説明

水性粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウム含有ミネラル製剤の細菌安定化のための方法

本発明は、少なくとも1つのアルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を水性ミネラル製剤に加える段階を含む、水性ミネラル製剤を安定化するための方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウム含有ミネラル(無機)製剤の細菌安定化(bacterial stabilizing)のための方法、ならびに殺生物活性増強化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、塗装、ゴムおよびプラスチック産業においては、コーティング、充填剤、エキステンダーおよび顔料(製紙用)ならびに水性ラッカーおよび塗料として、水性製剤、そして特に水不溶性ミネラル固体の懸濁液または分散液が実際に広く使用されている。例えば、ミネラル固体の懸濁液または分散液は、充填剤として、および/またはコーテッドペーパーの製造における成分として、紙産業において大量に使用されている。水不溶性固体の典型的な水性製剤は、それが懸濁液または分散液の形態で水、水不溶性固体化合物および場合によっては他の添加物、例えば分散剤を含むことにより特徴づけられる。例えば、そのような製剤における分散剤および/または粉砕補助剤として使用されうる水溶性重合体および共重合体はUS 5,278,248に記載されている。
【0003】
前記の水性製剤は、しばしば、好気性細菌および嫌気性細菌のような微生物により汚染されて、それらの商業的価値に負の影響を及ぼす、製剤特性の変化、例えば変色または他の品質特性の低下を招く。したがって、そのような水性製剤の製造業者は、通常、該懸濁液、分散液またはスラリーを安定化するための対策を講じる。例えば、アルデヒド放出性殺生物剤は水性製剤におけるそのような微生物の増殖および蓄積を低下させ、したがって、不快な臭いのようなこれらの製剤の望ましくない変化の傾向を軽減することが公知である。水性製剤の許容される微生物学的性質を確保するために、該製剤の全寿命(製造、貯蔵、輸送、使用)にわたって殺生物剤が使用される。当技術分野においては、水性製剤の微生物学的性質を改善するための幾つかのアプローチが提示されている。例えば、EP 1 139 741は、溶液形態の殺微生物剤および部分中和形態のフェノール誘導体を含有する、ミネラル、充填剤および/または顔料の水性懸濁液または分散液を記載している。US 5,496,398は、低温熱と低レベルの殺微生物剤との組合せにより陶土スラリーにおける微生物を減少させるための方法に関するものである。WO 02/052941は、少なくとも1つの酸化金属と少なくとも1つの金属塩とを含む塗料、コーティング、プラスターおよびプラスチック内に加えるための殺生物組成物を記載している。US 2006/0111410は、工業用物質および製品を微生物による攻撃および破壊から守るための1,2−ベンゾイソチアゾリノン(BIT)とテトラメチロールアセチレンジ尿素(TMAD)とを含む混合物を記載している。さらに、微生物に関連した品質を改善するために、そのような水性製剤にホルムアルデヒド放出性物質を加えることが当技術分野で示唆されている。例えば、US 4,655,815は、ホルムアルデヒド供与体を含む抗微生物組成物を記載している。さらに、WO 2006/079911は、懸濁液のOHイオン濃度を増加させることにより微生物に対して防御する方法を記載している。
【0004】
WO 2004/040979 A1は、1,2−ベンゾイソチアゾリノン(BIT)とベンジルヘミホルマール(BHF)とを含有する相乗的抗微生物混合物に関するものである。該対応混合物は、例えば顔料の懸濁液に使用される。
【0005】
EP 1 362 897は、塗料、コーティング、シーラントおよび接着剤における殺生物剤増強物質としての、第二級または第三級アルカノールアミンの使用に関するものである。
【0006】
EP 1 661 587 A1は、有効成分としてフタルアルデヒドを含む殺菌組成物に関するものである。EP 1 661 587 A1においては、炭酸塩および炭酸水素塩はフタルアルデヒドの殺菌効力を増強しうることが示されている。
【0007】
US 2001/0009682 A1は、アルデヒド、例えばグルタルアルデヒド、グリコールおよびリチウムに基づくバッファーを含有しうる、改善された殺生物活性を有する消毒濃縮物に関するものである。
【0008】
最後に、EP 2 108 260は、アルデヒド放出性および/またはアルデヒドに基づく殺生物剤に抵抗性である、耐性である及び/又は該殺生物剤を分解する少なくとも1つの細菌株と少なくとも1つのミネラルとを含む水性製剤の細菌安定化のための方法を記載しており、該方法は、(a)該水性製剤中のアルデヒド放出性および/またはアルデヒドに基づく殺生物剤の総量が、該製剤中の水に対して計算された場合に250ppm〜5000ppmとなる量で、1以上のアルデヒド放出性および/またはアルデヒドに基づく殺生物剤を該水性製剤に加え、(b)該水性製剤中の可溶化リチウムの総量が、該製剤中の水の重量に対して計算された場合に1000ppm〜3000ppmとなる量で、少なくとも1つの水溶性リチウム化合物を該水性製剤に加える段階を含み、段階(a)および(b)は同時に、またはいずれかの順序で別々に行われうる。
【0009】
幾つかの殺生物剤の活性スペクトルは限られたものであるため、細菌に対するそのような殺生物剤の効力は常に満足しうるものであるわけではなく、したがって、得られる作用は、場合によっては、水性製剤の微生物誘発性変化を避けるのに不十分である。
【0010】
したがって、より長く存続する十分な安定化を達成するためには、粉砕天然炭酸カルシウムを含むミネラル物質の懸濁液および分散液のような水性製剤において十分な殺生物活性をもたらす適当な組成物が尚も必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,278,248号明細書
【特許文献2】欧州特許第1139741号明細書
【特許文献3】米国特許第5,496,398号明細書
【特許文献4】国際公開02/052941号
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0111410号明細書
【特許文献6】米国特許第4,655,815号明細書
【特許文献7】国際公開2006/079911号
【特許文献8】国際公開2004/040979号
【特許文献9】欧州特許第1362897号明細書
【特許文献10】欧州特許第1661587号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2001/0009682号明細書
【特許文献12】欧州特許第2108260号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のこれらの及び他の目的は、本発明において記載されており特許請求の範囲において定められている方法および使用により達成されうる。本出願の他の態様は、(a)少なくとも1つのアルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を水性ミネラル製剤に加える段階を含む、水性ミネラル製剤を安定化するための方法であり、以下の点を特徴とする:
・該ミネラルは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、ドロマイト、表面修飾炭酸カルシウムまたはそれらの混合物の少なくとも1つを含む;
・該方法は、少なくとも1つのモノアルコール第一級アルカノールアミンを該水性ミネラル製剤に加える段階(b)を含み、段階(b)は、段階(a)と同時に又は別々に行われうる;
・該殺生物剤は、該水性製剤の水相の重量に対して90〜1350ppmに対応する量で、該水性製剤に加えられる;および
・該モノアルコール第一級アルカノールアミンは、該水性製剤の水相の重量に対して600〜1200ppmに対応する量で、該水性製剤に加えられる。
【0013】
本発明においては、「水性製剤の安定化(水性製剤を安定化する)」なる語は、細菌の「有意な増殖(成長)」を伴わないことを意味する。好ましくは、該安定化は、処理された水性製剤の総生菌数(Total Viable Count)(TVC;後記実施例に記載されている測定方法により測定される1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(cfu/ml)として与えられる)の、10 cfu/ml未満の値、より好ましくは10 cfu/ml未満の値、より一層好ましくは10 cfu/ml以下の値への減少および/または維持をもたらす。
【0014】
本発明の意義における「水性ミネラル製剤」は、粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウム含有ミネラルならびに水ならびに場合によっては他の添加物を含む懸濁液である。必要な固体含量を有する製剤は粘性である可能性があり、分散剤または他のレオロジー改変剤での補足を要しうる。
【0015】
本出願の意義における固体含量は水相の蒸発の後の該水性製剤の残留重量に相当し、後記実施例に記載されている測定方法により決定される。
【0016】
該水相の重量は、該水相の蒸発の後の該水性製剤の残留重量(後記実施例に記載されている測定方法により決定されたもの)を該水性製剤の総重量から引き算することにより決定される。
【0017】
本発明においては、「アルデヒド放出性殺生物剤」は、モノ−、ジ−および/またはトリ−アルデヒドを放出しうる化合物を意味する。
【0018】
本発明においては、「アルデヒドに基づく殺生物剤」は、1以上のアルデヒド基を有する殺生物剤を意味する。
【0019】
本発明においては、「フェノール性殺生物剤」は、少なくとも1つのフェノール官能基を含む殺生物剤を意味する。
【0020】
本発明においては、「イソチアゾリン殺生物剤」は、少なくとも1つのイソチアゾリン基を含む殺生物剤を意味する。
【0021】
