説明

水性絵の具組成物

【課題】水彩絵の具、ポスターカラー等をパレットで使用した場合、水で洗浄してもパレットが薄く染まったように着色剤が残り、使用前の状態に戻せない事がある。この場合、パレットに新たな色の絵の具を置くと混ざったり、混ざって見えてしまうことがあり問題である。そこでパレットの水洗浄性が良い水性絵の具組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも有機顔料と、D−グルクロン酸などの水に溶けやすい性質の糖類の比率が多くアラビン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩に結合したものである左旋光性のアラビアガムとを含有する水性絵の具組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水彩絵の具、ポスターカラー等好適に用いられる水性絵の具組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水彩絵の具、ポスターカラーなどの水性絵の具組成物は、水と水溶性樹脂と着色材を含む組成物であり、絵を描くときなどに紙などに塗布して用いられる。絵の具を使用して絵を描く際は、絵の具をチューブ等の容器からパレットに出して、所望の色にする為、他の色の絵の具や水と混合し、絵筆を使用して紙に塗布することが一般的である。
【0003】
特許文献1には、紙や木の布などに対する描画性を維持しながら、布の洗濯の際に描画塗膜を除去することができ、かつ耐水性及び耐候性を持つ塗膜を形成させるものとして、着色剤として被服の繊維中に入り込みにくい平均粒子径が3〜20μmの球状の着色樹脂粒子を含み、定着剤として熱架橋性水溶性樹脂を使用した水性絵の具組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−265872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絵の具を筆に乗せるための受け皿たるパレットは、紙に着色した時の色が確認できるように白色である事が多い。特に、透明水彩絵の具の場合、下地の透過光も見ることになるので、パレットが有彩色では絵の具の色を判別しにくくなるためである。不透明絵の具の場合は、下地の色の影響を受けにくいが、置いた絵の具の周囲の色具合も絵の具の色判別に重要でもあるので、均一な色であることが好ましいといえる。
通常、水彩絵の具のパレットは、使用後に水で洗浄して水性絵の具組成物を取り除き繰り返して使用する。しかし、水で洗浄してもパレットが薄く染まったように着色剤が残り、使用前の状態に戻せない事があり、パレットに絵の具を置く際に、新たな色の絵の具と混ざったり、混ざって見えてしまうことがあり問題である。これはパレットの表面に微細な凹凸や、繰り返し使用するうちにパレットに付いた傷に着色剤が入り込み、固着する為である。
特に、発色が良く、色の種類が多い有機顔料を使用している場合、有機顔料は粒子径が細かく、親油性の性質を持つものが多いので、洗浄時の水をはじいてしまうため、水溶性樹脂の溶解を阻害しパレットの汚れが落ちにくくなる。また、有機顔料を親水性にするために、有機顔料を最初に界面活性剤で処理してしまうと、水溶性樹脂が溶解しても、界面活性剤がパレットと有機顔料のつなぎの働きをするため、結局、有機顔料がパレットから離れず、よりパレットを汚染してしまうことがある。
一方、着色材としての顔料の粒子径を大きくすれば、パレットの凹凸に顔料が入り込まず、汚れが付きにくくなるが、塗描した時の発色が悪くなるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも有機顔料と左旋光性のアラビアガムとを含有する水性絵の具組成物を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0007】
左旋光性のアラビアガムは、D−グルクロン酸などの水に溶けやすい性質の糖類の比率が多くアラビン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩に結合したものである。左旋光性とは、直線偏光が左側に回転する性質を言い、D−グルクロン酸のカルボキシル基をもつグルコース骨格が直線偏光中の右旋光を吸収するために、残った左旋光だけが確認される。
このような左旋光性のアラビアガムは、存在している水に溶けにくい糖類の成分により、同じく水になじみにくい有機顔料の表面に付着し、有機顔料の表面を水に溶けやすい成分で覆った膜をつくり、洗浄時の水によって容易にパレットから離脱でき、洗い流すことができるので、パレットに汚れが残り難いと推察される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
水は水性絵の具組成物の主溶剤として使用する。
本発明で使用するアラビアガムは、アカシア属の樹木から分泌する樹液で旋光性を持つ物質である。旋光性とは、偏光が旋光性物質を通過するときに回転する現象で、アラビアガムの旋光性は、アラビアガム5gを蒸留水100mlに溶解し、メンブランフィルターまたは遠心分離で沈殿物を分離し、残った溶液を旋光計で測定する。旋光計は、偏光子によって平面偏光された光を測定する物質に照射し、その時に生じる旋光を検光子の回転によって検出する装置であり、(株)堀場製作所製、高速・高感度旋光計SEPA−300型や日本分光(株)製、旋光計、P−2200などを用いて測定することができる。測定の結果は、アラビアガムを透過した偏光を光の進行する方向に向き合って、光が反時計まわりに回転することを左旋光性という。
