説明

水性絵の具組成物

【目的】 パレットの洗浄性が良い水性絵の具組成物を提供する。
【構成】 少なくとも水と、水溶性樹脂と、炭酸カルシウムと有機顔料とを付着させた複合顔料とを含有する水性絵の具組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水彩絵の具、ポスターカラー等好適に用いられる水性絵の具組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水彩絵の具、ポスターカラーなどの水性絵の具組成物は、水と水溶性樹脂と着色材を含む組成物であり、紙などに着色して絵を描くときに用いられる。着色の際は、通常絵の具をチューブ等の容器からパレットに出して、所望の色にする為、他の色の絵の具や水と混合し、筆を使用して紙に塗布する。
特許文献1には、描画性を維持しながら洗濯の際に描画塗膜を除去することができ、かつ耐水性及び耐候性を持つ塗膜を形成させるものとして、着色材として被服の繊維中に入り込みにくい平均粒子径が3〜20μmの球状の着色樹脂粒子を含み、定着剤として熱架橋性水溶性樹脂を使用した水性絵の具組成物が記載されている。
【特許文献1】特開2002−265872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
絵の具を筆に乗せるための受け皿たるパレットは、紙に着色した時の色が確認できるように白色である事が多い。特に、透明水彩絵の具の場合、下地の透過光も見ることになるので、パレットが有彩色では絵の具の色を判別しにくくなるためである。不透明絵の具の場合は、下地の色の影響を受けにくいが、均一な色であることが好ましいといえる。また、いずれにしても、前回パレットに乗せた絵の具の色が残ってしまっていると、新たな色の絵の具と混ざってしまったり、混ざって見えてしまうことがあり問題である。通常、水彩絵の具のパレットは、使用後に水で洗浄して水性絵の具組成物を取り除き繰り返して使用する。しかし、水で洗浄してもパレットが薄く染まったように顔料が残り、使用前の状態に戻せない事がある。これはパレットの表面に成型した際の凹凸や、繰り返し使用するうちにパレットに付いた傷に顔料が入り込み、水性絵の具組成物に含まれる水溶性樹脂等の定着成分により固着する為である。
特に、発色が良く、色の種類が多い有機顔料を使用している場合、有機顔料は粒子径が細かく、親油性の性質を持つものが多いので、水溶性樹脂等と一緒にパレット表面で固着した場合、洗浄時の水をはじいてしまうため、水溶性樹脂の溶解を阻害しパレットの汚れが落ちにくくなる。また、有機顔料を親水性にするために、有機顔料を最初に界面活性剤で処理してしまうと、水溶性樹脂が溶解しても、界面活性剤がパレットと有機顔料のつなぎの働きをするため、有機顔料がパレットから離れず、よりパレットを汚染してしまうことがある。
一方、着色材としての顔料の粒子径を大きくすれば、パレットの凹凸に顔料が入り込まず、汚れが付きにくくなるが、塗描した時の発色が悪くなるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
即ち、本発明は、少なくとも水と、水溶性樹脂と、炭酸カルシウムと有機顔料とを付着させた複合顔料とを含有する水性絵の具組成物を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明で使用する複合顔料は、炭酸カルシウムの表面が有機顔料により空隙が形成されつつ被覆された状態になっている。このような粒子は表面が親油性の有機顔料と親水性の炭酸カルシウムの両方の性質を持っており、有機顔料単独より親油性が弱くなっているため、水をはじきにくくなり、洗浄の際、有機顔料による空隙に水が含まれ、顔料をパレットに定着させていた水溶性樹脂等を溶解しやすいため、パレットに対する定着力を弱める事ができると推察される。
このとき、有機顔料に付着させる材料に、シリカ等の多孔質の材料を用いると、シリカが水溶性樹脂を溶解させる水を吸収、保持してしまうので、水溶性樹脂を十分に溶解させない。また、タルク、マイカ等の材料では、有機顔料と複合化する時の衝撃で劈開する為、十分に複合化できない可能性がある。
尚、炭酸カルシウムの表面に有機顔料を定着させている為、有機顔料単体の粒子径は細かいままなので、塗描した時は有機顔料を単独で使用した場合と同等の発色性を得る事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
水は水性絵の具組成物の主溶剤として使用する。
【0007】
水溶性樹脂は、定着剤及び展色剤として使用するものである。本発明の水性絵の具組成物による筆跡又は、塗布後に皮膜形成能を与え、被筆記面や被塗布面への付着性能を付与したり、水性絵の具組成物に粘性を付与したり、顔料の分散安定性を付与したりするといった目的で使用する。具体的には、膠、アラビアガム、デキストリン等の天然水溶性樹脂やカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の半合成水溶性樹脂、ポリビニールアルコール、アクリル系樹脂等の合成水溶性樹脂が使用できる。
