説明

水性塗料組成物及びそれを塗布してなる被塗物

【課題】高温にて焼付された場合に、ベンゾグアナミン樹脂に由来するヒュームの発生が低減でき、更にウェットインキ適性を向上させ、鮮やかな発色を示すことができる、金属缶もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶用外面塗料として好適な水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ベンゾグアナミン樹脂、水性アクリル樹脂、及び水性ポリエステル樹脂を含む水性塗料組成物であって、
ベンゾグアナミン樹脂が、イミノ基をトリアジン環1個あたり0.8〜1.5個、N−ブトキシメチル基をトリアジン環1個あたり1.0〜2.5個有する、重量平均分子量500〜1000の樹脂であり、
かつ、水性アクリル樹脂が、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、及びα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸を含むモノマーを共重合してなる樹脂であることを特徴とする水性塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するベンゾグアナミン樹脂及び水性アクリル樹脂、更に水性ポリエステル樹脂を含有する水性塗料組成物に関する。更に詳しくは、一般塗膜物性(耐衝撃性、加工密着性、耐レトルト性等)に優れ、更に高温焼付される際に発生するヒューム(焼付時に揮発する低分子量樹脂であり、オーブン内や被塗物の内側を汚染する原因物質)を大幅に低減し、更にウェットインキ適性に優れた水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱硬化性塗料には、硬化剤として、メラミン、ベンゾグアナミンなどにホルマリンを付加し、更にその後、生成したN−メチロール基をアルコールで変性し、N−アルコキシメチル化して得られるアミノ樹脂が使用されている。近年、環境保護の観点から、塗装焼き付け工程中に排出される有機溶剤の低減が要求され塗料の水性化が進行し、更に省資源、生産性アップの観点より高温短時間焼き付け化が進んでいる。高温で焼き付けされる際には、有機溶剤のほかに塗料組成物中の低分子量樹脂成分が揮発してヒューム化し、オーブンの内部等を汚染してしまい、更には従来の有機溶剤の処理のみを考慮して設計されているオーブンの排ガス処理設備では対応できず、オーブンやそれに付随する排ガス処理設備のメンテナンスに多大の設備投資費用や労力が費やされているという現状がある。
【0003】
従来の有機溶剤のみを使用した溶剤型塗料であれば、アミノ樹脂の高分子量化により、上記問題は解決できていたが、近年の有機溶剤をまったく含有しない、あるいは少量含有する水性塗料においては、塗料の硬化剤として用いられるアミノ樹脂は、水性媒体との親和性を考慮して、一核体を主成分とする、平均分子量の小さい樹脂が使用されるためにヒュームが多く発生してしまうのが現状である。
【0004】
これらの欠点を解決する手段として、種々のアミノ樹脂変性により、溶解性を考慮しながら、高分子量化する方法が提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2では、アミノ樹脂を、グリコール類やオキシカルボン酸類を変性剤として用いて高分子量化し、ヒューム低減を図っている。しかし、従来のアルコール変性に比べて、グリコール類やオキシカルボン酸類は脱離能が低く、反応性が低下するため、短時間焼付けにおいて欠点となり、一般塗膜物性が劣るだけでなく、明確なヒューム抑制効果も不十分であった。
【0005】
又、特許文献3、特許文献4に見られるように、アミノ樹脂にアクリルモノマーを重合させ、アミノ樹脂の低分子量物を低減する方法も提案されているが、分子量のコントロールが難しく、樹脂の過剰な高分子量化を引き起こし、粘度や高速塗装適性に難があった。
【0006】
又、従来、清涼飲料や食品等を包装する金属缶の外面塗料には、防錆といった基材の保護機能のほかに、内容物の表示、美的商品価値の向上という役割が求められている。缶外面の印刷・塗装としてはアンダーコート層/インキ層/トップコート層により構成される。即ち、缶素材の上に無色又は白色のアンダーコート層が形成され、その上に印刷インキにより文字、図柄等が印刷され、更にこの印刷面上に透明なトップコート層が設けられるのが一般的な仕様である。
【0007】
このような缶外面の被覆工程に於いては、塗装コスト低減の観点から、印刷インキの乾燥工程を省略して、未乾燥インキの上に透明なトップコート剤を塗装し、インキ層とトップコート剤とを同時に加熱硬化せしめる、所謂、ツーコート・ワンベーク方式の塗装・乾燥工程が広く一般に採用されている。未乾燥、即ちウェット状のインキの上にトップコート剤が塗装されることから、上記の態様を「ウェット・オン・ウェット」とも称す。
【0008】
缶外面用として使用されてきた透明なトップコート剤としては、従来アルキッド系、エポキシエステル系、熱硬化型アクリル系樹脂等を有機溶剤中に溶解させてなる、所謂、溶剤型塗料が使用されてきたが、前述のように、環境保護の観点から、塗料の水性化が進んでいる。ところが、未乾燥の油性印刷インキ上に従来の水性塗料を塗装した場合、塗料のハジキの発生、インキの凝集による色相の変化、或いは塗膜光沢の著しい低下等の問題が発生する。又、上記のウェットインキ適性を解決するための水性塗料の改良に際しては、硬化塗膜の硬さ、耐臭気吸着性、耐黄変性などの従来トップコート剤として要求されている塗膜物性も考慮されなければならない。
【0009】
ウェットインキ適性を高める手段として、特許文献5では、ブチルエチルプロパンジオールのようなアルキル側鎖を有するジオール類を用いたポリエステル樹脂と、アミノ樹脂からなる水性塗料を用い、インキとの相溶性を向上させているが、未だに満足できる性能ではなく、又、架橋性に優位なアクリル樹脂が用いられていないため、近年の短時間焼付型塗料には不向きであり、一般塗膜物性が劣る傾向があった。
【0010】
又、特許文献6では水性アクリル樹脂を含有する水溶性塗料組成物として、高分子量のアクリル樹脂であって、水酸基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマー、そして長鎖アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーを必須としてなるアクリル共重合物を含有する塗料組成物が提案されている。しかし、インキ適性の向上は見られるものの、水酸基含有モノマーが多く含まれているために、耐レトルト性が低下するという欠点があった。
【0011】
即ち、従来の技術ではヒュームの低減及びウェットインキ適性が不十分、あるいはそれらの改善効果が見られても、一般塗膜物性が劣り、結果として満足できる水準まで達していなかった。
