説明

水洗大便器

【課題】 加圧された洗浄水を貯留する蓄圧容器を小型化することができる水洗大便器を提供する。
【解決手段】 本発明は、水道の給水管から直接供給する水洗大便器(1)であって、上部にリム吐水口が設けられたボール部(2)と、このボール部の底部と排水配管とを連通させるトラップ部(4)と、トラップ部に向けて洗浄水を噴射するジェットノズル(6)と、水道の給水管から供給された洗浄水を、水道水圧よりも高い圧力に加圧された状態で貯留する蓄圧容器(12)と、蓄圧容器の下流側に設けられ、ボール部を洗浄する際に開放されて、洗浄水をジェットノズルから噴射させる吐水弁(20)と、ジェットノズルからの吐水後、リム吐水口から洗浄水が吐水されている間に、次回のジェットノズルからの吐水のために蓄圧容器内の水圧を上昇させる加圧手段(14、16、18)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に関し、特に、洗浄水の少なくとも一部を、水道の給水管から直接供給する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水道直結式の水洗大便器が普及している。この水道直結式の水洗大便器は、洗浄水を貯留するための洗浄水タンクを必要としないため、水洗大便器全体の高さを低く抑えることができ、又、水洗大便器の占有床面積を小さくすることができるので、広く採用されている。
しかしながら、水道直結式の水洗大便器では、洗浄水を水道水圧によってリム吐水口やジェットノズルから吐出させているため、水道水圧の低い地域では十分な洗浄力を得ることができないので、採用することができないという問題がある。
【0003】
特開2004−137857号公報(引用文献1)には、便器洗浄装置が記載されている。この便器洗浄装置では、洗浄力を高めるために、水洗トイレの洗浄水を水道水の圧力まで加圧して蓄圧器に貯留し、洗浄する際には、加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射して便器を洗浄している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−137857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2004−137857号公報に記載された便器洗浄装置では、蓄圧器を水道水圧で直接加圧しているので、原理的に蓄圧器内の圧力を水道水圧以上に高くすることができない。このため、蓄圧器内の加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射しても、サイホン作用を誘発するためには比較的多くの洗浄水が必要であり、蓄圧器が大型化してしまうという問題がある。このように蓄圧器が大型化してしまうとすれば、蓄圧器を含めた水洗大便器全体も大型化することになり、洗浄水をタンクに溜めるタンク式の水洗大便器に対するメリットも失われてしまう。
【0006】
また、特開2004−137857号公報に記載された便器洗浄装置では、蓄圧器を水道水圧で直接加圧しているので、蓄圧器内の洗浄水が排出された後、次回の洗浄のために加圧された洗浄水を蓄圧器内に蓄積するのは、原理的に、水洗大便器の1回の洗浄シーケンスが終了した後でなければならない。このため、特開2004−137857号公報に記載された便器洗浄装置では、使用後、水洗大便器の洗浄シーケンスが終了した後すぐに便器を使用することができないという問題がある。
なお、厳密には、水道水圧は止水時に比べ吐水時は若干低下するが、本明細書において、水道水圧とは止水時の水圧を意味するものとする。
【0007】
従って、本発明は、加圧された洗浄水を貯留する蓄圧容器を小型化することができる水洗大便器を提供することを目的としている。
また、本発明は、洗浄シーケンスが終了した後すぐに使用することができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、洗浄水の少なくとも一部を、水道の給水管から直接供給する水洗大便器であって、上部にリム吐水口が設けられたボール部と、このボール部の底部と排水配管とを連通させるトラップ部と、ボール部の底部に配置され、トラップ部に向けて洗浄水を噴射するジェットノズルと、水道の給水管から供給された洗浄水を、水道水圧よりも高い圧力に加圧された状態で貯留する蓄圧容器と、蓄圧容器の下流側に設けられ、ボール部を洗浄する際に開放されて、蓄圧容器内の加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させる吐水弁と、リム吐水口から洗浄水が吐水されている間に、次回のジェットノズルからの吐水のために蓄圧容器内の水圧を上昇させる加圧手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、水道の給水管から供給された洗浄水は、加圧手段によって水道水圧よりも高い圧力に加圧され、蓄圧容器内に貯留されている。便器洗浄時には、吐水弁が開放され、蓄圧容器内に貯留された洗浄水が、ジェットノズルから噴射される。ボール部内の汚物及び洗浄水は、トラップ部を通って排水配管に排出される。加圧手段は、リム吐水口からボール部内に洗浄水が吐水されている間に、次回のジェットノズルからの吐水のために蓄圧容器内の水圧を上昇させる。
【0010】
このように構成された本発明の水洗大便器によれば、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射するので、少ない洗浄水で十分な便器洗浄能力を発揮することができ、加圧された洗浄水を貯留する蓄圧容器を小型化することができる。また、このように構成された本発明の水洗大便器によれば、リム吐水口からボール部内に洗浄水が吐水されている間に、蓄圧容器への蓄圧を行うので、便器洗浄シーケンスが終了した後すぐに、水洗大便器を使用することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、ボール部を洗浄する間の少なくとも一部の時間において、リム吐水口からの吐水と、ジェットノズルからの吐水が同時に行われる。
このように構成された本発明の水洗大便器によれば、リム吐水口からの吐水と、ジェットノズルからの吐水が同時に行われるので、便器洗浄能力が向上し、便器洗浄時間が短縮される。これにより、水洗大便器の使用感を向上させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、加圧手段が、蓄圧容器内に貯留された洗浄水が加圧されることによってエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、蓄圧容器の上流側に設けられた逆止弁と、給水管から逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、を有し、この開閉弁は、開放されたとき給水管から供給された洗浄水を出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき、又は流路が縮小されたとき入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された洗浄水を蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返し、ボール部を洗浄する際に、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーが解放され、蓄圧容器内の加圧された洗浄水がジェットノズルから噴射される。
【0013】
