水栓設備における吐水装置
【課題】快適なシャワー吐水とストレート吐水とを実現することのできる水栓設備における吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水装置28をシャワー吐水部34と、ストレート吐水部36とを含んで構成し、そしてストレート吐水時においてはシャワー吐水部34の下流側にストレート吐水部36を位置させて、シャワー吐水部34によるシャワー流をストレート吐水部36によりストレート流に変換して吐水する。またシャワー吐水時においてはシャワー吐水部34をストレート吐水部36の下流側に位置させて、ストレート吐水部36を通過してシャワー吐水部34に到った水を各シャワー孔52からシャワー流として吐水する。
【解決手段】吐水装置28をシャワー吐水部34と、ストレート吐水部36とを含んで構成し、そしてストレート吐水時においてはシャワー吐水部34の下流側にストレート吐水部36を位置させて、シャワー吐水部34によるシャワー流をストレート吐水部36によりストレート流に変換して吐水する。またシャワー吐水時においてはシャワー吐水部34をストレート吐水部36の下流側に位置させて、ストレート吐水部36を通過してシャワー吐水部34に到った水を各シャワー孔52からシャワー流として吐水する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水栓設備における吐水装置に関し、詳しくはシャワー吐水とストレート吐水との切換機構に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓設備における吐水装置は、通例シャワー吐水と1束のストレート流でのストレート吐水とを切換可能となしてある。
そのために従来の吐水装置ではシャワー吐水口とストレート吐水口とを別々の位置に配置、詳しくはストレート吐水口を中心部に、シャワー吐水口をストレート吐水口を取り囲むようにその外周側に配置した上、切換手段によってシャワー吐水口からのシャワー吐水とストレート吐水口からのストレート吐水とを切り換えるようにしている。
この場合の切換手段は、シャワー吐水口への吐水路とストレート吐水口への吐水路との一方を閉鎖して他方を開放、または一方を開放して他方を閉鎖するといったものである。
【0003】
図14及び図15はこのような切換手段を備えた従来の吐水装置の例を示したものである(下記特許文献1)。
図14において、200は水栓設備における吐水ヘッド202に設けられた吐水装置で、204は散水部材206の中心部に設けられたストレート吐水口、208はそのストレート吐水口204を取り囲むように外周側に設けられた、小孔の多数のシャワー孔208aから成るシャワー吐水口である。
【0004】
210,212はストレート吐水口204,シャワー吐水口208への吐水路で互いに独立に形成されている。また214,216(図15参照)は、それら吐水路210,212に連通して設けられた連通開口である。
これら連通開口214,216は、弁プレート218を貫通する形態で設けられている。
220は吐水路210,212の切換えを行う弁体で、アーム222,軸224を介してシーソー式のスイッチ操作部226に作動的に連結されている。
【0005】
これら図14,図15に示す吐水装置200の場合、スイッチ操作部226の正面(図14中右側)から見て左端部を押動操作すると、弁体220が軸224,アーム222と一体に回動して、図15(A)に示しているように一方の連通開口214を閉鎖、他方の連通開口216を開放状態とする。即ちストレート吐水口204に到る吐水路210を閉鎖、シャワー吐水口208に到る吐水路212を開放状態とする。
ここにおいて給水はシャワー吐水口208へと導かれて、そこから外部にシャワー吐水される。
【0006】
一方スイッチ操作部226の右端部を押動操作すると、今度は弁体220が図15(B)に示しているように一方の連通開口214を開放、他方の連通開口216を閉鎖した状態となる。即ちストレート吐水口204に到る吐水路210を開放、シャワー吐水口208に到る吐水路212を閉鎖した状態となる。
ここにおいて給水はストレート吐水口204に導かれて、そこから外部に1束のストレート流でストレート吐水される。
【0007】
しかしながらここに示す吐水装置200の場合、ストレート吐水口204,シャワー吐水口208が別々に設けてあることから、それらストレート吐水口204,シャワー吐水口208それぞれによる吐水面積が狭くならざるを得ず、これに伴ってシャワー孔208aの孔数が制限されたり、またストレート吐水口204の口径が狭く制限されたりし、快適なシャワー吐水,ストレート吐水の実現が困難である問題がある。
【0008】
尚、本発明に対する先行技術として他に下記特許文献2に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−11916号公報
【特許文献2】特開平9−4001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような事情を背景とし、快適なシャワー吐水とストレート吐水とを実現することのできる水栓設備における吐水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、(イ)各孔ごとに独立した細流を吐射する多数のシャワー孔を分散配置して成り、通過水をシャワー流として流出させるシャワー吐水部と、(ロ)多数の水の通孔を分散配置して成り、通過水を一束のストレート流として流出させるストレート吐水部と、を有しており、ストレート吐水時において、前記シャワー吐水部の下流側に前記ストレート吐水部を位置させて、該シャワー吐水部によるシャワー流を該ストレート吐水部によりストレート流に変換して吐水するようになしてあるとともに、シャワー吐水時において、前記シャワー吐水部からのシャワー流を前記ストレート吐水部でストレート流に変換することなくそのままシャワー吐水するようになしてあり、前記シャワー吐水部とストレート吐水部とは、ストレート吐水時及びシャワー吐水時の何れにおいても吐水方向に重複した状態に配置してあって、シャワー吐水時においては前記シャワー吐水部を前記ストレート吐水部に対して下流側に、ストレート吐水時においては該ストレート吐水部を該シャワー吐水部に対して下流側に位置させるように成してあり、且つ該ストレート吐水部は、該シャワー吐水部からのシャワー流を自身に当てて前記通孔の通過時に合流させ、一束のストレート流として吐水するものとなしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記ストレート吐水部がメッシュ状部材から成っていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0013】
以上のような本発明によれば、シャワー吐水部からのシャワー流をストレート吐水部でストレート流に変換して吐水し、またシャワー吐水時においてはシャワー吐水部からのシャワー流をそのまま吐水することから、ストレート吐水及びシャワー吐水の際の吐水面積を広く確保することができ、快適なストレート吐水及びシャワー吐水を実現することができる。
