説明

水性描画材

【課題】描画に際して、チューブ状の容器の開口から描画材が過量に流出することがなく、不使用時には光輝材が描画材中で沈降せず、保存安定性にすぐれる水性描画材を提供する。
【解決手段】少なくとも、水、有機溶媒、光輝材、樹脂エマルジョン及び増粘剤を含み、上記増粘剤として、ニュートン性増粘剤と共にアルカリ膨潤型ポリアクリル酸からなるチキソトロピー性増粘剤を含み、チキソトロピー性増粘剤100重量部に対してニュートン性増粘剤を3〜1500重量部の範囲で、且つ、描画材に基いて、チキソトロピー性増粘剤を0.15〜0.6重量%の範囲で含み、ニュートン性増粘剤を0.01〜2.0重量%の範囲で含み、温度20℃において、8000〜200000mPa・秒の範囲の静止粘度と1000〜20000mPa・秒の範囲の動粘度を有する水性描画材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光輝材を含む高粘度の水性描画材に関し、詳しくは、チューブ状の容器の先端の開口から絞り出しながら、基材上に光輝性の文字や図形等の描線を描くことができ、その際、描いた描線が厚み又は盛り上がりを有する水性描画材であって、特に、描画に際しては、チューブ状の容器の先端の開口から過量に流出することがなく、しかも、不使用時には光輝材が分離せず、かくして、保存安定性にすぐれる水性描画材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、増粘剤を含む水性描画材であって、種々の基材に文字や図形等を厚み又は盛り上がりのある描線として描くことができる水性描画材は既に知られており、上記増粘剤としては、通常、チキソトロピー性を有するポリアクリル酸が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
このように、チキソトロピー性を有するポリアクリル酸を増粘剤として用いる水性描画材によれば、十分な静止粘度を有し、光輝材を含む場合であっても、その不使用時に光輝材が描画材中で分離し、沈降することはない。しかし、このように、チキソトロピー性を有するポリアクリル酸を増粘剤として用いる水性描画材は動粘度が十分でなく、場合によっては、チューブ状の容器の開口から描画材を絞り出しながら、基材上に描画するに際して、描画材が過量に流出し、基材上に溜まることがある。このように、描画材が過量に流出して、基材上に溜まるときは、例えば、細く、しかも、厚みのある、即ち、盛り上がった描線を正確に描くことができない。
【特許文献1】特開2007−284663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したように、種々の基材に文字や図形等を厚み又は盛り上がりのある描線として描くことができる従来の水性描画材における問題を解決するためになされたものであって、描画に際しては、チューブ状の容器の開口から描画材が過量に流出することがなく、しかも、不使用時には光輝材が描画材中で沈降せず、かくして、保存安定性にすぐれる水性描画材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、チューブ状の容器の先端の開口から絞り出しながら、基材上に厚みのある光輝性の描線を描くための水性描画材であって、少なくとも、水、有機溶媒、光輝材、樹脂エマルジョン及び増粘剤を含み、上記増粘剤として、ニュートン性増粘剤と共にアルカリ膨潤型ポリアクリル酸からなるチキソトロピー性増粘剤を含み、チキソトロピー性増粘剤100重量部に対してニュートン性増粘剤を3〜1500重量部の範囲で、且つ、描画材に基いて、チキソトロピー性増粘剤を0.15〜0.6重量%の範囲で含み、ニュートン性増粘剤を0.01〜2.0重量%の範囲で含み、温度20℃において、8000〜200000mPa・秒の範囲の静止粘度と1000〜20000mPa・秒の範囲の動粘度を有することを特徴とする水性描画材が提供される。
【0006】
本発明によれば、上記ニュートン性増粘剤は、好ましくは、会合型ウレタン樹脂であり、また、上記樹脂エマルジョンは、好ましくは、アクリル樹脂エマルジョンである。
【0007】
