説明

水浮遊性キャンドル

【課題】 従来の水槽や川などで水に浮かべて使うキャンドルは、キャンドルを容器に入れて使用するもので、キャンドルの使用雰囲気に合わせた容器を用いるにはコスト高を招くなどの問題がある。
【解決手段】 ワックスを主体とした材料でなるキャンドルであって、そのキャンドルの構造が内部に大きな空間部を1乃至複数個形成してなり、キャンドル燃焼芯の一端はそのキャンドルを水に浮かべて安定に浮遊する浮遊キャンドルの上部から露出してなり、燃焼芯の他部は内部燃焼剤部に埋設してなる水浮遊性キャンドルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽や浴槽、あるいは池や沼、川などに浮かべて水遊びに用いたり、使用雰囲気を演出したり、風情を楽しむのに好適な水浮遊性キャンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水に浮かべて使用するキャンドルとしては、ガラス製容器やプラスチック製容器にキャンドルを装着して使用する製品、あるいはキャンドルの外周面に水に不溶・難燃性重合体被覆層を形成したものや繊維と難燃性重合体からなる複合成形被覆層を形成した製品を使用するものが提案されている。例えば、キャンドルの外周面に合成樹脂と繊維集合体とからなる薄状の複合被覆材を貼り合わせたキャンドル製品を水面に浮かべて精霊流しに使用することが知られている
【特許文献1】。
【特許文献1】特開平10−53792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の水に浮かべて使用するキャンドルは、一般にはガラス製やプラスチック製の容器にキャンドルを装着して使用するものであった。そうした場合、使用雰囲気に適する容器を調えないと十分に満足した雰囲気づくりは難しい。また、そうした容器を調えるには費用と時間が掛かるなどの課題がある。更に、容器を使用する場合、キャンドル使用後の容器の後始末や次に使用するまでの保存の問題がある。
【課題を解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用雰囲気に適した水浮遊性のキャンドルを提供することにある。すなわち、キャンドルを専用の容器に入れて使用することなく、直接水に浮かべて使用するキャンドルであって、使用雰囲気に適した形状と大きさ、キャンドルの色調、必要に応じた数量などを容易に製造し、供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ワックス又はワックスを主体としたワックス組成物を所望の形状に成型したキャンドルであって、該キャンドルの内部構造が大きな空間部を1乃至複数個形成してなり、該空間部が成型体に占める位置、大きさ及び空間部数は所望するキャンドル全体構造で決定し、更に、キャンドル燃焼芯の一端は該キャンドルを水に浮かべて安定に浮遊する浮遊キャンドルの上部に露出してなり、燃焼芯の他端は内部燃焼剤部に埋設してなる水浮遊性キャンドルである。
【0006】
また、本発明は、上記のワックス又はワックスを主体としたワックス組成物でなる水浮遊性キャンドルにおいて、燃焼火炎の熱で燃焼芯周辺の燃焼剤が熔融しても、該熔融燃焼剤によってキャンドル表層部の形状を保つに十分な熔融温度のワックス又はワックスを主体としたワックス組成物でなる水浮遊性キャンドルである。
【0007】
更に、本発明は、上記の水浮遊性キャンドルの内部空間部に、外部と連絡する通気細孔を形成してなる水浮遊性キャンドルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水浮遊性キャンドルは、キャンドル中に(微細気泡状の空間ではない)大きな空間部(あるいは、巨大空間部とも称する)を設けたことにより、キャンドルを直接水に浮かべた場合の浮遊安定性が得られると共に、水面に浮遊するキャンドルの水面からの高さを高い位置に安定化し、キャンドルの外観をより多く眺められるようにした。更に、キャンドルの燃焼が進むにつれて燃え残ったキャンドル表層部の燃焼剤が火屋状の形態を形成し、その火屋状燃焼剤を透して見られる炎の状態や透過光は柔らかさが増し、幻想的な雰囲気を醸し出すことができる。また、着色したキャンドル、とりわけ、パステル調に着色したキャンドルでは、更に、効果的な透過光が得られる。また、キャンドル周辺に形成した火屋状の成型部は防風効果も得られるため、特に屋外での使用や空気の流れのある室内での使用に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の水浮遊性キャンドルの構成材料のワックス又はワックスを主体としたワックス組成物であるワックスは、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン系ワックス、石油系ワックスなど、通常キャンドルに使用できるワックスであれば特に種類に限定せずに使用できる。更に、ワックス組成物を構成するワックス以外の重合体は、例えば、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブチレン系重合体、イソブチレン系重合体などの他にも多くの炭化水素系重合体が燃焼剤として使用できる。その他にも可燃性重合体であって、かつ、ワックスと混和性があればその種類は特に限定されない。また、燃焼剤は上記の構成材料から選ばれたワックスや重合体から任意に選んで使用できるが、ワックスと混合して使用する場合、ワックスとの相溶性・親和性を確認しておくとよい。そして、ワックス又はワックスを主体としたワックス組成物には、必要に応じて着色剤などの添加剤を添加し、熔融して、所望の成型型にキャンドル内部に空間部分が形成するに必要な所定量の燃焼剤を注入し、冷却固化して所望の外観形状で内部には微細泡状気泡ではない大きな空間部(巨大空間部と表現する場合もある)を1乃至複数個形成する手段で固化する。この場合、形成したキャンドル中に占める空間部の位置や空間部の大きさ及び空間部数(通常、1〜5程度)は所望するキャンドルの大きさや形状、更にキャンドルの使用目的などによって任意に決定する。一方、キャンドル燃焼芯の装着位置は、空間部を形成したキャンドルを水に浮かべて、安定に浮遊する状態を観て、その浮遊キャンドル上部に燃焼芯の一端を露出させ、燃焼芯の他端は内部燃焼剤部に埋設して構成したキャンドルである。