本発明においては、モノアルコール第一級アルカノールアミンは、ただ1つのアルコール官能基を有するアルカノールアミンであり、ここで、該アミンは、ただ1つの非水素アルキル置換基により特徴づけられる。そのようなアルカノールアミンは、一般に、化学式:HO−R−NH2(式中、Rは、直鎖状または分枝状であるアルキル基であり、場合によっては、水素以外のものに基づく置換基により特徴づけられる)により表されうる。
【0022】
さらに、本発明は、少なくとも1つのアルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を含む水性粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウム含有ミネラル製剤における殺生物活性増強化合物としての、少なくとも1つのモノアルコール第一級アルカノールアミンの使用に関するものであり、ここで、該水性製剤中の該殺生物剤の総量は、該製剤の水相の重量に対して計算された場合に90ppm〜1350ppmであり、該水性製剤中の該モノアルコール第一級アルカノールアミンの総量は、該製剤の水相の重量に対して計算された場合に600〜1200ppmである。
【0023】
モノアルコール第一級アルカノールアミン、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)は、種々の産業(例えば、ミネラル製剤)において使用される公知添加物である。
【0024】
ウェブページ“www.dow.com/angus/prod/paint.htm”からは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが炭酸カルシウムおよび他の顔料を分散させることが公知である。Angus Chemical Companyにより発行された技術広報(Technical Bulletin)67は、AMP−95(5%の水を含有する2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)は「全てのタイプのラテックスエマルション塗料の多機能性添加物として広く認識されている。製剤化において、AMP−95は、顔料の再アグロメレーションを防ぐための強力な共分散剤として使用されうる。」と記載している。
【0025】
US 4,370,171は、アルカノールアミンと重合体カルボン酸との組合せを分散剤として使用して水性媒体中に粉末化固体を分散させるための方法を開示しており、一方、US 4,345,945は、アルカノールアミンの塩と亜リン酸との組合せを使用する水性媒体中の粉末化固体の分散に言及している。WO 2006/057993は同様に、AMPでありうるアルカノールアミンの塩および/またはエステルならびに多塩基酸の、顔料分散剤としての使用に言及している。
【0026】
実際には、AMPのようなモノアルコール第一級アルカノールアミンが分散剤、腐食抑制剤、pH調節剤および他の用途として一般に使用されているにもかかわらず、粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウムを含む選択された水性ミネラル製剤の環境において殺生物活性増強化合物として働くようにモノアルコール第一級アルカノールアミンが適切に添加されうると認識されたことがないことは、本出願人にとって益々名誉なことである。
【0027】
本明細書に記載されている殺生物活性増強化合物は、そのような殺生物活性増強化合物を含有しない製剤(ただし、該製剤は、水性製剤中の殺生物剤の総量が、該製剤中の水に対して計算された場合に90〜1350ppmとなる量で、1以上の殺生物剤を含有する)と比較して、1以上の殺生物剤の殺生物活性を増強または誘導しうる化合物である。
【0028】
注目すべきことに、該殺生物活性増強化合物は、これらの殺生物剤がそれらの最小阻止濃度(MIC)(該MICは、10 cfu/mlのオーダーへTVCを減少させるのに必要な最低濃度として定義される)より少ない量で適用された場合に、1以上の殺生物剤の殺生物活性を誘導する能力を有しうる。
【0029】
モノアルコール第一級アルカノールアミン(例えば、AMP)が殺生物剤と組合せて示されている場合、それは、粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウムを含む本発明のミネラルの特定の水性製剤には無関係な用途におけるものであるに過ぎない。これらの場合であっても、ミネラル物質の水性製剤に使用するそのような添加物を特定することを担う当業者にとって実施不可能な量で殺生物剤と組合せてモノアルコール第一級アルカノールアミンを加える必要があることがしばしば示されている。
【0030】
WO 2006/016991は、水を含有する液体炭化水素系に関する、第二級または第三級アミンである特定されているアルキルアミンエトキシラートと殺微生物性抑制剤とから構成される、微生物を抑制する組合せを記載している。標的微生物は、水−炭化水素境界に存在する微生物である。WO 2006/016991の表1は、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)が接種された、トリプチカーゼ・ソイ・ブロス(Trypticase Soy Broth)(TSB)に基づくプレートに適用される場合、該細菌の増殖速度に有意な影響を及ぼすためには、500ppmのトリアジン殺生物剤と組合された4000ppmを超えるAMPが必要であることを示している。
【0031】
本出願人は、この参考文献に関しては更に、驚くべきことに、後記実施例に示されているとおり、本発明の状況においてはモノアルコール第三級アルカノールアミンが殺生物剤増強作用をもたらさないことを指摘するであろう。
【0032】
本出願人はまた、驚くべきことに、ジアルコール含有第一級アルカノールアミンが、後記実施例に示されているとおり、本発明の状況においては殺生物剤増強作用をもたらさないことを見出した。
【0033】
より最近になって、WO 2008/088632は、殺生物剤と少なくとも6個の炭素原子を有するモノアルコール第一級アルカノールアミンとを含む金属加工用流体において有用な組成物を記載している。この文書は、12ページにおいて、そのような組成物が幾つかの用途のなかでもとりわけ「ミネラルスラリー」の環境において適用されうることを示しているが、そのようなミネラルスラリーのいずれの特徴に関しても更なる情報は記載されておらず、また、この実施形態は全く例示されていない。
【0034】
実際には、全く驚くべきことに、後記実施例に示されているとおり、本発明の状況において殺生物剤増強作用を観察するためには、粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウムの強制的存在が決定的に重要である。
【0035】
本出願の第1の態様は、(a)少なくとも1つのアルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を水性ミネラル製剤に加える段階を含む、水性ミネラル製剤を安定化するための方法であり、以下の点を特徴とする:
・該ミネラルは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、ドロマイト、表面修飾炭酸カルシウムまたはそれらの混合物の少なくとも1つを含む;
・該方法は、少なくとも1つのモノアルコール第一級アルカノールアミンを該水性ミネラル製剤に加える段階(b)を含み、段階(b)は、段階(a)と同時に又は別々に行われうる;
・該殺生物剤は、該水性製剤の水相の重量に対して90〜1350ppmに対応する量で、該水性製剤に加えられる;および
・該モノアルコール第一級アルカノールアミンは、該水性製剤の水相の重量に対して600〜1200ppmに対応する量で、該水性製剤に加えられる。
【0036】
本発明の第2の態様は、少なくとも1つのアルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を含む水性粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウム含有ミネラル製剤における殺生物活性増強化合物としての、少なくとも1つのモノアルコール第一級アルカノールアミンの使用に関するものであり、ここで、該水性製剤中の該殺生物剤の総量は、該製剤の水相の重量に対して計算された場合に90ppm〜1350ppmであり、該水性製剤中の該モノアルコール第一級アルカノールアミンの総量は、該製剤の水相の重量に対して計算された場合に600〜1200ppmである。
【0037】
殺生物剤
本発明の方法または使用の好ましい実施形態においては、該アルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤は、該製剤中の水に対して計算された場合に100ppm〜1000ppmの総量、好ましくは150ppm〜800ppmの量で、該水性製剤に加えられる。
【0038】
本発明の1つの実施形態においては、該殺生物剤は未希釈形態、すなわち、濃縮形態である。もう1つの実施形態においては、該殺生物剤は、該水性製剤に加えられる前に適当な濃度に希釈される。該希釈形態においては、該殺生物剤は、好ましくは、水に溶解され、この場合、該対応希釈組成物は、好ましくは、該組成物の総重量に対して99重量%までの殺生物剤を含む。より好ましくは、水中の組成物は、該組成物の総重量に対して50〜95重量%の殺生物剤を含み、最も好ましくは、60〜90重量%の殺生物剤を含み、該組成物は更に、適当な安定剤を含みうる。
【0039】
アルデヒドに基づく本発明の殺生物剤は、好ましくは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、2−プロペナール、フタル酸ジアルデヒドおよびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドおよびこれらの混合物である。
【0040】
本出願においては、グルタルアルデヒドおよびグルタルジアルデヒドは同一である。どちらの名称も該産業において広く用いられている。
【0041】
本発明の好ましいアルデヒド放出性殺生物剤には、ホルムアルデヒド放出性殺生物剤、アセトアルデヒド放出性殺生物剤、スクシンアルデヒド放出性殺生物剤、2−プロペナール放出性殺生物剤およびこれらの混合物が含まれる。
【0042】