【0014】
ここでそのストレート吐水部はメッシュ状部材にて構成しておくことができる(請求項2)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の吐水装置を水栓設備及び流し台とともに示す図である。
【図2】同実施形態の吐水装置を示す図である。
【図3】同実施形態の吐水装置の吐水切換えの際の作用図である。
【図4】同実施形態におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを示す図である。
【図5】参考例を示す図である。
【図6】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図7】更に他の参考例を示す図である。
【図8】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図9】更に他の参考例を示す図である。
【図10】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図11】更に他の参考例を示す図である。
【図12】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図13】更に他の参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図14】従来の吐水装置の一例を示した図である。
【図15】図14の吐水装置の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を参考例とともに図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において、10はキッチンの流し台、12はシンク、14はキャビネット、16はカウンタで、このカウンタ16上にキッチン水栓(水栓設備)18が設置されている。
この例において、キッチン水栓18はシングルレバー式の混合水栓で、20は水栓本体であり、その上部に操作レバー22が左右及び上下方向に回動可能に設けられている。
水栓本体20からは吐水管24がシンク12上方に向けて前方に延び出しており、その先端部の吐水ヘッド26に吐水装置28が設けられている。
【0017】
図2に本実施形態の吐水装置28の具体的な構成が示してある。
同図に示しているように、吐水装置28は継手本体30と、円筒状をなす筒部材32と、メッシュ状部材からなるストレート吐水部36及びプレート状部材からなるシャワー吐水部34を組んで成る吐水部ユニット38とを主要素として有している。
継手本体30の上端部外周面には雄ねじが形成されており、この雄ねじにおいてかかる継手本体30が、吐水ヘッド26の吐水口用の開口部40内周面の雌ねじに螺合され、取り付けられている。
【0018】
ここで継手本体30と吐水ヘッド26の中心孔42との間は、環状の弾性を有するシール部材44にて水密にシールされている。
尚、継手本体30の下端部外周面と筒部材32との間もまた環状の弾性を有するシール部材46にて水密にシールされている。
また継手本体30には、その上流部と下流部とを連通させる連通孔60が図中上下方向に設けられている。
【0019】
筒部材32は継手本体30の外周面に嵌合されており、その嵌合状態で止めねじ48(図4参照)にて継手本体30に抜止状態に固定されている。
【0020】
上記吐水部ユニット38におけるストレート吐水部36とシャワー吐水部34とは、吐水方向に重複した状態で互いに組み付けられている。
このメッシュ状部材から成るストレート吐水部36は、その網目が水を通過させる通孔50(図2(A)中部分拡大図参照)とされている。
一方シャワー吐水部34は、各孔ごとに独立した細流を吐射する多数のシャワー孔52を有しており、それらが分散配置されている(図2(B)参照)。
このシャワー吐水部34は通過水をシャワー状に流出させるもので、ここではシャワー流が吐水方向の軸心に対して外向きに広がった方向に流出される。
【0021】
この吐水部ユニット38からは横向き、即ち吐水方向と直角方向に軸54が延び出している。
この軸54は筒部材32を貫通して外部に突き出しており、その突き出した外部に操作つまみ56が固定具(ここではナット)58により一体回転状態に固定してある。
この例では、これら軸54,操作つまみ56,固定具58等により切換手段が構成されている。
【0022】
この例の吐水装置28では、この操作つまみ56を回転操作することによって、図3(I)〜(III)に示しているように吐水部ユニット38を吐水方向と直角方向の軸心周りに180°回転移動させる(図3(I)〜(III)は何れも軸54方向から見た図である)。
そして吐水部ユニット38を180°回転させることで、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換える。
【0023】
図4(I)はシャワー吐水状態を表したもので、このときにはシャワー吐水部34がストレート吐水部36に対して下流側に位置している。
この状態で吐水ヘッド26の中心孔42を通過して送られて来た水は、先ずストレート吐水部36の通孔50を通過した後シャワー吐水部34の各シャワー孔52を通過し、各シャワー孔52ごとに独立した細流を下方に吐射する。
即ちシャワー吐水部34からのシャワー流がそのまま吐水されてシャワー吐水となる。
【0024】
他方、図4(II)に示しているように吐水部ユニット38をこの状態から180°回転させて、ストレート吐水部36をシャワー吐水部34に対して下流側に位置させた状態で吐水を行うと、このときにはその吐水はストレート吐水となる。
詳しくは、中心孔42を通過して送られて来た水は先ずシャワー吐水部34を通過し、そこからシャワー流として下向きに流出する。
シャワー吐水部34から流出したシャワー流は、その下流側のメッシュ状部材から成るストレート吐水部36に当って、各通孔50の通過時にそれぞれが合流して1束のストレート流として下向きに吐水される。
即ちシャワー吐水部34からのシャワー流が、ストレート吐水部36を通過することによって、そこでストレート流に変換されて下向きに吐水(ストレート吐水)される。
【0025】
以上の説明から明らかなように、この例ではシャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部36の通孔50をそのまま通過せず、一旦ストレート吐水部36に当って合流しつつ通孔50から下向きに流出するようになしてある。ストレート吐水部36が予めそのように構成してある。
【0026】
以上のような本例の吐水装置28によれば、シャワー吐水部34からのシャワー流をストレート吐水部36でストレート流に変換して吐水し、またシャワー吐水時においてはシャワー吐水部34からのシャワー流をそのまま吐水することから、ストレート吐水及びシャワー吐水の際の吐水面積を広く確保することができ、快適なストレート吐水及びシャワー吐水を実現することができる。
