水洗便器
【課題】ボウル部の洗浄及び汚物の排出を効果的に行なうことが出来る水洗便器を提供する。
【解決手段】本発明の水洗便器は、汚物受け面5と、オーバーハングしたリム部6と、棚部6cとを備えたボウル部2と、汚物を排出する排水路4と、ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し同一方向の旋回流を形成する第1の吐水部11及び第2の吐水部12と、洗浄水タンクから洗浄水を第1及び第2の吐水部に供給する第1及び第2の通水路63a,64aと、を有し、第1の吐水部は、ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置され、第2の吐水部は、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置されている。
【解決手段】本発明の水洗便器は、汚物受け面5と、オーバーハングしたリム部6と、棚部6cとを備えたボウル部2と、汚物を排出する排水路4と、ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し同一方向の旋回流を形成する第1の吐水部11及び第2の吐水部12と、洗浄水タンクから洗浄水を第1及び第2の吐水部に供給する第1及び第2の通水路63a,64aと、を有し、第1の吐水部は、ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置され、第2の吐水部は、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器に係り、特に、旋回流を形成して洗浄及び汚物の排出を行う水洗便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な水洗便器は上緑部に断面矩形状のリムを形成し、このリム内を通水路とするとともに、リム下面に洗浄水を汚物受け面に吐水する穴或いはスリットを形成している。
しかしながら、上述した水洗便器では、リムの下面と汚物受け面との境界部が上方から見て死角になり、特にリムの下面には洗浄水が廻り込まないため、汚れが残りやすいという問題があり、また境界部が見にくいため釉薬の塗布が完全に行えない場合があり、これも汚れが付着する原因になっていた。
【0003】
このような従来の一般的な水洗便器が持つ問題を解決するため本出願人は、WO98/16696号公報(特許文献1)により、リム内を通水路としない水洗便器の新たな構造を提案した。
この水洗便器は、ボウル部に臨むリム内側面と汚物受け面とをスムーズに連続した形状とすることで、陰になる部分をなくし、しかもボウル部への洗浄水の供給はボウル部の後部の1箇所に吐水口を設け、この吐水口からリムと汚物受け面との境界部近傍に洗浄水を吐水して旋回流を形成して、汚物受け面の全面に洗浄水を行き渡らせるようにしたものである。
【0004】
上述したWO98/16696号公報では、リムの内側面をオーバーハング形状として洗浄水が便器外へ飛び出すのを防止している。また、洗浄水を1周旋回させたのでは距離が長くなり吐水圧力を高くしなければならず、また万遍なく行き渡らせるため形状に自由度がなくなる。そこで、ボウル部後部の左右にそれぞれ吐水口を設け、給水源からの洗浄水を左右に分岐して各吐水口に供給する構造も提案されている。
また、特開平9−125502号公報(特許文献2)には、ロータンク下部にディストリビュータを配設し、気泡分散水(洗浄水)をボウル部に左右に分けて供給するようにした水洗便器が開示されている。
更に、特開2000−96689号公報(特許文献3)には、複数の吐水口を設け、これらの複数の吐水口により、1つの旋回流を形成するようにした水洗便器が開示されている。具体的に言えば、吐水口は、ボウル部の前端部及び後端部の2箇所、又は、ボウル部の前端部、後端部、右側中央部及び左側中央部の4箇所にぞれぞれ設けられている。
【0005】
【特許文献1】WO98/16696号公報
【特許文献2】特開平9−125502号
【特許文献3】特開2000−96689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄水タンクを利用した水洗便器は、タンク内の洗浄水を便器に供給するとき、洗浄が進むにつれてタンク内の水量が減るので、必然的に水頭圧が下がってくる。洗浄のために必要な十分な旋回流を確保するために、水頭圧を高くしようとすると、一つの吐水口からの吐水量が、洗浄初期に多くなり洗浄水が便器外へ飛び出す恐れがあり、また、洗浄終期には、洗浄水の旋回流が終端部まで十分に行き渡らなく、ボウル部の洗浄が十分に行なわれない恐れがある。
【0007】
この問題を解決するために、吐水口を複数個設ければ良いが、WO98/16696号公報(特許文献1)や特開平9−125502号公報(特許文献2)の開示されているように、ディストリビュータなどで左右に分岐して洗浄水を吐水する構造では、逆向きの旋回流が2つ形成されるので、洗浄水が便器中央部分でぶつかって跳ねるという問題がある。
【0008】
さらに、特開2000−96689号公報(特許文献3)には、複数の吐水口により1つの向きの旋回流を形成するようにしたものが開示されているが、単に吐水口を複数設けたものでは、水洗便器に要求されるボール部(ボール面)の洗浄及び汚物の搬送排出を効果的に行うことができず、これらを満足できるような具体的構成、例えば、吐水口の位置、吐水口への洗浄水の供給の仕方は、何ら提案されておらず、実用的な面で問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、洗浄水が旋回流の終端部まで十分に行き渡たることにより、ボウル部の洗浄及び汚物の排出を効果的に行なうことが出来る水洗便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、洗浄水タンク内に貯溜された先浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗便器であって、ボウル形状の汚物受け面と、上縁部でありその内周面が内方に向ってオーバーハングしたリム部と、このリム部と汚物受け面との間に形成された棚部とを備えたボウル部と、このボウル部の下方にその入口が接続され汚物をサイホン作用により排出する排水路と、ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し旋回流を形成する第1の吐水部と、ボウル部の棚部上に上記旋回流の旋回方向と同一方向に洗浄水を吐水する第2の吐水部と、洗浄水タンクから洗浄水を第1の吐水部に供給する第1の通水路と、洗浄水タンクから洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路と、を有し、第1の吐水部は、ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置され、第2の吐水部は、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置されていることを特徴としている。
【0011】
このように構成された本発明によれば、リム部の内周面が内方に向ってオーバーハングして形成されているので、従来のように死角部分がなくなり、便器の清掃を楽に行うことができ、便器を常に清潔な状態に維持することができる。
【0012】
次に、2つの吐水部を設けたので、1つの吐水部から吐水される洗浄水の旋回距離が短くなり、洗浄が進んで、タンクの水頭圧が低くても、洗浄水が旋回流の終端部まで十分に行き渡たることが出来るので、ボウル部(ボウル面)を十分に洗浄することが出来る。さらに、第1の吐水部と第2の吐水部により、ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し1つの旋回流を形成するようにしているので、2つの旋回流を形成する場合に比べ、排水路の入口に向けて旋回流を形成しながらボウル部内の汚物を旋回流の旋回中心付近に集めて排水路に導くことにより、より効果的に便器外へ排出出来る。
【0013】
また、ボウル部は、一般的に楕円形状であり、前端と後端の領域は曲率半径が小さく、平面視で右側と左側の領域は曲率半径が大きくなっている。そこで、本発明においては、第1の吐水部を、ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置し、第2の吐水部を、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置しているので、第1の吐水部により吐水される洗浄水により、ボウル部の一方の側(例えば、前方から見て左側)の曲率半径の大きな領域、前端の曲率半径の小さな領域、他方の側(例えば、前方から見て右側)の曲率半径の大きな領域が洗浄され、残りの後端の曲率半径の大きな領域は、第2の吐水部により吐水される洗浄水により洗浄されるようになっているため、ボウル部の全領域を効果的に洗浄することが出来る。
【0014】
本発明において、好ましくは、第2の通水路は、Uターンして第2の吐水部に連通している。
このように構成された本発明によれば、第2の通水路がリム部の内部をUターンして第2の吐水部に連通しているので、第2の吐水部に洗浄水を供給する第2の通水路をリム部の内部を長い距離周回する必要がなくなり、摩擦抵抗が減少してエネルギーロスが低減する。
【0015】
本発明において、好ましくは、第1の吐水部から吐水されるリム吐水量は、第2の吐水部から吐水されるリム吐水量よりも多い。
このように構成された本発明によれば、第1の吐水部から吐水される洗浄水によりボウル部の大部分が洗浄され、残りの部分が第2の吐水部から吐水される洗浄水により洗浄されるので、確実にボウル部の洗浄を行うことができる。また、第1の吐水口から吐水された洗浄水がボウル部先端側から排水口へ向かう流れ(主流部)を形成し易く、この形成された主流部により、汚物、特に浮遊汚物を排水路に押込む機能を発揮する。
【0016】
本発明において、好ましくは、ボウル部の棚部は、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が排水路の入口に向って流れ込むように、その幅が変化して形成されている。
このように構成された本発明においては、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が排水路の入口に向って流れ込むように、その幅が変化して形成されているため、比較的多くの水量(主流部の水量)が、排水路に向けて供給されるため、汚物、特に溜水面に浮遊していた汚物を排水路まで容易に導くことが出来る。
【0017】
本発明において、好ましくは、ボウル部の棚部は、その幅がボウル部の前後方向を中心として両側領域では広く形成されボウル部の前端領域では狭く形成されている。
このように構成された本発明によれば、単に、ボウル部の棚幅を変化させることにより、簡易に、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が排水路の入口に向って流れ込むようにすることができる。
【0018】
本発明において、ボウル部の棚部は、下方に向って傾斜しその傾斜角が下方に向って0度〜15度の範囲内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。先ず、本発明の第1実施形態を図1乃至図3により説明する。図1は本発明の第1実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図2は図1に示す水洗便器の縦断面図であり、図3(a)〜(e)はそれぞれ図1のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。
【0020】
図1乃至図3に示す第1実施形態の水洗便器は、表面に釉薬層が形成された陶器製であり、下部にスカート部1が形成され、上半部のうち前方にボウル部2が形成され、後方上部に導水路3、後方下部に排水路4がそれぞれ形成されている。
【0021】
ボウル部2は椀状をなす汚物受け面5と上縁部を構成するリム6を有し、汚物受け面5の乾燥面5aと、棚部6cと、リム6の内側面6aはスムーズな曲面で連続している。そして、上から見て死角になる箇所がないように、また、清掃の際には使い捨ての紙等を使用して簡単に内側面6aを拭き取ることができ、しかも洗浄水が外に飛び出すことがないように、リム6の内側面6aは内方に向かってある程度オーバーハングした形状になっている。