【0008】
ここで、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系半合成樹脂は、木材のセルロースの水酸基に他の置換基をエーテル結合させて作られるもので、カルボキシルメチルセルロースは、CMCダイセル1120、同1140、同1170、同1190、同2260、同1290、同1380(以上、ダイセル工業(株)製)、セロゲン5A、セロゲン7A(以上、第一工業製薬(株)製)が例示できる。ヒドロキシエチルセルロースは、HECダイセルSP900、同SP600、同SP400、同SP200(以上、ダイセル工業(株)製)、チローゼH300P、同H4000P、同10000P(以上、クラリアントポリマー(株)製)が例示できる。ヒドロキシプロピルセルロースは、日曹HPC−SSL、同SL、同L、同M、同H(以上、日本曹達(株)製)を例示することが出来る。
【0009】
また、ポリビニールアルコールは、ポリ酢酸ビニルをアルカリ、酸でケン化することによって得られる水溶性合成樹脂であり、市販品としては、ゴーセノールGH−23、同GH−20、同GH−17、同GM−14、同GM−14L、同GL−05、同Gl−03、同KH−20、同KH−17、同KM−11、同KL−05、同KP−08、同KP−06、同NK−05(以上、日本合成化学工業(株)製)、クラレポバールPVA203,同PVA205、同PVA210、同PVA217、同PVA220、同PVA224、同PVA235、同PVA217E、同PVA217EE、同PVA220E、同PVA224E、同PVA403、同PVA405、同PVA420、同PVA420H(以上、(株)クラレ製)、JポバールJP−04、同JP−05、同JP−10、同JP−15、同JP−18、同JP−20、同JP−24、同JP−33、同VP−18、同JP−05S、同JP−18S(以上、日本酢ビ・ポバール(株)製)が例示できる。
【0010】
更に、アクリル樹脂は、アクリル酸及びその誘導体を重合したものの酸末端基アルカリ塩にし、水に溶けるようにしたものであり、具体的には、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどのエステル、又は前記アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを組み合わせた共重合体、スチレン−アクリル酸エステルコポリマー系などが挙げられる。具体的には、グラスコールLS40、同LS41、同LS23、同HA2、同HN2(以上、アライドコロイドリッテッド社製、英国)、ジョンクリル62、同61J、同354、同501(以上、ジョンソン(株)製)が例示できる。これらの樹脂は、単独又は2種以上混合して使用することができ、その有効成分の使用量は水性絵の具組成物全量に対して1〜20重量%が好ましい。
【0011】
複合顔料は水性絵の具組成物の着色材として使用するものである。複合顔料は炭酸カルシウムの表面に有機顔料を付着させたものであり、その被覆率は10%以上90%以下が好ましい。なお被覆率とは炭酸カルシウムの表面が有機顔料により覆われた比率である。被覆率は走査型電子顕微鏡を使用して求める。測定方法としては複合顔料の5000倍の走査型電子顕微鏡写真をランダムに50個以上撮影し、写真からの炭酸カルシウム粒子の面積と、炭酸カルシクムを覆う有機顔料の総面積を求めて被覆率を計算する。被覆率は面積を基準としており、炭酸カルシウムに対し層状に有機顔料の凝集粒子が付着している場合でも、投影面積から求める。もし複合顔料の写真から炭酸カルシウムと有機顔料の区別がつきにくい場合は、複合化する前のそれぞれの粒子を用意し、複合顔料の場合と走査型電子顕微鏡で撮影し粒子形状や粒子径を測定して明らかにする。
このとき使用する有機顔料の粒子径が大きすぎると炭酸カルシウムの表面に有機顔料が付着しないことがあるので、有機顔料の粒子径は炭酸カルシムの粒子径の1/3以下が好ましい。
【0012】
複合粉体の表面に付着させる有機顔料は従来公知のものでよい。例えばハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、同G、ベンジジンイエロー、パーマネントイエローNCG、キノリンイエロー、スーダン1、パーマネントオレンジ2G、インダスレンブリリアントオレンジGK、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジHL、ピラゾリンオレンジTMP、ペリノンオレンジ、DPPオレンジ、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミンBS、ピラゾロンレッド、キナクリドンレッド、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ナフソールカーミンHR、ナフソールレッドF5RK、ナフソールレッドF3RK−70、パーマネントレッドFGR、パーマネントカーミンFB、パーマネントレッド2B、ブリリアントカーミン6B、ペリレンバーミリオン、ペリレンレッド、DPPレッド、ファストバイオレットB、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、アルカリブルーレーキ、銅フタロシアニンブルー、インジゴ、インダスレンブルー、アシッドグリーンレーキ、銅フタロシアニングリーン等がある。