もう1つの実施形態においては、該アルデヒド放出性化合物は、ベンジルアルコールモノ(ポリ)−ヘミホルマール、エチレングリコールヘミホルマール(EGHF)、[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−ビス−メタノール、テトラヒドロ−1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシルメチル)イミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオン(一般にテトラメチロールアセチレンジ尿素TMADとも称される)およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
他の好ましい化合物としては、活性化ハロゲン原子および遊離性ホルムアルデヒドを有する化合物が挙げられる。
【0044】
好ましいフェノール性殺生物剤はオルトフェニルフェノール(OPP)である。
【0045】
好ましいイソチアゾリン殺生物剤は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)またはそれらの混合物である。
【0046】
本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、該アルデヒド放出性および/またはアルデヒドに基づく殺生物剤は、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)、2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)およびこれらの混合物からなる群から選択される殺生物剤と共に使用される。
【0047】
本発明に従い使用されうる殺生物剤の混合物は、好ましくは、水に溶解される。
【0048】
特に好ましい殺生物剤混合物は、グルタルアルデヒド、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)および2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)を含む。
【0049】
もう1つの特に好ましい殺生物剤混合物は、エチレングリコールヘミホルマール、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)および2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)を含む。
【0050】
水性ミネラル製剤の固体
該水性ミネラル製剤の水不溶性固体は以下のもののうちの少なくとも1つを含む:粉砕天然炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、ドロマイト、表面反応炭酸カルシウムまたはそれらの混合物。本発明の意義における「粉砕天然炭酸カルシウム」(GNCC)は、石灰石、大理石またはチョークのような天然源から得られ粉砕、篩分け、および/または分画(湿式および/または乾式、例えばサイクロンまたは分級機によるもの)のような処理により加工された炭酸カルシウムである。
【0051】
本発明の意義における「沈殿炭酸カルシウム」(PCC)は、一般に、水性環境中の二酸化炭素と石灰との反応の後の沈殿により、または水中のカルシウムおよび炭酸イオン源の沈殿により得られる合成物質である。PCCは、準安定性バテライト、安定性方解石または霰石群でありうる。
【0052】
該GNCCまたはPCCは表面反応して表面反応炭酸カルシウムを形成することが可能であり、これは、GNCCおよび/またはPCCを含む物質であり、該炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面から伸長する、不溶性であり、少なくとも部分的に結晶性である非炭酸塩カルシウム塩である。そのような表面反応産物は、例えば、WO 00/39222、WO 2004/083316、WO 2005/121257、WO 2009/074492、出願番号09162727.3を有する未公開欧州特許出願、および出願番号09162738.0を有する未公開欧州特許出願に従い製造されうる。
【0053】
該GNCCまたはPCCは更に、例えば脂肪酸、例えばステアリン酸および対応カルシウム塩で表面処理されうる。
【0054】
後記実施例に示されているとおり、驚くべきことに、本発明の方法をカオリンで実施したところ、本発明方法の選択されたミネラルを使用して観察される有利な結果が再現されないことが判明した。
【0055】
しかし、該ミネラルは、粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウムに加えて、カオリン、カオリナイト粘土(kaolinitic clay)、焼成カオリナイト粘土、タルク、硫酸カルシウム、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ケイ藻土、微粉砕シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカート、例えばアルミニウムシリカート、軽石、海泡石またはそれらの混合物を更に含みうる。そのような場合、該粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウムは、好ましくは、該ミネラル固体の総重量に対して50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より一層好ましくは80重量%以上、さらに一層好ましくは90重量%以上の量で存在する。
【0056】
粘土は、アルミニウムの主として含水シリカートの結晶性小粒子を意味し、該アルミニウムの全部または一部がマグネシウムおよび/または鉄で置換されていることがある。粘土ミネラルの主要群は、カオリンの主要構成物であるカオリナイト、ハロイサイト、イライト、モンモリロナイトおよびバーミキュル石である。本明細書中で用いる「カオリナイト粘土」なる語は、主としてミネラルカオリナイトから構成される軟白色粘土を意味する。
【0057】
カオリンは特に製紙業において使用され、それは、紙および板をコーティングし増量し、最終産物の光学的特性の幾つか(例えば、光沢、不透明度または明るさ)を改善するために使用される。しかし、カオリンに基づく製品には、塗料、農業用組成物、繊維ガラス製品、重合体およびゴム組成物、セラミック用途、触媒支持体、医薬、化粧品、接着剤、濾過助剤およびその他多数のものが含まれる。
【0058】
より好ましくは、該ミネラルは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、ドロマイト、表面反応炭酸カルシウムまたはそれらの混合物のみから実質的になり、最も好ましくは、粉砕天然炭酸カルシウムのみから実質的になる。本発明においては、8〜10のpHにおいて正の表面電荷を有するミネラルが特に有利である。
【0059】
好ましい実施形態においては、該水性ミネラル製剤は、後記実施例に記載されている測定方法による測定で40〜82重量%の固体含量を有する。より好ましくは、該固体含量は50〜80重量%であり、より一層好ましくは60〜80重量%である。
【0060】
該製剤中の水不溶性固体は、製造すべき製品のタイプに関連した物質に通常用いられる粒径分布を有しうる。一般に、該粒子の90%は5μm未満のesd(Sedigraph 5100シリーズ,Micrometricsを使用する沈降のよく知られた技術により測定した場合の球相当径)を有するであろう。粗ミネラル、増量剤または顔料物質は、一般に(すなわち、少なくとも90重量%)1〜5μmの範囲の粒子esdを有しうる。微細ミネラル物質は、一般に2μm未満、例えば2μm未満の50〜99重量%、好ましくは2μm未満の60〜90重量%の粒子esdを有しうる。該製剤中の固体粒子は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)5100を使用して測定された場合に、0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2μm、最も好ましくは0.35〜1μm、例えば0.7μmのd50値を有することが好ましい。該方法および装置は当業者に公知であり、増量剤の粒径を決定するために一般に用いられる。該測定は0.1重量% Naの水溶液中で行われる。該サンプルは、高速攪拌機および超音速学的方法を用いて分散される。
【0061】
ミネラル粒子をそのような水性製剤中に維持し、したがって、該製剤の粘度を経時的に実質的に同じ粘度に保つためには、分散剤、増粘剤または抗沈降剤のような添加物が使用される。本発明における適当な分散剤は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イソクロトン酸、アコニット酸(シスまたはトランス)、メサコン酸、シナピン酸、ウンデシレン酸、アンゲリカ酸、カネル酸(canellic acid)、ヒドロキシアクリル酸、アクロレイン、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、メチルビニルケトン、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるモノマー(単量体)および/またはコモノマーから構成され、ここで、ポリ(アクリル酸)および/またはポリ(メタクリル酸)が分散剤として好ましい。最適な静止(resting)およびプロセス分散粘度を得るためにそのような分散剤を適切に適用する方法は当業者に公知であろう。
【0062】
水性ミネラル製剤のpH
本発明の方法または使用の好ましい実施形態においては、該水性ミネラル製剤は全ての殺生物剤および/またはモノアルコール第一級アルカノールアミンの添加前に8〜10のpHを有する。
【0063】
そのような場合、本発明に従い使用される殺生物剤は、好ましくは、該モノアルコール第一級アルカノールアミンと組合された場合に殺生物剤として機能するのに十分な時間にわたって、8〜10のpHにおいて安定である(すなわち、分解しない)。
【0064】
モノアルコール第一級アルカノールアミン
本発明において使用されるモノアルコール第一級アルカノールアミンは、好ましくは、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブチルアミン、ペンチルアミンおよびこれらの混合物から選択され、好ましくは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび/または2−アミノエタノールである。