【特許文献1】特許第2799240号公報
【特許文献2】特開平6−346020号公報
【特許文献3】特開平7−41525号公報
【特許文献4】特開平10−204142号公報
【特許文献5】特開平9−194794号公報
【特許文献6】特開2001−240624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、一般塗膜物性に優れ、更に高温にて焼付された場合に、ベンゾグアナミン樹脂に由来するヒュームの発生が低減でき、衛生性に優れ、更にウェットインキ適性を向上させ、鮮やかな発色を示すことができる、金属缶もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶用外面塗料として好適な水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、ある特定の構造を有するベンゾグアナミン樹脂及びアクリル樹脂、更に水性ポリエステル樹脂を含んだ水性塗料組成物が、一般塗膜物性を維持しつつ、ヒューム発生低減及びウェットインキ適性の双方に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、第1の発明は、ベンゾグアナミン樹脂(A)、水性アクリル樹脂(B)、及び水性ポリエステル樹脂(C)を含む水性塗料組成物であって、
ベンゾグアナミン樹脂(A)が、イミノ基をトリアジン環1個あたり0.8〜1.5個、N−ブトキシメチル基をトリアジン環1個あたり1.0〜2.5個有する、重量平均分子量500〜1000の樹脂であり、
かつ、水性アクリル樹脂(B)が、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1):20〜50重量%、アルキル基の炭素数8〜14であるアルキル(メタ)アクリレート(b2):10〜40重量%、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸(b3):5〜10重量%、及び(b1)〜(b3)と共重合可能な(メタ)アクリレートもしくはビニルモノマー(b4):15〜65重量%を共重合してなる樹脂であることを特徴とする水性塗料組成物に関する。
【0015】
更に、第2の発明は、ベンゾグアナミン樹脂(A)が、更にN−メトキシメチル基をトリアジン環1個あたり0.2〜1.5個有することを特徴とする第1の発明の水性塗料組成物に関する。
【0016】
更に、第3の発明は、水性ポリエステル樹脂(C)の酸価が5〜100mgKOH/g、重量平均分子量が500〜15000であることを特徴とする第1又は第2の発明の水性塗料組成物に関する。
【0017】
更に、第4の発明は、ベンゾグアナミン樹脂(A)が、その合計100重量%中に一核体を40〜60重量%含有することを特徴とする第1〜3いずれかの発明の水性塗料組成物に関する。
【0018】
更に、第5の発明は、第1〜4いずれかの発明の水性塗料組成物を、金属板、有底円筒状金属もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶に塗布し、乾燥、硬化してなることを特徴とする被塗物に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、一般塗膜物性に優れ、更に飲料缶製造工程において、高温焼付時のヒューム成分が少なく、オーブン設備等の耐汚染性に優れ、更にはウェットインキ適性に優れ、美的外観の良い塗膜を得ることができる、缶の外面被覆に好適な水性塗料組成物を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について更に詳細に説明する。本発明の水性塗料組成物は、特定量のイミノ基とN−ブトキシメチル基とを有するベンゾグアナミン樹脂(A)、特定のモノマー組成からなる水性アクリル樹脂(B)、及び水性ポリエステル樹脂(C)を含有する。
【0021】
本発明におけるベンゾグアナミン樹脂(A)とは、原料であるベンゾグアナミン中のアミノ基の一部をホルムアルデヒドによりN−メチロール化し、更にその一部又は全部をブタノールによりN−ブトキシメチル化することにより合成することができる。この工程中にN−メチロール基の一部が縮合して多核体となる。ベンゾグアナミン樹脂(A)は、イミノ基をトリアジン環1個あたり0.8〜1.5個、N−ブトキシメチル基をトリアジン環1個あたり1.0〜2.5個有しており、更に重量平均分子量が500〜1000であることを特徴とする。イミノ基が0.8個未満では、ベンゾグアナミン樹脂(A)の反応性の低下による塗膜硬度の低下及びヒューム量の増加を招き、1.5個を超えると、反応性が高くなり過ぎ、塗膜の加工性及び塗料組成物の経時安定性が低下してしまう。又、N−ブトキシメチル基が、1.0個未満であると、ウェットインキ適性の低下を招き、2.5個を超えると、水への溶解性が悪く、経時安定性が低下してしまう。更に、ベンゾグアナミン樹脂(A)の重量平均分子量は、600〜900であることがより好ましい。重量平均分子量が500未満では、ヒューム量の増加を招き、1000を超えると、水への溶解性が悪く、経時安定性の低下および塗膜の白濁によるウェットインキ適性の低下を招く。なお、本発明でいうイミノ基とは、ベンゾグアナミン樹脂中の、アミノ基(−NH2)、N−メチロール基(−NH−CH2OH)、及びN−アルコキシメチル基(−NH−CH2OR:Rはアルキル基を示す)いずれかの窒素含有基の−NH−の部分をいう。そして、アミノ樹脂を扱う業界では、ホルムアルデヒド未変性部分の−NH2(アミノ基)もイミノ基2.0個とカウントする。すなわちホルムアルデヒド変性前のベンゾグアナミンの官能基はイミノ基4.0個とカウントする。又、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値をいう。
【0022】
本発明は、N−メチロール化されたベンゾグアナミンをブタノールによりN−ブトキシメチル化することを特徴とするが、ここでいうブタノールとは、n−ブタノール、sec−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノールが挙げられる。N−ブトキシメチル化する際、その他のアルコールを併用することができる。その他のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等が挙げられ、炭素数の増加に伴い、ヒューム抑制効果、ウェットインキ適性を向上させることができる。ヒューム、ウェットインキ適性のバランスと、溶解性や反応性のバランスを考慮すると、ブタノール類を使用するか、あるいはブタノール類とメタノールを併用することが好ましい。つまり、ベンゾグアナミン樹脂(A)には、N−ブトキシメチル基もしくは、N−ブトキシメチル基及びN−メトキシメチル基を含有する。N−ブトキシメチル基の割合が増えるにつれて、ヒューム抑制効果及びウェットインキ適性が向上する傾向にあり、更に反応性のバランスを必要とする場合には、N−メトキシメチル基の割合を増やすことで、反応性を向上させることができる。N−メトキシメチル基の割合はトリアジン環1個あたり0.2〜1.5個であることが好ましい。N−メトキシメチル基の割合が1.5個以上になると、ヒューム抑制効果及びウェットインキ適性が低下してしまう場合がある。