このように構成された本発明においては、給水管から逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された開閉弁は、開閉を繰り返す。開閉弁が開放されたときは、給水管から供給された洗浄水は、開閉弁の出口側端部へ逃げ、開閉弁が閉鎖されると、洗浄水の流れが堰き止められることにより、開閉弁の入口側端部における水圧が上昇する。入口側端部における水圧が上昇すると、洗浄水は逆止弁を通って蓄圧容器内に流入し、蓄圧容器内の洗浄水が加圧される。蓄圧容器内の洗浄水が加圧されることによって、エネルギー蓄積手段にエネルギーが蓄積される。ボール部を洗浄する際には、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーを解放させ、蓄圧容器内の加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させる。
【0014】
このように構成された本発明によれば、水道水圧に基づいて、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水を蓄圧容器内に貯留することができる。これにより、少ない洗浄水で十分な便器洗浄能力を発揮することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、ジェットノズルからの吐水後、開閉弁を開閉させて蓄圧容器内に加圧された洗浄水を送り込む際、出口側端部から逃がされた洗浄水が、ボール部の上部に形成されたリム吐水口から吐水される。
このように構成された本発明においては、開閉弁が開閉を繰り返し、開閉弁の出口側端部へ逃げた洗浄水が、リム吐水口から吐水され、便器の洗浄に利用される。
このように構成された本発明によれば、蓄圧容器への蓄圧を行うと同時に、蓄圧の際に生じる捨て水を、便器の洗浄に有効に利用することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、エネルギー蓄積手段は、蓄圧容器内の洗浄水の圧力が高まると弾性エネルギーを蓄えるように配置された弾性体である。
このように構成された本発明においては、蓄圧容器内の洗浄水の圧力が高くなると、弾性体が変形され、弾性体に弾性エネルギーが蓄えられる。ボール部を洗浄する際には、弾性体に蓄積された弾性エネルギーが解放され、蓄圧容器内の加圧された洗浄水がジェットノズルから噴射される。
このように構成された本発明によれば、弾性体の変形量及び蓄積されるエネルギーを任意に設定することができるので、エネルギー蓄積手段の設計の自由度を大きくすることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、加圧手段は、蓄圧容器内に加圧した洗浄水を送り込むポンプと、蓄圧容器内に貯留された洗浄水が加圧されることによってエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、を有する。
このように構成された本発明においては、ポンプによって加圧された洗浄水が、蓄圧容器内に送り込まれ、エネルギー蓄積手段にエネルギーが蓄積される。
このように構成された本発明によれば、使用するポンプを適宜選択することにより、蓄圧容器内を加圧する圧力、加圧に要する時間を任意に設定することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、加圧手段は、蓄圧容器内に摺動可能に配置されたピストンと、このピストンを付勢して蓄圧容器内の洗浄水を加圧する弾性体と、この弾性体による付勢力に抗してピストンを移動させるアクチュエータと、を有し、ボール部を洗浄する際、弾性体による付勢力によって、蓄圧容器内に貯留された洗浄水を噴射させる。
【0019】
このように構成された本発明においては、アクチュエータが、蓄圧容器内に摺動可能に配置されたピストンを、弾性体による付勢力に抗して移動させる。洗浄水は、ピストンが移動されることによって内容積が拡大する蓄圧容器に流入する。ボール部を洗浄する際には、弾性体による付勢力によって、蓄圧容器内に貯留された洗浄水を噴射させる。
このように構成された本発明によれば、使用するアクチュエータ及び弾性体を適宜選択することにより、蓄圧容器内を加圧する圧力、加圧に要する時間を任意に設定することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、加圧手段が、蓄圧容器の内部を仕切る隔離手段と、この隔離手段によって隔離された蓄圧容器の一方の空間に空気を送り込むことによって、蓄圧容器の他方の空間に貯留された水道水の水圧を上昇させる空気ポンプと、を有する。
このように構成された本発明においては、空気ポンプが、隔離手段によって仕切られた蓄圧容器の一方の空間に空気を送り込む。空気が送り込まれることによって、隔離手段は押圧され、蓄圧容器の他方の空間に貯留されている水道水が加圧される。
このように構成された本発明によれば、空気ポンプを使用して蓄圧容器内の水道水を加圧することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の水洗大便器によれば、加圧された洗浄水を貯留する蓄圧容器を小型化することができる。
また、本発明の水洗大便器によれば、洗浄シーケンスが終了した後すぐに使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、図1乃至4を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による水洗大便器の概略断面図である。また、図2は、本実施形態の水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。さらに、図3は、蓄圧装置に使用されている直動ソレノイド型電磁弁の概略断面図である。
【0023】
図1及び2に示すように、本発明の第1実施形態による水洗大便器1は、ボール部2と、このボール部の底部と排水配管(図示せず)とを連通させるトラップ部4と、ボール部2の底部に配置されたジェットノズル6と、このジェットノズル6に供給する洗浄水を加圧する蓄圧装置10と、を有する。本実施形態の水洗大便器1は、水道水圧以上に加圧した洗浄水を蓄圧装置10に貯留し、ボール部2の洗浄時に加圧した洗浄水をジェットノズル6から噴射して、トラップ部4にサイホン現象を誘発させるようになっている。
【0024】
また、本発明の第1実施形態による水洗大便器1に内蔵されている蓄圧装置10は、加圧された洗浄水を貯留する蓄圧容器12と、蓄圧容器12内の洗浄水が加圧されるとエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段であるバルーン14と、を有する。さらに、蓄圧装置10は、蓄圧容器12の流入口の側に設けられた逆止弁16と、給水管8から逆止弁16に至る管路から分岐した分岐管路に接続された開閉弁18と、蓄圧容器12内の加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させる吐水弁20と、を有する。なお、バルーン14、逆止弁16、及び開閉弁18は、加圧手段を構成する。
また、水洗大便器1は、リム吐水洗浄とジェットノズル洗浄を切替え、開閉弁18及び吐水弁20を制御するコントローラ22を備えている。
【0025】
ボール部2は、上方が開口して汚物を受けるように構成されている。また、ボール部2の上部周囲にはリム部2aが形成され、リム吐水口(図示せず)から吐水された洗浄水が、リム部2aを通って旋回しながら下方に流れ、ボール部2の壁面が洗浄されるように構成されている。
トラップ部4は、ボール部2の底部から斜め上方に延び、最高点4aを経て鉛直下方に延びるように形成されている。トラップ部4の出口端は、排水ソケット(図示せず)等を介して排水配管(図示せず)に接続されている。
【0026】
ジェットノズル6は、ボール部2の底部に配置され、トラップ部4の入口側の管路と平行に洗浄水を噴射するように向けられている。ジェットノズル6には、蓄圧装置10によって水道水圧以上に加圧された洗浄水が供給され、高圧の洗浄水が噴射される。