本発明によれば、上記有機溶媒は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、これらのモノアルキルエーテル及びモノアルキルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。更に、本発明による水性描画材は、着色剤を含んでもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性描画材によれば、チューブ状の容器の先端の開口からの絞り出しの際に描画材の過量の流出を抑えることができ、かくして、チューブ状の容器から適量の描画材を絞り出しながら、基材上に描画することができ、従って、細く、しかも、厚みのある、即ち、盛り上がった描線を正確に描くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による水性描画材は、チューブ状の容器の先端の開口から絞り出しながら、基材上に厚みのある光輝性の描線を描くための水性描画材であって、少なくとも、水、有機溶媒、光輝材、樹脂エマルジョン及び増粘剤を含み、上記増粘剤として、ニュートン性増粘剤と共にアルカリ膨潤型ポリアクリル酸からなるチキソトロピー性増粘剤を含み、チキソトロピー性増粘剤100重量部に対してニュートン性増粘剤を3〜1500重量部の範囲で、且つ、描画材に基いて、チキソトロピー性増粘剤を0.15〜0.6重量%の範囲で含み、ニュートン性増粘剤を0.01〜2.0重量%の範囲で含み、温度20℃において、8000〜200000mPa・秒の範囲の静止粘度と1000〜20000mPa・秒の範囲の動粘度を有するものである。
【0010】
本発明による水性描画材において、溶媒としては、水と有機溶媒が併用される。溶媒としての水は、主として、樹脂エマルジョンの濃度調整、即ち、安定化を目的として用いられ、溶媒としての有機溶媒は、主として、本発明による水性描画材を前述したようなチューブ状の容器の先端の開口から絞り出しながら描画面上に描画するときに上記容器の開口部での描画材の乾燥を防止すると共に、疎水性の光輝材の表面の濡れ性を高めるために用いられる。
【0011】
上記有機溶媒は、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、これらのモノアルキルエーテル及びモノアルキルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。具体例として、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル等を挙げることができる。
【0012】
上記有機溶媒のうち、比較的高沸点のグリコール類やそのモノエーテル類、例えば、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテルや、モノエーテルアセテート類等は、後述する樹脂エマルジョンのための造膜助剤、即ち、樹脂エマルジョンの最低造膜温度を下げるようにも機能する。
【0013】
本発明による水性描画材において、水の量は、後述する樹脂エマルジョン中の水を含めて、通常、5〜50重量%、好ましくは、20〜40重量%の範囲であり、上記有機溶媒の量は、通常、5〜30重量%、好ましくは、10〜20重量%の範囲である。
【0014】
本発明による水性描画材は、光輝材を含有しており、これによって、光輝性を有する装飾性と意匠性に富む描線を基材上に描くことができる。光輝材としては、従来から知られているものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、金属や金属酸化物で被覆されたガラスフレーク、無機粒子、パール顔料、樹脂フィルムの破砕物等の光輝材等が好ましく用いられる。光輝材は、描画材に基いて、通常、0.05〜5重量%の範囲、好ましくは、0.1〜3重量%の範囲で用いられる。
【0015】
必要に応じて、描画材は、このような光輝材と共に顔料も含んでいてもよい。顔料は何ら限定されることなく、従来、知られている無機及び有機顔料が適宜に用いられる。
【0016】
本発明において、基材は、特に限定されるものではないが、通常、紙、布帛、ガラス、木材、金属等を挙げることができる。
【0017】