【0065】
モノアルコール第一級アルカノールアミンに対する該殺生物剤の比は広い範囲にわたって変動しうる。
【0066】
該水性製剤において用いられる該殺生物剤およびモノアルコール第一級アルカノールアミンの濃度は、防除すべき微生物の性質および出現頻度、初期微生物負荷、ならびに保護すべきミネラル、増量剤または顔料の水性製剤の予想貯蔵時間に左右される。定められた範囲内の最適使用量は、実験室規模の予備試験および一連の試験により、ならびに補足的実施試験により決定されうる。
【0067】
該殺生物剤が、アルデヒドに基づく殺生物剤、例えばグルタルアルデヒドである場合、殺生物剤:モノアルコール第一級アルカノールアミンの重量比が1:4〜1:1となる量で、モノアルコール第一級アルカノールアミンを加えることが好ましい。
【0068】
該殺生物剤がフェノール性殺生物剤、例えばOPPである場合、殺生物剤:モノアルコール第一級アルカノールアミンの重量比が1:4〜1:2となる量で、モノアルコール第一級アルカノールアミンを加えることが好ましい。
【0069】
添加の順序
本発明方法の好ましい実施形態の1つにおいては、該殺生物剤および該モノアルコール第一級アルカノールアミンは該水性製剤に別々に加えられる。
【0070】
本発明方法のもう1つの好ましい実施形態においては、該モノアルコール第一級アルカノールアミンは該殺生物剤の全部または一部の前に加えられる。あるいは、該モノアルコール第一級アルカノールアミンの全部または一部の前に該殺生物剤を加えることが本発明方法においては特に好ましいかもしれない。
【0071】
該殺生物剤の全ての前に該モノアルコール第一級アルカノールアミンの全てを加えることが特に好ましい。
【0072】
本発明方法のもう1つの好ましい実施形態においては、該殺生物剤および該モノアルコール第一級アルカノールアミンを同時に加える。この実施形態においては、該水性製剤への添加の前に、該殺生物剤の全部または一部を該モノアルコール第一級アルカノールアミンの全部または一部と混合することが可能である。
【0073】
さらに、該殺生物剤および/または該モノアルコール第一級アルカノールアミンは一度で、例えば該製剤の製造の前、途中または後で、あるいは数回で、例えば特定の時間間隔で加えられうる。
【0074】
標的細菌
本発明においては、該モノアルコール第一級アルカノールアミンまたは該殺生物剤のいずれかの添加の前に、該水性製剤が、テルムス属種(Thermus sp.)、プロピオニバクテリウム属種(Propionibacterium sp.)、ロドコッカス属種(Rhodococcus sp.)、パンニノバクター属種(Panninobacter sp.)、カウロバクター属種(Caulobacter sp.)、ブレブンジモナス属種(Brevundimonas sp.)、アスチッカカウリス属種(Asticcacaulis sp.)、スフィンゴモナス属種(Sphingomonas sp.)、リゾビウム属種(Rhizobium sp.)、エンシファー属種(Ensifer sp.)、ブラディリゾビウム属種(Bradyrhizobium sp.)、テピジモナス属種(Tepidimonas sp.)、テピジセラ属種(Tepidicella sp.)、アクアバクテリウム属種(Aquabacterium sp.)、ペロモナス属種(Pelomonas sp.)、アルカリゲニス属種(Alcaligenis sp.)、アクロモバクター属種(Achromobacter sp.)、ラルストニア属種(Ralstonia sp.)、リムノバクター属種(Limnobacter sp.)、マッシリア属種(Massilia sp.)、ハイドロゲノファガ属種(Hydrogenophaga sp.)、アシドボラクス属種(Acidovorax sp.)、クルビバクター属種(Curvibacter sp.)、デルフチア属種(Delftia sp.)、ロドフェラックス属種(Rhodoferax sp.)、アリシェワネラ属種(Alishewanella sp.)、ステノトロフォモナス属種(Stenotrophomonas sp.)、ドクドネラ属種(Dokdonella sp.)、メチロシヌス属種(Methylosinus sp.)、ハイフォミクロビウム属種(Hyphomicrobium sp.)、メチロスルホモナス属種(Methylosulfomonas sp.)、メチロバクテリア属種(Methylobacteria sp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)およびこれらの混合物からなる群から選択される細菌を含有すること、より好ましくは、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、シュードモナス・シュードアルカリゲネス(Pseudomonas pseudoalcaligenes)、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)、メチロバクテリウム・エクストークエンス(Methylobacterium extorquens)、メチロバクテリウム・ラジオトレランツ(Methylobacterium radiotolerants)、メチロバクテリウム・ジクロロメタニクム(Methylobacterium dichloromethanicum)、メチロバクテリウム・オルガノフィル(Methylobacterium organophilu)、ハイフォミクロビウム・ザバルヂニ(Hyphomicrobium zavarzini)およびこれらの混合物からなる群から選択される細菌を含有することが特に好ましい。
【0075】
1つの実施形態においては、該水性製剤は、さらに又は代替的に、該モノアルコール第一級アルカノールアミンの非存在下で該殺生物剤に抵抗性である、耐性である、および/または該殺生物剤を分解する前記細菌の株を含有する。
【0076】
該モノアルコール第一級アルカノールアミンの非存在下で該殺生物剤に抵抗性である、耐性である、および/または該殺生物剤を分解する前記細菌の株を該水性製剤が含む実施形態においては、該水性製剤中の該モノアルコール第一級アルカノールアミンは、好ましくは、該製剤の水相の重量に対して計算された場合に700〜1200ppmの量で使用される。
【0077】
本発明の意義においては、「抵抗性」である細菌は、該製剤中の水の量に対して計算された場合に90〜1350ppmの総量で該殺生物剤が適用された場合に該殺生物剤の効果に耐える能力を有する細菌を意味する。そのような抵抗性は、ランダム突然変異に際して働く自然選択により自然に生じるが、それは、集団に対して進化的ストレスを適用することによっても生成されうる。
【0078】
本発明の意義においては、「耐性」である細菌は、ランダム突然変異が生じることなく該殺生物剤の存在下で生存する能力を有する細菌を意味する。
【0079】
本発明の意義において該殺生物剤を「分解」する細菌は、例えばこれらの基質をそれらの経路における中間体として利用することにより、該殺生物剤を不活性形態および/またはより小さな分子に変換する能力を有する細菌に相当する。
【0080】
好ましくは、本発明方法および使用は、少なくとも2日間、より好ましくは少なくとも4日間、より一層好ましくは少なくとも6日間、最も好ましくは少なくとも8日間の期間にわたって水性製剤の殺生物活性(安定化、維持および/または微生物汚染の防除)をもたらす。
【0081】
用途
本発明においては、得られた水性製剤は、多数の用途において、例えば、製紙、塗料、洗剤および化粧品の分野において使用されうる。
【0082】
以下の実施例は本発明を更に例示しうるが、本発明を例示実施形態に限定するものではない。
【実施例】
【0083】
以下の実施例の全てにおいては、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)5100を使用して、粒径分布の特徴を測定する。該方法および該装置は当業者に公知であり、増量剤および顔料の粒径を決定するために一般に使用される。該測定は0.1重量% Naの水溶液中で行われる。該サンプルは、高速攪拌機および超音速学的方法を用いて分散される。
【0084】
全てのBET特異的表面積(m/gで表される)はISO 4652に従い測定される。
【0085】
全てのブルックフィールド粘度は、100rpmの速度および室温(20±3℃)で、LV−3スピンドルを備えたブルックフィールドDV−II粘度計(Brookfield DV−II Viscometer)で測定される。
【0086】
全てのミネラル製剤固体含量は、メットラー・トレドMJ33水分分析装置(Mettler Toledo MJ33 Moisture Analyser)を使用して測定された。
【0087】
全ての殺生物剤およびリチウムの量(ppmで表される)は該水性製剤中の水1キログラム当たりの活性含量のmg値に相当する。
【0088】
以下の表における全ての表示細菌数(総生菌数(Total Viable Count)(TVC)値はcfu/ml単位である)は、“Bestimmung von aeroben mesophilen Keimen”,Schweizerisches Lebensmittelbuch,第56章,第7.01節,1985年版,1988年の改訂版に記載されている計数方法に従い、プレートアウト(plate−out)の5日後に決定されたものである。
【0089】
[実施例1]
スラリーの調製
粉砕天然炭酸カルシウムスラリー1(GNCCS1)
乾燥炭酸カルシウムの総重量に基づいて0.6重量%のラジカル重合ポリアクリル酸(ゲル透過クロマトグラフィーにより決定された多分散性2.6、MW6000g/Mol)の存在下、再循環式水平1.4リットル アトリッターボールミル(Dyno−Mill(商標))において、約45μmの出発esd(球相当径)を有する北ノルウェー大理石の76.4重量%の懸濁液を湿式粉砕することにより、粉砕天然炭酸カルシウムスラリー1を調製した。この場合、該カルボン酸基の50モル%はナトリウムにより中和され、該カルボン酸の残りの50モル%はマグネシウムにより中和される。粉砕後、懸濁液中の炭酸カルシウムは以下の粒径分布を有していた。
【0090】
【表1】