【0027】
ボール部2の洗浄時におけるリム吐水口(図示せず)及びジェットノズル6からの吐水の切替えは、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、及びそれを制御するコントローラ22によって行われる。この便器洗浄バルブユニット(図示せず)は、バルブを切替えることによって、水道から供給された洗浄水をリム吐水口、又は蓄圧装置10に差し向けるように構成されている。便器洗浄バルブユニット(図示せず)によって蓄圧装置10に導かれる洗浄水は、給水管8を通って蓄圧装置10に供給される。また、リム吐水口(図示せず)から吐水される洗浄水は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)からリム吐水口に延びる管路(図示せず)を通って直接供給される。
【0028】
蓄圧装置10の蓄圧容器12は、水洗大便器1の内部に、ボール部2及びトラップ部4の下方に配置されている。蓄圧容器12の内部には、エネルギー蓄積手段である空気入りのバルーン14が配置されている。バルーン14は、蓄圧容器12内の洗浄水が加圧されると、バルーン14内の空気が圧縮され、体積が縮小するように構成されている。バルーン14内の空気を圧縮したエネルギーは、洗浄時に高圧の洗浄水を噴射させるためのエネルギーとして蓄積される。なお、バルーンに封入する流体として、窒素、ヘリウム等の不活性ガス等、任意の流体を使用することができる。
【0029】
逆止弁16は、蓄圧容器12の流入口の側に配置されており、蓄圧容器12内の洗浄水が蓄圧容器12の入口を通って給水管8側に逆流しないようになっている。このため、蓄圧容器12内よりも給水管8側の圧力が高い場合には、洗浄水は、給水管8から蓄圧容器12内に流入するが、蓄圧容器12内の圧力が給水管8側よりも高い場合に、蓄圧容器12から給水管8側へ洗浄水が逆流することはない。
【0030】
開閉弁18は、給水管8から逆止弁16に至る管路から分岐した分岐管路18aに接続されている。開閉弁18は、入口側端部18bと出口側端部18cを備え、高速に開閉を繰り返すように構成されている。また、出口側端部18cは、排水管18dによってリム吐水口(図示せず)に接続されている。開閉弁18が開放されているときは、給水管から供給された洗浄水は入口側端部18bから出口側端部18cに流出する。出口側端部18cから流出した洗浄水は、排水管18dを通ってリム吐水口(図示せず)から吐水される。
【0031】
また、開閉弁18が閉鎖された際には、給水管から供給された洗浄水が入口側端部18bから出口側端部18cに流れる流れが突然堰き止められることによって、ウォーターハンマー現象が発生し、入口側端部18b付近の水圧が上昇するように構成されている。本実施形態においては、開閉弁18として、直動ソレノイド型電磁弁が使用され、1秒間に約50回の開閉が繰り返される。開閉弁18の開閉は、コントローラ22によって制御される。
【0032】
吐水弁20は、蓄圧容器12の流出口の側に配置されている。また、吐水弁20の下流側は、ジェットノズル6に接続されている。吐水弁20の開閉は、コントローラ22によって制御され、開放されると蓄圧容器12内の加圧された洗浄水が、ジェットノズル6から噴出されるように構成されている。
【0033】
コントローラ22は、CPU及びメモリ等によって構成され、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、開閉弁18、吐水弁20等を制御して、所定の便器洗浄シーケンスを実行するように構成されている。
【0034】
次に、図3を参照して、本実施形態の水洗大便器1に開閉弁18として使用されている直動ソレノイド型電磁弁を説明する。図3に示すように、開閉弁18は、その入口側端部18bに形成された弁座24と、この弁座24を開閉するように往復直線運動する弁体26と、この弁体26を閉鎖側に駆動するアクチュエータである駆動用コイル28と、弁体26を開放側に付勢する付勢バネ30と、を有する。
【0035】
弁座24は、円形の開口部を有し、弁体26が着座することによって閉鎖され、離れることによって開放されるように構成されている。
弁体26は、駆動用コイル28によって、弁座24の開口面(図3における水平方向の面)に対して直交する方向(図3における鉛直方向)に駆動されるように構成されている。
【0036】
駆動用コイル28は、弁体26の一部を取り囲むように配置されている。駆動用コイル28に電流が流れると、少なくとも一部が磁性材で形成された弁体26に駆動力が作用し、弁体26は弁座24に着座される方向(図3における鉛直下方)に駆動される。
付勢バネ30は、弁体26に係合され、弁体26を弁座24から離れる方向(図3における鉛直上方)に付勢する。このため、駆動用コイル28に流れる電流が停止されると、弁体26は付勢バネ30の付勢力によって弁座24から引き離される。
この構成により、開閉弁18は、駆動用コイル28に流す電流を断続的にON/OFFすることにより、開閉を繰り返す。
【0037】
また、本実施形態においては、開閉弁18は、駆動用コイル28に流れる電流により閉鎖されるので、駆動用コイル28が発生させる駆動力を大きくすることによって、開閉弁18を急激に閉鎖させてウォーターハンマー現象による加圧を強くすることができる。一方、付勢バネ30による付勢力は、開閉弁18の開放に利用されるので、大きな付勢力は必要なく、細い線材でバネを形成することができるので、付勢バネ30を小型に設計することができる。このため、開閉弁18全体を小型に構成することが可能になる。
【0038】
次に、図4を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器1の作用を説明する。図4は、本実施形態による水洗大便器1の便器洗浄シーケンスにおいて、ボール部2に流入する洗浄水の流量を示すグラフである。
まず、待機時においては、水洗大便器1のボール部2には、トラップ部4の最高点4aの高さまで封水が溜められている。また、蓄圧容器12内のバルーン14は圧縮された状態にあり、蓄圧容器12内には、所定の圧力に加圧された所定量の洗浄水が貯留されている。使用者が水洗大便器1の洗浄用スイッチ(図示せず)を操作すると、コントローラ22は、図4に示す便器洗浄シーケンスを開始させる。
【0039】
まず、コントローラ22は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、水道から供給された洗浄水がリム吐水口(図示せず)から吐水されるように、便器洗浄バルブユニットを切替える。リム吐水口(図示せず)から吐水された洗浄水は、旋回しながらボール部2の壁面を洗浄し、ボール部2内の水位を上昇させる。
【0040】
図4に実線で示すように、約5秒間リム吐水が行われた後、コントローラ22は、リム吐水口(図示せず)からの吐水を停止させると共に、吐水弁20に信号を送って吐水弁20を開放させる。図4に破線で示すように、吐水弁20が開放されると、蓄圧容器12のバルーン14は蓄積されたエネルギーを解放して膨張され、蓄圧容器12内の洗浄水が、吐水弁20を通ってジェットノズル6から噴出される。ジェットノズル6から噴出された洗浄水は、ボール部2の底部に溜まった洗浄水を巻き込みながらトラップ部4に流入し、トラップ部4内を満水にさせる。トラップ部4内が満水にされると、サイホン現象によりトラップ部4内が負圧となり、ボール部2の洗浄水が吸引される。これにより、ボール部2内の汚物及び洗浄水が、トラップ部4を通って排水配管(図示せず)に排出される。
【0041】
本実施形態の水洗大便器1では、蓄圧容器12に貯留された加圧された洗浄水がジェットノズル6から噴射されるので、洗浄水が水道水圧によってジェットノズル6から噴射される従来の水洗大便器よりも非常に少ない洗浄水の噴射によってサイホン作用が誘発される。本実施形態の水洗大便器1においては、約0.5MPaまで加圧された洗浄水が、約0.5L(リットル)ジェットノズル6から噴射される。