【0022】
汚物受け面5の中央で溜水の水面下となる箇所には排水路4の入口4aが開口し、この排水路入口4aから上昇路4bが後方に伸び、この上昇路4bには下降路4c(縦管)が連続し、下降路4cの下端は、ジョイント(図示せず)を介して排出管に接続されている。
【0023】
導水路3の後部天井面には貯水タンクまたは水道管に連結されたフラッシュバルブにつながる開口3aが形成されている。また、導水路3は左右の側壁31,31によりその幅が狭められ、一方の側壁の内側には供給された洗浄水を一方の側(ボウル部2の前方側から見て左側)のリム6内に導くガイド部31aが設けられている。
【0024】
また、導水路3の前部でガイド部31aに導かれた洗浄水は、導水路側壁31の前方にて隔壁62で上下に区分けされたリム連結穴63,64より水洗便器の平面視で左回り(洗浄水の流れる方向)に進み、図3(b)に示す隔壁62で区分けされた通水路63a,64aを経たのち下方の通水路63aは第1の吐水口11につながり、上方の通水路64aは更に便器前部のリム内を通って、図3(c)および(d)に示す通水路65,66を経て第2の吐水口12につながっている。
【0025】
一方、リム連結穴63より流入した洗浄水は通水路63aの底面開口61を経て、図3(a)に示すように、押込洗浄水吐水口7に洗浄水を供給する通水路7aと連通している。この押込洗浄水吐水口7は水面下に開口しており汚物を排水路4に押し込む方向に洗浄水を吐水する機能を発揮する。
【0026】
第1及び第2の吐水口11,12はいずれも高さ位置は汚物受け面5の乾燥面5aとリム6の内側面6aとの境界部近くで、前後位置は平面視で排水路入口4aの側方となる位置に形成され、更に第1の吐水口11にあっては洗浄水の吐水方向が前方となり、第2の吐水口12にあっては洗浄水の吐水方向が後方となるようにし、ボウル部2に平面視で反時計回りの洗浄水による1つの旋回流が形成されるようになっている。
【0027】
上述した第1実施形態においては、給水源から供給された洗浄水は、リム連結穴63,64より分かれて流入し、リム連結穴63より流入した洗浄水の一方は、底面開口61を経て押込洗浄水吐水口7から排水路入口4aの近傍のボウル部底面2aに向けて放出され、一方は、通水路63aを経たのち第1の吐水口11から放出される。また、リム連結穴64より流入した洗浄水は、通水路64a,65,66を経たのち第2の吐水口12から放出され、両吐水口11、12から放出された洗浄水は1つの旋回流となって、汚物受け面5の全面に行き渡る。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態を図4乃至図6により説明する。図4は本発明の第2案施形態による水洗便器を示す平面図であり、図5は図4に示す水洗便器の縦断面図であり、図6(a)〜(e)はそれぞれ図4のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。第2実施形態に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
【0029】
この第2実施形態においては、押込洗浄水吐水口7を溜水部の水面よりも上方に開口させ、汚物、特に溜水面に浮遊していた汚物を排水路4に押し込む方向に洗浄水を吐水するようにしている。
なお、通水路7a、63a、64a及び第1,第2の吐水口11,12の構造は、第1実施形態と同一である。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態を図7乃至図9により説明する。図7は本発明の第3案施形態による水洗便器を示す平面図であり、図8は図7に示す水洗便器の縦断面図であり、図9(a)〜(d)はそれぞれ図4のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第3実施形態に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
【0031】
この第3実施形態においては、排水路入口4aと対向する箇所に汚物を効率的に排水路に押し込むゼット穴8を設けている。
さらに、第3実施形態においては、導水路3を隔壁34にて上部導水路30aと下部導水路30bに分け、隔壁34に形成した開口35を介して給水源からの洗浄水が、下部導水路30b内に供給されるようになっており、隔壁34は、導水路内の空気の洗浄水への巻き込みによるサイホンの発生の遅れを防止している。そして、上部導水路30aは第2の吐水口12に洗浄水を供給する通水路64aと連通し、下部導水路30bは第1の吐水口11に洗浄水を供給する通水路63a及びゼット穴8に洗浄水を供給する通水路36と連通している。下部導水路30b内に供給された洗浄水は通水路36を介してゼット穴8から放出される。
【0032】
次に、本発明の第4実施形態を図10乃至図12により説明する。図10は本発明の第4実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図11は図10に示す水洗便器の縦断面図であり、図12(a)〜(d)はそれぞれ図10のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第3実施形態に関し、上述した第3実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
この第4実施形態においては、第1実施形態と同様に、導水路内を上下に分けず、通水路63a,64a及びゼット穴8に洗浄水を供給する通水路36に洗浄水を送り込むようにしている。
【0033】
次に、本発明の第5実施形態を図13乃至図15により説明する。図13は本発明の第5実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図14は図13に示す水洗便器の縦断面図であり、図15(a)〜(d)はそれぞれ図13のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第5実施形態に関し、上述した第4実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
この第5実施形態において、供給水源から供給された洗浄水は、導水路3の前部で左右に設けられたリム連結穴63、67により一部分岐され、リム連結穴63に入った水は水洗便器の平面視で左回りに、リム連結穴67に入った水は右回りに進む。
【0034】
リム連結穴63から入った水は通水路63aを経た後、第1の吐水口11より汚物受け面5に平面視で左回りに放出される。またリム連結穴67から入った水は通水路67aを経た後、隔壁68の先端部でUターンし、通水路67bを経て第2の吐水口12より汚物受け面5へ水洗便器の平面視で左回りに放出される。こうすることで、リム6内の水が通る経路が短くなるため、結露の防止に効果的である。
【0035】
また、導水中に第1,2の吐水口11,12への通水路63a,67a,67b内及びゼット穴8への通水路36内の空気が洗浄水と早期に置換して第1,2の吐水口11,12から排出されるので、通水路内で空気が圧縮されることがなくなる。そのため洗浄水の水流のエネルギーの損失が低減でき、洗浄時の静音化にも有利となる。
更に、リムの通水路構造が単純なため、通水路63a,67a,67bに重力方向に勾配をつけることで、洗浄後長期間にわたり吐水口より汚物受け面に少量ずつ放出し続ける水が低減され、汚物受け面に縦筋状に形成される水垢汚れを抑制することができる。
【0036】
次に、本発明の第6実施形態を図16乃至図18により説明する。図16は本発明の第6実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図17は図16に示す水洗便器の縦断面図であり、図18(a)〜(d)はそれぞれ図16のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第6実施形態に関し、上述した第5実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
この第6実施形態においては、導水路3の開口3aに近い上流側部分の左右にリム連結穴69,70を設け、供給水源から供給された洗浄水は、これらリム連結穴69,70により一部分岐される。リム連結穴69から入った水は通水路69a、69bを経た後、第1の吐水口11より汚物受け面5に水洗便器の平面視で左回りに放出される。
また、リム連結穴70から入った水は通水路70a,70b,70cを経て第2の吐水口12より汚物受け面5に水洗便器の平面視で左回りに放出される。
この実施形態においても、導水中に通水路36,70a,70b,70c内の空気が洗浄水と早期に置換し第1,2の吐水口11、12から排出されるので、通水路内で空気が圧縮されることがなくなる。そのため洗浄水の水流のエネルギーの損失が低減でき、洗浄時の静音化にも有利となる。
【0037】
次に、本発明の第7実施形態を図19乃至図25により説明する。図19は本発明の第7実施形態による洗浄水タンクを備えた水洗便器を示す正面図であり、図20は図19の平面図である。
第7実施形態は、上述した第5実施形態(図13乃至図15参照)と基本構造は同じであるが、節水型の洗浄水タンク(6L〜8L)を備えていること、及び、棚部の幅及び傾斜を旋回流の流れに沿って変化させるようにしたことが異なっている。以下、これらの事項に関し、具体的に説明する。
【0038】
図19及び図20に示すように、水洗便器は、節水型の洗浄水タンク(6L〜8L)70を備えている。この洗浄水タンク70は、ローシルエットと呼ばれる洗浄水タンクであり、水頭圧が一般のものより低くなっている。この洗浄水タンク70は、水洗便器と一体的に形成された、所謂、ワンピース便器である。このため、洗浄水タンク70の下方に形成された開口70aが、導水路3の開口3aを兼ねるようになっている。
【0039】
本実施形態では、ボウル部の棚部6cは、汚物受け面5と比べてその傾斜が緩やかな水平方向の領域を指し、第1及び第2の吐水口11,12からの洗浄水を汚物受け面5の上方で旋回させるための経路であり、下方に向って傾斜しその傾斜角θが下方に向って0度〜15度の範囲となる部分を意味し、その部分が、棚幅Wとなる。
【0040】
図21は第7実施形態のボウル部(棚部)の位置を任意の位置♯0〜♯17により示した平面図(タンクは省略し図示せず)であり、図22(a)〜(f)は任意の位置で見た棚部を含むボウル部の部分断面図であり、図23は第7実施形態における棚部の幅である棚幅を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図であり、図24は第7実施形態における棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図であり、図25は第7実施形態による旋回流の流れる様子を♯0〜♯17の位置に沿って示した平面図である。
【0041】
図21において、棚部6cの位置は、♯0〜♯17により示されている。各位置の間隔は任意であり、第1の吐水口11の位置を♯0(=♯18)、第2の吐水口12の位置を♯13、ボウルの前端部の位置を♯6、ボウル部の後端部の位置を♯15として示している。
ここで、棚部の形状を説明する前に、図21により、第1及び第2の吐水口11,13のそれぞれの配置位置を説明する。ボウル部2(棚部6c)は、ほぼ楕円形状をしており、前方視のとき左側と右側が対称となっており、また、概略的には、♯17〜♯4の領域及び♯8〜♯12の領域では相対的に曲率半径が大きく、一方、♯4〜♯8の領域及び♯12〜♯17の領域では相対的に曲率半径が小さくなっている。
【0042】
第1及び第2の吐水口11,12の配置位置をボウル部2の曲率半径の大きさとの関係で説明すれば、第1の吐水口11は、ボウル部の前後方向を中心として一方の側(図21において、前方視で左側)のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置(♯17)の近傍(♯0)に配置され、第2の吐水口12は、他方の側(右側)のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置(♯12)の近傍(♯13)に配置されている。