【0023】
又、本発明のベンゾグアナミン樹脂(A)は、その合計100重量%中、一核体の割合が40〜60重量%であることが好ましい。40重量%未満では、水への溶解性が悪く、経時安定性が低下する場合があり、60重量%を超えると、低分子量物の増加につながり、ヒューム量が多くなる場合がある。なお、ここでいう一核体とは、その分子中の縮合反応性基(メチロール基、及びN−アルコキシメチル基)のいずれもが縮合反応には関与しておらず、分子中にトリアジン環を一つのみ有するものを示す。
【0024】
ベンゾグアナミン樹脂(A)の製造方法について説明する。まず、ベンゾグアナミン、ホルムアルデヒド、及びブタノールを混合してアルカリ性雰囲気下(pH=9〜11が好ましい。)、50〜200℃で反応させ、N−メチロール化させる。この際、ベンゾグアナミン1モルに対してホルムアルデヒドを2〜15モルの範囲で仕込むのが好ましく、又、ブタノールは3〜20モルの範囲で仕込むのが好ましい。次に、上記で得られた反応溶液を酸性雰囲気下(pH=3〜6が好ましい。)にした後、還流脱水しながら、50〜150℃で反応させ、N−ブトキシメチル化させる。反応終了後、中和し、減圧下でブタノールと水とを除去する。なお、上記反応工程においては、必要に応じ、ブタノール以外のアルコール類を併用してもよい。例えば、メタノールを併用した場合、N−ブトキシメチル化に加えて、N−メトキシメチル化が起こる。
【0025】
本発明における水性アクリル樹脂(B)とは、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1):20〜50重量%、アルキル基の炭素数8〜14であるアルキル(メタ)アクリレート(b2):10〜40重量%、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸(b3):5〜10重量%、及び(b1)〜(b3)と共重合可能な(メタ)アクリレートもしくはビニルモノマー(b4):15〜65重量%を共重合して得られるアクリル樹脂である。
【0026】
N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドとは、まず(メタ)アクリルアミドにホルマリンを反応させてN−メチロール(メタ)アクリルアミドとし、次に、N−メチロール(メタ)アクリルアミドとアルコールとを反応させてなるものである。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、n−アミノアルコール、イソアミルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノール、2−エチルブタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール等のアルキルアルコールや、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、3−メトキシ−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール、イソプロピルグリコール等のセロソルブ系やカルビトール系のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールも使用できるが、これらの中でもアルキルアルコールが好ましく、アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアルコールが特に好ましい。上記アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアルコールを用いることにより、本発明における、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)〔以下、単に「N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)」もしくは「モノマー(b1)」とも表記する〕を得ることができる。
【0027】
N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)として具体的には、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0028】
これらのモノマー(b1)は、水性アクリル樹脂(B)を得る際に、モノマーの合計100重量%中20〜50重量%使用することが重要であり、25〜45重量%を使用することがより好ましい。20重量%未満では、反応性の低下からヒュームの発生が多くなり、50重量%を超えると、反応中にゲル化し易くなるばかりでなく、ゲル化せずに樹脂が得られても、塗膜の加工性は低下する。
【0029】
アルキル基の炭素数8〜14であるアルキル(メタ)アクリレート(b2)〔以下、「モノマー(b2)」とも表記する〕としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0030】
これらのモノマー(b2)は、水性アクリル樹脂(B)を得る際に、モノマーの合計100重量%中10〜40重量%使用することが重要である。10重量%未満では、ベンゾグアナミン樹脂(A)との相溶性が悪く、塗膜が白濁することによるウェットインキ適性の低下、及び塗料の経時安定性の低下を招き、40重量%を超えると、塗膜の耐傷つき性が低下する。本発明のベンゾグアナミン樹脂(A)は、従来使用されているベンゾグアナミン樹脂より高分子量化しているため、通常条件では水性塗料中への溶解性が劣るが、本発明の水性アクリル樹脂(B)を用いることによって、ベンゾグアナミン樹脂(A)の相溶性が増加し、水性塗料中への溶解が可能となる。
【0031】
α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸(b3)〔以下、「モノマー(b3)」とも表記する〕としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などがあり、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。これらのモノマー(b3)は、水性アクリル樹脂(B)を得る際に、モノマーの合計100重量%中5〜10重量%使用することが重要であり、5重量%未満では、水性アクリル樹脂(B)の水性化が困難であり、10重量%を超えると塗膜の耐水性が低下する。
