水景広場システム
【課題】水景広場の所要箇所において水のミストを放出でき、その水のミストにより効果的な涼感を得ることができ、しかも設備のレイアウト変更等を容易に行うことができる水景広場システムを提供することにある。
【解決手段】水景広場の舗装面の下に、圧縮空気、高圧水、低圧水をそれぞれ供給するための複数の流体配管22,23,24を配設する。それらの流体配管22〜24には、ミスト発生装置等の設備と接続するためのカプラー33,34,35を設ける。各流体配管22〜24のカプラー33〜35は、舗装面に形成された凹所31内にまとめて配置する。凹所31には、その上面開口を開閉するためのグレーチングを設ける。
【解決手段】水景広場の舗装面の下に、圧縮空気、高圧水、低圧水をそれぞれ供給するための複数の流体配管22,23,24を配設する。それらの流体配管22〜24には、ミスト発生装置等の設備と接続するためのカプラー33,34,35を設ける。各流体配管22〜24のカプラー33〜35は、舗装面に形成された凹所31内にまとめて配置する。凹所31には、その上面開口を開閉するためのグレーチングを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水のミストにより冷却作用を得るようにしたり、視覚効果を演出したりすることが可能な水景広場システムに関するものである。なお、ここで、広場とは、屋外の広場以外に歩道を構成する舗道等や、建物の内部の広場、部屋、通路等あるいは建物の屋上等、人間の歩行空間,居住空間及びその周辺の空間を指す。
【背景技術】
【0002】
近年、公園や駅前広場等において、水の持つ効果を利用した水景広場、例えば水道水が路面から上方に向かって噴水状に噴出するようにした広場等の水景広場が普及しつつある。
【0003】
前述した水が噴出する広場は、路面の敷石間の隙間等に設けられたノズルから水が噴出するものであり、主として、夏期等の高気温のときに、子供が水遊びできるようにしたことが目的である。また、それ以外に、通水性舗装を用いた広場も提案されている。この通水性舗装は、敷石等の保水性舗装材に雨水等を保持させたり、透水性舗装材に毛細管現象を利用して給水させたりして、路面及びその周囲から気化熱を奪って、気温低下を狙うものである。
【0004】
しかしながら、水が噴出する広場のシステムにおいては、大量の水が必要で、運転コストが嵩むばかりでなく、ずぶ濡れを厭わない子供以外には、その噴出領域に立ち入ることができない。
【0005】
また、前記通水性舗装は、舗装の表面が湿潤状態に維持される時間が長いため、その表面にダスト等が付着して固まり、不潔になりがちである。また、表面に苔等の植物が生育しやすく、汚れが目立つことがある。しかも、水分の蒸発を利用するシステムであるが、水の存在を視覚できず、そのため視覚的な涼感を得ることができないだけではなく、冷却が路面の表面のみからの水分蒸発に依存しているため、冷却効果が充分ではない。むしろ、高温で無風高湿度のときには蒸し暑さを倍加させるおそれすらある。
【0006】
これに対し、特許文献1には、歩道と車道との間に立設された中空体等から歩道に向かって水のミストを放出するようにした噴霧設備が開示されている。しかし、この特許文献1の構成においては、ミスト放出が不要になった場合に、前記中空体を簡単に撤去したり、配置替えをしたりできるようには構成されていない。従って、噴霧設備のデザインレイアウトを簡単に変更できないばかりでなく、ミスト放出が不要な冬期等においては、前記中空体等は邪魔な存在となる。
【0007】
また、従来の駅前広場等の水景広場においては、水景設備のための給水カプラーの位置が固定されているため、前記のように、設備のデザインレイアウトの変更が困難である。さらに、涼感を得る設備として、粒径の小さなミスト(ドライミスト)を発生するミスト発生装置を使用したい場合、高圧水が必要であるため、通常の低圧水を用いることができない。従って、そのままではミスト発生装置を水景広場上に設置することができず、このため、可搬型のミスト発生装置を水景広場に設置する必要があり、きわめて不便である。
【0008】
一方、配管システムとして、特許文献2に開示されるような構成が、従来から提案されている。この特許文献2の従来構成においては、市街地に配水基管が敷設され、この排水基管が海、河川、湖沼等の水源に対してポンプを介して連結されている。配水基管には消火機器を接続するための複数の分岐管が接続されている。
【特許文献1】特開平6−170294号公報
【特許文献2】特開平10−331212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、この特許文献2の配管システムでは、水源から市街地に消火用の水を供給する配管構成は示されているが、噴霧のための高圧水を供給する構成については示されていない。よって、この特許文献2に記載の配管構成を、噴霧設備を有する水景広場システムに適用することは困難である。
【0010】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、水景広場の所要箇所において水のミストを放出でき、その水のミストにより効果的な涼感を得ることができるばかりでなく、設備のレイアウト変更等を容易に行うことができる水景広場システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明は、空間下面下に、ミスト発生可能な圧力が付与された水の配管を設けるとともに、その配管にはミスト発生装置と接続可能な接続端末を設けたことを特徴としている。
【0012】
従って、この発明の水景広場システムにおいては、必要に応じて噴霧設備を任意に設置して、その設備を配管の接続端末に接続することができる。従って、水景広場の所要箇所において水のミストを放出でき、その水のミストにより効果的な涼感を得ることができる。また、噴霧設備が不要な場合は、接続を解除することによりその設備を簡単に撤去できる。従って、必要に応じて、例えばイベント開幕や閉幕に応じて、噴霧設備を設置した撤去することを簡単に行うことができる。なお、ここで、空間下面は、広場等の舗装の表面である舗装面、舗道の路面、屋内空間や室内の床面等、歩行者や居住者が存在する空間及びその空間と隣接する植栽等の空間の下面を指す。