【0027】
またこの例によれば、重複状態にあるシャワー吐水部34とストレート吐水部36とを単に操作つまみ56により回転させて上,下流位置を逆転させるだけでシャワー吐水,ストレート吐水の何れをも簡単に実現することができ、その切換えのための機構を簡単な構造でシンプルに構成できる。これにより吐水装置28をコンパクトなものと成し得て美観を良好となし、またデザインの自由度を高めることができる。
【0028】
図5,図6は参考例を示している。
図5に示しているように、この例では継手本体62が有底の円筒形状をなしており、その上端部がねじリング64を介して吐水ヘッド26に連結されている。
詳しくは、ねじリング64の内周面の雌ねじに対して継手本体62の上端部外周面の雄ねじが螺合され、またねじリング64の外周面の雄ねじが、吐水ヘッド26の吐水口用の開口部40内周面の雌ねじに螺合され、かかるねじリング64によって継手本体62がその開口部40に取付固定されている。
【0029】
この継手本体62は、その底部が多数のシャワー孔52を分散配置して成るシャワー吐水部34として構成されている。
即ちこの例では、シャワー吐水部34が継手本体62に一体に構成されている。
【0030】
66はストレート吐水部で、このストレート吐水部66は筒部材67と一体に構成されている。
筒部材67は上端部に内向きのフランジ部68を有していて、そのフランジ部68が、継手本体62の環状の溝70に嵌合しており、それらフランジ部68と溝70との嵌合に基づいて、筒部材67が継手本体62に対し回転可能且つ抜止状態に取り付けられている。即ちストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して吐水方向の軸心周りに回転可能とされている。
この例では、筒部材67及びフランジ部68,環状の溝70にて切換手段が構成されている。
【0031】
ここでストレート吐水部66は、図5(B)に示しているように多数の放射部72と同心円状の多数の円周部74とによりメッシュ状に構成されており、そこに多数の網目が形成されていて、それら網目の部分がストレート吐水部66における通孔76を成している。
尚この例において、シャワー吐水部34におけるシャワー孔52もまた、図5(B)に示しているように放射状且つ多数の同心円状に配列されている。
尚図5(A)において77は異物除去のためのストレーナである。
【0032】
この例では、筒部材67を吐水方向の軸心周りに回転し、これによりこれと一体に構成されたストレート吐水部66のシャワー吐水部34に対する相対的な回転位置を変化させることで、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
図6はその作用説明図である。
【0033】
図6(I)はシャワー吐水時の状態を表しており、このときシャワー吐水部34のシャワー孔52とストレート吐水部66の通孔76とは互いに合致した状態にあって、シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当ることなく、そのままストレート吐水部66の通孔76を通過して外部にシャワー吐水される。
【0034】
一方図6(II)はこの状態から筒部材67を回転操作して、ストレート吐水部66の回転位置をストレート吐水時の位置に切り換えた状態を表している。
同図に示しているようにこのときにはストレート吐水部66の通孔76が、シャワー吐水部34のシャワー孔52と不一致の状態(非合致の状態)にあり、シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当って合流し、ストレート吐水部66の通孔76を通って下向きに1束のストレート流として吐水(ストレート吐水)される。
【0035】
この例によれば、単にシャワー吐水部34とストレート吐水部36とを相対回転させて、その回転位置を変化させるだけでシャワー吐水とストレート吐水とを簡単に切り換えることができる。
【0036】
図7及び図8は更に他の参考例を示している。
図7に示しているように、この例ではストレート吐水部66を薄板状のスライドプレート92に一体に構成し、そしてこれをスライドプレート92と一体にシャワー吐水部34に対して図7(A)中左右方向にスライド移動可能となしている。即ちストレート吐水部66をシャワー吐水部34に対して吐水方向と直角方向にスライド移動可能となしてある。
尚ストレート吐水部66がメッシュ状に構成してある点は上記の例と同様である。特にこの例では、そのメッシュの構成が図5に示すストレート吐水部66と基本的に同様の構成となしてある。
この例の場合、スライドプレート92が切換手段を成している。
【0037】
この例では、スライドプレート92を図中左右方向にスライド移動させることによって、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
図8(I)はそのシャワー吐水時の状態を表している。
この状態では、シャワー吐水部34のシャワー孔52とストレート吐水部66の通孔76とは合致した状態にあって、シャワー吐水部34からのシャワー流は、ストレート吐水部66に当ることなくそのままストレート吐水部66の通孔76を通って外部にシャワー吐水される。
【0038】
一方この状態でスライドプレート92を図中左右方向(この例では図中左方向)にスライド移動させて、図8(II)に示すようなストレート吐水時の状態に切り換えると、このときにはシャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部66に当る状態となって、そのシャワー流がストレート吐水部66で合流して各通孔76からストレート流として吐水(ストレート吐水)される。
【0039】
この例によれば、単にスライドプレート92を操作してストレート吐水部66をシャワー吐水部34に対し相対的にスライド移動させるだけで、シャワー吐水とストレート吐水とを簡単に切り換えることができる。
【0040】
次に図9及び図10は更に他の参考例を示している。
この例では、メッシュ状をなすストレート吐水部66が筒部材78に一体に構成されている。
この筒部材78は、操作リング80の回転操作によって図中上下方向に移動可能とされている。
即ちストレート吐水部66が、継手本体62の底部として一体に構成されたシャワー吐水部34に対し図9(A)中上下方向、即ちシャワー吐水部34に対して接近及び離間方向に移動可能(吐水方向において移動可能)とされている。
【0041】
この例では、操作リング80の上端部に内向きのフランジ部68が設けられていて、そのフランジ部68が継手本体62の外周面に形成された環状の溝70に回転可能に嵌合し、かかる操作リング80が、継手本体62に抜止状態且つ回転可能に取り付けられている。
この操作リング80の内周面には螺旋状をなす2条の案内溝81が形成されており、そこに筒部材78の外周面に設けられた螺旋状の2条の突出部82が案内溝81に沿って相対摺動可能に嵌入させられている。