【0032】
水性アクリル樹脂(B)を得る際に用いる、上記モノマー(b1)〜(b3)と共重合可能な(メタ)アクリレートもしくはビニルモノマー(b4)〔以下、「モノマー(b4)」とも表記する〕としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性アクリレートなどが挙げられる。又、ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニルなどが挙げられる。モノマー(b4)は、水性アクリル樹脂(B)を得る際に、モノマーの合計100重量%中15〜65重量%使用する。
【0033】
水性アクリル樹脂(B)は、通常の溶液重合によって得ることができ、前記モノマー(b1)〜(b4)の混合物を有機溶剤中で過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート等の過酸化物、又は、2,2−アゾビスイソブチルニトリルのようなアゾ化合物を触媒としてラジカル重合すればよい。重合溶媒に用いられる有機溶剤としては、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、ブチルカルビトール、メチルグリコール、メチルプロピレングリコール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
【0034】
本発明では、上記で得られた水性アクリル樹脂(B)をそのまま用いてもかまわないが、下記方法により水性媒体中に溶解もしくは分散させて用いることもできる。この場合、上記で得られた水性アクリル樹脂(B)溶液を減圧下である程度脱溶剤を行い、この溶液に水とともにアンモニアもしくは有機アミン等の揮発性塩基を加えるか、又は、アンモニアもしくは有機アミンなどの揮発性塩基を加えた後に水を加え、水性アクリル樹脂(B)中のカルボン酸の全部又は一部を中和することによって、水性アクリル樹脂(B)を水性媒体中に溶解もしくは分散させることができる。揮発性塩基は、沸点が400℃以下であることが好ましく、例えば有機アミンとしては、モノエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0035】
本発明の水性塗料組成物は、ベンゾグアナミン樹脂(A)/水性アクリル樹脂(B)=20/80〜80/20の重量比(固形分換算)で配合するのが好ましい。20/80よりベンゾグアナミン樹脂(A)が少ないと耐レトルト性の低下という問題が起こる場合があり、80/20より多いと塗膜の加工性の低下という問題が起こる場合がある。
【0036】
水性ポリエステル樹脂(C)は、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールとの重縮合反応(エステル化反応)により合成することができる。この反応は常圧下、減圧下のいずれで行なってもよく、又、分子量の調整は多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールとの仕込み比率(過剰率:酸基に対する水酸基の当量比)によって行なうことができる。水性ポリエステル樹脂(C)の合成に使用できる多塩基酸及び/又はその無水物としては、二塩基酸及び/又はその無水物が好ましく用いられ、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の芳香族二塩基酸及びその無水物類、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸及びその無水物類、(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸等の脂肪族二塩基酸及びその無水物類が挙げられ、得られる塗膜の硬度と加工性を勘案してこれらの中から適宜選択して使用することができる。
【0037】
又、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、オクタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等が挙げられ、得られる塗膜の硬度と加工性を勘案してこれらの中から適宜選択して使用することができる。
【0038】
水性ポリエステル樹脂(C)とは、水、又は、親水性有機溶剤と水との混合物に溶解することができるものをいい、酸価5〜100mgKOH/g、重量平均分子量500〜15000であることが好ましい。酸価が5未満では、水性塗料への溶解性が劣る場合があり、酸価が100を超えると、塗膜の耐レトルト性が低下する場合がある。又、重量平均分子量が500未満であると、ヒューム量の増加という問題が起こる場合があり、15000を超えると、水性塗料への溶解性が劣る場合がある。
【0039】
上記、水性ポリエステル樹脂(C)は、溶剤に溶解した溶液の形で本発明の水性塗料組成物の調製に供されることが好ましい。この溶剤としては、ポリエステル樹脂を希釈可能なもので、かつ親水性有機溶剤であるものが好ましく使用できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;
エチレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ、ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ、ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル等が挙げられる。
【0040】
水性ポリエステル樹脂(C)は、一般塗膜物性を維持するために必要な成分であり、固形分換算でベンゾグアナミン樹脂(A)と水性アクリル樹脂(B)との合計100重量部に対して5〜80重量部添加するのが好ましい。5重量部より少ないと、塗膜の耐衝撃性、加工密着性が劣る場合があり、80重量部を超えると、塗膜の耐レトルト性が悪化する場合がある。
【0041】
本発明の水性塗料組成物に用いられる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類のほか、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類等の親水性有機溶剤が使用できる。
【0042】
本発明の水性塗料組成物には、樹脂を硬化させるための酸触媒、又はそのアミンブロック化したもので、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、あるいはそれらのアミンブロック体等を水性塗料組成物100重量部(固形分換算)に対して0.01〜1重量を添加することができる。
【0043】