【0010】
また、キャンドルの形状は特に限定されないが、例えば、三角錐形、四角錐形、五角錐形などの多角錐形などの角錐形や球状体形、ラグビーボール様形や球体などの幾何学的形状、例えば、スイレンの花、ばらの花、ツバキの花など様々な花様形状、例えば、アヒルや白鳥などの水鳥、ペンギン、ラッコ、アザラシ、鯨、亀などの水棲動物を模した形、あるいは陸上動物を模した形、その他に、様々な船舶の形状、様々な建築造形物など使用雰囲気に適合する形状物を形成するなど、キャンドルの使用目的に応じて様々な形状の成型体が製造可能である。
【0011】
また、水浮遊性キャンドルの構成において、キャンドルが表層部と内部が同一ワックス組成物で構成したものや、キャンドルの表層部と内部のワックス組成が異なるワックス構成物であるもの、ワックス組成物の熔融温度が異なるもの、着色剤を変えて異なり色調としたものなどがあり、何れのワックス組成物を用いてもよい、好ましいワックス組成物は燃焼火炎の熱で芯周辺の燃焼剤は熔融するが、燃焼熱で熔融した燃焼剤によってキャンドルの他の部分、特に外周の形状を保つに十分な熔融温度のワックス又はワックス組成物で構成した水浮遊性キャンドルである。更に、水浮遊性キャンドルの空間部には、その空間部に達する通気細孔を数カ所設けておくと安定な燃焼状態を維持するうえで好ましい水浮遊性キャンドルとなる。
【実施例1】
【0012】
図1(1−1)に示した直径約60mmで、上部が切り落とされたボール形状の二つ割り鋳造型を用い、その鋳造型に熔融した約70℃のパラフィンワックスを注型口に注ぎ入れて満たし、約5分間放置して周囲の燃焼剤を固化した後、所望の空間部を形成するに相当する量の未硬化パラフィンワックスを注型口より注ぎ出した。次いで、注型口を閉塞した後、注型口を下にして放冷することで空間部を有する成型体が得られる。その後、燃焼芯を装着して空間部を有する製品キャンドルを得た。このキャンドルは重心が下にあるため、水に浮かしても安定した浮遊状態を保つばかりではなく、浮遊状態も高位にあり、更に、燃焼が進み、キャンドル周辺にワックスの火屋が形成されて炎が空間部に在って、その燃焼炎が軟らかく感ずる光として周辺を照らすものとなった。
【実施例2】
【0013】
図3に示した直径約100mmの花状の原型より型取りした二つ割り鋳造型を用い、その鋳造型に熔融した約65℃のパラフィンワックスを注型口に注ぎ入れて満たした後、約10分間放冷した。次いで、所望の空間部を形成するに相当する量の未硬化パラフィンワックスを注型口より注ぎ出すと共に、注型口と反対側に設けた空気流通細孔ピンを引き抜き、放冷した後、注型口を閉塞し、注型口を下にして放冷して空間部を有する成型体を形成した。その後、燃焼芯を装着して空間部を有する花状キャンドル製品を得た。この花状キャンドルは水に浮かしても安定した浮遊状態を保つばかりではなく、浮遊状態も高位にあり、華やいだ雰囲気を演出することができた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の成型法の技術は、プラスチック製品を開発する際の製品形態を決める初期段階での様々な試作品を製造するのに利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 様々な形状の水浮遊性キャンドルの断面模式図である。
【図2】 花を象った水浮遊性キャンドルの断面模式図である。
【図3】 縦長の空間部を有する花型様水浮遊性キャンドルの断面模式図である。
【図4】 空間部を下部に有する水浮遊性キャンドルの断面模式図である。
【符号の説明】
【0016】
1 キャンドル
2 燃焼剤
3 燃焼芯
4 キャンドル内の空間部
5 キャンドル内の空間部を繋ぐ導管
6 空気流通細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックス又はワックスを主体としたワックス組成物を所望の形状に成型したキャンドルであって、該キャンドルの内部構造が大きな空間部を1乃至複数個形成してなり、該空間部が成型体に占める位置、大きさ及び空間部数は所望するキャンドル全体構造で決定し、更に、キャンドル燃焼芯の一端は該キャンドルを水に浮かべて安定に浮遊する浮遊キャンドルの上部に露出してなり、燃焼芯の他端は内部燃焼剤部に埋設してなる水浮遊性キャンドル。
【請求項2】
ワックス又はワックスを主体としたワックス組成物でなる水浮遊性キャンドルにおいて、燃焼火炎の熱で燃焼芯周辺の燃焼剤が熔融しても、該熔融燃焼剤によってキャンドル表層部の形状を保つに十分な熔融温度のワックス又はワックスを主体としたワックス組成物でなる請求項1に記載の水浮遊性キャンドル。
【請求項3】
水浮遊性キャンドルの内部空間部に、外部と連絡する通気細孔を形成してなる請求項1又は請求項2に記載の水浮遊性キャンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−77223(P2006−77223A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295429(P2004−295429)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(593121782)ペガサスキヤンドル株式会社 (9)
【Fターム(参考)】