【0013】
また、前記の構成において、前記接続端末を空間下面に形成された凹所内に配置し、その凹所の上面開口にはグレーチングを開放可能に設けるとよい。このように構成した場合には、流体配管の接続端末を、地表面上に露出することなく配置することができる。
【0014】
さらに、前記の構成において、前記空間下面下には前記配管に沿って電気配線を設けるとともに、前記凹所内において前記電気配線には電気設備と接続可能なコネクタを設けるとよい。このように構成した場合には、水景広場に電気設備を簡便に設置することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、水景広場の所要箇所において水のミストを放出でき、その水のミストにより効果的な涼感を得ることができるばかりでなく、設備のレイアウト変更等を容易に行うことができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明を公園の水景広場として具体化した第1実施形態を図1〜図9の図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、水景広場における空間下面としての舗装面21の下には、異なる種類の流体をそれぞれ供給するための複数の流体配管22,23,24が配設されている。これらの流体配管22〜24は相互に隣接されて同方向へ延長されるとともに、図4に示すように縦横に配置されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、前記流体配管22〜24のうちで、第1流体配管22にはコンプレッサ25あるいは図示しない高圧チャンバーから大気圧の2倍以上,望ましくは4倍以上の圧縮空気が供給される。第2流体配管23には元栓27を介して、図示しない高圧タンクから2Mpa(メガパスカル)以上の高圧水が供給される。第3流体配管24には元栓28を介して、図示しない低圧タンクから前記高圧水より低圧(0.2Mpa程度)の低圧水が供給される。第2流体配管23及び第3流体配管24のそれぞれの基端部には、水抜き弁29a,30aを備えた水抜き通路29,30が接続されている。
【0019】
図4に示すように、前記流体配管22〜24と対応する前記舗装面21の多数箇所には、凹所31が形成されている。これらの凹所31は、碁盤の目状に分散配置されている。なお、水景広場周囲の植栽帯等も広場の一部と捉え、植栽帯内に凹所31を形成してもよい。各凹所31には、その上面開口を閉鎖するためのグレーチング32が開放可能に取り付けられている。なお、前記各凹所31は、その内部に水が溜まらないように、排水設備(図示しない)に接続されている。各凹所31内において、各流体配管22〜24には、後述する各種設備と接続するための接続端末としてのカプラー33,34,35が設けられている。各カプラー33,34,35には、それぞれ手動開閉される開閉弁33a,34a,35aが設けられている。従って、各凹所31内においては、カプラー33,34,35がユニット化されて、接続ステーションが構成されている。
【0020】
図3に示すように、前記各凹所31内には、ミスト発生装置41が設置されている。このミスト発生装置41は、第2流体配管23のカプラー34に接続され、上方を指向するミストノズル43を備えている。そして、第2流体配管23の高圧水がミスト発生装置41に供給される。この高圧水の供給により、ミスト発生装置41のノズル43からグレーチング32の開口を介して舗装面21側に向かって粒径の小さなミストが噴射される。このため、舗装面21の少し上の部分にミストが漂い、視覚的な冷感を演出できるとともに、ミストの気化により実際の冷却に供せられる。なお、ミストの粒径が小さい場合は、ミストの噴射流に長時間当たらない限り舗装面21上の歩行者の靴や衣服の裾が濡れることはない。
【0021】
この場合、前記ミスト発生装置41の種類(ノズル43の噴出口の径が相違するもの)を選択することにより、ノズル43から噴射されるミストの粒径を15〜500μmの範囲内で任意に設定することができる。そして、ノズル43として大きな粒径のミストを噴射させるものを選択したり、ミストの噴射方向が路面に平行または下向きのものを選択したりすれば、路面をミストで濡らすことができ、打ち水状態とすることが可能である。また、ノズル43から噴射されるミストMの範囲を、図6(a)に示す円形状態または図6(b)に示す矩形状態に設定可能なミスト発生装置41を選択することも可能である。さらに、ノズル43から噴射されるミストMの圧力を調節することにより、図6(c)(d)に示すように、ノズル43からのミストMの噴射距離を段階的に調整することができる。
【0022】
図5には、凹所31内に別の構成のミスト発生装置41が装備された例が示されている。このミスト発生装置41は、支柱42上のノズル43が互いに反対方向を指向するように構成されている。なお、ミスト発生装置41が凹所31内に納まらない高さの場合は、図5のように、グレーチング32は上方へ膨らむ形状に形成されたものが使用される。
【0023】
また、図5に2点鎖線で示すように、このミスト発生装置41として、長い支柱42を用い、その支柱42がグレーチング32の開口の上方に位置するようにしてもよい。
図7は、複数のノズル53が下方以外の全方向を指向するように構成されたミスト発生装置52を示す。このようなミスト発生装置52を用いてもよい。
【0024】
図8は、任意の凹所31と対応するように舗装面21に設置されたベンチ47が示されている。ベンチ47の下側にはミスト発生装置48が設けられている。このミスト発生装置48は、接続管51を介して第2流体配管23のカプラー33に接続された複数の噴霧ノズル50を備えている。このため、その第2流体配管23内の高圧水がミストとしてベンチ47の周辺に吹き出されて、視覚的な冷感を演出できるとともに、実際の冷却に供せられる。