本発明による水性描画材は、このような基材上に艶と厚みのある描線を形成するために、好ましくは、最低造膜温度が−25〜30℃の範囲、好ましくは、−10〜10℃の範囲にある樹脂エマルジョンを描画材に基いて固形分換算にて、通常、20〜50重量%、好ましくは、30〜50重量%の範囲で含む。描画材における樹脂エマルジョンの量が固形分換算にて20重量%よりも少ないときは、得られる描線に厚みが乏しく、また、艶も乏しい。しかし、描画材における樹脂エマルジョンの量が固形分換算にて50重量%よりも多いときは、描画材を容器から絞り出し難い。
【0018】
本発明において、上記樹脂エマルジョンとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン等が用いられる。
【0019】
本発明によれば、用いる樹脂エマルジョンによっては、例えば、樹脂エマルジョンがアクリル樹脂エマルジョンである場合は、樹脂を中和して、エマルジョンを安定化するために、水性描画材は、樹脂エマルジョンと共に塩基性物質を含有していてもよい。そのような塩基性物質として、例えば、アンモニア、トリメチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、ジブチルアミン、1−アミノー2−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン等を挙げることができる。これらの塩基性物質は、描画材に基いて、通常、0.1〜5重量%の範囲で用いられる。
【0020】
本発明による水性描画材は、低せん断領域においてチキソトロピー性を有するようにチキソトロピー増粘剤を含むと共に、高せん断領域においてニュートン性を有するようにニュートン性増粘剤を含む。
【0021】
チキソトロピー性増粘剤とは、分散媒に溶解して、応力を加えると粘度が低下して流動性が高くなり、これを放置しておくと、再度、粘度が高くなるような粘性を分散媒に与える増粘剤をいい、ニュートン性増粘剤とは、分散媒に溶解して、流動に際して応力に比例したひずみ速度を示す粘性を分散媒に与える増粘剤をいう。
【0022】
本発明において、チキソトロピー性増粘剤には、好ましくは、アルカリ膨潤型ポリアクリル酸が用いられる。アルカリ膨潤型ポリアクリル酸とは、分散媒中、アルカリで中和され、膨潤して、分子が相互に絡まりつつ、分散媒全体に広がって、分散媒を増粘させる。本発明において、このようなアルカリ膨潤型ポリアクリル酸増粘剤として、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)製のカーボポール940、カーボポール941、カーボポール980等や、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製のASE60等を挙げることができる。
【0023】
他方、本発明において、ニュートン性増粘剤は、特に限定されず、ニュートン性増粘剤として機能する増粘剤であれば、任意のものが用いられるが、好ましい代表例として、会合型樹脂を挙げることができる。このような会合型樹脂は、樹脂の分子中に疏水性基と親水性基を有し、疏水性基は分散媒中の疎水性の粒子と疏水結合し、親水性基は相互に会合しつつ、分散媒全体に広がって、分散媒を増粘させる。
【0024】
このような会合型樹脂としては、例えば、、ウレタン樹脂が知られており、市販品として入手することができる。そのような市販品としては、例えば、旭電化工業(株)製のアデカノールUH、アクゾノーベル社製のBERMODOL PUR、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製のプライマルRM−2020NPR、プライマルRM−6000、プライマルRM−5000等を挙げることができる。
【0025】
本発明による水性描画材は、チキソトロピー性増粘剤100重量部に対してニュートン性増粘剤を3〜1500重量部の範囲で、且つ、描画材に基いて、チキソトロピー性増粘剤を0.15〜0.6重量%の範囲で含み、ニュートン性増粘剤を0.01〜2.0重量%の範囲で含み、温度20℃において、8000〜200000mPa・秒の範囲の静止粘度と1000〜20000mPa・秒の範囲の動粘度を有する。
【0026】