更に必要に応じて、従来公知のシリコーン系レベリング剤、ワックスを添加することもできる。又、サンドミル、ディスパー等の公知の分散機を用いて酸化チタン、アルミニウム顔料、キナクリドン等の顔料を分散し、着色塗料とすることもできる。
【0044】
本発明の水性塗料組成物には、その他一般的に用いられる水溶性樹脂や水分散性樹脂、例えば、水性ポリエーテルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、エポキシ樹脂のグリシジル基をアミン、リン酸等により付加変性した変性エポキシ樹脂等を添加して使用することも可能である。
【0045】
又、硬化助剤としてイソシアネート基を有する化合物を使用してもよく、活性メチレン、MEKオキシム、ε−カプロラクタムをブロック剤とするブロック化イソシアネート、ブロックなしのイソシアネート、及びMEKオキシム型水性イソシアネートを使用することも可能である。
【0046】
本発明の水性塗料組成物は、ロールコート、スプレー、ハケ塗り等の公知の手段により各種基材に塗装することができる。例えば、電気メッキ錫鋼板、アルミニウム鋼板、ステンレス鋼板、又はこれらの金属板にポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフテレート等のポリエステルフィルムをラミネートしたラミネート鋼板に本発明の水性塗料組成物を塗布、加熱、硬化して被塗物を得ることができる。特に本発明の水性塗料組成物は、金属板や、有底円筒状金属もしくはポリエステルフィルム被膜絞り缶の外面側に適用し被膜を形成するのに最適である。前記、金属板や、有底円筒状金属もしくはポリエステルフィルム被膜絞り缶に本発明の水性塗料組成物を塗布、乾燥、硬化した被塗物は、外観、加工性、耐傷つき性、耐レトルト性において優れた効果を有する。なお、本発明の水性塗料組成物は、140〜240℃の条件で、5秒〜10分間の条件で硬化させることが好ましい。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」とは「重量部」、「%」とは「重量%」をそれぞれ表す。
【0048】
製造例1[ベンゾグアナミン樹脂(A−1)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド187.5部、n−ブタノール518部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、100℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き3時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でn−ブタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−1)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−1)について、NMRによりイミノ基、及びN−ブトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0049】
<イミノ基、N−ブトキシメチル基、及びN−メトキシメチル基の定量>
日本電子株式会社製NMR「ECX−400」を用いて測定した。1H‐NMR(溶媒:CDCl3)よりイミノ基を、13C−NMR(溶媒:d6‐DMSO)よりN−ブトキシメチル基及びN−メトキシメチル基の定量を行なった。
【0050】
<重量平均分子量(Mw)の測定、及び一核体の定量>
Mwの測定は、東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との決定はポリスチレン換算で行った。又、一核体の定量はGPCのピーク面積から求めた。
【0051】
製造例2[ベンゾグアナミン樹脂(A−2)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド187.5部、n−ブタノール444部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、100℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き3時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でn−ブタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−2)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−2)について、製造例1と同様にイミノ基、及びN−ブトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0052】
製造例3[ベンゾグアナミン樹脂(A−3)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド150部、n−ブタノール444部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、100℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き4時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でn−ブタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−3)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−3)について、製造例1と同様にイミノ基、及びN−ブトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0053】
製造例4[ベンゾグアナミン樹脂(A−4)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド187.5部、メタノール192部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、80℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き3時間反応させた。減圧下にてメタノール、水を除去した後、n−ブタノール370部を仕込み、100に加熱し、3時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でn−ブタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−4)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−4)について、製造例1と同様にイミノ基、N−ブトキシメチル基、及びN−メトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0054】
