説明

水栓装置

【課題】大型化することなく、コンデンサの防爆スペースを確保できる水栓装置を提供する。
【解決手段】水栓装置としての自動水栓装置1は電磁弁40に電力を供給する電源供給部9を備えている。電源供給部9がコンデンサ65とコンデンサ65を収容する筒状の収容ケース45とコンデンサ65を保持するコンデンサホルダ48とコンデンサ65に接続されて第1ハーネス54を備えている。コンデンサホルダ48は収容ケース45に取り付けられかつ収容ケース45に取り付けられるとこの収容ケース45の開口部49aを塞ぐ平板状の蓋部69を備えている。第1ハーネス54は収容ケース45の開口部49aの内周面と蓋部69の環状部78の縁78aとの間を通して収容ケース45外に導き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、吐水部材に設けられた吐水口から水を吐水する水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、開閉弁を開いて、吐水部材に設けられた吐水口から水を吐水する水栓装置(例えば、特許文献1参照)が用いられている。この特許文献1などに示された水栓装置は、ロアケースと、このロアケース内に収容されかつ基端部に開閉弁としての電磁弁が取り付けられかつ先端部に吐水口が設けられた吐水部材と、前記吐水部材に重ねられかつ印刷配線板を有する制御回路部と、前記制御回路部に実装された検知センサと、前記制御回路部に重ねられかつ電池を有する電源供給部と、前記ロアケースに取り付けられた前記制御回路部、電源供給部や電磁弁を覆うアッパケースとを備えている。
【0003】
電源供給部は、電池やコンデンサなどの蓄電部材を収容する収容ケースと、前記収容ケースに取り付けられかつ前記収容ケースに取り付けられるとこの収容ケースの開口部を塞ぐ蓋部材と、前記電池やコンデンサに接続されてこれらの電力を制御回路部や電磁弁の供給するハーネスとを備えている。特許文献1に示された水栓装置の電源供給部では、ハーネスが、前記蓋部材の中央に設けられた孔を通して収容ケース外に導かれるとともに、蓋部材の孔の内面とハーネスとの間にはこれらの間を水密に保つシール部材が設けられている。
【0004】
水栓装置は、検知センサが吐水部材の先端部に人体の手などの検知物が近づいたか否かを検知すると、制御回路部が前記検知センサが検出した情報に基づいて前記電磁弁を開いて、吐水口から水を吐水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−299052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1などに記載されている水栓装置は、蓋部材の中央に設けられた孔を通してハーネスが収容ケース外に導かれるとともに、蓋部材の孔の内面とハーネスとの間にはこれらの間を水密に保つシール部材が設けられているので、コンデンサの頭部の端面上に前述したハーネスが位置付けられることとなって、コンデンサの防爆スペースを確保することができない。また、コンデンサの防爆スペースを確保するためには、収容ケース即ち電源供給部が大型化して、吐水装置自体も大型化してしまう。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、大型化することなく、コンデンサの防爆スペースを確保できる水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る水栓装置は、弁に電力を供給する電源供給部を備えた水栓装置において、前記電源供給部が、蓄電部材としてのコンデンサと、前記コンデンサを収容する筒状の収容ケースと、前記収容ケースに取り付けられ、かつ前記収容ケースに取り付けられるとこの収容ケースの開口部を塞ぐ平板状の蓋部材と、前記コンデンサに接続され、かつ前記収容ケースの内周面と前記蓋部材の外縁との間を通して、前記収容ケース外に導き出されるハーネスと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記水栓装置では、収容ケースの内周面と蓋部材の外縁との間を通してハーネスが収容ケース外に導かれるので、コンデンサの頭部の端面と蓋部材や収容ケースの内面などとの間にハーネスが位置付けられない。このため、コンデンサの頭部の端面と蓋部材や収容ケースの内面などとの間をコンデンサの防爆スペースとして使用することができる。よって、コンデンサの頭部の端面と蓋部材や収容ケースの内面などとを必要に以上に離す必要がなくなるので、大型化することなく、コンデンサの防爆スペースを確保することができる。
【0010】
また、前記水栓装置では、前記蓋部材が、前記外縁を含みかつ前記収容ケースの内周面に重ねられる環状の環状部と、前記外縁部の内縁から前記収容ケースの外側に立設した筒状の筒状突出部と、前記筒状突出部の前記環状部から離れた側の端を塞ぐ板状の塞ぎ部と、を備えたことが好ましい。
【0011】
この水栓装置では、蓋部材が外縁を含む環状の環状部と、環状部の内縁から外側に立設した筒状突出部と、筒状突出部の内縁を塞ぐ塞ぎ部とを備えているので、塞ぎ部を、確実にコンデンサの頭部の端面などから離間させることができる。このために、塞ぎ部と筒状突出部とで囲まれる空間をコンデンサの防爆スペースとして用いることができる。よって、確実に大型化することなく、コンデンサの防爆スペースを確実に確保することができる。
【0012】
また、前記水栓装置では、前記収容ケースの内周面と前記筒状突出部の外面との間に全周に亘って充填され、かつ、前記収容ケースの内周面と前記筒状突出部の外面との間を液密に保つシール部材を備えたことが好ましい。
【0013】
この水栓装置では、収容ケースの内周面と筒状突出部の外面との間にシール部材が充填されているので、コンデンサの防爆スペースを確実に確保することができながらも収容ケース内に水が浸入することを防止できる。また、シール部材を筒状突出部の外面上に充填できるので、シール部材が、収容ケースと蓋部材との間を確実に水密に保つことができる。