左旋光性のアラビアガムは、右旋光性のものに比べ、グルクロン酸などの水に溶けやすい性質の糖類の比率が多く、水に溶けにくい性質のガラクトースなどの糖類の比率が少ない。その為、左旋光性のアラビアガムは右旋光性のアラビアガムに比べ水に溶けやすいと考えられるので、左旋光性のアラビアガムが有機顔料の表面に膜をつくった場合、水に溶けやすくなり、パレットに有機顔料の付着を防止できると考えられる。一方、右旋光性のアラビアガムは、水に溶けにくい成分が多く、有機顔料の親油性の性質を十分に抑えることができないので、水に溶けにくく、パレット汚染を防止できないと思われる。左旋光性をもつものとしては、アカシアセネガル種より採取されるアラビアガムがあげられる。その使用量は、水性絵の具組成物として1重量%〜40重量%が好ましい。
【0009】
有機顔料は従来公知のものでよい。例えばハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、同G、ベンジジンイエロー、パーマネントイエローNCG、キノリンイエロー、スーダン1、パーマネントオレンジ2G、インダスレンブリリアントオレンジGK、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジHL、ピラゾリンオレンジTMP、ペリノンオレンジ、DPPオレンジ、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミンBS、ピラゾロンレッド、キナクリドンレッド、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ナフソールカーミンHR、ナフソールレッドF5RK、ナフソールレッドF3RK−70、パーマネントレッドFGR、パーマネントカーミンFB、パーマネントレッド2B、ブリリアントカーミン6B、ペリレンバーミリオン、ペリレンレッド、DPPレッド、ファストバイオレットB、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、アルカリブルーレーキ、銅フタロシアニンブルー、インジゴ、インダスレンブルー、アシッドグリーンレーキ、銅フタロシアニングリーン等がある。また、上記の有機顔料を炭酸カルシウムなどの表面に付着させた複合顔料を用いても良い。市販品として、ブルー#2400(銅フタロシアニンブルーと炭酸カルシウムとシリカとジオキシンバイオレットとアルミニウムシリケートから成る複合顔料)、ブルー#2500(銅フタロシアニンブルーと炭酸カルシウムとアルミナシリケートとナフトールカーミンHRから成る複合顔料)、ビリジアングリンP(銅フタロシアニングリーン、銅フタロシアニンブルー、ハンザイエロー10G、炭酸カルシウム、カオリン、シリカから成る複合顔料)、FS/NR 418(銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、炭酸カルシウム、アルミニウムシリケートから成る複合顔料)(以上、野間化学工業(株)製)、NSB A−25(銅フタロシアニンブルー、炭酸カルシウムから成る複合顔料)(以上大日精化工業(株)製)が挙げられる。これら有機顔料の中でも、不溶性アゾ系顔料のモノアゾ型やジスアゾ型の顔料とフタロシアニン系の顔料が好ましい。
モノアゾ型、ジスアゾ型の不溶性アゾ顔料はアゾ基を挟んで、ベンゼン環が左右バランス良く配置しており、また、フタロシアニン系の顔料は、左右対称な分子構造していることから、アラビアガムのコーティングが均一になりやすいと考えられる。
これらの顔料は、単独もしくは2種以上混合して使用しても良い。その使用量は、水性絵の具組成物として0.1重量%〜40重量%が好ましい。複合顔料としては、水性絵の具組成物として0.1重量%〜40重量%が好ましい。
【0010】
尚、着色剤として染料は水に溶解すると分子レベルの大きさになり、水やアラビアガムに溶けてしまい表面処理ができない。その為、染料がパレットの材質にしみ込んでしまうので使用できない。
【0011】
上記各成分以外にも必要に応じて種々の成分を配合することもできる。
水溶性樹脂として、膠、デキストリン等の天然水溶性樹脂やカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の半合成水溶性樹脂、ポリビニールアルコール、アクリル系樹脂等の合成水溶性樹脂が使用できる。
また、プロピレングリコール、エチレングリコールなどの凍結安定剤やフェノール、クロロアセトアミド、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ピリジンチオール−1−オキサイド・ナトリウム塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、チアベンダゾール、フェノキシエタノール、フッ化ナトリウム、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、1,3−ジモルホリノ−2−エチル−2−ニトリプロパン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどの防腐剤・防カビ剤、二酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄、群青のどの無機顔料、炭酸カルシウムやタルク、マイカなどの体質顔料として白色無機粉体及び防錆剤、脱泡剤、消泡剤、界面活性剤などと併用し得ること勿論である。
【0012】