この例では、筒部材78,操作リング80,フランジ部68,環状の溝70,螺旋状の案内溝81及び突出部82等にて切換手段が構成されている。
【0042】
この例の場合、操作リング80を回転操作すると、案内溝81と突出部82との案内作用で筒部材78が図9(A)中上下方向即ち吐水方向に移動し、ストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して接近,離間方向に移動する。
尚操作リング80の回転操作時に筒部材78が共回りしないように、筒部材78にはその内周側にスライド爪84が突出形成されており、そのスライド爪84が、継手本体62に設けられた縦方向のキー溝86に図中上下方向にスライド可能に係入している。
【0043】
この例では、操作リング80を回転操作して筒部材78を図中上下方向に移動させ、これによりストレート吐水部66をシャワー吐水部34に対して接近位置と離間位置とに切り換えることによって、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
図10はそのシャワー吐水時とストレート吐水時の状態を示している。
【0044】
図10(I)はシャワー吐水時の状態を表しており、このときストレート吐水部66はシャワー吐水部34に接近した位置、具体的にはここではストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対してほぼ隙間無く重なり合った状態にあり、この場合シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当ることなく、そのままストレート吐水部66の通孔76を通過して下向きにシャワー吐水される。
一方図10(II)に示しているようにストレート吐水部66がシャワー吐水部34から図中下向きに離間した状態(ストレート吐水時に切り換えられた状態)の下では、シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当ってそこで合流し、通孔76を通過して下向きにストレート吐水される。
【0045】
本例によれば、単に操作リング80にてそれらシャワー吐水部34とストレート吐水部66とを相対的に接近又は離間させるだけで、簡単にシャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
【0046】
図11及び図12は更に他の参考例を示している。
この例は、ストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して接近又は離間することによってシャワー吐水とストレート吐水とを切り換える点で図9及び図10に示す例と同様であるが、この例では筒部材78に空気取込口88が設けられている。
但しこの空気取込口88は、図12(II)に示すストレート吐水時において外部に開放された状態となる位置に設けられている。
【0047】
この例では、図12(I)に示しているようにストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して接近位置にある状態、具体的にはほぼ隙間無く重なり合った状態の下では、シャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部66に当ることなくそのまま下向きにシャワー吐水される。
一方図12(II)に示しているようにストレート吐水部66がシャワー吐水部34から図中下向きに離間した位置にある状態では、シャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部66に当って、そこから1束のストレート流として吐水(ストレート吐水)される。
【0048】
尚このとき、外周部のシャワー孔52から吐射された細流は筒部材78の下端外周部のテーパ部90、詳しくは上面がテーパ面をなして内向きに突出した環状のテーパ部90に当って内向きの跳返りを生じるとともに、その外側にほぼ密閉された環状の空間を形成する。
この状態で吐水が行われるとその環状の空間に負圧が発生し、その負圧に基づいて外部の空気が空気取込口88から内部に取り込まれ、そして取り込まれた空気が吐水流に混ざってストレート吐水部66からのストレート吐水が空気混じりの泡沫流となる。
【0049】
図13は更に他の参考例を示したもので、この実施形態は図11及び図12に示す例においてメッシュ状部を省略した形態でストレート吐水部94を構成した例である。
この例では、図13(I)に示しているようにシャワー吐水時においてはストレート吐水部94が筒部材78とともに上昇位置にあって、シャワー吐水部34からのシャワー流はそのまま下向きに吐水(シャワー吐水)される。
一方図13(II)に示しているようにストレート吐水部94が筒部材78とともに下降位置にあるときには、シャワー吐水部34からのシャワー流のうち外周側の部分がストレート吐水部94におけるテーパ部90に当って内向きの跳返りを生じ、その跳返り水によってシャワー流全体が1束のストレート流としてストレート吐水部94より下向きに吐水(ストレート吐水)される。
【0050】
この例においても、外周部分の空間に空気取込口88を通じて空気が取り込まれ、その取り込まれた空気が吐水流に混ざって泡沫流となる。
【0051】
以上本発明の実施形態を参考例とともに詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0052】
18 キッチン水栓(水栓設備)
26 吐水ヘッド
28 吐水装置
32 筒部材
34 シャワー吐水部
36 ストレート吐水部
38 吐水部ユニット
50 通孔
52 シャワー孔
56 操作つまみ
【技術分野】
【0001】
この発明は水栓設備における吐水装置に関し、詳しくはシャワー吐水とストレート吐水との切換機構に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓設備における吐水装置は、通例シャワー吐水と1束のストレート流でのストレート吐水とを切換可能となしてある。
そのために従来の吐水装置ではシャワー吐水口とストレート吐水口とを別々の位置に配置、詳しくはストレート吐水口を中心部に、シャワー吐水口をストレート吐水口を取り囲むようにその外周側に配置した上、切換手段によってシャワー吐水口からのシャワー吐水とストレート吐水口からのストレート吐水とを切り換えるようにしている。
この場合の切換手段は、シャワー吐水口への吐水路とストレート吐水口への吐水路との一方を閉鎖して他方を開放、または一方を開放して他方を閉鎖するといったものである。
【0003】
図14及び図15はこのような切換手段を備えた従来の吐水装置の例を示したものである(下記特許文献1)。
図14において、200は水栓設備における吐水ヘッド202に設けられた吐水装置で、204は散水部材206の中心部に設けられたストレート吐水口、208はそのストレート吐水口204を取り囲むように外周側に設けられた、小孔の多数のシャワー孔208aから成るシャワー吐水口である。