製造例5[ベンゾグアナミン樹脂(A−5)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド112.5部、n−ブタノール316部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、100℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き4時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でn−ブタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−5)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−5)について、製造例1と同様にイミノ基、及びN−ブトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0055】
製造例6[ベンゾグアナミン樹脂(A−6)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド262.5部、n−ブタノール518部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、100℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き4時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でn−ブタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−6)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−6)について、製造例1と同様にイミノ基、及びN−ブトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0056】
製造例7[ベンゾグアナミン樹脂(A−7)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド150部、n−ブタノール518部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、100℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き3時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でn−ブタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−7)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−7)について、製造例1と同様にイミノ基、及びN−ブトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0057】
製造例8[ベンゾグアナミン樹脂(A−8)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド187.5部、メタノール256部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、80℃に加熱し3時間反応させた。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、還流脱水しながら、引き続き3時間反応させた。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、減圧下でメタノール、水を除去した。生成物を濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(A−8)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(A−8)について、製造例1と同様にイミノ基、及びN−メトキシメチル基の定量を行い、GPCにより重量平均分子量及び一核体量を算出した。
【0058】
上記製造例で得た、ベンゾグアナミン樹脂の分析値を表1に示した。なお、表中、「イミノ基」、「N−ブトキシメチル基」及び「N−メトキシメチル基」欄の数値は、トリアジン環1個あたりの、各官能基の数を示す。
【0059】
【表1】

【0060】
製造例9[水性アクリル樹脂(B−1)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド30部、ラウリルアクリレート30部、アクリル酸5部、スチレン25部、n−ブチルアクリレート10部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−1)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−1)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0061】
製造例10[水性アクリル樹脂(B−2)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド30部、ラウリルアクリレート20部、アクリル酸10部、スチレン25部、n−ブチルアクリレート15部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−2)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−2)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0062】
製造例11[水性アクリル樹脂(B−3)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド20部、ラウリルアクリレート40部、アクリル酸5部、スチレン25部、n−ブチルアクリレート10部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−3)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−3)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0063】