【0014】
また、前記水栓装置では、前記ハーネスを前記蓋部材の外面に固定する固定部を備えたことが好ましい。
【0015】
この水栓装置では、蓋部材にハーネスを固定する固定部を設けているので、ハーネスが引っ張られても、このハーネスに作用する張力を固定部で支えることとなって、ハーネスとコンデンサなどとの接続箇所に前述した張力が作用することを防止できる。よって、ハーネスは、コンデンサなどに蓄えられた電力を確実に外部に導き出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自動水栓装置は、大型化することなく、コンデンサの防爆スペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施形態に係る自動水栓装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態に係る自動水栓装置が設置された状態を説明する側面図である。
【図3】図3は、実施形態に係る自動水栓装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施形態に係る自動水栓装置を分解して示す斜視図である。
【図5】図5は、実施形態に係る自動水栓装置の吐水部材に電源供給部が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、実施形態に係る自動水栓装置の吐水部材と電源供給部とを分解した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部の斜視図である。
【図8】図8は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部の他の斜視図である。
【図9】図9は、図5中のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図10は、図5中のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図11は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部のコンデンサホルダの平面図である。
【図12】図12は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部のコンデンサホルダの端面を示す正面図である。
【図13】図13は、図12中のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】図14は、図12中のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図15】図15は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部の端面を示す正面図である。
【図16】図16は、図15中のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】図17は、図15中のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】図18は、実施形態に係る自動水栓装置の制御回路部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る水栓装置としての自動水栓装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
図1は、実施形態に係る自動水栓装置を示す斜視図、図2は、実施形態に係る自動水栓装置が設置された状態を説明する側面図、図3は、実施形態に係る自動水栓装置の構成を示すブロック図、図4は、実施形態に係る自動水栓装置を分解して示す斜視図、図5は、実施形態に係る自動水栓装置の吐水部材に電源供給部が取り付けられた状態を示す斜視図、図6は、実施形態に係る自動水栓装置の吐水部材と電源供給部とを分解した状態を示す斜視図、図7は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部の斜視図、図8は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部の他の斜視図、図9は、図5中のIX−IX線に沿う断面図、図10は、図5中のX−X線に沿う断面図、図11は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部のコンデンサホルダの平面図、図12は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部のコンデンサホルダの端面を示す正面図、図13は、図12中のXIII−XIII線に沿う断面図、図14は、図12中のXIV−XIV線に沿う断面図、図15は、実施形態に係る自動水栓装置の電源供給部の端面を示す正面図、図16は、図15中のXVI−XVI線に沿う断面図、図17は、図15中のXVII−XVII線に沿う断面図、図18は、実施形態に係る自動水栓装置の制御回路部の処理を示すフローチャートである。
【0020】
図1、図2に示す本実施形態の水栓装置としての自動水栓装置1は、典型的には、建造物の流し台や洗面台に設置されて、給水源としての上水道2(図3に示す)からの水を、前述した流し台のシンクや洗面台等の水受けとしての鉢3(図2に示す)に向けて吐水(吐出)させるものである。
【0021】
自動水栓装置1は、図1及び図4などに示すように、ケース4と、吐水部5と、制御回路部6(図4に示す)と、弁部7(図4に示す)と、警告用LED8と、電源供給部9(図4、図15に示す)と、を備えている。
【0022】