【0004】
210,212はストレート吐水口204,シャワー吐水口208への吐水路で互いに独立に形成されている。また214,216(図15参照)は、それら吐水路210,212に連通して設けられた連通開口である。
これら連通開口214,216は、弁プレート218を貫通する形態で設けられている。
220は吐水路210,212の切換えを行う弁体で、アーム222,軸224を介してシーソー式のスイッチ操作部226に作動的に連結されている。
【0005】
これら図14,図15に示す吐水装置200の場合、スイッチ操作部226の正面(図14中右側)から見て左端部を押動操作すると、弁体220が軸224,アーム222と一体に回動して、図15(A)に示しているように一方の連通開口214を閉鎖、他方の連通開口216を開放状態とする。即ちストレート吐水口204に到る吐水路210を閉鎖、シャワー吐水口208に到る吐水路212を開放状態とする。
ここにおいて給水はシャワー吐水口208へと導かれて、そこから外部にシャワー吐水される。
【0006】
一方スイッチ操作部226の右端部を押動操作すると、今度は弁体220が図15(B)に示しているように一方の連通開口214を開放、他方の連通開口216を閉鎖した状態となる。即ちストレート吐水口204に到る吐水路210を開放、シャワー吐水口208に到る吐水路212を閉鎖した状態となる。
ここにおいて給水はストレート吐水口204に導かれて、そこから外部に1束のストレート流でストレート吐水される。
【0007】
しかしながらここに示す吐水装置200の場合、ストレート吐水口204,シャワー吐水口208が別々に設けてあることから、それらストレート吐水口204,シャワー吐水口208それぞれによる吐水面積が狭くならざるを得ず、これに伴ってシャワー孔208aの孔数が制限されたり、またストレート吐水口204の口径が狭く制限されたりし、快適なシャワー吐水,ストレート吐水の実現が困難である問題がある。
【0008】
尚、本発明に対する先行技術として他に下記特許文献2に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−11916号公報
【特許文献2】特開平9−4001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような事情を背景とし、快適なシャワー吐水とストレート吐水とを実現することのできる水栓設備における吐水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、(イ)各孔ごとに独立した細流を吐射する多数のシャワー孔を分散配置して成り、通過水をシャワー流として流出させるシャワー吐水部と、(ロ)多数の水の通孔を分散配置して成り、通過水を一束のストレート流として流出させるストレート吐水部と、を有しており、ストレート吐水時において、前記シャワー吐水部の下流側に前記ストレート吐水部を位置させて、該シャワー吐水部によるシャワー流を該ストレート吐水部によりストレート流に変換して吐水するようになしてあるとともに、シャワー吐水時において、前記シャワー吐水部からのシャワー流を前記ストレート吐水部でストレート流に変換することなくそのままシャワー吐水するようになしてあり、前記シャワー吐水部とストレート吐水部とは、ストレート吐水時及びシャワー吐水時の何れにおいても吐水方向に重複した状態に配置してあって、シャワー吐水時においては前記シャワー吐水部を前記ストレート吐水部に対して下流側に、ストレート吐水時においては該ストレート吐水部を該シャワー吐水部に対して下流側に位置させるように成してあり、且つ該ストレート吐水部は、該シャワー吐水部からのシャワー流を自身に当てて前記通孔の通過時に合流させ、一束のストレート流として吐水するものとなしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記ストレート吐水部がメッシュ状部材から成っていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0013】
以上のような本発明によれば、シャワー吐水部からのシャワー流をストレート吐水部でストレート流に変換して吐水し、またシャワー吐水時においてはシャワー吐水部からのシャワー流をそのまま吐水することから、ストレート吐水及びシャワー吐水の際の吐水面積を広く確保することができ、快適なストレート吐水及びシャワー吐水を実現することができる。
【0014】
ここでそのストレート吐水部はメッシュ状部材にて構成しておくことができる(請求項2)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の吐水装置を水栓設備及び流し台とともに示す図である。
【図2】同実施形態の吐水装置を示す図である。
【図3】同実施形態の吐水装置の吐水切換えの際の作用図である。
【図4】同実施形態におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを示す図である。
【図5】参考例を示す図である。
【図6】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図7】更に他の参考例を示す図である。
【図8】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図9】更に他の参考例を示す図である。
【図10】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図11】更に他の参考例を示す図である。
【図12】同参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図13】更に他の参考例におけるシャワー吐水時とストレート吐水時とを表す図である。
【図14】従来の吐水装置の一例を示した図である。
【図15】図14の吐水装置の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を参考例とともに図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において、10はキッチンの流し台、12はシンク、14はキャビネット、16はカウンタで、このカウンタ16上にキッチン水栓(水栓設備)18が設置されている。
この例において、キッチン水栓18はシングルレバー式の混合水栓で、20は水栓本体であり、その上部に操作レバー22が左右及び上下方向に回動可能に設けられている。
水栓本体20からは吐水管24がシンク12上方に向けて前方に延び出しており、その先端部の吐水ヘッド26に吐水装置28が設けられている。
【0017】
図2に本実施形態の吐水装置28の具体的な構成が示してある。