【0043】
本実施形態においては、第1及び第2の吐水口11,12をこれらの位置に配置することにより、第1の吐水口11から吐水された洗浄水により、ボウル部の一方の側(左側)の曲率半径の大きな領域(♯0〜♯4)、前端の曲率半径の小さな領域(♯4〜♯8)、他方の側(右側)の曲率半径の大きな領域(♯8〜♯12)が洗浄され、残りの後端の曲率半径の大きな領域(♯13〜♯0)は、第2の吐水口12から吐水された洗浄水により洗浄されるようになっている。このようにして、本実施形態によれば、ボウル部の全領域を効果的に洗浄することが出来るようになっている。
【0044】
次に、図21乃至図23により棚部の幅である棚幅(W)について説明する。本実施形態では、ボウル部の全面を洗浄できるようにすることを前提として、さらに進めて、第1の吐水口11から吐水された洗浄水の主流部(図25において“A”で示す)が排水路4の入口4aに向って流れ込むように、ボウル部5の棚部6cの棚幅Wを変化させ、即ち、ボウル部の前後方向を中心として両側(左右側)領域では広く、ボウル部の前端領域では狭くなるように形成している。このようにして、棚幅を狭くすることにより棚部からボウル部(汚物受け面5)へ流れる洗浄水の量を増やし、棚幅を広くすることにより洗浄水をボウル部へ流れ難くし旋回流として引き続き下流側に流すようにしているのである。
【0045】
具体的には、図22及び図23に示すように、♯0では棚幅W0は30mmであり、♯4では棚幅W4は26mmであり、♯6では棚幅W6は22mmであり、♯11では棚幅W11は27mmであり、♯12では棚幅W12は16mmであり、♯15では棚幅W15は15mmであり、♯18では棚幅W18は5mmである。
【0046】
全体的には、図23に示すように、棚幅Wは、第1の吐水口11から下流側に向って、曲率半径が大きな領域(♯0〜♯3)では広くなっており、曲率半径が小さくなる部分では前端(♯6)位置に向けて次第に小さくなり、前端の近傍領域(♯5〜♯7)で最も狭くなるようになっている。さらに、下流側に向って大きくなり、曲率半径が大きな領域(♯9〜♯11)で広くなり、第2の吐水口12の直前で、急激に狭くなっている。さらに、棚幅Wは、第2の吐水口12から下流側の領域(♯13〜♯18)では、急激に狭くなっている。ここで、本実施形態において、第2の吐水口12のすぐ上流側で棚幅を狭し、第1の吐水口11のすぐ上流側で棚幅を狭くすることにより、上流からの洗浄水と各吐水口から吐水される洗浄水とが接触することにより発生する水跳ね(ほぼ垂直方向に洗浄水が飛ぶこと)を確実に防止するようにしている。
【0047】
次に、図22及び図24に示すように、本実施形態では、棚部の棚幅を適正な値に設定し、旋回流を含む洗浄水の流れを制御するため、さらに、棚部6cと汚物受け面5の間の曲面の曲率半径Rの大きさを棚部の位置に沿って変化させている。具体的には、図24に示すように、棚部の位置と棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径Rの大きさは、第1の吐水口11の位置(♯0)から下流に向って増大し、ボウル部の前端位置から下流側の領域(♯6〜♯11)において最大となり、さらに下流の領域に向った減少するように形成されている。
【0048】
即ち、本実施形態においては、棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径Rの大きさを、ボウル部の前端位置から下流側の領域(♯6〜♯11)において、他の領域に比べ、大きな値に設定することにより、傾斜角が下方に向って15度よりも大きな部分を増やして棚幅を狭くし、その領域で、棚部から洗浄水がボウル部(汚物受け面)に流れ易くし、それにより、ボウル部全面を確実に洗浄できるようにすると共に、第1の吐水口11から吐水された洗浄水の主流部Aが排水路4の入口4aに向って流れ込み易くしているのである。
なお、棚幅6cと汚物受け面5との間は、曲面で形成せず、平面をつなげて構成するようにても良い。
【0049】
次に、図26及び図27により、本発明の洗浄水タンクを備えた水洗便器の実施形態における第1の吐水口11から吐水されるリム吐水量(R1)、第2の吐水口12から吐水されるリム吐水量(R2)、及び、ゼット穴8から吐水されるゼット吐水量(Z)、並びに、リム吐水量R(=R1+R2)とゼット吐水量Zの配分比等について説明する。図26は本発明の洗浄水タンクを備えた水洗便器の実施形態における洗浄限界A、搬送限界B、及び、性能限界D等を示す図であり、図27は本発明の洗浄水タンクを備えた水洗便器の実施形態におけるリム吐水量及びゼット吐水量の範囲を示す線図である。
ここで、図26及び図27は、ボウル部に溜水を形成した状態で洗浄タンクに貯溜されている洗浄水のみを使用して洗浄を行ったときに得られたデータ(実験結果)を示している。
【0050】
水洗便器には、一般に、洗浄限界A、搬送限界B、及び、性能限界Dがあり、旋回流を使用した水洗便器では、さらに、水飛び限界Eがあり、これらの限界値を満足する必要がある。
これらの限界値について、本実施形態による水洗便器(タンク容量6L)と従来技術による水洗便器(ボックスリムに設けられた多数の孔から吐水するタイプでタンク容量6L)とを比較して説明する。
【0051】
洗浄限界Aは、リム洗浄水がボール部を一周洗う限界値であり、換言すれば、リム洗浄水がボール面の全面をぬらすことができるリム吐水量の限界値である。図26に示すように、洗浄限界Aは、従来技術では1.3Lであったが、本実施形態では、0.5L(=R1+R2)であり、より少ないリム吐水量となっている。
【0052】
搬送限界Bは、ボール部に代用汚物を落し、リム洗浄水にて排水路(トラップ)まで搬送可能なリム吐水量の限界値であり、具体的には、代用汚物40gを汚物受け面に落し、リム洗浄水にて、溜水部まで移動させることができるリム吐水量の限界値である。
なお、代用汚物は、健康状態が正常の際の大便に近似させたものであり、大便の8割以上をとされる水分と有機分及び灰分からなる固形物を元に硬度(硬さ)や形態を調整したものである。
【0053】
図26に示すように、搬送限界Bは、従来技術では1.8Lであったが、本実施形態では、1.0L(=R1+R2)であり、より少ないリム吐水量となっている。
性能限界Cは、代用汚物がきちんと排出されるゼット吐水量の限界値である。図26に示すように、この性能限界Cは、本実施形態と従来技術は両者とも、3.0Lである。
水飛び限界Eは、リムから洗浄水がほぼ水平方向に飛び出る(特に、便器先端部から洗浄水が飛び出る)リム吐水量の限界値である。水飛びは、ボックスリムに設けられた多数の孔から吐水するタイプである従来技術では発生せず、旋回流を用いる本実施形態のみに適用される。図26に示すように、水飛びの限界値は、各リム吐水量毎に判断され、本実施形態では、2.3L(第1の吐水口の吐水量R1)である。
また、図26図には、本実施形態の実施例Cとして、リム吐水量R(=R1+R2)が2.0L、ゼット吐水量Zが4.0Lとした水洗便器が示されており、この水洗便器は、洗浄限界A、搬送限界B、性能限界D及び水飛び限界Eの全ての限界を満たしている。
【0054】
図27は、リム吐水量及びゼット吐水量と、搬送限界B、性能限界D及び水飛び限界Eの関係を示す線図である。
図27に示すように、従来技術では、ゼット吐水量が性能限界D'の3.0L以上で且つリム吐水量Rが搬送限界B'の1.8L以上となっている。一方、本実施形態では、ゼット吐水量が性能限界Dの3.0L以上で且つリム吐水量R(=R1+R2)が搬送限界Bの1.0L以上となっている。また、リム吐水量R1(又はR2)は、水飛び限界Eの2.3L未満となっている。図27には、更に、タンク容量が6Lの実施例Cが取り得るリム吐水量Rおよびゼット吐水量Zの値も示されている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、搬送限界Bが従来の1.8Lから1.0Lまで減少させることができたので、その分、洗浄水を節水することができ、節水型のタンク(タンク容量4〜6L)を使用することが可能となる。また、同じタンク容量(例えば6L)の場合には、ゼット吐水量をより多くすることができるので、その分、サイホンを早期に発生させることができ、効果的に汚物の洗浄排出を行うことができる。
【0056】
本実施形態では、リム吐水量Rとゼット吐水量Zの配分(割合)を、図26に示すように、タンク容量が6Lの場合、(17%:83%)〜(50%:50%)の範囲に設定することにより、搬送限界B及び性能限界Dの両方の限界を満たすことができる。
さらに、本実施形態では、リム吐水量Rに関し、第1の吐水口11から吐水される吐水量R1は、第2の吐水口12から吐水される吐水量R2よりも、多くの洗浄水が吐水されるように、その開口の大きさが設定されている。この吐水量R1と吐水量R2の配分(割合)は、各吐水口から次の吐水口までの旋回流の距離とほぼ比例するように設定されている。
本実施形態では、第1の吐水口11と第2の吐水口12は、上述した好ましい位置に配置されているので、リム吐水量Rにおいて、吐水量R1と吐水量R2の配分(割合)は、(55%:45%)〜(70%:30%)の範囲が好ましい。
【0057】
次に、本発明の第8実施形態を図28により説明する。図28は本発明の第8実施形態によるハイブリット式の水洗便器を示す縦断面図である。
【0058】
第8実施形態は、上述した第7実施形態と基本構造は同じであるが、第1及び第2の吐水口への洗浄水は水道配管から供給され、一方、ゼット穴への洗浄水は洗浄水タンク内の洗浄水が供給されるようになっている点が異なっている。以下、これらの事項に関し、具体的に説明する。
【0059】
図28に示すように、本実施形態の水洗便器は、洗浄水タンク80を備えており、第1の吐水口11及び第2の吐水口12への洗浄水は水道配管から供給され、一方、ゼット穴8への洗浄水は洗浄水タンク80内に貯溜された洗浄水が供給されるようになっている。
洗浄水タンク80の底部には開口3aが形成されており、この開口3aがボール状の排水弁82により開閉されるようになっている。この排水弁82は、鎖84により電動モータ86に接続されており、洗浄スイッチ87の操作により、電動モータ86が駆動され、排水弁82を上昇させて、洗浄水タンク80内の洗浄水を導水路3及び通水路36を経由してゼット穴8に供給できるようになっている。なお、排水弁82は、フロート(図示せず)に連結され、洗浄水タンク80内の水位が所定以下になるまで開口3aを開放するようになっている。
【0060】
洗浄水タンク80内には、水道配管88が挿入されており、この水道配管88は、タンク内部で第1分岐管90及び第2分岐管92に分岐し、それぞれに電磁弁94,96が設けられている。第1分岐管90は、洗浄水タンク80内で開口し、水道水をタンク内に供給し、一方、第2分岐管92は、リム穴63,67にそれぞれ接続され、水道水を水道配管88から直接的に第1及び第2の吐水口11,12に供給するようになっている。
また、水洗便器は制御装置98を備えており、この制御装置98には、操作スイッチ87の操作を検知した検知信号が入力され、それに基づき、電磁弁94,96にこれらの電磁弁の開閉操作を行う操作信号及び電動モータ86の駆動信号が出力される。具体的には、便器使用後に操作スイッチ87が操作されると、先ず、電磁弁96が開操作され、水道配管88から水道水が洗浄水として第2分岐管92を経由して、第1及び第2の吐水口11,12に供給される。次に、その数秒後に、電動モータ86が駆動され、排水弁82が上昇し、それにより、洗浄水タンク80内の洗浄水が、ゼット穴8に供給され、サイホン作用が発生し、汚物が排出される。その後、洗浄タンク80内の水位が低下して、排水弁82が開口3aを閉じ、その後、第2分岐管92から供給される洗浄水によりボウル部に封水に必要な溜水面が形成され、その後、電磁弁96を閉操作し、さらに、電磁弁94を開操作して、空になった洗浄水タンク80内に洗浄水を貯溜する。
なお、図28に示す水洗便器において、電磁弁94に代えて、洗浄水タンク80内の水位に応じて、機械的に第1分岐管90の吐水をオン・オフするボールタップバルブを用いても良い。
【0061】