ケース4は、図1、図2及び図4に示すように、ロアケース10と、アッパケース11と、基端ケース12とを備えている。ロアケース10は、絶縁性の合成樹脂で構成され、底壁13とこの底壁13の両縁から立設した一対の周壁14とを一体に備えて、樋状に形成されている。ロアケース10の図1中手前側に位置する建造物の壁面16から離れた側の端には、前記一対の周壁14間を塞ぐ閉塞壁15が設けられている。ロアケース10の底壁13は、図1中奥側に位置する壁面16寄りの端に向かうにしたがってアッパケース11から離れる方向に徐々に湾曲している。底壁13の図1中手前側に位置する壁面16から離れた側の先端部には、図1などに示すように、センサ用孔17と吐水口用孔18とLED用孔19とが貫通している。なお、本実施形態では、底壁13の壁面16から離れた側の端からセンサ用孔17と吐水口用孔18とLED用孔19とが順に設けられている。
【0023】
アッパケース11は、ステンレス鋼などの金属で構成され、軸心方向に沿って延びた切欠部20が設けられた円筒状に形成されている。切欠部20は、図1中奥側の壁面16寄りの端から、図1中手前側の壁面16から離れた側の先端部に亘って、アッパケース11を切り欠いて形成されている。また、アッパケース11の図1中手前側の壁面16から離れた側の端には、着脱蓋21が着脱自在となっている。着脱蓋21は、円盤状に形成され、アッパケース11の前述した端に取り付けられると、このアッパケース11の端を塞ぐ。本実施形態では、着脱蓋21は、ワイヤ63によりアッパケース11と連結されており、吐水部材23からの完全な分離が防止されている。アッパケース11は、切欠部20を通してロアケース10の周壁14の底壁13から離れた側の端を収容した状態で、ロアケース10などと組み付けられる。
【0024】
基端ケース12は、絶縁性の合成樹脂で構成され、輪状に形成されている。基端ケース12は、互いに組み付けられたロアケース10とアッパケース11を内側に通して、これらのロアケース10とアッパケース11の図1中奥側の基端部の外周に取り付けられる。基端ケース12は、ねじ22などにより壁面16に固定される。
【0025】
吐水部5は、図4に示すように、吐水部材23と、円筒状の吐水口24とを備えている。吐水部材23は、例えば、真鍮などの金属で構成され、ロアケース10内に収容可能な大きさに形成されている。吐水部材23は、ロアケース10内に収容されて、かつ切欠部20を通してアッパケース11内に通される。吐水部材23は、ねじ25などによりロアケース10とアッパケース11に取り付けられる。吐水部材23は、その内部に長手方向に沿って伸びた流路が形成されている。流路は、吐水部材23の図4中奥側に位置する壁面16寄りの端と、吐水部材23の図4中手前側に位置する壁面16から離れた側の先端部のロアケース10の底壁13に相対する底面とに開口している。また、吐水部材23の壁面16寄りの基端部には、流路の内外を連通した弁座26が設けられている。
【0026】
吐水口24は、金属で構成かつ円筒状に形成されている。吐水口24は、流路の図4中手前側に位置する端部の開口と連通する状態で、吐水部材23に取り付けられている。吐水口24と吐水部材23との間には、パッキン27が設けられている。吐水口24は、吐水口用孔18内を通って、底壁13から突出する。吐水口24は、流路と連通した状態で吐水部材23に取り付けられることで、吐水部材23の前述した先端部に設けられている。本実施形態では、吐水口24内に、吐水する水を泡沫させるフィルタ28が設けられている。
【0027】
制御回路部6は、図4に示すように、絶縁性の合成樹脂で構成された回路ケース29と、図示しない印刷配線板とを備えている。回路ケース29は、扁平な箱状に形成されている。回路ケース29は、吐水部材23の図4中手前側の先端部に重ねられて、この吐水部材23に取り付けられる。回路ケース29即ち制御回路部6は、ねじ30などにより吐水部材23に固定される。回路ケース29の両側面には、後述するハーネス54,55,56の被覆電線57,59,61を結わくことのできる結わき部31が設けられている。印刷配線板は、回路ケース29内に収容されているとともに、制御装置としてのマイクロコンピュータ32(図3に示し、以下、μCOMと記す)や、各種の回路部品を実装している。なお、このμCOM32の詳細な説明は、後程行う。また、制御回路部6には、検知センサ33(図3に示す)が取り付けられている。
【0028】
検知センサ33は、図3に示すように、受発光レンズ34と、発光素子としての赤外線発光素子35と、位置検出素子36とを備えている。
【0029】
受発光レンズ34は、透光性を有する合成樹脂で構成され、かつ平板状に形成されている。受発光レンズ34は、制御回路部6の回路ケース29に保持されている。受発光レンズ34は、ロアケース10の底壁13に設けられたセンサ用孔17内に通されて、ロアケース10の底壁13と略面一となる状態で、ロアケース10の下方に露出して設けられている。検知センサ33は、受発光レンズ34がセンサ用孔17内に通されて、ロアケース10の底壁13と略面一となる状態で、ロアケース10の下方に露出して設けられていることで、吐水部材23の壁面16から離れた側の先端部に取り付けられている。
【0030】
赤外線発光素子35と位置検出素子36は、回路ケース29内に収容されているとともに、印刷配線板に実装されている。赤外線発光素子35と位置検出素子36は、受発光レンズ34と重なる位置に設けられている。赤外線発光素子35と位置検出素子36は、制御回路部6の回路ケース29の幅方向に互いに間隔をあけて並べられている(並設されている)。
【0031】
赤外線発光素子35は、受発光レンズ34を通して、人体の手37(図2に示す)などの検知物や相対検知物としての鉢3の底面3a(図2に示す)に向かって赤外線などを発光する。位置検出素子36は、周知のPSD(Position Sensitive Detector)であって、人体の手37などの検知物や鉢3の底面3aから反射された反射光を受光する。位置検出素子36は、人体の手37などの検知物や鉢3の底面3aから反射された反射光を受光すると、μCOM32に向かって信号を出力する。位置検出素子36は、人体の手37などの検知物や鉢3の底面3aから反射された反射光を受光する位置が、検知物や鉢3の底面3aとの距離が異なると変化する。位置検出素子36は、反射光を受光した位置が変化すると、μCOM32に向かって出力する信号の電流値や電圧値(値に相当する)が変化する。