描画材に基づいて、チキソトロピー性増粘剤の量が0.15重量%よりも少ないときは、得られる描画材が十分な静止粘度をもたず、従って、描画材の不使用時に光輝材が分離、沈降する。他方、チキソトロピー性増粘剤の量が0.6重量%よりも多いときは、描画材の粘性が高すぎて、容器から絞り出し難い。また、ニュートン性増粘剤の量が描画材に基いて0.01重量%よりも少ないときは、得られる描画材が十分な動粘度をもたず、従って、描画材が容器から過量に流出しやすく、細く、厚みのある描線を基材上に描くことができない。しかし、ニュートン性増粘剤の量が2.0重量%よりも多いときは、描画材の粘性が高すぎて、描画材を容器から絞り出し難い。
【0027】
本発明による描画材は、上述したようなチキソトロピー性増粘剤とニュートン性増粘剤を相互に上述した比率にて、且つ、描画材に基いて、それぞれ上述した範囲にて含み、これによって、室温(20℃)において、8000〜200000mPa・秒の範囲の静止粘度と1000〜20000mPa・秒の範囲の動粘度を有することが必要であり、かくして、本発明によれば、チューブ状の容器の先端の開口からの描画材の絞り出しの際の過量の流出を抑えて、容器から適量の描画材を絞り出しながら、基材上に描画することができ、従って、細く、しかも、厚みのある、即ち、盛り上がった描線を正確に描くことができる。
【0028】
ニュートン性増粘剤のみによっても、その使用量を適宜に調節することによって、得られる描画材の静止粘度と動粘度を本発明にて規定する範囲のもとすることができる。この場合、容器からの描画材の絞り出しの際の過量の流出を抑えることができるので、容器から適量の描画材を絞り出しながら、基材上に描画することができるが、しかし、依然として、光輝材が経時的に沈降する。ニュートン性増粘剤のみによっては、経時的に沈降しないように光輝材を描画材中に安定に分散させることができない。
【0029】
更に、本発明による水性描画材は、必要に応じて、防腐剤、防黴剤、湿潤剤、消泡剤等を適宜に含有していてもよい。
【0030】
実施例
以下に本発明の実施例と共に比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において用いた溶媒、可塑剤、顔料、樹脂及びゲル化剤は下記のとおりである。
【0031】
有機溶媒1:エチレングリコール
有機溶媒2:ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル
樹脂エマルジョン:ローム・アンド・ハース製アクリル樹脂エマルジョン、プライマルRHA−691、固形分62%
チキソトロピー性増粘剤:ルプリゾール製アルカリ膨潤型ポリアクリル酸、カーボポール940
ニュートン性増粘剤:ローム・アンド・ハース製会合型ウレタン樹脂、プライマルRM−6000
光輝材:ダイヤ工業(株)製レインボーフレークIINo.501SNo.7
防腐剤:アーチケミカルズ(株)製プロクセルXL−2
防黴剤:日本エンバイオケミカルズ(株)製コートサイドH
【0032】
実施例1
表1に記載の成分をすべて容器に投入し、減圧下にプロペラを用いて攪拌脱泡して、水性描画材を得た。
【0033】
実施例2〜5及び比較例1〜4
実施例1と同様にして、描画材を得た。
【0034】
描画材の性能の評価
上述したようにして得たそれぞれの描画材について、下記のようにして、動粘度と静止粘度を測定すると共に、描画性を評価した。
【0035】
粘度測定
レオメーター(ハーケ製レオストレスRS75)にて温度20℃でセンサーとしてC35/1°コーンを用い、回転数1/秒のときの粘度を静止粘度として求め、回転数100/秒のときの粘度を動粘度として求めた。結果を表1に示す。
【0036】
書き味(描画性)
先端に直径0.6mmの開口を有するポリエチレン樹脂製のチューブ状の容器に描画材を充填した。基材としては、厚紙上に1.0cm四方、1.5cm四方及び3.0cm四方の枠をそれぞれ4つずつ連ねて描画面とした。上記容器の先端の開口から描画材を絞り出しながら、上記3種のそれぞれの4つの枠内に予め選んだ4つの平仮名文字を描いた。この描画の際に描画材が描画面上に溜まることなく、一定量が容器から流出し、文字を正確に描くことができるときを○、描画材が描画面上に溜まることがあるが、ほぼ一定量が容器から流出し、文字をほぼ正確に描くことができるときを△、描画材が容器から過量に流出して、描画面上に過度に溜まって、正確に文字を描くことができないときを×とした。結果を表1に示す。表において、
【0037】
保存安定性