この第8実施形態は、上述した第7実施形態と基本的には同様な作用効果を奏するが、さらに、ハイブリット式の水洗便器であるため、洗浄水タンク80内の洗浄水は、ゼット穴8のみに供給され、第1及び第2の吐水口11,12へは水道配管から直接水道水が供給されるようになっているので、洗浄水タンク80をより小型化することができる。さらに、洗浄水タンク内の洗浄水の全てをゼット穴8に供給すると共に、ゼット穴8への洗浄水の供給を、第1及び第2の吐水口11,12への洗浄水の供給によってボウル部内の溜水を旋回させた後に行っているので、タンク内の洗浄水の水量が少なくてもサイホン作用を確実に発生させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、制御装置98により、第1及び第2の吐水口11,12からのリム吐水及びゼット穴8からのゼット吐水のそれぞれのタイミング、吐水量(分配比)を制御できるので、ゼット穴8からの吐水を第1及び第2の吐水口11,12からの吐水と同時に行うようにしても良い。
【0063】
次に、本発明の第9実施形態を図29及び図30により説明する。図29は本発明の第9実施形態による水道直圧式の水洗便器を示す縦断面図であり、図30は第9実施形態による水洗便器におけるリム吐水及びゼット吐水のタイミングを示す線図である。
第9実施形態は、上述した第7実施形態及び第8実施形態と基本構造は同じであるが、第1及び第2の吐水口への洗浄水及びゼット穴への洗浄水の両者が水道配管から供給される点が異なっている。以下、これらの事項に関し、具体的に説明する。
【0064】
図29に示すように、本実施形態による水道直結式の水洗便器は、給水源である水道配管100から、洗浄水を便器に供給するための洗浄水制御装置102を備えている。この洗浄水制御装置102は、先ず、水道配管100との接続部に配置され、給水圧の変動をキャンセルして一定の流量を維持するための定流量弁104を備えている。この定流量弁104により、水道配管100の給水圧が変動しても、第1及び第2のリム吐水部11,12及びゼット穴8に供給される洗浄水の流量が常時所定の一定の流量となる。
【0065】
洗浄水制御装置102において、定流量弁104の下流側は、リム用配管106及びゼット用配管108とに分岐しており、これらのリム用配管106及びゼット用配管108は、ぞれぞれの流路を開閉するための電動弁110,112を備えている。これらの電動弁110,112は、それぞれの開閉タイミングが制御されるようになっている。
【0066】
リム用配管106は、その下流側で更に第1リム配管106aと第2リム配管106bとの分岐している。第1リム配管106aは、便器本体内に設けられ配管により形成された第1リム通水路114を経由して第1の吐水口11に洗浄水を供給し、一方、第2リム配管106bは、便器本体内に設けられ配管により形成された第2リム通水路116を経由して第2の吐水口12に洗浄水を供給するようになっている。
また、ゼット用配管108は、便器本体内に設けられ配管により形成されたゼット通水路118を経由してゼット穴8に洗浄水を供給するようになっている。
さらに、洗浄スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0067】
次に第9実施形態の洗浄水制御装置によるリム吐水及びゼット吐水のタイミング制御の内容を説明する。
図30において、実線は、リム用配管106の電動弁110の開閉によるリム吐水の流量を示し、鎖線は、ゼット用配管108の電動弁112の開閉によるゼット吐水の流量を示している。
図30に示すように、洗浄スイッチによる給水命令があると、時刻t0において、リム用配管106の電動弁110を開弁させて所定の流量で第1及び第2の吐水口11,12から吐水を行う。この状態を所定時間維持してボウル部2の汚物を溜水へ落とし込み、また、溜水を旋回させた後、時刻t1において、電動弁104を閉弁させると同時にゼット用配管108の電動弁112を開弁させることにより所定の流量でゼット穴8より吐水を行なう。このゼット穴8からの吐水によりサイホン作用によって汚物が排出されるが、ゼット穴8からの吐水が一定時間行われると、時刻t2において、電動弁112の開度を少し絞って流量を所定の流量よりも少なくし、その少なくなった流量をリム吐水に用いるために、電動弁110を僅かに開弁する。この後、所定時間が経過した時刻t3において、電動弁112を閉弁するとともに電動弁110を全開にして、第1及び第2の吐水口11,12からの吐水を再開する。所定の流量のリム吐水(ボウル給水)を所定時間継続した時刻t4において、電動弁110を閉弁して一連の洗浄動作を終了する。
【0068】
この第9実施形態における上述したリム吐水及びゼット吐水のタイミング制御では、ゼット穴8からの吐水終了直前(時刻t3)に第1及び第2の吐水口11,12からも吐水(オーバーラップ)を行うようにして、ゼット穴8からの吐水開始初期に汚物受け面に載ってしまった汚物などを第1及び第2の吐水口11,12からの吐水で洗浄してサイホン作用で便器外へ排出するようにしている。
しかしながら、第9実施形態は、これに限らず、このようなリム吐水とゼット吐水のオーバーラップが無く、単に、リム用配管106からの給水→ゼット用配管108からの給水→リム用配管106からの給水、といった吐水パターンとしても良い。さらに、ゼット穴8からの吐水を第1及び第2の吐水口11,12からの吐水と同時に行うようにしても良い。
【0069】
この第9実施態様は、上述した第7実施態様及び第8実施形態と、同様な作用効果を奏することができる。さらに、これに加えて、水道直圧式の水洗便器であるため、洗浄水タンクが必要無いので、コンパクトな概観を持つ水洗便器が提供でき、且つ、リム吐水とゼット吐水の吐水タイミングを自由に設定して給水の制御を行うことができるので、より効率的な洗浄を行なうことができる。また、水道水の水圧が低い場合でもリム吐水口が2つ設けられているので、水道水が低水圧でも確実な洗浄を行うことができるという効果も奏する。
【0070】
図31は、本発明の上述した実施形態の水洗便器のリム部の他の例を示す部分断面図である。本発明の上述した実施形態の水洗便器では、図2等に示すように、リム6の内周面6aが内方に向って斜めに延びてリム6のオーバーハング形状としていたが、上述した第1乃至第9の本実施形態では、これに限らず、図31に示すように、リム6の下面6bが内方に向って水平方向に延びてリム6のオーバーハング形状としても良い。
【0071】
以上に説明したように本発明の水洗便器によれば、洗浄水が旋回流の終端部まで十分に行き渡たることにより、ボウル部の洗浄及び汚物の排出を効果的に行なうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す水洗便器の縦断面図である。
【図3】図3(a)〜(e)は、それぞれ図1のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示す水洗便器の縦断面図である。
【図6】図6(a)〜(e)は、それぞれ図4のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図8】図8は、図7に示す水洗便器の縦断面図である。
【図9】図9(a)〜(d)は、それぞれ図4のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図11】図11は、図10に示す水洗便器の縦断面図である。
【図12】図12(a)〜(d)は、それぞれ図4のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の第5実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図14】図14は、図13に示す水洗便器の縦断面図である。
【図15】図15(a)〜(d)は、それぞれ図13のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。
【図16】図16は、本発明の第6実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図17】図17は、図16に示す水洗便器の縦断面図である。
【図18】図18(a)〜(d)は、それぞれ図16のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面である。
【図19】図19は、本発明の第7実施形態による洗浄水タンクを備えた水洗便器を示す正面図である。
【図20】図20は、図19の平面図である。
【図21】図21は、本発明の第7実施形態のボウル部(棚部)の位置を任意の位置♯0〜♯17により示した平面図(タンクは省略し図示せず)である。
【図22】図22(a)〜(f)は、任意の位置で見た棚部を含むボウル部の部分断面図である。
【図23】図23は、本発明の第7実施形態における棚部の幅である棚幅を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図である。
【図24】図24は、本発明の第7実施形態における棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図である。
【図25】図25は、本発明の第7実施形態による旋回流の流れる様子を♯0〜♯17の位置に沿って示した平面図である。
【図26】図26は、本発明の洗浄水タンクを備えた実施形態による水洗便器における洗浄限界A、搬送限界B、及び、性能限界D等を示す図である。
【図27】図27は、本発明の洗浄水タンクを備えた実施形態におけるリム吐水量及びゼット吐水量の範囲を示す線図である。
【図28】図28は、本発明の第8実施形態によるハイブリット式の水洗便器を示す縦断面図である。
【図29】図29は、本発明の第9実施形態による水道直圧式の水洗便器を示す縦断面図である。
【図30】図30は、第9実施形態による水洗便器におけるリム吐水及びゼット吐水のタイミングを示す線図である。
【図31】図31は、本発明の実施形態の水洗便器のリム部の他の例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0073】
2 ボウル部
4 排水路
5 汚物受け面
6 リム
6c 棚部
11 第1の吐水口
12 第2の吐水口
63a、64a、65、66 通水路
67a、67b、69a、69b、70a〜70c 通水路
70 洗浄水タンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器に係り、特に、旋回流を形成して洗浄及び汚物の排出を行う水洗便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な水洗便器は上緑部に断面矩形状のリムを形成し、このリム内を通水路とするとともに、リム下面に洗浄水を汚物受け面に吐水する穴或いはスリットを形成している。
しかしながら、上述した水洗便器では、リムの下面と汚物受け面との境界部が上方から見て死角になり、特にリムの下面には洗浄水が廻り込まないため、汚れが残りやすいという問題があり、また境界部が見にくいため釉薬の塗布が完全に行えない場合があり、これも汚れが付着する原因になっていた。
【0003】
このような従来の一般的な水洗便器が持つ問題を解決するため本出願人は、WO98/16696号公報(特許文献1)により、リム内を通水路としない水洗便器の新たな構造を提案した。
この水洗便器は、ボウル部に臨むリム内側面と汚物受け面とをスムーズに連続した形状とすることで、陰になる部分をなくし、しかもボウル部への洗浄水の供給はボウル部の後部の1箇所に吐水口を設け、この吐水口からリムと汚物受け面との境界部近傍に洗浄水を吐水して旋回流を形成して、汚物受け面の全面に洗浄水を行き渡らせるようにしたものである。
【0004】
上述したWO98/16696号公報では、リムの内側面をオーバーハング形状として洗浄水が便器外へ飛び出すのを防止している。また、洗浄水を1周旋回させたのでは距離が長くなり吐水圧力を高くしなければならず、また万遍なく行き渡らせるため形状に自由度がなくなる。そこで、ボウル部後部の左右にそれぞれ吐水口を設け、給水源からの洗浄水を左右に分岐して各吐水口に供給する構造も提案されている。