【0025】
図9は、凹所31が土壌部63の樹木tの近傍に配置された場合に適するミスト発生装置60を示す。樹木tの枝には前記第2流体配管23のカプラー34に接続されたチューブ61が巻き回されている。このチューブ61には所定間隔をおいて噴霧ノズル62が設けられている。従って、樹木tの周囲にはミストが漂い、視覚的な冷感を演出できるとともに、実際の冷却に供せられる。それとともに、ミストにより樹木tに灌水を行うことができる。
【0026】
なお、低圧水の第3流体配管24のカプラー35に、例えば通常の給水ホースを接続すれば通常放水が可能となり、またこのカプラー35に噴水用の蛇口を接続すればグレーチング32からの噴水が可能となる。従って、これらの場合は、打ち水,樹木への灌水,舗装面21の洗浄等が可能となるばかりでなく、水遊びも可能となる。
【0027】
また、前記ミスト発生装置41,48,60を低圧水の第3配管及び圧縮空気の第1流体配管22に接続すれば、二流体ミストあるいはドライミストと称される粒径の小さいミストを噴出させることが可能となる。
【0028】
従って、この実施形態においては、以下の効果がある。
(1) 水景広場等の舗装面21の下に、圧縮空気、高圧水及び低圧水を供給するための複数の流体配管22〜24が配設され、それらの流体配管22〜24には各種設備と接続するためのカプラー33〜35が多数箇所に分散配置された凹所31内にユニット化されて接続ステーションとして設けられている。従って、水景広場の所望する箇所に、設置箇所や設置個数の制限を受けることなく、涼感を与えるミスト発生装置を設置して使用することができる。しかも、それらの設備に対する流体配管22〜24の接続を、給水ホース等を延長させるような見苦しさをともなうことなく行うことができ、水景広場の景観向上を果たすことができる。
【0029】
(2) ミスト放出が不要になった場合には、カプラー33〜35による接続を解除してバルブ33a〜35aを閉鎖すればよい。このため、季節の変化やイベントの開催等に応じて、ミスト発生装置41の設備を撤去したり、配置替えをしたりすることを簡単にできる。
【0030】
(3)接続するカプラー33〜35を適宜に選択することにより、粒径が比較的大きい一流体ミスト及び粒径が小さい二流体ミストの放出、通常放水や送風等を自在に選択でき、水景広場として各種の用途を実現できる。すなわち、前述したミスト放出以外に、例えば、高圧水を用いて舗装面21等を高圧洗浄することや、低圧水を用いて樹木,植栽等へ灌水することや、圧縮空気を送風に用いて落ち葉やゴミを吹き飛ばし清掃すること等が可能となる。
【0031】
(4) 流体配管22〜24のカプラー33〜35が舗装面21に形成された凹所31内に配置され、その凹所31には上面開口を開閉するためのグレーチング32が開放可能に取り付けられている。このため、流体配管22〜24のカプラー33〜35を、地表面上に露出することなく、言い換えれば、邪魔になることなく配置することができる。
【0032】
(5) ミストにより周辺を冷却できるため、水が噴出される場合と比較して、使用水量を少なくでき、運転コストを低減できる。しかも、ミストにより、水の存在を視覚でき、視覚的な涼感を与えることができるだけではなく、通水性舗装の路面の表面のみからの気化に依存する場合と比較して、充分な冷却効果を得ることができる。また、ミストを用いるため、歩行者の靴や衣服の裾が濡れることを防止できるため、この水景広場上を快適に歩行できる。
【0033】
(6) ミストは舗装面を濡らすことがほとんどなく、仮に濡れたとしても、噴霧終了にともなってその舗装面はただちに乾燥する。このため、その舗装面にダスト等が付着することを抑制して清潔な状態を維持できる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に図10〜図13に基づいて説明する。
【0035】
さて、この第2実施形態においては、図10に示すように、水景広場等の舗装面21の下に電気配線55が前記流体配管22〜24に沿って配設されている。この電気配線55は、開閉器56を介して交流電源に接続されている。舗装面21上に形成された凹所31内において、流体配管22〜24のカプラー33〜35に近接して配置されるように、電気配線55にはスイッチ57a付きの複数のコネクタ57が接続されている。
【0036】
従って、舗装面21上に電気機器を設置することができる。例えば、図11〜図13は噴霧機能を有するポール状の照明装置81を示している。照明装置81の内部には扁平状の配水管82が上下方向に延在され、この配水管82は、前記第2流体配管23のカプラー34に接続される。配水管82の両側縁にはノズル83が上下方向に列設されている。配水管82の外側には図示しないコネクタを介して前記電気配線55に接続したランプ84が支持され、そのランプ84を覆うようにカバー85が設けられている。従って、ランプ84により水景広場を照明できるとともに、この照明装置81の周囲にミストを漂わせることができる。
【0037】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果と同様な効果を得ることができる。さらに、この第2実施形態においては、以下の効果がある。
(7) 地表面上の設備に対して、流体配管22〜24からの水や空気の供給とともに、電気配線55からの電気の供給を行うことができる。このため、照明等の電気器を付加して舗装面21上に設置することができて、水景広場の照明と景観向上に有効である。
【0038】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態においては、本発明の水景広場を公園の広場において具体化した。これ以外に、本発明の水景広場を、駅前の広場、大学のキャンパス広場等の他の広場において具体化したり、歩道において具体化したり、あるいは建物の屋内の広場やエントランスホール等の室内において具体化したり、建物の屋上の広場において具体化したりすること。特に、建物の内部において具体化した場合は、ミストによる冷却効果により、冷房装置の負荷を軽減できて、省エネルギーに貢献できる。