【0032】
このように、位置検出素子36は、検知物や鉢3の底面3aとの距離が異なると、反射光を受光する位置が変化し、受光した位置が変化するとμCOM32に向かって出力する信号の電流値や電圧値が変化することで、検知物や鉢3の底面3aまでの距離に応じて電流値や電圧値などの値が変化する信号をμCOM32に向かって出力する。こうして、検知センサ33は、赤外線発光素子35及び位置検出素子36からの検知物や鉢3の底面3aまでの距離に応じて電流値や電圧値が変化する信号を出力する。なお、本実施形態では、検知センサ33の赤外線発光素子35及び位置検出素子36と検知物や鉢3の底面3aとの間の距離が長くなるのにしたがって、位置検出素子36が出力する信号の電圧値が徐々に低くなるようになっている。検知センサ33は、赤外線発光素子35が検知物などに向かって発光し、位置検出素子36が検知物からの反射光を受光して、前述した信号を出力することで、吐水部材23の先端部から予め定められた所定の距離内に検知物が近づいたか否かを検出する。
【0033】
弁部7は、図4に示すように、弁体38と、弁プレート39と、弁としての電磁弁40とを備えている。弁体38は、吐水部材23の前述した弁座26内に収容されて、流路を遮断・開放することが可能に移動自在に設けられている。また、弁体38は、弁プレート39との間に設けられるコイルばね41により流路を遮断する方向に常に付勢されている。弁プレート39は、絶縁性の合成樹脂で構成され、厚手の平板状に形成されている。弁プレート39は、弁座26を塞いだ状態で、吐水部材23の基端部に重ねられて、この吐水部材23にねじ42により固定される。
【0034】
電磁弁40は、弁プレート39に取り付けられる本体部43と、弁体38に連結されたプランジャ44とを備えている。電磁弁40の本体部43は、ねじ42により弁プレート39及び吐水部材23に固定される。電磁弁40は、電流などが流されると、コイルばね41の付勢力に抗して、弁体38を移動させて、流路を開放する。電磁弁40は、μCOM32を介して電流が流されることで、吐水部材23内の流路を開放し、μCOM32を介して電流が流されないことで、吐水部材23内の流路を遮断する。こうして、電磁弁40は、μCOM32を介して電流が流されるか否か即ちμCOM32からの命令により作動状態が変化されて(開閉されて)、吐水部材23内の流路の開閉即ち吐水口24を通して流される水の吐水と止水とを変更する。
【0035】
警告用LED8は、ロアケース10とアッパケース11の内側に収容されるとともに、ロアケース10のLED用孔19内に通されて、ロアケース10外に露出した状態に設けられる。警告用LED8は、μCOM32を介して電流が流されることで点灯し、μCOM32を介して電流が流されないことで消灯する。こうして、電磁弁40は、μCOM32を介して電流が流されるか否か即ちμCOM32からの命令により作動状態が変化されて、点灯と消灯とが変更される。
【0036】
電源供給部9は、電磁弁40を開閉するための電力をこの電磁弁40に制御回路部6を介して供給するものであって、図4、図15、図16及び図17に示すように、収容ケース45と、電池ホルダ46と、電池47と、蓄電部材としてのコンデンサ65(図10に示す)と、コンデンサホルダ48(図8、図11に示す)と、ハーネスとしての第1ハーネス54とを備えている。
【0037】
収容ケース45は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。収容ケース45は、図7及び図8に示すように、ケース本体49と、ケース本体49から立設した複数の位置付け壁50と、仕切り壁51とを一体に備えている。ケース本体49は、両端に開口部49a(収容ケース45の開口部に相当する)を設けた扁平な筒状に形成され、図4中手前側に電池ホルダ46即ち電池47を収容し、図4中奥側にコンデンサホルダ48即ちコンデンサ65を収容する。ケース本体49即ち収容ケース45は、吐水部材23とこの吐水部材23に取り付けられた制御回路部6との双方に重ねられて、ねじ64などにより吐水部材23に固定される。なお、ケース本体49即ち収容ケース45は、弁部7の弁プレート39には重ねられない。
【0038】
位置付け壁50は、本実施形態では、二つ設けられている。位置付け壁50は、図7及び図8に示すように、収容ケース45のケース本体49の吐水部材23の先端部寄りの箇所に設けられている。位置付け壁50は、収容ケース45のケース本体49の外縁から吐水部材23に向かって立設して、吐水部材23及び収容ケース45のケース本体49の長手方向に沿って直線状に伸びている。二つの位置付け壁50は、収容ケース45が吐水部材23に取り付けられると、図9に示すように、吐水部材23、収容ケース45の幅方向に沿って互いの間に制御回路部6を位置付ける。
【0039】
仕切り壁51は、本実施形態では、五つ設けられている。位置付け壁50は、図7及び図8に示すように、収容ケース45のケース本体49の吐水部材23の基端部寄りの箇所に設けられている。仕切り壁51は、収容ケース45のケース本体49の吐水部材23に相対する底面から吐水部材23に向かって立設している。これら五つの仕切り壁51のうちの一つの仕切り壁51は、収容ケース45のケース本体49の幅方向の中央から吐水部材23に向かって立設して、吐水部材23及び収容ケース45のケース本体49の長手方向に沿って直線状に伸びている。残りの四つの仕切り壁51は、ケース本体49の幅方向の中央に設けられた一つの仕切り壁51の長手方向の両端部からケース本体49の幅方向の外縁に向かって直線状に伸びている。これら複数の仕切り壁51と、ケース本体49の底面とで囲まれた空間は、図10に示すように、後述するハーネス54,55のコネクタ58,60を収容する収容部52を形成している。本実施形態では、収容部52が、収容ケース45のケース本体49に二つ設けられており、それぞれの収容部52がコネクタ58,60を一つ収容する。