これらの顔料は、単独もしくは2種以上混合して使用しても良い。その使用量は、複合顔料の1%〜70%が好ましく、複合顔料としては、水性絵の具組成物として0.1重量%〜40重量%が好ましい。
【0013】
複合顔料の作成方法は従来公知の方法で作成でき、本発明で限定されるものではない。一例を挙げると炭酸カルシウムと有機顔料を小型粉砕機で粉砕し、粉砕物をアルミナ製ポットにアルミナ焼結ボールと共に充填し、遠心回転ボールミルで乾式処理する方法やヘンシェルミキサーで乾式処理する方法が挙げられる。
【0014】
また、複合顔料は市販品として、ブルー#2400(銅フタロシアニンブルーと炭酸カルシウムとシリカとジオキシンバイオレットとアルミニウムシリケートから成る複合顔料)、ブルー#2500(銅フタロシアニンブルーと炭酸カルシウムとアルミナシリケートとナフトールカーミンHRから成る複合顔料)、ビリジアングリンP(銅フタロシアニングリーン、銅フタロシアニンブルー、ハンザイエロー10G、炭酸カルシウム、カオリン、シリカから成る複合顔料)、FS/NR418(銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、炭酸カルシウム、アルミニウムシリケートから成る複合顔料)(以上、野間化学工業(株)製)、NSBA−25(銅フタロシアニンブルー、炭酸カルシウムから成る複合顔料)(以上大日精化工業(株)製)が挙げられる。
【0015】
上記各成分以外にも必要に応じて種々の成分を配合することもできる。フェノール、クロロアセトアミド、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ピリジンチオール−1−オキサイド・ナトリウム塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、チアベンダゾール、フェノキシエタノール、フッ化ナトリウム、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、1,3−ジモルホリノ−2−エチル−2−ニトリプロパン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどの防腐剤・防カビ剤、着色顔料、体質顔料として上記白色無機粉体及び防錆剤、脱泡剤、消泡剤、界面活性剤などと併用し得ること勿論である。
【0016】
本発明の水性絵の具組成物は、上記成分をターボミキサー、ヘンシェルミキサー、3本ロールミル、横型ボールミルまたは、横型ビーズミルなどといった従来公知の攪拌、分散機にて混合分散することにより容易に得ることができる。
【実施例】
【0017】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0018】
複合顔料1(被覆率12%)の作成
C.I.Pigment Blue15:3(平均粒子径0.02μm)
20重量部
C.I.Pigment Violet23(平均粒子径0.20μm)3重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.6μm、吸油量30ml/100g)65重量部
上記成分を小型粉砕機で粉砕し、粉砕物をアルミナ製ポット中にアルミナ焼結ボールと共に充填し、ボールミルにて処理し複合粉体を得た。
【0019】
複合顔料2(被覆率60%)の作成
C.I.Pigment Green7(平均粒子径0.03μm) 2重量部
C.I.Pigment Yellow3(平均粒子径0.56μm) 2重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径3.0μm、吸油量40ml/100g)40重量部
アラビアガム粉末 20重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0020】
複合顔料3(被覆率87%)の作成
C.I.Pigment red48:3(平均粒子径0.03μm) 2重量部
C.I.Pigment Orange16(平均粒子径0.50μm)2重量部
C.I.Pigment Yellow1(平均粒子径0.38μm)
0.1重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径3.0μm、吸油量40ml/100g)30重量部