【0039】
・ 圧縮空気の配管22からの空気を冷却のための送風用に利用すること。例えば、配管22からの圧縮空気を減圧弁によって減圧して、図8に示すベンチ47に形成した開口(図示しない)から微風または弱風として吹き出されるようにすれば、その微風または弱風を冷却風やそよ風として利用できる。なお、前記圧縮空気を一旦減圧チャンバーに貯留して、減圧チャンバー内の空気を必要に応じて所要箇所に供給するようにしてもよい。
【0040】
・ 水景広場の適当箇所に水路や池を設け、その水路や池に対して低圧水の配管24から水が供給されるようにすること。
・ 水景広場の舗装面21に勾配を設けるとともに、その勾配の下端に排水路や排水桝を設けること。この場合、排水路や排水桝に集められた雨水等が地中に浸透されるようにすることが好ましい。
【0041】
・ 例えば、図5に示すミスト発生装置41のノズル部を回転できるようにすること。この場合、ノズル部の回転がミスト噴射の反力を利用して行われるように構成することが、構成を簡素化する上で好ましい。
【0042】
・ 図5に2点鎖線で示すミスト発生装置41において、支柱42を伸縮可能に構成して、ノズル43の高さ位置を調節できるように構成すること。
・ 前記第2実施形態において、凹所31内にスピーカを設置して、ミストの放出と同時に水音等の効果音や、音楽、あるいは噴霧中であることの注意を促す警告音声等を流すように構成すること。
【0043】
・ ミスト発生装置41として、例えば、舗装面21上に設置された衝立状の立ち壁設備に設けた噴霧ノズルからミスト放出が行われるものを使用すること。
・前記衝立状の立ち壁を、多孔質材質により構成し、その立ち壁の内部に流体配管24から低圧水を供給して、立ち壁の無数の小孔から水が蒸発されるようにすること。このようにすれば、立ち壁の周囲を気化冷却することができる。
【0044】
・ 図5に2点鎖線で示すように、凹所31内に、赤外線センサ(人体の温度を検出),静電容量センサ(歩行者の静電容量を検出),振動センサ(歩行者の歩行振動を検出),音響センサ(歩行者の歩行音を検出)等のセンサ46を設け、このセンサ46の検出動作に応じて開閉される電磁弁(図示しない)を設けること。そして、ミスト発生装置41に歩行者等が接近したとき、センサ46から検出信号が出力されて、当該ミスト発生装置41からのミストの放出が停止されるようにすること。このようにすれば、歩行者に対して靴に水がかかるというような危惧を抱かせること防止できる。逆に、歩行者が接近したときに、視覚的な涼感を演出するために、ミストが放出されようにしてもよい。
【0045】
・ 配管22〜24あるいは電気配線55に沿ってガス管を配設し、凹所31においてそのガス管の開閉コックと接続のためのカプラーを設けること。このようにすれば、ガス灯やガスレンジ等のガス器具の設置が可能となり、料理等の火等の各種の火を用いるイベントやパーティが可能となる。
【0046】
・ 前記実施形態においては、圧縮空気の圧力を大気圧の2倍以上,望ましくは4倍以上として、高圧水の圧力を2Mpa以上とし、低圧水の圧力を0.2Mpa程度とした。しかし、噴霧や散水、あるいは冷却送風等の目的を達成できるのであれば、これらの圧力を適宜に変更してもよい。
【0047】
(別の技術的思想)
前記実施形態から把握され、請求項に記載されていない技術的思想は以下の通りである。
【0048】
(A) 配管を高圧水の配管、低圧水の配管により構成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の水景広場システム。このようにすれば、ミスト放出及びミストではない通常放水を選択できる。
【0049】
(B) 圧縮空気の配管を設けた請求項1〜3、前記技術的思想(A)項のうちのいずれか一項に記載の水景広場システム。このようにすれば、二流体ミストを放出できるとともに、清掃用の送風や微弱風等の送風も可能となる。
【0050】
(C) 複数または多数(10箇所以上)の凹所を碁盤の目状に分散配置したことを特徴とする請求項1〜3、前記技術的思想(A)項,(B)項のうちのいずれか一項に記載の水景広場システム。このようにすれば、ミスト発生装置41等の設備を所要の箇所に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態の配管構成を示す構成図。
【図2】図1の構成における凹所の部分を示す部分断面図。
【図3】同じくミスト発生装置の装備状態を示す部分断面図。
【図4】水景広場の一部斜視図。
【図5】図3とは異なるミスト発生装置の装備状態を示す部分断面図。
【図6】(a)〜(d)は、ノズルによる異なった湿潤形態を示す平面図。
【図7】全方向ノズルを示す正面図。
【図8】接続端末に異なった地表の設備を接続した状態を示す部分断面図。
【図9】接続端末に異なった地表の設備を接続した状態を示す部分断面図。
【図10】第2実施形態の水景広場システムの配管及び配線構成を示す構成図。
【図11】照明装置を設けた状態の水景広場の斜視図。
【図12】図11の凹所部分の一部断面図。
【図13】照明装置の断面図。
【符号の説明】
【0052】
21…舗装面、22…第1流体配管、23…第2流体配管、24…第3流体配管、31…凹所、32…グレーチング、33,34,35…接続端末、43…ノズル、41…ミスト発生装置、48…ミスト発生装置、52…ミスト発生装置、55…電気配線、60…ミスト発生装置、57…コネクタ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、水のミストにより冷却作用を得るようにしたり、視覚効果を演出したりすることが可能な水景広場システムに関するものである。なお、ここで、広場とは、屋外の広場以外に歩道を構成する舗道等や、建物の内部の広場、部屋、通路等あるいは建物の屋上等、人間の歩行空間,居住空間及びその周辺の空間を指す。