水性絵の具組成物の乾燥速度の調節や水への溶解性を良くするために、グリセリンなどの水溶性高沸点溶媒を用いることもできる。その使用量は、水性絵の具組成物として1重量%〜20重量%が好ましい。
【0013】
本発明の水性絵の具組成物の製造方法は、以下のとおりである。
まず、左旋光性のアラビアガムを水とグリセリンの混合溶液にくわえたものを、ターボミキサーなどの攪拌機で攪拌することにより溶解した溶液を作る。このとき加熱して溶解しても良い。また、アラビアガムに混入しているゴミなどの異物はろ過等を実施し取り除く。この溶液に有機顔料を加え、ターボミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合、攪拌し有機顔料の表面にアラビアガムの膜をつくる。
その後、水溶性樹脂や防腐剤・防カビ剤、無機顔料、体質顔料などを加えたものをターボミキサー、ヘンシェルミキサー、3本ロールミル、横型ボールミルまたは、横型ビーズミルなどといった従来公知の攪拌、分散機にて混合分散することにより容易に得ることができる。
【実施例】
【0014】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0015】
(実施例1)水彩絵の具
1)アラビア糊製造工程
水 35重量部
アカシアセネガル種アラビアガム(左旋光性) 17重量部
グリセリン 9重量部
上記成分をターボミキサーで攪拌しながら90℃まで加熱し溶解する。
2)顔料処理工程
上記アラビアガム糊液 61重量部
ハンザイエロー10G(C.I.Pigment Yellow3) 2重量部
ジスアゾイエロー(C.I.Pigment Yellow14) 1重量部
アニシジンイエロー(C.I.Pigment Yellow74) 2重量部
上記成分をターボミキサーにて5分攪拌する。
3)絵の具製造工程
上記顔料分散液 66重量部
軽質炭酸カルシウム 34重量部
二酸化チタン 2重量部
シリカ 4重量部
デキストリン 4重量部
プロピレングリコール 0.1重量部
チアベンダゾール 0.1重量部
フッ化ナトリウム 0.002重量部
ソルビン酸カリウム 0.5重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.25重量部
安息香酸ナトリウム 1重量部
デモールN(β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王(株)
製) 0.3重量部
上記成分をターボミキサーで15分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行ない黄色の水彩絵の具を得た。
【0016】
(実施例2)水彩絵の具
1)アラビア糊製造工程
水 32重量部
アカシアセネガル種アラビアガム(左旋光性) 16重量部
グリセリン 8重量部
上記成分をラボミキサーで攪拌しながら90℃まで加熱し溶解する。
2)顔料処理工程
上記アラビアガム糊液 56重量部
ハンザイエロー10G(C.I.Pigment Yellow3) 2重量部
フタロシアニングリーン(C.I.Pigment Green7) 2重量部
上記成分をラボボミキサーにて5分攪拌する。
3)絵の具製造工程
上記顔料分散液 60重量部
軽質炭酸カルシウム 15重量部
重質炭酸カルシウム 30重量部
アルミナシリカ 3重量部
プロピレングリコール 1重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
フッ化ナトリウム 0.001重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
安息香酸ナトリウム 1重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、緑色の水彩絵の具を得た。
【0017】
(実施例3)水彩絵の具
1)アラビア糊製造工程
水 40重量部
アカシアセネガル種アラビアガム(左旋光性) 20重量部
グリセリン 11重量部
上記をラボミキサーで攪拌しながら90℃まで加熱し溶解する。
2)顔料処理工程
上記アラビアガム糊液 72重量部
ブルー#2500(銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue15:
1)と炭酸カルシウムとアルミナシリカとナフトールカーミンHR(C.I.Pigme
nt Red150)から成る複合顔料、野間化学工業(株)製) 15重量部
カーボンブラック(C.I.Pigment Black7) 0.1重量部
上記成分をラボボミキサーにて5分攪拌する。
3)絵の具製造工程
上記顔料分散液 87.1重量部
軽質炭酸カルシウム 24重量部
アルミナシリカ 2重量部
プロピレングリコール 0.2重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール 0.5重量部
安息香酸ナトリウム 1重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
ソルビン酸カリウム 0.3重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、藍色の水彩絵の具を得た。
【0018】
(実施例4)水彩絵の具
1)アラビア糊製造工程
水 33重量部
アカシアセネガル種アラビアガム粉末(左旋光性) 16重量部
グリセリン 9重量部
上記成分をラボミキサーで攪拌しながら溶解する。
2)顔料処理工程
上記アラビアガム糊液 58重量部
バルカンオレンジ(C.I.Pigment Orange16) 3重量部