同図に示しているように、吐水装置28は継手本体30と、円筒状をなす筒部材32と、メッシュ状部材からなるストレート吐水部36及びプレート状部材からなるシャワー吐水部34を組んで成る吐水部ユニット38とを主要素として有している。
継手本体30の上端部外周面には雄ねじが形成されており、この雄ねじにおいてかかる継手本体30が、吐水ヘッド26の吐水口用の開口部40内周面の雌ねじに螺合され、取り付けられている。
【0018】
ここで継手本体30と吐水ヘッド26の中心孔42との間は、環状の弾性を有するシール部材44にて水密にシールされている。
尚、継手本体30の下端部外周面と筒部材32との間もまた環状の弾性を有するシール部材46にて水密にシールされている。
また継手本体30には、その上流部と下流部とを連通させる連通孔60が図中上下方向に設けられている。
【0019】
筒部材32は継手本体30の外周面に嵌合されており、その嵌合状態で止めねじ48(図4参照)にて継手本体30に抜止状態に固定されている。
【0020】
上記吐水部ユニット38におけるストレート吐水部36とシャワー吐水部34とは、吐水方向に重複した状態で互いに組み付けられている。
このメッシュ状部材から成るストレート吐水部36は、その網目が水を通過させる通孔50(図2(A)中部分拡大図参照)とされている。
一方シャワー吐水部34は、各孔ごとに独立した細流を吐射する多数のシャワー孔52を有しており、それらが分散配置されている(図2(B)参照)。
このシャワー吐水部34は通過水をシャワー状に流出させるもので、ここではシャワー流が吐水方向の軸心に対して外向きに広がった方向に流出される。
【0021】
この吐水部ユニット38からは横向き、即ち吐水方向と直角方向に軸54が延び出している。
この軸54は筒部材32を貫通して外部に突き出しており、その突き出した外部に操作つまみ56が固定具(ここではナット)58により一体回転状態に固定してある。
この例では、これら軸54,操作つまみ56,固定具58等により切換手段が構成されている。
【0022】
この例の吐水装置28では、この操作つまみ56を回転操作することによって、図3(I)〜(III)に示しているように吐水部ユニット38を吐水方向と直角方向の軸心周りに180°回転移動させる(図3(I)〜(III)は何れも軸54方向から見た図である)。
そして吐水部ユニット38を180°回転させることで、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換える。
【0023】
図4(I)はシャワー吐水状態を表したもので、このときにはシャワー吐水部34がストレート吐水部36に対して下流側に位置している。
この状態で吐水ヘッド26の中心孔42を通過して送られて来た水は、先ずストレート吐水部36の通孔50を通過した後シャワー吐水部34の各シャワー孔52を通過し、各シャワー孔52ごとに独立した細流を下方に吐射する。
即ちシャワー吐水部34からのシャワー流がそのまま吐水されてシャワー吐水となる。
【0024】
他方、図4(II)に示しているように吐水部ユニット38をこの状態から180°回転させて、ストレート吐水部36をシャワー吐水部34に対して下流側に位置させた状態で吐水を行うと、このときにはその吐水はストレート吐水となる。
詳しくは、中心孔42を通過して送られて来た水は先ずシャワー吐水部34を通過し、そこからシャワー流として下向きに流出する。
シャワー吐水部34から流出したシャワー流は、その下流側のメッシュ状部材から成るストレート吐水部36に当って、各通孔50の通過時にそれぞれが合流して1束のストレート流として下向きに吐水される。
即ちシャワー吐水部34からのシャワー流が、ストレート吐水部36を通過することによって、そこでストレート流に変換されて下向きに吐水(ストレート吐水)される。
【0025】
以上の説明から明らかなように、この例ではシャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部36の通孔50をそのまま通過せず、一旦ストレート吐水部36に当って合流しつつ通孔50から下向きに流出するようになしてある。ストレート吐水部36が予めそのように構成してある。
【0026】
以上のような本例の吐水装置28によれば、シャワー吐水部34からのシャワー流をストレート吐水部36でストレート流に変換して吐水し、またシャワー吐水時においてはシャワー吐水部34からのシャワー流をそのまま吐水することから、ストレート吐水及びシャワー吐水の際の吐水面積を広く確保することができ、快適なストレート吐水及びシャワー吐水を実現することができる。
【0027】
またこの例によれば、重複状態にあるシャワー吐水部34とストレート吐水部36とを単に操作つまみ56により回転させて上,下流位置を逆転させるだけでシャワー吐水,ストレート吐水の何れをも簡単に実現することができ、その切換えのための機構を簡単な構造でシンプルに構成できる。これにより吐水装置28をコンパクトなものと成し得て美観を良好となし、またデザインの自由度を高めることができる。
【0028】
図5,図6は参考例を示している。
図5に示しているように、この例では継手本体62が有底の円筒形状をなしており、その上端部がねじリング64を介して吐水ヘッド26に連結されている。
詳しくは、ねじリング64の内周面の雌ねじに対して継手本体62の上端部外周面の雄ねじが螺合され、またねじリング64の外周面の雄ねじが、吐水ヘッド26の吐水口用の開口部40内周面の雌ねじに螺合され、かかるねじリング64によって継手本体62がその開口部40に取付固定されている。
【0029】
この継手本体62は、その底部が多数のシャワー孔52を分散配置して成るシャワー吐水部34として構成されている。
即ちこの例では、シャワー吐水部34が継手本体62に一体に構成されている。
【0030】
66はストレート吐水部で、このストレート吐水部66は筒部材67と一体に構成されている。
筒部材67は上端部に内向きのフランジ部68を有していて、そのフランジ部68が、継手本体62の環状の溝70に嵌合しており、それらフランジ部68と溝70との嵌合に基づいて、筒部材67が継手本体62に対し回転可能且つ抜止状態に取り付けられている。即ちストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して吐水方向の軸心周りに回転可能とされている。
この例では、筒部材67及びフランジ部68,環状の溝70にて切換手段が構成されている。
【0031】
ここでストレート吐水部66は、図5(B)に示しているように多数の放射部72と同心円状の多数の円周部74とによりメッシュ状に構成されており、そこに多数の網目が形成されていて、それら網目の部分がストレート吐水部66における通孔76を成している。
尚この例において、シャワー吐水部34におけるシャワー孔52もまた、図5(B)に示しているように放射状且つ多数の同心円状に配列されている。
尚図5(A)において77は異物除去のためのストレーナである。
【0032】