【0042】
図4に示すように、ジェットノズル6からの吐水が約4秒間行われた後、コントローラ22は、吐水弁20を閉鎖させると共に、開閉弁18に信号を送って開閉弁18の開閉を開始させる。開閉弁18が開放されている場合には、給水管8から供給された洗浄水は、開閉弁18及び排水管18dを通って、ボール部2に形成されたリム吐水口からボール部2の中に吐水される。また、開閉弁18が遮断されると、開閉弁18を通って流れている洗浄水の急激な速度変化によって開閉弁18の入口側端部18b付近の洗浄水が加圧されるウォーターハンマー現象によって、入口側端部18b付近の圧力が瞬間的に上昇する。この作用により、逆止弁16上流側の水圧も上昇するので、給水管8から供給された洗浄水は、逆止弁16を通って蓄圧容器12に流入する。これにより、ジェットノズル6からの吐水が終了した直後のリム吐水中に、加圧手段によって蓄圧容器12への蓄圧が開始される。
【0043】
ウォーターハンマー現象によって瞬間的に上昇する洗浄水の圧力は、給水管8に供給される洗浄水の水道水圧よりも非常に高くなる。このため、蓄圧容器12に洗浄水が流入し、蓄圧容器12内の圧力が水道水圧に達した後も、給水管8から供給された洗浄水は、ウォーターハンマー現象によって加圧され、逆止弁16を通って蓄圧容器12内に流入する。また、開閉弁18が開放された瞬間には、入口側端部18b付近の水圧は低下するが、逆止弁16によって蓄圧容器12内の洗浄水の逆流は阻止され、蓄圧容器12内の高圧は維持される。蓄圧容器12内の圧力が上昇すると、蓄圧容器12内に配置されたバルーン14が圧縮され、バルーン14の体積が縮小される。これにより、バルーン14を圧縮させたエネルギーが、バルーン14に蓄積される。
【0044】
蓄圧容器12内が所定の圧力まで上昇すると、コントローラ22は、開閉弁18の開閉を停止させ、開閉弁18を閉鎖する。これにより、蓄圧容器12への蓄圧が完了する。さらに、コントローラ22は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、洗浄水を、便器洗浄バルブユニットから直接リム吐水口(図示せず)へ吐水させる。洗浄開始後約20秒後、ボール部2内の水位が待機状態の水位まで上昇され、1回の便器洗浄シーケンスが完了する。なお、図4のグラフは、ジェット吐水後のリム吐水においても、ジェット吐水前のリム吐水と同じ流量の洗浄水がボール部2の中に吐水されるように描かれているが、ジェット吐水後のリム吐水においては、一部の洗浄水が蓄圧容器12に流入する期間があるので、その間はボール部2に流入する流量は若干低下する。
【0045】
本発明の第1実施形態の水洗大便器によれば、一般的には好ましくないとされているウォーターハンマー現象を逆に利用して、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水を蓄圧容器に貯留することができる。
また、本実施形態の水洗大便器によれば、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射するので、少量の洗浄水でトラップ部にサイホン現象を発生させることができる。これにより、洗浄水を貯留する蓄圧容器を小型化することが可能になり、水洗大便器全体を小型化することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の水洗大便器によれば、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射するので、水道水圧が低い地域にも水道直結式の水洗大便器を設置することが可能になる。なお、本実施形態の水洗大便器は、洗浄水の一部を蓄圧容器から供給し、残りを水道から直接給水しているが、蓄圧容器は非常に小型で、従来のタンク式の水洗大便器とは構成が全く異なるため、ここでは、本実施形態の水洗大便器を含めて水道直結式の水洗大便器と呼ぶことにする。
【0047】
また、本実施形態の水洗大便器によれば、ジェット吐水後の、リム吐水中に蓄圧容器への蓄圧が開始され、蓄圧が完了するので、1回の便器洗浄シーケンスの終了後、すぐに水洗大便器を使用することができる。
さらに、本実施形態の水洗大便器によれば、蓄圧する際に開閉弁から流出する洗浄水がリム吐水口からボール部内に吐水されるので、蓄圧に際して生じる捨て水を有効に利用しながら、蓄圧と同時にリム吐水を行うことができる。
また、上述した実施形態では、開閉弁は、蓄圧時において、開放された状態と、完全に閉鎖された状態を繰り返していたが、開閉弁を、開放された状態と、この状態よりも流路が縮小された状態を繰り返すように構成しても良い。開閉弁のこのような動作によっても、水道水の流速は変化されるので、蓄圧容器内の水道水を加圧することができる。なお、本明細書において、「開閉弁が開閉を繰り返す」は、開閉弁のこのような動作をも意味するものとする。
また、上述した実施形態では、エネルギー蓄積手段として、空気を入れたバルーンを使用していたが、バルーンの代わりに、蓄圧容器内で摺動可能なピストンと、このピストンを付勢する弾性体であるバネによってエネルギー蓄積手段を構成することもできる。
また、上述した実施形態では、ジェット吐水後のリム吐水時に蓄圧を行っていたが、1回目のリム吐水時に蓄圧を行うように構成することもできる。
【0048】
次に、図5を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第1変形例を説明する。本変形例の水洗大便器は、コントローラによって制御される便器洗浄シーケンスが、第1実施形態とは異なる。図5は、本変形例による水洗大便器の便器洗浄シーケンスにおいて、ボール部に流入する洗浄水の流量を示すグラフである。
【0049】
本発明の第1実施形態による水洗大便器においては、図4に示したように、約5秒間のリム吐水後、リム吐水が停止され、ジェットノズルからの吐水が行われたが、本変形例の水洗大便器では、図5の実線に示すように、便器洗浄中リム吐水が一貫して行われる。図5の破線に示すように、本変形例の水洗大便器では、便器洗浄開始後、約5秒後にジェットノズルからの吐水が開始されるが、この間もリム吐水は停止されず、リム及びジェットから同時に吐水が行われる。なお、本変形例の水洗大便器においても、第1実施形態による水洗大便器と同様に、ジェットノズルからの吐水は、蓄圧容器に貯留された洗浄水が噴射されるため、ジェットノズルからの吐水を開始してもリム吐水の流量が低下することはない。
【0050】
さらに、便器洗浄開始後、約8秒後にジェットノズルからの吐水が終了する。次いで、蓄圧容器への蓄圧が開始されると同時に、蓄圧の際に生じる捨て水が、リム吐水口から吐水される。さらに、蓄圧容器への蓄圧が完了した後は、便器洗浄バルブユニットから直接リム吐水口へ吐水される。
【0051】
本変形例の水洗大便器によれば、ジェットノズルからの吐水がリム吐水と同時に行われるので、洗浄力をより向上させることができ、便器の洗浄に要する時間を短縮することができる。これにより、水洗大便器の使用感を向上させることができる。
【0052】
次に、図6を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第2変形例を説明する。本変形例の水洗大便器は、コントローラによって制御される便器洗浄シーケンスが、第1実施形態とは異なる。図6は、本変形例による水洗大便器の便器洗浄シーケンスにおいて、ボール部に流入する洗浄水の流量を示すグラフである。
【0053】