パーマネントレッドFGR(C.I.Pigment Red112) 1重量部
上記成分をターボミキサーにて5分攪拌する。
3)絵の具製造工程
上記顔料分散液 62重量部
軽質炭酸カルシウム 42重量部
シリカ 5重量部
カルボキシメチルセルロース 0.5重量部
プロピレングリコール 0.5重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
フッ化ナトリウム 0.001重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
サンアイバックソディウムオマジン(2−ピリジンチオール−1−オキサイド・ナトリウム塩40%含有、三愛石油(株)製) 0.4重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、朱色の水彩絵の具を得た。
【0019】
(実施例5)水彩絵の具
1)アラビア糊製造工程
水 35重量部
アカシアセネガル種アラビアガム(左旋光性) 17重量部
グリセリン 9重量部
上記成分をターボミキサーで攪拌しながら90℃まで加熱し溶解する。
2)顔料処理工程
上記アラビアガム糊液 61重量部
イエロー3G(C.I.Pigment Yellow93) 4重量部
パーマネントカーミンFB(C.I.Pigment Red5) 1重量部
上記成分をターボミキサーにて5分攪拌する。
3)絵の具製造工程
上記顔料分散液 66重量部
軽質炭酸カルシウム 40重量部
二酸化チタン 1重量部
シリカ 4重量部
デキストリン 4重量部
プロピレングリコール 0.1重量部
チアベンダゾール 0.1重量部
フッ化ナトリウム 0.002重量部
ソルビン酸カリウム 0.5重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.25重量部
安息香酸ナトリウム 1重量部
デモールN(β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王(株)
製) 0.3重量部
上記成分をターボミキサーで15分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行ない橙色の水彩絵の具を得た。
【0020】
(実施例4)水彩絵の具
1)アラビア糊製造工程
水 33重量部
アカシアセネガル種アラビアガム粉末(左旋光性) 16重量部
グリセリン 9重量部
上記成分をラボミキサーで攪拌しながら溶解する。
2)顔料処理工程
上記アラビアガム糊液 58重量部
パーマネントレッド2B(C.I.Pigment Red48:3) 2重量部
ナフトールレッド5R(C.I.Pigment Red170) 2重量部
上記成分をターボミキサーにて5分攪拌する。
3)絵の具製造工程
上記顔料分散液 62重量部
軽質炭酸カルシウム 42重量部
シリカ 5重量部
カルボキシメチルセルロース 0.5重量部
プロピレングリコール 0.5重量部
チアベンダゾール 0.5重量部
フッ化ナトリウム 0.001重量部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3重量部
サンアイバックソディウムオマジン(2−ピリジンチオール−1−オキサイド・ナトリウム塩40%含有、三愛石油(株)製) 0.4重量部
上記成分をラボミキサーで10分攪拌した後、3本ロールミルにて2回通しを行なった後、朱色の水彩絵の具を得た。
【0021】
(比較例1)
実施例3において、アカシアセネガル種アラビアガム(左旋光性)をアカシアセヤル種アラビアガムタルファグレード(右旋光性)に代えた以外は、実施例1と同様になして水彩絵の具を得た。
【0022】
(比較例2)
実施例2において、アカシアセネガル種アラビアガム(左旋光性)をデキストリンに代えた以外は、実施例2と同様になして水彩絵の具を得た。
【0023】
(比較例3)
実施例4において、すべての成分を一度に容器に入れ、ラボミキサーで30分攪拌後、3本ロールミルにて2回通し行った後、朱色の水彩絵の具を得た。
【0024】
上記実施例1〜4、比較例1〜3により得た水性絵の具組成物のプラスチックのパレットに対する洗浄性を確認した結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
洗浄性測定方法
パレット(ZZL−31(ぺんてる(製)材質:スチレンとポリブタジェンを共重合した耐衝撃性ポリスチレン)に水彩絵の具に1gを出し、1gの蒸留水を加え、画筆(ZBNR−14(ぺんてる(株)製))にて良く混ぜ合わせた後、室温にて30分乾燥させ流水下でパレット面を画筆(ぺんてる(株)製、ZBNF−14)で15秒間こすりながら洗浄し、この作業を10回繰り返したものを、乾燥後、パレット表面の塗布しなかった部分(A)と塗布跡(B)を分光式色差計NF−777(日本電色工業(株)製)にてY値を測定した。パレットに対する洗浄性は、B/A×100の値とした。このときの数値が大きいほど洗浄性が良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも有機顔料と左旋光性のアラビアガムとを含有する水性絵の具組成物。

【公開番号】特開2010−222388(P2010−222388A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67917(P2009−67917)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】