アラビアガム粉末 7重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0021】
複合顔料4(被覆率12%)の作成
C.I.Pigment Green7(平均粒子径0.03μm) 2重量部
C.I.Pigment Yellow3(平均粒子径0.56μm) 2重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.8μm、吸油量30ml/100g)40重量部
アラビアガム粉末 20重量部
上記成分を小型粉砕機で粉砕し、粉砕物をアルミナ製ポット中にアルミナ焼結ボールと共に充填し、ボールミルにて処理し複合粉体を得た。
【0022】
複合顔料5(被覆率55%)の作成
C.I.Pigment red48:3(平均粒子径0.03μm) 2重量部
C.I.Pigment Orange16(平均粒子径0.50μm)2重量部
C.I.Pigment Yellow1(平均粒子径0.38μm)
0.1重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.8μm、吸油量30ml/100g)30重量部
アラビアガム粉末 7重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0023】
複合顔料6(被覆率85%)の作成
C.I.Pigment Yellow3(平均粒子径0.60μm) 1重量部
C.I.Pigment Yellow1(平均粒子径0.38μm) 2重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.8μm、吸油量30ml/100g)30重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0024】
複合顔料7(被覆率6%)の作成
C.I.Pigment Blue15:3(平均粒子径0.02μm)
15重量部
C.I.Pigment Violet23(平均粒子径0.20μm)
2.5重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.6μm、吸油量30ml/100g)65重量部
上記成分を小型粉砕機で粉砕し、粉砕物をアルミナ製ポット中にアルミナ焼結ボールと共に充填し、ボールミルにて処理し複合粉体を得た。
【0025】
複合顔料8(被覆率96%)の作成
C.I.Pigment Blue15:3(平均粒子径0.02μm)
30重量部
C.I.Pigment Violet23(平均粒子径0.20μm)5重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.6μm、吸油量30ml/100g)65重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0026】
複合顔料9(被覆率5%)の作成
C.I.Pigment Green7(平均粒子径0.03μm)1.5重量部
C.I.Pigment Yellow3(平均粒子径0.56μm)
1.5重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.8μm、吸油量30ml/100g)50重量部
アラビアガム粉末 20重量部
上記成分を小型粉砕機で粉砕し、粉砕物をアルミナ製ポット中にアルミナ焼結ボールと共に充填し、ボールミルにて処理し複合粉体を得た。
【0027】
複合顔料10(被覆率95%)の作成
C.I.Pigment red48:3(平均粒子径0.03μm) 2重量部
C.I.Pigment Orange16(平均粒子径0.50μm)2重量部
C.I.Pigment Yellow1(平均粒子径0.38μm)
0.1重量部
炭酸カルシウム(平均粒子径1.8μm、吸油量30ml/100g)25重量部
アラビアガム粉末 7重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0028】
複合顔料11(被覆率6%)の作成
C.I.Pigment Blue15:3(平均粒子径0.02μm)
15重量部
C.I.Pigment Violet23(平均粒子径0.20μm)
2.5重量部
シリカ(平均粒子径0.3μm、吸油量160ml/100g) 30重量部
上記成分を小型粉砕機で粉砕し、粉砕物をアルミナ製ポット中にアルミナ焼結ボールと共に充填し、ボールミルにて処理し複合粉体を得た。
【0029】
複合顔料12(被覆率12%)の作成
C.I.Pigment Yellow3(平均粒子径0.60μm) 1重量部
C.I.Pigment Yellow1(平均粒子径0.38μm) 2重量部
シリカ(平均粒子径 1.0μm吸油量120ml/100g) 20重量部