【0040】
電池ホルダ46は、電池47を保持する。電池ホルダ46は、ケース本体49内に出し入れ自在となっている。電池ホルダ46は、ケース本体49内に出し入れ自在となっていることで、電池47をケース本体49内即ち収容ケース45内に出し入れする。本実施形態では、電池47として、単3形の電池47が2本設けられているとともに、電池ホルダ46は、ねじ53により収容ケース45のケース本体49に固定される。
【0041】
コンデンサホルダ48は、電池47の電力を蓄えるコンデンサ65を保持する。コンデンサホルダ48は、ケース本体49内に出し入れ自在となっている。コンデンサホルダ48は、ケース本体49内に出し入れ自在となっていることで、コンデンサ65をケース本体49内即ち収容ケース45内に出し入れする。
【0042】
コンデンサホルダ48は、絶縁性の合成樹脂で構成され、図11に示すように、樋状に形成されかつ収容ケース45内に収容されるホルダ本体66と、ホルダ本体66の収容ケース45の奥側の端部に設けられた係止爪67と、ホルダ本体66の収容ケース45の奥側の端部に設けられた基板保持部68と、蓋部材をなす蓋部69と、この蓋部69に設けられた固定部70とを一体に備えている。
【0043】
ホルダ本体66は、その内側にコンデンサ65を収容する。係止爪67は、ホルダ本体66の外周方向に突出して、収容ケース45の内面に係止する爪部71を備えている。係止爪67は、爪部71が収容ケース45の内周面に係止することで、ホルダ本体66即ちコンデンサホルダ48を収容ケース45に固定する。基板保持部68は、ホルダ本体66の内面から凸の凸部72に設けられた凹溝73に接続用基板74の外縁を挿入することで、この接続用基板74を保持する。接続用基板74は、絶縁性の基板とこの基板の表面に形成された導体パターンとを備えた周知の印刷配線板であって、電池47とコンデンサ65とに接続するとともに、第1ハーネス54を後述する被覆電線57が接続される。
【0044】
蓋部69は、平板状に形成され、かつ、係止爪67の爪部71が収容ケース45の内周面に係止して、コンデンサホルダ48が収容ケース45のケース本体49内に収容された際に、ケース本体49の吐水部材23の基端部側の開口部49aを塞ぐように、図12、図13及び図14に示すように、ホルダ本体66の吐水部材23の基端部側に連なっている。蓋部69は、コンデンサホルダ48が収容ケース45のケース本体49内に収容されて取り付けられると、ケース本体49の吐水部材23の基端部側の開口部49aを後述する電線通し溝75即ち第1ハーネス54の被覆電線57を通すスペースを除いて開口部49aの大部分を塞ぐ。このように、第1ハーネス54の被覆電線57を通すスペースを除いて開口部49aの大部分を塞ぐことを、本発明では、蓋部69が開口部49aを塞ぐという。
【0045】
蓋部69は、図12、図13及び図14に示すように、環状部78と、筒状突出部79と、塞ぎ部80と、固定部70とを一体に備えている。環状部78は、環状に形成され、かつ外縁78a(蓋部69の外縁に相当)の一部がホルダ本体66の吐水部材23の基端部側の端に連なっている。また、環状部78の外縁78aのホルダ本体66の吐水部材23の端に連なっていない部分は、図12及び図13に示すように、コンデンサホルダ48が収容ケース45のケース本体49内に収容されると、この収容ケース45のケース本体49の内周面に重なる。なお、環状部78の外縁78aのホルダ本体66の吐水部材23の端に連なっていない部分には、図12及び図13に示すように、内側に第1ハーネス54の被覆電線57を通す電線通し溝75が設けられている。電線通し溝75は、環状部78を外縁78aから凹に切り欠いている。電線通し溝75は、内側に被覆電線57を通すことで、蓋部69の環状部78の外縁78aと収容ケース45のケース本体49の内周面との間に、被覆電線57を通す。
【0046】
筒状突出部79は、筒状に形成され、かつ環状部78の内縁から収容ケース45のケース本体49の長手方向に沿って収容ケース45の外側に立設している。塞ぎ部80は、平板状に形成されているとともに、外縁が筒状突出部79の環状部78から離れた側の端に連なって、この筒状突出部79の環状部78から離れた側の端を塞ぐ。
【0047】
固定部70は、塞ぎ部80の外面の外縁部に一体に設けられているとともに、枠状に形成されている。固定部70は、内側に第1ハーネス54の被覆電線57の外周に巻きつけられる結束部材としての結束バンド76が通されることで、第1ハーネス54の被覆電線57を蓋部69即ちコンデンサホルダ48に固定する。固定部70は、内側に第1ハーネス54の被覆電線57の外周に巻きつけられる結束部材としての結束バンド76が通されることで、第1ハーネス54を蓋部69の外面に固定する。
【0048】
前述したコンデンサホルダ48は、コンデンサ65が接続された接続用基板74を基板保持部68で保持して、ホルダ本体66内にコンデンサ65を収容する。このとき、蓋部69の塞ぎ部80は、コンデンサ65の頭部の端面と間隔をあけて相対する。
【0049】