【0091】
該スラリーのブルックフィールド粘度は180mPa・s、そしてpHは9と決定された。
【0092】
沈殿炭酸カルシウムスラリー1(PCCS1)
PCCS1は、商品名Omya Syncarb F3974−GOとしてOmyaにより市販されている36重量%の固体含量を有する微細偏三角面体方解石沈殿炭酸カルシウムのスラリーである。
【0093】
PCCS1のpHは、該スラリーに二酸化炭素ガスを通気することにより、9.5のpHに調節される。
【0094】
カオリンスラリー1(KS1)
KS1は、商品名Hydragloss 90 EMとしてOmyaにより市販されている73重量%の固体含量および約8のpHを有するカオリン粘土のスラリーである。
【0095】
[実施例2]
スラリーにおける殺生物活性
アルデヒドに基づく殺生物剤およびイソチアゾリン殺生物剤混合物(BM1)
殺生物剤混合物1(BM1)は、全溶液重量に対して24重量%のGDAおよび1.5重量%のCITとMITとの組合せ(CIT:MITの重量比は3:1)を含有する水溶液である。BM1およびAMPを、表1に示されているスラリーのそれぞれの50gのサンプル内に、表示量(該スラリー中の水相の重量に対するppmで表されている)で導入した。AMPの非存在下ならびにAMPおよびBM1の非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。
【0096】
ついで該スラリーサンプルに、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物を接種した。該サンプルのそれぞれを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。これらのプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0097】
【表2】