図6に示すように、本変形例の水洗大便器では、1回の便器洗浄シーケンスにおいて、2回のジェット吐水が行われる。図6の破線に示すように、便器洗浄開始後、約3秒後に、1回目のジェットノズルからの吐水が行われる。さらに、1回目のジェット吐水は、約5秒後に停止され、これと同時に蓄圧容器への蓄圧が開始される。次いで、便器洗浄開始後、約7.5秒後に、蓄圧容器から2回目のジェット吐水が行われる。さらに、約11秒後に、2回目のジェットノズルからの吐水が停止され、これと同時に蓄圧容器への2回目の蓄圧が開始される。
【0054】
一方、図6の実線に示すように、リム吐水は、便器洗浄開始から、便器洗浄シーケンス終了まで、一貫して行われる。なお、1回目のジェット吐水終了後、2回目のジェット吐水開始までの間のリム吐水、及び2回目のジェット吐水終了後の所定時間のリム吐水は、開閉弁を通過した洗浄水がリム吐水口から吐水される。
【0055】
本変形例の水洗大便器によれば、ジェットノズルからの吐水が2回行われるので、洗浄力をより向上させることができる。
【0056】
また、上述した変形例では、蓄圧容器は1つであり、1回目のジェット吐水終了後、再び蓄圧を行って2回目のジェット吐水を実行していたが、1回目及び2回目のジェット吐水用に2つの蓄圧容器を設けておいても良い。この場合には、各蓄圧容器とジェットノズルとの間に切換え弁(図示せず)を設けておき、この切換え弁を適宜切替えることによって、2回のジェット吐水を行う。また、この場合には、分岐管路と、各蓄圧容器の流入口に設けられた逆止弁との間にも切換え弁(図示せず)を設けておき、切換え弁を適宜切替えることによって、各蓄圧容器に順次蓄圧する。
【0057】
また、上述した第1実施形態では、エネルギー蓄積手段として、空気が入ったバルーンを使用していたが、蓄圧容器内にバルーンに入っていない空気を貯留しておき、その空気をエネルギー蓄積手段として利用しても良い。或いは、エネルギー蓄積手段として作用するバネ等の弾性体に接続されたピストンを、蓄圧容器内に摺動可能に配置しておき、蓄圧容器内の洗浄水の圧力が高まると、弾性体に弾性エネルギーが蓄えられるように構成することもできる。
【0058】
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態による水洗大便器を説明する。図7は、本発明の第2実施形態による水洗大便器の概略断面図である。本実施形態による水洗大便器は、蓄圧容器内の洗浄水を電磁ポンプによって加圧する点が、第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明する。
【0059】
図7に示すように、本発明の第2実施形態による水洗大便器201は、ボール部202と、トラップ部204と、ジェットノズル206と、このジェットノズル206に供給する洗浄水を加圧する蓄圧装置210と、を有する。
【0060】
また、本発明の第2実施形態による水洗大便器201に内蔵されている蓄圧装置210は、蓄圧容器212と、エネルギー蓄積手段であるバルーン214と、を有する。さらに、蓄圧装置210は、蓄圧容器212の流入口の側に設けられた逆止弁216と、給水管208と逆止弁216の間の管路に配置されたポンプである電磁ポンプ218と、蓄圧容器212内の加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させる吐水弁220と、を有する。なお、バルーン214、逆止弁216、及び電磁ポンプ218は、加圧手段を構成する。
また、水洗大便器201は、リム吐水洗浄とジェットノズル洗浄を切替え、電磁ポンプ218及び吐水弁220を制御するコントローラ222を備えている。
【0061】
ボール部202の上部周囲にはリム部202aが形成されている。トラップ部204は、ボール部202の底部から斜め上方に延び、最高点204aを経て鉛直下方に延びるように形成されている。トラップ部204の出口端は、排水ソケット(図示せず)等を介して排水配管(図示せず)に接続されている。
【0062】
ジェットノズル206はボール部202の底部に配置され、蓄圧装置210によって水道水圧以上に加圧された洗浄水を噴射させるように構成されている。
ボール部202の洗浄時におけるリム吐水口(図示せず)及びジェットノズル206からの吐水の切替えは、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、及びそれを制御するコントローラ222によって行われる。便器洗浄バルブユニット(図示せず)によって蓄圧装置210に導かれる洗浄水は、給水管208を通って蓄圧装置210に供給される。また、リム吐水口(図示せず)から吐水される洗浄水は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)からリム吐水口に延びる管路(図示せず)を通って直接供給される。
【0063】
蓄圧装置210の蓄圧容器212の内部には、エネルギー蓄積手段である空気入りのバルーン214が配置されている。
逆止弁216は、蓄圧容器212の流入口の側に配置されており、蓄圧容器212内の洗浄水が蓄圧容器212の入口を通って給水管208側に逆流しないようになっている。
【0064】
電磁ポンプ218は、給水管208と逆止弁216の間の管路に配置され、加圧された洗浄水を、逆止弁216を介して蓄圧容器212の中に送り込むように構成されている。電磁ポンプ218の作動は、コントローラ222によって制御される。
【0065】
吐水弁220は、蓄圧容器212の流出口の側に配置されている。また、吐水弁220の下流側は、ジェットノズル206に接続されている。吐水弁220の開閉は、コントローラ222によって制御される。
コントローラ222は、CPU及びメモリ等によって構成され、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、電磁ポンプ218、吐水弁220等を制御して、所定の便器洗浄シーケンスを実行するように構成されている。
【0066】
次に、本発明の第2実施形態による水洗大便器201の作用を説明する。
まず、待機時においては、水洗大便器201のボール部202には、トラップ部204の最高点204aの高さまで封水が溜められている。また、蓄圧容器212内には、所定の圧力に加圧された所定量の洗浄水が貯留されている。使用者が水洗大便器201の洗浄用スイッチ(図示せず)を操作すると、コントローラ222は、所定の便器洗浄シーケンスを開始させる。
【0067】
まず、コントローラ222は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)を制御して、リム吐水口(図示せず)から吐水させる。
所定時間リム吐水が行われた後、コントローラ222は、リム吐水口(図示せず)からの吐水を停止させると共に、吐水弁220を開放させる。吐水弁220が開放されると、蓄圧容器212内の洗浄水が、吐水弁220を通ってジェットノズル206から噴出される。ジェットノズル206から噴出された洗浄水は、サイホン現象を発生させ、ボール部202内の汚物及び洗浄水を、トラップ部204から排水配管(図示せず)に排出させる。
【0068】
本実施形態の水洗大便器201では、蓄圧容器212に貯留された加圧された洗浄水がジェットノズル206から噴射されるので、従来の水洗大便器よりも非常に少ない洗浄水の噴射によってサイホン作用が誘発される。本実施形態の水洗大便器201においては、約0.5MPaまで加圧された洗浄水が、約0.5L(リットル)ジェットノズル206から噴射される。
【0069】
ジェットノズル206からの吐水を所定時間行った後、コントローラ222は、吐水弁220を閉鎖させると共に、電磁ポンプ218の作動を開始させる。また、コントローラ222は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、水道から供給された洗浄水をリム吐水口(図示せず)及び給水管208の両方に分配するように、便器洗浄バルブユニットを切替える。これにより、蓄圧容器212への蓄圧及びリム吐水が同時に開始される。