描画材をガラス瓶中に温度50℃で2週間保存し、光輝材が描画材中、沈降したかどうかを調べた。沈降しないときを○、沈降したときを×とした。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
比較例1及び2にみられるように、チキソトロピー性であるアルカリ膨潤型ポリアクリル酸増粘剤のみを用いて、その量を増やせば、得られる描画材においては光輝材の沈降がなく、保存安定性にはすぐれるが、動粘度が小さすぎるために、描画に際して、描画材が容器から過量流出し、描画面上に溜まって、描画性に劣る。他方、比較例3及び4にみられるように、ニュートン性増粘剤である会合型ウレタン樹脂増粘剤のみを用いるときは、その量を増やせば、十分な動粘度を得ることはできるので、得られる描画材は描画性にはすぐれるが、しかし、比較例4にみられるように、描画材の動粘度は十分に大きいにもかかわらず、描画材は上記チキソトロピー性増粘剤を含まないので、光輝材が時間の経過と共に描画材中にて沈降し、保存安定性に劣る。
【0040】
即ち、チキソトロピー性アルカリ膨潤型ポリアクリル酸増粘剤は描画材中で膨潤し、描画材全体に広がって、描画材を増粘させ、その結果として、光輝材を沈降させることなく、描画材中に安定に分散させつつ、保持することができる。これに対して、ニュートン性会合型ウレタン樹脂増粘剤は、その疎水性基によって光輝材の表面に疎水結合して、描画材全体に広がることによって描画材を増粘させるが、光輝材と疎水結合していない親水性基は描画材中で相互に会合しており、このように、光輝材は、ニュートン性増粘剤の疎水性基によって表面が被覆されているために、描画材中に分散することができず、時間の経過と共に描画材中で沈降する。
【0041】
これに対して、本発明に従って、水性描画材において、チキソトロピー性増粘剤とニュートン性増粘剤を併用し、チキソトロピー性増粘剤とニュートン性増粘剤を所定の比率で、且つ、描画材に基いて、所定の割合で含み、温度20℃において、8000〜200000mPa・秒の範囲の静止粘度と1000〜20000mPa・秒の範囲の動粘度を有することによって、描画材の容器からの絞り出しの際に過量の流出を抑えることができ、かくして、チューブ状の容器から適量の描画材を絞り出しながら、基材上に描画することができ、従って、細く、しかも、厚みのある、即ち、盛り上がった描線を正確に描くことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状の容器の先端の開口から絞り出しながら、基材上に厚みのある光輝性の描線を描くための水性描画材であって、少なくとも、水、有機溶媒、光輝材、樹脂エマルジョン及び増粘剤を含み、上記増粘剤として、ニュートン性増粘剤と共にアルカリ膨潤型ポリアクリル酸からなるチキソトロピー性増粘剤を含み、チキソトロピー性増粘剤100重量部に対してニュートン性増粘剤を3〜1500重量部の範囲で、且つ、描画材に基いて、チキソトロピー性増粘剤を0.15〜0.6重量%の範囲で含み、ニュートン性増粘剤を0.01〜2.0重量%の範囲で含み、温度20℃において、8000〜200000mPa・秒の範囲の静止粘度と1000〜20000mPa・秒の範囲の動粘度を有することを特徴とする水性描画材。
【請求項2】
ニュートン性増粘剤が会合型ウレタン樹脂である請求項1に記載の水性描画材。
【請求項3】
樹脂エマルジョンがアクリル樹脂エマルジョンである請求項1に記載の水性描画材。
【請求項4】
有機溶媒がエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、これらのモノアルキルエーテル及びモノアルキルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水性描画材。
【請求項5】
着色剤を含む請求項1に記載の水性描画材。



【公開番号】特開2010−59350(P2010−59350A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228456(P2008−228456)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(390039734)株式会社サクラクレパス (211)
【Fターム(参考)】