【0098】
並行して、同じスラリーにおけるBM1の最小阻止濃度(MIC)(すなわち、TVCを10 cfu/mlのオーダーに減少させるのに必要な最低濃度)を該水相の重量に対して1350ppmと決定した。
【0099】
前記表の結果は、AMPがBM1の殺生物剤の機能を増強して、そのMICより遥かに低い量でBM1が使用されることを可能にすることを証明している。AMPの量の更なる増加は、BM1の量がそのMICに比べて更に減少されることを可能にした。
【0100】
ついで、表2に従い、2つのモノアルコール第三級アミノアルコールであるジメチルエタノールアミン(DMEA)およびジエチルエタノールアミン(DEEA)をAMPの代わりに使用して比較を行った。これは、比較のために、前記結果の幾つかを反復するものである。
【0101】
【表3】

【0102】
前記結果は、本発明の殺生物剤増強物質のみが、必要な増強をもたらすことを、明らかに示している。
【0103】
アルデヒドに基づく殺生物剤およびイソチアゾリン殺生物剤混合物(BM1)
BM1およびAMPを、表3に示されているスラリーのそれぞれの50gのサンプル内に、表示量(該スラリー中の水相の重量に対するppmで表されている)で導入した。AMPの非存在下ならびにAMPおよびBM1の非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。
【0104】
ついで該スラリーサンプルに、BM1に抵抗性であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物を接種した。該サンプルのそれぞれを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。これらのプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0105】
【表4】

【0106】
前記の試験15の結果は、BM1に対する、該使用細菌の抵抗性を証明している。
【0107】
該モノアルコール第一級アルカノールアミンの代わりに使用された場合のジアルコール含有第一級アルカノールアミンの性能を比較するために、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)を補って、前記試験の選択物を繰返した。
【0108】
【表5】

【0109】
前記結果は、本発明の殺生物剤増強物質のみが、必要な増強をもたらすことを、明らかに示している。
【0110】
アルデヒド放出性殺生物剤およびイソチアゾリン殺生物剤混合物(BM2)
殺生物剤混合物2(BM2)は、全溶液重量に対して85重量%のEGHFおよび1.5重量%のCITとMITとの組合せ(CIT:MITの重量比は3:1)を含有する水溶液である。BM2およびAMPを、表4に示されているスラリーのそれぞれの50gのサンプル内に、表示量(該スラリー中の水相の重量に対するppmで表されている)で導入した。AMPの非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。AMPの非存在下ならびにAMPおよびBM2の非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。
【0111】
ついで該スラリーサンプルに、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物を接種した。該サンプルのそれぞれを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。これらのプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0112】
【表6】

【0113】
並行して、同じスラリーにおけるBM2の最小阻止濃度(MIC)(すなわち、TVCを10 cfu/mlのオーダーに減少させるのに必要な最低濃度)を該水相の重量に対して750ppmと決定した。
【0114】
前記表の結果は、AMPがBM2の殺生物剤の機能を増強して、そのMICより遥かに低い量でBM2が使用されることを可能にすることを証明している。AMPの量の更なる増加は、BM2の量がそのMICに比べて更に減少されることを可能にした。
【0115】
アルデヒド放出性殺生物剤およびイソチアゾリン殺生物剤混合物(BM2)
BM2およびAMPを、表5に示されているスラリーのそれぞれの50gのサンプル内に、表示量(該スラリー中の水相の重量に対するppmで表されている)で導入した。AMPの非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。AMPの非存在下ならびにAMPおよびBM2の非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。
【0116】
ついで該スラリーサンプルに、BM2に抵抗性であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物を接種した。該サンプルのそれぞれを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。これらのプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0117】
【表7】

【0118】
前記試験36の結果は、BM1に対する、使用細菌の抵抗性を証明している。
【0119】
並行して、同じスラリーにおけるBM2の最小阻止濃度(MIC)(すなわち、TVCを10 cfu/mlのオーダーに減少させるのに必要な最低濃度)を該水相の重量に対して750ppmと決定した。
【0120】
前記表の結果は、AMPがBM2の殺生物剤の機能を増強して、そのMICより遥かに低い量でBM2が使用されることを可能にすることを証明している。AMPの量の更なる増加は、BM2の量がそのMICに比べて更に減少されることを可能にした。
【0121】
該モノアルコール第一級アルカノールアミンの代わりに使用された場合のジアルコール含有第一級アルカノールアミンの性能を比較するために、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)を補って、前記試験の選択物を繰返した。
【0122】
【表8】

【0123】
前記結果は、本発明の殺生物剤増強物質のみが、必要な増強をもたらすことを、明らかに示している。
【0124】
[実施例3]
LBブロス上の殺生物活性
pH7.2を有するルリア・ベルタニ(Luria−Bertani)栄養ブロスにおいて、前記の粉砕天然炭酸カルシウム含有ミネラル製剤において有効であると特定された組合せの有効性を判定するために、比較を行った。
【0125】
以下の表に記載されている量のAMPおよびBM2と共に、BM2に抵抗性であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の混合物の2% 一晩培養物を、このブロスに接種する。24時間後、リン酸緩衝食塩水(PBS)中の100μlの1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。このプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0126】
【表9】