第1ハーネス54は、接続用基板74即ち電池47及びコンデンサ65と、制御回路部6の印刷配線板即ちμCOM32とを電気的に接続して、電池47及びコンデンサ65の電力を制御回路部6即ちμCOM32等に供給する。第1ハーネス54は、複数の被覆電線57(勿論、電線に相当)と、互いに嵌合する一対のコネクタ58とを備えている。本実施形態では、第1ハーネス54は、被覆電線57を6本備えている。6本の被覆電線57のうちの3本の被覆電線57の一端が制御回路部6の印刷配線板に接続し、他端にコネクタ58が取り付けられている。残りの3本の被覆電線57の一端が接続用基板74の導体パターンに接続して、電池47及びコンデンサ65に接続し、他端にコネクタ58が取り付けられている。第1ハーネス54の一端が接続用基板74の導体パターンに接続した3本の被覆電線57は、電線通し溝75内に通されて、収容ケース45の開口部49aの内周面と蓋部69の環状部78の外縁78aとの間を通して、収容ケース45外に導き出される。第1ハーネス54は、コネクタ58が互いに嵌合することにより、接続用基板74即ち電池47及びコンデンサ65と、制御回路部6の印刷配線板即ちμCOM32とを電気的に接続する。
【0050】
また、第1ハーネス54の一端が制御回路部6の印刷配線板に接続された3本の被覆電線57は、結わき部31に結わかれるとともに、図9に示すように、二つの位置付け壁のうちの一方と制御回路部6の回路ケース29との間に通される(位置付けられる)。また、第1ハーネス54の互いに嵌合したコネクタ58は、被覆電線57の他端に設けられていることで、第1ハーネス54の中央部に設けられている。第1ハーネス54の互いに嵌合したコネクタ58は、電源供給部9が吐水部材23に固定されると、この吐水部材23上に重ねられるとともに、図10に示すように、二つの収容部52のうちの一方の収容部52内に収容されている。
【0051】
また、電源供給部9は、蓋部69の筒状突出部79の外面と収容ケース45のケース本体49の開口部49aの内周面との間に、図15、図16及び図17に示すように、全周に亘ってシール部材77が充填されている。シール部材77は、蓋部69の筒状突出部79の外面と収容ケース45のケース本体49の開口部49aの内周面と被覆電線57との間を水密に保って、これらの間から収容ケース45のケース本体49内に水などの液体が浸入することを規制する。
【0052】
電源供給部9は、電池47を保持した電池ホルダ46とコンデンサ65を保持したコンデンサホルダ48を収容ケース45のケース本体49内に収容して、電池47とコンデンサ65を収容ケース45のケース本体49に固定する。電源供給部9は、第1ハーネス54などを介して、電池47からの電力を直ちにμCOM32、検知センサ33の赤外線発光素子35、電磁弁40などに供給する。また、電源供給部9は、電池47が蓄えている電力により電磁弁40などを駆動できなくなると、コンデンサ65に蓄えた電力を制御回路部6などに供給する。
【0053】
μCOM32は、電源としての電池47やコンデンサ65に蓄えられた電力により駆動する。μCOM32は、制御回路部6の回路ケース29内に収容された印刷配線板に実装されているとともに、図示しないRAM、ROM、CPU、入出力ポート及び記憶装置を備えた演算装置である。μCOM32の入力ポートには、少なくとも検知センサ33の位置検出素子36と電源供給部9の電池47やコンデンサ65が接続している。μCOM32の出力ポートには、少なくとも電磁弁40と検知センサ33の赤外線発光素子35と警告用LED8が接続している。μCOM32は、検知センサ33が検出した吐水部材23の先端部に手37などの検知物が近付いたことを示す信号に基づいて、自動水栓装置1全体の制御をつかさどる。
【0054】
μCOM32は、電源としての電池47などから電力が供給されると、図18に一例が示されるフローチャートを実行する。
【0055】
ステップS1では、μCOM32は、電池47の電圧値が予め定められた設定値以下であるか否かを判定して、設定値以下であると判定するとステップS2に進み、設定値以下ではないと判定するとステップS4に進む。設定値とは、電池47の電力により、電磁弁40を駆動して流路を開放できなくなる電圧値をいう。ステップS2では、検知センサ33が吐水部材23の先端部から予め定められた所定の距離内に検知物が近づいていることを検出しているか否かを判定し、検出していない場合にはステップS2を繰り返し、検出している場合にはステップS3に進む。こうして、ステップS2では、検知センサ33が吐水部材23の先端部から予め定められた所定の距離内に検知物が近づいていることを検出するまで繰り返すこととなる。ステップS3では、μCOM32は、警告用LED8を点滅させる。このように、μCOM32は、ステップS1からステップS3に進むことにより、電池47の電圧値が設定値以下となると即ち電池47の電力により電磁弁40を駆動できなくなると、検知センサ33が吐水部材23の先端部から予め定められた所定の距離内に検知物が近づいていることを検出しても、電磁弁40を駆動せずに即ち吐水口24から水を吐水させずに、警告用LED8を点滅させて、使用者に電池47の交換を促す。
【0056】
ステップS4では、μCOM32は、検知センサ33の赤外線発光素子35を第1所定時間間隔毎発光させる。そして、ステップS4では、μCOM32は、検知センサ33が吐水部材23の先端部から予め定められた所定の距離内に検知物が近づいていることを検出すると、電磁弁40に流路を開放させて、吐水口24から水を吐水させるとともに、赤外線発光素子35を第1所定時間間隔よりも短い第2所定時間間隔毎発光させる。また、ステップS4では、μCOM32は、検知センサ33が吐水部材23の先端部から予め定められた所定の距離内に検知物が近づいていることを検出しなくなると、電磁弁40に流路を遮断させて、吐水口24から水を止水させるとともに、赤外線発光素子35を発光させる第1所定時間間隔毎に発光させる。
【0057】
さらに、ステップS4では、μCOM32は、検知センサ33が吐水部材23の先端部から予め定められた所定の距離内に検知物が近づいていることを検出していない状態では、電磁弁40に流路を遮断させて、吐水口24から水を止水した状態を維持するとともに、赤外線発光素子35を発光させる第1所定時間間隔毎に発光させる状態を維持する。こうして、ステップS4では、μCOM32は、検知物の検知動作を行なって、ステップS1に戻る。このように、μCOM32は、検知物の検知動作を行なう前に、電池47の電圧値が設定値以下であるか否かを判定し、以下であると検知センサ33が検知物を検出すると吐水せずに警告用LED8を点滅させ、以下ではないと判定すると、検知物の検知動作を行ない、吐水部材23の先端部から所定の距離内に検知物が位置すると、吐水口24から吐水する。