【背景技術】
【0002】
近年、公園や駅前広場等において、水の持つ効果を利用した水景広場、例えば水道水が路面から上方に向かって噴水状に噴出するようにした広場等の水景広場が普及しつつある。
【0003】
前述した水が噴出する広場は、路面の敷石間の隙間等に設けられたノズルから水が噴出するものであり、主として、夏期等の高気温のときに、子供が水遊びできるようにしたことが目的である。また、それ以外に、通水性舗装を用いた広場も提案されている。この通水性舗装は、敷石等の保水性舗装材に雨水等を保持させたり、透水性舗装材に毛細管現象を利用して給水させたりして、路面及びその周囲から気化熱を奪って、気温低下を狙うものである。
【0004】
しかしながら、水が噴出する広場のシステムにおいては、大量の水が必要で、運転コストが嵩むばかりでなく、ずぶ濡れを厭わない子供以外には、その噴出領域に立ち入ることができない。
【0005】
また、前記通水性舗装は、舗装の表面が湿潤状態に維持される時間が長いため、その表面にダスト等が付着して固まり、不潔になりがちである。また、表面に苔等の植物が生育しやすく、汚れが目立つことがある。しかも、水分の蒸発を利用するシステムであるが、水の存在を視覚できず、そのため視覚的な涼感を得ることができないだけではなく、冷却が路面の表面のみからの水分蒸発に依存しているため、冷却効果が充分ではない。むしろ、高温で無風高湿度のときには蒸し暑さを倍加させるおそれすらある。
【0006】
これに対し、特許文献1には、歩道と車道との間に立設された中空体等から歩道に向かって水のミストを放出するようにした噴霧設備が開示されている。しかし、この特許文献1の構成においては、ミスト放出が不要になった場合に、前記中空体を簡単に撤去したり、配置替えをしたりできるようには構成されていない。従って、噴霧設備のデザインレイアウトを簡単に変更できないばかりでなく、ミスト放出が不要な冬期等においては、前記中空体等は邪魔な存在となる。
【0007】
また、従来の駅前広場等の水景広場においては、水景設備のための給水カプラーの位置が固定されているため、前記のように、設備のデザインレイアウトの変更が困難である。さらに、涼感を得る設備として、粒径の小さなミスト(ドライミスト)を発生するミスト発生装置を使用したい場合、高圧水が必要であるため、通常の低圧水を用いることができない。従って、そのままではミスト発生装置を水景広場上に設置することができず、このため、可搬型のミスト発生装置を水景広場に設置する必要があり、きわめて不便である。
【0008】
一方、配管システムとして、特許文献2に開示されるような構成が、従来から提案されている。この特許文献2の従来構成においては、市街地に配水基管が敷設され、この排水基管が海、河川、湖沼等の水源に対してポンプを介して連結されている。配水基管には消火機器を接続するための複数の分岐管が接続されている。
【特許文献1】特開平6−170294号公報
【特許文献2】特開平10−331212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、この特許文献2の配管システムでは、水源から市街地に消火用の水を供給する配管構成は示されているが、噴霧のための高圧水を供給する構成については示されていない。よって、この特許文献2に記載の配管構成を、噴霧設備を有する水景広場システムに適用することは困難である。
【0010】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、水景広場の所要箇所において水のミストを放出でき、その水のミストにより効果的な涼感を得ることができるばかりでなく、設備のレイアウト変更等を容易に行うことができる水景広場システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明は、空間下面下に、ミスト発生可能な圧力が付与された水の配管を設けるとともに、その配管にはミスト発生装置と接続可能な接続端末を設けたことを特徴としている。
【0012】
従って、この発明の水景広場システムにおいては、必要に応じて噴霧設備を任意に設置して、その設備を配管の接続端末に接続することができる。従って、水景広場の所要箇所において水のミストを放出でき、その水のミストにより効果的な涼感を得ることができる。また、噴霧設備が不要な場合は、接続を解除することによりその設備を簡単に撤去できる。従って、必要に応じて、例えばイベント開幕や閉幕に応じて、噴霧設備を設置した撤去することを簡単に行うことができる。なお、ここで、空間下面は、広場等の舗装の表面である舗装面、舗道の路面、屋内空間や室内の床面等、歩行者や居住者が存在する空間及びその空間と隣接する植栽等の空間の下面を指す。
【0013】
また、前記の構成において、前記接続端末を空間下面に形成された凹所内に配置し、その凹所の上面開口にはグレーチングを開放可能に設けるとよい。このように構成した場合には、流体配管の接続端末を、地表面上に露出することなく配置することができる。
【0014】
さらに、前記の構成において、前記空間下面下には前記配管に沿って電気配線を設けるとともに、前記凹所内において前記電気配線には電気設備と接続可能なコネクタを設けるとよい。このように構成した場合には、水景広場に電気設備を簡便に設置することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、水景広場の所要箇所において水のミストを放出でき、その水のミストにより効果的な涼感を得ることができるばかりでなく、設備のレイアウト変更等を容易に行うことができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明を公園の水景広場として具体化した第1実施形態を図1〜図9の図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、水景広場における空間下面としての舗装面21の下には、異なる種類の流体をそれぞれ供給するための複数の流体配管22,23,24が配設されている。これらの流体配管22〜24は相互に隣接されて同方向へ延長されるとともに、図4に示すように縦横に配置されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、前記流体配管22〜24のうちで、第1流体配管22にはコンプレッサ25あるいは図示しない高圧チャンバーから大気圧の2倍以上,望ましくは4倍以上の圧縮空気が供給される。第2流体配管23には元栓27を介して、図示しない高圧タンクから2Mpa(メガパスカル)以上の高圧水が供給される。第3流体配管24には元栓28を介して、図示しない低圧タンクから前記高圧水より低圧(0.2Mpa程度)の低圧水が供給される。第2流体配管23及び第3流体配管24のそれぞれの基端部には、水抜き弁29a,30aを備えた水抜き通路29,30が接続されている。