また、特開平9−125502号公報(特許文献2)には、ロータンク下部にディストリビュータを配設し、気泡分散水(洗浄水)をボウル部に左右に分けて供給するようにした水洗便器が開示されている。
更に、特開2000−96689号公報(特許文献3)には、複数の吐水口を設け、これらの複数の吐水口により、1つの旋回流を形成するようにした水洗便器が開示されている。具体的に言えば、吐水口は、ボウル部の前端部及び後端部の2箇所、又は、ボウル部の前端部、後端部、右側中央部及び左側中央部の4箇所にぞれぞれ設けられている。
【0005】
【特許文献1】WO98/16696号公報
【特許文献2】特開平9−125502号
【特許文献3】特開2000−96689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄水タンクを利用した水洗便器は、タンク内の洗浄水を便器に供給するとき、洗浄が進むにつれてタンク内の水量が減るので、必然的に水頭圧が下がってくる。洗浄のために必要な十分な旋回流を確保するために、水頭圧を高くしようとすると、一つの吐水口からの吐水量が、洗浄初期に多くなり洗浄水が便器外へ飛び出す恐れがあり、また、洗浄終期には、洗浄水の旋回流が終端部まで十分に行き渡らなく、ボウル部の洗浄が十分に行なわれない恐れがある。
【0007】
この問題を解決するために、吐水口を複数個設ければ良いが、WO98/16696号公報(特許文献1)や特開平9−125502号公報(特許文献2)の開示されているように、ディストリビュータなどで左右に分岐して洗浄水を吐水する構造では、逆向きの旋回流が2つ形成されるので、洗浄水が便器中央部分でぶつかって跳ねるという問題がある。
【0008】
さらに、特開2000−96689号公報(特許文献3)には、複数の吐水口により1つの向きの旋回流を形成するようにしたものが開示されているが、単に吐水口を複数設けたものでは、水洗便器に要求されるボール部(ボール面)の洗浄及び汚物の搬送排出を効果的に行うことができず、これらを満足できるような具体的構成、例えば、吐水口の位置、吐水口への洗浄水の供給の仕方は、何ら提案されておらず、実用的な面で問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、洗浄水が旋回流の終端部まで十分に行き渡たることにより、ボウル部の洗浄及び汚物の排出を効果的に行なうことが出来る水洗便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、洗浄水タンク内に貯溜された先浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗便器であって、ボウル形状の汚物受け面と、上縁部でありその内周面が内方に向ってオーバーハングしたリム部と、このリム部と汚物受け面との間に形成された棚部とを備えたボウル部と、このボウル部の下方にその入口が接続され汚物をサイホン作用により排出する排水路と、ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し旋回流を形成する第1の吐水部と、ボウル部の棚部上に上記旋回流の旋回方向と同一方向に洗浄水を吐水する第2の吐水部と、洗浄水タンクから洗浄水を第1の吐水部に供給する第1の通水路と、洗浄水タンクから洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路と、を有し、第1の吐水部は、ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置され、第2の吐水部は、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置されていることを特徴としている。
【0011】
このように構成された本発明によれば、リム部の内周面が内方に向ってオーバーハングして形成されているので、従来のように死角部分がなくなり、便器の清掃を楽に行うことができ、便器を常に清潔な状態に維持することができる。
【0012】
次に、2つの吐水部を設けたので、1つの吐水部から吐水される洗浄水の旋回距離が短くなり、洗浄が進んで、タンクの水頭圧が低くても、洗浄水が旋回流の終端部まで十分に行き渡たることが出来るので、ボウル部(ボウル面)を十分に洗浄することが出来る。さらに、第1の吐水部と第2の吐水部により、ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し1つの旋回流を形成するようにしているので、2つの旋回流を形成する場合に比べ、排水路の入口に向けて旋回流を形成しながらボウル部内の汚物を旋回流の旋回中心付近に集めて排水路に導くことにより、より効果的に便器外へ排出出来る。
【0013】
また、ボウル部は、一般的に楕円形状であり、前端と後端の領域は曲率半径が小さく、平面視で右側と左側の領域は曲率半径が大きくなっている。そこで、本発明においては、第1の吐水部を、ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置し、第2の吐水部を、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置しているので、第1の吐水部により吐水される洗浄水により、ボウル部の一方の側(例えば、前方から見て左側)の曲率半径の大きな領域、前端の曲率半径の小さな領域、他方の側(例えば、前方から見て右側)の曲率半径の大きな領域が洗浄され、残りの後端の曲率半径の大きな領域は、第2の吐水部により吐水される洗浄水により洗浄されるようになっているため、ボウル部の全領域を効果的に洗浄することが出来る。
【0014】
本発明において、好ましくは、第2の通水路は、Uターンして第2の吐水部に連通している。
このように構成された本発明によれば、第2の通水路がリム部の内部をUターンして第2の吐水部に連通しているので、第2の吐水部に洗浄水を供給する第2の通水路をリム部の内部を長い距離周回する必要がなくなり、摩擦抵抗が減少してエネルギーロスが低減する。
【0015】
本発明において、好ましくは、第1の吐水部から吐水されるリム吐水量は、第2の吐水部から吐水されるリム吐水量よりも多い。
このように構成された本発明によれば、第1の吐水部から吐水される洗浄水によりボウル部の大部分が洗浄され、残りの部分が第2の吐水部から吐水される洗浄水により洗浄されるので、確実にボウル部の洗浄を行うことができる。また、第1の吐水口から吐水された洗浄水がボウル部先端側から排水口へ向かう流れ(主流部)を形成し易く、この形成された主流部により、汚物、特に浮遊汚物を排水路に押込む機能を発揮する。
【0016】
本発明において、好ましくは、ボウル部の棚部は、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が排水路の入口に向って流れ込むように、その幅が変化して形成されている。
このように構成された本発明においては、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が排水路の入口に向って流れ込むように、その幅が変化して形成されているため、比較的多くの水量(主流部の水量)が、排水路に向けて供給されるため、汚物、特に溜水面に浮遊していた汚物を排水路まで容易に導くことが出来る。
【0017】
本発明において、好ましくは、ボウル部の棚部は、その幅がボウル部の前後方向を中心として両側領域では広く形成されボウル部の前端領域では狭く形成されている。
このように構成された本発明によれば、単に、ボウル部の棚幅を変化させることにより、簡易に、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が排水路の入口に向って流れ込むようにすることができる。
【0018】
本発明において、ボウル部の棚部は、下方に向って傾斜しその傾斜角が下方に向って0度〜15度の範囲内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。先ず、本発明の第1実施形態を図1乃至図3により説明する。図1は本発明の第1実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図2は図1に示す水洗便器の縦断面図であり、図3(a)〜(e)はそれぞれ図1のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。
【0020】
図1乃至図3に示す第1実施形態の水洗便器は、表面に釉薬層が形成された陶器製であり、下部にスカート部1が形成され、上半部のうち前方にボウル部2が形成され、後方上部に導水路3、後方下部に排水路4がそれぞれ形成されている。
【0021】
ボウル部2は椀状をなす汚物受け面5と上縁部を構成するリム6を有し、汚物受け面5の乾燥面5aと、棚部6cと、リム6の内側面6aはスムーズな曲面で連続している。そして、上から見て死角になる箇所がないように、また、清掃の際には使い捨ての紙等を使用して簡単に内側面6aを拭き取ることができ、しかも洗浄水が外に飛び出すことがないように、リム6の内側面6aは内方に向かってある程度オーバーハングした形状になっている。
【0022】
汚物受け面5の中央で溜水の水面下となる箇所には排水路4の入口4aが開口し、この排水路入口4aから上昇路4bが後方に伸び、この上昇路4bには下降路4c(縦管)が連続し、下降路4cの下端は、ジョイント(図示せず)を介して排出管に接続されている。
【0023】
導水路3の後部天井面には貯水タンクまたは水道管に連結されたフラッシュバルブにつながる開口3aが形成されている。また、導水路3は左右の側壁31,31によりその幅が狭められ、一方の側壁の内側には供給された洗浄水を一方の側(ボウル部2の前方側から見て左側)のリム6内に導くガイド部31aが設けられている。
【0024】
また、導水路3の前部でガイド部31aに導かれた洗浄水は、導水路側壁31の前方にて隔壁62で上下に区分けされたリム連結穴63,64より水洗便器の平面視で左回り(洗浄水の流れる方向)に進み、図3(b)に示す隔壁62で区分けされた通水路63a,64aを経たのち下方の通水路63aは第1の吐水口11につながり、上方の通水路64aは更に便器前部のリム内を通って、図3(c)および(d)に示す通水路65,66を経て第2の吐水口12につながっている。
【0025】
一方、リム連結穴63より流入した洗浄水は通水路63aの底面開口61を経て、図3(a)に示すように、押込洗浄水吐水口7に洗浄水を供給する通水路7aと連通している。この押込洗浄水吐水口7は水面下に開口しており汚物を排水路4に押し込む方向に洗浄水を吐水する機能を発揮する。
【0026】
第1及び第2の吐水口11,12はいずれも高さ位置は汚物受け面5の乾燥面5aとリム6の内側面6aとの境界部近くで、前後位置は平面視で排水路入口4aの側方となる位置に形成され、更に第1の吐水口11にあっては洗浄水の吐水方向が前方となり、第2の吐水口12にあっては洗浄水の吐水方向が後方となるようにし、ボウル部2に平面視で反時計回りの洗浄水による1つの旋回流が形成されるようになっている。
【0027】
上述した第1実施形態においては、給水源から供給された洗浄水は、リム連結穴63,64より分かれて流入し、リム連結穴63より流入した洗浄水の一方は、底面開口61を経て押込洗浄水吐水口7から排水路入口4aの近傍のボウル部底面2aに向けて放出され、一方は、通水路63aを経たのち第1の吐水口11から放出される。また、リム連結穴64より流入した洗浄水は、通水路64a,65,66を経たのち第2の吐水口12から放出され、両吐水口11、12から放出された洗浄水は1つの旋回流となって、汚物受け面5の全面に行き渡る。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態を図4乃至図6により説明する。図4は本発明の第2案施形態による水洗便器を示す平面図であり、図5は図4に示す水洗便器の縦断面図であり、図6(a)〜(e)はそれぞれ図4のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。第2実施形態に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
【0029】
この第2実施形態においては、押込洗浄水吐水口7を溜水部の水面よりも上方に開口させ、汚物、特に溜水面に浮遊していた汚物を排水路4に押し込む方向に洗浄水を吐水するようにしている。