【0127】
前記表は、LB栄養ブロスプレート上で得られた結果がミネラルスラリーに変換され得ないことを示している。
【0128】
[実施例4]
GNCCS1濾液上の殺生物活性
前記の粉砕天然炭酸カルシウム含有ミネラル製剤において有効であると特定された組合せの有効性を、その同じ粉砕天然炭酸カルシウム含有ミネラル製剤の濾液において判定するために、比較を行った。
【0129】
GNCCS1を2段階で濾過してGNCCS1濾液を得た。スラリー液相を加圧濾過により抽出し(Fann Instrumentsフィルタープレスシリーズ300,特別硬化濾紙3.500,保持2〜5mm,6bar)、ついでSartorius(Dietikon,Switzerland)0.2mm孔径シリンジフィルター(Minisart RC)に通過させた。
【0130】
BM2およびAMPを、表8に示されている量(該水相の重量に対するppmで表されている)で、該濾液の50gのサンプル内に導入した。
【0131】
ついで、BM2に抵抗性であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の混合物1mlを、該濾液サンプルに接種する。該サンプルを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。該プレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0132】
【表10】

【0133】
該結果は、特異なことに、該GNCC固体物質の非存在下では殺生物剤増強作用が観察されないことを示している。
【0134】
[実施例5]
スラリーにおける殺生物活性
アルデヒドに基づく殺生物剤およびイソチアゾリン殺生物混合物(BM1)
殺生物剤混合物1(BM1)は、全溶液重量に対して24重量%のGDAおよび1.5重量%のCITとMITとの組合せ(CIT:MITの重量比は3:1)を含有する水溶液である。BM1および2−アミノエタノール(モノエタノールアミン、以下「MEA」)を、表9に示されているスラリーのそれぞれの50gのサンプル内に、表示量(該スラリー中の水相の重量に対するppm活性含量で表されている)で導入した。MEAの非存在下ならびにMEAおよびBM1の非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。
【0135】
ついで該スラリーサンプルに、BM1に抵抗性であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物を接種した。該サンプルのそれぞれを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。これらのプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0136】
以下の試験48は、シュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物の第2接種を行ったこと以外は試験47と同じスラリーを表す。
【0137】
【表11】

【0138】
前記表の結果は、MEAがBM1の殺生物機能を増強して、BM1がそのMIC未満の量で使用されることを可能にすることを証明している。
【0139】
アルデヒド放出性殺生物剤およびイソチアゾリン殺生物剤混合物(BM2)
殺生物剤混合物2(BM2)は、全溶液重量に対して85重量%のEGHFおよび1.5重量%のCITとMITとの組合せ(CIT:MITの重量比は3:1)を含有する水溶液である。BM2およびMEAを、表10に示されているスラリーのそれぞれの50gのサンプル内に、表示量(該スラリー中の水相の重量に対するppm活性含量で表されている)で導入した。MEAの非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。MEAの非存在下ならびにMEAおよびBM2の非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。
【0140】
ついで該スラリーサンプルに、BM2に抵抗性であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物を接種した。該サンプルのそれぞれを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。これらのプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0141】
以下の試験53は、シュードモナス(Pseudomonas)属種の混合物の1mlの第2接種を行ったこと以外は試験52と同じスラリーを表す。以下の試験54は、シュードモナス(Pseudomonas)属種の混合物のそれぞれ1mlの2回の追加接種を行ったこと以外は試験52と同じスラリーを表す。
【0142】
【表12】

【0143】
前記表の結果は、MEAがBM2の殺生物機能を増強して、BM2がそのMIC未満の量で使用されることを可能にすることを証明している。
【0144】
オルトフェニルフェノール(OPP)
濃度45%を有する水溶液の形態のOPPおよびMEAを、表11に示されているスラリーのそれぞれの50gのサンプル内に、表示量(該スラリー中の水相の重量に対するppm活性含量で表されている)で導入した。MEAの非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。MEAの非存在下ならびにMEAおよびBM2の非存在下であること以外は同じ方法に従い、参照体を調製した。
【0145】
ついで該スラリーサンプルに、OPPに抵抗性であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)およびシュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)を主に含有するシュードモナス(Pseudomonas)属種の1mlの混合物を接種した。該サンプルのそれぞれを30℃で72時間インキュベートした。ついでリン酸緩衝食塩水(PBS)中の1:10希釈液をプレート計数寒天(PCA)上でプレーティングした。これらのプレートを30℃でインキュベートし、5日後に分析した。
【0146】
以下の試験59は、シュードモナス(Pseudomonas)属種の混合物の1mlの第2接種を行ったこと以外は試験58と同じスラリーを表す。以下の試験60は、シュードモナス(Pseudomonas)属種の混合物のそれぞれ1mlの2回の追加接種を行ったこと以外は試験58と同じスラリーを表す。
【0147】
【表13】