【0058】
また、前述した自動水栓装置1は、図5及び図6に示すように、第2ハーネス55(図5及び図6に示す)とを備えている。第3ハーネス56(図5及び図6に示す)とを備えている。
【0059】
第2ハーネス55は、制御回路部6の印刷配線板即ちμCOM32と電磁弁40の本体部43とを電気的に接続して、制御回路部6を介して電池47及びコンデンサ65の電力を電磁弁40に供給する。第2ハーネス55は、複数の被覆電線59(勿論、電線に相当)と、互いに嵌合する一対のコネクタ60とを備えている。本実施形態では、第2ハーネス55は、被覆電線59を4本備えている。4本の被覆電線59のうちの2本の被覆電線59の一端が制御回路部6の印刷配線板に接続し、他端にコネクタ60が取り付けられている。残りの2本の被覆電線59の一端が電磁弁40の本体部43に接続し、他端にコネクタ60が取り付けられている。第2ハーネス55は、コネクタ60が互いに嵌合することにより、制御回路部6の印刷配線板即ちμCOM32と電磁弁40の本体部43とを電気的に接続する。
【0060】
また、第2ハーネス55の一端が制御回路部6の印刷配線板に接続された2本の被覆電線59は、結わき部31に結わかれるとともに、図9に示すように、二つの位置付け壁のうちの他方と制御回路部6の回路ケース29との間に通される(位置付けられる)。また、第2ハーネス55の互いに嵌合したコネクタ60は、被覆電線59の他端に設けられていることで、第2ハーネス55の中央部に設けられている。第2ハーネス55の互いに嵌合したコネクタ60は、電源供給部9が吐水部材23に固定されると、この吐水部材23上に重ねられるとともに、図10に示すように、二つの収容部52のうちの他方の収容部52内に収容されている。
【0061】
第3ハーネス56は、制御回路部6の印刷配線板即ちμCOM32と警告用LED8とを電気的に接続して、制御回路部6を介して電池47の電力を警告用LED8に供給する。第3ハーネス56は、複数の被覆電線61(勿論、電線に相当)を備えている。本実施形態では、第3ハーネス56は、被覆電線61を2本備えている。2本の被覆電線61の一端が制御回路部6の印刷配線板に接続し、他端が警告用LED8に接続している。第3ハーネス56の2本の被覆電線61は、結わき部31に結わかれるとともに、図9に示すように、二つの位置付け壁50のうちの他方と制御回路部6の回路ケース29との間に通される(位置付けられる)。
【0062】
前述した構成の自動水栓装置1は、以下のように、組み立てられる。予め、第1ハーネス54の被覆電線57の一端を接続用基板74に取り付け、収容ケース45に電池ホルダ46とコンデンサ65及び接続用基板74を保持したコンデンサホルダ48とを取り付けて電源供給部9を組み立てる。勿論、シール部材77を蓋部69の筒状突出部79の外面と、収容ケース45のケース本体49の開口部49aの内周面との間に充填しておく。印刷配線板にμCOM32、赤外線発光素子35、位置検出素子36や各種の回路部品を実装して、受発光レンズ34が取り付けられた回路ケース29内に収容して、制御回路部6及び検知センサ33を組み立てる。ハーネス54,55,56の被覆電線57,59,61の一端を制御回路部6に取り付け、第2ハーネス55の被覆電線59の一端を電源供給部9の電磁弁40の本体部43に取り付け、第1及び第2ハーネス54,55の被覆電線57,59の他端にコネクタ58,60を取り付け、第3ハーネス56の被覆電線61の他端に警告用LED8を取り付けておく。さらに、吐水部材23に吐水口24、パッキン27及びフィルタ28を取り付けておく。
【0063】
そして、吐水部材23の弁座26に弁体38を挿入し、吐水部材23に制御回路部6と弁プレート39とを吐水部材23に固定し、弁体38に電磁弁40のプランジャ44を取り付け、弁プレート39に電磁弁40の本体部43を固定する。ハーネス54,55,56の所定の被覆電線57,59,61を結わき部31に結わいた後、図6に示すように、第1ハーネス54のコネクタ58を互いに嵌合するとともに、第2ハーネス55のコネクタ60を互いに嵌合する。そして、位置付け壁50と制御回路部6の回路ケース29との間に被覆電線57,59,61を通し(位置付け)、コネクタ58,60を収容部52内に収容するように、電源供給部9を吐水部材23に重ねて、図5に示すように、この電源供給部9の収容ケース45を吐水部材23に固定する。
【0064】
そして、検知センサ33をセンサ用孔17内に通し、吐水口24を吐水口用孔18内に通すとともに、警告用LED8をLED用孔19内に通して、吐水部材23などをロアケース10内に収容して、吐水部材23をロアケース10に固定する。そして、切欠部20などを通して、電源供給部9の収容ケース45がアッパケース11内に徐々に侵入するように、アッパケース11のその長手方向に沿ってスライドさせながらロアケース10に近づける。そして、アッパケース11内に電源供給部9、弁部7などが完全にアッパケース11内に収容されると、このアッパケース11を吐水部材23に固定する。そして、着脱蓋21をアッパケース11などに取り付ける。さらに、基端ケース12内にアッパケース11及びロアケース10を通して、基端ケース12をアッパケース11及びロアケース10の基端部の外周に取り付ける。
【0065】