なお、通水路7a、63a、64a及び第1,第2の吐水口11,12の構造は、第1実施形態と同一である。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態を図7乃至図9により説明する。図7は本発明の第3案施形態による水洗便器を示す平面図であり、図8は図7に示す水洗便器の縦断面図であり、図9(a)〜(d)はそれぞれ図4のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第3実施形態に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
【0031】
この第3実施形態においては、排水路入口4aと対向する箇所に汚物を効率的に排水路に押し込むゼット穴8を設けている。
さらに、第3実施形態においては、導水路3を隔壁34にて上部導水路30aと下部導水路30bに分け、隔壁34に形成した開口35を介して給水源からの洗浄水が、下部導水路30b内に供給されるようになっており、隔壁34は、導水路内の空気の洗浄水への巻き込みによるサイホンの発生の遅れを防止している。そして、上部導水路30aは第2の吐水口12に洗浄水を供給する通水路64aと連通し、下部導水路30bは第1の吐水口11に洗浄水を供給する通水路63a及びゼット穴8に洗浄水を供給する通水路36と連通している。下部導水路30b内に供給された洗浄水は通水路36を介してゼット穴8から放出される。
【0032】
次に、本発明の第4実施形態を図10乃至図12により説明する。図10は本発明の第4実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図11は図10に示す水洗便器の縦断面図であり、図12(a)〜(d)はそれぞれ図10のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第3実施形態に関し、上述した第3実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
この第4実施形態においては、第1実施形態と同様に、導水路内を上下に分けず、通水路63a,64a及びゼット穴8に洗浄水を供給する通水路36に洗浄水を送り込むようにしている。
【0033】
次に、本発明の第5実施形態を図13乃至図15により説明する。図13は本発明の第5実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図14は図13に示す水洗便器の縦断面図であり、図15(a)〜(d)はそれぞれ図13のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第5実施形態に関し、上述した第4実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
この第5実施形態において、供給水源から供給された洗浄水は、導水路3の前部で左右に設けられたリム連結穴63、67により一部分岐され、リム連結穴63に入った水は水洗便器の平面視で左回りに、リム連結穴67に入った水は右回りに進む。
【0034】
リム連結穴63から入った水は通水路63aを経た後、第1の吐水口11より汚物受け面5に平面視で左回りに放出される。またリム連結穴67から入った水は通水路67aを経た後、隔壁68の先端部でUターンし、通水路67bを経て第2の吐水口12より汚物受け面5へ水洗便器の平面視で左回りに放出される。こうすることで、リム6内の水が通る経路が短くなるため、結露の防止に効果的である。
【0035】
また、導水中に第1,2の吐水口11,12への通水路63a,67a,67b内及びゼット穴8への通水路36内の空気が洗浄水と早期に置換して第1,2の吐水口11,12から排出されるので、通水路内で空気が圧縮されることがなくなる。そのため洗浄水の水流のエネルギーの損失が低減でき、洗浄時の静音化にも有利となる。
更に、リムの通水路構造が単純なため、通水路63a,67a,67bに重力方向に勾配をつけることで、洗浄後長期間にわたり吐水口より汚物受け面に少量ずつ放出し続ける水が低減され、汚物受け面に縦筋状に形成される水垢汚れを抑制することができる。
【0036】
次に、本発明の第6実施形態を図16乃至図18により説明する。図16は本発明の第6実施形態による水洗便器を示す平面図であり、図17は図16に示す水洗便器の縦断面図であり、図18(a)〜(d)はそれぞれ図16のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。第6実施形態に関し、上述した第5実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
この第6実施形態においては、導水路3の開口3aに近い上流側部分の左右にリム連結穴69,70を設け、供給水源から供給された洗浄水は、これらリム連結穴69,70により一部分岐される。リム連結穴69から入った水は通水路69a、69bを経た後、第1の吐水口11より汚物受け面5に水洗便器の平面視で左回りに放出される。
また、リム連結穴70から入った水は通水路70a,70b,70cを経て第2の吐水口12より汚物受け面5に水洗便器の平面視で左回りに放出される。
この実施形態においても、導水中に通水路36,70a,70b,70c内の空気が洗浄水と早期に置換し第1,2の吐水口11、12から排出されるので、通水路内で空気が圧縮されることがなくなる。そのため洗浄水の水流のエネルギーの損失が低減でき、洗浄時の静音化にも有利となる。
【0037】
次に、本発明の第7実施形態を図19乃至図25により説明する。図19は本発明の第7実施形態による洗浄水タンクを備えた水洗便器を示す正面図であり、図20は図19の平面図である。
第7実施形態は、上述した第5実施形態(図13乃至図15参照)と基本構造は同じであるが、節水型の洗浄水タンク(6L〜8L)を備えていること、及び、棚部の幅及び傾斜を旋回流の流れに沿って変化させるようにしたことが異なっている。以下、これらの事項に関し、具体的に説明する。
【0038】
図19及び図20に示すように、水洗便器は、節水型の洗浄水タンク(6L〜8L)70を備えている。この洗浄水タンク70は、ローシルエットと呼ばれる洗浄水タンクであり、水頭圧が一般のものより低くなっている。この洗浄水タンク70は、水洗便器と一体的に形成された、所謂、ワンピース便器である。このため、洗浄水タンク70の下方に形成された開口70aが、導水路3の開口3aを兼ねるようになっている。
【0039】
本実施形態では、ボウル部の棚部6cは、汚物受け面5と比べてその傾斜が緩やかな水平方向の領域を指し、第1及び第2の吐水口11,12からの洗浄水を汚物受け面5の上方で旋回させるための経路であり、下方に向って傾斜しその傾斜角θが下方に向って0度〜15度の範囲となる部分を意味し、その部分が、棚幅Wとなる。
【0040】
図21は第7実施形態のボウル部(棚部)の位置を任意の位置♯0〜♯17により示した平面図(タンクは省略し図示せず)であり、図22(a)〜(f)は任意の位置で見た棚部を含むボウル部の部分断面図であり、図23は第7実施形態における棚部の幅である棚幅を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図であり、図24は第7実施形態における棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図であり、図25は第7実施形態による旋回流の流れる様子を♯0〜♯17の位置に沿って示した平面図である。
【0041】
図21において、棚部6cの位置は、♯0〜♯17により示されている。各位置の間隔は任意であり、第1の吐水口11の位置を♯0(=♯18)、第2の吐水口12の位置を♯13、ボウルの前端部の位置を♯6、ボウル部の後端部の位置を♯15として示している。
ここで、棚部の形状を説明する前に、図21により、第1及び第2の吐水口11,13のそれぞれの配置位置を説明する。ボウル部2(棚部6c)は、ほぼ楕円形状をしており、前方視のとき左側と右側が対称となっており、また、概略的には、♯17〜♯4の領域及び♯8〜♯12の領域では相対的に曲率半径が大きく、一方、♯4〜♯8の領域及び♯12〜♯17の領域では相対的に曲率半径が小さくなっている。
【0042】
第1及び第2の吐水口11,12の配置位置をボウル部2の曲率半径の大きさとの関係で説明すれば、第1の吐水口11は、ボウル部の前後方向を中心として一方の側(図21において、前方視で左側)のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置(♯17)の近傍(♯0)に配置され、第2の吐水口12は、他方の側(右側)のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置(♯12)の近傍(♯13)に配置されている。
【0043】
本実施形態においては、第1及び第2の吐水口11,12をこれらの位置に配置することにより、第1の吐水口11から吐水された洗浄水により、ボウル部の一方の側(左側)の曲率半径の大きな領域(♯0〜♯4)、前端の曲率半径の小さな領域(♯4〜♯8)、他方の側(右側)の曲率半径の大きな領域(♯8〜♯12)が洗浄され、残りの後端の曲率半径の大きな領域(♯13〜♯0)は、第2の吐水口12から吐水された洗浄水により洗浄されるようになっている。このようにして、本実施形態によれば、ボウル部の全領域を効果的に洗浄することが出来るようになっている。
【0044】
次に、図21乃至図23により棚部の幅である棚幅(W)について説明する。本実施形態では、ボウル部の全面を洗浄できるようにすることを前提として、さらに進めて、第1の吐水口11から吐水された洗浄水の主流部(図25において“A”で示す)が排水路4の入口4aに向って流れ込むように、ボウル部5の棚部6cの棚幅Wを変化させ、即ち、ボウル部の前後方向を中心として両側(左右側)領域では広く、ボウル部の前端領域では狭くなるように形成している。このようにして、棚幅を狭くすることにより棚部からボウル部(汚物受け面5)へ流れる洗浄水の量を増やし、棚幅を広くすることにより洗浄水をボウル部へ流れ難くし旋回流として引き続き下流側に流すようにしているのである。
【0045】
具体的には、図22及び図23に示すように、♯0では棚幅W0は30mmであり、♯4では棚幅W4は26mmであり、♯6では棚幅W6は22mmであり、♯11では棚幅W11は27mmであり、♯12では棚幅W12は16mmであり、♯15では棚幅W15は15mmであり、♯18では棚幅W18は5mmである。
【0046】
全体的には、図23に示すように、棚幅Wは、第1の吐水口11から下流側に向って、曲率半径が大きな領域(♯0〜♯3)では広くなっており、曲率半径が小さくなる部分では前端(♯6)位置に向けて次第に小さくなり、前端の近傍領域(♯5〜♯7)で最も狭くなるようになっている。さらに、下流側に向って大きくなり、曲率半径が大きな領域(♯9〜♯11)で広くなり、第2の吐水口12の直前で、急激に狭くなっている。さらに、棚幅Wは、第2の吐水口12から下流側の領域(♯13〜♯18)では、急激に狭くなっている。ここで、本実施形態において、第2の吐水口12のすぐ上流側で棚幅を狭し、第1の吐水口11のすぐ上流側で棚幅を狭くすることにより、上流からの洗浄水と各吐水口から吐水される洗浄水とが接触することにより発生する水跳ね(ほぼ垂直方向に洗浄水が飛ぶこと)を確実に防止するようにしている。
【0047】
次に、図22及び図24に示すように、本実施形態では、棚部の棚幅を適正な値に設定し、旋回流を含む洗浄水の流れを制御するため、さらに、棚部6cと汚物受け面5の間の曲面の曲率半径Rの大きさを棚部の位置に沿って変化させている。具体的には、図24に示すように、棚部の位置と棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径Rの大きさは、第1の吐水口11の位置(♯0)から下流に向って増大し、ボウル部の前端位置から下流側の領域(♯6〜♯11)において最大となり、さらに下流の領域に向った減少するように形成されている。
【0048】