【0070】
便器洗浄バルブユニット(図示せず)から給水管208に導かれた洗浄水は、電磁ポンプ218によって加圧される。電磁ポンプ218によって加圧された洗浄水は、逆止弁216を介して蓄圧容器212内に送り込まれる。また、水道から供給された洗浄水は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)を介して、その一部が給水管208に導かれるので、リム吐水中は、給水圧は低くなる。しかしながら、給水管208に供給された洗浄水は電磁ポンプ218によって加圧されるので、給水圧が低い場合でも、蓄圧容器212に高圧の洗浄水を貯留することができる。
【0071】
加圧された洗浄水が送り込まれることによって、蓄圧容器212内の圧力が上昇すると、蓄圧容器212内に配置されたバルーン214が圧縮され、バルーン214の体積が縮小される。これにより、バルーン214を圧縮させたエネルギーが、バルーン214に蓄積される。蓄圧容器212内が所定の圧力まで上昇すると、コントローラ222は、電磁ポンプ218を停止させ、蓄圧容器212への蓄圧を終了する。なお、蓄圧容器212の流入口には逆止弁216が設けられているので、電磁ポンプ218が停止しても、蓄圧容器212内の洗浄水が給水管208側に逆流することはなく、蓄圧容器212内は高圧に維持される。さらに、コントローラ222は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、洗浄水を、リム吐水のみに分配するように、便器洗浄バルブユニットを切替える。所定時間経過後、ボール部202内の水位が待機状態の水位まで上昇され、1回の便器洗浄シーケンスが完了する。
【0072】
本発明の第2実施形態の水洗大便器によれば、電磁ポンプを利用して、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水を蓄圧容器に貯留することができる。
また、本実施形態の水洗大便器によれば、ジェット吐水後の、リム吐水中に蓄圧容器への蓄圧が開始され、蓄圧が完了するので、1回の便器洗浄シーケンスの終了後、すぐに水洗大便器を使用することができる。
さらに、本実施形態の水洗大便器によれば、電磁ポンプを利用して蓄圧容器への蓄圧を行っているので、蓄圧容器内の圧力及び蓄圧時間を比較的自由に設定することができる。
【0073】
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態による水洗大便器を説明する。図8は、本発明の第3実施形態による水洗大便器の概略断面図である。本実施形態による水洗大便器は、蓄圧容器内の洗浄水をバネで付勢されたピストンで加圧する点が、第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明する。
図8に示すように、本発明の第3実施形態による水洗大便器301は、ボール部302と、トラップ部304と、ジェットノズル306と、このジェットノズル306に供給する洗浄水を加圧する蓄圧装置310と、を有する。
【0074】
また、本発明の第3実施形態による水洗大便器301に内蔵されている蓄圧装置310は、蓄圧容器312と、この蓄圧容器312の中に摺動可能に配置されたピストン313と、弾性体であるバネ314と、を有する。さらに、蓄圧装置310は、蓄圧容器312の流入口の側に設けられた逆止弁316と、ピストン313をバネ314の付勢力に抗して移動させるアクチュエータであるモータ318と、蓄圧容器312内の加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させる吐水弁320と、を有する。なお、ピストン313、バネ314、及びモータ318は、加圧手段を構成する。
また、水洗大便器301は、リム吐水洗浄とジェットノズル洗浄を切替え、モータ318及び吐水弁320を制御するコントローラ322を備えている。
【0075】
ボール部302の上部周囲にはリム部302aが形成されている。トラップ部304は、ボール部302の底部から斜め上方に延び、最高点304aを経て鉛直下方に延びるように形成されている。トラップ部304の出口端は、排水ソケット(図示せず)等を介して排水配管(図示せず)に接続されている。
【0076】
ジェットノズル306はボール部302の底部に配置され、蓄圧装置310によって水道水圧以上に加圧された洗浄水を噴射させるように構成されている。
ボール部302の洗浄時におけるリム吐水口(図示せず)及びジェットノズル306からの吐水の切替えは、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、及びそれを制御するコントローラ322によって行われる。便器洗浄バルブユニット(図示せず)によって蓄圧装置310に導かれる洗浄水は、給水管308を通って蓄圧装置310に供給される。また、リム吐水口(図示せず)から吐水される洗浄水は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)からリム吐水口に延びる管路(図示せず)を通って直接供給される。
【0077】
蓄圧装置310の蓄圧容器312の内部には、ピストン313と、このピストン313を付勢するバネ314が配置されている。ピストン313は、バネ314によって、蓄圧容器312内の洗浄水を押し出す方向に付勢される。
モータ318の出力軸には、クラッチ318aが取付けられ、このクラッチ318aは、モータ318の出力軸から巻上げシャフト318bに動力を伝達するように構成されている。さらに、巻上げシャフト318bには、巻上げワイヤー318cが巻き付けられており、この巻上げワイヤー318cは、ピストン313に接続されている。モータ318が駆動され、巻上げシャフト318bが回転されると、巻上げワイヤー318cを巻き上げて、ピストン313をバネ314の付勢力に抗して移動させるように構成されている。また、モータ318及びクラッチ318aの作動は、コントローラ222によって制御される。
【0078】
逆止弁316は、蓄圧容器312の流入口の側に配置されており、蓄圧容器312内の洗浄水が蓄圧容器312の入口を通って給水管308側に逆流しないようになっている。
吐水弁320は、蓄圧容器312の流出口の側に配置されている。また、吐水弁320の下流側は、ジェットノズル306に接続されている。吐水弁320の開閉は、コントローラ322によって制御される。
【0079】
コントローラ322は、CPU及びメモリ等によって構成され、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、モータ318、クラッチ318a、吐水弁320等を制御して、所定の便器洗浄シーケンスを実行するように構成されている。
【0080】
次に、図4を参照して、本発明の第3実施形態による水洗大便器301の作用を説明する。
まず、待機時においては、水洗大便器301のボール部302には、トラップ部304の最高点304aの高さまで封水が溜められている。また、蓄圧容器312内には、所定の圧力に加圧された所定量の洗浄水が貯留されている。即ち、モータ318の出力軸と巻上げシャフト318bは、クラッチ318aによって切り離されており、蓄圧容器312内の洗浄水は、圧縮されたバネ314の付勢力によって、ピストン313を介して圧縮されている。使用者が水洗大便器301の洗浄用スイッチ(図示せず)を操作すると、コントローラ322は、所定の便器洗浄シーケンスを開始させる。
【0081】
まず、図4の実線に示すように、コントローラ322は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)を制御して、リム吐水口(図示せず)から吐水させる。