製造例12[水性アクリル樹脂(B−4)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド50部、ラウリルアクリレート10部、アクリル酸5部、スチレン20部、n−ブチルアクリレート15部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−4)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−4)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0064】
製造例13[水性アクリル樹脂(B−5)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド10部、ラウリルアクリレート20部、アクリル酸5部、スチレン35部、n−ブチルアクリレート30部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−5)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−5)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0065】
製造例14[水性アクリル樹脂(B−6)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド30部、ラウリルアクリレート5部、アクリル酸5部、スチレン30部、n−ブチルアクリレート30部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−6)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−6)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0066】
製造例15[水性アクリル樹脂(B−7)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド30部、ラウリルアクリレート45部、アクリル酸5部、スチレン10部、n−ブチルアクリレート10部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−7)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−7)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0067】
製造例16[水性アクリル樹脂(B−8)の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽からN−ブトキシメチルアクリルアミド30部、ラウリルアクリレート20部、アクリル酸15部、スチレン20部、n−ブチルアクリレート15部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後、105℃に保ち1時間反応し過酸化ベンゾイル1部を添加し、更に1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にて反応溶液の固形分が70%になるまでエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを脱溶剤した。次いで、80℃以下まで冷却し、ジメチルエタノールアミン6.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル樹脂(B−8)溶液を得た。製造した水性アクリル樹脂(B−8)について、GPCにより重量平均分子量を算出した。
【0068】
上記製造例で得た、水性アクリル樹脂の分析値を表2に示した。
【0069】
【表2】

【0070】
製造例17[水性ポリエステル樹脂(C−1)の製造]
攪拌装置、温度計、窒素導入管、及び分留装置と冷却管を備えた反応器に、1,4−ブタンジオール81部、ジエチレングリコール107部、1,6−ヘキサンジオール122部、トリメチロールプロパン144部、イソフタル酸144部、ヘキサヒドロ無水フタル酸402部を入れ、窒素ガス吹き込み下で、200℃にて脱水しながら反応させた。酸価が65〜70mgKOH/gに達したら冷却し、100℃でブチルセロソルブ250部を入れ、酸価70mgKOH/g、固形分76%の水性ポリエステル樹脂(C−1)溶液を得た。製造した水性ポリエステル樹脂(C−1)について、滴定により酸価を、GPCにより重量平均分子量をそれぞれ算出した。
【0071】
製造例18[水性ポリエステル樹脂(C−2)の製造]
攪拌装置、温度計、窒素導入管、及び分留装置と冷却管を備えた反応器に、1,4−ブタンジオール78部、ジエチレングリコール138部、1,6−ヘキサンジオール102部、トリメチロールプロパン116部、イソフタル酸150部、ヘキサヒドロ無水フタル酸416部を入れ、窒素ガス吹き込み下で、200℃にて脱水しながら反応させた。酸価が55〜60mgKOH/gに達したら冷却し、100℃でブチルセロソルブ250部を入れ、酸価35mgKOH/g、固形分75%の水性ポリエステル樹脂(C−2)溶液を得た。製造した水性ポリエステル樹脂(C−2)について、滴定により酸価を、GPCにより重量平均分子量をそれぞれ算出した。
【0072】
製造例19[水性ポリエステル樹脂(C−3)の製造]
攪拌装置、温度計、窒素導入管、及び分留装置と冷却管を備えた反応器に、1,4−ブタンジオール111部、ジエチレングリコール87部、1,6−ヘキサンジオール145部、トリメチロールプロパン73部、イソフタル酸124部、ヘキサヒドロ無水フタル酸406部を入れ、窒素ガス吹き込み下で、200℃にて脱水しながら反応させた。酸価が5〜10mgKOH/gに達したら冷却し、100℃でブチルセロソルブ250部を入れ、酸価10mgKOH/g、固形分73%の水性ポリエステル樹脂(C−3)溶液を得た。製造した水性ポリエステル樹脂(C−3)について、滴定により酸価を、GPCにより重量平均分子量をそれぞれ算出した。
【0073】
上記製造例で得た、水性ポリエステル樹脂(C)の分析値を表3に示した。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例1
製造例1で得たベンゾグアナミン樹脂(A−1)35重量部(固形分換算)、製造例9で得たアクリル樹脂(B−1)35重量部(固形分換算)、製造例17で得たポリエステル樹脂(C−1)30重量部(固形分換算)、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸アミン塩0.2重量部、シリコーン系レベリング剤0.5重量部を混合し、これにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、及びイオン交換水を添加、混合して固形分40%、有機溶剤量25%の水性塗料組成物を得た。
【0076】