上記成分を小型粉砕機で粉砕し、粉砕物をアルミナ製ポット中にアルミナ焼結ボールと共に充填し、ボールミルにて処理し複合粉体を得た。
【0030】
複合顔料13(被覆率57%)の作成
C.I.Pigment red48:3(平均粒子径0.03μm) 2重量部
C.I.Pigment Orange16(平均粒子径0.50μm)2重量部
C.I.Pigment Yellow1(平均粒子径0.38μm)
0.1重量部
シリカ(平均粒子径1.0μm吸油量120ml/100g) 30重量部
アラビアガム粉末 7重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0031】
複合顔料14(被覆率88%)の作成
C.I.Pigment Green7(平均粒子径0.03μm)1.5重量部
C.I.Pigment Yellow3(平均粒子径0.56μm)
1.5重量部
シリカ(平均粒子径1.0μm、吸油量120ml/100g) 10重量部
アラビアガム粉末 20重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0032】
複合顔料15(被覆率の94%)作成
C.I.Pigment Blue15:3(平均粒子径0.02μm)
30重量部
C.I.Pigment Red150(平均粒子径0.18μm) 10重量部
シリカ(平均粒子径1.0μm、吸油量120ml/100g) 10重量部
上記成分をヘンシェルミキサーで混合し複合粉体を得た。
【0033】
(実施例1)水彩絵の具
複合顔料1 15重量部
重質炭酸カルシウム 22重量部
シリカ 2重量部
アラビアガム 14重量部
デキストリン 8重量部
グリセリン 9重量部
プロピレングリコール 1重量部
チアベンダゾール 0.1重量部
フッ化ナトリウム 0.002重量部
ソルビン酸カリウム 0.5重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.25重量部
サンアイバックソディウムオマジン(2−ピリジンチオール−1−オキサイド・ナトリウム塩40%含有、三愛石油(株)製) 0.4重量部
デモールN(β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王(株)製) 0.3重量部
水 28重量部
上記成分をラボミキサーで15分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行ない藍色の水彩絵の具を得た。
【0034】
(実施例2)水彩絵の具
複合顔料2 55重量部
シリカ 2重量部
カルボキシメチルセルロース 1重量部
グリセリン 5重量部
プロピレングリコール 1重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
フッ化ナトリウム 0.001重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
安息香酸ナトリウム 1重量部
水 34.2重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、緑色の水彩絵の具を得た。
【0035】
(実施例3)水彩絵の具
複合顔料3 41重量部
アルミナシリカ 7重量部
デキストリン 15重量部
グリセリン 9重量部
プロピレングリコール 1重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール
0.5重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
ソルビン酸カリウム 0.3重量部
水 25.4重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、朱色の水彩絵の具を得た。
【0036】
(実施例4)水彩絵の具
複合顔料4 55重量部
シリカ 2重量部
カルボキシメチルセルロース 1重量部
グリセリン 5重量部
プロピレングリコール 1重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
フッ化ナトリウム 0.001重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
安息香酸ナトリウム 1重量部
水 34.2重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、緑色の水彩絵の具を得た。
【0037】
(実施例5)水彩絵の具
複合顔料5 41重量部
アルミナシリカ 7重量部
デキストリン 15重量部
グリセリン 9重量部
プロピレングリコール 1重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール
0.5重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