こうして組み立てられた自動水栓装置1は、吐水部材23の基端部が建造物の壁面16に取り付けられ、吐水部材23の流路が配管62に連結されて、吐水口24及び検知センサ33が壁面16に設置された水受けとしての鉢3の底面3aに相対して、この鉢3の上方に設置される。そして、自動水栓装置1は、電池ホルダ46に電池47が取り付けられて、μCOM32が直ちに駆動して図18に示されたフローチャートを実行する。なお、自動水栓装置1は、その長手方向が壁面16に対して略直交しかつ水平方向と平行に設けられて、壁面16から鉢3の中央の上方に向かって延びている。なお、前述した配管62は、一端が給水源としての上水道2に接続しているとともに、建造物の壁面16内に通されて、他端が吐水部材23に接続して、吐水部材23内の流路と連通している。配管62は、上水道2からの水を吐水口24に導く。
【0066】
前述した構成の自動水栓装置1は、先端部に設けられた検知センサ33から所定の距離内に検知物が位置すると、μCOM32が電磁弁40を開いて、吐水口24から水を連続して吐水する。
【0067】
前述した構成の自動水栓装置1は、収容ケース45の内周面と蓋部69の環状部78の外縁78aとの間を通して第1ハーネス54が収容ケース45外に導かれるので、コンデンサ65の頭部の端面と蓋部69や収容ケース45の内面などとの間に第1ハーネス54が位置付けられない。このため、コンデンサ65の頭部の端面と蓋部69や収容ケース45の内面などとの間をコンデンサ65の防爆スペースとして使用することができる。よって、コンデンサ65の頭部の端面と蓋部69や収容ケース45の内面などとを必要以上に離す必要がなくなるので、大型化することなく、コンデンサ65の防爆スペースを確保することができる。
【0068】
また、自動水栓装置1は、蓋部69が外縁78aを含む環状の環状部78と、環状部78の内縁から外側に立設した筒状突出部79と、筒状突出部79の内縁を塞ぐ塞ぎ部80とを備えているので、塞ぎ部80を、確実にコンデンサ65の頭部の端面などから離間させることができる。このために、塞ぎ部80と筒状突出部79とで囲まれる空間をコンデンサ65の防爆スペースとして用いることができる。よって、確実に大型化することなく、コンデンサ65の防爆スペースを確実に確保することができる。
【0069】
さらに、自動水栓装置1は、収容ケース45の内周面と筒状突出部79の外面との間にシール部材77が充填されているので、コンデンサ65の防爆スペースを確実に確保することができながらも収容ケース45内に水が浸入することを防止できる。また、シール部材77を筒状突出部79の外面上に充填できるので、シール部材77が、収容ケース45と蓋部69との間を確実に水密に保つことができる。
【0070】
自動水栓装置1は、蓋部69に第1ハーネス54を固定する固定部70を設けているので、第1ハーネス54が引っ張られても、この第1ハーネス54に作用する張力を固定部70で支えることとなって、第1ハーネス54とコンデンサ65などとの接続箇所に前述した張力が作用することを防止できる。よって、第1ハーネス54は、コンデンサ65などに蓄えられた電力を確実に外部に導き出すことができる。
【0071】
なお、上述した本発明の実施形態に係る自動水栓装置1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。即ち、自動水栓装置1は、電池47からの電力が供給されると、μCOM32が、前記所定の距離を適宜設定するようにしても良い。
【0072】
また、本発明は、必ずしも、吐水部材23の先端部に制御回路部6、検知センサ33や吐水口24を設けなくても良く、吐水部材23の基端部に電磁弁40を設けなくても良い。即ち、本発明は、検知センサ33が検知物を検出すると吐水する自動水栓装置1に限定されるものではない。さらに、本発明では、蓋部材としての蓋部69をコンデンサホルダ48に一体に設けなくても良い。また、本発明では、接続用基板74を、蓋部69に重なる位置に設けても良い。
【産業上の利用の可能性】
【0073】
以上のように、本発明は、自動水栓装置などの人体の一部などの検知物が近づくと自動的に吐水する自動水栓装置に有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 自動水栓装置(水栓装置)
9 電源供給部
40 電磁弁(弁)
45 収容ケース
49a 開口部
54 第1ハーネス(ハーネス)
65 コンデンサ(蓄電部材)
69 蓋部(蓋部材)
70 固定部
77 シール部材
78 環状部
78a 外縁
79 筒状突出部
80 塞ぎ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁に電力を供給する電源供給部を備えた水栓装置において、
前記電源供給部が、
蓄電部材としてのコンデンサと、
前記コンデンサを収容する筒状の収容ケースと、
前記収容ケースに取り付けられ、かつ前記収容ケースに取り付けられるとこの収容ケースの開口部を塞ぐ平板状の蓋部材と、
前記コンデンサに接続され、かつ前記収容ケースの内周面と前記蓋部材の外縁との間を通して、前記収容ケース外に導き出されるハーネスと、を備えた、
ことを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記蓋部材が、
前記外縁を含みかつ前記収容ケースの内周面に重ねられる環状の環状部と、
前記外縁部の内縁から前記収容ケースの外側に立設した筒状の筒状突出部と、
前記筒状突出部の前記環状部から離れた側の端を塞ぐ板状の塞ぎ部と、を備えた、
ことを特徴とする請求項1記載の水栓装置。
【請求項3】
前記収容ケースの内周面と前記筒状突出部の外面との間に全周に亘って充填され、かつ、前記収容ケースの内周面と前記筒状突出部の外面との間を液密に保つシール部材を備えた、
ことを特徴とする請求項2記載の水栓装置。
【請求項4】
前記ハーネスを前記蓋部材の外面に固定する固定部を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−14886(P2013−14886A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146690(P2011−146690)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】