この例では、筒部材67を吐水方向の軸心周りに回転し、これによりこれと一体に構成されたストレート吐水部66のシャワー吐水部34に対する相対的な回転位置を変化させることで、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
図6はその作用説明図である。
【0033】
図6(I)はシャワー吐水時の状態を表しており、このときシャワー吐水部34のシャワー孔52とストレート吐水部66の通孔76とは互いに合致した状態にあって、シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当ることなく、そのままストレート吐水部66の通孔76を通過して外部にシャワー吐水される。
【0034】
一方図6(II)はこの状態から筒部材67を回転操作して、ストレート吐水部66の回転位置をストレート吐水時の位置に切り換えた状態を表している。
同図に示しているようにこのときにはストレート吐水部66の通孔76が、シャワー吐水部34のシャワー孔52と不一致の状態(非合致の状態)にあり、シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当って合流し、ストレート吐水部66の通孔76を通って下向きに1束のストレート流として吐水(ストレート吐水)される。
【0035】
この例によれば、単にシャワー吐水部34とストレート吐水部36とを相対回転させて、その回転位置を変化させるだけでシャワー吐水とストレート吐水とを簡単に切り換えることができる。
【0036】
図7及び図8は更に他の参考例を示している。
図7に示しているように、この例ではストレート吐水部66を薄板状のスライドプレート92に一体に構成し、そしてこれをスライドプレート92と一体にシャワー吐水部34に対して図7(A)中左右方向にスライド移動可能となしている。即ちストレート吐水部66をシャワー吐水部34に対して吐水方向と直角方向にスライド移動可能となしてある。
尚ストレート吐水部66がメッシュ状に構成してある点は上記の例と同様である。特にこの例では、そのメッシュの構成が図5に示すストレート吐水部66と基本的に同様の構成となしてある。
この例の場合、スライドプレート92が切換手段を成している。
【0037】
この例では、スライドプレート92を図中左右方向にスライド移動させることによって、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
図8(I)はそのシャワー吐水時の状態を表している。
この状態では、シャワー吐水部34のシャワー孔52とストレート吐水部66の通孔76とは合致した状態にあって、シャワー吐水部34からのシャワー流は、ストレート吐水部66に当ることなくそのままストレート吐水部66の通孔76を通って外部にシャワー吐水される。
【0038】
一方この状態でスライドプレート92を図中左右方向(この例では図中左方向)にスライド移動させて、図8(II)に示すようなストレート吐水時の状態に切り換えると、このときにはシャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部66に当る状態となって、そのシャワー流がストレート吐水部66で合流して各通孔76からストレート流として吐水(ストレート吐水)される。
【0039】
この例によれば、単にスライドプレート92を操作してストレート吐水部66をシャワー吐水部34に対し相対的にスライド移動させるだけで、シャワー吐水とストレート吐水とを簡単に切り換えることができる。
【0040】
次に図9及び図10は更に他の参考例を示している。
この例では、メッシュ状をなすストレート吐水部66が筒部材78に一体に構成されている。
この筒部材78は、操作リング80の回転操作によって図中上下方向に移動可能とされている。
即ちストレート吐水部66が、継手本体62の底部として一体に構成されたシャワー吐水部34に対し図9(A)中上下方向、即ちシャワー吐水部34に対して接近及び離間方向に移動可能(吐水方向において移動可能)とされている。
【0041】
この例では、操作リング80の上端部に内向きのフランジ部68が設けられていて、そのフランジ部68が継手本体62の外周面に形成された環状の溝70に回転可能に嵌合し、かかる操作リング80が、継手本体62に抜止状態且つ回転可能に取り付けられている。
この操作リング80の内周面には螺旋状をなす2条の案内溝81が形成されており、そこに筒部材78の外周面に設けられた螺旋状の2条の突出部82が案内溝81に沿って相対摺動可能に嵌入させられている。
この例では、筒部材78,操作リング80,フランジ部68,環状の溝70,螺旋状の案内溝81及び突出部82等にて切換手段が構成されている。
【0042】
この例の場合、操作リング80を回転操作すると、案内溝81と突出部82との案内作用で筒部材78が図9(A)中上下方向即ち吐水方向に移動し、ストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して接近,離間方向に移動する。
尚操作リング80の回転操作時に筒部材78が共回りしないように、筒部材78にはその内周側にスライド爪84が突出形成されており、そのスライド爪84が、継手本体62に設けられた縦方向のキー溝86に図中上下方向にスライド可能に係入している。
【0043】
この例では、操作リング80を回転操作して筒部材78を図中上下方向に移動させ、これによりストレート吐水部66をシャワー吐水部34に対して接近位置と離間位置とに切り換えることによって、シャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
図10はそのシャワー吐水時とストレート吐水時の状態を示している。
【0044】
図10(I)はシャワー吐水時の状態を表しており、このときストレート吐水部66はシャワー吐水部34に接近した位置、具体的にはここではストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対してほぼ隙間無く重なり合った状態にあり、この場合シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当ることなく、そのままストレート吐水部66の通孔76を通過して下向きにシャワー吐水される。
一方図10(II)に示しているようにストレート吐水部66がシャワー吐水部34から図中下向きに離間した状態(ストレート吐水時に切り換えられた状態)の下では、シャワー吐水部34からのシャワー流はストレート吐水部66に当ってそこで合流し、通孔76を通過して下向きにストレート吐水される。
【0045】
本例によれば、単に操作リング80にてそれらシャワー吐水部34とストレート吐水部66とを相対的に接近又は離間させるだけで、簡単にシャワー吐水とストレート吐水とを切り換えることができる。
【0046】
図11及び図12は更に他の参考例を示している。
この例は、ストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して接近又は離間することによってシャワー吐水とストレート吐水とを切り換える点で図9及び図10に示す例と同様であるが、この例では筒部材78に空気取込口88が設けられている。
