、エステル類等の人工香料などが使用できる。
【0033】
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ジシクロへキシルアミンナイトライト、トリルトリアゾール等が挙げられる。
【0034】
防黴剤としては、o−フェニルフェノール、イソプロピルメチルフエノール、2−クロロ−4−フェニルフェノール、チモール等が挙げられる。
【0035】
酸化防止剤としては、例えば2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール 2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ジブチルヒドロキシノン(DBH)等が挙げられる。
【0036】
pH調整剤として、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
本発明の水性エアゾール組成物は、常法により製造することができ、例えば、成分(A)〜(E)及び、必要により、前記の他の成分を混合して、エアゾール用耐圧容器に充填すればよい。耐圧容器としては、アルミニウムやブリキなどの金属、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂、耐熱ガラスなどを有底筒状にしたものを用いることができる。
【0038】
本発明の水性エアゾール組成物は、例えば害虫、害虫の通り道、及び/又は害虫の生息場所に害虫防除有効量を噴霧することにより施用される。その際の施用量は、面上に処理する場合は、処理面積1m当たり本化合物量として通常0.1〜500mg、空間に処理する場合は、適用空間1m当り本化合物量として通常1〜1000mgである。
【0039】
本発明の水性エアゾール組成物が有効な害虫は、例えば、昆虫やダニ等の節足動物があげられ、具体的には例えば以下の害虫等があげられる。
【0040】
鱗翅目害虫
ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫 (Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫 (Helicoverpa spp.)、ヘリオティス属害虫 (Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等
【0041】
双翅目害虫
アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ハモグリバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等
【0042】
網翅目害虫
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
【0043】
膜翅目害虫
アリ類、アリガタバチ類、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、クロスズメバチ、ケブカスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ等のスズメバチ類、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、コアシナガバチ、キボシアシナガバチ、ヤマトアシナガバチ、フタモンアシナガバチ等のアシナガバチ類、ニホンミツバチ、セイヨウミツバチ、マルハナバチ等のハナバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等
【0044】
隠翅目害虫
イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等
【0045】
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等
【0046】
等翅目害虫
ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
【0047】
半翅目害虫
ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、トコジラミ等のトコジラミ類、グンバイムシ類、キジラミ類等
【0048】
鞘翅目害虫
ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属 (Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
【0049】
総翅目害虫
ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
【0050】
直翅目害虫
ケラ、バッタ等
【0051】
ダニ類
コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類、トリサシダニ、ワクモ等のワクモ類
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0053】
製造例1
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.02重量部、疎水性有機溶剤としてのイソパラフィン系炭化水素溶剤(「アイソパーM」エクソンモービル社製) 8.98重量部、非イオン性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート(「レオドールSP−O10」花王社製,HLB:4.3) 1重量部を混合・溶解したものと、水50重量部とを耐圧容器に入れ、当該容器にエアゾールバルブを取り付けた。次いで、エアゾールバルブを介して噴射剤としての液化石油ガス40重量部を耐圧容器に充填し、本発明に係る水性エアゾール組成物を得た。
【0054】
製造例2
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.02重量部、イソパラフィン系炭化水素溶剤(「アイソパーM」エクソンモービル社製) 8.98重量部、非イオン性界面活性剤として、グリセロールモノオレエート(「レオドールMO−60」花王社製,HLB:2.8)及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(「レオドールTW−O120」花王社製,HLB:15.0)の混合物 1重量部を用いて、製造例1と同様にして、本発明に係る水性エアゾール組成物を得た。なお、グリセロールモノオレエートとポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートとの混合割合は8.0:2.0で、混合物のHLBは前記式(1)から5.24と算出された。
【0055】
製造例3
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.02重量部、イソパラフィン系炭化水素溶剤(「アイソパーM」エクソンモービル社製) 8.98重量部、非イオン性界面活性剤として、ソルビタンモノオレエート(「レオドールSP−O10」花王社製、HLB:4.3)及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(「レオドールTW−O120」花王社製、HLB:15.0)の混合物1重量部を用いて、製造例1と同様にして、本発明に係る水性エアゾール組成物を得た。
なお、ソルビタンモノオレエートとポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートとの混合割合は8.4:1.6で、混合物のHLB値は前記式(1)から6.01と算出された。
【0056】
製造例4
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.02重量部、イソパラフィン系炭化水素溶剤(「アイソパーM」エクソンモービル社製) 8.98重量部、非イオン性界面活性剤として、非イオン性界面活性剤として、ソルビタンモノオレエート(「レオドールSP−O10」花王社製、HLB:4.3)及びソルビタンモノラウレート(「レオドールSP−L10」花王社製、HLB:8.6)の混合物1重量部を用いて、製造例1と同様にして、本発明に係る水性エアゾール組成物を得た。
なお、ソルビタンモノオレエートとソルビタンモノラウレートとの混合割合は3.8:6.2で、混合物のHLB値は前記式(1)から6.97と算出された。
【0057】
参考製造例1
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.02重量部、イソパラフィン系炭化水素溶剤(「アイソパーM」エクソンモービル社製) 8.98重量部、非イオン性界面活性剤として、ソルビタンモノラウレート(「レオドールSP−L10」花王社製,HLB:8.6) 1重量部を用いて、製造例1と同様にして水性エアゾール組成物を得た。
【0058】
参考製造例2
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.02重量部、イソパラフィン系炭化水素溶剤(「アイソパーM」エクソンモービル社製) 8.98重量部、非イオン性界面活性剤として、グリセロールモノオレエート(「レオドールMO−60」花王社製,HLB:2.8) 1重量部を用いて、製造例1と同様にして、本発明に係る水性エアゾール組成物を得た。
【0059】
試験例1
ポリエチレン製の第1カップ(下部直径:10.6cm、上部直径:12.0cm、高さ:7cm)にイエバエ成虫10頭(雄雌各5頭)を放飼し、16メッシュのナイロンゴースでカップの上面開口に蓋をした。この第1カップを、1辺が70cmの立方体形状で、一つの側面中央部に小窓が設けられたチャンバー内の底面中央に載置すると共に、前記のカップと同形状で、イエバエを放飼していない第2カップを、小窓からみて第1カップの奥側に第1カップと並ぶように載置した。そして、チャンバーの小窓から、前記作製した各水性エアゾール組成物を、噴射量が300mgとなるように噴射し、噴射から7分経過後のノックダウン率を求めた。結果を表1に示す。なお、各試験は2反復行い、結果はその平均値である。
【0060】
【表1】

【0061】
製造例5
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.2重量部、疎水性有機溶剤としてのノルマルパラフィン系炭化水素溶剤(「ネオチオゾール」中央化成社製)5.8重量部および脂肪酸エステル溶剤(ミリスチン酸イソプロピル)3重量部、並びに、非イオン性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート(「レオドールSP−O10」花王社製、HLB:4.3)1重量部を混合・溶解したものと、水40重量部とを耐圧容器にいれ、当該容器にエアゾールバルブを取り付けた。次いで、エアゾールバルブを介して噴射剤としてのジメチルエーテル/液化石油ガス1/1混合物50重量部を耐圧容器に充填し、本発明に係る水性エアゾール組成物を得た。
【0062】
参考製造例3
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.2重量部、ノルマルパラフィン系炭化水素溶剤(「ネオチオゾール」中央化成社製)5.8重量部、疎水性有機溶剤(ミリスチン酸イソプロピル)3重量部、非イオン性界面活性剤としてのグリセロールモノオレエート(「レオドールMO−60」花王社製、HLB:2.8)1重量部を用いて、製造例3と同様にして水性エアゾールを得た。
【0063】
試験例2
オオスズメバチ雌成虫1頭を立方体ステンレス製ケージ(25cm×25cm×25cm、16メッシュ金網張り)内に入れ、該ケージを試験用チャンバー(1.8m×1.8m×1.8m)の上面から金属製の鎖で、該チャンバー底面からケージ中央部までの高さが120cmになる位置に吊るした。該ケージ側面より100cm離れた距離から前記作成した各水性エアゾール組成物8gを噴霧した。噴霧から3分経過後に該ケージから供試虫を清浄なポリエチレンカップ(下部直径10.6cm、上部直径12cm、高さ7cm)に回収し、水で希釈した蜂蜜を脱脂綿に十分に含ませて与え、一日間室温下に静置した。該試験一日後に供試虫の生死を判定した。なお、各試験は5反復(製造例5)または4反復(参考製造例3)行い、結果はその平均値である。
【0064】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る水性エアゾール組成物は、優れた殺虫効果を奏し有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E)
(A)油溶性殺虫成分
(B)疎水性有機溶剤
(C)水
(D)非イオン性界面活性剤
(E)噴射剤
を含有する水性エアゾール組成物であって、
(A)油溶性殺虫成分が、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートであり、
(D)非イオン性界面活性剤のHLBが4.1〜7.0の範囲である
ことを特徴とする水性エアゾール組成物。
【請求項2】
成分(A)の含有量が、組成物全体に対して、0.001〜5wt%の範囲であり、成分(D)の含有量が、組成物全体に対して、0.1〜5wt%の範囲である請求項1記載の水性エアゾール組成物。
【請求項3】
成分(B)と成分(C)との重量比が1:27〜5:1の範囲である請求項1又は2記載の水性エアゾール組成物。
【請求項4】
成分(E)の含有量が、組成物全体に対して、10〜80wt%の範囲である請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の水性エアゾール組成物。
【請求項5】
成分(B)が、沸点が150℃以上の疎水性有機溶剤である請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の水性エアゾール組成物。
【請求項6】
成分(B)が、飽和炭化水素溶剤である請求項5記載の水性エアゾール組成物。
【請求項7】
請求項1〜6記載の水性エアゾール組成物の害虫防除有効量を害虫、害虫の通り道、及び/又は害虫の生息場所に噴霧することを特徴とする害虫の防除方法。
【請求項8】
害虫が双翅目害虫である請求項7記載の防除方法。
【請求項9】
害虫が膜翅目害虫である請求項7記載の防除方法。

【公開番号】特開2009−91353(P2009−91353A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217815(P2008−217815)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】