約5秒間リム吐水が行われた後、コントローラ322は、リム吐水口(図示せず)からの吐水を停止させると共に、吐水弁320を開放させる。図4に一点鎖線で示すように、吐水弁320が開放されると、蓄圧容器312内の洗浄水が、バネ314の付勢力によって押し出され、吐水弁320を通ってジェットノズル306から噴出される。ジェットノズル306から噴出された洗浄水は、サイホン現象を発生させ、ボール部302内の汚物及び洗浄水を、トラップ部304から排水配管(図示せず)に排出させる。
【0082】
本実施形態の水洗大便器301では、蓄圧容器312に貯留された加圧された洗浄水がジェットノズル306から噴射されるので、従来の水洗大便器よりも非常に少ない洗浄水の噴射によってサイホン作用が誘発される。本実施形態の水洗大便器301においては、約0.5MPaまで加圧された洗浄水が、約0.5L(リットル)ジェットノズル306から噴射される。また、バネ314の付勢力によって押し出される、図4に一点鎖線で示す洗浄水の瞬間流量は、図4に破線で示すバルーン14によって押し出される洗浄水の瞬間流量よりも、その変化が緩やかである。このため、バネによる付勢では、瞬間流量の大きい期間が一定時間持続するが、瞬間流量の最大値は、バルーンの場合よりも小さくなる。
【0083】
ジェットノズル306からの吐水を所定時間行った後、コントローラ322は、吐水弁320を閉鎖させる。これと同時に、コントローラ322は、クラッチ318aを繋ぎ、モータ318を作動させて、巻上げシャフト318bを回転させる。巻上げシャフト318bが回転されると、巻上げワイヤー318cによって、ピストン313がバネ314の付勢力に抗して巻き上げられる。モータ318によってピストン313が巻き上げられ、バネ314が圧縮されると、弾性エネルギーがバネ314に蓄積される。
【0084】
また、コントローラ322は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、水道から供給された洗浄水をリム吐水口(図示せず)及び給水管308の両方に分配するように、便器洗浄バルブユニットを切替える。これにより、蓄圧容器312への蓄圧及びリム吐水が同時に開始される。
【0085】
便器洗浄バルブユニット(図示せず)から給水管308に導かれた洗浄水は、逆止弁316を通って蓄圧容器312内に流入する。また、水道から供給された洗浄水は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)を介して、その一部が給水管308に導かれるので、リム吐水時は、給水圧は低くなる。しかしながら、モータ318によってピストン313が巻き上げられている過程では、蓄圧容器312内の圧力は低くなるので、給水圧が低い場合でも、洗浄水は逆止弁316を通って蓄圧容器312内に流入することができる。一方、便器洗浄バルブユニット(図示せず)から給水管308に分配される流量を少なく設定することができるので、蓄圧容器312への蓄圧中においても、十分な流量の洗浄水をリム吐水に割り当てることができる。
【0086】
ピストン313が所定の位置まで巻き上げられ、蓄圧容器312内が満水になると、コントローラ322は、モータ318を停止させ、クラッチ318aを切り離す。これにより、蓄圧容器312内の洗浄水は、バネ314の付勢力によって加圧される。なお、蓄圧容器312の流入口には逆止弁316が設けられているので、クラッチ318aが切り離され、蓄圧容器312内の洗浄水が加圧されても、蓄圧容器312内の洗浄水が給水管308側に逆流することはなく、蓄圧容器312内は高圧に維持される。さらに、コントローラ322は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、洗浄水を、リム吐水のみに分配するように、便器洗浄バルブユニットを切替える。所定時間経過後、ボール部302内の水位が待機状態の水位まで上昇され、1回の便器洗浄シーケンスが完了する。
【0087】
本発明の第3実施形態の水洗大便器によれば、モータを利用して、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水を蓄圧容器に貯留することができる。
また、本実施形態の水洗大便器によれば、ジェット吐水後の、リム吐水中に蓄圧容器への蓄圧が開始され、蓄圧が完了するので、1回の便器洗浄シーケンスの終了後、すぐに水洗大便器を使用することができる。
さらに、本実施形態の水洗大便器によれば、モータを利用して蓄圧容器への蓄圧を行っているので、蓄圧容器内の圧力及び蓄圧時間を比較的自由に設定することができる。
【0088】
また、上記の第3実施形態においては、蓄圧容器が満水になった後、すぐにクラッチを切り離していたが、吐水弁の開放と同時にクラッチを切り離すように構成することもできる。このように構成した場合には、水洗大便器の待機時においては、バネの付勢力による圧力が蓄圧容器に作用しない。これにより、蓄圧容器内に高い水圧が作用する時間を非常に短くすることができ、蓄圧容器の安全性や、耐久性を向上させることができる。
【0089】
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態による水洗大便器を説明する。図9は、本発明の第4実施形態による水洗大便器の蓄圧装置の構成を示す図である。本実施形態による水洗大便器は、蓄圧容器内に空気ポンプで空気を送り込み、洗浄水を加圧する点が、第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第4実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明する。
【0090】
図9に示すように、本発明の第4実施形態の水洗大便器に使用される蓄圧装置410は、蓄圧容器412と、この蓄圧容器412の内部を仕切るように設けられた隔離手段であるダイヤフラム414と、ダイヤフラム414で仕切られた蓄圧容器412の一方の空間に空気を送り込む空気ポンプ422と、を有する。また、蓄圧装置410は、空気ポンプ422によって導入された空気の逆流を防止する空気逆止弁424と、蓄圧容器412内の空気圧を測定する圧力センサー430と、蓄圧容器412内の空気を大気に放出する大気開放弁426と、を有する。さらに、蓄圧装置410は、蓄圧容器412の上流側に設けられた逆止弁416及び開閉弁418と、蓄圧容器412の上流側に設けられた吐水弁420と、蓄圧容器412内に水道水が流入することによるダイヤフラム414の上昇を制限するためのリミッター428と、を有する。また、リミッター428には、リミットスイッチ428aが取り付けられている。
【0091】
次に、本発明の第4実施形態の水洗大便器に使用される蓄圧装置410の作用を説明する。まず、大気開放弁426を開放し、吐水弁420を閉鎖した状態で、開閉弁418を開放する。開閉弁418が開放されると、逆止弁416を介して水道水が蓄圧容器412内に流入する。水道水が蓄圧容器412内に流入すると、ダイヤフラム414が上昇する。これに伴い、ダイヤフラム414の上側の空間に入っていた空気は、大気開放弁426を通って大気に放出される。ダイヤフラム414が上昇し、蓄圧容器412内に設けられたリミッター428の高さに到達すると、それに取り付けられたリミットスイッチ428aがオンになる。
【0092】
リミットスイッチ428aがオンになると、開閉弁418が閉鎖されて蓄圧容器412内への水道水の流入が停止すると共に、大気開放弁426も閉鎖される。次いで、空気ポンプ422が作動され、空気が、空気逆止弁424を介して蓄圧容器412のダイヤフラム414の上側の空間に導入される。蓄圧容器412内に空気が導入され、蓄圧容器412内の空気圧が所定の圧力まで上昇すると、圧力センサー430がそれを検知し、空気ポンプ422を停止させる。これにより、蓄圧が完了する。便器洗浄を行う際には、吐水弁420を開放し、加圧された水道水を、吐水弁420を介してジェットノズルから噴射する。