即ち、本実施形態においては、棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径Rの大きさを、ボウル部の前端位置から下流側の領域(♯6〜♯11)において、他の領域に比べ、大きな値に設定することにより、傾斜角が下方に向って15度よりも大きな部分を増やして棚幅を狭くし、その領域で、棚部から洗浄水がボウル部(汚物受け面)に流れ易くし、それにより、ボウル部全面を確実に洗浄できるようにすると共に、第1の吐水口11から吐水された洗浄水の主流部Aが排水路4の入口4aに向って流れ込み易くしているのである。
なお、棚幅6cと汚物受け面5との間は、曲面で形成せず、平面をつなげて構成するようにても良い。
【0049】
次に、図26及び図27により、本発明の洗浄水タンクを備えた水洗便器の実施形態における第1の吐水口11から吐水されるリム吐水量(R1)、第2の吐水口12から吐水されるリム吐水量(R2)、及び、ゼット穴8から吐水されるゼット吐水量(Z)、並びに、リム吐水量R(=R1+R2)とゼット吐水量Zの配分比等について説明する。図26は本発明の洗浄水タンクを備えた水洗便器の実施形態における洗浄限界A、搬送限界B、及び、性能限界D等を示す図であり、図27は本発明の洗浄水タンクを備えた水洗便器の実施形態におけるリム吐水量及びゼット吐水量の範囲を示す線図である。
ここで、図26及び図27は、ボウル部に溜水を形成した状態で洗浄タンクに貯溜されている洗浄水のみを使用して洗浄を行ったときに得られたデータ(実験結果)を示している。
【0050】
水洗便器には、一般に、洗浄限界A、搬送限界B、及び、性能限界Dがあり、旋回流を使用した水洗便器では、さらに、水飛び限界Eがあり、これらの限界値を満足する必要がある。
これらの限界値について、本実施形態による水洗便器(タンク容量6L)と従来技術による水洗便器(ボックスリムに設けられた多数の孔から吐水するタイプでタンク容量6L)とを比較して説明する。
【0051】
洗浄限界Aは、リム洗浄水がボール部を一周洗う限界値であり、換言すれば、リム洗浄水がボール面の全面をぬらすことができるリム吐水量の限界値である。図26に示すように、洗浄限界Aは、従来技術では1.3Lであったが、本実施形態では、0.5L(=R1+R2)であり、より少ないリム吐水量となっている。
【0052】
搬送限界Bは、ボール部に代用汚物を落し、リム洗浄水にて排水路(トラップ)まで搬送可能なリム吐水量の限界値であり、具体的には、代用汚物40gを汚物受け面に落し、リム洗浄水にて、溜水部まで移動させることができるリム吐水量の限界値である。
なお、代用汚物は、健康状態が正常の際の大便に近似させたものであり、大便の8割以上をとされる水分と有機分及び灰分からなる固形物を元に硬度(硬さ)や形態を調整したものである。
【0053】
図26に示すように、搬送限界Bは、従来技術では1.8Lであったが、本実施形態では、1.0L(=R1+R2)であり、より少ないリム吐水量となっている。
性能限界Cは、代用汚物がきちんと排出されるゼット吐水量の限界値である。図26に示すように、この性能限界Cは、本実施形態と従来技術は両者とも、3.0Lである。
水飛び限界Eは、リムから洗浄水がほぼ水平方向に飛び出る(特に、便器先端部から洗浄水が飛び出る)リム吐水量の限界値である。水飛びは、ボックスリムに設けられた多数の孔から吐水するタイプである従来技術では発生せず、旋回流を用いる本実施形態のみに適用される。図26に示すように、水飛びの限界値は、各リム吐水量毎に判断され、本実施形態では、2.3L(第1の吐水口の吐水量R1)である。
また、図26図には、本実施形態の実施例Cとして、リム吐水量R(=R1+R2)が2.0L、ゼット吐水量Zが4.0Lとした水洗便器が示されており、この水洗便器は、洗浄限界A、搬送限界B、性能限界D及び水飛び限界Eの全ての限界を満たしている。
【0054】
図27は、リム吐水量及びゼット吐水量と、搬送限界B、性能限界D及び水飛び限界Eの関係を示す線図である。
図27に示すように、従来技術では、ゼット吐水量が性能限界D'の3.0L以上で且つリム吐水量Rが搬送限界B'の1.8L以上となっている。一方、本実施形態では、ゼット吐水量が性能限界Dの3.0L以上で且つリム吐水量R(=R1+R2)が搬送限界Bの1.0L以上となっている。また、リム吐水量R1(又はR2)は、水飛び限界Eの2.3L未満となっている。図27には、更に、タンク容量が6Lの実施例Cが取り得るリム吐水量Rおよびゼット吐水量Zの値も示されている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、搬送限界Bが従来の1.8Lから1.0Lまで減少させることができたので、その分、洗浄水を節水することができ、節水型のタンク(タンク容量4〜6L)を使用することが可能となる。また、同じタンク容量(例えば6L)の場合には、ゼット吐水量をより多くすることができるので、その分、サイホンを早期に発生させることができ、効果的に汚物の洗浄排出を行うことができる。
【0056】
本実施形態では、リム吐水量Rとゼット吐水量Zの配分(割合)を、図26に示すように、タンク容量が6Lの場合、(17%:83%)〜(50%:50%)の範囲に設定することにより、搬送限界B及び性能限界Dの両方の限界を満たすことができる。
さらに、本実施形態では、リム吐水量Rに関し、第1の吐水口11から吐水される吐水量R1は、第2の吐水口12から吐水される吐水量R2よりも、多くの洗浄水が吐水されるように、その開口の大きさが設定されている。この吐水量R1と吐水量R2の配分(割合)は、各吐水口から次の吐水口までの旋回流の距離とほぼ比例するように設定されている。
本実施形態では、第1の吐水口11と第2の吐水口12は、上述した好ましい位置に配置されているので、リム吐水量Rにおいて、吐水量R1と吐水量R2の配分(割合)は、(55%:45%)〜(70%:30%)の範囲が好ましい。
【0057】
次に、本発明の第8実施形態を図28により説明する。図28は本発明の第8実施形態によるハイブリット式の水洗便器を示す縦断面図である。
【0058】
第8実施形態は、上述した第7実施形態と基本構造は同じであるが、第1及び第2の吐水口への洗浄水は水道配管から供給され、一方、ゼット穴への洗浄水は洗浄水タンク内の洗浄水が供給されるようになっている点が異なっている。以下、これらの事項に関し、具体的に説明する。
【0059】
図28に示すように、本実施形態の水洗便器は、洗浄水タンク80を備えており、第1の吐水口11及び第2の吐水口12への洗浄水は水道配管から供給され、一方、ゼット穴8への洗浄水は洗浄水タンク80内に貯溜された洗浄水が供給されるようになっている。
洗浄水タンク80の底部には開口3aが形成されており、この開口3aがボール状の排水弁82により開閉されるようになっている。この排水弁82は、鎖84により電動モータ86に接続されており、洗浄スイッチ87の操作により、電動モータ86が駆動され、排水弁82を上昇させて、洗浄水タンク80内の洗浄水を導水路3及び通水路36を経由してゼット穴8に供給できるようになっている。なお、排水弁82は、フロート(図示せず)に連結され、洗浄水タンク80内の水位が所定以下になるまで開口3aを開放するようになっている。
【0060】
洗浄水タンク80内には、水道配管88が挿入されており、この水道配管88は、タンク内部で第1分岐管90及び第2分岐管92に分岐し、それぞれに電磁弁94,96が設けられている。第1分岐管90は、洗浄水タンク80内で開口し、水道水をタンク内に供給し、一方、第2分岐管92は、リム穴63,67にそれぞれ接続され、水道水を水道配管88から直接的に第1及び第2の吐水口11,12に供給するようになっている。
また、水洗便器は制御装置98を備えており、この制御装置98には、操作スイッチ87の操作を検知した検知信号が入力され、それに基づき、電磁弁94,96にこれらの電磁弁の開閉操作を行う操作信号及び電動モータ86の駆動信号が出力される。具体的には、便器使用後に操作スイッチ87が操作されると、先ず、電磁弁96が開操作され、水道配管88から水道水が洗浄水として第2分岐管92を経由して、第1及び第2の吐水口11,12に供給される。次に、その数秒後に、電動モータ86が駆動され、排水弁82が上昇し、それにより、洗浄水タンク80内の洗浄水が、ゼット穴8に供給され、サイホン作用が発生し、汚物が排出される。その後、洗浄タンク80内の水位が低下して、排水弁82が開口3aを閉じ、その後、第2分岐管92から供給される洗浄水によりボウル部に封水に必要な溜水面が形成され、その後、電磁弁96を閉操作し、さらに、電磁弁94を開操作して、空になった洗浄水タンク80内に洗浄水を貯溜する。
なお、図28に示す水洗便器において、電磁弁94に代えて、洗浄水タンク80内の水位に応じて、機械的に第1分岐管90の吐水をオン・オフするボールタップバルブを用いても良い。
【0061】
この第8実施形態は、上述した第7実施形態と基本的には同様な作用効果を奏するが、さらに、ハイブリット式の水洗便器であるため、洗浄水タンク80内の洗浄水は、ゼット穴8のみに供給され、第1及び第2の吐水口11,12へは水道配管から直接水道水が供給されるようになっているので、洗浄水タンク80をより小型化することができる。さらに、洗浄水タンク内の洗浄水の全てをゼット穴8に供給すると共に、ゼット穴8への洗浄水の供給を、第1及び第2の吐水口11,12への洗浄水の供給によってボウル部内の溜水を旋回させた後に行っているので、タンク内の洗浄水の水量が少なくてもサイホン作用を確実に発生させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、制御装置98により、第1及び第2の吐水口11,12からのリム吐水及びゼット穴8からのゼット吐水のそれぞれのタイミング、吐水量(分配比)を制御できるので、ゼット穴8からの吐水を第1及び第2の吐水口11,12からの吐水と同時に行うようにしても良い。
【0063】
次に、本発明の第9実施形態を図29及び図30により説明する。図29は本発明の第9実施形態による水道直圧式の水洗便器を示す縦断面図であり、図30は第9実施形態による水洗便器におけるリム吐水及びゼット吐水のタイミングを示す線図である。
第9実施形態は、上述した第7実施形態及び第8実施形態と基本構造は同じであるが、第1及び第2の吐水口への洗浄水及びゼット穴への洗浄水の両者が水道配管から供給される点が異なっている。以下、これらの事項に関し、具体的に説明する。
【0064】
図29に示すように、本実施形態による水道直結式の水洗便器は、給水源である水道配管100から、洗浄水を便器に供給するための洗浄水制御装置102を備えている。この洗浄水制御装置102は、先ず、水道配管100との接続部に配置され、給水圧の変動をキャンセルして一定の流量を維持するための定流量弁104を備えている。この定流量弁104により、水道配管100の給水圧が変動しても、第1及び第2のリム吐水部11,12及びゼット穴8に供給される洗浄水の流量が常時所定の一定の流量となる。
【0065】
洗浄水制御装置102において、定流量弁104の下流側は、リム用配管106及びゼット用配管108とに分岐しており、これらのリム用配管106及びゼット用配管108は、ぞれぞれの流路を開閉するための電動弁110,112を備えている。これらの電動弁110,112は、それぞれの開閉タイミングが制御されるようになっている。
【0066】
リム用配管106は、その下流側で更に第1リム配管106aと第2リム配管106bとの分岐している。第1リム配管106aは、便器本体内に設けられ配管により形成された第1リム通水路114を経由して第1の吐水口11に洗浄水を供給し、一方、第2リム配管106bは、便器本体内に設けられ配管により形成された第2リム通水路116を経由して第2の吐水口12に洗浄水を供給するようになっている。
また、ゼット用配管108は、便器本体内に設けられ配管により形成されたゼット通水路118を経由してゼット穴8に洗浄水を供給するようになっている。
さらに、洗浄スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0067】
次に第9実施形態の洗浄水制御装置によるリム吐水及びゼット吐水のタイミング制御の内容を説明する。
図30において、実線は、リム用配管106の電動弁110の開閉によるリム吐水の流量を示し、鎖線は、ゼット用配管108の電動弁112の開閉によるゼット吐水の流量を示している。