実施例2〜7
表4に従って各成分を配合(固形分換算)し、実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。得られた実施例1〜7の水性塗料組成物に関し、ヒューム量、ウェットインキ適性、塗膜物性等について評価した。評価結果は同様に表4に示した。
【0077】
比較例1〜12
表5に従って各成分を配合(固形分換算)し、実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。得られた比較例1〜12の水性塗料組成物に関し、ヒューム量、ウェットインキ適性、塗膜物性等について評価した。評価結果は同様に表5に示した。
【0078】
<ヒューム量評価>
10cm× 10cmのブリキ板(厚さ0.2mm)に、乾燥塗膜量が80mg/dm2になるように水性塗料組成物を塗布し、220℃にセットしたホットプレート上に塗膜面が上になるように乗せ、更にこの塗膜の上側に10cm×10cmのブリキ板を、両者の間隔が1cmとなるように対面させ、焼付け時に塗膜から発生するヒュームを2分間にわたり付着させていった。これを、30枚繰り返した(但し、塗膜面上に対面させているブリキ板は交換しない)。塗膜面上に対面させヒュームを付着させたブリキ板を120℃−10分間加熱し、溶剤、水を除いた付着物の重量を発生したヒューム量とした。評価基準は以下のようにした。
◎:「5mg未満(合格)」
○:「5mg以上〜10mg未満(合格)」
△:「10mg以上〜15mg未満(不合格)」
×:「15mg以上(不合格)」
【0079】
<ウェットインキ適性>
板厚0.26mmのアルミ板に乾性油アルキッド樹脂をビヒクルの主成分とする墨インキを2μm厚みで印刷し、その上に実施例、比較例で得られた各水性塗料組成物(クリアーワニス)を、乾燥後塗膜厚が5μmになるようにロールコート塗装し、焼付前後のインキ層の凝集の程度を目視で評価した。焼付条件は、200℃−1分とした。なお、評価基準は以下のようにした。4点以上が実用レベルである。
(凝集なし)5点−1点(凝集し下地が露出)
【0080】
[塗膜物性試験]
以下の方法で作製した被塗物を用いて、耐衝撃性試験、加工密着性試験、湯中硬度、及び耐レトルト性試験を行った。2ピース缶用のアルミニウム缶胴部を開缶し、平板に伸ばしたものに、アルキッド樹脂又はポリエステル樹脂をビヒクルの主成分とするインキを印刷し(1.5μm)、インキが未乾燥の状態で上記水性塗料組成物を乾燥後の膜厚が4μmとなるように塗布し、雰囲気温度220℃のガスオーブンで1分間加熱乾燥した。更に雰囲気温度200℃のガスオーブンで3分間追加して加熱乾燥を行った。
【0081】
<耐衝撃性試験>
デュポン衝撃試験機を用いて、下記条件にて耐衝撃性試験を行い、衝撃部の塗膜の剥離状態を目視で評価した。なお、評価基準は以下のようにした。4点以上が実用レベルである。
撃芯径:1/2インチ、荷重:300g、落下高さ:30cm
(剥離なし)5点−1点(衝撃部全て剥離)
【0082】
<加工密着性試験>
蒸気雰囲気中で130℃−30分間レトルト処理した塗膜にカッターを使用して碁盤目状に切れ込みを入れ、セロハンテープを貼着した後、セロハンテープを剥離する際に剥離した塗膜面積で密着性を評価した。評価は、剥離面積(%)で行った。数値0が最も良好(剥離無し)であり、碁盤目が全く剥離しないことを示す。
【0083】
<湯中硬度>
塗装板を80℃の湯中に30分浸漬した後、80℃の湯中で鉛筆硬度を測定した。F以上を合格とする。
【0084】
<耐レトルト性試験>
蒸気雰囲気中で130℃−30分間レトルト処理した後の塗膜の白化程度を目視で評価した。なお、評価基準は以下のようにした。4点以上が実用レベルである。
(良好)5点−1点(全面白化)
【0085】
<溶解性>
塗料調製時の樹脂同士の相溶性を塗料溶液の透明性により目視で評価した。なお、評価基準は以下のようにした。4点以上が実用レベルである。
(良好)5点−1点(白濁)
【0086】
【表4】


【0087】
【表5】

【0088】
表4、5に示すように、本発明のベンゾグアナミン樹脂(A)、水性アクリル樹脂(B)、及び水性ポリエステル樹脂(C)を含む実施例1〜7の水性塗料組成物は、ヒューム量が少なく、ウェットインキ適性や塗膜物性に優れているのに対し、比較例1〜12の水性塗料組成物は、ヒューム量、ウェットインキ適性、塗膜物性のいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾグアナミン樹脂(A)、水性アクリル樹脂(B)、及び水性ポリエステル樹脂(C)を含む水性塗料組成物であって、
ベンゾグアナミン樹脂(A)が、イミノ基をトリアジン環1個あたり0.8〜1.5個、N−ブトキシメチル基をトリアジン環1個あたり1.0〜2.5個有する、重量平均分子量500〜1000の樹脂であり、
かつ、水性アクリル樹脂(B)が、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1):20〜50重量%、アルキル基の炭素数8〜14であるアルキル(メタ)アクリレート(b2):10〜40重量%、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸(b3):5〜10重量%、及び(b1)〜(b3)と共重合可能な(メタ)アクリレートもしくはビニルモノマー(b4):15〜65重量%を共重合してなる樹脂であることを特徴とする水性塗料組成物。
【請求項2】
ベンゾグアナミン樹脂(A)が、更にN−メトキシメチル基をトリアジン環1個あたり0.2〜1.5個有することを特徴とする請求項1記載の水性塗料組成物。
【請求項3】
水性ポリエステル樹脂(C)の酸価が5〜100mgKOH/g、重量平均分子量が500〜15000であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性塗料組成物。
【請求項4】
ベンゾグアナミン樹脂(A)が、その合計100重量%中に一核体を40〜60重量%含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性塗料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の水性塗料組成物を、金属板、有底円筒状金属もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶に塗布し、乾燥、硬化してなることを特徴とする被塗物。


【公開番号】特開2009−203300(P2009−203300A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45399(P2008−45399)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】