ソルビン酸カリウム 0.3重量部
水 25.4重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、朱色の水彩絵の具を得た。
【0038】
(実施例6)水彩絵の具
複合顔料6 39重量部
デキストリン 4重量部
グリセリン 9重量部
プロピレングリコール 1重量部
チアベンダゾール 1重量部
クロロアセトアミド 0.3重量部
安息香酸ナトリウム 1重量部
ソルビン酸カリウム 0.3重量部
デモールN(β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王(株)製) 0.5重量部
水 43.9重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、黄色の水彩絵の具を得た。
【0039】
(比較例1)
実施例1において、複合顔料1を、銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Name Blue15:3)を3.5重量部と重質炭酸カルシウムを11重量部とジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Name Violet23)を0.5重量部に代えた以外は、実施例1と同様になして水彩絵の具を得た。
【0040】
(比較例2)
実施例1において、複合顔料1を、複合顔料7に代えた他は、実施例1と同様になして水彩絵の具を得た。
【0041】
(比較例3)
実施例1において、複合顔料1を、複合顔料8に代えた他は、実施例1と同様になして水彩絵の具を得た。
【0042】
(比較例4)
実施例2において、複合顔料2を、複合顔料9に代えた他は、実施例2と同様になして水彩絵の具を得た。
【0043】
(比較例5)
実施例3において、複合顔料3を、複合顔料10に代えた他は、実施例3と同様になして水彩絵の具を得た。
【0044】
(比較例6)
実施例1において、複合顔料1を、複合顔料11に代えた他は、実施例1と同様になして水彩絵の具を得た。
【0045】
(比較例7)
実施例6において、複合顔料6を、複合顔料12に代えた他は、実施例6と同様になして水彩絵の具を得た。
【0046】
(比較例8)
実施例3において、複合顔料3を、複合顔料13に代えた他は、実施例3と同様になして水彩絵の具を得た。
【0047】
(比較例9)
実施例2において、複合顔料2を、複合顔料14に代えた他は、実施例2と同様になして水彩絵の具を得た。
【0048】
(比較例10)
実施例1において、複合顔料1を、複合顔料15に代えた他は、実施例1と同様になして水彩絵の具を得た。
【0049】
上記実施例1〜6、比較例1〜10により得た水性絵の具組成物のプラスチックのパレットに対する洗浄性と絵の具の発色を確認した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
洗浄性測定方法
パレット(ZZL−31(ぺんてる(製)材質:ハイインパクトスチロール)に水彩絵の具に1gを出し、1gの蒸留水を加え、画筆(ZBNR−14(ぺんてる(株)製))にて良く混ぜ合わせた後、室温にて30分乾燥させ流水下でパレット面を画筆(ぺんてる(株)製、ZBNF−14)で15秒間こすりながら洗浄し、この作業を10回繰り返したものを、乾燥後、パレット表面の塗布しなかった部分(A)と塗布跡(B)を分光式色差計NF−777(日本電色工業(株)製)にてY値を測定した。パレットに対する洗浄性は、B/A×100の値とした。このときの数値が大きいほど洗浄性が良い。
【0052】
発色性測定方法
水彩絵の具に2gの水1gを画筆(ZBNF−6(ぺんてる(株)製))にて練り混ぜ、図画用紙(坪量73.3〜210g/立方メートル、白色度75%以上のもの)に170×250平方センチメートルの大きさに塗布した後乾燥させ、描画面を分光式色差計NF−777(日本電色工業(株)製)にて彩度(C値)を測定した。この彩度の値が高い程、発色は鮮やかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水と、水溶性樹脂と、炭酸カルシウムと有機顔料とを付着させた複合顔料とを含有する水性絵の具組成物。
【請求項2】
前記複合顔料が、炭酸カルシウムの表面に、被覆率が10%以上90%以下で有機顔料が被覆しているものである請求項1に記載の水性絵の具組成物。
【請求項3】
前記有機顔料の平均粒子径が、前記炭酸カルシウムの平均粒子径に対して1/3以下である請求項1又は請求項2に記載の水性絵の具組成物。

【公開番号】特開2009−74042(P2009−74042A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82207(P2008−82207)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】