図30に示すように、洗浄スイッチによる給水命令があると、時刻t0において、リム用配管106の電動弁110を開弁させて所定の流量で第1及び第2の吐水口11,12から吐水を行う。この状態を所定時間維持してボウル部2の汚物を溜水へ落とし込み、また、溜水を旋回させた後、時刻t1において、電動弁104を閉弁させると同時にゼット用配管108の電動弁112を開弁させることにより所定の流量でゼット穴8より吐水を行なう。このゼット穴8からの吐水によりサイホン作用によって汚物が排出されるが、ゼット穴8からの吐水が一定時間行われると、時刻t2において、電動弁112の開度を少し絞って流量を所定の流量よりも少なくし、その少なくなった流量をリム吐水に用いるために、電動弁110を僅かに開弁する。この後、所定時間が経過した時刻t3において、電動弁112を閉弁するとともに電動弁110を全開にして、第1及び第2の吐水口11,12からの吐水を再開する。所定の流量のリム吐水(ボウル給水)を所定時間継続した時刻t4において、電動弁110を閉弁して一連の洗浄動作を終了する。
【0068】
この第9実施形態における上述したリム吐水及びゼット吐水のタイミング制御では、ゼット穴8からの吐水終了直前(時刻t3)に第1及び第2の吐水口11,12からも吐水(オーバーラップ)を行うようにして、ゼット穴8からの吐水開始初期に汚物受け面に載ってしまった汚物などを第1及び第2の吐水口11,12からの吐水で洗浄してサイホン作用で便器外へ排出するようにしている。
しかしながら、第9実施形態は、これに限らず、このようなリム吐水とゼット吐水のオーバーラップが無く、単に、リム用配管106からの給水→ゼット用配管108からの給水→リム用配管106からの給水、といった吐水パターンとしても良い。さらに、ゼット穴8からの吐水を第1及び第2の吐水口11,12からの吐水と同時に行うようにしても良い。
【0069】
この第9実施態様は、上述した第7実施態様及び第8実施形態と、同様な作用効果を奏することができる。さらに、これに加えて、水道直圧式の水洗便器であるため、洗浄水タンクが必要無いので、コンパクトな概観を持つ水洗便器が提供でき、且つ、リム吐水とゼット吐水の吐水タイミングを自由に設定して給水の制御を行うことができるので、より効率的な洗浄を行なうことができる。また、水道水の水圧が低い場合でもリム吐水口が2つ設けられているので、水道水が低水圧でも確実な洗浄を行うことができるという効果も奏する。
【0070】
図31は、本発明の上述した実施形態の水洗便器のリム部の他の例を示す部分断面図である。本発明の上述した実施形態の水洗便器では、図2等に示すように、リム6の内周面6aが内方に向って斜めに延びてリム6のオーバーハング形状としていたが、上述した第1乃至第9の本実施形態では、これに限らず、図31に示すように、リム6の下面6bが内方に向って水平方向に延びてリム6のオーバーハング形状としても良い。
【0071】
以上に説明したように本発明の水洗便器によれば、洗浄水が旋回流の終端部まで十分に行き渡たることにより、ボウル部の洗浄及び汚物の排出を効果的に行なうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す水洗便器の縦断面図である。
【図3】図3(a)〜(e)は、それぞれ図1のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示す水洗便器の縦断面図である。
【図6】図6(a)〜(e)は、それぞれ図4のA−A線〜E−E線に沿って見た部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図8】図8は、図7に示す水洗便器の縦断面図である。
【図9】図9(a)〜(d)は、それぞれ図4のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図11】図11は、図10に示す水洗便器の縦断面図である。
【図12】図12(a)〜(d)は、それぞれ図4のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の第5実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図14】図14は、図13に示す水洗便器の縦断面図である。
【図15】図15(a)〜(d)は、それぞれ図13のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面図である。
【図16】図16は、本発明の第6実施形態による水洗便器を示す平面図である。
【図17】図17は、図16に示す水洗便器の縦断面図である。
【図18】図18(a)〜(d)は、それぞれ図16のA−A線〜D−D線に沿って見た部分断面である。
【図19】図19は、本発明の第7実施形態による洗浄水タンクを備えた水洗便器を示す正面図である。
【図20】図20は、図19の平面図である。
【図21】図21は、本発明の第7実施形態のボウル部(棚部)の位置を任意の位置♯0〜♯17により示した平面図(タンクは省略し図示せず)である。
【図22】図22(a)〜(f)は、任意の位置で見た棚部を含むボウル部の部分断面図である。
【図23】図23は、本発明の第7実施形態における棚部の幅である棚幅を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図である。
【図24】図24は、本発明の第7実施形態における棚部と汚物受け面の間の曲面の曲率半径を♯0〜♯17の位置に沿って示した線図である。
【図25】図25は、本発明の第7実施形態による旋回流の流れる様子を♯0〜♯17の位置に沿って示した平面図である。
【図26】図26は、本発明の洗浄水タンクを備えた実施形態による水洗便器における洗浄限界A、搬送限界B、及び、性能限界D等を示す図である。
【図27】図27は、本発明の洗浄水タンクを備えた実施形態におけるリム吐水量及びゼット吐水量の範囲を示す線図である。
【図28】図28は、本発明の第8実施形態によるハイブリット式の水洗便器を示す縦断面図である。
【図29】図29は、本発明の第9実施形態による水道直圧式の水洗便器を示す縦断面図である。
【図30】図30は、第9実施形態による水洗便器におけるリム吐水及びゼット吐水のタイミングを示す線図である。
【図31】図31は、本発明の実施形態の水洗便器のリム部の他の例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0073】
2 ボウル部
4 排水路
5 汚物受け面
6 リム
6c 棚部
11 第1の吐水口
12 第2の吐水口
63a、64a、65、66 通水路
67a、67b、69a、69b、70a〜70c 通水路
70 洗浄水タンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水タンク内に貯溜された洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、上縁部でありその内周面が内方に向ってオーバーハングしたリム部と、このリム部と汚物受け面との間に形成された棚部とを備えたボウル部と、
このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水路と、
上記ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し旋回流を形成する第1の吐水部と、
上記ボウル部の棚部上に上記旋回流の旋回方向と同一方向に洗浄水を吐水する第2の吐水部と、
上記洗浄水タンクから洗浄水を第1の吐水部に供給する第1の通水路と、
上記洗浄水タンクから洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路と、を有し、
上記第1の吐水部は、上記ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置され、上記第2の吐水部は、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置されていることを特徴とする水洗便器。
【請求項2】
上記第2の通水路は、Uターンして第2の吐水部に連通している請求項1記載の水洗便器。
【請求項3】
上記第1の吐水部から吐水されるリム吐水量は、上記第2の吐水部から吐水されるリム吐水量よりも多い請求項1又は請求項2記載の水洗便器。
【請求項4】
上記ボウル部の棚部は、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が上記排水路の入口に向って流れ込むように、その幅が変化して形成されている請求項1乃至3の何れか1項記載の水洗便器。
【請求項5】
上記ボウル部の棚部は、その幅が上記ボウル部の前後方向を中心として両側領域では広く形成されボウル部の前端領域では狭く形成されている請求項4項記載の水洗便器。
【請求項6】
上記ボウル部の棚部は、下方に向って傾斜しその傾斜角が下方に向って0度〜15度の範囲内である請求項1乃至5の何れか1項記載の水洗便器。
【請求項1】
洗浄水タンク内に貯溜された洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、上縁部でありその内周面が内方に向ってオーバーハングしたリム部と、このリム部と汚物受け面との間に形成された棚部とを備えたボウル部と、
このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水路と、
上記ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し旋回流を形成する第1の吐水部と、
上記ボウル部の棚部上に上記旋回流の旋回方向と同一方向に洗浄水を吐水する第2の吐水部と、
上記洗浄水タンクから洗浄水を第1の吐水部に供給する第1の通水路と、
上記洗浄水タンクから洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路と、を有し、
上記第1の吐水部は、上記ボウル部の前後方向を中心として一方の側のボウル部の小さな曲率半径から大きな曲率半径に変化する位置の近傍に配置され、上記第2の吐水部は、他方の側のボウル部の大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化する位置の近傍に配置されていることを特徴とする水洗便器。
【請求項2】
上記第2の通水路は、Uターンして第2の吐水部に連通している請求項1記載の水洗便器。
【請求項3】
上記第1の吐水部から吐水されるリム吐水量は、上記第2の吐水部から吐水されるリム吐水量よりも多い請求項1又は請求項2記載の水洗便器。
【請求項4】
上記ボウル部の棚部は、第1の吐水部から吐水された洗浄水の主流部が上記排水路の入口に向って流れ込むように、その幅が変化して形成されている請求項1乃至3の何れか1項記載の水洗便器。
【請求項5】
上記ボウル部の棚部は、その幅が上記ボウル部の前後方向を中心として両側領域では広く形成されボウル部の前端領域では狭く形成されている請求項4項記載の水洗便器。
【請求項6】
上記ボウル部の棚部は、下方に向って傾斜しその傾斜角が下方に向って0度〜15度の範囲内である請求項1乃至5の何れか1項記載の水洗便器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2006−104936(P2006−104936A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1620(P2006−1620)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【分割の表示】特願2004−534142(P2004−534142)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【分割の表示】特願2004−534142(P2004−534142)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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