【0148】
前記表の結果は、MEAがOPPの殺生物機能を増強することを証明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つのアルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を水性ミネラル製剤に加える段階を含む、水性ミネラル製剤を安定化するための方法であって、
・該ミネラルは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、ドロマイト、表面修飾炭酸カルシウムまたはそれらの混合物の少なくとも1つを含む;
・該方法は、少なくとも1つのモノアルコール第一級アルカノールアミンを該水性ミネラル製剤に加える段階(b)を含み、段階(b)は、段階(a)と同時に又は別々に行われうる;
・該殺生物剤は、該水性製剤の水相の重量に対して90〜1350ppmに対応する量で、該水性製剤に加えられる;および
・該モノアルコール第一級アルカノールアミンは、該水性製剤の水相の重量に対して600〜1200ppmに対応する量で、該水性製剤に加えられることを特徴とする方法。
【請求項2】
該アルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を、該製剤中の水に対して計算された場合に100ppm〜1000ppmの総量、好ましくは150ppm〜800ppm量で、該水性製剤に加えることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法であって、前記のアルデヒドに基づく殺生物剤が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、2−プロペナール、フタル酸ジアルデヒドおよびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドおよびこれらの混合物であることを特徴とする、ならびに/または該アルデヒド放出性殺生物剤が、ホルムアルデヒド放出性殺生物剤、アセトアルデヒド放出性殺生物剤、スクシンアルデヒド放出性殺生物剤、2−プロペナール放出性殺生物剤およびこれらの混合物からなる群から選択され、該アルデヒド放出性殺生物剤が、好ましくは、ベンジルアルコールモノ(ポリ)−ヘミホルマール、エチレングリコールヘミホルマール(EGHF)、[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−ビス−メタノール、テトラヒドロ−1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシルメチル)イミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオン(一般にテトラメチロールアセチレンジ尿素TMADとも称される)およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
該フェノール性殺生物剤が、オルトフェニルフェノール(OPP)であることを特徴とする、ならびに/または該イソチアゾリン殺生物剤が、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該アルデヒド放出性および/またはアルデヒドに基づく殺生物剤を、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)、2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)およびこれらの混合物からなる群から選択される殺生物剤と共に使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該殺生物剤が、グルタルアルデヒド、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)および2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)の組合せ、またはエチレングリコール−ヘミホルマール、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CIT)および2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)の組合せであることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、該ミネラルが、粉砕天然炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、ドロマイトおよび表面反応炭酸カルシウムの1以上、ならびにカオリン、カオリナイト粘土、焼成カオリナイト粘土、タルク、硫酸カルシウム、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ケイ藻土、微粉砕シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカート、例えばアルミニウムシリカート、軽石および海泡石の1以上を含み、ここで、該粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウムが、好ましくは、該ミネラル固体の総重量に対して50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、より一層好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上の量で存在することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該ミネラルが、粉砕天然炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、ドロマイト、表面反応炭酸カルシウムまたはそれらの混合物のみから実質的になり、好ましくは、粉砕天然炭酸カルシウムのみから実質的になることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該水性ミネラル製剤が、40〜82重量%、好ましくは50〜80重量%、より一層好ましくは60〜80重量%の固体含量を有することを特徴とする、ならびに/または該水性ミネラル製剤が、いずれかの殺生物剤および/もしくはモノアルコール第一級アルカノールアミンの添加の前に8〜10のpHを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、該水性ミネラル製剤が、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イソクロトン酸、アコニット酸(シスまたはトランス)、メサコン酸、シナピン酸、ウンデシレン酸、アンゲリカ酸、カネル酸(canellic acid)、ヒドロキシアクリル酸、アクロレイン、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、メチルビニルケトン、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるモノマー(単量体)および/またはコモノマーから構成される分散剤で分散されることを特徴とし、分散剤として、ポリ(アクリル酸)および/またはポリ(メタクリル酸)が好ましい、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該モノアルコール第一級アルカノールアミンが、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブチルアミン、ペンチルアミンおよびこれらの混合物から選択され、好ましくは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび/または2−アミノエタノールであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の方法であって、該殺生物剤が、アルデヒドに基づく殺生物剤である場合、殺生物剤:モノアルコール第一級アルカノールアミンの重量比が1:4〜1:1となる量で、該モノアルコール第一級アルカノールアミンを加えることを特徴とする、あるいは該殺生物剤がフェノール性殺生物剤である場合、殺生物剤:モノアルコール第一級アルカノールアミンの重量比が1:4〜1:2となる量で、該モノアルコール第一級アルカノールアミンを加えることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、該殺生物剤および該モノアルコール第一級アルカノールアミンを、該水性製剤に別々に加え、好ましくは、該モノアルコール第一級アルカノールアミンの全てを、該殺生物剤のいずれかの前に加えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法であって、該モノアルコール第一級アルカノールアミンまたは該殺生物剤のいずれかの添加の前に、該水性製剤が、テルムス属種(Thermus sp.)、プロピオニバクテリウム属種(Propionibacterium sp.)、ロドコッカス属種(Rhodococcus sp.)、パンニノバクター属種(Panninobacter sp.)、カウロバクター属種(Caulobacter sp.)、ブレブンジモナス属種(Brevundimonas sp.)、アスチッカカウリス属種(Asticcacaulis sp.)、スフィンゴモナス属種(Sphingomonas sp.)、リゾビウム属種(Rhizobium sp.)、エンシファー属種(Ensifer sp.)、ブラディリゾビウム属種(Bradyrhizobium sp.)、テピジモナス属種(Tepidimonas sp.)、テピジセラ属種(Tepidicella sp.)、アクアバクテリウム属種(Aquabacterium sp.)、ペロモナス属種(Pelomonas sp.)、アルカリゲニス属種(Alcaligenis sp.)、アクロモバクター属種(Achromobacter sp.)、ラルストニア属種(Ralstonia sp.)、リムノバクター属種(Limnobacter sp.)、マッシリア属種(Massilia sp.)、ハイドロゲノファガ属種(Hydrogenophaga sp.)、アシドボラクス属種(Acidovorax sp.)、クルビバクター属種(Curvibacter sp.)、デルフチア属種(Delftia sp.)、ロドフェラックス属種(Rhodoferax sp.)、アリシェワネラ属種(Alishewanella sp.)、ステノトロフォモナス属種(Stenotrophomonas sp.)、ドクドネラ属種(Dokdonella sp.)、メチロシヌス属種(Methylosinus sp.)、ハイフォミクロビウム属種(Hyphomicrobium sp.)、メチロスルホモナス属種(Methylosulfomonas sp.)、メチロバクテリア属種(Methylobacteria sp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)およびこれらの混合物からなる群から選択される細菌を含有し、より好ましくは、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、シュードモナス・シュードアルカリゲネス(Pseudomonas pseudoalcaligenes)、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)、メチロバクテリウム・エクストークエンス(Methylobacterium extorquens)、メチロバクテリウム・ラジオトレランツ(Methylobacterium radiotolerants)、メチロバクテリウム・ジクロロメタニクム(Methylobacterium dichloromethanicum)、メチロバクテリウム・オルガノフィル(Methylobacterium organophilu)、ハイフォミクロビウム・ザバルヂニ(Hyphomicrobium zavarzini)およびこれらの混合物からなる群から選択される細菌を含有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該細菌の全部または一部が、該モノアルコール第一級アルカノールアミンの非存在下で該殺生物剤に抵抗性である、耐性である、および/または該殺生物剤を分解することを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法により得られる水性製剤。
【請求項17】
少なくとも1つのアルデヒド含有および/またはアルデヒド放出性および/またはフェノール性および/またはイソチアゾリン殺生物剤を含む水性粉砕天然炭酸カルシウムおよび/または沈殿炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトおよび/または表面反応炭酸カルシウム含有ミネラル製剤における殺生物活性増強化合物としての、少なくとも1つのモノアルコール第一級アルカノールアミンの使用であって、該水性製剤中の該殺生物剤の総量が、該製剤の水相の重量に対して計算された場合に90ppm〜1350ppmであり、該水性製剤中の該モノアルコール第一級アルカノールアミンの総量が、該製剤の水相の重量に対して計算された場合に600〜1200ppmである、使用。
【請求項18】
製紙、塗料、洗剤または化粧品における、請求項16記載の水性製剤の使用。

【公表番号】特表2013−512939(P2013−512939A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542492(P2012−542492)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068966
【国際公開番号】WO2011/069961
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(505018120)オムヤ・デイベロツプメント・アー・ゲー (31)
【Fターム(参考)】