但しこの空気取込口88は、図12(II)に示すストレート吐水時において外部に開放された状態となる位置に設けられている。
【0047】
この例では、図12(I)に示しているようにストレート吐水部66がシャワー吐水部34に対して接近位置にある状態、具体的にはほぼ隙間無く重なり合った状態の下では、シャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部66に当ることなくそのまま下向きにシャワー吐水される。
一方図12(II)に示しているようにストレート吐水部66がシャワー吐水部34から図中下向きに離間した位置にある状態では、シャワー吐水部34からのシャワー流がストレート吐水部66に当って、そこから1束のストレート流として吐水(ストレート吐水)される。
【0048】
尚このとき、外周部のシャワー孔52から吐射された細流は筒部材78の下端外周部のテーパ部90、詳しくは上面がテーパ面をなして内向きに突出した環状のテーパ部90に当って内向きの跳返りを生じるとともに、その外側にほぼ密閉された環状の空間を形成する。
この状態で吐水が行われるとその環状の空間に負圧が発生し、その負圧に基づいて外部の空気が空気取込口88から内部に取り込まれ、そして取り込まれた空気が吐水流に混ざってストレート吐水部66からのストレート吐水が空気混じりの泡沫流となる。
【0049】
図13は更に他の参考例を示したもので、この実施形態は図11及び図12に示す例においてメッシュ状部を省略した形態でストレート吐水部94を構成した例である。
この例では、図13(I)に示しているようにシャワー吐水時においてはストレート吐水部94が筒部材78とともに上昇位置にあって、シャワー吐水部34からのシャワー流はそのまま下向きに吐水(シャワー吐水)される。
一方図13(II)に示しているようにストレート吐水部94が筒部材78とともに下降位置にあるときには、シャワー吐水部34からのシャワー流のうち外周側の部分がストレート吐水部94におけるテーパ部90に当って内向きの跳返りを生じ、その跳返り水によってシャワー流全体が1束のストレート流としてストレート吐水部94より下向きに吐水(ストレート吐水)される。
【0050】
この例においても、外周部分の空間に空気取込口88を通じて空気が取り込まれ、その取り込まれた空気が吐水流に混ざって泡沫流となる。
【0051】
以上本発明の実施形態を参考例とともに詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0052】
18 キッチン水栓(水栓設備)
26 吐水ヘッド
28 吐水装置
32 筒部材
34 シャワー吐水部
36 ストレート吐水部
38 吐水部ユニット
50 通孔
52 シャワー孔
56 操作つまみ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)各孔ごとに独立した細流を吐射する多数のシャワー孔を分散配置して成り、通過水をシャワー流として流出させるシャワー吐水部と、(ロ)多数の水の通孔を分散配置して成り、通過水を一束のストレート流として流出させるストレート吐水部と、を有しており、
ストレート吐水時において、前記シャワー吐水部の下流側に前記ストレート吐水部を位置させて、該シャワー吐水部によるシャワー流を該ストレート吐水部によりストレート流に変換して吐水するようになしてあるとともに、
シャワー吐水時において、前記シャワー吐水部からのシャワー流を前記ストレート吐水部でストレート流に変換することなくそのままシャワー吐水するようになしてあり、
前記シャワー吐水部とストレート吐水部とは、ストレート吐水時及びシャワー吐水時の何れにおいても吐水方向に重複した状態に配置してあって、
シャワー吐水時においては前記シャワー吐水部を前記ストレート吐水部に対して下流側に、ストレート吐水時においては該ストレート吐水部を該シャワー吐水部に対して下流側に位置させるように成してあり、且つ該ストレート吐水部は、該シャワー吐水部からのシャワー流を自身に当てて前記通孔の通過時に合流させ、一束のストレート流として吐水するものとなしてあることを特徴とする水栓設備における吐水装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ストレート吐水部がメッシュ状部材から成っていることを特徴とする水栓設備における吐水装置。
【請求項1】
(イ)各孔ごとに独立した細流を吐射する多数のシャワー孔を分散配置して成り、通過水をシャワー流として流出させるシャワー吐水部と、(ロ)多数の水の通孔を分散配置して成り、通過水を一束のストレート流として流出させるストレート吐水部と、を有しており、
ストレート吐水時において、前記シャワー吐水部の下流側に前記ストレート吐水部を位置させて、該シャワー吐水部によるシャワー流を該ストレート吐水部によりストレート流に変換して吐水するようになしてあるとともに、
シャワー吐水時において、前記シャワー吐水部からのシャワー流を前記ストレート吐水部でストレート流に変換することなくそのままシャワー吐水するようになしてあり、
前記シャワー吐水部とストレート吐水部とは、ストレート吐水時及びシャワー吐水時の何れにおいても吐水方向に重複した状態に配置してあって、
シャワー吐水時においては前記シャワー吐水部を前記ストレート吐水部に対して下流側に、ストレート吐水時においては該ストレート吐水部を該シャワー吐水部に対して下流側に位置させるように成してあり、且つ該ストレート吐水部は、該シャワー吐水部からのシャワー流を自身に当てて前記通孔の通過時に合流させ、一束のストレート流として吐水するものとなしてあることを特徴とする水栓設備における吐水装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ストレート吐水部がメッシュ状部材から成っていることを特徴とする水栓設備における吐水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−156027(P2009−156027A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100299(P2009−100299)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【分割の表示】特願2008−303253(P2008−303253)の分割
【原出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【分割の表示】特願2008−303253(P2008−303253)の分割
【原出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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