【0019】
図4に示すように、前記流体配管22〜24と対応する前記舗装面21の多数箇所には、凹所31が形成されている。これらの凹所31は、碁盤の目状に分散配置されている。なお、水景広場周囲の植栽帯等も広場の一部と捉え、植栽帯内に凹所31を形成してもよい。各凹所31には、その上面開口を閉鎖するためのグレーチング32が開放可能に取り付けられている。なお、前記各凹所31は、その内部に水が溜まらないように、排水設備(図示しない)に接続されている。各凹所31内において、各流体配管22〜24には、後述する各種設備と接続するための接続端末としてのカプラー33,34,35が設けられている。各カプラー33,34,35には、それぞれ手動開閉される開閉弁33a,34a,35aが設けられている。従って、各凹所31内においては、カプラー33,34,35がユニット化されて、接続ステーションが構成されている。
【0020】
図3に示すように、前記各凹所31内には、ミスト発生装置41が設置されている。このミスト発生装置41は、第2流体配管23のカプラー34に接続され、上方を指向するミストノズル43を備えている。そして、第2流体配管23の高圧水がミスト発生装置41に供給される。この高圧水の供給により、ミスト発生装置41のノズル43からグレーチング32の開口を介して舗装面21側に向かって粒径の小さなミストが噴射される。このため、舗装面21の少し上の部分にミストが漂い、視覚的な冷感を演出できるとともに、ミストの気化により実際の冷却に供せられる。なお、ミストの粒径が小さい場合は、ミストの噴射流に長時間当たらない限り舗装面21上の歩行者の靴や衣服の裾が濡れることはない。
【0021】
この場合、前記ミスト発生装置41の種類(ノズル43の噴出口の径が相違するもの)を選択することにより、ノズル43から噴射されるミストの粒径を15〜500μmの範囲内で任意に設定することができる。そして、ノズル43として大きな粒径のミストを噴射させるものを選択したり、ミストの噴射方向が路面に平行または下向きのものを選択したりすれば、路面をミストで濡らすことができ、打ち水状態とすることが可能である。また、ノズル43から噴射されるミストMの範囲を、図6(a)に示す円形状態または図6(b)に示す矩形状態に設定可能なミスト発生装置41を選択することも可能である。さらに、ノズル43から噴射されるミストMの圧力を調節することにより、図6(c)(d)に示すように、ノズル43からのミストMの噴射距離を段階的に調整することができる。
【0022】
図5には、凹所31内に別の構成のミスト発生装置41が装備された例が示されている。このミスト発生装置41は、支柱42上のノズル43が互いに反対方向を指向するように構成されている。なお、ミスト発生装置41が凹所31内に納まらない高さの場合は、図5のように、グレーチング32は上方へ膨らむ形状に形成されたものが使用される。
【0023】
また、図5に2点鎖線で示すように、このミスト発生装置41として、長い支柱42を用い、その支柱42がグレーチング32の開口の上方に位置するようにしてもよい。
図7は、複数のノズル53が下方以外の全方向を指向するように構成されたミスト発生装置52を示す。このようなミスト発生装置52を用いてもよい。
【0024】
図8は、任意の凹所31と対応するように舗装面21に設置されたベンチ47が示されている。ベンチ47の下側にはミスト発生装置48が設けられている。このミスト発生装置48は、接続管51を介して第2流体配管23のカプラー33に接続された複数の噴霧ノズル50を備えている。このため、その第2流体配管23内の高圧水がミストとしてベンチ47の周辺に吹き出されて、視覚的な冷感を演出できるとともに、実際の冷却に供せられる。
【0025】
図9は、凹所31が土壌部63の樹木tの近傍に配置された場合に適するミスト発生装置60を示す。樹木tの枝には前記第2流体配管23のカプラー34に接続されたチューブ61が巻き回されている。このチューブ61には所定間隔をおいて噴霧ノズル62が設けられている。従って、樹木tの周囲にはミストが漂い、視覚的な冷感を演出できるとともに、実際の冷却に供せられる。それとともに、ミストにより樹木tに灌水を行うことができる。
【0026】
なお、低圧水の第3流体配管24のカプラー35に、例えば通常の給水ホースを接続すれば通常放水が可能となり、またこのカプラー35に噴水用の蛇口を接続すればグレーチング32からの噴水が可能となる。従って、これらの場合は、打ち水,樹木への灌水,舗装面21の洗浄等が可能となるばかりでなく、水遊びも可能となる。
【0027】
また、前記ミスト発生装置41,48,60を低圧水の第3配管及び圧縮空気の第1流体配管22に接続すれば、二流体ミストあるいはドライミストと称される粒径の小さいミストを噴出させることが可能となる。
【0028】
従って、この実施形態においては、以下の効果がある。