なお、便器洗浄シーケンスは、第1実施形態の水洗大便器と同様であるので、説明を省略する。
本発明の第4実施形態の水洗大便器によれば、空気ポンプにより、蓄圧容器内の水道水を加圧することができる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。例えば、上述した実施形態では、蓄圧容器内に貯留された洗浄水の吐水が完了した直後に吐水弁を閉鎖し、ジェット吐水を終了させていたが、蓄圧容器内の洗浄水を吐水し終わった後、所定時間吐水弁を開放しておき、その間は水道水圧によってジェット吐水を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態による水洗大便器の概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。
【図3】蓄圧装置に使用されている直動ソレノイド型電磁弁の概略断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による水洗大便器の便器洗浄シーケンスにおいて、ボール部に流入する洗浄水の流量を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態の第1変形例による水洗大便器の便器洗浄シーケンスにおいて、ボール部に流入する洗浄水の流量を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態の第2変形例による水洗大便器の便器洗浄シーケンスにおいて、ボール部に流入する洗浄水の流量を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態による水洗大便器の概略断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による水洗大便器の概略断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による水洗大便器の蓄圧装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 本発明の第1実施形態による水洗大便器
2 ボール部
4 トラップ部
4a 最高点
6 ジェットノズル
8 給水管
10 蓄圧装置
12 蓄圧容器
14 バルーン
16 逆止弁
18 開閉弁
18a 分岐管路
18b 入口側端部
18c 出口側端部
18d 排水管
20 吐水弁
22 コントローラ
24 弁座
26 弁体
28 駆動用コイル
30 付勢バネ
201 本発明の第2実施形態による水洗大便器
202 ボール部
204 トラップ部
204a 最高点
206 ジェットノズル
208 給水管
210 蓄圧装置
212 蓄圧容器
214 バルーン
216 逆止弁
218 電磁ポンプ
220 吐水弁
222 コントローラ
301 本発明の第3実施形態による水洗大便器
302 ボール部
304 トラップ部
304a 最高点
306 ジェットノズル
308 給水管
310 蓄圧装置
312 蓄圧容器
313 ピストン
314 バネ
316 逆止弁
318 モータ
318a クラッチ
318b 巻上げシャフト
318c 巻上げワイヤー
320 吐水弁
322 コントローラ
410 蓄圧装置
412 蓄圧容器
414 ダイヤフラム
416 逆止弁
418 開閉弁
420 吐水弁
422 空気ポンプ
424 空気逆止弁
426 大気開放弁
428 リミッター
428a リミットスイッチ
430 圧力センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水の少なくとも一部を、水道の給水管から直接供給する水洗大便器であって、
上部にリム吐水口が設けられたボール部と、
このボール部の底部と排水配管とを連通させるトラップ部と、
上記ボール部の底部に配置され、上記トラップ部に向けて洗浄水を噴射するジェットノズルと、
水道の給水管から供給された洗浄水を、水道水圧よりも高い圧力に加圧された状態で貯留する蓄圧容器と、
上記蓄圧容器の下流側に設けられ、上記ボール部を洗浄する際に開放されて、上記蓄圧容器内の加圧された洗浄水を上記ジェットノズルから噴射させる吐水弁と、
上記リム吐水口から洗浄水が吐水されている間に、次回のジェットノズルからの吐水のために上記蓄圧容器内の水圧を上昇させる加圧手段と、
を有することを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
ボール部を洗浄する間の少なくとも一部の時間において、リム吐水口からの吐水と、上記ジェットノズルからの吐水が同時に行われる請求項1記載の水洗大便器。
【請求項3】
上記加圧手段が、上記蓄圧容器内に貯留された洗浄水が加圧されることによってエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、上記蓄圧容器の上流側に設けられた逆止弁と、上記給水管から上記逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、を有し、この開閉弁は、開放されたとき上記給水管から供給された洗浄水を出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき、又は流路が縮小されたとき上記入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された洗浄水を上記蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返し、上記ボール部を洗浄する際に、上記エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーが解放され、上記蓄圧容器内の加圧された洗浄水が上記ジェットノズルから噴射される請求項1又は2記載の水洗大便器。
【請求項4】
上記ジェットノズルからの吐水後、上記開閉弁を開閉させて上記蓄圧容器内に加圧された洗浄水を送り込む際、上記出口側端部から逃がされた洗浄水が、上記ボール部の上部に形成されたリム吐水口から吐水される請求項3記載の水洗大便器。
【請求項5】
上記エネルギー蓄積手段が、上記蓄圧容器内の洗浄水の圧力が高まると弾性エネルギーを蓄えるように配置された弾性体である請求項3又は4記載の蓄圧装置。
【請求項6】
上記加圧手段が、上記蓄圧容器内に加圧した洗浄水を送り込むポンプと、上記蓄圧容器内に貯留された洗浄水が加圧されることによってエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、を有する請求項1又は2記載の水洗大便器。
【請求項7】
上記加圧手段が、上記蓄圧容器内に摺動可能に配置されたピストンと、このピストンを付勢して上記蓄圧容器内の洗浄水を加圧する弾性体と、この弾性体による付勢力に抗してピストンを移動させるアクチュエータと、を有し、上記ボール部を洗浄する際、上記弾性体による付勢力によって、上記蓄圧容器内に貯留された洗浄水を噴射させる請求項1又は2記載の水洗大便器。
【請求項8】
上記加圧手段が、上記蓄圧容器の内部を仕切る隔離手段と、この隔離手段によって隔離された上記蓄圧容器の一方の空間に空気を送り込むことによって、上記蓄圧容器の他方の空間に貯留された水道水の水圧を上昇させる空気ポンプと、を有する請求項1又は2記載の水洗大便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−241698(P2006−241698A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54613(P2005−54613)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】