(1) 水景広場等の舗装面21の下に、圧縮空気、高圧水及び低圧水を供給するための複数の流体配管22〜24が配設され、それらの流体配管22〜24には各種設備と接続するためのカプラー33〜35が多数箇所に分散配置された凹所31内にユニット化されて接続ステーションとして設けられている。従って、水景広場の所望する箇所に、設置箇所や設置個数の制限を受けることなく、涼感を与えるミスト発生装置を設置して使用することができる。しかも、それらの設備に対する流体配管22〜24の接続を、給水ホース等を延長させるような見苦しさをともなうことなく行うことができ、水景広場の景観向上を果たすことができる。
【0029】
(2) ミスト放出が不要になった場合には、カプラー33〜35による接続を解除してバルブ33a〜35aを閉鎖すればよい。このため、季節の変化やイベントの開催等に応じて、ミスト発生装置41の設備を撤去したり、配置替えをしたりすることを簡単にできる。
【0030】
(3)接続するカプラー33〜35を適宜に選択することにより、粒径が比較的大きい一流体ミスト及び粒径が小さい二流体ミストの放出、通常放水や送風等を自在に選択でき、水景広場として各種の用途を実現できる。すなわち、前述したミスト放出以外に、例えば、高圧水を用いて舗装面21等を高圧洗浄することや、低圧水を用いて樹木,植栽等へ灌水することや、圧縮空気を送風に用いて落ち葉やゴミを吹き飛ばし清掃すること等が可能となる。
【0031】
(4) 流体配管22〜24のカプラー33〜35が舗装面21に形成された凹所31内に配置され、その凹所31には上面開口を開閉するためのグレーチング32が開放可能に取り付けられている。このため、流体配管22〜24のカプラー33〜35を、地表面上に露出することなく、言い換えれば、邪魔になることなく配置することができる。
【0032】
(5) ミストにより周辺を冷却できるため、水が噴出される場合と比較して、使用水量を少なくでき、運転コストを低減できる。しかも、ミストにより、水の存在を視覚でき、視覚的な涼感を与えることができるだけではなく、通水性舗装の路面の表面のみからの気化に依存する場合と比較して、充分な冷却効果を得ることができる。また、ミストを用いるため、歩行者の靴や衣服の裾が濡れることを防止できるため、この水景広場上を快適に歩行できる。
【0033】
(6) ミストは舗装面を濡らすことがほとんどなく、仮に濡れたとしても、噴霧終了にともなってその舗装面はただちに乾燥する。このため、その舗装面にダスト等が付着することを抑制して清潔な状態を維持できる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に図10〜図13に基づいて説明する。
【0035】
さて、この第2実施形態においては、図10に示すように、水景広場等の舗装面21の下に電気配線55が前記流体配管22〜24に沿って配設されている。この電気配線55は、開閉器56を介して交流電源に接続されている。舗装面21上に形成された凹所31内において、流体配管22〜24のカプラー33〜35に近接して配置されるように、電気配線55にはスイッチ57a付きの複数のコネクタ57が接続されている。
【0036】
従って、舗装面21上に電気機器を設置することができる。例えば、図11〜図13は噴霧機能を有するポール状の照明装置81を示している。照明装置81の内部には扁平状の配水管82が上下方向に延在され、この配水管82は、前記第2流体配管23のカプラー34に接続される。配水管82の両側縁にはノズル83が上下方向に列設されている。配水管82の外側には図示しないコネクタを介して前記電気配線55に接続したランプ84が支持され、そのランプ84を覆うようにカバー85が設けられている。従って、ランプ84により水景広場を照明できるとともに、この照明装置81の周囲にミストを漂わせることができる。
【0037】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果と同様な効果を得ることができる。さらに、この第2実施形態においては、以下の効果がある。
(7) 地表面上の設備に対して、流体配管22〜24からの水や空気の供給とともに、電気配線55からの電気の供給を行うことができる。このため、照明等の電気器を付加して舗装面21上に設置することができて、水景広場の照明と景観向上に有効である。
【0038】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態においては、本発明の水景広場を公園の広場において具体化した。これ以外に、本発明の水景広場を、駅前の広場、大学のキャンパス広場等の他の広場において具体化したり、歩道において具体化したり、あるいは建物の屋内の広場やエントランスホール等の室内において具体化したり、建物の屋上の広場において具体化したりすること。特に、建物の内部において具体化した場合は、ミストによる冷却効果により、冷房装置の負荷を軽減できて、省エネルギーに貢献できる。
【0039】
・ 圧縮空気の配管22からの空気を冷却のための送風用に利用すること。例えば、配管22からの圧縮空気を減圧弁によって減圧して、図8に示すベンチ47に形成した開口(図示しない)から微風または弱風として吹き出されるようにすれば、その微風または弱風を冷却風やそよ風として利用できる。なお、前記圧縮空気を一旦減圧チャンバーに貯留して、減圧チャンバー内の空気を必要に応じて所要箇所に供給するようにしてもよい。
【0040】
・ 水景広場の適当箇所に水路や池を設け、その水路や池に対して低圧水の配管24から水が供給されるようにすること。
・ 水景広場の舗装面21に勾配を設けるとともに、その勾配の下端に排水路や排水桝を設けること。この場合、排水路や排水桝に集められた雨水等が地中に浸透されるようにすることが好ましい。
【0041】
・ 例えば、図5に示すミスト発生装置41のノズル部を回転できるようにすること。この場合、ノズル部の回転がミスト噴射の反力を利用して行われるように構成することが、構成を簡素化する上で好ましい。
【0042】
・ 図5に2点鎖線で示すミスト発生装置41において、支柱42を伸縮可能に構成して、ノズル43の高さ位置を調節できるように構成すること。
・ 前記第2実施形態において、凹所31内にスピーカを設置して、ミストの放出と同時に水音等の効果音や、音楽、あるいは噴霧中であることの注意を促す警告音声等を流すように構成すること。
【0043】
・ ミスト発生装置41として、例えば、舗装面21上に設置された衝立状の立ち壁設備に設けた噴霧ノズルからミスト放出が行われるものを使用すること。
・前記衝立状の立ち壁を、多孔質材質により構成し、その立ち壁の内部に流体配管24から低圧水を供給して、立ち壁の無数の小孔から水が蒸発されるようにすること。このようにすれば、立ち壁の周囲を気化冷却することができる。
【0044】
・ 図5に2点鎖線で示すように、凹所31内に、赤外線センサ(人体の温度を検出),静電容量センサ(歩行者の静電容量を検出),振動センサ(歩行者の歩行振動を検出),音響センサ(歩行者の歩行音を検出)等のセンサ46を設け、このセンサ46の検出動作に応じて開閉される電磁弁(図示しない)を設けること。そして、ミスト発生装置41に歩行者等が接近したとき、センサ46から検出信号が出力されて、当該ミスト発生装置41からのミストの放出が停止されるようにすること。このようにすれば、歩行者に対して靴に水がかかるというような危惧を抱かせること防止できる。逆に、歩行者が接近したときに、視覚的な涼感を演出するために、ミストが放出されようにしてもよい。
【0045】
・ 配管22〜24あるいは電気配線55に沿ってガス管を配設し、凹所31においてそのガス管の開閉コックと接続のためのカプラーを設けること。このようにすれば、ガス灯やガスレンジ等のガス器具の設置が可能となり、料理等の火等の各種の火を用いるイベントやパーティが可能となる。
【0046】
・ 前記実施形態においては、圧縮空気の圧力を大気圧の2倍以上,望ましくは4倍以上として、高圧水の圧力を2Mpa以上とし、低圧水の圧力を0.2Mpa程度とした。しかし、噴霧や散水、あるいは冷却送風等の目的を達成できるのであれば、これらの圧力を適宜に変更してもよい。
【0047】
(別の技術的思想)
前記実施形態から把握され、請求項に記載されていない技術的思想は以下の通りである。
【0048】
(A) 配管を高圧水の配管、低圧水の配管により構成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の水景広場システム。このようにすれば、ミスト放出及びミストではない通常放水を選択できる。
【0049】
(B) 圧縮空気の配管を設けた請求項1〜3、前記技術的思想(A)項のうちのいずれか一項に記載の水景広場システム。このようにすれば、二流体ミストを放出できるとともに、清掃用の送風や微弱風等の送風も可能となる。
【0050】
(C) 複数または多数(10箇所以上)の凹所を碁盤の目状に分散配置したことを特徴とする請求項1〜3、前記技術的思想(A)項,(B)項のうちのいずれか一項に記載の水景広場システム。このようにすれば、ミスト発生装置41等の設備を所要の箇所に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態の配管構成を示す構成図。
【図2】図1の構成における凹所の部分を示す部分断面図。
【図3】同じくミスト発生装置の装備状態を示す部分断面図。
【図4】水景広場の一部斜視図。
【図5】図3とは異なるミスト発生装置の装備状態を示す部分断面図。
【図6】(a)〜(d)は、ノズルによる異なった湿潤形態を示す平面図。
【図7】全方向ノズルを示す正面図。
【図8】接続端末に異なった地表の設備を接続した状態を示す部分断面図。
【図9】接続端末に異なった地表の設備を接続した状態を示す部分断面図。
【図10】第2実施形態の水景広場システムの配管及び配線構成を示す構成図。
【図11】照明装置を設けた状態の水景広場の斜視図。
【図12】図11の凹所部分の一部断面図。
【図13】照明装置の断面図。
【符号の説明】
【0052】
21…舗装面、22…第1流体配管、23…第2流体配管、24…第3流体配管、31…凹所、32…グレーチング、33,34,35…接続端末、43…ノズル、41…ミスト発生装置、48…ミスト発生装置、52…ミスト発生装置、55…電気配線、60…ミスト発生装置、57…コネクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間下面下に、ミスト発生可能な圧力が付与された水の配管を設けるとともに、その配管にはミスト発生装置と接続可能な接続端末を設けたことを特徴とする水景広場システム。
【請求項2】
前記接続端末を空間下面に形成された凹所内に配置し、その凹所の上面開口にはグレーチングを開放可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の水景広場システム。
【請求項3】
前記空間下面下には前記配管に沿って電気配線を設けるとともに、前記凹所内において前記電気配線には電気設備と接続可能なコネクタを設けたことを特徴とする請求項2に記載の水景広場システム。
【請求項1】
空間下面下に、ミスト発生可能な圧力が付与された水の配管を設けるとともに、その配管にはミスト発生装置と接続可能な接続端末を設けたことを特徴とする水景広場システム。
【請求項2】
前記接続端末を空間下面に形成された凹所内に配置し、その凹所の上面開口にはグレーチングを開放可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の水景広場システム。
【請求項3】
前記空間下面下には前記配管に沿って電気配線を設けるとともに、前記凹所内において前記電気配線には電気設備と接続可能なコネクタを設けたことを特徴とする請求項2に記載の水景広場システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−110714(P2010−110714A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286864(P2008−286864)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]